【事例】成果のでた管理職研修の企画・実施プロセス

作成日:

管理職研修の内容選定は多くの人事担当者を悩ませる課題です。

管理職研修の内容次第では、管理職のモチベーション低下やチームにネガティブな影響を与えかねません。

一方で、本コラムでお伝えするプロセスで研修内容を決定し、実行できれば、管理職やチームのパフォーマンスが高まり、組織に大きな利益をもたらすことでしょう。

このコラムでは、管理職研修で外してはいけないポイント、研修の種類と内容、そして事例をもとに研修内容を決定していくプロセスを解説します。

このコラムを最後まで読み、あなたの組織にとって最適な研修内容を策定する第一歩を踏み出してください。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

目次

1)効果の高い管理職研修は「自分たちは変われる」と確信が持てる

管理職研修の効果を高めるには、『管理職が「自分たちは変われる」という確信を持つ』ことが最重要です。

『管理職が「自分たちは変われる」という確信を持つ』研修内容で抑えておきたいポイントは、

・やらされ感ではなく、自分事として捉えることができる
・理解はできるというレベルではなく、自分たちが変わりたいと思う内容
・自分たちは変わっているという実感が持てること

です。この3つが揃う研修内容でなければ、効果の高い管理職研修にはなり得ません。

もしも、管理職が「自分たちは変われる」と確信できなければ、実際に管理職が変わることはないでしょう。会社にも変化が起きません。
せっかく時間とお金を費やしたにもかかわらず、全くの無駄になってしまいます。

重要なことは、企画側・講師が学びや問題意識を押し付けるのではなく、管理職自身が自ら組織課題や組織変革と向き合う状況を創っていくことです。

2)【目的別】管理職研修の4つの種類と内容例

『自分たちは変われる』と確信が持てる管理職研修を企画・実施するために、
まずは管理職研修の種類・内容、目的(効果)を知ることが必要です。

管理職研修は、大きく4つに分けられます

管理職研修

3)【目的別】管理職研修の学びのポイントと効果が下がるアプローチ
それぞれの内容と研修効果下がるアプローチを一つずつ解説します。

1. 管理職の意識醸成

管理職の意識醸成を目的とした研修には、「新任管理職研修」などがあります。
一般社員から管理職への意識を変えるために行う研修です。主な内容は以下の通りです。

・管理職として自覚を持たせる
・管理職が求められる役割理解する
・管理職として必要なスキルを渡す

▼効果が下がるアプローチ
・管理職になり立場が変わったことを、概念的もしくは厳しく伝えるだけ
・顧客の管理職の役割・定義を理解せず、一方的に管理職のあるべき論を述べる
・管理職に求められていないスキルや、課題のないスキルまでトレーニングする

2. 次の経営者の育成

次の経営者の育成を目的とした管理職研修として「次世代リーダー育成研修」があります。
世代交代をスムーズに行い、経営能力を落とさないための研修です。主な内容は以下の通りです。

・経営視点を持たせる
・経営者として必要なスキルを渡す
・経営課題に対して取り組む機会を設ける

▼効果が下がるアプローチ
・自社のミッション/ビジョン/戦略が反映されていない
・自組織の経営者が身に付けるべきスキルの重要度が考えられていない
・研修で学んだ内容を活用する場面がない

3. チームパフォーマンス・エンゲージメントの向上

チームパフォーマンス・エンゲージメントの向上を目的とした管理職研修もあります。主な内容は以下の通りです。

・管理職が抱えている課題を解決する・チーム力(自チーム・部門間)を高める

▼効果が下がるアプローチ
・課題設定が曖昧/表面的
・知識・スキルの授与のみで終わり、現場活用の導線がない
・研修内での一時的な盛り上がりが重視され、現場に変えると元に戻ってしまう

4. 労務管理・コンプライアンスのリスクマネジメント

労務管理・コンプライアンスのリスクマネジメントを目的とした管理職研修の主な内容は、以下の通りです。

・時代や世の中が求めている労務管理/コンプライアンスを学ぶ
・労務管理やコンプライアンスで、やらないといけないこと/やってはいけないことを学ぶ

▼効果が下がるアプローチ
・型どおりの内容で、労務管理・コンプライアンスを扱うイメージがわかない
・現場でのルール化が不明瞭な内容になっている

次に「自分たちは変われると確信が持てる管理職研修」の企画・運営をどのようにしていくかを考えていきます。

3)事例から学ぶ、効果のでる管理職研修の進め方

管理職研修は、以下のプロセスで進めると、効果を高めていくことができます。

当社のお客様(コンテンツビジネス事業/マザーズ上場会社(当時)、社員数200名程度)が、管理職研修を実施して

・ストレスチェックの大幅改善
・新サービスの収益化

といった成果を出した事例を基に、説明します。

1. 企画 :組織の真の課題に目を向ける

企画では、真の課題を把握し、アプローチします。

真の課題を把握できていないと、管理職の変容を促せなかったり、表面的な管理職研修になってしまいます。

企画の進め方は、下記の3つの流れで進めるとよいでしょう。

企画のプロセス 内容
①真の課題の把握 【1. 課題を全て洗い出す】→【2. 課題の関連性を確認する】→【3. 真の課題を把握する】の順で進める
②コンセプトと、要件定義の決定 管理職研修で実現したいことをコンセプトにする
管理職研修の実施よって、管理職の意識・行動にどのような変化が起きているかを設定する
③研修内容の決定 コンセプトと要件定義を達成するための、研修内容を決める

企画①. 真の課題の把握

真の課題の把握は、以下のように実施します。

1. 課題を全て洗い出す
2. 課題の関連性を確認する
3. 真の課題を把握する

事例で見ていきましょう。
この企業は「ストレスチェックの結果が悪い」という課題があり、その課題解決のために「管理職研修を行いたい」と考えていました。
下記は、実際にお客様からいただいた資料です。

#守秘義務のため、一部加工しております。

▼【1. 課題を全て洗い出す】
担当者と共に今持っている課題を洗い出すと、その他に、次のような別の組織課題も明るみになってきました。

・新規サービスは立ち上がるが、マネタイズする気配がない
・新規サービスの失敗が多く、現場が疲弊している
・管理職はプレイヤーとして優秀だが、チームとして仕事ができていない

話すうちに、これらの課題それぞれが複雑に絡み合っている状況が見えてきました。

もしもストレスチェックの結果が悪い、という課題のみに対応する研修を実施していれば、効果は一時的になっていたでしょう。

▼【2. 課題の関連性を確認する】
組織課題を紐解いていくために、システムシンキングという思考方法をもとに、対話しながら、組織の状況を可視化していきました。

▼【3. 真の課題を把握する】
システム図作成後、レバレッジポイント(小さい力で大きな効果を生むポイント)を明確にしながら、管理職研修で取り扱うテーマを選定していきました。
※システム図は参考情報としてご覧ください

上記システム図を基に話を進めたところ、経営陣・事業部長クラスは連携が取れ、新規サービスも立ち上がってる状況が見えました。コンテンツビジネスを扱っている会社として、新規サービスが立ち上がることはとても素晴らしいことです。

ただし、経営陣・事業責任者のスピード感に、管理職・現場がついていけない状況でした。結果、新規サービスは軌道に乗らず、失敗し、現場からは諦めやストレスが高まっていました。
そして、精神疾患や離職などが起きていることの背景が見えてきました。

これらの状況から、「個人での抱え込み」と「失敗の数」をテコ入れすべき点(レバレッジポイント)
と捉え、

・「個人での抱え込み」の対策:「管理職同士の連携強化」
・「失敗の数」への対策:「チームとしての業務遂行」を軸に、メンバーの業務の抱え込みへの対策や失敗の捉え方の意識変革を行う

をテーマに研修を行っていくことにしました。

企画②|コンセプトと要件定義の決定

真の課題や研修テーマが明確になったら、次に、管理職研修のコンセプトと要件定義を創ります。
コンセプトと要件定義は、以下のように進めます。

• 管理職研修を通して、何を成し遂げたいか?大切にしたいか?(コンセプト)
• 研修直前と直後でどのような変化を目指すか?(要件定義/研修要件)
• 研修受講前と後で、現場でどのような変化が起きていくか?(要件定義/効果要件)

実際には、「コンセプト」と「目指す姿(要件定義)」を行き来すしながら進めていきます。
本お客様は、以下のコンセプトと、要件定義になりました。

研修コンセプト:

共創の場を創る管理職
ー素晴らしいサービスが生まれ続けるチーム作りー

要件定義:

※ 「現場」と書かれた記載が効果要件

企画 ③|研修内容の決定

次に研修内容の選定です。どのようなストーリーで、目指す姿を実現できるかを考えていきます。
全体設計をふまえて研修プログラムや講師を決めます。
本お客様は、下記のように全体設計をしていきました。

今回の研修プログラムは、コンセプト・要件定義で導き出した、

・管理職同士のチーム力を高めて、チーム内外に良い影響を与える
・自部署のチーム力を高めて、共創機会を増やす
・部下と向き合い共に成長する

を実現するための研修を設計しました。これは専門家である私たちが

・管理職同士の関係の質の向上と、管理職のリーダーシップ開発
・チーム学習を通しての課題解決
・行動変容と組織変革の促進

の観点から、コンセプト・要件定義をクリアするための内容を設計した結果です。

本事例においては、当初の相談内容であった「ストレスの解消方法を教えられる講師」ではなく、上記の要件定義を達成するために必要な「組織変革の経験を持つファシリテーター」を講師として選定しました。

このようにデザイン(企画)していくと、研修効果はとても高まるでしょう。

管理職研修の企画承認を得る際の重要なこと

管理職研修の企画承認を得る際には、早い段階で当事者として、経営者を巻き込みましょう。

理由は、2点あります。
1点目:効果への影響
考え抜いた企画であればあるほど、情報量の多さにより、その文脈が伝わりきらないことがあります。

そのため、経営者に提案しても適切な理解を得られないことも多くあります。
結果、いかに良質な企画であっても、一蹴され、経営者の考えのみを形にする管理職研修に差し変わる場合があります。
逆に早い段階で、経営者を巻き込むと、経営者の考えや想いと現場課題とが適切に融合されます。また、経営者自身も管理職研修への関心を強く持ち、コミットも高まるでしょう。

2点目:研修効果への体感の影響
経営者と共に要件定義を考えると、経営者自身が研修後の管理職の変化をイメージできます。

そのため「効果があったのか?コンセプトは達成できたのか?」を強く体感でき、次の施策につなげていくことが可能です。

最も望ましい進め方は「課題の洗い出しから経営陣に入ってもらう」。
難しい場合は「進捗報告をこまめにして、その都度経営者の意見やフィードバックをもらうこと」です。

メールだけではなく、口頭でのコミュニケーションを取るようにしましょう。
経営者の方は時間がないので、時間が取れないという方もいます。しかし、管理職研修は会社に大きなインパクトを与えことを伝えてもらえたらと思います。
もしくは、このコラムを読んでいただいてもよいのではないでしょうか。

組織へのインパクトが大きい管理職研修の企画承認を得る際には、早い段階で経営者に当事者意識を持ってもらいましょう。

それが、組織課題の解決に繋がっていきます。

2  準備:研修受講への意識を上げていく

準備で大切にしたいポイントは、研修実施案内と、事前ワークの配布の2つです。

準備のプロセス 内容
①研修実施の案内 管理職の参加意欲が高まるような内容を送る
②事前ワークの配布 管理職の受講意識が少しでも高まるもの・管理職の状況・状態が分かるものを実施

①研修実施の案内

研修実施の案内は、管理職の参加意欲が上がる内容を送ります。
いつもとは違うという認知を持ってもらうことが重要です。それだけでも、研修への関心度合いが変わります。関心度合いが上がれば、当事者意識が高まります。

例えば、本お客様の案内文は、経営者から下記のような内容を伝えていました。

2. 事前ワークの配布

事前ワークは、可能な限り負担を無くした上で、管理職の状況・状態が分かる内容にします。

忙しい管理職からすると、管理職研修に対して、ネガティブな印象を持っている方が圧倒的に多いです。多くの仕事と、大きな責任に追われている管理職は、研修に対して簡単には前向きになってもらうのは難しいでしょう。
少しでも管理職が今持っている課題意識や状況などを把握しておくと、講師・事務局ともに当日の準備の質を高めていけます。

本お客様の事前ワークでは、設問に対して「特になし」や最低限のテキスト量のアンケートが多く提出されました。

※実際のアンケート①
※実際のアンケート②
事前ワークを見て、「当社の管理職は、こんなレベルか」と、経営陣はとてもがっかりされていました。

当社からは、状況を理解した上で、職の本来持っているパフォーマンスをどのように解放するかを研修当日まで話していきました。

3 :運営|当事者意識の醸成・柔軟な対応を行う

管理職研修の運営では、「あるべき論を押し付けるのではなく、現場の状況を踏まえて進めること」が重要です。
現場を一番理解しているのは管理職です。管理職の意見も尊重しながら、研修目的に統合していくことが大切です。

例えば、「管理職とはこういうものだ」と講師から一方的に伝えたり、説得モードに入っている場合は要注意です。こうした一方的な押しつけでは、当事者意識は下がり、学習効果を出すことは難しいです。

大切なことは研修目的に沿いながらも、研修の場で出てきたものを大切に扱うことです。
そして、必要に応じて、勇気をもった柔軟な対応を取ることが大切です。

本事例では、一日目は予定通り、研修は進んでいきました。
しかし、二日目に、管理職の本音が出て場が乱れたため、目的に沿いながらも、柔軟な対応を取ることが求められました。

ロジスティック部のマネージャーに対して、マーケティング部・営業部のマネージャーが不満や非難を伝え始めました。
ロジスティックのマネージャーは、顔を真っ赤にし、怒りに耐えていました。他のマネージャーもその状況を見て、驚いています。

この時に、ロジスティックのマネージャーを慰めたり、マーケティング部・営業部のマネージャーをなだめても、何も変わりません。
その場はいいかもしれませんが、管理職は何も変わりませんし、課題は解決されません。

研修をいったん中断して、マネージャー全体で対話をしました。

結果、ロジスティックのマネージャーのみが悪いわけではなく、組織としての連携が取れておらず、どの部署も自分の部署の都合ばかりを考えていることが浮き彫りになりました。

この状況が生まれる前は、管理職研修は活気にあふれていましたが、その後はとても静かに進んでいきました。

最後に、今後のアクションプランと、研修の感想を伝えて終了しました。
静かながらも、前向きなコメントが出ていました。下記画像は、最後の終了場面です。

4 :フォロー|内省とチーム学習で意識・行動変化を加速

研修後のフォローでは、定期的な内省と、対話によるチーム学習による行動変容の認知を促すことが重要です。

人は忙しいと、自身が変わっていても、変化に気付かないことが多いです。

だからこそ、自身が今どのよう状態・状況なのかを振り返りにより把握します。
そして仲間との対話によるチーム学習により、成功体験や改善点として捉えて、変化を大きくしていきます。

研修後のフォローは、下記プロセスで進めていくとよいでしょう。

フォローのプロセス 内容
①定期的な内省の機会 負担感の少ない管理職の定期的な内省(振り返り)の機会を創る
②内省を促す対話の場 研修後に一定期間を置いた後、管理職が自身の変化を実感できる対話の場を設けます

フォロー①| 定期的な内省の機会

研修後に、定期的に研修時の学びを振り返る機会を設けることが重要です。ここで大切なことは、管理職自身の負担になりすぎない内容とすることです。

弊社ではバトンメールをおすすめしています。参考までに、ぜひ、ご覧ください。

事後課題で、多くのレポートを課すと、負担が多くなり、研修に対してネガティブなイメージを持ってしまいます。結果、今後の人材開発・組織変革に対して、管理職が非協力的になります。
事後課題は極力負担のかからないものとして、バトンメール🄬のようなものを実施するといいでしょう。

フォロー②|内省を促す対話の場

研修後、内省と対話の場を用意すると、研修後の変化を実感しやすくなります。業務に追われると、どうしても日々の変化に鈍感になります。そのため、自分たちが変わったと自覚する場を設けることが必要です。
管理職研修後は一定期間を置いて、フォロー研修を実施することを、強く推奨します。

本お客様も初回研修の数か月後にフォロー研修を実施しました。研修のオープニングでは、ネガティブなコメントが出てきました。

「研修をやったからと言っても、私は変われなかった」
「結局、学んだことを活かせていない」

しかし、そんな中で1名の方が「事前ワークで部下にインタビューした際、部下の変化からか自分自身の変化を感じた」と話されました。
それを機に、管理職の皆さんが、一人ひとりの変化や周りの変化に気付き始めました。

管理職は、とても忙しいため、どうしても目の前のことに追われ、視野狭窄になりがちです。だからこそ落ち着いて、対話と通してチームで内省することで、認知が広がります。

【参考:フォロー研修の様子】

さらに研修終了後には、内省を深めるための事後ワークを実施しました。
一旦、管理職育成のプロジェクトは、これで終了しました。

アフターストーリーとして、人事の方から下記のような変化があり、「株価も緩やかに上がっています」というお話を聞いています。

【研修後の変化】
・ストレスチェックの大幅改善
・新サービスの収益化
・管理職自身の意識の変化
 ーリーダーシップの発揮
 ー自身の成果よりもチームの成果を喜ぶ
 ー他部署の成果を喜ぶ
 ー部下の成長をよろこぶ  

4)管理職研修 よくある質問

ここからは、管理職研修に関連してよくある質問に回答します。

Q. 管理職研修の企画中。何かいいネタはない…?

管理職研修の企画を行う上で、管理職研修のネタを探すのはとてもいいことです。なぜなら、企画の幅が広がり、自組織にとってどのような研修が最もマッチするかを考えることができるためです。
参考として、以下に12のネタをピックアップします。

①講義・動画鑑賞
②ケーススタディ・シミュレーションワーク
③対話・議論
④講演
⑤ビジネスゲーム
⑥寸劇・インプロ
⑦アクションラーニング
⑧合宿
⑨ラーニングジャーニー
⑩スポーツ・アウトドアなどのアクティビティ
⑪モノづくり
⑫人材開発・組織開発のトレンド

それぞれの詳しい内容は、管理職研修のネタ12選!一般的な内容から“食品づくり”のネタまで幅広くご紹介にてご紹介しています。

Q.「管理職研修は意味がない、ムダ」と言われてしまう。どうすれば…?

管理職研修は意味がない、無駄」と言われてしまうのは、研修後に、管理職の認知変容や行動変容が起きないからです。そうなってしまう理由として、次の12パターンが考えられます。

・経営者の考えを、ただ押し付ける
・管理職研修のプログラム、もしくは講師からのアプローチが厳しい
・過去に行っていた研修内容を踏襲し、何も変えずに行う
・世の中の流行りやトレンドを追いかける
・昔の文脈に引きずられて、時代遅れ
・オンラインでの動画鑑賞や講演など、インプットのみを行う
・学びのポイントが多すぎる
・効果を確認しない、もしくは間違った効果測定を行う
・講師があるべき論を一方的に伝えたり説得する
・受講生の状況に合わない
・一回やって終わり
・適切な予算をかけない

それぞれのパターンの詳細と回避策は、意味がない。無駄!と言われる管理職研修12パターンとその回避策にて解説しています。

Q. 合宿型で管理職研修を実施したい。注意すべき点はあるか?

アーティエンスでは、合宿型で管理職研修を実施する際のチェックリストを公開しています。【チェックリスト付】管理職合宿研修で実施すべき内容とは|効果的で安全な開催方法も解説からリストの無料ダウンロードも可能です。ぜひご参考ください。

Q. 中小企業でも、大企業と同じ管理職研修を実施しても効果はある?

中小企業が、大企業と同じように管理職研修を実施しても、期待した効果は出にくいでしょう。

中小企業が実施すべき管理職研修とは、「自組織の課題を解決する」研修です。

中小企業は、大企業よりも景気の影響を受けやすく、常に事業課題・組織課題がつきまといます。それら事業課題・組織課題を正しく全て把握した上で、最優先且つ効果が見込める課題解決のアプローチとして、管理職研修が期待できるようであれば、実施を検討していきましょう。

ただし、この時に、「事業課題・組織課題」を把握せず、「管理職の課題」にのみ焦点を当ててしまうケースが多くあります。そうすると、管理職研修が上手くいかない場合が多いです。

中小企業向けの管理職研修については、中小企業におすすめの管理職研修【8選】|絶対に成功させたい時の進め方も解説にて、より詳しく解説しています。

Q. 管理職研修は、オンライン形式でも効果は見込める?

下記3つの観点を意識することで、オンライン形式でも研修効果を高めることが可能です。

・研修プログラムを、オンライン用の設計に変更する
・オンラインでの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインする
・管理職の参加意欲を高め、受講環境を整える

上記3点は、【人事必見】管理職研修をオンラインで成功させるための3つの事前準備と進め方 にて詳しく解説しています。

Q. 厳しい管理職研修を実施したい。注意点は?

厳しい管理職研修とは、「管理職の大きな変化を求めて強い刺激を与える」研修のことです。
短期間で、管理職が今の状態から大きな変化を成し遂げるために、厳しい研修を検討する企業は少なくありません。ただし、それには一定のリスクも伴います。

「厳しい管理職研修が必要では?」と感じた際は、ぜひ、以下の3ステップで改めて、考えてみてください。

①「なぜ厳しい研修が必要だと思ったのか?」と目的を考える
②「変化させたいところはどこか?」と特定させる
③「どんな研修内容が良いのか?」と手段を考える

上記3ステップは、厳しい管理職研修とは「管理職の大きな変化を求めて強い刺激を与える」研修にて、より詳しく解説しています。

Q. 管理職研修の費用はどのように考えるべき?

管理職研修の費用は、研修のゴールと内容によって相場が変わってきます。
管理職研修のゴールは大きく3つに分類されます。それぞれの一般的な相場は下記の通りです。

研修のゴール1)知識のインプット
・動画形式で見放題:数千円(1人あたり)
・講師派遣型で2~4時間受講:5~15万円(1クラスあたり)

研修のゴール2)スキルの習得
・公開講座で2~8時間受講:1万円~5万円(1人あたり)
・講師派遣型で4~8時間受講:10~80万円程度 (1クラスあたり)

研修のゴール3)組織課題の解決
・1日あたり 数十万 ~ 100万円を超える場合もあり

【参考コラム】管理職研修の費用はどれくらい?│相場観を知り、予算を決めよう

Q. 管理職候補向けの管理職研修を行いたい。ポイントは?

管理職候補向けに研修を実施する目的は、「一般社員から、管理職になるための準備」です。

ひと昔前と比べ、管理職に求められる役割は複雑化し、責任も重くなっています。そのため、管理職昇格前の丁寧なフォローが、管理職になってからの活躍を支える重要なカギとも言えます。

昇格前に管理職の全てを伝えきることは難しいです。管理職に求められる役割の中から、自組織で最も重要な要素を切り出し、それらを遂行するために必要な意識やスキルを研修で伝えていくことが重要なポイントです。

管理職候補者向け研修で得られる3つの効果|内容選定時の注意点も解説!も参考にしながら、検討いただければと思います。

Q. 管理職研修のレポート作成で、気を付けるべき点は?

管理職研修で扱うレポートは、大きく2種類あります。
それぞれの目的と注意点を簡単にまとめます。

管理職が、人事・上司に提出するレポート

目的:研修で学んだことを、現場で実践し、定着化させていくため
注意点:「可能な限り、負担を無くす」「感想文にしない」「やりっぱなしにしない」

人事が、経営者に提出するレポート

目的:管理職研修を起点にし、組織変革を促進していくため
注意点:「管理職の評価にしない」「管理職研修の評価にしない」

レポートの具体例や記載内容については、【事例あり】管理職研修のレポート|目的と内容にてご紹介しています。

Q. 管理職研修の資料を作成したい!構成やポイントは?

管理職研修の資料は、「管理職の行動が変わるためのもの」です。
管理職本人が「自分たちは変われる」と確認が持てることが重要であり、研修資料はそれを促進するものです。

そのための資料構成は、下記を参考に作成いただくとよいでしょう。

より詳しい資料の作成方法は、管理職研修の資料とは、管理職の行動が変わるためのものにてご紹介しています。

Q. 管理職研修の必要性を、経営者や管理職本人たちに理解してほしい…どうすれば?

管理職研修の必要性を理解してもらうには、それぞれどのような反対意見があるのか(なぜ必要性を感じないのか?)を洗い出し、検討していく必要があります。

例えば、経営者や事業責任者からすると、管理職研修への反対意見として以下が挙げられます。

・費用対効果はどの程度あるのか
・現場が忙しいから無理
・過去に同じようなことをやって意味がなかった
・過去に成功した事例はあるのか
・今、他に優先事項がある

上記は全て「やらない理由」を探しています。それらを払拭するためには、共創と対話を行うことで、管理職研修の実施に対して前向きになってもらうことがポイントです。

また、管理職自身としては、「忙しい中、研修なんて受けたくない」「研修は意味がない」といったネガティブ感情を抱いているケースが多いです。

こういったネガティブ感情とは、次のステップで向き合っていくことが重要です。

・管理職研修の企画の際に、想定されるネガティブな反応を洗い出す
・事前に管理職研修の目的を丁寧に伝える
・管理職研修の前に、経営者・事業責任者が挨拶を行う
・管理職研修と実業務との連動を体感する
・研修に対して前向きになった感情を、管理職自身に言語化してもらう

より詳しい内容は、管理職研修の必要性を経営者・管理職に理解してもらうためのアプローチにて解説していますので、ご参考ください。

Q. 管理職研修の事前課題や事後課題はやった方がいいの?内容は?

管理職研修の効果を高めるためにも、事前課題と事後課題感は実施を推奨します。しかし、「忙しい管理職に、過度な負担を掛けるわけにもいかない…」という葛藤もあるでしょう。

事前課題・事後課題を最小限の負担で、最大限の効果を生み出すために意識いただきたいポイントとしては、普段行っているマネジメント業務と研修で学ぶ内容をブリッジさせるという点です。

より詳しい内容は、管理職研修の成果を高める事前課題・事後課題とは?具体例やメリット・デメリットも解説にて、具体的な課題例を提示しながらご紹介しています。ぜひご参考ください。

5)まとめ

管理職研修を丁寧に扱うと、管理職は自分たちは変われると確信します。
そして、課題は解決につながり、管理職の成果が上がります。ただし、中途半端な管理職研修を行うと、悪影響が出ることもあります。

管理職の影響力は、とても大きいです。

効果の高い管理職研修を行うには、下記のプロセスで行うことが重要です。

1. 企画 : 組織の真の課題に目を向ける
2. 準備 : 研修受講への意識を上げていく
3. 運営 : 管理職が当事者意識を持つために、予定調和に終わらせない
4. 研修後フォロー : 内省とチーム学習を通して、行動変容を止めない


効果の高い管理職研修を行うことと、管理職をはじめ現場のメンバーが変化していることを体感し、組織変革は進んでいくと言えるのです。

その成功体験から、管理職自身も現場も、これからの研修に対しても前向きになっていきます。

そして何より、管理職・現場の変容や組織変革が見えると、経営陣はより人材開発・組織変革への感度が上がっていき、企画側にとても協力的になっていくでしょう。

アーティエンスでは、研修企画から丁寧にご一緒しておりますので、管理職研修を検討されている方はぜひご連絡をいただければ嬉しく思います。