新入社員の日報フォーマットとは│日報の書き方と運用方法

更新日:

作成日:2023.2.3

ノートとペンを持っている女性社員

・新入社員の日報での振り返りの内容が薄く、成長や成長支援(業務支援含む)のために意味をなしているように思えない内容になってしまっている…

・新入社員が日報は面倒なものと思ってしまっていて、適当な内容になっている…

・このまま日報を続けていても、新入社員の成長するに影響を与えられるとは思えない…

このようなことにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
日報が、成長促進・成長支援のためではなく、やらされ感のあるタスクになってしまっていて、日報を書いて終わりにしてしまっている新入社員も多いです。日報は、管理職やトレーナーが新入社員の状況を把握し、管理するだけではなく、新入社員が振り返りを行うことで成長を促進するための大切なツールです。そして、振り返りを丁寧に行うことで、日々の仕事の中から課題を見つけて成長スピードが上がります。  経験学習 成長スピードが上がれば、新入社員の自律促進が高まり、管理職・トレーナーの管理の負担も下がっていき、より成長支援への意識が高まっていきます。そのために重要になるのが、日報のフォーマットです。

よく人事やトレーナーの方から、新入社員の日報の質が良くないというお悩みをいただきます。そのときに、多くの方が行っていることが、「振り返りは成長に大切だから、もっと丁寧に書いて」と新入社員に伝える、という言動です。これによって新入社員が改善してくれたら良いのですが、現実はそう簡単にはいかず、悩んでいらっしゃるという人事やトレーナーの方が多いです。

そこで、当社が改善ポイントとして考えたのが、日報のフォーマットです。日報のフォーマットを見直すことで、自然と振り返りの質が高くなり、新入社員の成長を促せるようにすることを考えました。

今回のコラムでは、管理職・トレーナーが新入社員の状況を踏まえながらも、新入社員の成長が促進されるための日報のフォーマットをご紹介します。新入社員が日報を埋めていくだけでも、成長促進につながる内容です。

本コラムを参考にして、自組織の日報フォーマットを見直していただけると、より自組織の新入社員の成長を促すことができる日報フォーマットを作成できます。
※ ご紹介するフォーマットを、そのままご利用いただいても一定の効果は見られますが、可能であれば自組織に合わせていただき、より効果を高めていただければと思います。

監修者プロフィール

山下 絢加

2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。子育てを機に、現在は主にマーケティングプランニングを担当。





新入社員研修成功事例集

1)日報を明日に活かして成長し続けるための日報フォーマット

私たちが考える日報を、明日に生かして成長し続けるためのフォーマットは、次のような内容です。

目標 詳細
1年の目標
半年の目標
今月の目標
今週の目標
予定している業務内容と時間
実際の業務内容と時間
今日ポジティブな影響を与えたこと
今日ネガティブな影響を与えたこと
今日の経験を元に明日に活かすこと
支援してほしいこと
今日の仕事に点数をつけるなら
(最高10点)
トレーナーからのコメント

こちらの日報フォーマットは下記からダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。

    下記フォームより必要事項をご入力の上、送信してください。
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    これらの項目・記載例について具体的にお伝えします。

    1年の目標

    1年の目標を記載する意味は、目標を繰り返し見ることで、自分が進んでいる先にあるゴールを見失わないようにするためです。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    目標 詳細
    1年の目標 自社商品の店頭販売率を高めるために、3月末までに新店舗への提案・設置までの支援を3箇所、販売プロモーションで購入率を10%高める
    新入社員に望む姿を設定する際に、ジョージ・T・ドラン氏が提唱したSMARTの法則になっているかも確認ポイントです。SMARTの法則は、目標を行動に変えるために効果的だと言われています。  SMARTの法則

    半年の目標

    新入社員にとって、初めから1年後の目標をイメージしようとしても、イメージが湧かない場合もあります。そのため、もう少し手前に、達成できるかもしれないと思える目標を設置して、初めは半年の目標を目指して仕事を行うようにします。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    目標 詳細
    半年の目標 自社商品の店頭販売率を高めるために、9月末までに新店舗への提案・設置までの支援を先輩と共に1箇所、販売プロモーションで購入率を高める企画を先輩と作成する

    今月の目標

    今月の目標は、半年の目標、1年の目標を達成するために、今月は何ができるようになればいいかを細分化して設定した内容です。1年間の目標を細分化して、1ヶ月ごとに何ができていればいいかがわかると、長い道のりのように感じるゴールに近づいているイメージを持つことができます。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    目標 詳細
    今月の目標 先輩の営業に同行しながら、担当製品のアピールポイントを自分で伝えられるようになる(月末に、先輩の時間をいただいて、営業のロールプレイングを行わせていただき、OKをもらえるようにする)

    今週の目標

    今週の目標は、今月の目標を達成するために、より詳細な目標に落とし込んだものです。1週間ごとに目標を設けて取り組むと、自然と目標に意識が向き、日々の仕事の中から、関連する情報の収集を行えるようになります。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    目標 詳細
    今週の目標 A ,B,Cのそれぞれの商品のポイント・違いを伝えることができるようになる

    予定している業務内容と時間

    前日に、明日やる予定の業務を記載します。前日に明日の予定を決めておくことで、翌朝、何を行えばいいかが明確になった状態から仕事を始めることができます。会社によっては、グーグルカレンダーなどで管理していることもあると思いますので、その際はこの項目は外していただいて大丈夫です。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    予定している業務内容と時間 9-10時:朝礼 10-12時:〇〇の提案資料作成、完成 13-13時半:メール対応 13時半-14時:移動 14-15時:○社営業同行 15-15時半:移動 15時半-16時:営業振り返り、ネクストアクション検討 16-17時:営業MTG 17-17時半:明日の○社営業準備 17時半-18時:日報

    実際の今日の業務内容と時間

    実際に当日行った業務内容と時間を記載します。なぜこれを記載するかというと、予定(スケジュールの見積もり)と実際にかかった時間にズレがないかを確認するためです。

    新入社員の場合は、仕事の工数の見積もりが甘い場合が多くあります。これは、経験の少なさもありますし、正確にタスク分解をできておらず、工数が多くなる場合があるからです。

    例えば、PCの操作が分からないのに、トレーナーからレクチャーの時間を入れないで工数を見積もるケースなどです。自分が実際に、どの程度の時間をかけて業務を行っているのかを確認するために大切な作業となります。予定と異なる箇所は、太字にしたりマークをつけたりしてわかりやすくすると、ズレのポイントがわかりやすくなります。記録は、大体15分刻みで良いでしょう。

    ■記載例:メーカーの営業職の新入社員の場合

    実際の今日の業務内容と時間 9-10時:朝礼 10-13時半:〇〇の提案資料作成、完成 13時半-14時:移動 14-15時:○社営業同行 15-15時半:移動 15時半-16時:営業振り返り、ネクストアクション検討 16-17時:営業MTG 17-17時45分:明日の○社営業準備 17時半-18時:日報

    今日ポジティブな影響を与えたこと

    今日ポジティブな影響を与えたことは、自分が周りのメンバーや組織に対してポジティブな影響を与えられた時に記載します。基本的には、毎日1つは書くように促しましょう。内容は、どんなに小さなことでも大丈夫です。

    例えば、

    ・(夏場に)会議の前にクーラーの調整をした
    ・〇〇さんに手伝えることがないか確認した
    ・ゴミが落ちていたので片した
    ・共有の文房具入れがごちゃごちゃしていたので整理整頓した

    などです。誰から言われたわけでもなく、自ら進んで行ったことを記載しましょう。

    今日ネガティブな影響を与えたこと

    今日ネガティブな影響を与えたことは、自分が周りのメンバーや組織に対してネガティブな影響を与えてしまった時に記載します。基本的には、毎日1つは書くように促しましょう。内容はどんなに小さなことでも大丈夫です。

    例えば、

    ・打ち合わせの準備がギリギリになってしまった
    ・資料に誤脱があった
    ・電話の取り次ぎで名前の確認を忘れてしまった

    などです。改善が必要なことを自分で認識できるようにします。

    今日の経験を元に明日に活かすこと

    今日自分が与えたポジティブな影響、ネガティブな影響の内容を参考にしながら、明日どのように改善するかを記載します。明日に活かすことも、どんなに小さなことでも大丈夫です。

    例えば、

    ・打ち合わせの準備は1時間前に終わらせられるように、打ち合わせの2時間前に予定を確保しておく
    ・資料を作成した後に、一度読み返すようにする
    ・電話で取り次ぎのミスをしないように、取り次ぎ用のフォーマットを作成してデスクに貼っておく

    などです。今日の経験を毎日活かしていくことで、徐々に成長していくことができます。

    支援してほしいこと

    支援して欲しいことは、この日報を確認する上司やトレーナーに対して、支援して欲しいことを記載します。新入社員は、周りの人の力を借りながら成長することが求められます。様子を見ているだけでは見えない部分もあるため、自ら支援を依頼することで、新入社員が何を求めているのかがわかり、フォローしやすくなります。

    例えば、

    ・打ち合わせが決まったらその際に15分程度時間をいただいて、打ち合わせに必要な資料の確認をさせていただきたいです
    ・営業のロールプレイングに協力していただきたいです
    ・○社との関係性について教えていただきたいです

    などです。トレーナーや上司としても、新入社員が何に困っているかがわかると支援をしやすいので助かります。

    今日の仕事に点数をつけるなら

    1日を振り返って、毎日点数をつけていきます。点数に置き換えると、その時の状態の変化を数値として確認することができるため、新入社員の変化に気がつきやすくなる、というのがポイントです。

    例えば、基本的には7-9の点数をつけていた人が、いきなり数値が3になったら、何かしらの変化が起きていると考えることができます。この変化にいち早く気づいてフォローできるかが、大切なポイントになります。そのため、数値の高い・低いはそこまでこだわりすぎず、数値の変化を意識して確認できると、フォローのタイミングを察知できるようになります。

    【参考例】点数の推移イメージ

    今日の仕事に点数をつけるなら 8点 6点 7点 8点 3点

    トレーナーからのコメント

    日報を確認したら、トレーナーや日報を見ている先輩はコメントをしましょう。新入社員にとって、書いているのに確認されていない、という状態が日報を書くモチベーションを下げてしまうためです。

    毎日のコメントが難しい場合は、1週間に1度、コメントを記載するという方法でも良いかもしれません。ただしその場合は、文字数を多めに書き、具体的なフィードバックを行うことお薦めします。

    (良いコメント例)
    ・今日のMTGで〇〇さんが新しい観点を発言してくれたことがとても嬉しかったし、見落としていたところだったから助かりました。より良くするためのアドバイスとして、発言するときに結論を先に伝えてもらうと、より話が理解しやすくなります!慣れも必要だと思うから、これに気を取られ過ぎてしまって発言ができなかった…ということにはなって欲しくないんだけど、次回以降、少し意識してみてください!

    (悪いコメント例)
    ・今日もお疲れ様でした!資料の制作、よかったです!
    ・今日のMTGの発言ですが、ちょっと内容が伝わりにくかったから、次からは結論から先にいうことを意識してみましょう!

    良いコメントは、具体的で、ポジティブフィードバックもネガティブフィードバックもあることがポイントです。一方、悪いコメントは、抽象的で、本当に自分のことを気にかけてくれているのかがあまり伝わらない内容になっています。また、ネガティブフィードバックのみになっているのも良くありません。日報を提出することで、毎回ダメ出しを受けるとなると、新入社員の心持として提出する気がなくなってしまうためです。

    新入社員の成長を感じ、また、変化に気づいてフォローするためにも、毎日の日報の確認をスケジュールに入れて管理できるようにしましょう。このように、日報のフォーマットを工夫することで、日報で1日の業務を振り返り、そこでの気づきを明日に活かすことができます。

    2)日報フォーマットの運用を新入社員の成長につなげるコツ

    日報フォーマットの運用を新入社員の成長につなげるコツを2つご紹介します。

    新入社員が日報を入力するスケジュールを押さえる

    新入社員から、毎日日報を提出してもらうためには、スケジュールを押さえておく事が大切です。日報は、他の業務と比較すると、後回しにされがちです。しかし、日報を使って振り返りを丁寧に行う事で、成長を促すことができる、とても重要な時間です。

    このことを伝えた上で、日報を作成する時間をあらかじめ確保しておくように新入社員へアドバイスをしましょう。時間の目安としては15-30分以内程度が適切かと思います。業務後だとなかなか時間の調整が難しいという場合は、朝に書くこともおすすめです。その場合は、予定している業務内容と時間を当日の朝に書き、それ以外の項目については前日の内容を書くという流れになります。日報は、時間の確保さえできれば、作業はできますので、毎日の予定の中に日報を作成する時間を押さえるようにしましょう。

    OJTトレーナーがコメントしやすい項目をフォーマットとして組み込んでおく

    OJTトレーナーが毎日、新入社員の日報を確認し、コメントを書いてもらうためには、OJTトレーナーがコメントを書きやすい項目を入れておくことがポイントです。

    日報が1日やったことだけを記載しているものだと、それを読んで何とコメントをしたら良いかが出てこず、コメントを迷うと面倒に感じてしまい、負担感が大きくなってしまいます。しかし、今回提示したフォーマットには、今日ポジティブな影響を与えたこと、今日ネガティブな影響を与えたこと、今日の経験を元に明日に活かすこと、支援してほしいこと、今日の仕事に点数をつけるなら、という項目があり、コメントしやすい内容になっています。

    もちろん、全てに対してコメントがあると新入社員は嬉しいですが、忙しい場合は、項目の中で一番書きやすいものに関してコメントするだけでも対応ができます。ご紹介したフォーマットは、OJTトレーナーがコメントがしやすい設計になっている、という点もポイントになっています。

    新入社員の日報について、新入社員の提出率とOJTトレーナーのコメント率の低さも課題に感じている方が多いと思いますが、これらのコツを活かしていただけたらと思います。

    新入社員研修成功事例集

    3)まとめ

    今回は、新入社員が日報を明日に活かして成長し続けるための日報のフォーマットについてお伝えしました。 私たちが考える、日報を明日に生かして成長し続けるためのフォーマットは、次のような内容です。

    目標 詳細
    1年の目標
    半年の目標
    今月の目標
    今週の目標
    予定している業務内容と時間
    実際の業務内容と時間
    今日ポジティブな影響を与えたこと
    今日ネガティブな影響を与えたこと
    今日の経験を元に明日に活かすこと
    支援してほしいこと
    今日の仕事に点数をつけるなら
    (最高10点)
    トレーナーからのコメント

    こちらの日報フォーマットは下記からダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。

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      このような日報フォーマットによって、1日の業務を振り返り、そこでの気づきを明日に活かすことができます。 日報フォーマットの運用を新入社員の成長につなげるコツを2つご紹介しました。

      1、新入社員が日報を入力するスケジュールを押さえる

      日報は他の業務と比較すると、後回しにされがちですが、日報は時間の確保さえできれば作業はできます。15-30分以内程度の時間を、毎日確保しておくように伝えましょう。

      2、OJTトレーナーがコメントしやすい項目をフォーマットとして組み込んでおく

      OJTトレーナーが毎日、新入社員の日報を確認し、コメントを書いてもらうためには、OJTトレーナーがコメントを書きやすい項目を入れておくことがポイントです。OJTトレーナーがコメントがしやすい項目をフォーマットとして組み込みましょう。

      新入社員の日報について、新入社員の提出率とOJTトレーナーのコメント率の低さも課題に感じている方が多いと思いますが、その際はこれらのコツを意識してみてください。

      新入社員が忙しくて、日報のフォーマットを埋めることしか考えられない状態でも、新入社員の成長を促していけるように、この記事を見て日報のフォーマットを見直していただけたら嬉しく思います。

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      参考:施工管理 システム(リフォーム・工務店向け)| 建築業界の業務管理なら【アイピア】