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新任管理職研修の成功に必要な3つのポイントとは?具体的な研修の実施方法も解説

 ビジネスシーン

2023/8/1更新ー2022/10/28作成ー

「新任管理職研修、どう進めればよいだろう」と考えて、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。

実は今、多くの企業が新任管理職研修の見直しをせまられています。なぜなら、コロナを含めた働き方・価値観・ビジネスモデルの変化に現状の新任管理職研修が追い付いていないと感じているためです。

そこで今回は今の時代に適した新任管理職研修 をお伝えいたします。

本コラムを最後まで読んでいただくと、今の時代に必要な新任管理職研修が理解できます。そして、新任管理職研修の企画アイディアを持って帰ったり、研修会社に外注する場合には、適切な新任管理職研修を選択することが可能になります。
※ 当社コラムにおいて、書籍のご紹介のみAmazonアソシエイトプログラムを実施しています。

執筆者プロフィール

迫間 智彦

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

 

1)新任管理職研修はパラダイムシフトのために行う

新任管理職研修を行う目的とは、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」です。

管理職になり、今まで求められていた役割と変わります。
ただ、役割が変わったことを伝えるのではなく、自身の取り巻く世界が大きく変わり、その新しい世界でパフォーマンスを出していく必要があります。

例えば、一般社員の場合は、基本的には自身の成果と成長にのみコミットします。
トレーナーであっても、育成の一部のみになります。

管理職は、チームの成果と成長にコミットするために、下記の役割があると言われています。

・部(チーム)における業務遂行
・職務権限に基づく意思決定・決裁
・情報の伝達と共有
・メンバーの育成・評価
・チームビルディング
・モチベーション管理
・労務管理・健康管理
・コンプライアンス管理
・プレイヤー業務
・リーダーシップの発揮

管理職の役割に興味がある方は、下記コラムもぜひお読みください。
コロナ禍で変化した管理職の役割とは?~自組織にマッチした管理職の役割を再定義しよう~

このようにただ管理職として、役割が変わったということではなく、新任管理職研修を通して、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」が必要です。

2)よい新任管理職研修に必ず含まれる3つの内容

新任管理職研修を通して、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」ためには、研修の内容自体が良いものでなければなりません。

「講義を聞いて終わりの研修」は、頭では理解できますが、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」は起きないでしょう。
また、「管理職になるタイミングで、厳しい研修をして、意識変革を起こす」というものもありますが、こちらもその場を取り繕うだけで、意味がありません。

よい新任管理職研修の内容で抑える必要があることは、3つです。
それぞれを説明していきます。

①VUCAと言われる今の時代にあった役割認識
②新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法
③チーム力を高める知識・スキル

①VUCAと言われる今の時代にあった役割認識

よい新任管理職研修の内容は、VUCAと言われる今の時代にあった役割認識を伝えていくことが必要です。

一昔前の管理職の役割を伝えてしまうと、昔の文脈でパラダイムシフトが起きます。そうすると、今にそぐわないため、新任管理職は役割を全うできず、チーム・組織に対して悪影響を与えます。

例えば、今の時代のマネジメントは、最適解を探すのではなく、適応解(やってみる価値)があるものを探すことが重要だと言われています。変化のスピードが速すぎるので、最適解を導き出すことはできず、その状況に適応していくマネジメントが求められています。

※ 管理職がどのように変わってきたかを知りたい方は、下記コラムも読んでいただければと思います。
「管理職って何?」~時代とともに変わってきた管理職の定義とは?~

このようにVUCAと言われる今の時代にあった役割認識を伝えていくことが必要です。

【参考】VUCAとは VUCAは「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を並べたもの軍事用語です。冷戦後より戦略が複雑化した状態を表現して用いられたと言われています。

近年では、ビジネスにおいても「VUCAワールド」「VUCA時代」という表現でも用いられています。
特に、IT革命以降、VUCAは加速されたと言われており、withコロナにおいてもさらに加速したと言っていいでしょう。今までの勝ちパターンが通用しなくなっており、今までの正解が不正解になる場合もあります。組織も、人も、変わり続ける状況に適応する必要がある時代です。

【参考】時代の変化に関して
心理的安全の日本の権威である石井遼介氏は、「心理的安全性のつくりかた」の中で、
下記のように時代の変化を定義しています。

下記の表からも、時代にあわせた新任管理職研修が必要だということが明確でしょう。

正解のある
これまでの時代
正解のない
これからの時代
人材・チーム 優秀なチーム 早く・安く
ミスがないチーム
探索・挑戦し
失敗や実践から学べる
必要な人材 言われたことが
きちんとこなせる
変化を感じ、工夫や
創造することができる
コミュニケーション トップダウン さまざまな視点からの率直な対話
マネジメント 目標設定 昨年対比で数%向上 現状の延長線上にない
意義あるゴール設定
予算の配分 選択と集中 探索と実験
努力の源泉 不安と罰 適材適所と働く意味、
そしてサポートを与える
チームへのスタンス いま儲けろ 未来を創ろう

②新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法

よい新任管理職研修の内容は、新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法である必要があります。

「管理職は、こうあるべきだ!」と強いメッセージで伝えても、新任管理職は変わりません。今の時代、管理職になることに対して、ネガティブな方もいます。管理職が希望を持てるように、新任管理職自身でありたい姿を探求し、組織の考えと統合していく必要があります。

例えば、新任管理職研修の中で、経営者がこれから組織をどうしたいかを語り、その中で経営陣とともに自組織にとって、管理職像を探求してもいいかもしれません。組織が求める管理職像と、新任管理職自身が目指し希望の持てる管理職像が統合されます。

当社でよく行うアプローチとして、管理職に自組織の歴史を語り、そして未来を語りながら、管理職への期待を伝えていきました。そのあと管理職との対話をしていき、自組織の管理職像を創っていくということをします。そうすると、あるべき姿を押し付けられたやらされ感(アウトサイドイン)ではなく、ありたい姿を経営陣と共に描くということになります。

※ 管理職のあるべき姿とありたい姿に関して、説明したコラムもありますので、こちらもよろしければご覧ください。
管理職のあるべき姿は、時代・場所によって変わる。自組織にあった管理職像とは?

【参考】 経営陣・管理職が、自組織にとっての管理職像を探求したワークの風景  経営陣・管理職が、自組織にとっての管理職像を探求したワークの風景  経営陣・管理職が、自組織にとっての管理職像を探求したワークの風景

【参考】インサイドアウトとアウトサイドイン  インサイドアウトとアウトサイドイン インサイドアウト(内発的動機)と、アウトサイドイン(外からの働きかけ)は、卵をメタファー(隠喩)として例えられます。

インサイドアウトだと、自ら殻を破り、前向きな力強いエネルギーで挑戦していきます。アウトサイドインは、外からの働きかけなので、受け身が強くなり、前向きなエネルギーは出てこないばかりか、時には壊れてしまう可能性もあります。

よい新任管理職研修の内容とは、新任管理職のインサイドアウトが起き、希望を持てるアプローチ方法である必要があります。

③新任管理職が、知ってほしい知識・身に付けてほしいスキル

よい新任管理職研修の内容とは、「新任管理職が、チーム力を高める知識・スキル」を渡せるものです。

「新任管理職研修を行う目的とは?」でお伝えした通り、管理職の役割は多岐にわたり、全てを伝えても消化不良になります。もちろん参考内容として最低限の知識を渡したり、別のタイミングで伝えることは必要です。

新任管理者研修は、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」が目的です。管理職は、「チームの成果と成長にコミットすること」ため、それに即した知識とスキルを渡していく必要があります。

具体的に「新任管理職が、チーム力を高める知識・スキル」として、「成功の循環(Theory of Success)」(MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏提唱提唱)にそって、下記の知識・スキルを渡していくとよいでしょう。

・関係の質 : チーム学習を行うための心理的安全の場創りを行う
・思考の質 : パワフルな目標を創り、コミットを高める
・行動の質 : メンバーの推進力を高めるために、メンバーのリーダーシップを解放する
・結果の質 : 経験学習を通して、結果を次の成長の機会につなげる

【参考】 成功の循環(Theory of Success)とは
下記モデルは、好循環にも、悪循環にも回ると言われています。管理職がアプローチ方法を知れば、好循環にしていくことが可能です。

クリックで拡大

※ HRカンファレンス2021秋、当社講演資料より

顧客事例としては、一つご紹介させていただきます。

WEBサービス開発を行っている企業さま(社員200名)の方に、新任管理職研修を行いました。
ご相談いただいた時点では、下記のような課題がありました。

■組織課題に関して
・言ったもん負けの文化であり、仕事の押し付け合い
・数・量が多いことが、正しい
・変われないという諦め

■管理職の課題に関して
・多くの業務量があり、いつも疲れている
・抱え込んでいる管理職が多い
・会社の問題を分かっているが、改善を自らしない

新任管理職以外にも、すでに管理職として経験がある方にも参加していただきました。「会社として、共通認識・言語を持ってほしい」と、「管理職が全く憧れになっていない」という背景です。2年間研修を実施し、関係の質をどうやったら、好循環に回していけるかを、現場の仕事を通して向き合っていただきました。

■一年間を通しての変化
・業績がV字回復した(赤字から黒字に転換)
・管理職同士の連携するようになった(スラックが活性化した)
・経営者に対して、積極的に提言を行うようになった
・新サービスがリリース(10以上のサービスが立ち上がった)

このようによい新任管理職研修の内容とは、「新任管理職が、チーム力を高める知識・スキル」を渡せるものです。「新任管理職が、チーム力を高める知識・スキル」として、「成功の循環(Theory of Success)」(MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏提唱)を、渡していくとよいでしょう。

【参考】自組織にあった新任管理職研修とは?
新任管理職研修を行う目的とは、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」であり、下記3つの内容を抑える必要があります。

・VUCAと言われる今の時代にあった役割認識
・新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法
・チーム力を高める知識・スキル

ただし、自組織の新任管理職に伝えたいことや、習得してほしいスキルなどが出てくる場合もあります。それらは、消化不良が起きないようにするために学びの量を調整して、追加で実施していくとよいでしょう。

3)避けるべき新任管理職研修の内容

避けるべき新任管理職研修の内容は、3つです。

①昔の文脈の新任管理職研修になっている
②新任管理職に対して、「あるべき論」を押し付ける
③研修の学びのポイントが多すぎたり、実践的ではない

上記の内容は、今の時代に即していない研修です。時代が変わっているにもかかわらず、新任管理職研修の内容が変わっていないということです。

具体的な内容を、それぞれを説明していきます。

①昔の文脈の新任管理職研修になっている

避けるべき新任管理職研修の内容として、昔の文脈の新任管理職研修になっているということです。

昔の文脈の新任管理職研修とは、最適解を求める内容です。「物を作れば、売れる。だから論理的に考えて、大量生産を行う」という世界観であり、それは論理や一定のルールで対応が可能になります。この昔ながらの文脈の新任管理職研修は、今は避ける必要があります。

下記の写真を見ていただくとわかりますが、IT革命後で情報量が大きく変わり、世界は一変しました。 横浜、香港、ロンドンのほとんど同じ場所の写真です。 IT革命前後の横浜、香港、ロンドン ※ 当社、新任管理職研修より抜粋

さらにwithコロナになり、さらに世界は変わっていきます。この状況を考えれば、昔の文脈の新任管理職研修では通用しないことは一目瞭然です。

②新任管理職に対して、「あるべき論」を押し付ける

避けるべき新任管理職研修は、「新任管理職に対して、「あるべき論」を押し付ける」内容になっているということです。

あるべき論を提示するほうが、組織運営はやりやすいとういう利点はあります。ただし、大きな問題が2点あります。
一点目は、「多様性と言われる時代」と逆行しています。もう一点は、正解を提示し続けることで、次世代リーダー候補になる管理職は、常に正解を求める姿勢になってしまいます。

当社がご支援している企業さま(中小メーカー200名規模)でも、研修中に下記のような発言がありました。

・女性は、結婚して出産して辞めていくから、教えても無駄
・経営者が求めていることを、形にするのが私たちの仕事です

これは、今まで「あるべき論」を提示していたためです。蛇足にはなりますが、研修内で対話を丁寧に進めていき、最後には下記のような発言が出てきました。

・採用も難しく、一人当たりの生産性を高めないといけないのに、男性・女性と言ってられない。実は、女性の方が優秀なんだよな
・経営者の答えを探すのではなく、経営者が考えている以上の正解を自分たちで創っていく。答えを探していたら、よくても期待通りで止まってしまう

あるべき論として、答えを渡すのではなく、共に考えて、時代に即した管理職としてのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を促していく必要があります。

③研修の学びのポイントが多すぎたり、実践的ではない

避けるべき新任管理職研修は、「研修の学びのポイントが多すぎたり、実践的ではない」内容になっているということです。

研修テキストはとても分厚く、学んだ感はありますが、結局現場で活かせないということが起きます。
よくあるケースとして、昔ながらの講義スタイルで進んでいくものと、経営者・人事の方が多くの内容を詰め込んでしまうというケースです。

講義スタイルの場合は、ただ話を聴いて終わりで、実践的ではありません。いろいろな内容を詰め込むと、どうしても一つひとつの内容が薄くなり、ロールプレイングなどをしても、とても短い時間での実施だったりなど、何が大切だったか分からなくなってしまいます。

これでは、学ぶ量が多くても、現場で活用できませんし、避けるべき新任管理職研修と言っていいでしょう。

4)新任管理職研修で当事者意識・主体性を高めるために必ず抑えておきたいポイント

新任管理職研修で必ず抑えておきたいポイントとしては、2点あります。

①新任管理職自身と組織の未来と今を統合する
②新任管理職自身と組織の目の前にある課題を解決する

この2つは、新任管理職としての当事者意識と主体性を解放するために必要になります。
それぞれ説明していきます。

①新任管理職自身と組織の未来と今を統合する

「自身と組織の未来と今を統合する」ことで、当事者意識を持ちます。

「新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法」の内容の詳細になりますが、自身の未来と今しか考えないと、的外れな管理職になってしまいますし、組織が求めている管理職だと、「新任管理職に対して、「あるべき論」を押し付ける」でお伝えした内容になってしまいます。

具体的には、自身のありたい姿をもとに、組織・管理職のあり方と、自身と組織の強みを結び付けていき、現場でのアクションプランと結び付けていきます。イメージは下記図になります。

詳細は、下記コラムに記載していますので、こちらもよければご覧ください。
管理職の当事者意識・主体性を解放するには?~メッセンジャーからの脱却~  主体性 当事者意識

②新任管理職自身と組織の目の前にある課題を解決する

「自身と組織の目の前にある課題を解決する」ことで、新任管理職の主体性を育むことが可能になります。

「自身と組織の未来と今を統合する」のみだと、きれいごとで終わってしまうことがあります。
現場で起きている目の前の課題を解決することはできません。

「自身と組織の目の前にある課題を解決する」ためには、3つの方法があります。

・成功の循環(Theory of Success)にそって、知識・スキルを習得していく
・認識している課題に対して、徹底的に対話を行う
・自組織の課題に必要なスキルを習得する

「成功の循環(Theory of Success)にそって、知識・スキルを習得していく」は、「新任管理職が、知ってほしい知識・身に付けてほしいスキル」で説明していますので、ここでの説明は省きます。

「認識している課題に対して、徹底的に対話を行う」と、「自組織の課題に必要なスキルを習得する」の2つを説明していきます。

認識している課題に対して、徹底的に対話を行う

OST(オープンスペーステクノロジー)という手法を用います。
こちらは、紛争地帯でも用いられる対話のテクノロジーです。徹底的に対話をすることで、課題解決に対して、当事者意識と主体性を解放するという内容です。

【参考】OSTとは
『OST (オープンスペーステクノロジー)』 ハリソン・オーエン(Harrison Owen)氏により、1985年に提唱された。数人から数百人全員が一堂に会して話し合い、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を超えた問題解決への取り組みを促すファシリテーションのプロセスです。

「自身と組織の未来と今を統合する」のみでは、きれいごとだという話はよく起きます。

下記の導入事例(新任管理職研修の事例ではなく、管理職研修の事例です)でも、人事担当の方からそのような発言がありました。
進化し続けるチーム創りを行う管理職の育成ー株式会社ONE COMPATH 様

人事担当者のコメントを一部抜粋します。
※ 詳細を知りたい方は、上記リンクから事例をご覧ください。
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振り返ってみると正直、初日の研修は見学しながらも、少し混乱していました。これまでの研修は、事前に「こういうことを学べるだろう」という期待があって、その期待に研修がどれくらい応えてくれたか、という軸で評価をしてきた感覚があります。しかし、初日の研修は正解があるわけではなく、自分たちで見つけていくというスタイルだったので、戸惑いがあったのかもしれません。

一日目が終わった後に、参加者から「よく分からなかった。忙しい中意味があるのか?」といったネガティブな発言も一部あり、このままやっていけるのかな…という不安がありました。

ただ、二日目の研修で、管理職自身が解決したい課題を議論する、というOST研修で、現在進行形の話に焦点が集まり、管理職全体が同じ方向を向いたという印象を受けました。研修を見ている側として、「これは変化が起きるかもしれない!」という感覚が持てました。
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このように、「自身と組織の未来と今を統合する」、「自身と組織の目の前にある課題を解決する」の2つを抑えていく必要があります。

【参考 : 顧客事例】
ONE COMPATH 様は、新任管理職研修ではありませんが、本アプローチをすべて満たした事例になるので、こちらもよければご覧ください。
株式会社ONE COMPATH 様ー進化し続けるチーム創りを行う管理職の育成(2020年度の研修)
管理職が起点になって、VUCAを切り拓く(2021年度の研修)

自組織の課題に必要なスキルを習得する

自組織の課題を解決するためのスキルは何が適切かを考えます。

組織課題と管理職研修を繋げることで、企画側(経営者や人事)も本気になりますし、管理職も当事者意識を持ちやすくなります。

あるITベンチャー起業では、管理職は目の前の目標達成に必死でチーム力が高いとは言えない状況が続いていました。若手社員の離職も多く、将来の管理職候補も育たず、いつまでたっても管理職本人が数字を創るという状況でした。

この組織課題をどう解決していくか?を経営者・人事の方々と対話する中で、新任管理職研修の目的として”チーム力を上げるための風土を作る”ではどうか、という話になりました。

その目的をかなえるために、すぐに活用できるスキルとしてファシリテーション研修を実施することになりました。

研修内で、下記のような気付きを伝えることで変化が生まれました。

※ 当社ファシリテーション研修のテキストより抜粋

ITベンチャー起業の営業会議はまさにスライドのB社の状態でした。営業会議では、目標との差分をただ詰めるというような状況が起きていました。

これを、スライドのA社の営業会議のような目標・目的設定にするだけで、詰めるのではなく、チームで考えるという状況に変わってきます。

ファシリテーションスキルは、「今、目標達成をするためのチーム力を上げるもの」で、若手社員の離職の解決にも役立ちます。

同時に「チーム学習を通して、参加者の意識・スキルを高めるもの」でもあり未来の課題(管理職候補の育成)も解決していきます。

目の前の課題に苦しむことの多い管理職にとっては、「今」が改善されるスキルであることが、当事者意識・主体性を高める鍵となるのです。

5)まとめ

新任管理職研修を行う目的とは、「一般社員から、管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすこと」ということを、お伝えしました。

管理職へのパラダイムシフト(認知変容・行動変容)を起こすためには、

①VUCAと言われる今の時代にあった役割認識
②新任管理職が、希望を持てるアプローチ方法
③チーム力を高める知識・スキル

が必要です。

避けるべき新任管理職研修の内容は、

①昔の文脈の新任管理職研修になっている
②新任管理職に対して、「あるべき論」を押し付ける
③研修の学びのポイントが多すぎたり、実践的ではない

です。

新任管理職研修で、新任管理職の当事者意識と主体性を解放するには、

①新任管理職自身と組織の未来と今を統合する
②新任管理職自身と組織の目の前にある課題を解決する

が必要です。

今の時代に必要な新任管理職研修を、ご理解いただけたのではないでしょうか。

本コラムを参考にして、新任管理職研修の企画を創っていただければと思います。 また当社にご相談がある場合は、ぜひご連絡いただければと思います。

本コラムによって、素晴らしい新任管理職研修が実施されることを願っております。