言われたことしかやらない社員を何とかしたい!主体性を促す7つの手法

作成日:

言われたことしかやらない社員

「言われたことしかしない社員をどうにかしたい…!」
このようなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

近年、言われたことしかやらない社員についてのお悩みが増えています。その方たちは言われたことをやることが仕事だと思っており、より良くするために自分なりに考え動くということをしない、という状態になっています。

しかし、言われたことしかやらない社員が増えると、社員の成長を促すことはもちろん、組織の成長を促すことも難しくなってしまいます。

そうならないためにも、本コラムでは、

・言われたことしかやらない社員の特徴
・言われたことしかやらない社員が生じる理由
・言われたことしかやらない社員の主体性を促す方法と具体事例

についてお伝えします。これらを知ることで、対策方法がわかり、言われたことしかやらない社員に対して変容を促すことができます。組織を成長させるためにも、言われたことしかやらない社員に変容を促しましょう。

監修者プロフィール

山下 絢加

2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。子育てを機に、現在は主にマーケティングプランニングを担当。

合計500社以上の導入実績を誇るアーティエンスでは「管理職がプレイヤーから抜け出せていない」「管理職が昔の気質のままで変われない」といった企業さまへ「研修成功事例集」を作成しました。
研修成功事例集をダウンロードする


研修成功事例集

1)言われたことしかやらない社員の4つの特徴

言われたことしかやらない社員の特徴として、次のようなことが挙げれらます。

・リスクを避ける
・成長意欲が低い
・柔軟性がない
・関係性を築こうとしない

具体的にどういうことか説明します。

リスクを避ける

言われたことしかやらない社員は、リスクを避ける特徴があります。言われたことだけやっていれば、何か問題が起きたときに依頼した人の責任にできるためです。

例えば、意見やアイディアがあってもメンバーに共有しません。自分の発言に対してネガティブな反応が帰ってくるリスクを避けたいためです。また、自分の発言によって自分のやることが増えてしまうことも懸念しています。

このように、言われたことしかやらない社員は、ネガティブな反応や仕事が増えるリスクなどを避ける傾向があります

成長意欲が低い

言われたことしかやらない社員は、成長意欲が低い特徴があります。生きるために必要なお金を稼ぐことが目的になっていることが多く、現場の給与に満足しているため上を目指す必要がないためです。また、上の役職にいくと責任も大きくなるため、指示されて動く方が楽だと考えている人もいます。

例えば、自分にとって新しい仕事を依頼されたときに、新しいことに挑戦できるワクワクはなく、面倒だなという感情が大きくなります。このようなタイプにとっては、自分がやり慣れている仕事の方が良いのです。

このように、言われたことしかやらない社員は、成長意欲がないために、自分にとって新たな仕事をすることを嫌がる傾向があります

【参考コラム】管理職になりたくない理由】希望を見出せず、負担ばかり増えるから

柔軟性がない

言われたことしかやらない社員は、柔軟性がありません。自分で考えることをしないためです。そのため、少し考えたらわかるようなことでも、言われた通りにやります。

例えば、「この資料を先方に送っておいて」と上司から依頼されたデータの名前が他のクライアントの社名になっていたとします。そのときにその事に気付いたとしても、上司に確認する事なく、言われた通りに送付します。この場合でも、言われた通りにやった、という事で自分を正当化し、上司の責任にできます。

このように、言われたことしかやらない社員は、疑問に思ったことでも言われた通りに進めればいいと考え、柔軟に対応しようとしません

関係性を築こうとしない

言われたことしかやらない社員は、関係性を築こうとしません。協働の意識がないためです。助け合うことをしないため、メンバーが個々で仕事をしている状態になります。

一緒のプロジェクトを行っていても、自分に依頼された仕事だけをやればいいと考え、プロジェクトをよりよくしようとか、メンバーをフォローしよう・してもらおうという考えがありません。コミュニケーションも仕事を進めるための最低限に留めます。

このように、言われたことしかやらない社員は、協働しようという意識がないため、周囲の人との関係性を築こうとしない特徴があります

研修成功事例集

2)言われたことしかやらない社員が生まれる7つの理由

言われたことしかやらない社員が生まれる理由として、「本人の問題」と「周囲のメンバー・組織の問題」という2つの切り口が考えられます。

本人の問題
・社会人としての自覚が弱い
・ありたい姿を描けていない
・失敗することへの怖さ

周囲のメンバー・組織の問題
・指示命令が多い
・当人の意見や背景を聞かずにフィードバックしている
・上司の正解と一致しているかで判断している
・依頼した内容以上のことを求めすぎている

本人の問題もありますが、周囲のメンバーや組織によって言われたことしかやらない状態になってしまった可能性もあります。具体的に説明します。

社会人としての自覚が弱い

社会人としての自覚が弱いと、言われたことしかやらない社員になりやすいです。社会人としての「モラル」や「顧客満足への意識」、「周囲への貢献意識」が弱いためです。

社会人になると与える立場となる必要がありますが、学生感覚のまま与えてもらうことが当たり前だと思っている可能性があります。そうすると言われたことをやることが仕事だと認識しており、自ら進んで与えることをしません。

そのため、例えば「打ち合わせに同行して」と言われると、本当に同行するだけで、自分でもできる受付を行ったり、電車の時間を調べようという行動ができません。また、同行して学びを得ようという意欲もなく、ただついていっただけの状態になります。

このように、社会人としての自覚が弱いと、自分ができることを探して与えようとする言動が見られないため、言われたことしかやらない社員となってしまいます

ありたい姿を描けていない

自身のありたい姿を描けていないと、言われたことしかやらない社員になりやすいです。成長意欲が弱いためです。ありたい姿がなく、とりあえず生活費のために仕事をしている状態だと、給与をもらえたらOKとなるので、給与がもらえる最低限のことしかしなくなります。

「将来あの人みたいにクライアントから信頼されるような人になりたい」とか「自分で新しいプロジェクトをやりたい」というようなありたい姿があると、そのために今の自分に足りていないことを学ぼうと仕事へのモチベーションが高まります。しかし、ありたい姿がないと、ありたい姿と現在の姿にギャップが生まれないため、現場で満足という状態になるのです。

このように、ありたい姿がなく現状に満足し、成長意欲がない状態だと、言われたことしかやらない社員になってしまいます

失敗することへの怖さ

失敗することに対して怖さを感じていると、言われたことしかやらない社員になりやすいです。指示に従うことで失敗のリスクを回避しようとするためです。特に自信がない人が陥りやすいです。部や組織として失敗を許さない文化があると、余計に失敗が怖くなり、失敗をしないためにも新たな挑戦をしなくなります。

例えば「自分の意見を言って怒られると嫌だから言わずに、上の人が言ったことに従っておこう」とか、「今よりもこうすればもっと効率的に仕事を進められると思うけど、それでそうならなかったら自分が怒られることになるからやめておこう」という状態になってしまいます。

このように、失敗した時のリスクが大きいと感じていると、失敗することが怖くなり、無難な道の言われたことをやるようになっていきます

指示命令が多い

周囲のメンバーからの指示命令が多いと、言われたことしかやらない社員が生まれやすくなります。自分で考える経験がなくなるためです。

特に新入社員や若手社員時代の時に、事細かく指示をして言われた通りにやればできるようにしていた場合、中堅社員になったときに急に「自分で考えてやって」と言われてもなかなか主体的に考えられないという状況が起きます。

指示や命令は相手の育成にはなっておらず、期待通りに進めてもらうための手段です。しかし、指示や命令をすることが育成だという認識をしている場合があります。
このような指示命令が多い環境で育っていると、自分で考える経験がないまま年数だけ経っていき、結果として言われたことしかできない社員が生まれやすくなります

当人の意見や背景を聞かずにフィードバックしている

周囲のメンバーが相手の意見や背景を聞かずにフィードバックをしていると、言われたことしかやらない社員が生まれやすくなります。自分の意見や考えをを聞いてくれないと感じ、自分の意見や考えを持つ意味がなくなるためです。

もし、社員の意図を確認しないで改善箇所を伝えるフィードバックが続くと、「自分なりに考えて行ったのに、自分の考えを聞こうともしてくれないし、理解もしてくれないなら、もう言われたままやった方が楽だな」という思考に切り替わってしまいます。そうすると主体性がなくなっていき、結果言われたことしかやらない社員になっていきます。

このように、アウトプットについて本人の意見や背景を聞かずに改善してほしい場所を伝えるようなフィードバックが続くと、自分なりに考えても違うって言われるだけだから意味ないやという思考になり、言われたことしかやらない社員になっていってしまいます

【参考コラム】新入社員育成のカギ!フィードバックする時に知っておきたい5つのポイント

上司の正解と一致しているかで判断している

上司が考える正解と一致しているかで仕事の良し悪しを判断されると、言われたことしかやらない社員が生まれやすくなります。上司の正解と一致させるためには、上司の言われた通りにすることが近道だからです。

この状態が続くと、自分の意思はなく受動的主体性が強化されていきます。そして、上司が求めている以上の成果が出なくなり、クライアントやユーザーにとって最善のことを考える意識も弱くなってしまいます。アウトプットとしても良いものが生まれません。

このように、上司が考える正解と一致しているかで仕事の良し悪しを判断される状態が続くと、上司を満足させる一番の近道となる上司から言われたことしかやらない社員になってしまいます

依頼した内容以上のことを求めすぎている

部下や新入社員に対して依頼した内容以上のことを、周囲が求めすぎていると「言われたことしかやらない社員」という認識になってしまいます。「常識」や「当たり前」は人によって異なるためです。

例えば「コピーして」と依頼したとします。依頼した側は、コピーを依頼したら、ホチキス留めとファイリングまですることが当たり前だと思っています。しかし、依頼された側としては、依頼されたのはコピーすることなのでコピーしたものをそのまま依頼者に渡しました。すると、依頼者は依頼した人に対して、言われたことしかしない人だという感想を持ちます。
しかし、これは、当たり前や普通が人によって異なることで起きているだけです。依頼者が「コピーを依頼したときは、ホチキス留めとファイリングまでセットでお願いしたい」ということを伝えれば相手も理解して次回以降は対応してくれるでしょう。
しかし、自分の依頼を伝えずにいると、言われたことしかしない社員だという認識になってしまいます。

このように、自分にとっての当たり前を他者にも期待していることで、無意識に依頼した内容以上のことを求めすぎており、言われたことしかやらない社員と認定してしまう状態が起きている可能性もあります

これら7つのことが理由となって、言われたことしかやらない社員が生まれてしまいます。

3)言われたことしかやらない社員の主体性を促す7つの方法

言われたことしかやらない社員の主体性を促す方法としては、次のことが考えられます。

本人の問題に対する方法
・社会人としての自覚を促す
・ありたい姿を醸成する

周囲のメンバー・組織の問題に対する方法
・安心して挑戦できる環境を整える
・自分で思考するための基礎スキル習得の機会を設ける
・依頼した仕事の意図・背景を伝える
・相手の意見を汲み取った上でフィードバックをする
・期待している役割や目標を理解してもらう

社会人としての自覚を促す

言われたことしかやらない社員の主体性を促すために、社会人としての自覚を促すことが必要です。社会人は与える立場になるということを自覚できないと、受け身の状態が続いてしまうためです。

ただ、社会人としてどうあるべきかについては、社員が心から納得し理解しないと、意識の変化が起きません。
そのため、アーティエンスの社会人の自覚研修では、「社会人とは何か?」に関するワールド・カフェを行い、社会人について考えてもらいます。
※ワールド・カフェとは、『カフェ』のようなリラックスした雰囲気の中で行う対話手法の一つです。

ワールドカフェを通して、社会人とは?に向き合うことで、社会人としてあるべき姿を自分なりに考え意識できるようになります。誰かに言われるわけでなく、社員の内側からの変容を促すことができ、学生と社会人の立場の違いを深いレベルで意識し、社会人として適切な言動を心がけることができます。自分の中から湧いてきた感覚として持ってもらうことがポイントです。

このように、社会人とは?について考え自分なりの言葉で言語化する時間を作ることで、社会人としての自覚を促すことができます。その結果、主体的に動く必要があることに気づき、自分ができることを探して積極的に行動する様子が見られます。

ありたい姿を醸成する

言われたことしかやらない社員の主体性を促すために、ありたい姿を醸成することが必要です。ありたい姿があると、そのために必要なことを自ら進んで行いやすくなるためです。

具体的には、「どんな仕事がしたい?」「それは何で?」「1年後どんな人になりたい?」など理想を知る質問からどうありたいのかを確認します。その後、「そのためにはどんなスキルや経験が必要だと思う?」などの質問をして、ありたい姿になるために必要な要素を洗い出します。その要素の中に、今の業務が関わっていることがわかると、ありたい姿のために今の業務も必要になることが理解できるため、期待感を持って仕事に取り組むことができます。

ただ、社員の中には、ありたい姿が無い人もいます。その際は、「どんな仕事が楽しかった?」「今までの仕事の中で褒められて嬉しかったことはある?」などの質問をして、何に楽しさや嬉しさを感じているのかを確認します。そこから、その楽しさや嬉しさを感じられる状態になるためにはどんな状態で仕事をできるといいかを考えていくと、ありたい姿を見つけていけます。

アーティエンスの成長力強化研修フォロー研修では、自分の成長とこれからの姿を探究するワークを設けています。
例えば、「自身の素晴らしい未来」に向けてアクションプランを創ったり、『自らのありたい姿と、会社への貢献につながるため』のストーリーを考えるワークを行います。

【参考】成長力強化研修のテキストの一部抜粋

これらのワークを通して未来について考える時間を設け、言語化することで、行動に落とし込みやすくなり、主体的な行動の促進につながります

安心して挑戦できる環境を整える

言われたことしかやらない社員を生み出さないようにするためには、安心して挑戦できる環境を整える必要があります。安心感を感じられていない環境では怖さを感じ、主体的に動くことができないためです。

例えば、クライアントのことを思って挑戦したことで、トラブルを起こしてしまった社員がいたとします。そのときに、トラブルが起きた原因を把握して対策を考えることは重要です。しかし、その話だけでなく、クライアントのために動いたことに対してポジティブフィードバックをすることも大切です。クライアントのために動いたことに対してはポジティブであることを知れると、次回以降も反省点を踏まえた上で自分なりにより良くするために動こうと思えます。

しかし、クライアントのために動いたことに対してポジティブフィードバックがないと、失敗したらダメだという意識になってしまい、できるだけ失敗しない安全な道を選ぼうとするようになります。安全な道がダメというわけではないですが、安全な道というのは「今まで通り」とか「言われた通り」になりやすいため、社員の主体性は弱くなりやすいです。

このように、安心して挑戦できる環境を整えることで挑戦しやすくなり、社員が主体的に動きやすい状態になります

自分で思考するための基礎スキル習得の機会を設ける

言われたことしかやらない社員を生み出さないようにするためには、自分で思考するための基礎スキル習得の機会を作る必要があります。
大前提として基本的なスキルや知識がないと、自分で考えて行動することができず、結果として言われたことをやるようになってしまうためです。

例えば、もし社員にビジネスマナーのスキルがないと、名刺交換のやり方がわからないため、名刺交換をするタイミングになった時に、上司が「名刺出して」「名刺はしまわないで机に置いておいて」などの指導をすることになります。そうすると自ずと言われたことしかしない社員となってしまいます。
他にも、もし社員が相手へ理解しやすく伝える方法を知らなければ、先輩が「相手が理解しやすいように図式化して」「相手が理解しやすいようにこの専門用語について注意書きで説明を入れて」と指導することになり、結果として言われたことしかしない社員が生まれてしまいます。

そのため、自分で考えて行動するための基本的なスキルが足りていない場合は、組織として研修や動画学習・本などを通して教える機会を作るようにしましょう。
自分で考えて行動するための基本的なスキルとしては、以下のようなものが挙げられます。

※スキル名をクリックすると、該当スキルの習得を目指した研修コンテンツをご覧いただけます。

スキル
新入社員・若手社員 ビジネスマナー
ビジネススキル
目標達成・コスト意識
巻き込み力
関係性構築力
ロジカルシンキング
プレゼンテーション
問題解決力
チームビルディング
意志発信力
専門知識
中堅社員・管理職 システムシンキング
ロジカルシンキング
プレゼンテーション
問題解決力
チームビルディング
リーダーシップ
ファシリテーション
アンラーニング
意志発信力
専門知識

このように、言われたことしかやらない社員を生み出さないようにするためには、大前提として、社員が自分で考えるために必要なスキルを渡していることが必要です。基本的なスキルや知識があると、社員は状況に応じて自分なりに考えて行動できます

依頼した仕事の意図・背景を伝える

言われたことしかやらない社員の主体性を促すためには、依頼した仕事の意図・背景を伝えることが必要です。意図や背景がわからないと、自ら考えることができず、言われたことをやることになってしまうためです。

例えば、「この資料を10部ずつ印刷お願い」だけ伝えると、印刷のデフォルトの設定通りに印刷をする人がほとんどでしょう。依頼された社員は何に使う資料なのかを把握していないため、現場の設定で問題ないかを自分で考えることもできません。
しかし、「この資料を明日の〇〇会議でスライドで伝えきれない部分の補足として使いたいから10部ずつ印刷お願い」のように、どのような背景で使用するのかを伝えると、自分で工夫・改善する余白ができます。例えば、「〇〇会議には年配の方も多く参加するから、大きめの文字の方がいいかな?」とか「配布しやすいようにクリップでまとめておいた方がいいかな?」などです。

このように仕事の意図や背景を理解できる情報を受け取ることで、自分なりに考える余白ができ、自分で工夫したりより良くするための言動が見られます

相手の意見を汲み取った上でフィードバックをする

言われたことしかやらない社員の主体性を促すためには、相手の意見を汲み取った上でフィードバックをすることが必要です。認識を合わせて、適切なフィードバックをできるようにするためです。

社員の意図を確認しないまま話し始めると、相手と自分の認識が異なる状態で話しが進み、「自分はこういう思いでやったんだけどな」と消化不良感や納得感がないまま修正だけしないといけない状態になります。その状態は、受け身の姿勢で、とりあえず言われた通りに修正します。
言われた通りに修正はされるため、一旦仕事はうまくいったように見えますが、社員の主体性を蔑ろにしてしまったことで、社員の主体性は弱まります。

このようなことが無いようにするためにも、相手がどのような意図で仕事をしたのかを確認した上で、フィードバックをするようにしましょう。そうすることで、社員の主体性を失わせることなく、成長を期待できます

【参考コラム】新入社員が受け止めるアドバイスとは?│アドバイスのフローまで解説

期待している役割や目標を理解してもらう

言われたことしかやらない社員の主体性を促すためには、期待している役割や目標を理解してもらうことが必要です。組織からの期待が分からないと、成長が求められていることに気づけないためです。

1on1などゆったりと話をできる機会を作り、組織が期待している役割や目標を相手が理解できるように伝えます。理解をしてもらえたら、役割や目標に対して今どの位置にいるのかを確認し、成長のために何が必要かを二人で対話をしながら決めていきましょう。

期待している役割を伝える際は、誰でもいいのではなくあなただからこの役割をお願いしたい、ということが伝わるようにしましょう。そのためには相手の得意や不得意、組織が評価していることを理解しておくことが必要です。
例えば、「あなたは細かいところによく気がついてくれて、この間も〇〇を修正してくれました。あなたのこの細かい部分に気づいてくれる特徴を活かして、経理の正確さをより高めるための役割をお願いしたいです」などです。
このように伝えることで、自分のどこを評価してもらえているのかがわかります。また、自分のことを理解してくれていることに対しても嬉しさを感じます。

目標を伝える際は、内容を明確で具体的にしましょう。抽象度が高いと、目標を達成できたかどうかがわからないためです。明確で具体的にするためには、SMARTの法則をクリアしているか確認することをお勧めします。

このように、期待している役割や目標を理解してもらうことで、自分が組織の中で何をすべきかがわかり、そのためにすべきことも見えてきます。今の自分に足りない部分があることがわかると、主体的な行動を促しやすくなります

これらの方法による対策をすることで、言われたことしかやらない社員を生まないようにしましょう。

研修成功事例集

4)言われたことしかやらない社員が変容した事例

当社でご支援している美容器具メーカーの新入社員の方で、初めは言われたことしかやらずに人事の方がとても心配されていましたが、9ヶ月後には主体的に行動できるようになった方がいらっしゃいましたので紹介します。

<企業情報>
●業種:美容器具メーカー
●規模:300名程度
●社員の職種:新入社員 営業職

<アーティエンスでご支援したこと>
公開講座
4月の導入研修(社会人の自覚研修ビジネスマナー研修ビジネススキル研修上司との協働体感研修
5月(仕事と自己成長をつなぐ研修
6月(巻き込み力向上研修
7月(関係性構築力研修
8月(ロジカルシンキング研修
1月(問題解決力研修
3月の研修(1年目フォロー研修

※研修ごとに社員の様子や育成フォローについてフィードバック・アドバイス

パルスサーベイGrowth
毎月1回実施し、レポートを社員と人事の方に共有
人事の方のサポート
毎月1回実施していた人事向け勉強会で対話を通しながら人事としてできることを探求

入社当時は、周囲から見ると、向上心ややる気が感じられない状況でした。
具体的には、先輩との営業同行にて、予定よりも早めに同行が終了したため「(業務時間終了まで、自社商品が陳列されている)店舗を視察して回って帰ったら?」と先輩が新入社員に提案したところ、「別に大丈夫です」と断り、早々に帰宅してしまう」というようなことがありました。
言われた最低限のことはやるものの、より自発的に学ぼう・成長しようという向上心が感じられず、「言われたことしかやらない社員」となっていました。

そんな社員に対して、アーティエンスの公開講座を受講していただくことで他社の新入社員から刺激を受けたり、育成方法についてのアドバイスを実施していただいたりしながら、徐々に社員の主体性を促していきました。
また、人事の方が上司やトレーナーとも連携し、新入社員に積極的に声を掛け、新入社員に寄り添った対応や育成を模索していきました。ランチに誘ったり、こまめに状況を確認してフォローをするなど、新入社員を理解しようとする行動もしました。

その結果、自分が組織から受けていることへ感謝の思いが生まれて貢献意識が芽吹き、また、新入社員とトレーナーの方に信頼関係が構築されていきました。そのような変化が生まれたことで、周囲のアドバイスを素直に受け取れるようになり、トレーナーや組織の方のために頑張りたいという思いが出てくるようになったようです。

9ヶ月たった頃には、営業としてチームに貢献できるようにと、自発的にSNSマーケについて学んだり、報連相の頻度も高まっていったとのことです。 最低限の仕事をやろうとするのではなく、「周囲や会社のため」を意識することができ、言われたことしかやらなかった入社時と比べて大きな変化が生まれました。

このように、始めは言われたことしかやらないと感じている新入社員も、適切な施策を行い、向き合うことで必ず変化します。 現場の社員の状態を見て諦めてしまうのではなく、言われたことしかやらないようになっている原因を把握し、適切な施策を行うことから始めていきましょう。

5)まとめ 〜アーティエンスの研修で社員の主体性を促しませんか〜

本コラムでは、言われたことしかやらない社員の特徴や理由を説明し、そんな社員に変容を促すための方法についてお伝えしました。ぜひご参考にしていただければ幸いです。

はじめは「言われたことしかやらない」と感じている社員も、適切な施策を行い、向き合うことで必ず変化していきます。 現場の社員の状態を見て諦めてしまうのではなく、言われたことしかやらないようになっている原因を把握し、適切な施策を行うことから始めていきましょう。

なお、アーティエンスでは、社員の主体性を促すことを目的とした研修を多数実施しています。具体的な研修内容について相談したい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

組織を成長させるためにも、組織としてできることから施策を行い、言われたことしかやらない社員に変容を促しましょう。