部下のやる気を引き出す7選|上司や組織が部下のやる気を阻害している?

更新日:

作成日:2023.12.13

 部下のやる気を引き出す

「部下にやる気が見られない…」というお悩みをよく伺います。

部下のやる気が低いと最低限の仕事だけやろうとするため、仕事の質が低く、成長スピードも遅くなります。それでは、組織全体の成長も鈍化してしまいます。

そこで本コラムでは、部下のやる気を引き出すために必要なことをお伝えします。
部下のやる気を高めて、仕事の質と成長の向上を期待できるようにしましょう。

合計500社以上の導入実績を誇るアーティエンスでは「管理職がプレイヤーから抜け出せていない」「管理職が昔の気質のままで変われない」といった企業さまへ「研修成功事例集」を作成しました。
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このコラムで分かること

  • 部下のやる気を引き出す7つのポイント
  • 部下のやる気を下げてしまう上司の言動
  • 部下のやる気を下げてしまう組織の特徴
執筆者プロフィール
迫間 智彦
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

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1)部下のやる気を引き出すポイントは「インサイド・アウト」

部下のやる気を引き出すポイントは、部下のインサイド・アウトを促すことです。
インサイド・アウトとは、簡単に言うと本人の内側から生まれるエネルギーです。内発的動機とも言います。

インサイド・アウトがないままに育成を進めても、本人は常にやらされ感を感じ成長意欲も低いままです。

例えば、「最低限の労力で、今やっている仕事をずっとしていたい」という考えを持った部下に対して、「新たな経験をして成長してもらおう!」と新しい業務を依頼したとしても、部下は負担が大きくなったと感じるだけです。インサイド・アウトを促せていなければ、質の良い仕事を期待することは難しいでしょう。

次章から、インサイド・アウトを促すために必要なポイントをお伝えします。

視座・視野を広げる

インサイド・アウトを促すためには、視座・視野を広げる機会を作ることが必要です。自分が社会に対してどのようなインパクトを与えられているかを意識できるようになるためです。

自分のことしか考えられず利他が弱いと、社会や組織のために頑張ろうとか、クライアントやユーザーに喜んで欲しいから頑張ろうという意識が持てません。そのため、自分ができるだけ楽できるようにということを考えたり、最低限の範囲で仕事をするようになります。

【自利利他の図】
視座と視野が広がると、自分という狭い枠から職場や社会のことまでの影響を考えた言動が生まれます。

視座・視野を広げるためには、認知の捉え方を確認したり、自分以外の責任にするのではなく自分でできることはなかったかを考える機会を設けることが必要です。

認知の捉え方を確認する方法として、例えば、アーティエンスの関係性構築力研修では、自分の上司やクライアントの立場になって考えてみる、ということを行います。こうすることで、同じ出来事であっても、自分と相手では捉え方が異なる・見えている世界が異なる、ということに気がつきます。

また、自分でできることがあるとしたら何か、と自分でできることがあることを前提に考えることで、今まで見えていなかったことが見えるようになったりします。

このように視座・視野を広げて自利だけでなく利他を意識できるようにすることで、自組織への影響はもちろん、その先のことまで考えられるようになります。そしてインサイド・アウトが促され主体的な行動が生まれるようになります。

仕事の意義や目標を見出せている

インサイド・アウトを促すためには、仕事の意義や目標を見出せていることが必要です。目指すところがあると主体的に行動するようになるためです。

仕事の意義や目標がないと給与以外の報酬がないため、新たな挑戦を嫌い今の仕事を維持しつづけるだけで良いと考えるようになります。残念ながら現代社会において多くの社員は、自身の仕事に対してのコミットメントが高い状態とは言えません。

仕事の意義や目標を見出すためには、自社における自身のビジョンを明確にすることが必要です。

アーティエンスのフォロー研修では、自身の大切にしている価値観を仲間と共に掘り下げ、その上で今考える素晴らしい未来を探求するワークを行います。
例えば、2年目社員の方に対して、素晴らしい2年目社員/そうでない2年目社員ってどんな感じなんだろう、ということを想像しながら書き出してもらうワークを行います。

【例】

すると今まで言語化していなかった自分の理想像がわかり、仕事をする上で持ち続けたい自分の軸となるものや目指す方向性が見えてきます。

このように仕事の意義や目標を見出せると、そのために自分が足りていないことを成長させるためにやる気を持った行動が見られるようになります。

職場に心理的安全性がある

インサイド・アウトを促すためには、職場に心理的安全性があることが必要です。心理的安全性とは、「メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、よりよくするための意識行動ができる状態」です。
心理的安全性があることで、ミスを恐れすぎずにチャレンジできます

職場に心理的安全性がないと、次のようなことが起きます。

●チームのために良かれと思って発言したことが、無視されたり、否定されて終わる
●チームのことを思った提案でも、自分一人に対応を押し付けられ、言ったもの負けになる
●現場の声が、経営陣・管理職に上がらなくなる。またトラブルが起きたときに隠ぺいする

個人が自由に意見を述べたり、アイデアを提案したりできる環境がないと、積極的に仕事をしようという気持ちになれません。

心理的安全性のある職場を作るためには、まず上司が心理的柔和性を持っている必要があります。心理的柔軟性とは、「自身の大切な価値基準に基づいて、今できることに対して、最大限の注意を払い、行動を取ること」です。
心理的柔軟性があることで、自身・チームにとっての成果や貢献・成長を考えて行動できるようになります。チーム全体ではなく1人を相手にするため行動もしやすいです。

心理的安全性と心理的柔軟性の違いをまとめると下記の表のようになります。

定義 概念
心理的
安全性
メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、より良くするための意識行動ができる状態 チームの状態を表すもの
心理的
柔軟性
自身の大切な価値基準に基づいて、今できることに対して最大限の注意を払い、行動を取ること 個人の能力を表すもの

心理的柔軟性を持てるようにするためには、自身がどんな価値観を持っているのかに気づき、その価値観によって起きているポジティブとネガティブな影響を考えることから始めることをお勧めします。

▶心理的柔軟性を高めるためのリフレクションシートはこちらから無料ダウンロード可能です。

自分が大切にしている価値基準を認識し、その価値基準に基づいて部下への接し方などを見直し、部下も含めて皆が心理的安全性を感じられる場を作るためのアクションを考えましょう。

このように上司が心理的柔軟性を持って心理的安全性のある職場を作れると、部下から意見が出てきたり、積極的に新しい仕事に挑戦しようとするなどのやる気が見えてきやすくなります

良い関係性を築く

インサイド・アウトを促すためには、上司やメンバーと良い関係性を築くことが必要です。良い関係性だと成功循環モデルが回転しやすくなるためです。

成功循環モデルとは、組織が成功に向かうための4つのサイクルのことです。MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏によって提唱されました。

「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」の4つの要素があり、それらは互いに影響しあっています。このサイクルがうまく循環しているときは組織としての成長期にあたり、反対にサイクルが滞っている場合は変革が必要な時です。
上司と部下で良い関係を築けていないと、部下の中で言いたくても言えない状況が生まれ、やる気がなくなってしまっている可能性もあります。

良い関係性を築くには、上司と部下がお互いに理解し合うためのコミュニケーションが必要です。

アーティエンスの意思発信力向上研修では、チームの成果を最大化するための、コミュニケーションスキルと思考法を習得することを目的に実施しています。

自身が大切にしている価値観などの自己理解を深めた上で、自身の価値観は時にポジティブ、時にネガティブに周囲へ影響を及ぼす可能性があると学びます。そして意見が異なっていた時の乗り越え方や、周囲と意思疎通を深めるための伝え方を身につけます。

このように上司と部下で良い関係性を築くためのコミュニケーションが行われると信頼関係が築け、部下が自分の意見を伝えやすくなることで、以前より伸び伸びと仕事をしている部下を見られるようになるでしょう

こまめにフィードバックを行う

インサイド・アウトを促すためには、部下がこまめにフィードバックを受けることが必要です。フィードバックを受けると、部下は日常的に上司が自分を気にかけてくれていると感じるためです。

気にかけてくれることがわかると、それだけでやる気が湧いてくる方もいます。一方、フィードバックが少ないと放置されているように感じ、気にされていないならサボってもいいかとやる気が弱くなってしまいます。

部下に対して部下の成長を見守っているということを伝えるためにも、フィードバックは大切です。

フィードバックというと、改善点を伝えるというイメージを持たれている方が多いですが、ポジティブフィードバックも意識的に行うことがポイントです。褒められると嬉しくなり、もっと頑張ろうという意識を持ちやすくなるためです。
ポジティブフィードバックできるポイントがない、という声も伺いますが、上司として嬉しく感じたことや感謝したいことであれば些細なことでも大丈夫です。例えば、前回修正をお願いしたところが改善されてわかりやすくなっているとか、資料を先回りして用意してくれていたことへの感謝などです。

このようにポジティブフィードバックも含めたフィードバックをこまめに行うことで、自分を気にかけてくれる人がいることを感じ、仕事へのやる気につながりやすくなります

成長実感・成長予感を得る

インサイド・アウトを促すためには、成長実感・成長予感を得ることが必要です。達成感と自信を高めるためです。

ある程度経験を重ねた仕事は、自分の中で効率化するためのやり方やフォーマットが出来上がり、毎日が同じことの繰り返しに感じてしまう方もいます。そうすると、成長している実感が持てず、自分の自分の将来に不安を感じ、モチベーションが低くなります。

部下が積極的に成長を望んでいる場合は、挑戦的なプロジェクトや任務など部下が前向きに取り組むことのできる仕事を提供できるようにしましょう。ただ、新しい仕事を渡す際は、仕事を渡すだけではなく、部下が新しい仕事を問題なく行えるようにサポートすることが必要です。仕事に前向きに取り組めていても、困難に当たったときに助けがないと、ストレスになってしまうためです。また、新しい仕事を増やした場合は、部下が抱えていた仕事の一部を上司や他のメンバーが引き取る必要があります。いくら前向きに取り組める仕事をもらえたとしても、業務量が増えてしまったら疲れが溜まりやすくなってしまうためです。

他にも、自分の今までの仕事を振り返る機会を作って、成長していることを実感できるようにすることも一つの方法です。アーティエンスのフォロー研修では、自身が今まで行なってきた仕事を棚卸しし、自身の成長を自分で感じるワークを行います。成長してきたことを感じると、ここから先の未来にも前向きになり、成長を予感できるようにもなります。

このように、挑戦的なプロジェクトや任務などを依頼したり、成長していることを振り返る時間を作ったりすることで、仕事に対してやりがいや達成感を感じられるようになります

公平な評価を受ける

インサイド・アウトを促すためには、公平な評価を受けている必要があります。自分の頑張りが評価に影響すると頑張るモチベーションが生まれるためです。
いくらチームや組織のためを思って行動しても、それが評価に反映されないと、やる気はなくなります。

公平に評価されていると部下が感じるようにするためには、評価が明確でオープンにすることをお勧めします。明確な評価は公平性を保ち、自身の成果と報酬が連動していると感じさせます。明確の基準としては、ジョージ・T・ドラン氏が提唱した「SMARTの法則」に則るのが考えやすいでしょう。
なお、評価がオープンになることで、キャリアパスや成長機会についても想像しやすく、ポジティブな成長予感を持ちやすくなります。

このように、評価の内容を明確でオープンにすることで、自身の頑張りと評価が連動していることを感じ、評価を高めたいというモチベーションでやる気を引き出せます

部下のやる気を引き出すポイントはインサイド・アウトを促すことで、インサイド・アウトを促すためには次のような具体的な方法があることをお伝えしました。
・視座・視野を広げる
・仕事の意義や目標を見出せている
・職場に心理的安全性がある
・良い関係性を築く
・こまめにフィードバックを受ける
・成長実感・成長予感を得る
・公平に評価される

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2)部下のやる気を下げてしまう上司の言動6つ

1章で説明した部下のやる気を引き出すポイントを上司が妨害している場合があります。具体的な言動を6つ紹介します。自分を客観的に見つめて当てはまるものがないか確認しましょう。

自分の意見や価値観を押しつける

上司が自分の意見や価値観を押しつけることは、部下のやる気を下げます。価値観は人によって異なるためです。

例えば、上司は部下のためにと思って「クライアントと打ち合わせをしたあとは1時間以内にお礼のメールをしてね」と伝えたとします。しかし部下としては、1時間以内にメールできなくても、ただお礼を伝えるだけでなく、クライアントのためになるような参考資料を一緒に渡したいと思っているかもしれません。
部下が自分の意見を上司に伝えて、上司が納得してくれたら問題ないのですが、上司の成功体験や価値観から部下のやり方を否定し自分が推奨するやり方に強制するようなことがあると、部下のやる気を下げることになります。

上司が正しいと思っていることだけが正解というわけではありません。部下がクライアントなど相手のことを考えて行動していることについては、部下の価値観を尊重することも必要です

部下のありたい姿を確認しない

部下のありたい姿を確認しないことで、部下のやる気を下げている可能性があります。部下がやりたいと思える仕事を渡せないためです。

部下のありたい姿や、どのような仕事をやりたいのかを理解していると、それにあった仕事が来た時に部下に依頼できます。基本的にありたい姿に近づけると思える仕事や、自分がやってみたいと思っている仕事はやる気が高くなります。
しかし、ありたい姿ややりたい仕事を知らないと、その機会を逃すことになります。

部下がどのような仕事に対してやる気が出るのかを理解していると、その仕事を依頼することでやる気を引き出せるようになります

部下から信頼してもらえるような言動をしていない

部下から信頼してもらえるような言動をしていないことが、部下のやる気を下げることにつながります。一緒に仕事をしたいと思えなくなるためです。

例えば、クライアントのことを裏で悪く行っていたり、仕事の愚痴が多かったり、社員のネガティブな話をするなど、表と裏の顔があって人によって態度を変える様子を見ると、一緒に仕事をしたいと思えません。上司の期待に応えたいという思いも弱くなります。

部下は上司が思っている以上に上司のことをみています。部下から信頼してもらえるような言動を意識し、部下が一緒に頑張りたいと思ってもらえるようになりましょう

部下を自分の手下のように扱っている

部下を自分の手下のように扱っていると、部下のやる気は下がります。尊重してくれないことに対して不快感を感じるためです。

高圧的であったり、配慮に欠けたコミュニケーションをしていると、一緒に仕事をしたくないと感じ、やる気が下がります。

また、上司は育成をしているつもりが、指示になってしまっている場合も、やる気を下げる要因となります。上司が指示した通りに手を動かすことが求められると、自分で考えることがなく、仕事の面白さを感じられないためです。

部下のことを一人の人間として尊重せずに、自分の言いなりに動いてくれる人という感覚でいると危険です。部下のやる気を引き出せるように対等な関係を意識しましょう

適切な仕事を任せていない

部下に適切な仕事を任せていないと、部下のやる気を下げてしまいます。仕事に対して負担感が強くなってしまったり、やりがいを感じられないためです。

例えば仕事の量が多すぎるとか、部下が苦手としている仕事ばかり依頼すると、負担感が強くなります。
細かい確認が苦手な部下に対して、そのことを知らずに、顧客リストの細かい数字の管理を依頼していたらどうでしょう。部下は自分の苦手な仕事を依頼されたことで負担感が強くなり、意欲を持って仕事に取り組めません。また、苦手としている内容のため、ミスも出やすく指摘を受けやすくなります。指摘を受けると、自己肯定感や自分の存在意義が低くなり、仕事全体に対するモチベーションも下がっていきます。

また仕事が簡単すぎたり、仕事のマンネリ化などが起きるとやりがいを感じられなくなり、やる気がて低下します。

上司が楽に仕事をできるように部下に仕事を依頼するのではなく、部下の成長のことを意識して適切な仕事を依頼することも大切なポイントです

ネガティブフィードバックしかしない

ネガティブフィードバックしかしないことも、部下のやる気を下げてしまいます。自分の能力や価値を低く評価するようになってしまうためです。
自分の能力や価値を低く評価すると、「自分がやってもどうせダメだ」というような思考になりやすく、仕事に対して前向きに取り組めなくなります。

特に最近の社員はネガティブフィードバックへの耐性がなく、ネガティブフィードバックを受け止められずに精神的な不調を起こしてしまう人もいます。

もちろん、仕事をより良くするために指導は必要です。ですが、ポジティブフィードバックも合わせて伝えるようにすることで、部下のやる気を下げすぎないように成長を促せます

このような言動は意外に無意識にとってしまいがちです。上司の方は自分を冷静に客観視する時間を作って内省しましょう。

管理職の悩みとは?│解決するための有効な対処方法も説明の記事では、具体的な事例もご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

3)部下のやる気を下げてしまう組織の特徴3つ

1章で説明した部下のやる気を引き出すポイントを組織が妨害している場合があります。具体的な特徴を3つ紹介します。組織として当てはまる要素があると感じたら、人事や組織に掛け合って対応してもらえるように促しましょう。

組織が掲げている理念を全うしようとしていない

組織が掲げている理念を全うしようとしていないことがわかると、部下のやる気は下がります。組織への貢献意欲が弱くなるためです。

社員は企業理念やビジョンに共感して入社を決めています。にもかかわらず実際に中に入ってみると、それらを実現しようという意識が弱いと組織に裏切られたような感覚になるでしょう。

組織が掲げている理念と実情が伴っていない場合は、そのことによって部下のやる気が下がってしまっていることを伝え、組織としてどのように対策するかを考えてもらう必要があります

組織が公平に評価していない

組織が公平に評価していないと、部下のやる気は下がります。頑張っても意味ないと思うためです。

例えば、仕事の成果や関係性などで評価するのではなく、個人的な好みや個々の利害関係で評価を変え、給与や昇進などを決めていることを知ると、頑張っても意味ないと思い、やる気がなくなります。

ただ、部下は組織の全体を見られているわけではないため、なぜ組織の評価が公平でないと感じるのかを確認し、上司としても納得する部分があれば、上長や人事に評価制度について確認してみましょう。もし評価が公平に行われていない場合は、組織として改善していかなければいけません

目標を共有していない

組織としてどこを目指しているのか、自分たちに何を達成して欲しいのかが共有されていないと、部下のやる気は下がります。今ある仕事を進めていくだけだと、この先にどんなゴールが待っているのかが見えないためです。

そもそもやる気は目指すところがないと生まれません。こうなりたい!とかこれを達成する!というゴールがあるからこそ、そのために行動できます。
そのため、組織が目指していることとその理由、そのために今年達成したいことや部署ごとの目標は部下が理解できるように共有する必要があります。

もし組織や人事からそのような目標が共有されていない場合は、対応策として上司が確認して部下に伝えてあげましょう。ただ、根本的に組織として社員全員が同じ方向を向いてやる気を持って進めるように組織全体で目標を共有することは大切です。

組織としてこのような特徴がある場合は、根本的な対策が必要になります。ただ、まずは部下のやる気を引き出すために上司としてできる範囲のことを行って、部下のやる気に繋げられるようにしましょう。

研修成功事例集

参考:仕事で評価されない→モチベーションが保てない時の対処法|脱ハラのすすめ

4)部下のやる気を引き出した事例

当社で支援している美容器具メーカーの新入社員の方で、初めは言われたことしかやらず、やる気がなくて人事の方がとても心配されていましたが、9ヶ月後には主体的に行動できるようになった方がいらっしゃいましたので紹介します。

<企業情報>
●業種:美容器具メーカー
●規模:300名程度
●社員の職種:新入社員 営業職

<アーティエンスでご支援したこと>
公開講座
4月の導入研修(社会人の自覚研修ビジネスマナー研修ビジネススキル研修上司との協働体感研修
5月(仕事と自己成長をつなぐ研修
6月(巻き込み力向上研修
7月(関係性構築力研修
8月(ロジカルシンキング研修
1月(問題解決力研修
3月の研修(1年目フォロー研修

※研修ごとに社員の様子や育成フォローについてフィードバック・アドバイス

パルスサーベイGrowth
毎月1回実施し、レポートを社員と人事の方に共有
人事の方のサポート
毎月1回実施していた人事向け勉強会で対話を通しながら人事としてできることを探求

入社当時は、周囲から見ると、向上心ややる気が感じられない状況でした。
具体的には、先輩との営業同行にて、予定よりも早めに同行が終了したため「(業務時間終了まで、自社商品が陳列されている)店舗を視察して回って帰ったら?」と先輩が新入社員に提案したところ、「別に大丈夫です」と断り、早々に帰宅してしまう」というようなことがありました。
言われた最低限のことはやるものの、より自発的に学ぼう・成長しようという向上心が感じられず、やる気のない「言われたことしかやらない社員」となっていました。

そんな社員に対して、アーティエンスの公開講座を受講していただくことで他社の新入社員から刺激を受けたり、育成方法についてのアドバイスを実施していただいたりしながら、徐々に社員の主体性を促していきました。
また、人事の方が上司やトレーナーとも連携し、新入社員に積極的に声を掛け、新入社員に寄り添った対応や育成を模索していきました。ランチに誘ったり、こまめに状況を確認してフォローするなど、新入社員を理解しようとする行動もしました。

その結果、自分が組織から受けていることへ感謝の思いが生まれて貢献意識が芽吹き、また、新入社員と上司の方に信頼関係が構築されていきました。そのような変化が生まれたことで、周囲のアドバイスを素直に受け取れるようになり、上司や組織の方のために頑張りたいという思いが出てくるようになったようです。

9ヶ月たった頃には、営業としてチームに貢献できるようにと、自発的にSNSマーケについて学んだり、報連相の頻度も高まっていったとのことです。最低限の仕事をやろうとするのではなく、「周囲や会社のため」を意識できるようになり、言われたことしかやらなかったやる気のない入社時と比べて大きな変化が生まれました。

このように、始めはやる気がなく、言われたことしかやらないと感じている社員も、やる気を引き出すポイントを意識して施策を行うことで必ず変化します。部下のやる気を妨げている原因を把握し、適切な施策を行うことで部下のやる気を引き出せるようにしましょう。

5)まとめ〜アーティエンスでは企業ごとの状況・要望に応じた研修をご提案します〜

本コラムでは、部下のやる気を引き出すために必要なことをお伝えしました。

部下のやる気を引き出すポイントはインサイド・アウトを促すことで、インサイド・アウトを促すためには次のような具体的な方法があります。

・視座・視野を広げる
・仕事の意義や目標を見出せている
・職場に心理的安全性がある
・良い関係性を築く
・こまめにフィードバックを受ける
・成長実感・成長予感を得る
・公平に評価される

ただ、上司の言動や組織の特徴として部下のやる気を下げてしまっている可能性があります。

部下のやる気を下げてしまう上司の言動6つ
・自分の意見や価値観を押しつける
・部下のありたい姿を確認しない
・部下から信頼してもらえるような言動をしていない
・部下を自分の手下のように扱っている
・適切な仕事を任せていない
・ネガティブフィードバックしかしない


●部下のやる気を下げてしまう組織の特徴3つ
・組織が掲げている理念を全うしようとしていない
・組織が公平に評価していない
・目標を共有していない

これらのことを行っていないか客観的に自身のことを振り返り、部下のやる気を下げてしまっている要因をなくしていきましょう。

なおアーティエンスでは、企業の状況に応じて、効果的な研修プランをご提案します
部下のやる気が下がる要因は組織によってさまざまです。部下がやる気が出ない要因を解明し、解消していくことで部下のやる気を引き出す一歩を踏み出せるようにしましょう。

例えば・・・
育成担当者・OJTトレーナー研修
心理的安全性向上研修
管理職のための目標設定・管理研修 など

まずはお気軽にご相談ください。
部下のやる気を高めて、仕事の質と成長の向上を期待できるようにしましょう。

研修でお悩みの方へ

研修は、内容次第で成果が大きく変わります。もしも現在、自社の課題を解決できる最適な研修を探しているのであれば、アーティエンスまでご相談ください。

新入社員研修から管理職研修、組織開発まで、お客様の課題解決にこだわり、多くの実績を生み出してきたプロフェッショナルが、貴社の課題にあわせた最適なプランをご提案させていただきます。

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