2023/2/14作成ー
「新入社員の教育を担当することになったけど、何をすればいいかわからない…」
このようなことでお悩みになっている方も多いのではないでしょうか。組織によっては、新入社員の教育担当としてどのように教育するかは任せる、というような場合もあるかと思います。そうなると、一体どのように教育をすればいいのか迷いが生じるでしょう。
人を教育する経験をしている人は少なく、教育方法でイメージできるのは、自身が新入社員の時に教育をしてもらった人や、学校・塾・家庭教師の先生のやり方くらいではないでしょうか。その方々の教育方法が素晴らしいものであれば問題ないのですが、そうでなかった場合は、よくない結果を生み出してしまいます。
オリジナルで新入社員の教育を行うのは、教育担当者としても不安でしょうし、新入社員の成長を促す要素が足りていない場合もあるため、少なくとも新入社員の教育に必要な4つのことは理解して身につけておく必要があります。
新入社員の教育に必要な4つのこと、というのは
です。
なぜなら、新入社員の教育担当は、役割として次の4つを促す必要があるためです。
仕事を進めるために必要なスキルを身につけ、新入社員自身で仕事を進められるようにします。
例えば、
・営業がヒアリングのスキルを身につけて、相手の求める提案を行えるようになる
・経理担当の新入社員が、請求書の作成や振り込みの対応を行えるようになる
などです。
新入社員が社会・組織へ適応できるようにします。
例えば、
・社会人としての自覚を持った、行動・言動を行えるようになる
・組織の文化を理解して馴染めるようになる
などです。
新入社員を育成することで、組織の目標達成に近づけるようにします。
例えば、事業所の目標が「売上10億円を目指す」という内容だったとします。この組織目標を達成するために教育担当者は、
・営業担当の新入社員には、組織・事業所を意識しながら、自身の売上が達成できるための教育を行う
・事務として営業を支えてくれている新入社員には、営業が仕事をスムーズに行えるための支援をしてもらう
などの支援をすることで、組織の目標達成に貢献できるようにします。
新入社員が、自身で仕事を進められるような状態にします。いつまでも丁寧なフォローを行い続けることはできないためです。
新入社員の教育担当として、この4つの役割をこなすためにも、新入社員の教育に必要な4つのことが必要になるのです。そこで今回は、新入社員の教育担当になったら身につけるべき4つのこと、そして、新入社員教育担当が抱える悩みと対処法についてお伝えします。
この記事を見て、新入社員教育担当者として必要なスキルを理解し、身につけるための準備を行うことで、新入社員を歓迎することができ、育成へのモチベーションが高まっている状態にしましょう。
目次
新入社員の教育担当になったら、次の4つのことを行う必要があります。
これら4つのことを行うことで、新入社員の『能力開発の促進』、『自己啓発の促進』、『自律・自走の促進』と『組織の目標達成への貢献』を行うことができます。
それぞれ詳しく説明します。
育成計画では、明確なゴールとゴールを達成するまでの道のりを明確にします。 育成計画を立てる流れは次のようになります。
育成計画のイメージは次のようなものです。この育成計画の中で、教育担当がメインで考える必要があるのは、青色の箇所です。
【例:5月配属のとある広告代理店の新入社員育成計画】
1年後の目標 | 営業で初回相談(ヒアリング)から提案・受注・広告運用までの支援を配属後半年で1件、3月末までに10件遂行できるようになる | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 5月 | 6月 | 7-9月 | 10-12月 | 1-3月 | |||||||
新入社員教育のゴール | ・仕事に対して自分なりに意義を見出している
|
自らコミュニケーションを取りに行き、愚直にPDCAを回す | 上司・先輩の考えに関心を持つ | 自身の意見と上司・先輩への報連相を基に、任された仕事を進めることができる | 相手のニーズを正しく把握し、期待を超えるレベルを目指そうとしている | 自身のこれまでの成長を実感でき、2年目に向けて意欲向上と一段階上の視座の課題設定ができている | ||||||
OJTで意識するポイント | ー | 具体的で丁寧に説明して仕事を依頼 | 新入社員に考えさせる余白を持たせて仕事を依頼 | まず任せてみる ただしフォローできる体制は準備しておく |
まず任せて、新入社員からの相談によって、アップデートさせていく | 新入社員が主導になって、OJTトレーナーを巻き込み仕事を進めていく | ||||||
OFF-JT (外部研修) |
・社会人の自覚 ・ビジネスマナー ・コスト ・ビジネススキル ・共同体感 |
巻き込み力 | 関係性構築 | ・ロジカルシンキング ・要件定義力 ・新入社員・OJTトレーナー合同研修 |
ソリューション提案力 | ・成長力 ・フォロー研修 |
||||||
SD | ー | ー | Webマーケティング基礎 | ー | ライティングスキル | Webマーケティング応用 | ||||||
1on1 | 個人の価値観と組織の価値観の統合 | |||||||||||
ー | チームメンバーの持ち回りで毎日30分 | トレーナーと1週間に1回、人事と月に1回以上 | トレーナーと1週間に1回、人事と月に1回以上 | トレーナーか人事と月に1回以上 | トレーナーか人事と月に1回以上 | |||||||
人事と現場で新入社員の育成で意識するポイント | 人事は新入社員にとって安心できる存在になれるよう、コミュニケーションを積極的にとる | 新入社員が受け入れてもらっている感覚を持てるよう、人事と現場で連携を取りながら育成をフォローする | 失敗をせめて挑戦できない人にならないように、失敗は成長の元という言葉を頭において教育する | 成長できていないのではないかと不安になりやすい時期。 振り返りの中でできるようになったことも意識できるようにフォローしながら教育する |
成果を出せていないことに不安を感じやすいとき。 いつまでにどこを目指すのか、目標を明確にして達成していくことで自信を持てるようにする |
2年目になること、成長、成果への不安を感じやすい時期。 成長していることにも目を向けながら改善策を考える。 2年目社員と話をする機会を設けて、不安の解消をするのもお勧め |
人は目標が設定されると行動が強化され、自律的な行動が現れます。ただし、「目標が遠い」「目標が高すぎる」「目標があいまい・分かりにくい」ものだと、人の行動は却って鈍化されてしまいます。そのため、ゴールだけでなく明確な中間目標があると効果的です。 ※ 当社OJTトレーナー研修のテキストより抜粋
ゴールまでの道のりで意識したいことは、次の2つです。
①新人に仕事を「任せる」ことを前提とした計画になっているか
②新入社員と教育担当者が信頼関係を築くことが考慮されているか
順番に説明します。
新入社員へ1年経ってからも丁寧に教えるということは、できないことがほとんどだと思います。2年目からは自身で仕事を行うことが求められるでしょう。しかし、その準備ができていないと、新入社員は2年目になって教育担当者からのフォローがなくなった途端、どのように動けばいいのかがわからなくなってしまう可能性があります。そうならないためにも、新入社員の間に仕事を任せるということを前提とした計画にしておくことが必要です。
【例:5月配属のとある広告代理店の新入社員育成計画】
4月 | 5月 | 6月 | 7-9月 | 10-12月 | 1-3月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
OJTで意識するポイント | ー | 具体的で丁寧に説明して仕事を依頼 | 新入社員に考えさせる余白を持たせて仕事を依頼 | まず任せてみる ただしフォローできる体制は準備しておく |
まず任せて、新入社員からの相談によって、アップデートさせていく | 新入社員が主導になって、OJTトレーナーを巻き込み仕事を進めていく |
信頼関係を強く築きあげることで、新入社員の行動や結果が高くなることがわかっています。 ※ 当社OJTトレーナー研修のテキストより抜粋
信頼関係を高める行動とは、例えば、
・1on1で丁寧に新入社員の話を聴く
・新入社員に指導していることは、教育担当自身も行っている
・新入社員の意図を確認せずにネガティブフィードバックを行わない
などです。このような小さな積み重ねが、信頼関係に影響するため、新入社員とのコミュニケーションは丁寧に行うように意識しましょう。このように育成計画で、明確なゴールとゴールを達成するまでの道のりを明確にすることで、新入社員の成長を促します。
ティーチングによって、新入社員の成長を促します。 指示(ティーチング)とは、話し手が、知識・技術・意欲・考え方を新入社員に伝え、それによって、新入社員は必要とされるスキル・スタンスを体得し、かつ業務遂行に向けての行動が強化されることです。そのため、教育担当者は、ティーチングの結果として「部下の行動が強化されたか」に注目することが大切になります。
指導をするというと、一方的に伝えるようなイメージを持ちやすいですが、相手の認識・理解があって初めて成り立ちます。ただ伝えればいいのではなく、相手が理解できるように伝えるということを意識して指導をしましょう。例えば、業務依頼の指導をする時の言動を細かく分けると、次のような流れになります。
詳しく説明します。
簡潔にわかりやすく伝えます。例えば5W1Hの型を使って伝えると、簡潔に伝えやすくなります。
新入社員が、依頼内容の目的を理解している必要があります。そうでないと、本質的な理解ができず、他の作業への応用が利かなくなります。
新入社員が初めて行う仕事の際は、指導をするときにデモンストレーションを行うことで、仕事のイメージや進め方がわかりやすくなります。
デモンストレーションまでの説明を受けて、実際に新入社員にやってみてもらいます。このときに、新入社員が何に躓いているのかを把握できると、指導をするポイントが見えてきます。
新入社員が実際にやってみると、デモンストレーションでは伝えきれていなかった点に気がついたり、新入社員が躓きやすい点がわかります。その部分を補足説明しましょう。また、新入社員が疑問に思う点が出てくる場合もあるので、質問を促すとよいでしょう。
最後に、新入社員が自分の言葉で何をやるかを言葉に出してもらいます。そうすることで、新入社員がしっかりとやることを理解しているかを確認できます。新入社員が理解しきれていない時は、明確に言葉にできていないことが多いです。改めて伝え、新入社員が自分の言葉で伝えられるようになるまで確認しましょう。
このように、ティーチングによって、新入社員の成長を促します。
フィードバックによって、新入社員の成長を促します。フィードバックは、何らかの出来事に対して改善や強化を行うことができるため、日々の業務を成長に繋げていくことができます。
新入社員へのフィードバックで大切なことは次の3つです。
詳しく説明します。
出来事、行動だけでなく、構造(周囲の環境からの影響)、当人の真の想いも把握し、その上で、フィードバックのポイント・焦点をどこに置くかを考えます。
例えば、9月の営業成績で、電話数もアポイント数も多いが、体験版サービス、本サービス導入数の数値は低い、という出来事が起こっている場面を構造に落としてみると次のようになります。
※ 当社OJTトレーナー研修のテキストより抜粋
この場合は、例えば、
・各目標(電話回数・営業回数・サービス導入数等)の重要度付け・優先順位付けが曖昧になっている。というポイントに焦点を置いて、重要度や優先順位の付け方をフィードバックすることも一つの方法です。
このように見てみると、どこに焦点を置いてフィードバックを行うのが効果的なのかが見えてきます。
承認する・褒める・改善させる(叱る)といった一連のフィードバックがすべて、新入社員の行動の強化につながっているかを確認します。
※ 当社OJTトレーナー研修のテキストより抜粋
・最近も相変わらず頑張ってるね。そういえば、マネージャーも業務の姿勢が素晴らしいって褒めてたよ ・今月は、電話営業数がチームでトップクラスだね。行動量としても問題ないね。同期にも良い刺激を与えられてそうだね
・ここから更に良くしていくとしたら、受注制約率かな。この部分の数値って、他の数値と比較してどれくらい意識してるかな?…意識の重みづけを整理するとね、必然的に行動と結果の質も向上するんだよ
・〇〇さん責任感強いから、結構いろいろ抱えてそうだな…良かったら週明けにまた話さない?それまでに各業務でどれくらい時間を割いているか、少しまとめておいてもらっても良いかな?
承認する・褒める・改善させる(叱る)といった一連のフィードバックがすべて、新入社員の行動の強化につながっていることがポイントになります。
新入社員にフィードバックを理解・納得してもらうことを考え、新入社員がフィードバックを無視・拒絶する要因を理解・把握したうえで行動します。新入社員がフィードバックを容認できないケースを具体的に2つお伝えします。
この場合の原因として考えられるのは以下の3つの可能性が高いです。 ① 教育担当者が課題の真因を把握・整理できていない ② 教育担当者が課題の真因を部下に理解させられていない(説明の不充分) ③ 教育担当者の説明する内容が、新入社員にとって難易度が高い
Case2)教育担当者のフィードバックを新入社員が納得できない
この場合の原因として考えられるのは以下の3つの可能性が高いです。 ① 教育担当者と新入社員との信頼関係が不足・不充分 ② 新入社員の把握している課題に対して、教育担当者の把握が不十分 ③ 新入社員に何らかの思い込み、または意識の壁(メンタル・ブロック)が働いており、教育担当者の方でそれに対しての認識・配慮が不足している
新入社員にとって、何が原因でフィードバックを受け入れてもらえなくなっているのかを考え、改善しましょう。
このように、フィードバックによって、新入社員の成長を促します。
コーチングによって、新入社員の成長を促します。コーチングは、(上司から部下への)一方通行ではなく、双方向でのコミュニケーションから課題を見出し、解決していく手法です。そのため、新入社員の自律・自走を促すことに繋がります。一方的に答えを「与える」のではなく、相手(部下)から答えを「引き出す」機会を持ち、かつ行動に移させることが大切です。
新入社員へのコーチングで大切なことは次の3つです。
詳しく説明します。
教育担当者側の考え・意見を押しつけるのではなく、教育担当者は新入社員(の“やる気”)を信じている状態にします。 ※ 当社OJTトレーナー研修のテキストより抜粋
傾聴とは、相手を尊重し理解しようとして聴くことです。相手が口に出して考えを話すことで、自身の考えを深めることができます。相手の話を邪魔しないようにするために、阻害要因をなくすようにしましょう。
傾聴を阻害する要因としては次のようなものがあります。
・トレーナーの方で「答えありき・ゴールがすでに固定」されている
・トレーナーの「主張・考え」が強い
・トレーナーが部下を否定している(否定箇所で良くあるケース:人格・考え方・視野の広さ・話し方・性格等)
これらの阻害要因を持たないように注意しましょう。
質問をする上でのポイントは2つあります。
■クローズドクエスチョン(回答がYes/Noになるもの)よりも、オープンクエスチョンにする
回答がYes/Noに収まらず話し手の考え・想い次第で何通りものケースになるものを意識して質問すると、探求しやすくなります。
例) ・この業務の優先度は高いですか、低いですか…クローズドクエスチョン ・この業務が達成されると、どんなメリットがあるでしょう…オープンクエスチョン
■問いかけは、Why(なぜ)よりも、What(何を)、How(どうやって)を意識する
Whyの問いかけはネガティブな過去(変えられないもの)に対しての原因追究になってしまいがちだからです。
例) ・なぜこの業務をやらない(やっていなかった)のですか? …Whyの質問 ・どうすればこの業務が達成できる(できていた)でしょうか?…Howの質問
このように、コーチングによって、新入社員の成長を促します。
今お伝えした、4つのこと
を行うことで、新入社員の『能力開発の促進』、『自己啓発の促進』、『自律・自走の促進』と『組織の目標達成への貢献』を行うことができます。
新入社員を教育する上で大切なことは、新入社員のことを思って技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことです。
新入社員の成長を促す時に、「新入社員のことを思ってではなく、教育担当者自身が楽になるためとか、自身の評価のため」、を思っていると、新入社員の成長を促すことのできる教育を行うことが難しいです。なぜなら、目的が異なってしまっているためです。
新入社員の教育の目的は、あくまでも新入社員の成長を促し、組織にポジティブな影響を与えることにあります。この目的がブレないようにしましょう。また、技術的成長と精神的成長の2つが必要なのは、お互いがお互いの成長のために影響を与え合っており、どちらか一方のみを鍛えても、片方の成長がなければ、成長に繋がっていかないためです。
技術的成長である、スキルや技術としてのレベルを上げるために大切なことは、必要なスキルの提供です。スキルを学び、身につけるための機会を新入社員の教育の中で創ることで、技術的成長を促すことができます。
精神的成長である、仕事に対するモチベーションや仕事の意義を高めるために大切なことは、内省や対話の機会を創ることです。内省や対話を通して、それぞれが大切にしている価値観や考え方に気が付き、精神的成長を促すことに繋がります。
技術的成長は、特に、育成計画を立てるときやティーチング・フィードバックのときに意識して行い、精神的成長は、フィードバックやコーチングの時に意識して行うようにしましょう。技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことで、新入社員の成長を促すことに繋がります。
新入社員の教育担当者がよく抱えるお悩みと、その対処法についてお伝えします。
新入社員からの報連相が少ない時に考えられる原因は以下の4つです。
・報連相が必要な理由を新入社員が理解していない ・報連相をどのタイミングで行えばいいかを新入社員が理解していない ・報連相しにくい雰囲気を新入社員が教育担当者から感じている ・過去に新入社員が報連相について注意を受けて、報連相に慎重になり準備をしているうちにタイミングが遅くなってしまう
・報連相が必要な理由を新入社員が理解していない
この場合は、なぜ報連相が必要なのかを、新入社員が納得できるような形で伝えます。最近の新入社員は、理由がないと行動できないという特徴があるためです。例えば、納期にギリギリになりそうな時にフォローできるようにとか、良い感じで進んでいることに対してポジティブフィードバックをしたいからとか、新入社員が報連相した方が良いと感じるような言葉で伝えましょう。
・報連相をどのタイミングで行えばいいかを新入社員が理解していない
どの段階になったら報告をして、何が起きたら連絡をして、どのような状態になったら相談すればいいかがわからないという状態になっている可能性があります。この場合は、慣れるまで、それぞれに目安をつけておくと良いです。
例えば、「〇〇ができたら一旦報告して」「自分で判断が難しいと思ったら、一旦全部連絡して」「5分考えても悩むようだったら相談して」などです。報連相をする目安を作って、新入社員が報連相のタイミングを理解できるようにします。
・報連相しにくい雰囲気を新入社員が教育担当者から感じている
教育担当者が忙しくしていて、「時間がない…」というような発言をしているのを聞くと、教育担当者の邪魔をしないようにと新入社員が気を遣って報連相を控えることもあります。こうならないようにするためには、報連相でも何でも声を掛けてくれて良い時間を作っておくことをお勧めします。例えば、「11:00-11:15、15:00-15:15、17:00-17:15の時間は、新入社員のために開けておくので、何でも話にきて良いよ」と新入社員に伝えておくと、声を掛けやすくなります。
・過去に新入社員が報連相について注意を受けて、報連相に慎重になり準備をしているうちにタイミングが遅くなってしまう
新入社員と教育担当の間に信頼関係が築けていなかったり、過去のフィードバックで新入社員にとって傷つく言葉をかけられていると、教育担当者とコミュニケーションを取ることに怖さを感じ、なかなか声が掛けづらくなります。
この場合、新入社員と教育担当者の信頼関係を築き、新入社員が安心して挑戦や失敗ができる状態にすることが最優先です。なお、もし過去の出来事で怖さを与えてしまったかもしれない、という心当たりがあれば、そのことについて謝ってみるのも一つの方法です。
伝えている本人としては、傷つけているつもりはなくても、受け手にとっては大きな傷になっていることもあります。その傷を癒すことは信頼関係の構築にも影響が出てくるため、心当たりがある場合は素直に伝えてみましょう。
新入社員からの報連相が少ない時に考えられる原因は、それぞれです。ただ新入社員がダメだからとして考えることを辞めず、なぜそのような言動になってしまうのかを考えるようにしましょう。
新入社員が言われたことしかしない場合は、仕事を依頼するときに新入社員に考えてもらう余白を作るようにしましょう。その余白の部分を大きくしていくと、新入社員が自分自身で考えないといけないことが増えていきます。
余白を作るというのは、例えば、
・営業資料のこのページが見にくいから、クライアントが理解できるように作り直してもらえる? ・〇〇についてどう進めたら効率的か、考えてみてくれない? ・この商品を今日〇個売りたいから、どのような声がけをしたらいいか考えてみて
などです。全て細かく伝えるのではなく、新入社員に考える余白を残すことで、考えてもらうことができます。
新入社員が、負担感なくやってみたいと思えるような設定ができるとベストです。ただ、これは新入社員個人によっても差が出るため、やってみながら調整していくのが良いでしょう。
新入社員にとって挑戦的な内容を依頼するときは、依頼内容を伝えた後に「〜という仕事をお願いしたいんだけど、できそう?不安なことない?」と聞いてみて様子を伺うと、新入社員の様子がわかりやすくなるかもしれません。また、必ずフォローする、ということを伝えることも大切です。新入社員が自分一人でやると負担感が強くなることに対しても、教育担当者がフォローしてくれると思えるだけで、少し気分を軽くした状態で仕事に取り掛かることができます。
新入社員が同じミスを繰り返すときに考えられる原因は2つです。
・指導が新入社員が理解できる内容ではない ・表面的な改善策のみ伝えて、本質的な考え方を伝えていない
・指導が新入社員が理解できる内容ではない
教育担当者から言われていることを新入社員が全く理解できていないと、当然ですが同じミスを繰り返します。ミスの指摘とアドバイスを伝えた後に、「新入社員へ今理解したことを言ってみてくれる?」と新入社員の口から伝え直してもらうと、どの程度理解できているのかを確認することができます。確認して、伝わっていなかった箇所に関して、別の表現や伝え方で伝える、ということを繰り返すことで、新入社員に理解してもらうことができます。
・表面的な改善策のみ伝えて、本質的な考え方を伝えていない
他の仕事でも活かせるように本質的な考え方を伝えるのではなく、その時のミスに対応できる程度の改善策を伝えないと、新入社員は応用して活用することができないためです。
例えば、資料をみて「ここをこう直しておいて」という指導だけだと、なぜそうした方がいいのかという本質的な考え方を共有できていないことになり、新入社員は本質的な考え方を理解できません。教育担当者からみると同じ間違いと思っていることも、新入社員にとってはそうとは感じていない可能性もあります。そのため、指導をするときには、なぜそうした方がいいのか・しない方がいいのか、という本質的な考え方を伝えるようにしましょう。
新入社員に今抱えている仕事を毎日リストにしてもらったり、教育担当者以外の人から仕事を依頼された場合は、教育担当者に伝える、というルールを作っておきましょう。そうすることで、教育担当がスケジュールや仕事量について関与できるようになります。
新入社員は、仕事をお願いされた時にすぐに、スケジュールを考えて自分に受けられそうか・否かを判断することは難しいです。そのため、お願いされた仕事は全て受け取ってしまうパターンが多くみられます。新入社員が今どの程度の仕事を抱えているのかを都度確認できる状態にしておきましょう。
世代によって育ってきた環境は異なり、それによって常識にも違いが出てきます。まずは、そのことを受け入れて、なぜこんな言動をするのかの背景を知ることを意識するようにしましょう。背景を確認すると、新入社員なりに考えて行動や発言をしていたことに気がつくときもあります。出来事に対して反応的になるのではなく、一旦背景を確認するように意識することが大切です。
教育の時間を毎日のスケジュールに組み込んで、自分の仕事を調整していくことをお勧めします。例えば、新入社員の教育に毎日2時間はかかる、ということを想定して自身のスケジュールを組み立てるということです。あらかじめ新入社員の教育に必要な分の予定を開けておけば、その後の調整は自分次第です。ただ、あまりにも仕事量が多くなっている場合は、上司に相談して、業務量の調整を依頼しましょう。
今回は、新入社員の教育担当になったら身につけるべき4つのこと、そして、新入社員教育担当が抱える悩みと対処法についてお伝えしました。新入社員の教育担当になったら行うことは、次の4つのことです。
これら4つのことを行うことで、新入社員の『能力開発の促進』、『自己啓発の促進』、『自律・自走の促進』と『組織の目標達成への貢献』を行うことができます。また、新入社員を教育する上で大切なことは、新入社員のことを思って技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことです。 新入社員の教育の目的は、あくまでも新入社員の成長を促し、組織にポジティブな影響を与えることにあります。新入社員の成長を促す時に、「新入社員のことを思ってではなく、教育担当者自身が楽になるためとか、自身の評価のため」、を思っていると、新入社員の成長を促すことのできる教育を行うことが難しいため、目的がブレないように注意しましょう。
この記事を見て、新入社員教育担当者としてに必要なスキルを理解し、身につけるための準備を行うことで、新入社員を歓迎することができ、育成へのモチベーションが高まっている状態にしましょう。
新入社員の成長を促せる教育担当を育成したい場合は、部下・後輩育成OJTトレーナー研修もぜひご活用ください。