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【事例有り】意義ある管理職研修に導く目的設定ガイド|目的明確化までのポイント解説
- 2023/8/1更新ー2023/6/23作成ー「管理職研修の目的は、どのように設定したらいいのだろう?」「自社の管理職に意義のある研修とは、どんなもの?」そんな想いを持って、このコラムにたどり着いたのではないでしょうか。・研修会社から管理職
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「管理職研修は意味がない。やっても無駄」
「管理職研修の効果を感じない。意味のない管理職研修は避けてくれ」
「管理職の育成は急務だ。ただし、費用対効果を見て無駄をなくしてほしい」
管理職本人・経営者・株主からこのようなコメントがあり、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。
弊社に管理職研修の相談をされる人事の方から、このようなコメントを聞いた・言われたというお話は多くあります。
本コラムでは、
・意味のない無駄な管理職研修とは、何なのか?
・意味のない無駄な管理職研修、具体的な12パターン
・意味のない無駄な管理職研修を避けるために押さえるべきポイント
をお伝えします。
本コラムを最後までお読みいただくと、意味のない無駄な管理職研修を避けることができます。
意味がなく無駄と言われる管理職研修は、管理職の認知変容・行動変容が起きない研修です。
管理職研修を行う目的は組織によって異なりますが、何かしらの課題や想いがあり、その上で管理職研修を行っているはずです。その課題を解決したり、想いを達成するには、参加者である管理職の認知変容・行動変容が起こすことが必要です。管理職の認知変容・行動変容が起きないものは、管理職研修の目的が達成できないので、意味がありません。
例えば、よくある意味のない無駄な管理職研修は下記のようなものです。
・著名な講師の講演で素晴らしい話を聞いて満足するが、行動は何も変わらない
・研修現場では管理職は真剣に受けているが、現場と乖離があり実践されず、何も変わらない
・厳しい管理職研修によって一瞬変わったが、すぐに元の管理職に戻ってしまった
などです。
このように「意味がない。無駄!」と言われてしまう管理職研修とは、管理職の認知変容・行動変容が起きないものです。
次の章では”意味がなく無駄”と言われてしまう管理職研修の内容をお伝えしていきます。
意味のない無駄な管理職研修は、下記の12パターンあります。
・経営者の考えを、ただ押し付ける
・管理職研修のプログラム、もしくは講師からのアプローチが厳しい
・過去に行っていた研修内容を踏襲し、何も変えずに行う
・世の中の流行りやトレンドを追いかける
・昔の文脈に引きずられて時代遅れ
・オンラインでの動画鑑賞や講演など、インプットのみを行う
・学びのポイントが多すぎる
・効果を確認しない、もしくは間違った効果測定を行う<
・講師があるべき論を一方的に伝えたり説得する
・受講生の状況に合わない
・一回やって終わり
・適切な予算をかけない
それぞれ説明していきます。
経営者の考えをただ押し付けるものは、意味がなく無駄になるケースが多いです。理由は、2つあります。
一つ目は、時代背景です。価値観の多様化やそれを承認する流れが、今の時代はあります。今どき、一つの価値観を押し付けても管理職が拒否感・違和感を抱くケースは多くあります。
二つ目は、管理職の当事者意識と主体性を抑えつけてしまいます。当事者意識や主体性がおさえつけられた状態では、認知変容・行動変容を起こすことはできません。
【よくあるパターン】
自身とは無関係の話として捉える管理職
管理職研修のプログラム、もしくは講師からのアプローチが厳しいだけのものは、意味がなく無駄になるケースが多いです。厳しい管理職研修には下記の3つのリスクがあると言われています。
・研修内で反発が起き、研修が進まない
・自己効力感が無くなり、前向きに受講しない
・特別な状況で生まれる効果であり、現場に戻ると研修で学んだことが反映されない
【よくあるパターン】
合宿研修などで厳しい管理職研修を行ったとします。何とか受講生の反発を乗り越えて、最後には自己効力感が上がるような仕組みがあったとします。しかし、研修後に戻った現場は以前と何も変わっていません。そのうちに、管理職自身も以前の状況に戻っていくでしょう。
管理職自身は変化があったように感じていても、それは特殊な環境があるからこそ生まれる変化です。実は厳しい研修の多くは、洗脳の手法を用いた内容であることも多くあります。洗脳状態が溶けると、ネガティブな感情や無気力な状況が生まれ、管理職の心は組織から離れてしまうでしょう。
詳細を知りたい方は、下記コラムをぜひご覧ください。
厳しい管理職研修─本当に必要か否か|リスクと必要な3つのステップ
【よくあるパターン】
新任管理職研修を毎年同じ内容で行う例があげられます。長ければ、5年以上同じ内容が行われている場合もあります。5年あれば、戦略・方針は大きく変わっているはずです。せっかくの管理職研修で戦略・方針との齟齬が出てくると、管理職は意味がない研修であったと感じてしまうでしょう。また、現場の混乱を引き起こすこともあります。
【よくあるパターン】
例えば管理職の役割の一つである「チーム・部署における業務遂行」に関して、PDCAの重要性のみを伝える場合です。PDCAはとても重要ではあります。しかし、変化の速い時代はアジャイル的な動きも必要になります。じっくり計画を立て実践していてはスピード感が遅くなってしまうからです。今、現実的に求められる仕事の進め方と乖離が発生してしないように、PDCAとアジャイルの使い方、両方を学ぶ必要があります。
学びのポイントが多くなると何が重要か分からなくなり、意味がなく無駄になるケースが多いです。学びのポイントが多すぎる研修を、”研修の幕の内弁当化”という表現を取ることがあります。結局何が一番重要なのか、何を意識したらいいかが分からなくなってしまいます。
【よくあるパターン】
「社員のモチベーション向上のために、管理職に部下のモチベーションが上がる研修をしよう。モチベーション管理、部下育成、チームビルディング、評価、1on1を実施しよう」などです。一度に複数の学びを伝えると、学びの内容はとても薄くなりますし、現場で実践する難易度は高まります。
講師があるべき論を一方的に伝えたり説得する管理職研修は、意味がなく無駄になるケースが多いです。受講生が受け身になったり、講師からのメッセージが現場の状況と異なる場合は、納得度合いが低くなり、実践への意識が薄くなるためです。
【よくあるパターン】
講師から「部下育成はとても重要なので、丁寧に行うべきです」と言われても、現場の管理職からすれば「そんなことは分かっている。管理職が忙しすぎて、そこまで育成に時間をかけられない状況がある。すぐ辞めるしケースも多いし、育てる気も起らない」という考えを持っているケースもあります。研修現場では講師のメッセージに対して、反論しなければ管理職の納得度合いは低いまま研修が進んできます。また反論が出た場合に、講師が押さえつけるてしまうと、管理職は講師の話を聞かなくなり、研修の効果はなくなっていくと言っていいでしょう。
受講生の状況に合わない管理職研修には意味がなく無駄になるケースが多いです。受講生が研修内容に対して共感が持てないため前向きになれず、意味がないと感じてしまうためです。
【よくあるパターン】
管理職が現場で目標達成に追われているにもかかわらず、現場ですぐに活用できず即効性がない「心理的安全性」の研修を行っても、管理職からすれば理解はできるが、今、時間を取って学ぶ内容ではないと思うでしょう。
管理職研修を一回やって終わりでは、意味がなく無駄になるケースが多いです。現場の実情に合わせた、継続的な認知・行動変容を促すことが難しくなるためです。
【よくあるパターン】
管理職研修で1on1を扱ったとします。始めは管理職研修で学んだ内容を活用しても、現場ですべてがうまくいくわけではありません。そうすると、研修で学んだことは使えないという認知になり、活用を止めてしまう場合があります。
管理職研修に対して、適切な予算をかけなければ、意味がなく無駄になるケースが多いです。コスト削減に目が行き過ぎると「安かろう悪かろう」になる場合があります。また、予算を多くかけたとしても自組織に合わなければ悪影響も起きます。
【よくあるパターン】
低価格でよくあるケースは、管理職研修を最終的に金額で選ぶケースです。人事担当者が複数の研修会社・講師と企画を進めていると、それぞれの場で出てきたアイディアがつながっていくので、提案内容が似たようなものになってくるケースは多くあります。似たようなものになると、最も安い金額で契約を結ぶという判断になるでしょう。ただ一見提案内容が同じようであっても、その研修会社や講師が持っているナレッジや力量は異なります。営業力はあるが、プログラム・講師が弱いというケースは多くあります。
また高価格でよくあるケースは、経営者仲間からの紹介で、高額の管理職研修を導入したが、上手くいかなかったというものです。他社で上手くいった例が、自組織でうまくいくかというとそういうわけではありません。適切に見極めることが大切です。
意味がない無駄な管理職研修 | チェック欄 |
---|---|
経営者の考えを、ただ押し付ける | |
管理職研修のプログラム、もしくは講師からのアプローチが厳しい | |
過去行っていたものを踏襲したものを、何も変えずに行う | |
世の中の流行りだったり、トレンドを追いかける | |
昔の文脈に引きずられて、時代遅れ | |
オンラインでの動画鑑賞や、講演などのインプットのみを行う | |
学びのポイントが、多すぎる | |
効果を確認しない、もしくは間違った効果測定を行う | |
講師があるべき論を、一方的伝えたり、説得する | |
受講生の状況に合わない | |
一回やって終わり | |
適切な予算をかけない |
意味がない無駄な管理職研修を避けるためには、研修企画をしっかりと行うことです。当たり前に感じるかもしれませんが、研修の企画は大切に行うことで、意味がない無駄な研修を避けることができます。
具体的には、下記を考えるといいでしょう。
1. 管理職研修の目的・実現したいゴールの設定
2. 具体的な管理職研修の内容
それぞれ説明していきます。
管理職研修の目的や実現したいゴール設定を、しっかりと言語化することが重要です。しっかりと言語化できないと、管理職研修の実施を行ってよかったかどうかの効果測定もできませんし、費用対効果が高い管理職研修の実施も難しいです。
管理職研修の目的は、具体的には下記2つのどちらかに分かれます。
1)管理職の役割認識・遂行を目的とした研修
→自社が掲げる「管理職として求める姿」に近づけるための研修
2)目の前の課題(管理職本人・組織・事業)の解決を目的とした研修
→「自組織で起こっている課題」を起点として、その課題を解決するために実施する研修
より詳しく知りたい方は、下記コラムをお読みいただくといいでしょう。
【事例有り】意義ある管理職研修に導く目的設定ガイド|目的明確化までのポイント解説
目的を明確にしたら、研修後に管理職がどうなってほしいかを設定する必要があります。
下記は、ある会社の管理職研修のゴール設定になります。
ここまで決めることができたら、具体的な研修内容を決めていくといいでしょう。
管理職研修は、4種類あります。
下記の中から、管理職研修の内容を選ぶといいでしょう。
目的(効果) | 管理職研修の種類 | 研修内容例 | 効果がない研修の 特徴 |
---|---|---|---|
① 管理職の意識醸成 | 新任管理職研修 | ・マインド醸成 ・役割の理解 | ・儀式的に行われ受講者の課題にフォーカスされていない |
② 次の経営者の育成 | 次世代リーダー育成研修 | ・戦略思考、事業開発、マーケティング ・財務、会計 ・問題解決(クリティカルシンキング、システムシンキング) | ・一般論が主となり自社戦略に活用できない ・現在の役割と乖離があり、すぐに活用できない |
③ チームパフォーマンス・エンゲージメントの向上 | 管理職のパフォーマンス向上研修 | ・部下育成(OJT、1on1、コーチングなど) ・目標管理・評価面談 ・チームとしての業務遂行 ・管理職同士のチームビルディング ・リーダーシップ | ・内容と現場の状況に乖離がある |
④ 労務管理・コンプライアンスのリスクマネジメント | 労務管理・コンプライアンス研修 | ・人事労務管理 ・メンタルヘルス ・コンプライアンス | ・研修で終わりになっており、現場の管理がされていない |
この時に研修だけ決めるだけではなく、研修後のフォローまで考えられるといいでしょう。
より詳しく知りたい方は、下記コラムをお読みいただければと思います。
【管理職研修】事例を通して効果的な内容と失敗しないポイントを徹底解説!
管理職研修を4種類に分けて解説!種類ごとの内容を知り、最適な研修を見つけよう
二つのポイントを抑え、”意味のない無駄”な管理職研修を避けて頂ければと思います。
1. 管理職研修の目的や、実現したいゴール設定
2. 具体的な管理職研修の内容
本コラムでは、「意味のない無駄な管理職研修」に関してお伝えしました。
具体的には、
・意味のない無駄な管理職研修とは、何なのか?
・意味のない無駄な管理職研修、具体的な12パターン
・意味のない無駄な管理職研修を避けるために押さえるべきポイント
をお伝えしました。
本コラムを通して、意味のない無駄な管理職研修を避けるためのポイントが理解いただけたのではないでしょうか。
意味のない管理職研修を避けるために、管理職研修の企画をしっかり作りこみ実施したいというご相談があれば、ぜひ当社までご連絡いただければと思います。