新入社員に期待する2つのこと|新入社員本人と組織側でできることとは

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作成日:2023.8.10

新入社員に期待すること

「新入社員には、何をどの程度、期待していいのだろうか…?」

そのようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

新入社員を迎える際は、これからの組織を担ってもらうための期待を胸にしていることでしょう。しかし、いざ入社してみると、新入社員に期待することが言語化できておらず、曖昧なままの組織も存在しています。

新入社員に対する期待が不明確では、計画的な育成を行うことは難しいでしょう。

そこで本コラムでは、研修のプロである当社が、組織から新入社員への期待を「早期定着と早期活躍」と定義した上で、実現していくための方法を組織と新入社員に分けて説明します。

本コラムをもとに期待を具体化し、新入社員の活躍に繋げましょう。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

1)新入社員に期待することは早期定着と早期活躍

新入社員に期待することは、早期定着と早期活躍です。早期定着と早期活躍を促すことができると、組織の成長に繋げられるようになるためです。

早期定着を組織が新入社員に期待するわけ

組織は新入社員が早い段階で組織に馴染み、既存メンバーとの関係性も良好に築けていることを期待しています。なぜなら組織に定着していないと早期離職に繋がる可能性があるためです。早期離職が起きると、採用や育成費用が無駄になってしまい、組織の成長につながりません。

もし新入社員が数ヶ月で退職し後任の採用が必要となった場合、追加の人を採用するために採用広告や面接のコストが発生します。

また、一人新入社員の中で退職者が出ることで、他の新入社員の不安を引き起こし、モチベーションが下がりやすくなります。他の新入社員へのフォローも時間をかけて丁寧に行う必要があり、そこにもコストがかかります。

このように、新入社員が組織に定着できないことで退職されると、採用や育成コストにも、他の新入社員のモチベーションにもネガティブな影響を与えます。

結果、組織の成長を促すことはできなくなります。そうならないようにするためにも、新入社員に早い段階で組織に馴染み、周囲との関係性を築けている状態を期待しています。

【参考】新入社員が辞める「5つのギャップ」|入社前・入社後にできる予防策10選

早期活躍を組織が新入社員に期待するわけ

組織は新入社員が早い段階で成果を出してくれることを期待しています。なぜなら、早い段階で活躍し、成果を出してくれるほど、組織の成長に繋がるためです。

新入社員が給与以上の成果を出せるようになるとコスト的に潤います。また、早い段階で活躍し、さまざまな経験を積むことができると、その知識が組織の財産となって蓄積することができます。
それらのことから、早い段階での活躍が組織の成長につながります。

新入社員は始めのうちは学ぶことばかりで成果を出すことは難しいですが、その際も組織は新入社員に給与を支払っています。
もし、新入社員が入社してから、組織の利益になる仕事を行えなかった場合、組織としては投資分のリターンを受け取れないことになるため赤字です。赤字の状態では、組織の成長を促すことは難しいです。

また、仕事ができずに活躍ができないと、周囲の足を引っ張ることになったり、自分に自信がなくなって自己肯定感も下がり、モチベーションの低下に影響します。一定の成果が出ないと、仕事を任せることもできないため、経験も少なくなります。そうすると、組織の成長を促すような仕事を自主的に行うことに期待をするのは難しいです。

このように、新入社員が組織にとってポジティブな影響を与えることができないと、コスト的にも、経験値的にも組織の成長を促すような状態を作ることはできません。そうならないようにするためにも、新入社員が早い段階で活躍することを組織は期待しています。

このように、組織は新入社員に早期定着と早期活躍を期待することで、組織の成長に繋げることができます。具体的にいつまでに定着させて、いつまでにどの程度の活躍を期待するかは組織によって変わってきます。自組織がフォローできる範囲を定めて、それ以内に早期定着と活躍をしてもらえるようにしましょう。

2)早期定着と早期活躍のために「組織」ができること

早期定着と早期活躍のために組織ができることとして、以下の施策があります。

・採用段階で自組織のことをオープンに話す
・入社前から内定者同士の関係性を構築する
・入社前からオンボーディングを行う
・学習機会を設ける
・ありたい姿を明確にする
・新入社員の育成を支援する

順番に説明します。

採用段階で自組織のことをオープンに話す

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として採用段階で自組織のことをオープンに話しておくことが必要です。後の新入社員となる就活生が持つ組織のイメージと実際の組織の状態にギャップがあると、不安感や喪失感が生まれ、定着が難しく早期離職につながってしまうことがあるためです。

採用フェーズでは、良い人に来てもらいたいという思いから、組織を良く見せようとしがちです。もちろん、伝え方を工夫することは必要なことではありますが、その内容が実際の様子とかけ離れていることがわかると、採用はできても定着しないという状況になりかねません。

よくあるのは、とにかく採用することが目的になってしまうことです。これは手段が目的化してしまっています。本来の目的は組織に定着し活躍する人材を採用することです。
キラキラした部分だけではなく、地味なことや大変なことも踏まえたリアルな情報を伝えることで、イメージとリアルのギャップを抑えることができます。

そのための具体的な方法を3つ紹介します。

仕事の密着動画や記事の公開

社員の1日に密着した様子の動画や記事を公開することは、オープンに組織のことを伝える一つの方法です。社員がどのような1日を過ごしているのかを伝えることで、説明会や採用の機会に伝えきれない細かい仕事の部分も内定者は知ることができます。実際の仕事を知ることで、組織で仕事をするイメージがしやすくなり、組織への納得感が高まります。
近年は特に1日密着の動画や記事を公開する組織が増えています。

先輩社員によるストーリーテリング

ストーリーテリングとは、自身の経験や想いをオープンに、かつ、人間味を持ってストーリーとして伝える方法です。抽象的な単語や情報を羅列するよりも、相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感が深くなります。
先輩社員たちは、それぞれ困難を乗り越えて今があります。その経験を具体的に語ってもらいます。そうすることで、困難や失敗は成長のために必要なことや、大変な経験があるからこそ今があることを理解できるようになります。
困難な部分があることを事前に見せることで心の準備をすることができるため、定着がしやすくなります。

就活生の話を聞く

就活生の話に耳を傾け、就活生が気になっていることや不安に対してオープンに応えることも一つの方法です。就活生は自分が知りたいことを知れることで、安心感が高まります。また、就活生は親身に聞いてくれる組織の姿勢に対して、感謝や嬉しさなどの感情を抱くようにもなります。そうすると、信頼関係が生まれて組織に安心感を感じられるようになり、早期定着につながります。

採用の段階で自組織のことをオープンに話すことで、早期定着を促し早期活躍に繋げていくことができるようになります

入社前から内定者同士の関係性を構築する

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として内定者同士の関係性を構築する機会を作ることが必要です。同期に知り合いがいることで、苦しいことを助け合えたり、自分と同じように頑張っている人がいることで乗り越えることのできる困難もあるためです。

最近の若者は、学校へ入学する前にSNS等を通じて、入学式までに友達がいる状態にしないと不安という方もいます。入社前からのフォローによって、内定者同士が関係構築できる機会を設けていくことが大切です。

そのための具体的な方法を2つ紹介します。

内定者懇親会

内定者懇親会は内定者同士の関係性を構築する機会となります。同期となる人とカジュアルでフラットな場で会話をすることができるためです。また、既存社員と会話をすることで、組織の雰囲気も知ることができます。

内定者同士は、採用の場では気軽に話をすることができません。そのため、懇親会のような場を設けて自由に話すことができる場を設けることで、お互いについて知ることができます。
また、採用の際には出会うことのなかった既存社員と話をすることで、組織のリアルな雰囲気を感じ、内定者自身がこの場で働いているイメージをしやすくなります。
自分のイメージと組織のリアルなギャップを軽減したり、入社前に知り合いがいる状態を作れることで、組織への安心感に繋がります。

【参考】内定者懇親会に迷ったらこれで解決!企画・運営・フォローの流れを徹底解説

内定者同士で連絡が取り合えるツールの作成

内定者同士で連絡を取り合えるようにすることで、事前に同期間の関係性を構築することができます。同期となる人と関係性を築けていると、入社前後の不安を相談し合えることができ、ストレスになる要素を減らすことができます。

最近だと、内定者の社内チャットを作成し、内定者が好きなように活用して良い場所を設けている会社も多いです。そのような場を創っておくと、例えば、今度の内定者研修の服装どうするかとか、持ち物の確認などを、内定者同士で行うことができます。積極的に発言しない方も中にはいるかもしれませんが、そのやりとりをみて、同期の性格などを知る機会になります。内定者同士で不安を解消し合える場所を設けることも、一つの方法です。

このように入社前から内定者同士の関係性を構築することができると、組織に安心感を感じたり、助け合うことができます。その結果、孤独感を感じづらくなり離脱を抑えることができます。

入社前からオンボーディングを行う

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として入社前からオンボーディングを行うことが必要です。
オンボーディング(on-boarding)とは、学術の世界では「新入社員の適応を促進する組織エンゲージメントによって従事される、公式、非公式な訓練、プログラム、政策」と定義されています。(引用:尾形真実哉氏「組織になじませる力」)より分かりやすくお伝えすると、新入社員の受け入れ~定着・即戦力化のプロセスのことです。入社前からオンボーディングが必要な理由は、後の新入社員となる内定者と組織・既存社員の関係性を築くには時間がかかるためです。

そのための具体的な方法を4つ紹介します。

内定者と社員の交流会

内定者と、社歴の異なる既存社員が交流できる場を設けます。実際にどのような人が、どのように働いているのか、リアルな声を聞くことができ、組織の雰囲気を知ることができます。

内定者がいろんな社員と交流し、いろんな人がいることを知れると、自分に合う人や尊敬できる人がいそうだと思えたり、自分のキャリアが広がっていくことを感じられます。また、そこで頼れる先輩を見つけられると、社会人になったときに助けを求めやすくなります。内定者が、この会社でやっていけそうだと思えるためにも、安心感のある場を作ることが大切です。

職場見学

内定者に対して、職場を見学できる機会を設けます。職場に実際に行くことで、職場の雰囲気や空気感、実際に働いている人の様子を体感することができ、自分が職場で働くイメージを持ちやすくなるためです。

職場見学では、具体的にどのような仕事を行っているのかを見ることができます。その際に、営業は外回りしているイメージしかなかった内定者が、意外と資料を作っている時間も長いことを知るかもしれません。また、デザイナーはデザインをすることがほとんどだと思っていたけど、打ち合わせの参加が多いことを知る、というようなこともあるかも知れません。

実際に働いているところを見ることで、自分のイメージとの違いを感じることができます。ただ、内定者のイメージと違ったからといって内定を辞退されると困ることもあると思います。そのため、職場見学の後に、イメージと合っていた所や違った所を出して、イメージと違った所について、どのように対応すればいいかまで一緒に考えてあげられると良いでしょう。

内定者インターン・アルバイト

仕事内容が一番わかりやすいのは、内定者にインターンやアルバイトとして仕事をしてもらうことです。実際に仕事をすることで、一つの仕事を進めるために必要な工程がいくつもあることを知ったり、仕事を進めて良いというOKが出るまでに時間がかかることなどを知ることができます。これは、実際に働いてみないと見えにくいことです。

入社前にそれらのことを知っていたり、先輩の仕事の進め方を見ることで、仕事内容に対する不安は解消することができます。

ただ、ここでも、内定者が思っていた仕事内容と違うからと内定辞退が起こらないように、フォローをすることは必要です。もし、内定者の中で、今の仕事にやりがいや面白さを感じないという方がいた場合は、今やっている仕事が今後、どのように活きるのか、なぜその仕事を依頼しているのかを伝える時間を取りましょう。

今の仕事が将来内定者がやりたいことに繋がる、ということがわかると、仕事の認知が変化することもあります。また、何のための仕事か、という仕事の目的が明確になることで、やりがいを感じられるようになることもあります。

インターンやアルバイトにきてくれている内定者を、仕事の補助をしてくれる存在として見るのではなく、組織に馴染めるように、そして仕事に楽しさを見出せるように、仕事をしてもらうことも意識しましょう。

組織が関わっているリリース情報や社内報などの共有

組織が関わっているリリース情報や社内報などの共有をすることも、一つの方法です。組織の現状を知る機会になるためです。プレスリリースや、noteやnotionなどで公開した社内の情報を内定者にも共有するすることで、組織が実際に今どんな仕事を行っているのかを理解できます。

組織がどのような方向に向かっていて、そのために具体的にどのようなことに力を入れているのかを知ることで、仕事内容をイメージしやすくなります。そのような仕事に携わることにワクワクできるような状態を作れると、仕事へのモチベーションを高く持てるようになりやすいです。

このように入社前からオンボーディングを行う関係性を築くことで、早期定着を促し早期活躍に繋げていくことができるようになります。

【参考コラム】
内定者フォローでお悩みの方必見!具体的な施策10個をご紹介
内定者研修・懇親会にも!内定者のチームビルディングを高める施策とポイント
【チェックシート付】内定者の内定辞退を防止に一番必要なのは信頼関係!構築のポイントは?

学習機会を設ける

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として社会人として仕事をできるようになってもらうための学習機会を設けることが必要です。
仕事ができない状態が続くと自己肯定感が下がり、仕事へのモチベーションが落ちてしまいます。そして組織の中に自分の居場所がないように感じて離脱してしまうということが起きます。また、仕事に必要なスキルを与えることで、先輩との共通言語が増えて話がスムーズに進むようになったり、効率的に働けるようになったり、成果が出しやすくなったりします。

そのための具体的な方法を3つ紹介します。

研修

仕事に必要なスキルを身につけてもらうための研修を実施することで、入社後の早期戦力化が期待できます。また、仕事を進めるためのスキルを身につけてもらうことで、新入社員自身の能力に対する不安の軽減にもつながります。

新入社員研修として、次のような内容が行われることが多いです。

新入社員研修 内容

【参考】
【実例あり】新入社員研修に必要な6つの内容と効果を高める5つのポイント

推薦資格の共有

仕事に活きる資格を共有することで、推薦資格を事前に取得したり、そのための勉強を進めてもらえるようにします。新入社員は、組織で活躍するためのスキルを身につけていることに自信を持つことができるようになります。特に、専門知識が必要な職種の場合に有効です。

例えば、金融関係であれば、銀行業務検定試験、証券外務員、外務員資格試験、ファイナンシャル・プランナーや簿記検定などが、不動産関係だと、宅地建物取引士などです。

推薦資格を伝える時は、その資格が仕事でどのように活きるのかを、仕事を行ったことのない新入社員でもイメージできるようにすることで、主体的に取り組む人が増えます。なお、資格があることで給与や昇進に影響する場合は、そのことも情報を伝えておきましょう。

推薦図書の共有

入社後に役立つ本を新入社員に共有することも、能力に対するフォロー施策の一つです。本によって仕事に対する意識が向上することを期待することができるためです。

当社が新入社員におすすめする本は、新入社員にプレゼントするおすすめ本16選!初心者でも読みやすいビジネス書から始めようからご覧いただけますので、ぜひご参考ください。

なお、本をプレゼントする場合は、内定者の負担を払拭するために以下の点に注意しましょう。

・本をプレゼントする意図・目的を丁寧に伝えること
なぜこの本をプレゼントするのか、この本を読むことで何を期待するのかを新入社員が理解できる言葉で伝えます。

・お堅い本・難しすぎる本にしないこと
最近の若者は、SNSなどの短い文章に慣れているため、長い文章に抵抗感のある人も多いです。そのため、パッとみて読む気がなくなるような本は避けるようにしましょう。

・提出必須の課題にしないこと
あくまでも推薦図書として、後日感想文の提出を依頼したり、本を読んだことを前提で話を進める、ということはないようにしましょう。

このように学習機会を設けることで、早い段階で仕事を行えるようになり、新入社員は仕事に対して自信がついてきたり、より難易度の高い仕事を任せられるようになっていきます。そうなると自然と、組織への定着と活躍を感じられるようになります。

ありたい姿を明確にする

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として新入社員のありたい姿を明確にしていくことも必要です。ありたい姿がないと、自分がなんのために仕事をしているのかがわからなくなり、辛い場面に出会したときに乗り越えることが難しくなります。そうすると活躍はできません。また、自組織にいる意味がわからなくなったり、他の会社の方が良いのではないかという思いが膨らみ、離脱も起こりやすくなります

そうならないようにするための具体的な方法を2つ紹介します。

ポジティブリフレクション

半年や1年というタイミングで、自身の今までの仕事に意味付けし、成長実感と貢献実感へとつなげます。そうすることで、これからどのように成長していきたいかを考えることができます。

当社の1年目フォロー研修では、事前課題として下記の振り返りシートを作成してもらいます。リフレクションシート作成前に、周囲にインタビューして成長貢献を実感し、その内容もふまえて振り返りを行います。内省を行うことで、自身の変化・成長や周囲への貢献を実感できます。

【研修の様子】

そして新入社員研修の場で、振り返りシートの内容をグループメンバーにシェアをしてコメントしてもらいます。シェアをして他の人からコメントをもらうことで、自分にはない視点の気づきを得られ、より深く振り返りを行うことができます。また、他の人の成長を見ることで、刺激を与え会うこともできます。

振り返りを行って今までの成長を確認し、これからはどんな成長をしていきたいかを考えることができると、自然と今やるべきことも見えてきます。今やるべきことが、素晴らしい成長につながっていると思えると、モチベーション高く仕事をすることにつながります。

「自身の素晴らしい未来」に向けてアクションプランを創る

自身の素晴らしい未来に向けて、1か月後、半年後、1年後、と数カ月単位で、自身がどのようなことを目指すか、そのために何をするか、というアクションプランを創ることで、将来をイメージして行動することができるようになります。個々にアクションプランを作成した後にシェアをすると刺激しあうことができます。

このように、日常業務を振り返ったり、将来の理想の姿を考える時間を作り、自身のありたい姿を明確にできるとそのために何が必要で何をするべきなのかがわかり実行しやすくなります。そのことを実行していくことで、自分が素晴らしいと思える未来に近づけていることを実感できます。そうすると、自組織にいる意味も持つことができるため、組織への定着や活躍にも期待ができるようになります。

新入社員の育成を支援する

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、組織として新入社員の育成支援を行うことが必要です。育成の仕方を誤ると、新入社員の仕事に対する意欲が下がったり、居心地の悪さを感じてしまいます。そしてそのことがきっかけで離職したり、言われたことしかしない状態になってしまい活躍が期待できなくなってしまうためです。

そのための具体的な方法を2つ紹介します。

OJTトレーナー研修

OJTトレーナー研修では、「新入社員の成長と自律を促すこと」を目的にどのような指導を行なった良いのかを学びます。OJTトレーナーには特に以下の4つのスキルが必要です。

・育成計画作成スキル
・ティーチングスキル
・フィードバックスキル
・コーチングスキル
【参考】【OJT研修】効果を高めるための目的・内容・進め方

OJTトレーナーの役割としてよく勘違いされるのは、仕事を進めるためのサポート、ということです。もちろんこの要素もありますが、最終的なゴールは新入社員が一人で仕事をできるようになることです。
新入社員の活躍を期待できるようになるためにも、OJTトレーナー研修などを受講して育成のためのスキルをトレーナーに身につけてもらうが組織として求められます。

新入社員の特徴と育成ポイントを提示

新入社員が育ってきた環境から特徴を推測したり、採用面談の中で見えてきた特徴をまとめて育成に活かせるようにします。育成方法は時代によって変わるものです。最近の新入社員の特性に合った育成や指導が行えていないと、新入社員にとっては負担が大きく居心地が悪くなるため、組織の定着と活躍に繋がりません。

例えば、24卒の新入社員には以下のような傾向がみられました。

これらのことを意識して育成することで、新入社員の成長を促しやすくなります。

このように、新入社員の育成について支援することで、新入社員は適切に成長が促され、組織で活躍できるようになっていきます。

今回紹介した組織ができる施策を行うことで、新入社員に早期定着と早期活躍を期待できるようにしましょう。

3)早期定着と早期活躍のために「新入社員」ができること

早期定着と早期活躍のために新入社員ができることとして、以下の施策があります。

・組織の一員であるということを自覚する
・周囲の人に頼る
・育成に対する感謝の気持ちを持つ

順番に説明します。

組織の一員であるということを自覚する

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、新入社員に組織の一員であることを自覚してもらう必要があります。社会人になった自覚を持てないままだと、無責任な言動やトラブルを引き起こし、会社として不利益を被るリスクが高まるためです。

そのための具体的な方法を4つ紹介します。

組織と仕事内容の理解を促す

組織と仕事内容の理解を促すことが必要です。採用段階で伝えきれなかった具体的な内容も踏まえて、会社としての方向性や仕事内容を正しく理解してもらいます

より具体的でリアルな組織と仕事内容を理解してもらうことで、仕事やその仕事の意義を受け取ってもらうことができます。そして、同じ方向を向いて仕事をすることに繋がります。

社会人としての自覚醸成

学生と社会人の違いを理解し、社会人として仕事や課題に向き合う姿勢を醸成することは、社会人としてのマインドセットに必須です。 例えば、弊社の社会人の自覚研修では、社会人が身に付けるべき要素として以下を扱っています。

・モラル遵守
・顧客満足の担保
・周囲への貢献意識
・時間管理への意識

これらは、座学のインプットだけではなかなか習得できません。ケーススタディやロールプレイを通して実践したり、得た知識を自分の言葉でアウトプットする機会を設けることをおすすめします。具体例として、弊社の研修では、『「与えられる立場」から「与える立場」になる』という学生と社会人の立場の違いを理解するため、「社会人とは何か?」というテーマで、ワールド・カフェ形式でグループワークを行っています。

ワールド・カフェとは、『カフェ』のようなリラックスした雰囲気の中で行う対話手法の一つです。少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行い、他のテーブルとメンバーをシャッフルして対話を続けることにより、参加した全員の意見や知識を集めることができます。

マインドセットを行うに「社会人のあるべき像」一方的に押し付けるのではなく、「学生と社会人の違い」について、新入社員自身で探求し、理解を深めていくプロセスにしています。

【参考】「学生」と「社会人」の5つの違い|ワークを通じて違いを理解するためのポイント

コンプライアンス理解

現代はSNSの発展と共に、機密情報や個人情報の漏洩といったコンプライアンス違反がより身近に起こり得るものへと変化しました。そのためコンプライアンス理解は新入社員教育に欠かせないテーマです。新入社員が知識がなかったがために問題を起こしてしまうと、組織に居づらくなってしまったり、フォローも大変になるため、下記のようなことについては事前にしっかりと理解してもらうことが必要です。

・個人情報保護
・SNSの取り扱い
・ハラスメント ・社内規定や就業規定
・著作権や特許権

コンプライアンスについて理解してもらうために、実際に起こった事例を基にしたケーススタディやグループワークを行うと、新入社員もイメージしやすく、当事者意識も持ちやすくなります。

 任意の名前

このように、新入社員へ社会人であることや組織の一員であることを自覚を促すことで、仕事に責任を持って最後までやり抜けるようになったり、主体的な言動が促されます。その結果、早期定着と早期活躍を期待できるようになります。

周囲の人に頼る

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、新入社員が周囲の人に頼れるようになってもらう必要があります。新入社員は一人で完結できる仕事は少なく、どんな仕事でも誰かの協力や確認が必要になるためです。
新入社員の中には適切に頼ることが難しくて一人で抱えてしまう人もいますが、それでは仕事が前に進んでいきません。そうならないためにも、新入社員から適切に周囲に声をかけて頼りながら、仕事を進めていくことが活躍するために必要になります。

周囲に頼れるようになるためには関係性が構築されている必要があるため、関係性の構築を促す具体的な方法を3つ紹介します。

認知の捉え方確認

認知の捉え方を確認することで、関係性を構築するために必要な考え方を理解することができます。いかに自分と他者で異なる認知をしているのかがわかるためです。

当社の関係性構築力研修では、これまでの業務において新入社員自身がネガティブに感じた一場面を丁寧に振り返り、その時の自分、上司・トレーナーはどのように捉えていたのか、を考える課題を行なっています。

この課題を行うと、同じ出来事であっても、自分と相手では捉え方が異なる・見えている世界が異なる、ということに気がつきます。研修の詳しい様子は、関係性構築力研修ー公開講座研修レポートからもご覧いただけます。
自分と相手で見えている世界が違うことがわかると、そのことを意識したコミュニケーションを取れるようになっていくため、関係性構築力を高めることにつながります。

ストローク体験

ストローク体験をすることで、関係性を構築するために必要な態度を学ぶことができます。
ストロークとは、交流分析の中で「人間が生きていくために必要な心の栄養」とされています。人との関わりはストロークのやりとりが発生している状態であるという考え方です。ストロークには、相手にポジティブな感情を与える「プラスのストローク」と、反対にネガティブな気持ちにさせる「マイナスのストローク」の2種類があります。

当社の関係性構築力研修では、そのプラスのストロークとマイナスのストロークを新入社員が行い、受けることで、どのように感じるかを体感することができます。

プラスのストロークでは、話し手の目を見て聞き、頷くなどのリアクションをとります。一方、マイナスのストロークでは、話をしている相手に目も合わせず相槌も打たない状態で聞く、ということを行います。これらを交互に2,3分程度行うと、感じ方の違いを得ることができます。
ここから、関係性を構築するためには、相手の目を見て興味を持って聞くことが大切であるという学びを得ることができます。

このように新入社員が自ら周囲に関心を持って周囲との関係性が築いていかれることで、組織での居場所が持てるようになったり、相談しやすくなって仕事のスピードや速さが高まります。

素晴らしい関係性を作るためにできることを考える

素晴らしい関係性を作るためにできることを考えることで、関係性を向上させることを期待できます。具体的にどのような行動をしたらいいのかが明確になるためです。

当社の関係性構築力研修では、同じような関係性についての悩みを持っている人で集まり、新入社員自身で解決策を考えるという課題を行なっています。1時間程度の時間を新入社員に預け、アウトプットの作成まで行ってもらいます。

※OSTを簡易的にした方法を活用しています。
※OSTとは、数人から数百人全員が一堂に会して話し合い、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を超えた問題解決への取り組みを促すファシリテーションのプロセスです。1985年にハリソン・オーエン(Harrison Owen)氏によって提唱されました。

下記は、アウトプットの一例です。

このように新入社員が既存社員と関係性を築き、周囲に全うに頼ることができるようになると仕事もうまくいくようになります。関係性と仕事の質のどちらに対しても期待できるようになります。

育成に対する感謝の気持ちを持つ

新入社員の早期定着・早期活躍を促すためには、新入社員が育成に対して感謝の気持ちを持ってもらう必要があります。学生の頃は、教えてもらうことが当たり前だったため、教えてもらうことに対して当然であるという感覚を持ってしまいがちです。
しかし、学生の頃は費用を払って学んでいますが、社会人になると給与を受け取りながら学ぶことになります。また、教えてくれる先輩たちの時間も犠牲にして自分に費やしてもらっています。組織が自分たちに対して、どの程度コストを出して育成してくれているのかを考えて、感謝の気持ちを持つことで、貢献意識が高まり、組織への定着や活躍に繋がります

そのための具体的な方法を1つ紹介します。

コスト意識醸成

社会人としてのマインドセットを行うにあたり、コスト意識を持つことは重要な要素です。

コスト意識とは、会社における自分自身の活動が、売上やコスト・利益にどう繋がるかのイメージを持ち、最小のインプット(投入)で最大のアウトプットやリターン(利益・メリット)を生もうとする意識のことです。

例えば、自分の人件費(給料)が会社のコストの大きな部分を占めると認識している新入社員は少ないです。そのため、当社の目標達成・コスト意識研修では、会社の利益構造の仕組みや「コスト意識」の意味を経営シミュレーションゲームを通して、正しく理解し、その流れの中で自身の給与は何から発生するのかを体系だって学べるようにしています。そうすることで、日頃から「コスト」とそれに対するリターン(利益・メリット)を考えながら行動する意識醸成をおこなうことができます。

このようにコスト意識を持つことによって、組織への感謝の思いを持てるようになります。その結果、組織から受け取ったものを返したいという貢献意識が強まり、結果的に組織への定着や成果も促されることになります。

今回紹介したような新入社員に持ってもらいたい意識を醸成することで、新入社員に早期定着と早期活躍を期待できるようにしましょう。

4)まとめ〜アーティエンスは早期定着と早期活躍をサポート〜

本記事では、研修のプロである当社が、組織から新入社員への期待を「早期定着と早期活躍」と定義した上で、そのために組織と新入社員がそれぞれできることを説明しました。

早期定着を組織が新入社員に期待するわけは、組織に定着していないと早期離職に繋がる可能性があるためです。早期離職が起きると、採用や育成費用が無駄になってしまい、組織の成長につながりません。

早期活躍を組織が新入社員に期待するわけは、早い段階で活躍し、成果を出してくれるほど、組織の成長に繋がるためです。新入社員が給与以上の成果を出せるようになるとコスト的に潤います。また、早い段階で活躍し、さまざまな経験を積むことができると、その知識が組織の財産となって蓄積することができます。

このように、組織は新入社員に早期定着と早期活躍を期待することで、組織の成長に繋げることができます。

早期定着と早期活躍のために組織ができることとして、以下の施策があります。

・採用段階で自組織のことをオープンに話す
・入社前から内定者同士の関係性を構築する
・入社前からオンボーディングを行う
・学習機会を設ける
・ありたい姿を明確にする
・新入社員の育成を支援する

早期定着と早期活躍のために新入社員ができることとして、以下の施策があります。

・組織の一員であるということを自覚する
・周囲の人に頼る
・育成に対する感謝の気持ちを持つ

今回紹介したような施策を行うことで、新入社員に早期定着と早期活躍を期待できるようにしましょう。

アーティエンスでは、さまざまな方法で早期定着と早期活躍をサポートしています。

新入社員研修では、新入社員が現場で活かせる知識とスキルを渡すことを意識しています。

知識やスキルを知っているだけで使えていないという状況にならないように、シミュレーションワークなどを取り入れて現場で活かせる知識とスキルを渡すことを大切にしています。

組織と新入社員がそれぞれできることを行うことで、新入社員の早期定着と早期活躍を期待できるようにしましょう。

また、社内だけでは対応が難しいと感じた際には、ぜひ、アーティエンスまでご相談ください。