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2023年3月9日開催「1年目フォロー研修」ー公開講座研修レポート
- 2023/3/17作成ー1)研修概要本内容は、2023年3月9日に開催された「1年目フォロー研修」の研修レポートです。(参加企業数:5社、参加人数:13名)研修テーマ・学びのポイント当日のアジェンダ1.イントロダクション/チェックイン2
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【実例あり】新入社員のオンボーディング計画!スムーズに進む5つの手順
更新日:
「せっかく採用した新入社員が、早期に辞めてしまう…」
「入社前に期待した活躍ができていない…」
といったお悩みを抱えている人事や経営者の方も少なくないのではないでしょうか? そのお悩み解決のカギを握るのが「オンボーディング」です。
学術の世界での「オンボーディング(on-boarding)」とは、「新入社員の適応を促進する組織エンゲージメントによって従事される、公式、非公式な訓練、プログラム、政策」と定義されています。(参照:尾形真実哉氏「組織になじませる力」より抜粋)
より分かりやすくお伝えすると、新入社員研修やOJT、職場の歓迎会、新入社員用のPCセットアップなど、組織への適応をサポートするあらゆる取り組みを総称して、「オンボーディング」と言います。
本コラムでは、「オンボーディングとは、新入社員の受け入れから定着・即戦力化までのプロセス」と捉えて、オンボーディングをスムーズに進めるプロセスや実例をお伝えいたします。
本コラムを読んでいただくと、新入社員への効果的なオンボーディングについての理解が深まり、「自社らしいオンボーディング?」を進める方法をお渡しできるかと思います。
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1)新入社員のオンボーディングで得られる4つのメリット
新入社員のオンボーディングとは「新入社員の受け入れ~定着・即戦力化」までの一連のプロセスであり、新入社員の成長のみならず、企業の成長にとっても非常に重要な取り組みです。
なぜなら、新入社員のオンボーディング成功は、次の4つのメリットが期待できるからです。
オンボーディングに取り組むことで、入社後にスムーズに業務を覚えられるようなサポート体制が充実するため、新入社員の成長が後押しされ、早期活躍が期待できます。
2)早期離職の防止による採用コストの抑制
オンボーディングには定着率を高め、離職を防ぐ効果があります。入社後に感じるギャップを軽減し、長く働ける仕組みを創っていくことで、採用コストの抑制にも繋がります。
3)組織全体の風土改善
オンボーディングは人事だけの施策ではなく、職場全体で一丸となって取り組んでいく必要があります。その過程で、職場の育成意識の向上やチームビルディングといった効果も期待できます。
4)社員のエンゲージメント向上
オンボーディングの仕組みがしっかり整っていて、丁寧かつ継続的にサポートを受けることができれば、企業や仕事内容に対してもポジティブな感情を持てるようになり、社員のエンゲージメント向上にも繋がります。
企業としても多くのメリットを得られるため、新入社員へのオンボーディングは、重要かつ必須な取り組みと言えます。では、その具体的な取り組み内容について、次章から解説していきます。
新入社員のオンボーディングには「組織社会化の3つの軸」が含まれる
新入社員のオンボーディング検討にあたっては、「組織社会化(そしきしゃかいか)」の3つの軸を押さえていくことがポイントです。
組織社会化とは、「組織に馴染む過程」を意味し、下記の3つの軸が組織に馴染むためのポイントになります。
(オンボーディングは、組織社会化の広い概念の中の一形態で、「即戦力化」という文脈が加わったものであると認識していただくとよいでしょう) 次章から一つずつ、具体例と共に解説していきます。
軸①職業的社会化:仕事に必要なスキル・知識を習得すること
職業的社会化とは、「仕事を行うために必要なスキルや知識を、研修などのOff-JTやOJT、自己学習によって身に着けていく」過程を指します。
なるべく早い段階で職場に馴染み活躍してもらうために、仕事に必要な専門的なスキルや知識をインプットしてもらいます。以下、職業的社会化に関する具体的取り組みをご紹介します。
新入社員に読んでほしい書籍をプレゼントする
業務に関する書籍を新入社員に渡すことで、知識のインプットに役立ちます。入社前の内定者フォロー施策としても、入社後の研修後のフォローとしても効果的です。なお、書籍のプレゼントは、業務に直接的に関係のない内容でもおすすめです。
【参考コラム】新入社員にプレゼントするおすすめ本16選!初心者でも読みやすいビジネス書から始めよう
Off-JT(職場や通常の業務から離れて行う研修やセミナーなど)
新入社員のオンボーディングを検討していく上で、Off-JTは必須で検討したい内容です。研修を通して、研修テーマの学びの習得はもちろんのこと、グループワークによって同期との交流が生まれたり、「自分の育成にちゃんと投資してくれる企業」と感じ、組織エンゲージメント向上にも繋がります。
新入社員が入社する4月の研修は、以下は必須で押さえたい内容です。
・ビジネスマナー・スキルの習得
・専門スキル・知識の習得
・コンプライアンス理解
また、新入社員の配属後も定期的にOff-JT(フォロー研修)を実施することで、オンボーディングのサポートにも繋がります。
【参考】【実例あり】新入社員研修に必要な6つの内容と効果を高める5つのポイント
新入社員研修の担当者向け|研修設計の基本や効果を高めるポイントを解説
OJT(日常の仕事を通じて、仕事に必要な知識やスキルを習得すること)
配属後は、OJTによる育成が中心となる企業が多いと思います。上司やトレーナーから業務に関する知識やノウハウを教えてもらい、フィードバックを受けながら、仕事を覚えていきます。
オンボーディング期間中は、15分程度の短時間で構いませんので、毎日1on1ミーティングを実施することを推奨します。毎日1on1を行うことで、新入社員のちょっとした不安が解消され、関係構築にも繋がります。例えば、弊社ではトレーナー一人で1on1を全て実施するのではなく、チームメンバーで持ち回りで実施しています。持ち回りで行うメリットは、以下の通りです。
1on1ミーティングをチームメンバーで持ち回り制で実施するメリット | |
---|---|
トレーナー | 育成の時間的な負担軽減、他社員からの育成に関するアドバイスをもらえる。 |
新入社員 | 様々な視点からアドバイスや意見をもらえる。関係性構築にも繋がる。 |
トレーナー以外の 社員 | 自身も新入社員育成に携わっているという当事者意識を持てる。 |
軸②文化的社会化:組織の社風や考え方、ルールを受け入れること
文化的社会化とは、「組織の雰囲気(社風・人間関係)や考え方(価値観)や文化(社員が共通に行っている行動やルール・暗黙知)を受け入れて馴染む」過程を指します。
入社後、なかなか会社に馴染めずに孤独を感じて離職してしまう新入社員を出さないためにも、必須で検討したい内容です。ここでは、時系列にそって、具体的な取り組みを紹介します。
入社前 ~ギャップ解消と社内コミュニティへの浸透を図る~
効果的にオンボーディングを行っていくためには、新入社員が「こんなはずじゃなかった」と感じるギャップを解消していくことが重要です。入社前後のネガティブなギャップは、早期離職の要因となる恐れがあるためです。ギャップ解消に向けては、下記施策がおすすめです。
・正確な情報開示
・職場見学
・先輩社員との交流会
・内定者懇親会
採用フェーズにおいては、仕事内容や評価制度、働き方、待遇などについて、お互いに認識の相違がないように詳細を説明しておきましょう。その他、職場見学や先輩社員との交流の機会を設けるなど、人事以外の社員との関わりを増やすことで、組織のイメージを立体的に持ちやすくなります。
また、内定後は、同期社員と関わる機会を増やして社内コミュニティを創っておけると、内定辞退防止にもなるのでおすすめです。
【参考コラム】新入社員が辞める5つの理由を徹底解説!早期退職が改善される対処法10選
入社時 ~社会人としてのマインドセットと組織風土への理解を深める~
入社後、組織に早く馴染んでもらうために、大事なポイントは2つです。
②組織の雰囲気や大切にしている価値観・暗黙知を掴んでもらう
一つ目のポイントの「社会人としてのマインドセット(学生から社会人への切り替え)」は、新入社員が組織に入って活躍していくためには欠かせない要素です。組織の一員として共に働く仲間になるには、社会人として自覚や当事者意識が持てていないと難しいためです。社会人としてのマインドセットは研修を通して行っていくことがベストです。
例えば、弊社の社会人の自覚研修では、【「与えられる立場」から「与える立場」になる】という学生と社会人の立場の違いを理解するため、「社会人とは何か?」というテーマで、ワールド・カフェという対話のワークを最初に受講生同士で行っています。
マインドセットを行うには「社会人のあるべき像」一方的に押し付けるのではなく、「学生と社会人の違い」について、まずは新入社員自身で探求し、理解を深めていくプロセスが重要であると考えています。 ※実際の研修レポートは、下記からご覧いただけます。
2024年度4月開催「社会人の自覚研修」ー公開講座研修レポート
二つ目のポイントは、組織の雰囲気や大切にしている価値観・暗黙知を掴んでもらうことです。
そのための施策として、組織理念・方針理解のワークショップを開催することをおすすめします。ワークショップでは、経営陣がストーリーテリング(※)を行い、その内容を基に新入社員同士で対話を行っていけると、より理解が深まっていきます。
また、社内ルール・規定の説明も、職場に早く馴染んでいくためには必須です。会社独自の略語や専門用語など、既存社員にとっては当たり前のことでも、新入社員にとっては馴染みのないものばかりだと思いますので、丁寧に説明していく必要があります。
配属時 ~新入社員の歓迎度合いを高め、相互理解の機会をつくる~
配属時のオンボーディング施策としては、下記があります。
・歓迎会
・ジョブローテーション(職場体験)
・チームの受け入れ・トレーナーとの関係構築
・相互インタビュー
・ブラザー・シスター制
・メンター制
・若手社員のみの勉強会
例えば、弊社では配属時、新入社員と既存社員が相互インタビューを行い、新入社員への歓迎度合いを高め、メンバーとの関係構築に繋げています。相互インタビューは、お互いに大切にしている想いや背景を理解し合うことを目的としています。自己紹介シートを配る等の取り組みもあるかもしれませんが、直接コミュニケーションを取り合うことがオンボーディングでは重要なので、相互インタビューを推奨しています。
【参考:相互インタビューシート】 また、徐々に職場に慣れてきたタイミングで「若手社員のみの勉強会」といった施策もおすすめです。同期や上司といった横と縦以外の「斜めの繋がり」による社内コミュニティが形成され、文化的社会化も促進されます。
軸③役割的社会化:自身の役割を理解・受け止め、キャラを確立していくこと
役割的社会化とは、「組織において自身に期待されている役割を理解し、既存メンバーとのやりとりや指導を通して役割を全うしていく」過程を指します。
より分かりやすく言うと「組織の中で自分の存在価値を見出していくこと」であり、そのために大切なポイントは、次の3つです。
②期待された役割について自分なりの意味付けを行う
③職場における自分のキャラを理解する
一つずつ、簡単に解説いたします。
①組織や周囲からの期待を理解する
職務上で担う役割以外にも、例えば「違和感や疑問に感じたことを率直に伝える存在であってほしい」「明るく元気な挨拶でチームを明るくする存在であってほしい」などといった組織内での立ち振る舞い方に対する期待も含まれます。
これは、人事面談やキャリア目標設定などを通して、新入社員への期待を伝える機会を適切に設けることが大切です。
その他、入社時に組織の理念・方針を理解する研修を行ったり、社会人として期待される役割を理解するために目標達成・コスト意識を醸成する研修を行ってもよいでしょう。
【参考コラム】新入社員に期待する2つのこと|新入社員本人と組織側でできることとは
②期待された役割について自分なりの意味付けを行う
組織や周囲からの期待を理解し、それを自分事として捉えて、自身にとってどのような意味をもたらすのか意味付けをおこなっていくことが重要です。
具体的には、1on1ミーティングや日報などを通じて日々内省をしながら、段階的に自分なりの意味付けを行っていくことがポイントです。入社間もない新入社員一人では考えられる範囲に限界がありますので、上司や先輩が1on1での対話や日報への返信を行うなどしてサポートしてあげることが重要です。
③職場における自分のキャラを理解する
自分のキャラや持ち味を職場で出していければ、職場における自身の存在価値を見出すきっかけに繋がります。そのための取り組みとしては、内定者懇親会や新入社員研修などで同期間における自身のキャラや役割(ムードメーカー役やフォロー役など)を獲得していくことが最初のステップになるでしょう。
次に、配属チームのメンバーとの関わり(歓迎会や1on1など)を通して、職場における自身のキャラや役割を理解し、組織に馴染んでいけるようになります。
【実例】3つの軸をおさえたオンボーディング計画
さらに具体例として、前述した組織社会化の3つの軸をおさえた弊社オンボーディング計画(一部加工)をお見せいたします。
重要なのは、新入社員の効果的なオンボーディングとは、組織社会化の3つの軸を押さえた施策を講じて実行していくことです。
オンボーディング計画の全体像を把握する際に、ご参考いただければ幸いです。
※ オレンジ色で囲んでいるものは、弊社で実際に行っている新入社員研修にです。
※ 5月配属を想定し、オンボーディング計画を組んでいます。
2)オンボーディングがスムーズに進む4つのプロセス
前章では、オンボーディングの具体的な施策内容についてお伝えしてまいりました。 では、実際にオンボーディングを社内に取り入れていく際には、「誰が」「どのようなプロセスで」実施していくのがよいのでしょう。
まず、「誰が」という観点については、人事と現場社員(主に管理職)が連携して、オンボーディング計画を立てていくことが大切です。
人事側で作成した計画を現場に展開するだけですと、現場社員としては負担感ややらされ感を感じてしまい、当事者意識が持ちにくい計画になってしまいます。また、現場の実態とは乖離があって、計画通りに実行できない場合もあります。
その一方で、現場で作成した計画を実行するだけですと、組織全体の人材育成の指針や課題をふまえられていなかったり、部署やチームよってバラつきが生じてしまいます。
重要なのは、人事と現場の双方が協力し合い計画を立てていくことです。 次に、「どのようなプロセスで」という観点については、以下の5つのフローに沿って解説していきます。
①目標設定
まず最初に、オンボーディングの目標を設定します。目標を設定する際は、下記2つの観点で考えられるとよいでしょう。
・業務に必要な知識やスキル習得の観点
例えば、企業の雰囲気や文化の観点であれば、「既存メンバーに気軽に相談ができる」「企業のミッションを理解し、共感できる部分を自分の言葉で語れる」などがあります。
業務に必要な知識やスキルの習得の観点であれば、「業務全体の流れを理解している」「営業としてクロージングまで一人で行える」などがあるでしょう。
②原案プランの作成
次に、目標を実現するためのプランを策定します。プラン策定は、基本的には配属先の現場社員が主導で行っていただくことを推奨します。入社後1年後程度を目安にスケジュールを組んでいきます。1年後から逆算し、半年、3か月、1か月、2週間、1週間…と、各タイミングで達成すべき状態と実施内容を検討します。
オンボーディングプランの土台部分は、全新入社員共通で活用しても良いですが、新入社員個々人の特性やスキルなどもふまえて、個別にオンボーディングを計画する必要があります。新入社員の活躍や成長へ期待を込めながら、より具体的な計画に落とし込んでいきましょう。
また、過去に早期離職者を出してしまった場合には、その際の要因や問題点を整理し、どのようなフォローやサポートが必要かも検討し、計画に盛り込みます。
③すり合わせ・社内共有
原案プランの作成後は、社内でプランのすり合わせを行っていきます。
実際の現場の業務状況を確認しながら、「本当に実現可能か?」「これで達成できそうか?」といった視点で話し合い、人事・現場間の認識や課題感のズレをなくしていきます。オンボーディングがより洗練された内容にブラッシュアップされて実行していくための、重要なステップになります。
④計画の実施
オンボーディングプランが完成したら、いよいよ実行です。新入社員の早期活躍と定着を目指し、全社一丸となって協力し合い、継続的にフォローしていくことが重要です。
⑤定期的な見直し・振り返り
オンボーディング計画は、新入社員や状況の変化に応じて、定期的に見直していく必要があります。
例えば、新入社員の成長スピードが想定より早いようでしたら、より高い目標に設定し直したり、成長が鈍化しているようであれば、業務を細分化して見直す等の対応が望ましいでしょう。
また、オンボーディング終了後は、全体の振り返りも必ず行いましょう。人事・組織側、現場の受け入れ側、新入社員本人たち側、と各方面からのフィードバックを回収することが大切です。その内容を基にPDCAサイクルを回して、より自社にフィットしたオンボーディングにしていきましょう。
3)オンボーディング成功のために押さえたい3つのポイント
ここまで、組織社会化の3つの軸をふまえた具体的なオンボーディング施策と導入プロセスについてお伝えしてきました。そして、オンボーディング成功にさらに近づけるためには、次の3つのポイントをおさえる必要があります。
②新入社員の2つのエンゲージメントを育めている
③オンボーディングツールを活用できている
一つずつ、解説していきます。
① 新入社員のグロース・マインドセット(Growth Mindset)を育めている
一つ目は、新入社員のグロース・マインドセットを育めているのか、という点です。
グロース・マインドセットと対極にあるのがフィックスト・マインドセット(Fixed Mindset)で、「自分が持っている能力や才能は先天的なもので、経験や努力では成長しない」という信念・心の在り方指す。
【参考:グロース・マインドセットとフィックスト・マインドセットの考え方の違い】
例えば、新入社員がグロース・マインドセットを持てていると以下のような状態になります。
・周囲から積極的にフィードバックを求め、真摯に受け止めて学ぼうとする
・難しい課題や業務に対して「どうやったらできるだろう?」と考え、積極的に挑戦する
・たとえ失敗しても「気付きの多い失敗は、自分への投資」と前向きに捉える
どうでしょう。新入社員のグロース・マインドセットを育むべきだということがお分かりいただけたでしょうか?
マインドセットとは、“考え方のクセ”のようなものであり、人は誰しもがグロース・マインドセットとフィックスト・マインドセットの両方を兼ね備えていると言われています。環境や状態によってどちらかのマインドセットの傾向が強くなると言われています。
ただし、学生から社会人という新しい環境に大きく変わった新入社員は不安も多く、フィックスト・マインドセットが強くなる傾向にあります。そのため、オンボーディングを通して意図的にグロース・マインドセットを育み、成長を支援していく必要があります。
新入社員のグロース・マインドセットを高めていくポイントの一例をお伝えします。
成果目標だけでなく、学習目標も創り取り組む
学習目標とは「この仕事から何を学ぶか?」と考えて立てた目標を指し、自分軸で評価できる目標です。社会人になると他人軸での評価がメインになりますが、自分軸で評価できる目標を持てると、自分なりに仕事の意義を見出しやすくなります。是非、新入社員と一緒に、学習目標を考えていくことをおすすめします。
小さな成功体験を積み重ねて自信に繋げる
成功体験を積むことで、自信に繋がります。どんな小さなことでもいいので挑戦できたことを振り返り、自分自身を承認する機会を増やしていきましょう。また、自己承認だけでなく、周囲からもポジティブフィードバックを行い、称賛し合える仕組みや環境を整えることも重要です。
②新入社員の2つのエンゲージメントを育めている
二つ目は、新入社員の2つのエンゲージメントを高められているのか、という点です。
エンゲージメントには、「従業員エンゲージメント」と「ワーク・エンゲージメント」の2つの種類があります。 従業員エンゲージメントと離職率は関係性があり、従業員エンゲージメントが高まれば、離職率は下がると言われています。一方のワーク・エンゲージメントは、最近の研究で「従業員の生産性と健康」に関連があることが明らかになっています。ワーク・エンゲージメントの向上は、生産性の向上と精神的健康の増進に繋がります。
オンボーディングは、新入社員が早期に定着し、パフォーマンスを上げていくための取り組みですので、従業員エンゲージメントとワーク・エンゲージメントの両方を向上させる施策を検討していく必要があります。 以下、施策の一例をお伝えします。
1on1を通じた、ビジョンの共有・仕事の意味付け
一つ目は、第1章でも触れましたが、上司との定期的な1on1です。1on1は、2つのエンゲージメント向上に効果的な施策です。
1on1を通して、新入社員の不安を解消し、キャリア像の明確化と実現に向けてどんな支援ができるかを一緒に考えていくと共に、チームとしてのビジョンや新入社員への期待・想いも伝えます。また、任せる仕事内容の目的を明確に説明すること、そしてそれが本人にとってどんな意味をもたらすのかという意味付けを丁寧に行ってあげてください。 なお、オンボーディングにおける1on1のポイントとしては、ザイアンス効果(※)をふまえ、週1回1時間よりも、週2回30分や週3回20分等の頻度を意識して実施する方が効果的です。
「接触回数を増やすと、その相手への好意・関心レベルが高まる」という心理効果。心理学者のロバート・ザイアンスが提唱した理論で、ザイアンスの法則とも呼ばれています。
サーベイの実施による状態の可視化とフォロー
二つ目は、エンゲージメントサーベイ等を行い、新入社員の状態を可視化してフォローしていくことで、エンゲージメントの向上が期待できます。
ただし、サーベイを行ったからといって、エンゲージメントが向上するわけではありません。サーベイ結果を基に対話を重ね、改善に向けたアクションを実行していかなければ、かえって逆効果にもなりかねませんので、サーベイの導入には注意が必要です。
成長機会の提供とポジティブフィードバック
三つ目は、成長の機会・チャレンジの機会を与えることで、特にワークエンゲージメントの向上が期待できます。
小さなことで構いませんので、新入社員に「やってみよう」と思える機会を増やしてあげてください。その後は、行ったことを一緒に振り返り、どんな点が良かったのか具体的に示しながらポジティブフィードバックを行い、新入社員が前進感を持てるようなサポートを心掛けましょう。
③オンボーディングツールを活用できている
三つ目は、オンボーディングツールを活用できているか、という点です。積極的にツール活用をしなければ、オンボーディングが成功しないと考えている理由は以下の通りです。
・配属先やチームによってオンボーディングの質にバラつきが生じてしまうため
・属人的になり、特定の人の負担が大きくなってしまうことがあるため
・テレワーク等が浸透し、同じ職場でもコミュニケーションを取る難易度が高まっているため
また、オンボーディングツールの活用により、複雑で多量な新入社員の情報を整理・管理することが可能にもなります。その情報を基にオンボーディング施策のPDCAサイクルを回していけば、毎年同じような課題に振り回されることも減り、より高い効果のオンボーディングが期待できるでしょう。
オンボーディングに特化したお役立ちツールも多くうまれています。以下は一例です(★は弊社でも提供しているツールです)
・新入社員との1on1で活用可能な1on1シート(★)
・受け入れフローのフォーマットシート(★)
・受け入れ時の関係創りをサポートする相互インタビューシート(★)
・工数削減を叶えるタスク管理システム
・気軽でスムーズなやり取りを行うための社内チャットツール
上記ツールについて、一つずつ簡単に解説していきます。
新入社員の状態を可視化するサーベイツール(★)
入社後は、パルスサーベイなどの短スパンで行うサーベイを導入し、新入社員の状態を定期的に把握することを推奨します。なぜならば、新入社員の状態が把握できると、適切なタイミングや内容でサポートを行えるようになるためです。テレワーク勤務で新入社員の状況が見えにくい環境だと、特に有効でしょう。
弊社では新入社員研修をご導入いただいた企業様に、パルスサーベイGrowthを一年間無料で提供しています。Growthは、月1回、計10の設問から成るサーベイです。回答することで、新入社員の仕事に対する意欲や状態が可視化されますので、その状態に応じたサポートができ、オンボーディングにもお役立ていただけます。
新入社員との1on1で活用可能な1on1シート(★)
上司との定期的な1on1も、オンボーディングの一環として有効です。ただ、「1on1で一体何を話せばいいのか?」と不安になる方も少なくないでしょう。そんな時は、1on1シートのようなツールを用意いただけると、上司も新入社員も安心して1on1に取り組めるかと思います。
弊社では、先ほどお伝えしたパルスサーベイGrowthと連動型の1on1シートもセットでご提供しております。初めて1on1を行う方でも不安なく取り組めるよう、1on1のルールや問いかけ、テーマのヒントとなる参考情報等も掲載し、新入社員との1on1を支援しています。
少しでもご興味を持っていただけましたら、まずはお気軽に資料請求ください。
受け入れフローのフォーマットシート(★)
事前に、配属先の受け入れフローを事細かく計画しておくことも重要です。フォーマットシートをご用意いただければ、現場社員も取り組みやすくなりますし、配属先や年度ごとのオンボーディングの質のバラつきも抑えることが可能です。
受け入れ時の関係創りをサポートする相互インタビューシート(★)
新入社員・既存社員間の相互理解と関係構築は、オンボーディング成功において重要な取り組みです。そのための一施策として、配属時に相互インタビューを実施いただくこともおすすめです。
工数削減を叶えるタスク管理システム
入社時は、新入社員への情報伝達や配属先と連携等で膨大なメールのやり取りや、大量の必要書類の記入・管理が必要になります。そのような情報をまとめて管理できれば、かなりの工数を削減できるでしょう。
気軽でスムーズなやり取りを行うための社内チャットツール
新入社員が組織にいち早く馴染むためには、職場のコミュニケーションを活性化させることも重要です。社内チャットツールは、メールよりも気軽にコミュニケーションが取れるのでおすすめです。情報共有の活性化によって業務効率アップにも繋がります。
オンボーディングに効果的なツールは、人事や配属先など一方に責任や負担がのしかかるのではなく、双方で協力し合う連携体制が自然と構築されるという点が特徴であり、それがまさにオンボーディング成功のための秘訣だと考えています。上記ツール例をご参考に、自社に適したオンボーディングツールをご検討いただけば幸いです。
なお、アーティエンスでは、新入社員研修とオンボーディングツールのご提供を通じて、新入社員が早期に活躍できる体制構築を全面的にサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
また「新入社員研修の担当者向け|研修設計の基本や効果を高めるポイントを解説」の記事では、新入社員研修の担当者になった方向けに、研修内容を決めるためのポイントを解説しています。
同時に、どのようなポイントを意識すれば研修効果を高められるかを解説していますので、ぜひ参考にしてください。
4)まとめ
新入社員への効果的なオンボーディングについて、具体的な施策やポイントと共にご紹介してまいりました。改めて、お伝えした内容をまとめます。
1)新入社員のオンボーディングは「組織社会化の3つの軸」をふまえて計画すべし
①職業的社会化とは:仕事に必要なスキル・知識を習得すること
②文化的社会化とは:組織の社風や考え方、ルールを受け入れること
③役割的社会化とは:自身の役割を理解・受け止め、キャラを確立していくこと
2)オンボーディング導入は5つのフローをおさえるべし
①目標設定
②原案プランの作成
③すり合わせ・社内共有
④計画の実施
⑤定期的な見直し・振り返り
3)オンボーディング成功のための3つポイントをおさえるべし
①新入社員のグロース・マインドセット(Growth Mindset)を育めている
②新入社員の2つのエンゲージメントを育めている
③オンボーディングツールを活用できている
オンボーディングは、新入社員の定着と早期活躍といったメリットだけでなく、受け入れる側の既存社員が一丸となって新入社員をフォローしていくことで、育成への感度が高まり、職場のコミュニケーションが活性化し、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与していきます。
オンボーディング成功には奇策はありません。新入社員の成長と活躍を願い、丁寧に計画し実行していくのみです。オンボーディングの成功は、組織全体に好循環を生み出すきっかけにもなります。今一度、新入社員のオンボーディングを見直してみてはいかがでしょうか?
弊社では、オンボーディングツールのご提供やオンボーディングに特化した研修プランなど、企業ごとのさまざまな課題に応じた解決策やサービスをご用意しております。是非、お気軽にご相談くださいませ。
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