2023/2/27作成ー
新入社員へのアドバイスの仕方が分からない…
新入社員がアドバイスを素直に受け取ってくれない…
新入社員へアドバイスすることがトラブルに発生しそうで怖い…
このようなお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
近年は、ハラスメントや精神的なストレスについてなど、アドバイスをする側へのプレッシャーが以前より強くなったことで、アドバイスの仕方について悩んでいる方が多くなっています。
しかし、だからと言って、アドバイスすることを避けてしまっては、新入社員の成長を促すことができません。新入社員が成長するためには、新入社員自身では気づくことのできない点についてアドバイスを受けて改善し、より良くしていくことが必要だからです。
そこで今回は、新入社員へのアドバイスの手順を細かくお伝えします。このフロー通りに行えば、新入社員の成長を促すことをできるアドバイスができるようになります。
目次
新入社員への業務に関するアドバイスの手順は次の流れになります。 詳しくお伝えします。
新入社員の言動には、新入社員なりの考えがあるはずです。そのため、新入社員の意図を確認しないまま話し始めると、新入社員は自分の意図をわかってくれないと感じるようになります。
●(アウトプットを受け取って)ありがとう。私のアドバイスが〇〇さんの意図とズレていたら申し訳ないから、もし〇〇さんなりに意識したこととか意図とかがあれば教えてくれる?
もし、新入社員の意図を確認しない状態が続くと、「自分なりに考えて〇〇をしたのに、自分の考えを聞こうともしてくれないし、理解もしてくれないなら、もう言われたままやった方が楽だな」という思考に切り替えるようになり、主体性がなくなっていきます。そのため、まずは、新入社員がどのような意図で言動をしたのかを確認しましょう。
新入社員の意図を確認したら、「そのように考えていたんだね」とただそのまま受け止めます。この段階で、ジャッジを行うような言葉は使いません。
【NG例】
●だめだよ
●(強めの口調で)どういうこと?
そのことに対して、すぐに否定したりせず、ただ受け止めて新入社員の意図をしっかりと理解したことを伝えます。
新入社員の意図を受け止めたことを伝えたら、次に、今から行うフィードバックはあくまでも考え方やアウトプットに対して行う、ということを伝えます。あなた自身に対して発言している訳ではない、ということを理解してもらうことが大切です。
●〇〇さんは、もう一つ深いところまで考えられると、より良いものにできそうだから、そのための考え方についてトレーナーとしてフィードバックを伝えるね
この内容を伝えないと、フィードバックの伝え方や表現の仕方によっては、新入社員が拒絶したり、傷ついてしまう可能性があるためです。自身に対してフィードバックをしているのではなく、あくまでも考え方やアウトプットに対してということを強調します。
フィードバックを行える土台が固まったところでようやく、新入社員なりに考えた言動に対して、ポジティブフィードバックをします。ポジティブな内容の方が受け取りやすいためです。伝える内容としては、前回伝えたところが改善されてわかりやすくなっているとか、自分なりにより良くしようと考えてくれたことなどです。
もしかしたら、ポジティブフィードバックをできるポイントがないと感じるかもしれませんが、細かく見ていくと何かしらは見つけられます。アウトプットの内容についてのポジティブフィードバックが難しい場合は、締切を守ってくれたことでも良いかもしれません。ただ本心で伝えることがポイントです。心にもないことや、誇張しても、新入社員には伝わります。
ポジティブフィードバックの後に、より良くするためのアドバイスを伝えます。この時は、伝え方が重要なポイントです。伝え方を間違えると、より良くするためのアドバイスとして受け取るのではなく、拒絶感を与えてしまいかねません。新入社員からすると、年上で役職があるということだけでも緊張し、身構えているという自覚を持ってアドバイスを伝えましょう。
より良くなるためのアドバイスとして4つのポイントがあります。
長いと説教のように受け取られてしまうため、簡潔でわかりやすく、端的に伝えます。
表面的なアドバイスのみでは、なぜそういうアドバイスをしたのかという背景が分からず、次回に活かすことができません。また、表面的なアドバイスのみをしていると、新入社員のマインドとして、言われた通りに直せばいいや、という考えになってしまい、主体性を弱くしてしまう可能性もあります。
新入社員の価値観と自身の価値観が異なっていることもあるため、一方的に自分の価値観でアドバイスを伝えるのではなく、アドバイスに対して違和感があれば、確認してすり合わせていくことをします。違和感を持ったままでは、「自分はこうやった方がいいと思うけど、前回先輩からこう言われたし、その通りにしておくか」というようなモチベーションになってしまうためです。
「〇〇できないなんてダメだな」などの伝え方はNGです。「この箇所の内容が少しわかりづらいから、もう少し簡潔な文章に作成し直してもらうことってできる?」というようにアドバイス兼提案のようなイメージで伝えると、人格否定のような伝え方にはならないでしょう。
●課題のヒアリングの時に、実際に今具体的にどんなことが起きているのか、事例を2,3個聞いてみるといいよ。そうすると、具体が分かるし、課題の背景もさらに深掘りができるからね。例えば、「〜〜に課題があるとおっしゃっていましたが、現場では具体的にどんなことが起きているんですか?」と聞いてみるとかね。どうだろう?
ぜひ、4つのポイントを意識して伝えてみてください。
一度、アドバイスの機会が終わってしばらく経ったときに、過去にアドバイスしたことが活かされていると感じた箇所を見つけたらポジティブフィードバックをします。タイミングは、気がついた時が良いです。
●昨日伝えたヒアリングの仕方について、今日の打ち合わせで早速使えていたね!すぐ実行するのは、素晴らしいね。
成長してくれたことを見てくれているのは、新入社員にとって嬉しいことです。多くの人は、できるようになっていることに気がつきながらも、新入社員に言葉で伝えられていないと思います。しかし、あなたが成長したことに気がついたということは、そのことを伝えないと新入社員は理解できません。そのため、過去のアドバイスを活かせていると感じた時は言葉で伝えるようにしましょう。
このような6つの手順によって、新入社員への業務に関するアドバイスを行いましょう。
新入社員へのキャリアに関するアドバイスの手順は、次の流れになります。 詳しくお伝えします。
新入社員がどうありたいかを確認します。「組織の目標を達成するようにするためには?」などの話ではなく、新入社員自身が本当にありたい姿を確認することが大切です。ありたい姿が明確になっていないと、キャリアに関するアドバイスの内容が的外れな内容になってしまうこともあるためです。
●将来こうなっていたい!とか理想の姿って何かあったりする?もしあれば、そのためにこの会社でできることを一緒に探していきたいなと思っています。
もし、新入社員自身でありたい姿をまだ持っていない場合は、一緒に探していきます。仮の段階でも、方向性がわかると、アドバイスをしやすくなります。
●今仕事の中で何をやっている時に楽しいと感じたり、もっとやってみたいと思ったりする?それのどんなところがいいと思うの?(今の仕事の中で辛いなとか苦手だなって感じる仕事はある?それのどんなところに辛さを感じるの?)
新入社員のありたい姿が明確になってきたら、それがどんな内容であろうと受け止めます。もしかしたら、今の会社をやめてフリーになる、ということがありたい姿かもしれませんが、その場合でもそのありたい姿を尊重し、受け入れます。
ここで、冗談でも「退職するんだ…」という発言をしてしまうと、新入社員が本当に望んでいるありたい姿ではなく、この会社の範囲内に収まる姿をありたい姿として設定してしまうことになります。そうすると、本当に辿り着きたいところに着けなくなってしまうため注意しましょう。
新入社員の希望や状況に合わせてアドバイスをします。
問いを投げて、新入社員が何に対してもやもやを感じているのかを確認しながら、新入社員自身で気づきを得られるようにしましょう。
自分の話をストーリーのように伝えましょう。論理的に伝えるのではなく、出来事を時の流れと同じように、映像を想像することができるくらいありありと伝えることで、イメージがしやすくなります。もし、新入社員が考えるありたい姿と近しい人を知っている場合は、その先輩から話をしてもらえるように繋いであげるのも良いでしょう。
ありたい姿になるために、何が必要かを洗い出し、その中で優先順位をつけたり、今できることを探して行動に移せるようにします。このときに、一方的に必要になるものを伝えるのではなく、新入社員と対話をする中で、新入社員自身で気づいていけると良いです。
このような4つの手順によって、新入社員へのキャリアに関するアドバイスを行いましょう。
心から、「新入社員がやりたい」や、「○○というキャリアを歩みたい」と思うまで、1on1や日常の会話など根気強く丁寧にコミュニケーションを取り続けましょう。
新入社員へアドバイスをする際に2つポイントがあります。それは、
です。この2つのポイントを意識することで、アドバイスの目的である新入社員の成長に繋がっていきます。
指示ではなく、新入社員の成長を願ったアドバイスであることが大切です。
トレーナーや先輩として、新入社員がこう動いてくれた方が楽だから、という理由で伝えると、アドバイスをしているつもりが指示になっている場合があります。
例えば、確認時間を短縮するために、できるだけ上司やトレーナーが期待している通りのアウトプットを新入社員に出してもらおうと、「〇〇するのはどう?」ではなく「〇〇にして」と伝えている、などです。もちろん指示が必要な場合もあります。ただ、上司やトレーナーは自分が今、指示しているのか、アドバイスをしているのかは意識できていないといけません。
アドバイスは、新入社員の成長につながる内容である必要があります。指示とアドバイスの使い分けは意識して行えるようにしましょう。
新入社員にとっても意味やメリットがあると感じられないと、新入社員は積極的にアドバイスを受け入れることはしません。上司やトレーナーは、新入社員の成長を思って伝えていても、新入社員本人にとって、それが負担と感じてしまったら、アドバイスの内容を受け取ってくれなくなってしまいます。
例えば、「あなたの成長のためにこの仕事は受けた方がいいと思う」とアドバイスをしたときに、成長を求めている新入社員は「やってみます!」となるかも知れません。しかし、成長を求めていない新入社員としては「いや、この仕事をやってほしいだけでしょ」と受け取られてしまうこともあります。
そのため、新入社員のモチベーションに合わせたアドバイスを行うことも意識して行いましょう。新入社員があまり仕事に積極的ではない場合は、些細なアドバイスから新入社員の成長を促していきます。
例えば、あまりやる気がみられないメーカーの営業を担当している新入社員に対しては、「こうしたらより効率化できるんじゃない?」など、新入社員のメリットにもなるし、作業効率も上がるため成長も促すことができる、というような内容をアドバイスすると良いでしょう。
アドバイスをするときは、新入社員のメリットにもなるような伝え方を意識して行えるようにしましょう。このように、2つのポイントを意識して新入社員へアドバイスを行えると、新入社員の成長を促すことに繋がります。
今回は、新入社員へのアドバイスの手順を細かくお伝えしました。新入社員への業務に関するアドバイスの手順は、次の流れの通りに行いましょう。 新入社員へのキャリアに関するアドバイスの手順は、次の流れの通りに行いましょう。
また、次の2つのポイントも大切です。
これらのフローとポイントを意識して行えば、新入社員の成長を促すことができるアドバイスができるようになります。 ぜひ実践してみてください。
当社の部下・後輩育成OJTトレーナー研修では、最近の新入社員の特徴をお伝えしながら、新入社員とどのようなアドバイスをすればいいかを、実践練習の機会を設けながらお伝えしています。
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