新任管理職のためのヒント|6つの心構えと7つの基本スキルを押さえて失敗を回避しよう

更新日:

作成日:2023.9.1

新任管理職

新たに管理職・マネージャーに着任する方の中には、これまでとは違う役割や職務内容に対して不安や疑問を抱えている方もいます。
管理職が求められる役割や職務内容は多岐に渡り、また時代やビジネス環境の流れと共に変容もしていきます。

そこで本コラムでは、新任管理職の方が管理職としての役割を果たせるようにするための心構えや必要なスキルについてご紹介します。新任管理職が管理職として素晴らしい成果を上げ、経営層からも期待されている状態を作れるようにしましょう。

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このコラムで分かること

  • 新任管理職が持つべき心構え
  • 新任管理職が陥りがちな失敗
  • 新任管理職が身に付けたいスキル
執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革


研修成功事例集

1)新任管理職に伝えたい6つの心構え

新任管理職に伝えたい、管理職としての心構えを6つにまとめて紹介します。

・組織の成長を考える
・部下やチームの成長を考える
・部下と共に学び続ける
・リーダーシップへの自己認知を深める
・責任を背負う覚悟を持つ
・自身でストレスコントロールする

順番に説明します。

組織の成長を考える

組織の成長を考えることは、新任管理職に持ってもらいたい管理職としての心構えです。組織が目指している方向性と合致した仕事ができていると、持続的な成功を達成できるからです。

組織のニーズに合わせた新たな戦略やアプローチを検討し、市場の変化に柔軟に対応することで、組織の成長を促すことができます。また、組織の成長を考えたときに、社員の育成の重要さに気づき、自身が管理職としてのリーダーシップの重要性を理解するでしょう。

もし、管理職が組織の成長を考えない場合、組織全体の競争力や持続可能な発展に影響を及ぼす可能性があります。

例えば、新任管理職が自身の部署や業務だけに焦点を当て、組織全体の戦略やビジョンを無視すると、部門間の連携や情報共有が滞ります。その結果、部門間のコラボレーションが低下し、効率的な業務遂行や新たなビジネスチャンスの発見が難しくなります。
また、組織の成長に向けた戦略的な計画や改善活動を怠ると、市場の変化や競合他社の台頭に対応できなくなる可能性があります。例えば、業界のトレンドに対応せずに旧来の方法に固執すると、新しいビジネスモデルやテクノロジーの導入が遅れ、競争力を維持できなくなります。

このように、組織全体の長期的な発展を考え、戦略的な視点で行動することは、管理職になる際に持っておきたい心構えです。

部下やチームの成長を考える

部下やチームの成長を考えることは、管理職としての心構えに不可欠です。部下やチームの成長を促進することで、個々のモチベーション向上や能力の最大限の発揮が可能になり、組織全体のパフォーマンス向上に寄与するからです。
もし、部下やチームの成長を考えない場合、チーム内のモチベーションやパフォーマンスが低下し、結果的に組織全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、新任管理職が部下の成長を無視して業務だけに集中すると、部下は自身のスキルアップやキャリアの成長機会を与えてもらうことができません。このような状態だと、モチベーションが低下し、業務の質や量が低下してしまいます。
また、成長機会の欠如は優秀な人材の離職につながることもあります。部下が自身のキャリア成長を感じられない場合、競争力のある職場を求めて転職を検討するためです。これにより、人材の定着率が低下し、組織の安定性や継続的な成長が阻害される可能性があります。

このように、部下やチームの成長を考えることは、組織全体の成長を促進するために、管理職として欠かせない心構えです

部下と共に学び続ける

学び続けることは、新任管理職に持ってもらいたい管理職としての心構えです。部下との協力的な学習姿勢は、結束力を高めるためです。
現代のビジネス環境は変化が速く、新たな知識やスキルの習得が求められます。チームとして何ができるのかをメンバーと一緒に考えて共創していくことで、チームの関係の質も成果の質も高まります。

もし管理職が学び続けることを怠ると、組織やチームに以下のような悪影響が生じる可能性があります。

【知識の陳腐化】現代のビジネスは急速に変化しています。新しい技術や戦略が次々に登場する中で、学習を怠ると知識が古くなり、意思決定の質が低下します。

【チームのモチベーション低下】
管理職が成長の姿勢を見せないと、部下も学びを怠る可能性が高まります。これによってチーム全体のモチベーションが低下します。

【競争力の喪失】他の組織や競合他社が進化し続ける中で、学び続けない管理職は競争力を失い、市場での地位を失う可能性があります。

【イノベーションの欠如】新たなアイディアやアプローチを学ばない限り、組織内でのイノベーションが減少し、業績向上のチャンスが逃されるかもしれません。

このような状態になってしまっては、組織として成長しないどころか存続も危うくなってしまいます。このような悪影響を起こさないようにするためにも、新任管理職として部下と共に学び続けることは大切です。

責任を背負う覚悟を持つ

責任を背負う覚悟を持つことは、新任管理職に持ってもらいたい管理職としての心構えです。
自分で判断することができないと、全てのスピードが遅くなり時代に取り残されてしまうためです。

もし、管理職が責任を背負う覚悟を持たず逐一確認をしていると、仕事はなかなか前に進みません。また、自分で責任を負わずに他責にすることがあると、メンバーからは信頼されず、新しい物事が生まれなくなります。新しいことをして失敗すると怒られるためです。
責任を背負う覚悟のない管理職は自分で判断をすることをしないため、経営者から言われたことを何でも受けてメンバーを苦しめることも起きる可能性があります。メンバーに対しては「経営陣からやれと言われたから」という理由で説明し、そこで何かあったら「メンバーが〜〜だったから」と経営陣に報告するでしょう。

このような状態になってしまったら組織の成長を妨げることになります。組織の成長を考える管理職には責任を背負う覚悟を持つことが必要になります。

リーダーシップへの自己認知を深める

リーダーシップへの自己認知を深めることも、新任管理職にとって不可欠です。自己認知を高めることで、自身の強みや成長すべき点を正確に把握し、効果的なリーダーシップを発揮できるからです。

自己認知を深めないと、自身はリーダーシップを発揮しているつもりでも、メンバーとのコミュニケーションがうまくいかなくなる可能性があります。他にも、自分のスタイルや強み・弱みを誓いできていないことで、うまく役割分担を行えず、品質の低いアウトプットしか出せなくなる可能性もあります。そうなると、メンバーも活き活きと仕事をすることはできません。

このような状態を避けるためにも、新任管理職は自身のリーダーシップスタイルに対して自己認知を深めていくことが大切です。自己認知を持つことで、メンバーとのコミュニケーションやチーム運営に役立ちます。

【参考コラム】
今、管理職に必要なリーダーシップ研修|成功の鍵は「メンバーのリーダーシップ発揮」への意識

自身でストレスコントロールする

自身でストレスコントロールすることは、新任管理職に持ってもらいたい心構えです。管理職は多忙な業務やプレッシャーにさらされることが多くなるたです。ストレスを効果的にコントロールすることは、健康な判断力やリーダーシップを保つために重要になります。

もし、管理職が自身でストレスコントロールを行えない場合は、管理職がイライラや不安を表に出しやすくなり、チームメンバーに負の影響を及ぼします。そうするとコミュニケーションが難しくなり、メンバーはストレスや緊張を感じて作業環境が悪化することが考えられます。

また、ストレスを抱えたまま業務に取り組むことで、判断力や集中力が低下し、業務の品質や効率が悪化するリスクも存在します。さらに、ストレスが長期間続くと身体的・精神的な健康への影響も出てきます。

このように、管理職が自身でストレスコントロールをすることは、管理職自身だけでなくメンバーの仕事の質にも繋がるため重要な心構えです。

組織の成長に繋げるためにも、このような6つの心構えを新任管理職に持ってもらうことが必要です。

【参考コラム】管理職研修の必要性を経営者・管理職に理解してもらうためのアプローチ

2)新任管理職が陥りがちな5つの失敗

前述した心構えがないことで、新任管理職が陥りがちな5つの失敗は次の通りです。

・自分の成長や成果を追い求める
・上からの指示をただ伝えるだけのメッセンジャーになる
・自分のやり方が正解だと思い込んでいる
・仕事を部下に任せられない
・メンバーとの関係性が築けない

これらについて順番に説明します。

自分の成長や成果を追い求める

新任管理職は、自身の成長や成果を追い求めようとしてしまいます。これは、プレイヤーの感覚が抜けていないことで起こります。
管理職になる方はプレイヤーとして優秀な人が多いため、新任のうちはプレイヤーとしての意識が抜けづらいです。

例えば、自分のチームが成績1位を獲ることを目指して、メンバーの理解を得られていないまま、無茶な仕事量を依頼したり、メンバーの管理はしないで自分もプレイヤーの一人となって成果を追い求めるというような状態になります。
このような状態では、メンバーから頼りにされる管理職にはなれず、メンバーと管理職の距離が離れてしまうため、マネジメントの難しさで苦しむことになります。

そうならないためにも、自身の成長や成果ではなく、チームのモチベーションを保ち、成長を促すことで組織に対して成果を出していく、という考えに切り替えることが必要です。

【参考コラム】管理職の能力不足に陥る原因とその解決方法を徹底解説

上からの指示をただ伝えるだけのメッセンジャーになる

新任管理職がよく起こしがちな失敗として、上層部から言われたことや、部下から言われたことをただ伝えるメッセンジャーとしての役割になってしまう、ということがあります。これは、自身の役割を把握できていないために起こります。
管理職は、言われたことに対して背景を深掘りして確認し、相手の立場に立って考えた上で適切に伝えることが求められます。

例えば、経営層から「今年中に売り上げを5,000万作りたいから頼むね」と言われたことを、そのままメンバーに伝えたところで、批判が起こり仕事量が増えそうという予感から仕事に対してモチベーションが下がってしまいます。
管理職は、経営層から伝えられたことに対して、メンバーへどのように伝えたら、理解してくれて前向きに仕事を取り組んでくれるかを意識して言葉を変える必要があります。例えば次のようなイメージです。「今年中に売り上げを5,000万作ることを求められています。一見ものすごくハードルが高さそうな数字に見えますが、現時点で2,000万の利益が生み出せることは確定しています。残りの3,000万分の売り上げについては、このようにしたら達成できると考えてみたんだけど、みんなの意見を聞かせてもらえますか。」

このように、組織や部下・チームがどのようにしたら成長するかを考えて相手に納得してもらいやすい言葉に翻訳することが必要です。

自分のやり方が正解だと思い込んでいる

自分が今まで成功してきたやり方しか正解がないと思っていると、部下の育成が難しくなります。それぞれに得意・不得意も仕事の進め方も異なるためです。また、時代の変化によって新たなツールをうまく活用することもできます。

例えば、営業は実際に会って話すことで契約に繋がるんだという考えの管理職がいたとします。そのため、部下がオンラインの訪問を行うことに対してネガティブなフィードバックを行うことがあるかもしれません。しかし、オンラインでは意味がないというのは数字的に本当なのかを疑う必要があります。数字で見てみると、会って話す時と契約の割合が変わらないこともあります。

自分のやり方を押し付けるのではなく、部下と共に学び続けて柔軟に対応することが管理職には必要です。

仕事を部下に任せられない

「まだ任せられるだけの能力が部下にない」と考えてしまい、人に任せるということをしない、ということも新任管理職が起こしやすい失敗です。これは、自分で仕事をした方が仕事が早いとか、部下のフォローが大変、部下に任せられないという思いから起こります。

しかし、部下に仕事を任せることは、人材育成や業務を効率的に進めるうえで非常に重要です。部下の成長を促せないといつまで経っても自身がプレイヤーとしての仕事も行わなければいけなくなります。一時的には問題ないかもしれませんが、管理職としての役割を抱えながら管理職がプレイヤー時代と同じような仕事量をこなすことは難しいです。
また、部下からすると、仕事を回してくれない管理職に対して、「自分のことを頼りにしてもらえていないんだな」「自分の成長機会を奪われているな」というネガティブな印象になります。

管理職として責任を負う覚悟を持って小さいことからでもいいので少しずつ部下に仕事を任せる練習を行い、部下の成長と自身の業務量と組織の成長のバランスを取れる割合を探すことが必要です

メンバーとの関係性が築けない

新任管理職がよく起こしがちな失敗として、メンバーとの関係性が築けない、ということがあります。自分の仕事で忙しすぎてイライラしていたり、自己認知が不足すると、自分の行動が周囲に与える影響がわからなくなってしまうためです。
しかし、メンバーとの関係性が築けていない状態で、チームとして成果を出すことは難しいです。

例えば、自分が急用ができてしまって、メンバーに仕事を依頼しても、「いつも助けてもらっているので、任せてください!」という状態にはなりません。「上司から言われたから断ることできないし、自分の仕事が増えて本当や嫌だけど、やっておきますよ」という心情になるでしょう。このような感情で良い仕事をすることはできません。

チームとは本来、助け合い、協力しあって、1人では達成できないことを成し遂げるために作られています。しかし新任管理職とメンバーの関係性が築けていないと、むしろ足を引っ張り合うことも起きかねません。
チームとして良い状態をつくるためにも、新任管理職は自己認知を深めてストレスコントロールを行い、メンバーとの関係性を深められるようにしていく必要があります。

新任管理職は、管理職としての心構えがないことでこのような失敗を起こしやすいです。このような失敗を軽減できるような対策を組織として行うことが必要になります。

3)新任管理職がまず身に付けたい7つのスキル

新任管理職が管理職の心構えを仕事に落とし込む際に必要なスキルを7つ紹介します。

・目標設定・管理力
・育成・評価スキル
・チームビルディング
・情報の理解と伝達・共有
・職務権限に基づく意思決定・決裁
・アンラーニング
・労務管理・健康管理

順番に説明します。

目標設定・管理力

新任管理職は目標設定・管理力を行うスキルが必要です。目標に向かってメンバーがモチベーション高く仕事に取り組んでもらえるようにするためです。

例えば、アーティエンスの管理職のための目標設定・管理研修では、目標設定のプロセスを学び、目標達成への動機づけを促す仕組み創りを理解するためのワークを行います。

★ワークの内容をイメージできる画像があれば入れたいです。

そうすることで、目標に対するメンバーの納得感やモチベーションを醸成することができ、メンバーがそれぞれ、主体性と当事者意識を持って目標達成へのコミットメントを高く仕事に取り組むことができる状態を作ることができます。

評価・育成スキル

チーム内のメンバーの評価や育成を担うスキルも必要です。メンバーの成長がチーム、そして組織の成長と評価につながるためです。

アーティエンスでは、評価について次のように考えています。

当社の管理職基礎研修では、評価の形を学び、評価を育成に繋げる方法をお伝えしています。

評価することに苦手意識のある新任管理職の方も成長を促すことにつながると考えることで、評価に対する負担感を軽減することができていました。また、育成については、ティーチング、フィードバック、コーチングの知識があると、成長に繋げられるようになります。

ティーチング
ティーチングとは、話し手が 知識・技術・意欲・考え方を伝え、それにより部下は必要とされるスキル・スタンス を体得し、かつ業務遂行に向けての行動が強化されることです。そのため、ティーチングの結果として「部下の行動が強化されたか」に注目することが大切になります。

指導をするというと、一方的に伝えるようなイメージを持ちやすいですが、相手の認識・理解があって初めて成り立ちます。ただ伝えればいいのではなく、相手が理解できるように伝えるということを意識して指導をしましょう。

ティーチングについて詳しく知りたい方は、【具体例から学ぶ】部下育成のためのティーチングとコーチングの使い方をご覧ください。

フィードバック
フィードバックは、何らかの出来事に対して改善や強化を行うことができるため、日々の業務を成長に繋げていくことができます。部下へのフィードバックで大切なことは次の3つです。

1)課題を明確に把握したうえで、フィードバックができたか
2)部下の行動を(是正し)強化する為の指導方針を取れているか
3)部下がフィードバック内容を納得し、行動するように伝えられるか

若い社員はフィードバックについてネガティブなイメージを連想しがちです。「フィードバック」という言葉を聞くだけで、人間は不安や居心地の悪さを感じ、「闘争・逃走反応」といったストレス反応が起こることが、脳科学の分野でも証明されています。そのため、育成におけるフィードバックの考え方や効果的に行うためのポイントを理解しておくことが必要です。

フィードバックについて詳しく知りたい方は、新入社員育成のカギ!フィードバックする時に知っておきたい5つのポイントをご覧ください。

コーチング
コーチングは、(上司から部下への)一方通行ではなく、双方向でのコミュニケーションから課題を見出し、解決していく手法です。そのため、部下の自律・自走を促すことに繋がります。
一方的に答えを「与える」のではなく、相手(部下)から答えを「引き出す」機会を持ち、かつ行動に移させることが大切です。

コーチングについて詳しく知りたい方は、【具体例から学ぶ】部下育成のためのティーチングとコーチングの使い方をご覧ください。

このように新任管理職として、部下一人ひとりに当人たちの特性や性格、長所・短所を踏まえた、指導・育成・評価を行っていき、ときに役割や配置の調整を行いながら、チーム全体の業務品質を向上・安定させていくことが求められます。

チームビルディング

チームが円滑に機能していくうえでのチームビルディングやモチベーション管理も新任管理職に必要なスキルの一つです。チームメンバーのモチベーションが低いと、質の悪い仕事になってしまうためです。

そのためには、メンバーそれぞれのリーダーシップを解放し、シェアド・リーダーシップの実施に取り組むことが必要です。
シェアド・リーダーシップとはまさに「リーダーシップを、シェアする」という考え方です。全員発揮のリーダーシップとも言われます。その場その場で、最適だと思われるメンバーがリーダーシップを発揮して、他のメンバーはフォロワーシップを発揮するという考え方です。リーダーとフォロワーが流動的になります。
アーティエンスの管理職のための全員発揮のリーダーシップ研修では、「シェアド・リーダーシップ」を理解し、管理職としてどのように取り入れ、メンバーへ働きかけていけばよいのか学びます。

新任管理職として、メンバーそれぞれの強み・可能性を活かしたリーダーシップを発揮できるようにすることで、チームとして共に助け合いながら、成果を出している状態になります。

情報の理解と伝達・共有

チームが円滑に業務遂行を行えるために必要な情報を入手、伝達、共有していくことも新任管理職に必要なスキルです。情報が円滑に共有されないと、トラブルや仕事の遅延につながるためです。

2章でお伝えした例のように、経営層から「今年中に売り上げを5,000万作りたいから頼むね」と言われたからと言って、そのままメンバーに伝えるのではなく、メンバーのモチベーションを生み出せるような言葉に言い換えて伝えることが必要です。
また、管理職から伝えた情報に対して、チームで対話(ダイアログ)を行い、チームの一体感の醸成やメンバー一人ひとりの動機づけへとつなげることも大切です。

アーティエンスの管理職基礎研修では、対話(ダイアログ)とディスカッションの違いを理解し、実践する場を設けています。

管理職になる人の特徴として、効率的に物事を進めたいという気質を持っている人が多いため、意味のない時間に思われるかもしれません。しかし、対話(ダイアログ)でのコミュニケーションによって、チームの一体感を醸成することにつながります。

新任管理職としてチームの一体感を作るために情報の伝え方や共有方法を工夫しましょう。

職務権限に基づく意思決定・決裁

管理職なるとは職務権限を持つため、新任管理職は自身の権限に基づく意思決定や決裁を行うためのスキルも必要です。自身で責任を持って決めることができないと仕事が前に進んでいかないためです。

権限の範囲は組織やチームによって異なりますが、例えば以下のようなものがあります。

・部(チーム)の事業計画および予算の決定
・メンバーの業務内容の決定および承認
・部(チーム)内における会議の意思決定または方針決定
・メンバーの勤怠(有給やシフト給、残業申請等)に関する承認および決裁
・部(チーム)内で発生する契約・外部注文等の承認または決裁
※ 上記項目にて、最終決裁を本部長および役員が担われるケースも多くあります。

自分で責任を持って判断できるようになるためには、システムシンキングや問題解決力、ロジカルシンキングが必要です。
システムシンキングによって、複雑に絡み合う組織課題・事業課題を根本的に解決する方法を見つけ、問題解決力によって課題を明確にしたり課題の真因を探します。そしてロジカルシンキングによって思考を整理して最終的な判断を行えるようにします。

新任管理職となると今までよりも責任の重い判断をしなければならなくなります。その際に、自身の判断に自信を持って仕事をするためにも、思考を整理するスキルを身につけ、意思決定を行えるようにしましょう。

アンラーニング

新任管理職にはアンラーニングのスキルも必要です。目標達成までのプロセスについて、メンバーそれぞれのやり方を受け入れられるようになるためです。

アンラーニングとはこれまでの価値観・知識・スキルなどを一旦手放し、新たに学びを得ていくことを指します。管理職のアンラーニングは、変化の大きい今のビジネス環境に適応していくため、そして、管理職自身やメンバーの成長のために、必要不可欠なものです。

アーティエンスの管理職のためのアンラーニング力向上研修では、深い内省を行なって管理職自身の思い込みや価値観、囚われている成功体験・持論に気付きます。そして管理職自身が、チーム活動やメンバーに対して(意識・無意識レベルで)及ぼしている悪影響と好影響を理解します。

管理職が過去の成功体験や持論をアップデートし、メンバーの挑戦を支援できる状態になると、メンバー、チーム、組織の成長に期待をできるようになります。

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労務管理・健康管理

チーム内のメンバーが業務に集中できる環境を目指すうえでの、労務管理・健康管理も新任管理職に必要なスキルです。メンバーが100%の力を発揮できないと、チームの成果やモチベーションが低下してしまうためです。

労務管理・健康管理の主な業務内容としては、以下が挙げられます。

・メンバーの労働時間や勤務時間の管理
・メンバーの配置、移動の決定と管理
・給与・福利厚生についての業務(人事部のフォロー的なアクションとして行われることが多い)
・安全衛生管理
・社員のライフイベントに沿って生じる必要な諸手続きの管理

これらについては、組織で定められているルールを理解しておくことはもちろんのこと、メンバーが嘘をつかずに申請を行う関係性が作られていることが必要です。
過去に、メンバーの方が業務時間内に終わらせないと管理職から怒られるからという理由で、業務時間を実際より短い時間で申請している、とお話しされている方もいました。
このような状態になってしまっては、管理職はメンバーが辛い思いをしていることに気づくことができず、適切なフォローができません。

そのため、メンバーが申請の内容や有給の調整などを素直に話しても問題ないと思える関係性を築いておくことが重要です。

新任管理職にはこのようなスキルが必要です。新任管理職となる人に足りていないと感じるスキルがあれば、組織として学ぶ機会を提供しましょう。そうすると、チームメンバーそれぞれやチーム全体としての仕事の質が高まり、組織の成長につながります。

4)まとめ〜アーティエンスでは、新任管理職を管理職研修でサポート〜

本記事では、新任の管理職の方が管理職としての役割を果たせるようにするための心構えや必要なスキルについてご紹介しました。

新任管理職に伝えたい、管理職としての心構えは次の6つです。

・組織の成長を考える
・部下やチームの成長を考える
・部下と共に学び続ける
・リーダーシップへの自己認知を深める
・責任を背負う覚悟を持つ
・自身でストレスコントロールする

組織の成長に繋げるためにも、このような6つの心構えを新任管理職に持ってもらうことが必要です。

心構えがないことで新任管理職が起こしがちな失敗としてよくあるのが次の5つです。

・自分の成長や成果を追い求める
・上からの指示をただ伝えるだけのメッセンジャーになる
・自分のやり方が正解だと思い込んでいる
・部下に仕事を任せきることができない
・仕事に振り回されて自分でコントロールできない

このような失敗を軽減できるような対策を組織として行うことが必要になります。

新任管理職が管理職の心構えを仕事に落とし込む際に必要なスキルを7つ紹介します。

・目標設定・管理力
・育成・評価スキル
・チームビルディング
・情報の理解と伝達・共有
・職務権限に基づく意思決定・決裁
・アンラーニング
・労務管理・健康管理

新任管理職にはこのようなスキルが必要です。新任管理職となる人に足りていないと感じるスキルがあれば、組織として学ぶ機会を提供しましょう。そうすると、チームメンバーそれぞれやチーム全体としての仕事の質が高まり、組織の成長につながります。

アーティエンスでは、新任管理職を管理職研修でサポートしています。当社の管理職研修は、パフォーマンスなど短期的な成果を高めることと、チーム力など中長期的な成長を促すことを目指しています。ぜひまずはお気軽にご相談ください。

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