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「学生」と「社会人」の5つの違い|ワークを通じて違いを理解するためのポイント

 学生と社会人 違い

2023/8/8作成ー

「新入社員の学生気分が抜けず困っている…」
「指示を待つなどの受け身姿勢な新入社員が多い…」
「もっと社会人としての自覚を持って、責任感を持って仕事をしてほしい…」

このようなお悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか

いつまで経っても学生気分が抜けていない状態では、組織にトラブル等を引き起こす可能性が高まってしまいます。社会人として責任を持って仕事に取り組んでもらうために、「学生と社会人の違い」を適切に理解し、社会人としての意識を醸成していくことが必要です。

そこで、本記事では学生と社会人の違いを明確にし、違いを理解してもらうために研修でできるおすすめな方法をご紹介します。社員に学生と社会人の違いを理解してもらい、主体性を高められるようにしましょう。

監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。

1)学生と社会人の5つの違い

学生と社会人の違いは大きく分けて5つにまとめることができます。

・立場の違い
・責任感の違い
・モラルに対する責任の違い
・周いへの貢献意識の違い
・人間関係の築き方違い

順に説明します。

立場の違い

学生と社会人の違いとして、立場の違いがあります。学生のうちは与えてもらうことが多いですが、社会人になると与える立場となります。与える立場となるため、評価は相手によって決められることが多いです。また、ただ与えるだけでなく相手に満足してもらうことも求められます。

例えば、学生時代は学校から教育を受けていましたし、学費を両親から支援してもらっていた人が多いです。しかし、社会人になると、仕事を通して誰かの助けになることを行うことが求められます。自分の知識やスキル、経験を活かして、いかに相手に満足してもらえる仕事を行うかが重要になります。その対価として得られるのが給与です。給与はどれだけ与えられる人になれているかを会社が評価して決められます。

このように、学生と社会人の違いには、与えられる側から与える側になる、立場の違いが挙げられます。

責任感の違い

学生と社会人の違いとして、責任感の違いがあります。学生のうちは自分の学業や成長への責任感が求められますが、社会人となると、組織の一員としての責任感を負うことが求められます。

学生のうちは自分にしか影響の及ばない範囲でのみの責任感でした。例えば、テストの点数が低くて再試になるとか、単位を落とすとかは、自分で行ったことが自分にのみ返ってきています。一方、社会人になると、自分の仕事が組織に影響を与えることになります。例えば、自分が営業した会社から受注をもらえなかったら自分だけではなく組織全体のマイナスになります。

このように、学生と社会人の違いは、自分の成果が自分だけではなく組織に影響を及ぼすという責任感の違いが挙げられます。

モラルに対する責任の違い

学生と社会人の違いとして、モラルに対する責任の違いがあります。学生は主に法律や学内でのルールなどに対して自分一人が責任を負いますが、社会人はモラルを守らないと自分一人だけではなく組織に迷惑をかけてしまうことがあります。

学生のうちはモラルに反して試験で不正行為をしても、自分が責任を取ることで解決します。しかし、社会人になると、自分一人では責任と取れず、組織組織全体で責任をとってもらう必要が出てくる可能性があります。例えば、ホテルに勤めている社員が芸能人が来たことをSNSで投稿すると、そのことに対して個人だけでなく組織としても謝罪を行う必要があります。

このように、学生と社会人ではモラルに対する責任が異なるため、自分の言動が自分だけではなく組織にも影響を及ぼしかねません。

周囲への貢献意識の違い

学生と社会人の違いとして、周囲への貢献意識の違いがあります。学生は主に自分の成長や学業に焦点を当てていますが、社会人は組織や社会全体への貢献を意識することが求められます。周囲のために自ら率先して行動することが必要です。言われたことしかやらないは社会人としてマイナスの評価を受けることになります。

例えば、学生のうちは、自分の成績を上げるために勉強をしたり、お金を稼ぐためにアルバイトを行う人が多いです。そして学業やアルバイトでは言われたことを正しく行うことを求められていました。しかし、社会人になると、言われたことをやるだけでは評価されません。組織のためを考えると何をしたらいいかを考えることも仕事のうちだからです。率先して資料作成を手伝ったり、勉強してより良い提案ができるようにするなど、周囲にポジティブな影響をもたらすことが求められます。

このように、学生と社会人の違いは、自分の成長だけでなく組織全体の成長のために貢献する意識の違いも挙げられます。

人間関係の築き方の違い

学生と社会人の違いとして、人間関係の違いがあります。学生のうちは自分で付き合う人を選べましたが、社会人になると自分で選ぶことはできません。与えられた環境の中でいかに関係性を築くかが大切になります。

学生のうちは、授業や活動を通じて共通の興味を持つ仲間との関係を形成することができます。そのため、自分にとって居心地がよく楽しい関係性を築きやすいです。もし相手のことが嫌になったら、離れることもできます。一方、社会人となると、年代もバラバラで、育ってきた環境や興味、価値観が全く異なる人と一緒に仕事をしていく必要があります。自分が居心地の良いかどうかで一緒に仕事を行う仲間を決めることはできませんし、嫌な人がいるからという理由で部署や配属先を変えてもらうのも簡単な話ではありません。そのような自分と異なる人と関係性を築いてくことが必要になります。

2)研修で実施できる|学生と社会人の違いの理解を促す方法 

研修で実施できる学生と社会人の違いを理解してもらうための方法をそれぞれ紹介します。

・立場の違いについて理解を促す方法
・責任感の違いについて理解を促す方法
・モラルに対する責任の違いについて理解を促す方法
・周囲への貢献意識の違いについて理解を促す方法
・人間関係の築き方の違いについて理解を促す方法

立場の違いについて理解を促す方法

学生と社会人で立場が違うことを理解してもらうためには、社員が自ら立場の違いに気づけるようにすることが必要です。一方的に説明を受けているだけだと理解はできますが納得感が薄く、意識の変化が起きないためです。
そのためにはインサイドアウトを促すことが大切です。インサイドアウトとは、内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態のことです。インサイドアウトが促されると、社会人や仕事に対して前向きな感情を持ちやすくなります。

インサイドアウトを促すために有効な方法がワールド・カフェです。
ワールド・カフェとは、『カフェ』のようなリラックスした雰囲気の中で行う対話手法の一つです。少人数に分かれたテーブルで問いに対して自由に対話を行い、他のテーブルとメンバーをシャッフルして対話を続けることにより、参加した全員の意見や知識を集めることができます。

当社の社会人の自覚研修では、「社会人とは何か?」に関する3つの問いを投げて、参加者同士て対話を行い、理解を深めます。

ワールド・カフェの問い

・round1 学生と社会人の違いとは何だろう?
・round2 「組織・世の中に貢献し、自身の幸せ度を上げる」社会人とは?
・round3 私たちの未来と今を豊かにするために、社会人のスタートをどのように切るといいのだろう?

問いに対して出てきたことを紙に書き出していくのですが、その時のアウトプットとして出てきた内容は次の写真のような内容でした。※受講生のアウトプット

ワールドカフェを通して、社会人とは?に向き合うことで、社会人としてあるべき姿を自分なりに考え、意識することができます。社員の内側からの変容を促すことができ、学生と社会人の立場の違いを深いレベルで意識し、社会人として適切な言動を心がけることができるようになります。

責任感の違いについて理解を促す方法

学生と社会人の責任感の違いを理解してもらうためには、社会人として求められる目標達成意識やコスト意識を醸成することが必要です。自分が組織にとってどのような影響を及ぼしているのかを理解できると、社会人としての責任感を感じやすくなるためです。

当社では、目標達成意識やコスト意識を醸成するために、経営シミュレーションゲームを研修で実施しています。

※当社、目標達成・コスト意識研修テキストより抜粋

このゲームを通して、売上創出の難しさ、目標達成することの重要性や、日々の業務の中で「どれだけ売上を出せれば自分の給与が払えるのか」などの「コスト意識」を持って仕事に取り組めるようになります。

モラルに対する責任の違いについて理解を促す方法

学生と社会人のモラルに対する責任の違いを理解してもらうためには、社会人としてモラルを遵守しないとどうなるかという具体例を提示して理解してもらうことが効果的です。具体例を知ることで、意外と自分の身近で起きることかもしれないという緊張感を持てるようになるためです。
例えば、当社の社会人の自覚研修では、モラルに反するとどうなるか考えるワークを用意しています。具体的なシチュエーションから考えてもらうことで、社会人としての経験がない新入社員でもイメージがしやすく、さまざまな意見が出てきます。
実際には、「自分で勝手に判断するのではなくて、会社に確認するようにしよう」「自分が原因で賠償金とか請求される事態になるのは怖すぎる」というような声が出ていました。

なお、最近ではSNSでのトラブルによって、組織の責任が問われることも多いです。そのため、過去のトラブルの事例をまとめて、SNSの活用にも注意を促すことも行いましょう。

このようなワークや事例を通して、具体的にモラルに反したらどうなるのかを考えてみることで、社会人としてモラルを守るべきであるという自覚が生まれます。

周囲への貢献意識の違いについて理解を促す方法

学生と社会人の周囲への貢献意識の違いを理解してもらうためには、社会人として求められる貢献を体験すること必要です。社会人になると、クライアントに貢献するために自分以外の力を借りる必要があるシチュエーションが多く発生します。その際にどのような言動を取るかで、貢献度合いが変わることを知ることができます。

自分の言動によって貢献度合いが変わることを体験してもらうために、当社の社会人の自覚研修では、新入社員であってもできる周囲への貢献とは何か?ということを考えるワークを取り入れています。ワークを通じて、「まずは自分ができることを考え、行動する」という意識が醸成されます。

人間関係の築き方の違いについて理解を促す方法

学生と社会人の人間関係の築き方の違いを理解してもらうためには、会社でなぜ関係性構築が求められているのかを伝えることが必要です。学生の頃は、一緒に楽しむことや居心地の良さを求めた関係性を築いていました。しかし社会人になると、自身の居心地の良さだけでなく、成果や成長のため、関わる人がお互いに気持ちよく働いていくため、等さまざまな目的から、良好な関係性を築いていくことが必要になります。その目的の違いを理解できると、学生の時と求められる人間関係が異なっていることに気づくことができるようになります。

当社の関係性構築力研修では、関係性構築の重要性について、成功循環モデルの説明をしています。成功循環モデルとは、MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏が提唱した考え方です。
「関係の質が高まれば、思考の質が高まり、行動の質が高まり、結果の質が高まる、そしてさらに関係の質が高まる」という好循環が生まれます。ただし、「関係の質が低くなれば、思考の質が低くなり、行動の質が低くなり、結果の質が低くなり、そしてさらに関係の質が低くなる」という悪循環も生まれるということを表しています。

このことを理解した上で、具体的に関係性を構築するために必要なことは、以下の3つがポイントとなります。

・自己理解
・他者理解
・アサーティブコミュニケーション

自己理解では、自分がどのような価値観を大切にしていて、その価値観によって周囲にどのようなポジティブ・ネガティブな影響を与えているのかを知ります。他者理解では、自身と他者とでは認知が異なる場合があることを知り、自分の枠組みのみで決めつけ内容にすることを理解します。アサーティブコミュニケーションとは相手の立場や意見を尊重しつつ、自身の主張を正確に伝える手法です。このスキルを習得することで、関係性を壊さずに意見を伝えることができるようになります。

なお、他者理解においては、相互インタビューもおすすめです。相互インタビューは、関係性を築いていきたい人と価値観に関する設問について相互にインタビューを行うことで、お互いに大切にしている想いや背景を理解し合うことを目的としています。お互いが大切にしている価値観を理解し受け止めることができると、接し方を工夫することができるようになるため関係性が構築しやすくなります。
具体的な設問内容や実施方法については、当社の新入社員研修を導入いただいたお客様にオンボーディング支援ツールとしてお渡ししています。
 インタビューシートこのように、社会人で求められる関係性の目的を理解することで、学生との違いを理解することができます。そしてコミュニケーションを通じて相手の立場や背景を理解し、それぞれの価値観を大切にすることで、円滑な人間関係を築くことを理解できるようになります。

3)まとめ〜アーティエンスは学生と社会人の違いを理解できるように研修でサポート〜

本記事では学生と社会人の違いを明確にし、違いを理解してもらうために研修でできるおすすめな方法をご紹介しました。学生と社会人の違いは大きく分けて5つにまとめることができます。

立場の違い
学生のうちは与えてもらうことが多いですが、社会人になると与える立場となります。

責任感の違い
学生のうちは自分の学業や成長への責任感が求められますが、社会人となると、組織の一員としての責任感を負うことが求められます。

モラルに対する責任の違い
学生は主に法律や学内でのルールなどに対して自分一人が責任を負いますが、社会人はモラルを守らないと自分一人だけではなく組織に迷惑をかけてしまうことがあります。

周囲への貢献意識の違い
学生は主に自分の成長や学業に焦点を当てていますが、社会人は組織や社会全体への貢献を意識することが求められます。人間関係の築き方違い
学生のうちは自分で付き合う人を選べましたが、社会人になると自分で選ぶことはできません。

それらの学生と社会人の違いを理解してもらうために研修で行える方法を紹介しました。記事の内容をご参考にいただき、社員に学生と社会人の違いの理解を促しましょう。

アーティエンスでは、学生と社会人の違いを理解できるように新入社員研修でサポートしています。新入社員が育ってきた環境に合わせたスタンスの変容を促し、社会人の自覚を醸成します。詳しい内容は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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