- [ コラム ]
管理職が部下育成で押さえるべき5ポイント|対象社員別の取り組みが鍵!
- 2023/9/29更新ー2023/6/21作成ー「管理職が部下育成を行う際、どのようなことに気を付ければよいのだろう?」「管理職として、もっと効果的に部下育成を行うにはどうすれば?」などのお悩みを感じて、本コラムに辿り着いたのではないでしょ
- 詳細を見る
2023/9/4更新ー 2022/8/19作成ー
「なかなか良い管理職研修がないな」
「社長から、管理職研修の実施を依頼されたけど、何をすればいいのだろう」
「忙しい中、管理職研修を行うと、現場から反発があるかも」
など様々な問題意識を持って、管理職研修を探されている方が多いかもしれません。
管理職研修は企画や運営の難易度が高く、悩んだり困ったりするのは当然です。そのお悩みや困りごとを解消せずに何となく研修を実施してしまうと、効果が出ないばかりか悪影響が出る場合もあります。その一方で、管理職研修を適切に企画し実行できれば、組織全体に好影響が及んでいきます。
管理職研修は組織全体へポジティブな影響もネガティブな影響も大きく与える研修です。そのため、企画・運営には細心の注意が必要です。
本コラムでは、
・管理職研修の4つの目的、おすすめなプログラム内容
・管理職研修を成功に導く4ステップとNG内容
・外部委託する際の研修会社の選定ポイント3点
・管理職研修に関するQ&A
を具体的な事例を交えながらお伝えしていきます。
本コラムを読み終えた後には、管理職研修をどのように企画・運営していけばいいかが理解できます。その上で、自組織にあった管理職研修を実施していただければと思います。
管理職研修の内容にお悩みですか?
上記のようなお困りごとはございませんか?
合計500社以上の導入実績を誇るアーティエンスが、「管理職研修成功事例集」を作成しました。
管理職研修成功事例集をダウンロードする目次
効果の高い管理職研修とは、「管理職が『自分たちは変われる』と確信を持てる研修」です。
管理職本人たちが、「自分たちは変われる」と確信が持てなければ、管理職自身に大きな変容は起きず、会社自体にも変化は訪れません。多くの時間とお金を費やしたにも関わらず、水の泡となっていまいます。
「管理職が『自分たちは変われる』と確信を持てる研修」で押さえておくべきポイントは、次の3つです。
この3つが揃う研修でなければ、高い効果は得られません。
重要なことは、企画側・講師が学びや問題意識を押し付けるのではなく、管理職自身が自ら組織課題や組織変革と向き合う状況を創っていくことです。
「『自分たちは変われる』と確信が持てる管理職研修」を企画・実施するために、まずは、管理職研修の目的を理解しましょう。
管理職研修を行う目的は、大きく以下の4つです。
研修目的 | |
---|---|
1 | 管理職としての意識醸成・基本スキルを付与するため |
2 | 次の経営者を育成(次世代リーダー育成)するため |
3 | 今抱えている課題を解決し、管理職本人 or チームのパフォーマンスを上げるため |
4 | 労務管理・コンプライアンスのリスクマネジメントを行うため |
一つ目の目的は、管理職としての意識醸成(一般社員から管理職への認知変容・行動変容(パラダイムシフト))や基本的なスキル習得です。主な研修内容は、以下の通りです。
・管理職として求められる役割を理解する
・管理職として必要なスキルを習得する
本目的の場合、主に、新任管理職を対象とすることが多いです。詳しい内容は、新任管理職研修の具体的内容や成功の3つのポイントのコラムもあわせてご参考ください。
・管理職になり立場が変わったことを、概念的もしくは厳しく伝えるだけ
・自組織にあった管理職の役割・定義を把握せず一方的に管理職のあるべき論を述べる
・自組織の管理職に必要でないスキルまでトレーニングする
上記内容では、認知変容・行動変容(パラダイムシフト)を起こすことは難しいです。また、せっかくの新任管理職研修が、管理職の不満や不安を煽るものとなってしまいます。外部に委託する際には、自組織・管理職を理解し、行動変容を促してくれる研修会社を選びましょう。
二つ目の目的として、次期経営者の育成(次世代リーダー育成)が挙げられます。世代交代をスムーズに行い、経営能力を落とさないための研修です。主な研修内容は以下の通りです。
・現経営者との対話の機会を通して経営視点を体感する
・経営者として必要なスキルを習得する
・経営課題に実際に取り組んでみる
・自社のミッション・ビジョン・戦略が反映されていない
・自組織の状況にあった、経営者が身に付けるべきスキルが選定されていない
・研修で学んだ内容を活用する場面がない
次世代リーダー育成研修は、組織の将来を担う重要な研修です。上記内容で実施しては、スキルが身に付いていなかったり、意識が低いまま経営層に参画することになります。十分に注意して進めましょう。
【参考コラム】【経営者向け研修】事例から学ぶ2つの目的と5つの内容をご紹介
三つ目の目的は、管理職が今抱えている課題を解決し、管理職本人やチームのパフォーマンス向上につなげるためです。本目的の管理職研修は、大きく次の2つに分かれます。
・今抱えている課題を、管理職個人のスキルを上げることで解決する
・今抱えている課題を、チーム力(自チーム内・部門間)を高めることで解決する
・正しい課題設定がなされていない
・知識・スキルの授与のみで終わり、現場で活用するための導線がない
・研修内で完結し、現場でのチームビルディングに活用されない
パフォーマンス向上の研修内容は、今の管理職にとって必要であり、学んだことで現場を変えられる内容であることが大切です。そのためには、課題設定を正しく行うこと。そして、現場での活用意識の向上と現場に繋げられるスキルであることが大切です。
【参考コラム】管理職の悩みとは?│解決するための有効な対処方法も説明
四つ目の目的は、労務管理・コンプライアンスを学び、リスクマネジメントを行うためです。
主な研修内容は以下の通りです。
・時代や世の中が求めている労務管理・コンプライアンスを学ぶ
・労務管理・コンプライアンスで、やらないといけないこと/やってはいけないことを学ぶ
・型どおりの内容になり、労務管理・コンプライアンスを扱うイメージがわかない
・現場でのルール化が不明瞭な内容になっている
労務管理・コンプライアンス研修は、正しく、そして現場で実践できるルールも明確にした上で実施することが大切です。特にコンプライアンスは、本人が自覚なく行ったことで、メンバーや社内から信頼を大きく損なう可能性もあります。慎重に進めましょう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここまで、管理職研修の4つの目的について簡単に説明しました。
それぞれの目的に応じた管理職研修の種類や内容について、より詳しく知りたい場合は、管理職研修の4つの種類別に具体例をまとめたコラムをご参考ください。
前章では、管理職研修の4つの目的ついて解説しましたが、本章では、具体的にどのような内容を研修に取り入れていければよいのか解説いたします。
管理職と一般職とでは、期待される役割が異なります。管理職としての役割期待を適切に理解し、「プレイヤーからの脱却」や「マネジメントへの意識転換」を行わなければ、管理職として高いパフォーマンスは期待できません。
主に、新任管理職を対象とした研修で取り入れられることが多い内容です。
ただし、管理職に求められるの役割は、時代と共に大きく様変わりしています。昔の文脈で「あるべき管理職像」を一方的に伝えることは、無意味とも言えます。
例えば、アーティエンスの管理職基礎研修では、変化の激しいVUCA時代に求められる管理職像を再定義し、また、それらが一般論で終わらないよう、管理職自身や自組織における管理職の役割を探求していきます。
より詳しい研修内容は、以下ページをご覧ください。
▶ 管理職基礎研修
管理職のリーダーシップも管理職研修に取り入れたい内容です。ただし、その研修目的は「管理職がメンバーのリーダーシップ(※)を解放すること」と設定することを推奨します。
現代のビジネス環境下では、管理職のような誰か一人が強いリーダーシップを持ち、全てを把握して判断することはもはや不可能とも言えます。特定の一人のリーダーシップに委ねると、見誤った判断をしたり、誤った判断後のリカバリーが遅れてしまうことが多くなるためです。
そこで、アーティエンスが推奨しているのは、「シェアド・リーダーシップ」という考え方です。「全員発揮のリーダーシップ」とも言われ、その場その場で、最適だと思われるメンバーがリーダーシップを発揮し、他メンバーはフォロワーシップを発揮するなど、リーダー・フォロワーが流動的になります。
まさにこれからの時代において、極めて機能するリーダーシップだと考えます。
「シェアド・リーダーシップ」を伝えられる管理職研修として、アーティエンスでは、「困難を乗り越えるリーダーシップ開発コース」と「管理職のための全員発揮のリーダーシップ研修」を提供しています。
それぞれのより詳しい内容は、以下ページをご覧ください。
部下育成・指導も、管理職研修で取り入れていただきたい内容です。リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022」によると、
・管理職層が認識する「管理職として重要な役割」の第1位 →「メンバーの育成」
・管理職層が「日々の業務で困っていること」の第2位→「メンバーの育成」
という調査結果も出ています。部下育成・指導は、管理職にとって「重要な役割」として認識しているものの、「日々の業務で困っている」ことでもあるのです。
部下育成・指導スキルとしては、以下4点は基本として習得を目指しましょう。
・育成計画の立案
・ティーチング
・フィードバック
・コーチング
アーティエンスの育成担当・OJTトレーナー研修では、上記4つのスキルを実践的に学ぶことができます。より詳しい研修内容は、以下ページをご覧ください。
チームやメンバーの状況をふまえながら、目標に対する納得感とコミットメントを高め、目標達成に向けてサポートしていくことも、管理職の重要な役割の一つです。
しかし、曖昧さや複雑性が増すビジネス環境下で、「期初に立てた目標が、ビジネス環境の変化で形骸化している」「テレワークで部下の働きぶりが見えず、目標管理しにくい」といったお声もよくお聞きします。目標設定・目標管理の難易度がより一層増しているため、管理職研修を通じて、目標設定・管理について体系的に学んでいく必要があるでしょう。
例えば、アーティエンスの管理職のための目標設定・管理研修では、目標設定面談のプロセスを5つに細分化し、各フェーズで押さえるべきポイントを理解します。目標設定は、「何となくこんな感じだろう」と終わらせることもできてしまいますが、それでは意味がありません。
より詳しい研修内容は、以下ページをご覧ください。
チーム全体の力を高めていくことで、チームとしてのパフォーマンスも最大化されていきます。
チーム力向上のポイントの一つとなるのが、チームの心理的安全性創りです。心理的安全性とは、「メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、よりよくするための意識行動ができる状態」です。心理的安全性を扱う研修を実施する際に大切なことは、「仲が良くなること」ではなく「挑戦や学習が行われること」をゴールにすることです。
また、チームとして進化し続けていくためには、管理職自身がアンラーニングしていくことも重要です。アンラーニングとは、「これまでの価値観・知識・スキルなどを一旦手放し、新たに学びを得ていくこと」を指します。管理職のアンラーニングは、変化の大きい今のビジネス環境に適応していくため、そして、管理職自身やメンバーの成長のために、必要不可欠なものです。
チーム力の醸成を支援する管理職研修として、アーティエンスでは、「心理的安全性向上研修」や「管理職のためのアンラーニング力向上研修」を提供しています。
それぞれのより詳しい研修内容は、以下ページをご覧ください。
管理職が習得すべきスキルの一つに、ファシリテーションスキルがあります。
管理職は、自部署の会議だけでなく、部門間をまたぐ会議、時には経営会議にも参加します。
そのような様々な会議の場で、管理職のファシリテーションスキルが高まれば、会議の品質も上がっていきます。
会議の品質が高まれば、次のような好影響を生み出します。
「会議」は、社内のさまざまな場面で開催されているため、より研修効果も感じやすいでしょう。アーティエンスでは、ファシリテーションスキルを3つのレベル別に、「ファシリテーション研修 【基礎編】」「ファシリテーション研修【議論の活性化編】」「ファシリテーション研修【構造化・合意形成編】」を提供しています。
それぞれの研修のより詳しい内容は、下記のページをご覧下さい。
管理職は、組織経営の視点を持って、チームとして会社にどのような成果を出せるかを常に考えることが求められます。
戦略思考をテーマにした管理職研修では、長期的なビジョンや目標の設定、戦略の策定、実行計画の立案に関連する知識・スキルなどの習得を目指し、組織の成長に貢献していくことが期待されます。
組織課題・事業課題を発見し、課題解決に向けて推し進めていく問題解決思考の習得は、管理職としてとても重要です。
問題解決思考を扱った研修は、次の2つの目的別に分類することができます。
① 問題解決スキルの習得を目的とした研修
② 事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修
問題解決思考研修を検討する際は、上記のどちらの目的に近しいのか明確にし、企画を練っていくことが大切です。詳しい内容は、問題解決力研修のプログラム内容・企画手順・事例をまとめたコラムをご覧ください。
なお、問題解決思考には様々な種類がありますが、「自組織内で想定もしていなかった問題が起き続けている」という状況であれば、システムシンキング(システム思考)を学ぶ必要性があるかもしれません。システムシンキングを用いると、組織内で複雑に絡み合った課題を俯瞰して把握することができ、本質的な解決策を講じやすくなります。
ビジネスゲームを通じてシステムシンキングを学ぶ研修は多々ありますが、アーティエンスのシステムシンキング研修では、組織でよくある事例を基に、システムシンキング作成の基礎を学びます。そして最終的には、参加者同士が協力し合い、自分たちのチームや組織の状態をシステム図で作成します。システムシンキングの活用イメージが具体的になります。
アーティエンスでは、管理職の問題解決思考を高める支援として、「システムシンキング研修」の他に、「ロジカルシンキング研修」「問題解決力研修」を提供しています。
それぞれのより詳しい研修内容は、以下ページをご覧ください。
部下が業務に集中できる環境を構築するための労務管理も、管理職の役割の一つです。
労務管理は専門的な知識が多いため、研修などを通じたインプットやケーススタディなどが効果的でしょう。
メンバーが心身共に健康な状態で働いていくために、メンタルヘルスは管理職研修で取り扱いたい内容です。ただし、管理職とってメンタルヘルスという問題は、普段求められている役割や能力と大きく異なることもあり、取り扱いが難しい内容でもあります。
研修が失敗に終わってしまう例をあげると、研修後、管理職は次の3つのうちいずれかの状態になっていることが多いです。
「理解できない」精神疾患の名前など初めて聞く内容が多く、またそういった症状に接したことがないと想像できず理解がしづらい。
「やれるように思えない」これまでの知識や経験では対応できないように思ってしまうため、実際にメンタルヘルスの問題が起きても適切に対応できるように思えない。また、管理職の業務に加えてメンタルヘルス対応まで手が回らないように感じてしまう。
上記状態にならないためにも、メンタルヘルス研修は、ぜひ、その分野の専門家に相談をしていただきながら、企画・実行していただくことを強く推奨します。
アーティエンスでは、メンタルヘルスの分野の専門家と協働で、管理職研修を提供しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
【参考コラム】【管理職向け】メンタルヘルス研修で必ず押さえるべき内容と注意点
コンプライアンスは、組織の長期的な持続可能性と信頼性に関連する重要な要素です。
管理職がコンプライアンスに関する教育とトレーニングを受けることは、組織の健全性と成長に寄与します。
また、管理職のコンプライアンス教育によって、組織全体の倫理観の高めるといった、組織文化の構築にもつながります。
管理職研修を成功に身にびくための4ステップを実例を交えて解説していきます。
4ステップは、次の通りです。
イメージが付きやすいように、当社のお客様(コンテンツビジネス事業/マザーズ上場会社(当時)、社員数200名程度)の事例を基に、説明していきたいと思います。
企画段階では、「組織の真の課題」を把握していくことが重要です。そうでなければ、管理職の変容を促せなかったり、行き当たりばったりな研修内容となってしまいます。
企画は、以下の3つのプロセスで進めるとよいでしょう。
企画プロセス | 詳細内容 |
---|---|
1.真の課題の把握 | ・大小関係なく、全ての課題を出し切ります。 ・それらの課題がどのように絡み合っているのかの関連性を把握し、真の課題を明確にします。 ・その上で、管理職研修でどこまで解決できるのかを考えます。 |
2.コンセプトと 要件定義の決定 | ・管理職研修で実現したいことをコンセプトにします。 ・管理職研修を通じて、管理職にどのような認知変容や行動変容を起こすのかを設定します。(要件定義) |
3.研修内容の決定 | ・コンセプトと要件定義を達成するための研修内容を検討します。 |
それぞれ、詳しく解説します。
今回の事例では、「ストレスチェックの結果が悪かったので、管理職研修を行いたい」というご相談を発端に、真の課題を把握していきました。以下は、お客様から実際に頂いた資料です。(右側のコメントはイメージ) ※ 守秘義務のため、一部加工しております。
真の課題把握は、
【1. 課題を全て洗い出す】→【2. 課題の関連性を確認する】→【3. 真の課題を把握する】
の手順で進めていきました。それぞれ詳しく解説していきます。
【1. 課題を全て洗い出す】
組織課題は明確でしたが、すぐに研修プログラムの提案はせずに、お客様と深く対話をしていきます。すると、次のような別の組織課題も明るみになってきました。
・新規サービスは立ち上がるが、マネタイズする気配がない
・新規サービスの失敗が多く、現場が疲弊している
・管理職はプレイヤーとして優秀だが、チームとして仕事ができていない
そして、これら課題はそれぞれが複雑に絡み合っているようです。
もし、研修プログラムの選定から始めていたら、上記のような組織課題は浮き彫りにならず、根本的な課題解決へとつなげることは難しかったでしょう。
【2. 課題の関連性を確認する】
さらに組織課題を紐解いていくために、お客様との対話を続け、システムシンキングという思考方法をもとに、組織の状況を可視化していきました。
⇓ お客様との対話を基に作成したシステム図
上記システム図を簡単に説明すると、次の状況がみえてきました。
※ システム図は、お客様の言葉を尊重して作成しているため、飛躍している部分もあります。
【3. 真の課題を把握する】
システム図作成後、レバレッジポイント(小さい力で大きな効果を生むポイント)を明確にして、管理職研修で取り扱うテーマを選定します。
今回は、「個人での抱え込み」と「失敗の数」をレバレッジポイントと捉えました。
「個人での抱え込み」に対しては、「管理職同士の連携」をテーマに、自チーム内だけでなく、管理職同士のつながりも強化し、管理職個人の抱え込みを無くしていくことにしました。
「失敗の数」に対しては、「チームとしての業務遂行」をテーマに、メンバー個々人の業務抱え込みや失敗に対する捉え方への意識変革を行っていくことにしました。
そして、ここまできたら、組織課題と管理職研修のずれは、なくなったといっても構わないでしょう。企画側全員が、「管理職同士の連携」と「チームとしての業務遂行」こそが、組織課題を解決していけるものだという認識のすり合わせができました。
真の課題が明確になったら、管理職研修のコンセプトと要件定義を創ります。コンセプトと要件定義は、以下のように進めます。
実際検討する際は、「コンセプト」と「目指す姿(要件定義)」は、行き来するのが一般的です。本お客様では、次のようにコンセプトと、要件定義を創っていきました。
※ 「現場」と書かれた記載が効果要件です。
いよいよ研修内容の選定です。コンセプトや要件定義の実現に向けたストーリーを描きながら、研修内容を検討します。本お客様は、下記のように全体設計をしていきました。上記研修プログラムは、コンセプト・要件定義で導き出した、以下3点を実現するための研修内容として設計しました。
これは人材開発・組織開発のプロであるアーティエンスが、以下3つの観点から、コンセプト・要件定義をクリアするための内容を設計した結果です。
管理職研修は、会社の中枢を担う管理職に対して実施するものなので、細心の注意が必要です。
研修の設計には、プロ・専門家の視点を入れることを強くおすすめします。
また、蛇足ですが、今回の研修講師の選定は、「ストレスの解消方法を教える」というよりも、「管理職の方々が部下の当事者意識・主体性を最大限発揮することを促しながらも、今抱えている組織課題に対して知識不足に陥らないようにすることが必要」であったため、組織変革の経験があるファシリテーターを選定していきました。
このように管理職研修を企画していくと、研修効果はとても高まるでしょう。
1点目は、効果への影響に関わるためです。
考え抜いた企画であればあるほど、情報量の多さにより、その文脈が伝わりきらないことがあります。そのため経営者から適切なフィードバックを得られることができないことも多くあります。
そうすると、結局は経営者の考えのみを形にする内容になり、効果がとても低くなる可能性があります。逆に早い段階で、経営者を巻き込むと、経営者の考えや想いも入り、研修品質が上がるだけではなく、経営者自身が管理職研修への関心を強く持ち、コミットも高まるでしょう。
2点目は、効果への体感の影響です。
経営者と要件定義を考えると、経営者自身がその要件がしっかりイメージでき、腹落ちしています。そのため「効果があったのか?コンセプトは達成できたのか?」を強く体感でき、次の施策につなげていくことが可能です。進め方としては「課題の洗い出しから経営陣に入ってもらう」、難しい場合は「進捗報告をこまめにして、その都度経営者の意見やフィードバックをもらうこと」です。
メールだけではなく、口頭でのコミュニケーションを取るようにしましょう。
経営者の方は時間がないので、時間が取れないという方もいますが、管理職研修は会社に大きなインパクトを与えるので、そのことを伝えてもいいと思いますし、このコラムを読んでいただいてもよいのではないでしょうか。
組織へのインパクトが大きい管理職研修の企画承認を得る際には、早い段階で経営者に当事者意識を持ってもらいましょう。それが、組織課題の解決に繋がっていきます。
準備段階で大切なポイントは、【1. 研修実施の案内】と【2. 事前ワークの配布】の2点です。
準備のプロセス | 詳細内容 |
---|---|
1.研修実施の案内 | 研修案内を機械的に行うのではなく、管理職の参加意欲が高まるような仕掛けを取り入れます。 |
2.事前ワークの配布 | 事前ワークは下記点を押さえた内容にします ・可能な限り、管理職への負担が少ない内容であること ・研修への受講意識(レディネス)が高まるもの ・企画側が、管理職の状態・状況を把握できるもの |
それぞれ解説します。
研修実施の案内は、受講者である管理職の参加意欲が少しでも高まるような工夫を行いましょう。いつもとは違うという認知を持ってもらうことが重要です。それだけでも、研修への関心度合いが変わります。関心度合いが上がれば、当事者意識が高まります。
例えば、本お客様では、研修案内に「経営者からのメッセージ」を添えています。
研修の事前ワークは、可能な限り、受講生である管理職の負担が少ない内容を選定しましょう。忙しい管理職としては、事前ワークの負担が大きすぎると、それだけで研修に対してネガティブな印象を醸成してしまいます。
また、事前ワークを通じて、管理職が抱えている課題意識や状況などを把握しておくことも重要です。そうすることで、講師・事務局ともに当日の準備の質を高めていけます。
本お客様においては、「プレ探求シート」と言われるシートを作成してもらいました。
設問に対して「特になし」という回答が多く散見され、これを見た経営陣は、「当社の管理職は、こんなレベルか…」と、とてもがっかりされていました。
当社からは、状況が分かってよかったことをお伝えし、管理職の本来持っているパフォーマンスをどのように解放するかということを話していきました。
管理職研修の運営においては、「あるべき論を押し付けるのではなく、現場の状況を踏まえて進めること」が重要です。
「管理職とはこういうものだ」など講師から一方的に伝えると、管理職はその場をやり過ごすようになるか、もしくは反発感情を引き起こし、学習効果を出すことは難しくなります。講師が説得モードに入っている場合は、要注意です。
では、どうすればよいのかというと、研修目的からぶれないようにしながらも「研修の場で出てきたものを大切に扱う」ということに尽きます。
本お客様では、研修初日は予定通りでしたが、研修2日目は、管理職の本音が出たことにより、場が乱れました。
詳細をお伝えすると、物流部の管理職に対して、マーケティング部・営業部の管理職が不満や非難を伝え始めました。物流部の管理職は、顔を真っ赤にして、怒りに耐えていました。
他の管理職もその状況を見ながら、張り詰めた空気が漂いました。
この時に、物流部の管理職を慰めたり、マーケティング部・営業部の管理職をなだめても、何も変わりません。その場は取り繕えるかもしれませんが、臭い物に蓋をする結果になり、管理職は何も変わりませんし、組織課題は何も解決されません。
実際、講師はどのようにアプローチをしたかというと、研修をいったん中断し、管理職全員で対話を深めていきました。
すると、「物流部の管理職が悪い」という認知ではなく、「組織としての連携が取れておらず、どの部署も自分の部署の都合ばかりを考えている」ことが浮き彫りになりました。
そして、その後の管理職研修はとても静かに進んでいきました。
研修終盤に、「今後のアクションプラン」と「研修の感想」を伝えて終了しました。
静かながらも、前向きなコメントが出ていました。下記画像は、最後の終了場面です。
研修後のフォローでは、定期的な内省と、対話によるチーム学習による行動変容の認知を促すことが重要です。
人は忙しいと、自身が変わっていても、変化に気付かないことが多いです。だからこそ、自身が今どのよう状態・状況なのかを振り返りにより把握します。
そして仲間との対話によるチーム学習により、成功体験や改善点として捉えて、変化を大きくしていきます。
研修後のフォローは、下記プロセスで進めていくとよいでしょう。
フォローのプロセス | ヘッダー2 |
---|---|
1.定期的な内省の機会 | 「事後課題感が負担となり、やらされ感を持たせないこと」を意識し、管理職の定期的な内省(振り返り)の機会をつくります。 |
2.内省を促す対話の場 | 研修後、一定期間を置いた後、管理職が自身の変化を実感できる対話の場を設けます。 |
アーティエンスでは、バトンメール🄬というものを推奨しています。
バトンメール®とは、アーティエンスが開発した研修後のフォローツールです。
次回のフォロー研修・対話までや、一定期間の間に管理職がお互いの現場での活動を、交代で報告します。4~5名でバトンメールを行うと、一ヶ月に一度管理職研修を受けたメンバーに対して、テンプレートメールに沿ってメールを送るだけなので、そこまで負担はありません。
ただし一週間に一度は、他の管理職の現場での活動報告のレポートが送られてくるので、自身の内省にもつながります。そして、基本受講者同士で進めるため、企画側の負担も少なくなるという利点もあります。
事後課題で、レポートを多く書くなどを行うと、負担が多くなり、研修に対してネガティブなイメージを持ち続け、今後の人材開発・組織変革に対して、管理職が非協力的になります。そのため、事後課題は極力負担のかからないものとして、バトンメール🄬のようなものを実施するといいでしょう。
具体的な進め方や、バトンメール🄬のイメージは下記を参考にしてください。
研修後、内省と対話の場を用意することで、研修後の変化を自身で実感しやすくなります。
日々の業務に終われると、どうしても視野狭窄に陥り、目の前のことだけに集中しがちになります。そのため、自分たちが変わったと自覚する場を設けることが必要です。
管理職研修後は一定期間を置いて、フォロー研修を実施することを、強く推奨します。
本お客様も数か月後にフォロー研修を実施しました。研修のオープニングでは、ネガティブなコメントが出てきました。
「研修をやったからと言っても、私は変われなかった」
「結局、学んだことを活かせていない」
ただ、そんな中で1名の方が「事前ワークで部下にインタビューした際、部下の変化からか自分自身の変化を感じた」と話されてました。それを機に、管理職の皆さん一人ひとりの変化や周りの変化を認知していきました。
他者との対話と内省を通じて、自身の認知はひろがっていきます。
【参考:フォロー研修の様子】
研修を通じて、自身の変化が強く認知され「自分たちは変わった。そして変われる」という確信が持てるのだと、私たちは考えます。
なお、1年後のアフターストーリーとして、人事の方から下記のよう変化があり、「株価も緩やかに上がっています」というお話を聞いています。
【参考:研修後の現場での変化をまとめた資料】
前述の通り、企画段階から丁寧に進めていくことが重要であるとお分かりいただけたでしょう。本章では、管理職研修の企画・実施で、避けてほしい内容をお伝えいたします。
研修目的が不明確であったり、抽象度が高すぎると、管理職研修は失敗しやすくなります。
管理職研修の実施にあたり、解決したい課題、経営戦略・事業戦略等のありたい姿などと連携することが必要です。言語化できていないのであれば、このタイミングで言語化をしましょう。
とてもお恥ずかしいのですが、当社の失敗事例をお伝えします。
「研修を行って終わりになってしまった」という、とても悪い事例です。
ある大手企業様から、管理職向けに部下育成の研修を依頼された時のお話です。大小さまざまなグループ会社が集い、研修を実施するものでした。
企画の時間は限られており、抽象的なオーダーを丸投げいただくような状況もありました。
そのような中でも、言語化し、企画を進めましたが、先方の中で経営陣と企画意図が伝わりきれていなかった部分もあるのでしょう。
研修目的が途中で変更となる状況が発生し、その後もさまざまな変更が加わっていきました。変更によって意図が食い違う部分がうまれ、オペレーションが煩雑となり、研修効果も低下していきました。
さまざまな提言をさせていただきましたが、最終的には、対話ができる状態ではなくなったことと、当社から研修目的が曖昧で研修効果が出せる状態ではないというお話を何度もさせていただきました。
ももちろん組織の状況によって、研修内容が変わる場合もあります。ただし、本当に目的まで変更する必要性があるのかを徹底的に対話・議論し、検討していくことが重要です。
「○○理論で有名な講師を招いて研修を行ったが、受講生の反応が良くなかった」
「経営者仲間から紹介を受けた研修プログラムを実施したが、自組織にはあわなかった」
「大手研修会社から、効果が高いと言われた研修を実施したが、まったく効果がなかった」
などのお声をよくお聞きします。
もちろん、その講師と丁寧に打合せを重ねたうえで、実施した研修プログラムであれば、効果は見込めるでしょう。
ただし、「周りが良いと言っているから導入した」という流れは、注意が必要です。
お客様からお聞きした事例では、経営者仲間の紹介で導入した研修を通じて、離職率が上昇し、組織が崩壊一歩手前まで進んでいると言うお話も聞いたりします。
組織課題・現場の状況も分からずにパッケージ商品を導入して、コンサルタントの言われるがままに、研修と現場での業務ルールの徹底を強いられて起きたそうです。
本当に、その講師やプログラムが自組織にとっていいのかを、見定めていく必要があります。
「経営陣に言われたことを、そのまま実施しよう」
「現場が大変そうだから、とにかく現場が求めていることを行おう」
「経営者と現場の折衷案や落としどころを探す」
などといった考えは避けるべきです。
管理職研修を通じて、何を成し遂げたいか、ということから目を背けてはいけません。
「1. 研修目的が、表面的」でお伝えした大手企業様も、まさにこの状態に陥っていました。
経営者からのオーダーで研修内容を大幅に変更したり、受講者のアンケート結果に振り回されるという状況でした。
研修の目的は、あくまで意識変容さらには行動変容を起こすことです。研修だけで終わりにするのではなく、研修後にフォローを行い、自分たちの変化に気付くことが重要です。
とあるお客様からお聞きした事例です。
管理職向けに、ラグビーのようなアクティブな研修を実施されたとのこと。とても盛り上がり、研修満足度も高かったそうですが、研修後のフォローは何もされなかったようです。
すると、研修が一過性のもので終わってしまい、経営者からは「研修効果が全く出ていない。研修は意味がなかった」という発言があったとのこと。
よくよくお話を聴いていると、研修後、社員同士の雑談等のコミュニケーションが増えているということで、小さくても変化は起きているようでした。「研修は意味がない」と言えるほど悪くなかったのではないでしょうか。
ただし、企画をしっかり練られていなかったり、研修後のフォローが行えていないことから、自分たちの変化が分からないということが起きたのだと考えられます。
本章では、管理職研修を外部委託する際の、研修会社選定で意識したい3つのポイントをお伝えします。
・企画が練られているか?
・講師が柔軟に対応してくれるか?
・研修後のフォローアップ・定着へのケアがあるか?
それぞれ説明していきます。
「企画が練られている」とは、以下の状態を指します。
・経営者・会社のニーズを踏まえている
・管理職のありたい姿と現状を踏まえている
・行動変容が起こるように設計されている
それぞれ説明していきます。
管理職は、経営全体や会社に大きな影響を与える存在であり、経営者からの期待も大きい存在です。そのため、管理職研修は、経営者・会社のニーズを踏まえている必要があります。
例えば、アーティエンスでは、ああ管理職研修を検討する際には、経営者にインタビューやヒアリングする機会を設け、管理職や管理職研修に何を求めているか?を確認します。このプロセスを省いてしまうと、せっかく企画をしても経営者から「こんなことを管理職に伝えたいわけじゃない」等のフィードバックが入り、企画が頓挫してしまうことにもなりかねません。
具体的には、30分~1時間程度で、
「日頃、管理職についてどのように感じているか?」
「いまの管理職について、評価している点、これから期待したい点は何か?」
「会社の将来を見据えて、管理職にいま伝えておくべきことはあるか?」
などについて話を聞く機会を設けるとよいでしょう。
「時間がないから、書面で…」などと言われることも多いですが、実際にインタビューされることで、初めて経営者の方が管理職に求めているものに気づくことも多くあります。
外部委託で管理職研修を企画する際は、多少の手間がかかるとしても、経営陣へのインタビューなどを提案し、経営陣の声を踏まえて企画を進めてくれる研修会社を選ぶことを推奨します。
また、このような機会を設ける副産物として、経営者の方も管理職研修についての関心が高まり、今後の協力も得られやすくなります。
また、経営者のニーズに加えて、会社としてのニーズを踏まえているかも重要です。
例えば、昨今ではコンプライアンスやハラスメントに対する意識が高まってきており、会社として管理職に改めて周知する必要があるケースもあります。
法令やルールの変更などを踏まえて、管理職が知っておかなければならないことに抜け漏れがないか?は、管理職研修を検討する際に確認しておくとよいでしょう。
管理職研修は、経営者・会社のニーズを踏まえるだけでなく、管理職のありたい姿と現状を把握しておくことも大切です。 経営者・会社のニーズだけで企画をすると、管理職にとってはハードルの高い内容になってしまう、管理職からすれば実際のマネジメントで使えない内容ばかりになってしまう、などのリスクがあります。
こちらもできれば、管理職数名に、
「日頃、マネジメントで困っていること・悩んでいることはあるか?」
「こんなことを扱ってほしいというようなリクエストはあるか?」
「会社から支援が欲しいことはあるか?」
などについて話を聞くとよいでしょう。1名だけだと、管理職全体の問題なのか?個人の問題なのか?の区別がつかないので、3名~5名程度の管理職から話を聞けると、管理職の実態を把握することができるでしょう。
管理職研修は、行動変容が起こるように設計されているかも重要なポイントです。管理職研修で扱う内容は、目標設定や人事評価など、すぐに成果が出るというよりは、一定の時間軸の中で成果が出てくるものが多くあります。よって、長期間に渡り、学びを実践することが求められます。
しかし、ここで1日や2日の単発の研修だけでは、研修がやりっ放しになってしまいます。期待されている成果を出すためには、どんなステップが必要になるのか?そのためにはどんな行動が必要なのか?を分解して考え、必要な施策を行っていく必要があります。
例えば、こんなイメージです。
・事前課題:目標設定のやり方を解説した動画を見てくる
・研修当日:動画を見た上で、実際に目標設定面談のロールプレイを行い、フィードバックを受ける
・事後課題:実際に目標設定面談を部下と行い、フィードバックをもらう
・フォローアップ:部下からのフィードバックを共有すると共に、さらなる疑問点・不明点があれば解消する
丁寧に見えるかもしれませんが、このように設計しないと「気づきはあったが、行動に移せなかった」「やってみたけれど、うまくいかず、そのままにしてしまった」 など、せっかくの研修が活かされないことにもなりかねません。
「この管理職研修で、本当に期待している行動変容が起こるのか?」を自問自答しながら、企画しましょう。
「講師が柔軟に対応してくれるか否か」も、研修会社選びで重要なポイントです。
マネジメントには特定の正解はなく、状況に応じて対応していくことが求められます。会社によって、必要なマネジメントは何か?も変わってきます。
【参考コラム】理想の管理職像とは|管理職に“あるべき姿”を押し付けてはいけない3つの理由
そのため、講師が会社の状況を把握し、その上で必要な情報や切り口を提示しないと、「言っていることはわかるが自社には合わない」「理論だけを押し付けられているように感じる」などの反応を引き起こしてしまいます。
講師が柔軟に対応してくれるかを確認するには、
・講師が打ち合わせに同席してくれるかを確認する
・研修実施前に面談を行う
・デモ講義や講義の動画を見せてもらう
などが有効です。
「講師が打ち合わせに同席してもらえるか?」は、講師の柔軟性をみるチェックポイントになります。講師が研修前の打ち合わせに後ろ向きな場合は、会社のニーズを重要視していないことを表しているとも言えます。極端に過度でなければ、打ち合わせへの同席は可能なことが多いです。
講師と打ち合わせや面談を行う際には、経歴などの自己紹介をメインに行うことも多いのですが、おすすめなのは「実際にわが社の管理職はこんなことに悩んでいるのだが、どのようにしたら良いか?」と尋ねることです。
柔軟に対応する講師であれば、状況を把握したうえで、納得感のある返答があるはずです。
逆にここで過度に講師の持論が展開される場合には、注意が必要です。面談でのやり取りで講師の力量はある程度判断できますが、それでも不安が残る場合には、デモ講義や研修動画などを見せてもらうと良いでしょう。大切なことは、なんとなく依頼するのではなく、どこを確認したいのか?を明らかにして依頼をすることです。
例えば、「管理職経験の長い人に対して、説得力・納得感のあるやり取りができるか?」など、具体的な場面を提示するとよいでしょう。講師の柔軟性は、管理職研修の成否を分けるポイントになります。事前にきちんと確認をしておきましょう。
三つ目は、「研修後のフォローアップ・定着へのケアがある」ことです。
研修の目的は、あくまで意識変容さらには行動変容を起こすことです。これまでも触れたように、管理職研修で扱うポイントは、すぐに活かせるようになるものでもありません。継続的な取り組みや試行錯誤が必要になることも多いです。よって、研修だけで終わりにするのではなく、研修後のフォローアップや定着へのケアがあることが重要です。
具体的には、
・事後課題があり、それに対してフィードバックをもらえる環境があるか?
・職場で困ったとき、悩んだときに相談できる先があるか?
・研修終了後、研修参加者同士で、学びや悩みをシェアする場があるか?
といったことが挙げられます。
これらは完璧にやろうとすると、時間と手間が掛かってしまいますが、できるところから行うことが大切です。
例えば、アーティエンスでは「バトンメール®」というツールを活用しています。
「バトンメール®」とは、次回のフォロー研修・対話までや、一定期間の間に管理職がお互いの現場での活動を、交代で報告する仕組みのことです。
4~5名でバトンメール®を行った場合、一ヶ月に一度管理職研修を受けたメンバーに対して、テンプレートに沿ってメールを送るだけで、また新しいツールではなく、普段の業務で使用しているメールを活用するので、負担感が生じにくいことが特徴です。
具体的には、以下のサンプルをご覧ください。
管理職研修を検討する際には、必ずフォローアップや定着へのケアを行いましょう。管理職研修を選ぶ3つのポイントです。
ここからは、管理職研修に関連してよくいただくご質問に対して回答してまいります。
管理職研修の企画を行う上で、管理職研修のネタを探すのはとてもいいことです。なぜなら、企画の幅が広がり、自組織にとってどのような研修が最もマッチするかを考えることができるためです。ご参考として、以下に12のネタをピックアップします。
それぞれの詳しい内容は、管理職研修のネタ12選!一般的な内容から“食品づくり”のネタまで幅広くご紹介にてご紹介しています。
「管理職研修は意味がない、無駄」と言われてしまうのは、研修後に、管理職の認知変容や行動変容が起きないからです。そうなってしまう理由として、次の12パターンが考えられます。
それぞれのパターンの詳細は、意味がない。無駄!と言われる管理職研修12パターンとその回避策にて解説しています。また、「意味がない」と言われないための回避策もご紹介しています。
アーティエンスでは、合宿型で管理職研修を実施する際のチェックリストを公開しています。【チェックリスト付】管理職合宿研修で実施すべき内容とは|効果的で安全な開催方法も解説からリストの無料ダウンロードも可能です。ぜひご参考ください。
中小企業が、大企業と同じように管理職研修を実施しても、期待した効果は出にくいでしょう。
中小企業が実施すべき管理職研修とは、「自組織の課題を解決する」研修です。それ以上でも、それ以下でもありません。
中小企業は、大企業よりも景気の影響を受けやすく、常に事業課題・組織課題がつきまといます。それら事業課題・組織課題を正しく全て把握した上で、最優先且つ効果が見込める課題解決のアプローチとして、管理職研修が期待できるようであれば、実施を検討していきましょう。
ただし、この時に、「事業課題・組織課題」を把握せず、「管理職の課題」にのみ焦点を当ててしまうケースが多くあります。そうすると、管理職研修が上手くいかない場合が多いです。
中小企業向けの管理職研修については、中小企業におすすめの管理職研修を徹底解説!失敗しない方法とは?にて、より詳しく解説しています。
下記3つの観点を意識することで、オンライン形式でも研修効果を高めることが可能です。
・研修プログラムを、オンライン用の設計に変更する
・オンラインでの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインする
・管理職の参加意欲を高め、受講環境を整える
上記3点は、【人事必見】管理職研修をオンラインで成功させるための3つの事前準備と進め方 にて詳しく解説しています。
厳しい管理職研修とは、「管理職の大きな変化を求めて強い刺激を与える」研修のことです。
短期間で、管理職が今の状態から大きな変化を成し遂げるために、厳しい研修を検討する企業は少なくありません。ただし、それには一定のリスクも伴います。
「厳しい管理職研修が必要では?」と感じた際は、ぜひ、以下の3ステップで改めて、考えてみてください。
①「なぜ厳しい研修が必要だと思ったのか?」と目的を考える
②「変化させたいところはどこか?」と特定させる
③「どんな研修内容が良いのか?」と手段を考える
上記3ステップは、厳しい管理職研修とは「管理職の大きな変化を求めて強い刺激を与える」研修にて、より詳しく解説しています。
管理職研修の費用は、研修のゴールと内容によって相場が変わってきます。
管理職研修のゴールは大きく3つに分類されます。それぞれの一般的な相場は下記の通りです。
研修のゴール2)スキルの習得
・公開講座で2~8時間受講:1万円~5万円(1人あたり)
・講師派遣型で4~8時間受講:10~80万円程度 (1クラスあたり)
研修のゴール3)組織課題の解決
・1日あたり 数十万 ~ 100万円を超える場合もあり
【参考コラム】管理職研修の費用はどれくらい?│相場観を知り、予算を決めよう
管理職候補向けに研修を実施する目的は、「一般社員から、管理職になるための準備」です。
ひと昔前と比べ、管理職に求められる役割は複雑化し、責任も重くなっています。そのため、管理職昇格前の丁寧なフォローが、管理職になってからの活躍を支える重要なカギとも言えます。
昇格前に管理職の全てを伝えきることは難しいです。管理職に求められる役割の中から、自組織で最も重要な要素を切り出し、それらを遂行するために必要な意識やスキルを研修で伝えていくことが重要なポイントです。
管理職候補者向け研修で得られる3つの効果|内容選定時の注意点も解説!も参考にしながら、検討いただければと思います。
管理職研修で扱うレポートは、大きく2種類あります。
それぞれの目的と注意点を簡単にまとめます。
目的:研修で学んだことを、現場で実践し、定着化させていくため
注意点:「可能な限り、負担を無くす」「感想文にしない」「やりっぱなしにしない」
目的:管理職研修を起点にし、組織変革を促進していくため
注意点:「管理職の評価にしない」「管理職研修の評価にしない」
レポートの具体例や記載内容については、【事例あり】管理職研修のレポート|目的と内容にてご紹介しています。
管理職研修の資料は、「管理職の行動が変わるためのもの」です。
本コラムの第1章でもお伝えしましたが、管理職研修を通じて、管理職本人が「自分たちは変われる」と確認が持てることが重要であり、研修資料はそれを促進するものです。
そのための資料構成は、下記を参考に作成いただくとよいでしょう。
より詳しい資料の作成方法は、管理職研修の資料とは、管理職の行動が変わるためのものにてご紹介しています。
管理職研修の必要性を理解してもらうには、それぞれどのような反対意見があるのか(なぜ必要性を感じないのか?)を洗い出し、検討していく必要があります。
例えば、経営者や事業責任者からすると、管理職研修への反対意見として以下が挙げられます。
・費用対効果はどの程度あるのか
・現場が忙しいから無理
・過去に同じようなことをやって意味がなかった
・過去に成功した事例はあるのか
・今、他に優先事項がある
上記は全て「やらない理由」を探しています。それらを払拭するためには、共創と対話を行うことで、管理職研修の実施に対して前向きになってもらうことがポイントです。
また、管理職自身としては、「忙しい中、研修なんて受けたくない」「研修は意味がない」といったネガティブ感情を抱いているケースが多いです。
こういったネガティブ感情とは、次のステップで向き合っていくことが重要です。
・管理職研修の企画の際に、想定されるネガティブな反応を洗い出す
・事前に管理職研修の目的を丁寧に伝える
・管理職研修の前に、経営者・事業責任者が挨拶を行う
・管理職研修と実業務との連動を体感する
・研修に対して前向きになった感情を、管理職自身に言語化してもらう
より詳しい内容は、管理職研修の必要性を経営者・管理職に理解してもらうためのアプローチにて解説していますので、ご参考ください。
管理職研修の効果を高めるためにも、事前課題と事後課題感は実施を推奨します。しかし、「忙しい管理職に、過度な負担を掛けるわけにもいかない…」という葛藤もあるでしょう。
事前課題・事後課題を最小限の負担で、最大限の効果を生み出すために意識いただきたいポイントとしては、普段行っているマネジメント業務と研修で学ぶ内容をブリッジさせるという点です。
より詳しい内容は、管理職研修の成果を高める事前課題・事後課題とは?具体例やメリット・デメリットも解説にて、具体的な課題例を提示しながらご紹介しています。ぜひご参考ください。
本コラムでは、管理職研修の目的やプログラム内容、企画の手順などを具体的な事例と共にご紹介してまいりました。
私たちが最も伝えたいことは、効果の高い管理職研修とは「自分たちは変わる」と確信が持てることです。
それは、研修前後の企画やフォローを丁寧にデザインし実行していくことで可能になります。
そして、研修を通じた管理職の意識・行動変容によって、職場環境やメンバーも変わりはじめ、組織全体にも変化が伝播し、組織変革へとつながっていくでしょう。
アーティエンスでは、管理職研修の企画段階からご一緒しておりますので、管理職研修を検討されている方はぜひご連絡をいただければ嬉しく思います。