中小企業に必要な新入社員研修の3つの要素と研修内容【事例あり】

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「手厚い育成はしたいけど、リソースも時間も足りない…」
「現場で活かせるような研修って、結局どんな内容なの?」
「うちのカルチャーに馴染んでもらえるか不安…」

そんな不安やモヤモヤを抱えている中小企業の人事担当者の方は、決して少なくありません。

少人数で組織を支える中小企業では、新入社員1人のアイディアや、周囲とのチームワークの発揮度合いが業績にも大きく影響を与えます。
だからこそ「自分を活かしながら、組織の一員として動ける状態」を育むことが大切です。

本コラムでは、社員数30~500名ほどの中小企業に向けて、
新入社員研修に取り入れるべき3つの要素
・その具体的な研修内容
・実際の企業事例
・よくある悩みとその解決策 を紹介
します。

「自分らしさ」と「協働性」を両立できる新入社員を育てたい方にとって、次の一歩が見つかる内容になっています。
手探りでも大丈夫です。一緒に、“自社らしい育成のかたち”をつくっていきましょう。

※ 本コラムでの中小企業の定義は、社員数30~500名程度の組織を指しています。

監修者プロフィール

迫間 智彦

X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

1)中小企業が実施すべき、新入社員研修の3つの要素

中小企業が新入社員を育成するうえで、実施すべき研修は大きく3つに分けられます。

・社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修
・組織のカルチャーと馴染むための研修
・新入社員の悩みを次の成長に繋げる研修

これらの研修が必要なのは、新入社員が「自分の意思を持ちつつ、周囲と協働しながら仕事を進め、組織に自然と馴染んでいける状態」をつくるためです。

特に中小企業では、少数精鋭で業務を行うケースが多く、一人ひとりに求められる役割や責任が比較的大きくなります

そのため、新入社員にも「ただ指示を待つのではなく、自ら考え、主体的に行動する姿勢」が求められます。自分なりの考えや価値観を持ち、自分の頭で判断しながら動けることが重要です。

同時に、中小企業では社員同士のつながり感や一体感も、組織を円滑に動かす大きな原動力となります。だからこそ、新入社員が早い段階で周囲との関係性を築き、組織の一員として馴染んでいくことが不可欠です。

組織とのつながりを感じられないまま時間が経ってしまうと、カルチャーフィットが進まず、部署間の連携が取りづらくなったり、個人の成長スピードが鈍ったりする恐れがあります。

新入社員が、自ら考えて行動する主体性と、まわりと協力して働く柔軟性の両方を発揮できるようになると、次のような前向きな変化が現れてきます。

・自分の軸を大切にしつつ、組織のカルチャーにも共感できる
・意思を持って行動しながらも、周囲を尊重できる
・自立しながら、組織との一体感を感じ、チームとしての力が高まる
・意見や価値観の違いを乗り越えて、新しいアイディアが生まれる

こうした前向きな変化を引き出すには、新入社員が「自分の考えを持ちながらも、他者と関わり合い、影響し合いながら成長していく」ことを支援する研修が効果的です。

中小企業だからこそ、自社の文化や規模感に合った育成設計を行い、新入社員が自然と組織に溶け込み、自分らしく力を発揮できる環境づくりを目指しましょう。

新入社員研修に悩む中小企業の経営者・人事の方へ

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アーティエンスでは、「『選ぶ立場』から『選ばれる存在』へ」というコンセプトで新入社員研修を実施しています。アーティエンスの研修には以下の特徴があります。

  • 社会人に必要な責任感を講師からのリアルなフィードバックを通して学びます
  • 仕事の軸となるビジネススキルを8割実践の研修で学びます
  • 研修によって「経験」を「成長」に変える習慣をつくります

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2)中小企業が実施すべき、新入社員研修の具体的内容

中小企業が実施すべき、新入社員研修の3つを促せる研修内容を紹介します。

研修カテゴリ 主な研修内容・アプローチ
社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修 社会人の自覚を促す研修
ビジネスマナー研修
高品質なアウトプットに必要なスキル研修
コスト意識研修
組織のカルチャーと馴染むための研修 仕事と自己成長をつなぐ研修
新入社員の悩みを次の成長に繋げるための研修 1年目フォロー研修

それぞれの研修内容について、具体的に紹介します。

※ このほか、専門スキルの取得を目的とする研修が必要な組織もあるかと思いますが、その際は新入社員に必要だと感じたタイミングに合わせて実施して頂けたらと思います。

社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修

社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修として、以下の4つは欠かせません。

社会人の自覚を促す研修
ビジネスマナー研修
高品質なアウトプットに必要なスキル研修
コスト意識研修

それぞれについて説明します。

社会人の自覚を促す研修

社会人としての自覚を促す研修は、新入社員が組織の一員として働くための基本姿勢を身につける土台となります。

社会人としての意識が育っていなければ、仕事に対する責任感や当事者意識が芽生えにくく、自身の考えに軸が持てず、周囲との関わりにも影響が出てしまいます。特に中小企業では、早い段階から自律的に動けることが求められるため、この研修の重要性は高まります

アーティエンスの社会人の自覚研修では、「なぜ働くのか」「会社とは何か」「信頼とは何か」など、価値観を揺さぶる問いを通じて、内面からの自覚を促します。さらに、実務の場で必要となる“当たり前”の感覚を、対話や体験型ワークを通じて深めていきます。

まずは“自分が社会人である”という自覚を育てることで、主体性と協調性の土台がつくられ、その後の成長も加速していきます。

ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修は、組織内外で信頼を築くための基本動作を身につける重要なステップです。

挨拶や敬語、服装、来客対応、電話応対などのマナーは、社会人としての“当たり前の振る舞い”です。ここができていないと、どんなに能力があっても信頼を得ることが難しくなります。また、ビジネスマナーは「相手を尊重する姿勢」の表れでもあり、他者との関係性づくりの基盤になります。

アーティエンスのビジネスマナー研修では、「なぜマナーが必要なのか」を納得感のある形で伝えたうえで、挨拶・言葉遣い・文書作成・電話対応などをロールプレイングを交えて実践します。表面的な動作だけでなく、“心の持ち方”まで扱うのが特長です。

マナーは信頼の入口です。新入社員にとって、ビジネスマナーを丁寧に学ぶことは、円滑な人間関係と自信につながる第一歩になります。

高品質なアウトプットに必要なスキル研修

高品質なアウトプットを生み出すためのスキル研修は、実務に直結する“考え方と仕事の進め方”を学ぶ重要な機会です。

中小企業では、すぐに実務に入るケースが多く、基本的な業務遂行力が欠けていると成果が出ずに自信を失ってしまいます。だからこそ、タスクの分解や報連相、スケジューリングといった「仕事の型」を研修で身につけておくことが必要です。

アーティエンスのビジネススキル研修では、「要件定義」「タスク分解」「スケジュール設計」「報連相のタイミング」「課題解決のアプローチ」などを、ケーススタディや演習を通じて実践的に学びます。受講後は「仕事の見通しが持てるようになった」「自分で段取りを組めるようになった」という声が多く聞かれます。

新入社員が仕事の全体像と進め方を理解できれば、現場での不安が減り、自立した行動がしやすくなります

コスト意識研修

コスト意識を育む研修は、「自分の仕事が会社の利益にどう関わるか」を理解させ、経営視点を持たせる視点の転換点になります。

中小企業では、一人ひとりの行動が組織の成果に直結します。新入社員にも「会社のお金で学び、働いている」という意識を持ってもらうことが、自覚や責任感につながります。ただし、こうした話は社内で直接伝えにくいため、外部研修で客観的に伝えることが効果的です。

アーティエンスのコスト意識研修では、会社運営にかかるコスト構造や利益の仕組みを学び、「自分の給与も投資である」という視点を持たせます。また、目標達成に向けてどう優先順位をつけるか、無駄をどう減らすかといった視点も育てます。

経営視点を持てる新入社員は、自分の仕事を「コスト」ではなく「価値ある貢献」として捉えられるようになります。


これらの研修を通じて、実務にスムーズに移行するための自信や判断力、そして組織の一員としての責任感が醸成されます。
中小企業においては、即戦力としての期待が高まる分、こうした基礎力の習得が重要です。

組織のカルチャーと馴染むための研修

新入社員が組織に自然と馴染み、前向きに働くためには、自分の想いや価値観と、組織のカルチャーをすり合わせるプロセスが欠かせません

業務を覚えるだけでは、「ここで働きたい」と思えるような実感はなかなか持てないためです。特に新入社員は、リアリティショックを受けやすく、また自分の大切にしている価値観が組織にどう受け止められるかに敏感です。

もしその間に違和感が生まれると、「ここでは自分らしく働けないかもしれない」という不安を抱き、モチベーションやエンゲージメントの低下につながる可能性があります。

そこで重要になるのが、自分の価値観や志向を言語化し、それを仕事や組織と結びつけていく機会を意図的に設けることです。

アーティエンスでは、価値観の整理とすり合わせを支援するために、仕事と自己成長をつなぐ研修を提供しています。この研修では、一人ひとりが「どんな想いで働きたいのか」「何に貢献したいのか」を深く内省し、それを組織のビジョンや業務と重ね合わせることで、内発的な動機づけを引き出していきます。

仕事を通じて自分の価値を実感し、組織の一員としての納得感を持って働けるようになるために、自分の「想い」にしっかりと向き合う時間をつくることが大切です。

【補足】新入社員が組織のカルチャーと馴染むためには、OJTの関わりも重要

OJTトレーナーの関わり方次第で、新入社員が組織にどれだけ早く馴染めるかは大きく変わります。丁寧に寄り添い、日常の中でカルチャーを伝えていく関わりが、新入社員の安心感と適応スピードを高める鍵となります。

そのため、OJTトレーナーはOJTトレーナー研修などで、オンボーディングや1on1の対応を学ぶことをおすすめします。

OJTトレーナー研修について、より詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。
「OJTは意味がない」と感じるあなたへ!その真相と今すぐ試したい対策3選

新入社員の悩みを次の成長に繋げるための研修

新入社員も仕事を進める中で、難しさを感じたり、辛いと感じることが出てきます。その時に、その状態のままにしてしまうと、困難の壁を乗り越えることができず、モチベーションが下がり、成果も下がり、退職してしまうという流れを止めることが出来なくなってしまいます。自他非分離が無くなっている状態です。

そうならないためにも、新入社員をフォローするための研修を実施することをおすすめします。
フォロー研修で、自他非分離を促すためには、振り返りを行う研修内容が良いです。フラットに自身と自組織のことを振り返ることで、成長している自分を見つめ、周囲の助けがあったことに気が付くことができます。

例えば、当社の1年目フォロー研修では、研修の事前課題としてトレーナーや上司へのインタビューがあります。この事前課題のインタビューだけでも、普段聞けないことが聞けたり、「そんなところまで見てくれていたんだ」ということに気が付く新入社員が多いです。

研修では、インタビューの内容をグループメンバーにシェアすることで、他の新入社員からも新たな視点の感想をもらい、自身の成長や得意なことに気が付くことができます。

中小企業のフォロー研修として振り返りの内容を行うときは、外部研修に参加することを推奨します。なぜなら、様々な環境で育ってきている人の話を聞けるためです。他の会社の新入社員と話すと、自分の会社に対する客観的な意見を聞くことができるため、自組織の良いところに気が付きやすいです。

例えば、新入社員Aさんは、「トレーナーが毎週1on1を設けてくれているけど、あまりその時間が好きではない」ということを伝えたとします。しかし他の社員から「トレーナーや上司と話す機会が全くなくて辛い」との意見を聞くと、新入社員Aさんは自身の恵まれた環境に気付けるでしょう。
新入社員Aさんは自分の感情によって、毎週の1on1の良し悪しを判断していましたが、他社の新入社員の意見があると、一度フラットに振り返ることができます。

このように、フォロー研修で外部研修に参加すると自分たちの視野が広がり、自分や自組織のことを少し客観的に振り返ることができます。


これらを丁寧に積み重ねることで、新入社員が自分らしさを活かしながら、組織の一員として主体的に動ける土台がつくられます。

特に中小企業では、大企業に比べて1人の影響力が大きく、教育体制にも限りがあるからこそ、OJTトレーナーとの日常的な関わりや、他社との交流を含む外部研修といった多角的な育成アプローチが、成長スピードを大きく左右します。

新入社員が安心して挑戦し、前向きに成長できる環境づくりを進めていきましょう。

3)【事例紹介】少人数でも安心!3つの要素を押さえた新入社員研修で、実務への自信と納得感を育む

社員数340名のエネルギー系企業様の事例をご紹介します。

 課題:形骸化した研修をやめ、本当に意味のある育成をしたい

社員数340名のエネルギー系企業では、2022年に再び新卒採用を開始し、2名の新入社員を迎えました。

しかし、過去に実施していた新入社員研修は形式的になっており、実務との接続性が薄いという課題がありました。

「新入社員にとって研修は一生に一度。だったら、意味のある経験にしたい」という想いから、これまでの型どおりの内容を見直し、「実務に直結する」「本人が成長を実感できる」研修への切り替えを検討しました。

研修内容:他社との交流ができるアーティエンスの新入社員研修(公開講座)を導入

アーティエンスの【公開型新入社員研修】を採用した理由は、少人数でも学びが深まる設計と、年間を通じた段階的育成ができる点。さらに、以下の3つの観点で、新入社員の成長を効果的に支援できたとご評価いただいています。

① 社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修

研修初期には、「社会人の自覚」や「ビジネスマナー」「ビジネススキル」など、仕事を進めるうえで欠かせない基礎力の習得に重点が置かれており、新入社員の不安を払拭し、早期に自信を育むことができました。

特に、講師が“上司役”となって関わるロールプレイでは、現場さながらの緊張感の中で「どう報連相するか」「どう巻き込むか」といったスキルを体得できたようで、“学んだことをすぐに実務に活かせる”と感じられる設計が、不安を自信に変える第一歩となったようです。

② 組織のカルチャーと馴染むための研修

2名という少人数での参加でしたが、他社の新入社員との合同開催により、自社の価値やカルチャーを客観的に捉える視点が得られていました。

また、「どんな想いで働きたいか」といった価値観を言語化するワークもあり、新入社員自身が“自分らしく働く”ことと“組織での役割”のすり合わせを行う貴重な時間となっていました。

③ 新入社員の悩みを次の成長に繋げるフォロー研修

この公開型研修年間設計になっており、特に2〜3ヶ月目の不安定になりがちな時期や、2年目を見据えた振り返りの時期に合わせて定期的なフォロー研修が実施される構成になっています。

業務に慣れてきた頃の不安や迷いを言語化し、他者との対話を通じて自己肯定感を高める設計は、「悩みを自己成長につなげる」観点で非常に有意義だったといえます。

効果:研修が精神的な支えに。堂々と提案できる姿に変化

導入後、次のような変化が見られました。

堂々とプレゼンできる姿に
4月の研修で実施した「上司との協働体感ワーク」を通じて、「上司に対してどう巻き込めばよいか」が腹落ちしたことで、配属後の業務プレゼンでも上司への提案が堂々とできるようになったとのことでした。

精神的な安定と成長の実感
月1〜2回のペースで継続的に研修があることで、「学ぶ場がある」という安心感につながり、不安定になりやすい時期のメンタル面の支えになっていたそうです。

他社同期との交流で視野が広がる
「他社の新入社員と話すことで、自分の会社の良さに気づいた」「同期が頑張っていると知って、自分も頑張ろうと思えた」など、1社では得られない外部からの刺激も、成長につながる大きな要素になっていたとのことです。


この事例のように、久しぶりの新卒採用や、少人数の新入社員などに不安を抱えている企業は少なくありません。
ぜひ、貴社の新入社員研修設計の参考にしてみてください。

参考コラム:【事例・Q&Aあり】新入社員研修カリキュラムの設計法

4)中小企業の新入社員研修の導入でよくある質問

中小企業の新入社員導入の際に、よく伺う質問についてお応えします。

Q1. 育成の手が回らず放置気味…それでも新入社員が自走できるようにする方法は?

育成の手が回らない中でも、新入社員が自走できるようにするには、「放置しない仕組み」と「内発的な成長を引き出す関わり」が必要です。

中小企業では業務に追われ、新入社員の育成に十分な時間を割けないことが少なくありません。しかし、放置状態が続くと、新入社員は不安を抱えたまま孤立し、離職リスクが高まります。

特に少人数の組織では、1人の退職が現場に大きな影響を与えるため、「自走してもらう」ことだけに頼らず、仕組みや関わり方を整えることが重要です。

例えば、入社初期の3ヶ月間は、オンボーディングの一環として、「対話の機会を意図的につくる」「小さな成功体験を積ませる」といった支援が効果的です。
また、OJTでは、トレーナーが一方的に教えるのではなく、「問いかけ」によって考える機会をつくる関わりが有効です。

たとえば
「もしあなたがクライアントだったら、どんな説明を望む?」
「この仕事を“次のステージの自分”に繋げるとしたら、何が必要だと思う?」

こうした問いを通じて、自分ごと化・メタ認知・視点の切り替えを促し、自分で考え動く力を育てていくことができます。

最初から自走できる人材はいません。だからこそ、「放置しない関わり方」を習慣や仕組みに落とし込むことが、自走への第一歩になります。そして、その姿勢こそが、新入社員の定着と成長スピードを左右する重要です。

新入社員を放置することで起こることについて、もっと詳しく知りたい方は、下記コラムもご覧下さい。
新入社員の放置は今すぐ止めるべき!その理由と対処方法5選

Q2. 中小企業でも、大企業に負けない質の高い研修はできる?

中小企業でも、大企業に負けない「良い研修」を実施することは十分に可能です。
ただ、「大企業と同じことをする」ことを目指すのではなく、自社に合った育成のかたちを見つけることが重要です。規模や体制、使えるリソースが異なる分、それぞれに合ったやり方があるためです。

たとえば、大企業はLMS(学習管理システム)などを使って効率的に学びを提供する一方で、中小企業では、少人数だからこそできるOJTでの丁寧な対話や、実務に即した体験型の学びがより効果を発揮する場面が多くあります。

アーティエンスでも、講師が上司役として関わるロールプレイや、価値観を言語化するワークなどを取り入れた少人数向けの研修を設計しています。「研修なのに、現場とつながっている感覚があった」といった声もよくいただきます。

つまり、大企業と同じである必要はありません。中小企業だからこそできる育成スタイルを見つけることで、新入社員にとっても「自分のための研修だった」と思えるような、質の高い時間をつくることができます。

Q3. 新入社員の離職が続く…どうしたら定着する育成ができる?

新入社員の離職が続いている場合は、まず「育成の土台」を見直してみることが大切です。

多くの離職は、人間関係の不安や、仕事のギャップから生まれています。特に中小企業では、OJT任せにしてしまったり、日々の業務で手いっぱいになって、フォローの時間が取れなくなっているケースも多く見受けられます。

たとえば、入社から1年間の育成計画はきちんと設計されていますか?
どの時期に離職が多いか、どんな理由で辞めているかを分析してみると、改善のヒントが見えてきます。

アーティエンスでは、オンボーディング・OJT・フォロー研修などを年間を通して設計し、1人ひとりのつまずきに寄り添う育成を支援しています。「いきなり変える」のは難しいかもしれませんが、原因に合わせた小さな改善を積み重ねることで、確実に定着率は上がっていきます。

まずは、「辞めてしまう原因を明らかにすること」から始めましょう。そこにしっかり向き合うことが、信頼される育成体制への第一歩になります。

※ ミスマッチで起きているケースは、採用基準から見直す必要があります。

下記コラムも参考にしていただけたらと思います。
新入社員が辞める理由は入社前後のギャップにあり!対策法10選
新入社員研修のスケジュールを最適化!具体例と組み方のポイント5つ

Q4. 同期がいない新入社員…孤立させずに成長を支えるには?

同期がいない環境でも、新入社員が孤立せず、安心して成長できる方法はあります。

ポイントは、同期同士で自然に行われている「不安や悩みの共有」や「共に成長していける仲間の存在」を、他の形で意図的に用意することです。

まず、「不安や悩みの共有」に代わるのが、トレーナーや上司、チームからの日常的な関わりです。同期がいれば、気軽に話せる相手がすぐ近くにいるものですが、そういった存在がいない場合は、先輩や上司が信頼できる存在になることが大切です。ちょっとした声かけや1on1の時間を通じて、「一人じゃない」と感じられる安心感を育んでいきましょう。

「共に成長していける仲間」は、他社の新入社員と交流する機会をつくることで得られます。たとえばアーティエンスの公開型新入社員研修では、他社の新入社員とグループワークなどを通じて学び合える設計になっており、「自分も頑張ろう」と思えるような健全な刺激を得ることができます。「他社同期」のような関係ができたり、研修後も連絡を取り合うようになったという声もよく聞かれます。

社内外に「安心できる対話の場」と「共に成長していける仲間との出会いの場」を意図的に設けることで、同期がいない環境でも、新入社員をしっかり支えることができるということです。

よろしければ、他社交流のある公開講座型研修なども、検討してみてください。特に少人数の新卒採用企業にはおすすめの選択肢です。

Q5. 世代間ギャップでうまく育成できない…価値観の違いをどう乗り越える?

価値観の違いを乗り越えるカギは、丁寧なオンボーディングと日常のコミュニケーションにあります。

上司やトレーナーと新入社員との年齢差が大きい場合、「常識」や「当たり前」がすれ違いやすく、育成に戸惑うことも多いものです。しかし、価値観の違いを否定するのではなく、違いがあることを前提に、少しずつ歩み寄る工夫をしていくことが大切です。

たとえば、「印刷の仕方が分からない」という新入社員に対し、「なんでそんなこともできないの?」と責めてしまうと、関係性は一気に崩れてしまいます。ですが、今の若手世代は学生時代から“紙を使わずにすべてデジタル”という環境で育っている可能性もあります。「あまり印刷する機会なかった?」と相手の背景を確認しながら教えることで、自然と信頼関係が築かれていきます。

また、価値観の違いは、日常のさりげない会話や対話を通じて少しずつ理解していくものです。違いを知り、都度確認し、どうすり合わせるかを話し合える関係を築ければ、ギャップを越えた育成が可能になります。

「自分たちとは違う価値観を持つ新入社員をどう育てるか?」という問いに対しては、まずは「違いを知る・受け止める・対話する」ことから始めてみてください。そこに丁寧なオンボーディングが加わることで、育成の土台はぐっと安定していきます。

アーティエンスでは、新入社員の特徴を考慮したOJTトレーナー研修や、新入社員のリアルな回答を元に人事やトレーナー同士で新入社員の育成について対話を行うGrowth Meetingを実施しています。ぜひこのような機会も活用して頂けたらと思います。

4)まとめ

今回は、中小企業が取り入れるべき新入社員研修の考え方や具体例についてお伝えしました。

新入社員が「自分の意思を持ちつつ、周囲と協働しながら仕事を進め、組織に自然と馴染んでいける状態」をつくるための研修は、大きく次の3つに整理できます。

・社会人としての意識と基本的なビジネススキルを学ぶ研修
 …自立と協働の土台をつくる

・組織のカルチャーと馴染むための研修
 …自分らしさと組織の価値観をすり合わせる

・新入社員の悩みを次の成長に繋げる研修
 …壁を乗り越え、他者との関係の中で自己を深めていく

中小企業では、大企業と比べて1人あたりの影響が大きいため、研修を「形式的なもの」にせず、「実務とつながる納得感のある体験」として設計することが重要です。特に、新入社員の価値観や背景に丁寧に向き合い、安心して挑戦できる土壌を育むことが、長期的な定着と活躍につながります。

アーティエンスでは、「選ぶ立場から、選ばれる存在へ」というコンセプトのもと、中小企業の育成課題に寄り添った新入社員研修を提供しています。今回ご紹介した事例のように、少人数でも深い学びが得られる公開講座形式の研修もございます。

もし、“自分らしさを大切にしながら組織で活躍できる” 新入社員を育てたいとお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。貴社の組織風土や課題に合わせて、最適な研修プランをご提案いたします。

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