新入社員が受け止めるアドバイスとは?│アドバイスのフローまで解説

更新日:

作成日:2023.2.27

価値観 多様性

「新入社員へのアドバイスの仕方が分からない」
「新入社員がアドバイスを素直に受け取ってくれない」
「新入社員へアドバイスすることがトラブルに発生しそうで怖い」

新入社員へのアドバイスは、とても難しいです。

近年は、ハラスメントや精神的なストレスについてなど、アドバイスをする側へのプレッシャーが以前より強くなったことで、アドバイスの仕方について悩んでいる方が多くなっています。

しかし、アドバイスすることを避けては、新入社員の成長を促すことができません新入社員が成長するためには、新入社員自身では気づくことのできない点についてアドバイスを受けて改善し、より良くしていくことが必要だからです。

本コラムでは、下記3点をお伝えします。

1. 新入社員にアドバイスする際に必ず押さえるべきポイント
2. 新入社員の業務に対してのアドバイス
3. 新入社員のキャリアに対してのアドバイス

特に、上記「2. 新入社員の業務に対してのアドバイス」と「3. 新入社員のキャリアに対してのアドバイス」に関しては、新入社員へのアドバイスの手順を細かくお伝えします。このフロー通りに行えば、新入社員の成長を促すことをできるアドバイスができるようになります。

監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。
youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

1. 新入社員にアドバイスする際に必ず押さえるべきポイント

新入社員にアドバイスする際に必ず押さえるべきポイントに2つポイントがあります。

それは、

・指示ではなく新入社員の成長を願ったアドバイスであること
・アドバイスが新入社員にとってもメリットがあると感じられること

です。
この2つのポイントを意識することで、アドバイスの目的である新入社員の成長に繋がっていきます。

それぞれ説明していきます。

1-1. 指示ではなく新入社員の成長を願ったアドバイスであること

指示ではなく、新入社員の成長を願ったアドバイスであることが大切です。
トレーナーや先輩として、新入社員がこう動いてくれた方が楽だから、という理由で伝えると、アドバイスをしているつもりが指示になっている場合があります。

例えば、確認時間を短縮するために、できるだけ上司やトレーナーが期待している通りのアウトプットを新入社員に出してもらおうと、「〇〇するのはどう?」ではなく「〇〇にして」と伝えている、などです。もちろん指示が必要な場合もあります。ただ、上司やトレーナーは自分が今、指示しているのか、アドバイスをしているのかは意識することが重要です。

アドバイスは、新入社員の成長につながる内容である必要があります。指示とアドバイスの使い分けは意識して行えるようにしましょう。

1-2. アドバイスが新入社員にとってもメリットがあると感じられること

新入社員にとっても意味やメリットがあると感じられないと、新入社員は積極的にアドバイスを受け入れることはしません。上司やトレーナーは、新入社員の成長を思って伝えていても、新入社員本人にとって、それが負担と感じてしまったら、アドバイスの内容を受け取ってくれなくなってしまいます。

例えば、「あなたの成長のためにこの仕事は受けた方がいいと思う」とアドバイスをしたときに、成長を求めている新入社員は「やってみます!」となるかも知れません。しかし、成長を求めていない新入社員としては「いや、この仕事をやってほしいだけでしょ」と否定的に受け取ってしまうこともあります。

そのため、新入社員のモチベーションに合わせたアドバイスを行うことも意識して行いましょう。新入社員があまり仕事に積極的ではない場合は、些細なアドバイスから新入社員の成長を促していきます。

例えば、あまりやる気がみられない営業を担当している新入社員に対しては、「こうしたらより効率化できるんじゃない?」など、新入社員がメリットを感じられ、かつ、成長も促すことができるポイントを含めたアドバイスをすると良いでしょう。

アドバイスをするときは、新入社員のメリットにもなる伝え方を意識して行うようにしましょう。このように、2つのポイントを意識して新入社員へアドバイスを行えると、新入社員の成長を促すことに繋がります。

次の章からは、「新入社員の業務に対してのアドバイス」と「新入社員のキャリアに対してのアドバイス」を詳しくお伝えしていきます。

2. 新入社員の業務に対してのアドバイス

新入社員の業務に対してのアドバイスの手順は次の流れです。 新入社員への業務に関するアドバイスの手順

詳しくお伝えします。

2-1. 新入社員の意図を確認する

新入社員の言動には、新入社員なりの考えがあるはずです。そのため、新入社員の意図を確認しないまま話し始めると、新入社員は自分の意図をわかってくれないと感じるようになります。

【伝え方の例】

●「(アウトプットを見て)作成ありがとう。まず、〇〇さんがどういう意図で作ったかも含めて説明をお願いできる?」
●「(アウトプットを受け取って)ありがとう。私のアドバイスが〇〇さんの意図とズレていたら申し訳ないから、もし〇〇さんなりに意識したこととか意図とかがあれば教えてくれる?」

もし、新入社員の意図を確認しない状態が続くと、「自分なりに考えて〇〇をしたのに、自分の考えを聞こうともしてくれないし、理解もしてくれないなら、もう言われたままやった方が楽だな」という思考に切り替えるようになり、主体性がなくなっていきます。そのため、まずは、新入社員がどのような意図で言動をしたのかを確認しましょう。

2-2. 新入社員の意図を受け止める

新入社員の意図を確認したら、「そのように考えていたんだね」とただそのまま受け止めます。この段階で、ジャッジを行うような言葉は使いません。

【伝え方の例】

●「そのように考えて作ってくれたんだね」
●「なるほどね。〇〇を意識したんだね」

【NG例】
●「だめだよ」
●「(強めの口調で)どういうこと?」

そのことに対して、すぐに否定したりせず、ただ受け止めて新入社員の意図をしっかりと理解したことを伝えます。

2-3. フィードバックの対象は、新入社員に対してではなく「考え方」や「アウトプット」であることを伝える

新入社員の意図を受け止めたことを伝えたら、次に、今から行うフィードバックはあくまでも考え方やアウトプットに対して行う、ということを伝えます。あなた自身に対して発言している訳ではない、ということを理解してもらうことが大切です。

【伝え方の例】

●「〇〇さんが〜〜について意識して作成したことは伝わったので、アウトプットをさらに良くするためにフィードバックを伝えても良い?」
●「〇〇さんは、もう一つ深いところまで考えられると、より良いものにできそうだから、そのための考え方についてトレーナーとしてフィードバックを伝えるね」

この内容を伝えないと、フィードバックの伝え方や表現の仕方によっては、新入社員が拒絶したり、傷ついてしまう可能性があるためです。自身に対してフィードバックをしているのではなく、あくまでも考え方やアウトプットに対してということを強調します。

2-4. ポジティブフィードバックをする

フィードバックを行える土台が固まったところでようやく、新入社員なりに考えた言動に対して、ポジティブフィードバックをします。ポジティブな内容の方が受け取りやすいためです。伝える内容としては、前回伝えたところが改善されてわかりやすくなっているとか、自分なりにより良くしようと考えてくれたことなどです。

【伝え方の例】
●「前回伝えたところを意識してくれたことが伝わったよ。ありがとう」
●「この箇所について〇〇さんの意図が伝わるし、相手にもわかりやすい内容になっているね」

もしかしたら、ポジティブフィードバックをできるポイントがないと感じるかもしれませんが、細かく見ていくと何かしらは見つけられます。アウトプットの内容についてのポジティブフィードバックが難しい場合は、締切を守ってくれたことでも良いかもしれません。本心を伝えることがポイントです。心にもないことや、誇張しても、新入社員には伝わります。

(参考) 新入社員育成のカギ!フィードバックする時に知っておきたい5つのポイント
   新入社員研修の担当者向け|研修設計の基本や効果を高めるポイントを解説

2-5. より良くなるためのアドバイスをする

ポジティブフィードバックの後に、より良くするためのアドバイスを伝えます。この時は、伝え方が重要なポイントです。伝え方を間違えると、より良くするためのアドバイスとして受け取るのではなく、拒絶感を与えてしまいかねません。新入社員からすると、年上で役職があるということだけでも緊張し、身構えているという自覚を持ってアドバイスを伝えましょう。

より良くなるためのアドバイスとして4つのポイントがあります。

ポイント1:簡潔にわかりやすく伝える

長いと説教のように受け取られてしまうため、簡潔でわかりやすく、端的に伝えます。

ポイント2:具体的なアドバイスの後に、考え方・理由を伝える

表面的なアドバイスのみでは、なぜそういうアドバイスをしたのかという背景が分からず、次回に活かすことができません。また、表面的なアドバイスのみをしていると、新入社員のマインドとして、言われた通りに直せばいいや、という考えになってしまい、主体性を弱くしてしまう可能性もあります。

ポイント3:アドバイスの内容について違和感がないか確認

新入社員の価値観と自身の価値観が異なっていることもあるため、一方的に自分の価値観でアドバイスを伝えるのではなく、アドバイスに対して違和感があれば、確認してすり合わせていくことをします。違和感を持ったままでは、「自分はこうやった方がいいと思うけど、前回先輩からこう言われたし、その通りにしておくか」というようなモチベーションになってしまうためです。

ポイント4:人格否定にならないようにする

「〇〇できないなんてダメだな」などの伝え方はNGです。「この箇所の内容が少しわかりづらいから、もう少し簡潔な文章に作成し直してもらうことってできる?」というようにアドバイス兼提案のようなイメージで伝えると、人格否定のような伝え方にはならないでしょう。

【伝え方の例】

●「専門用語を使わず、相手が理解しやすいような言葉使いにしてみると、より伝わりやすくなるよ。例えば、この文章はこうしてみるといいんじゃないかと思うんだけど、どう思う?違和感とかあったら教えて。」

●「課題のヒアリングの時に、実際に今具体的にどんなことが起きているのか、事例を2,3個聞いてみるといいよ。そうすると、具体が分かるし、課題の背景もさらに深掘りができるからね。例えば、「〜〜に課題があるとおっしゃっていましたが、現場では具体的にどんなことが起きているんですか?」と聞いてみるとかね。どうだろう?」

ぜひ、4つのポイントを意識して伝えてみてください。

2-6. その後、改善されたときにポジティブフィードバックをする

一度、アドバイスの機会が終わってしばらく経ったときに、過去にアドバイスしたことが活かされていると感じた箇所を見つけたらポジティブフィードバックをします。タイミングは、気がついた時が良いです。

【伝え方の例】

●「メール、前より読みやすくなった気がするんだけど、相手のことを考えることを意識してくれてたりする?配慮がありながらも、仕事を前に進めているね」
●「昨日伝えたヒアリングの仕方について、今日の打ち合わせで早速使えていたね!すぐ実行するのは、素晴らしいね」

成長してくれたことを見てくれているのは、新入社員にとって嬉しいことです。多くの人は、できるようになっていることに気がつきながらも、新入社員に言葉で伝えられていないと思います。しかし、あなたが成長したことに気がついたということは、そのことを伝えないと新入社員は理解できません。そのため、過去のアドバイスを活かせていると感じた時は言葉で伝えるようにしましょう。

このような6つの手順によって、新入社員への業務に関するアドバイスを行いましょう。

3. 新入社員のキャリアに対してのアドバイス

新入社員のキャリアに対してのアドバイスの手順は、次の流れです。 新入社員へのキャリアに関するアドバイスの手順

詳しくお伝えします。

3-1. 新入社員のありたい姿を確認する

新入社員がどうありたいかを確認します。「組織の目標を達成するようにするためには?」などの話ではなく、新入社員自身が本当にありたい姿を確認することが大切です。ありたい姿が明確になっていないと、キャリアに関するアドバイスの内容が的外れな内容になってしまうこともあるためです。

【伝え方の例】

●「この会社という枠に囚われずに、将来どうありたいと思っているか聞かせてもらえる?そのために、この会社でできることを一緒に探していけるといいなと思っています」
●「将来こうなっていたい!とか理想の姿って何かあったりする?もしあれば、そのためにこの会社でできることを一緒に探していきたいなと思っています。」

3-2. 新入社員のありたい姿を一緒に見つける

もし、新入社員自身でありたい姿をまだ持っていない場合は、一緒に探していきます。仮の段階でも、方向性がわかると、アドバイスをしやすくなります。

【伝え方の例】

●「理想としている人とか、憧れている人っている?その人のどんなところが素敵だなって思う?」
●「今仕事の中で何をやっている時に楽しいと感じたり、もっとやってみたいと思ったりする?それのどんなところがいいと思うの?(今の仕事の中で辛いなとか苦手だなって感じる仕事はある?それのどんなところに辛さを感じるの?)」

3-3. 新入社員のありたい姿を受け止める

新入社員のありたい姿が明確になってきたら、それがどんな内容であろうと受け止めます。もしかしたら、今の会社をやめてフリーになる、ということがありたい姿かもしれませんが、その場合でもそのありたい姿を尊重し、受け入れます。

ここで、冗談でも「退職するんだ…」という発言をしてしまうと、新入社員が本当に望んでいるありたい姿ではなく、この会社の範囲内に収まる姿をありたい姿として設定してしまうことになります。そうすると、本当に辿り着きたいところに着けなくなってしまうため注意しましょう。

【伝え方の例】
●「それが〇〇さんのありたい姿なんだね。素敵だね」
●「ありたい姿の話をしている時、表情からもワクワクしている感じが伝わってきたよ。共有してくれてありがとう」

3-4. 新入社員の希望に合わせてアドバイスをする

新入社員の希望や状況に合わせてアドバイスをします。

キャリアについて漠然と不安がある場合

問いを投げて、新入社員が何に対してもやもやを感じているのかを確認しながら、新入社員自身で気づきを得られるようにしましょう。

【伝え方の例】
●「何に対して不安とかもやもやを感じているのか、教えてもらってもいい?」
●「何が〇〇さんに不安とかもやもやを感じさせているんだろうね」

先輩がどうキャリアを決めていったのか知りたい場合

自分の話をストーリーのように伝えましょう。論理的に伝えるのではなく、出来事を時の流れと同じように、映像を想像することができるくらいありありと伝えることで、イメージがしやすくなります。もし、新入社員が考えるありたい姿と近しい人を知っている場合は、その先輩から話をしてもらえるように繋いであげるのも良いでしょう。

【伝え方の例】
●「私は27歳の時に〜〜な出来事があって、そのときに私はこのままこの仕事をしていていいのだろうかと真剣に考えるようになったんだよね。そのときに、私が尊敬している先輩に相談させてもらって、先輩が〜〜って言っていたことがすごく心に響いて…」

ありたい姿に近づくために今何をすべきかを相談したい場合

ありたい姿になるために、何が必要かを洗い出し、その中で優先順位をつけたり、今できることを探して行動に移せるようにします。このときに、一方的に必要になるものを伝えるのではなく、新入社員と対話をする中で、新入社員自身で気づいていけると良いです。

【伝え方の例】
●「〇〇さんのありたい姿になるために、何が必要だと思う?」
●「ありたい姿になるために、今、こんな要素が出てきたけど、この中で今できることってあるかな?」

このような4つの手順によって、新入社員へのキャリアに関するアドバイスを行いましょう。

【参考】キャリアを創っていくためのありたい姿の探求

ありたい姿は、すぐに出てこないことも多いので、焦らないことが重要です。新入社員一年目で、ありたい姿を身に付けられないこともあるので、多いです。
心から、「新入社員がやりたい」や、「○○というキャリアを歩みたい」と思うまで、1on1や日常の会話など根気強く丁寧にコミュニケーションを取り続けましょう。

4)まとめ

本コラムでは、「新入社員へのアドバイス」に関して、お伝えしました。

具体的には、下記3点をお伝えしました。

・新入社員にアドバイスする際に必ず押さえるべきポイント
・新入社員の業務に対してのアドバイス
・新入社員のキャリアに対してのアドバイス

新入社員へのアドバイスのフローを理解できたのではないでしょうか。このフローを用いながら、ご自身の状況にあわせて、新入社員にアドバイスをしていただければと思います。

新入社員研修や育成などでお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。