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[ コラム ]
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変われない管理職をどう変える?12の原因と8つの組織的アプローチ
更新日:
「管理職がなかなか変わらない」
「新しい施策を打っても、現場の動きが鈍い」──そんな悩みを感じていませんか?
管理職が変われない原因を“本人の努力不足”と片づけてしまうのは簡単ですが、実は、そこには組織の構造的な壁が潜んでいることが多いです。
時代のスピード、硬直した仕組み、保守的な文化、役割のあいまいさなど、こうした環境要因が複雑に絡み合い、管理職が変化しづらい状態をつくり出しているのです。
本コラムでは、管理職が変われない12の要因を整理し、理想の管理職像に近づくための8つの具体的な対策を紹介します。
ポイントは、「個人を責める」のではなく、「変われる環境をどう整えるか」という組織視点で考えることです。
管理職が変われば、組織は変わります。
業績の向上やエンゲージメントの強化といったポジティブな循環を、ぜひ貴社でも生み出していきましょう。
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
1)なぜ管理職は変われないのか?背景に潜む12の要因
管理職の変化を阻む12の要因を整理して説明します。
時代の変化が早すぎて、管理職が追いつけていない
急速に変化する時代に適応できず、変わることを諦めてしまう管理職が増えています。
テクノロジーや働き方、価値観がこれまでにないスピードで変わっており、従来の成功体験を前提にした考え方では柔軟な対応が難しくなっているためです。
働き方改革による残業規制や、コロナ禍をきっかけとしたテレワーク・ビジネスチャットの普及など、短期間で働く環境は一変しました。
特に長年同じやり方で成果を上げてきた管理職ほど、変化を受け入れるハードルが高くなりがちです。
過去の成功に縛られたままでは、新しい環境に適応できず、変化を止めてしまいます。
会社の仕組みが管理職の変化を妨げている
組織の仕組みそのものが硬直しており、管理職が動きづらい構造になっています。
階層が多く、承認や稟議のプロセスが複雑な企業ほど、現場の判断で進められる余地が少なくなるためです。
例えば、管理職が新しい提案や改善策を現場で進めようとしても、「上司の承認がないと進められない」「前例がないことは避けたい」といった壁に阻まれることがあります。
このように、制度やプロセスが現状維持を前提につくられている場合、管理職の意欲が削がれ、挑戦が生まれにくくなります。
どれほど優秀な管理職でも、仕組みそのものが変化を許さない環境では、自らの行動を変えることは難しいです。
経営層が自分の立場を守ろうと管理職からの提案を受けない
経営層が自らの地位を守ろうとする意識が強く、現場からの提案を受け止められない状況が生まれている場合もあります。
変化によって既存の影響力やポジションが脅かされると感じると、無意識のうちに現場の改善提案を拒む傾向があるのです。
たとえば、権限移譲や組織再編といった提案が「今の体制を否定するもの」と受け取られ、前向きに議論されないケースがあります。
結果として、現場からの声が経営に届かず、変化の流れが止まってしまいます。
経営層の保守的な姿勢が、管理職の挑戦意欲を弱め、変化を止める要因になっています。
経営層が管理職に気をつかいすぎている
経営層が管理職に対して気をつかいすぎていることも、変化が進まない一因です。
人材不足の中で「今いる管理職に辞められると困る」と考え、問題があっても厳しい指摘を避けるケースが多く見られます。
例えば、期待する成果を出せていなくても「仕方ない」と目をつぶってしまうことで、改善のチャンスが失われます。
このように経営が甘くなってしまうと、管理職自身も「変わらなくても大丈夫」と感じてしまい、変化に対する意欲が弱まります。
短期的には組織の安定を保てても、長期的には変化の機会を逃し、組織全体の力が低下してしまいます。
新しいことを嫌う社風が根づいている
新しい取り組みや変化を嫌う社風が根づいていると、管理職が動きづらくなります。
「失敗したくない」「前例がないことは避けたい」という空気が強いほど、挑戦しようとする管理職は孤立してしまいます。
リスクを取らずに安全な道を選ぶ風土では、たとえ改善の余地があっても、「やらない方がいい」と判断されがちです。
また、失敗に対して寛容でない組織では、「うまくいかなかったら責められる」という不安が先に立ち、行動が止まります。
このように、挑戦が評価されない文化の中では、管理職が変わる勇気を持ちにくくなるのです。
組織の情報が届かず、管理職として適切な判断ができない
組織内で情報が十分に共有されないと、管理職は正しい判断や行動ができません。
経営の方針や意思決定の背景が伝わらないままでは、現場で何を優先すべきか判断できず、結果的に変化が遅れてしまいます。
例えば、経営戦略の変更が中間層に伝わらず、現場が旧方針で動き続けるといったミスコミュニケーションが起こるとします。すると、管理職は変化の方向を見誤ってしまう可能性があります。
透明性の欠けた組織では、どれだけ優秀な人材でも正しい方向に変化することは難しいです。
管理職が意見を言うと損をする雰囲気がある
発言がリスクと捉えられる職場では、管理職が沈黙を選びやすくなります。
意見を言うことで仕事が増えたり、責任を負わされたりする経験があると、誰も発言しなくなるためです。
たとえば、改善提案をした人に追加業務が割り当てられたり、失敗した時の責任を負わされたりするケースがあると、積極的に意見を出す人ほど損をする構造になり、組織の停滞が進みます。
言ったもん負けの組織文化では、管理職は自身の地位や評価を守るために、変化や新しいアイデアを提案することを避ける傾向があります。
(参考)意見を言わない社員がいると、リスク大!10の理由と対応策【DL資料あり】
組織から管理職への支援が足りない
組織からの支援が不足していると、管理職は変わる力を身につけられません。
管理職は、プレーヤーとは異なるスキルが必要になるためです。
プレーヤー時代は、自分の業務を的確にこなし、成果を上げることが求められます。
一方で、管理職には「人を育てる」「チームで成果を出す」「経営の意図を現場に翻訳する」といった、より高度なマネジメントスキルやコミュニケーション力が求められます。
しかし、昇進後にそれらを体系的に学ぶ機会がないまま現場に出てしまう管理職は少なくありません。
「どう部下と向き合えばいいのか」「チームをどう動かせば成果につながるのか」と悩みながら、試行錯誤の状態で日々を過ごしています。
また、管理職は立場上、悩みや不安を他者に打ち明けづらく、孤立しやすいポジションでもあります。
マネジメントや組織運営に関する相談相手がいないことで、自信を失い、守りの姿勢に入ってしまうことも少なくありません。
こうした状況を放置すると、管理職が新しい挑戦を避けるようになり、組織全体の変化スピードが鈍化します。
アーティエンスでは、管理職研修のご支援などもしていますので、よろしければご活用ください。
管理職が挑戦しても報われない評価制度になっている
挑戦よりも現状維持の方が得だと感じる評価制度が、変化を止めています。
組織の報酬体系や評価制度が、変化を奨励するような仕組みになっていない場合、管理職が変化に取り組むことにメリットを感じられないためです。
たとえば、部門の改革や新しい仕組みづくりに挑戦した管理職が、短期的な売上や生産性の低下を理由に減点される一方、従来どおりの運営を続けた管理職は「安定している」と評価されるケースがあります。
これでは、挑戦するほどリスクを負う不公平な構造になり、誰も自発的に変化を起こそうとしなくなります。
努力や挑戦がきちんと評価される制度に変えない限り、管理職が変化を選ぶことは難しいでしょう。
管理職が自分で動きすぎて、任せられない
管理職がプレイヤーのままの意識で動いてしまうことも、変化を妨げます。
「自分がやった方が早い」「部下に任せると時間がかかる」と感じ、つい自分で仕事を抱えてしまうのです。
多くの管理職は、プレイヤー時代に「自分で動いて成果を出すこと」が評価されてきました。
その成功体験が強く残り、「自分が動けば確実」「任せるとリスクがある」という思考から抜け出せないのです。
また、短期的な成果を求めるプレッシャーの中で、部下に任せて育てるよりも、自分でやった方が早く確実に結果が出せると考えてしまう傾向もあります。
例えば、部下に業務を任せようとしても「説明するより自分でやった方が早い」と感じ、つい手を出してしまう。
結果として、部下は「どうせ上司がやる」と受け身になり、成長の機会を失ってしまいます。また、管理職自身も日々の業務に追われ、マネジメントや改善、戦略的な思考の時間を確保できなくなります。
この悪循環が続くと、チーム全体の自律性が下がり、組織の変化スピードが鈍化していきます。
管理職が新しいことを学ばず、過去の成功に頼っている
学びを止めた管理職ほど、時代の変化に取り残されやすくなります。
これまでのやり方で成果を上げてきた経験があるほど、「自分の方法が正しい」と思い込みやすく、変化に適応する機会を失ってしまうためです。
たとえば、営業現場で「オンラインでは信頼関係が築けない」とデジタルツールの導入を拒む。あるいは、若手社員の意見を「まだ経験が浅い」と一蹴してしまう。
こうした姿勢は、本人に悪意がなくても、結果的に新しい価値観や働き方を取り入れるチャンスを逃してしまいます。
このように管理職自身が行なってきたやり方のみが正解とする考えは、変化を妨げる要因となります。
管理職の役割があいまいで、どこに向かえばいいかわからない
役割や期待があいまいなままでは、管理職は自信を持って動けません。
「自分の判断が正しいのか」という不安を抱えたままでは、変化をリードするどころか、日常業務に追われるだけの存在になってしまいます。
結果として、「余計なことはしないほうが安全」「経営の意図を読み違えたくない」と慎重になりすぎ、変化にブレーキをかけてしまうのです。
たとえば、評価指標や方針が曖昧な組織では、管理職が「自分の判断で動くのは危険だ」と感じ、結果的に何も変えない選択をしてしまうケースがあります。
この状態が続くと、組織全体が“静かな停滞”に陥り、変化を生み出す力が弱まります。
組織から「どこまでが自分の責任なのか」「どんな成果を期待されているのか」が明確に伝えられていない場合、判断や行動に迷いが生じるため変化は生まれづらいです。
管理職が変われない背景には、個人の努力ではどうにもならない“構造的な壁”が存在します。
時代のスピード、硬直した仕組み、保守的な文化、曖昧な役割——それらが管理職の挑戦意欲を奪い、結果として組織全体の変化を止めてしまっています。
真の変化を生み出すには、「管理職個人を変える」のではなく、管理職が変わりやすい環境をつくることが出発点です。
その第一歩として、次章では「期待する管理職像に変わるための8つの対策」を具体的に解説します。
2)期待する管理職像に変わるための8つの対策
管理職が変わるためには、「本人の努力」だけでは限界があります。
どれほど意欲の高い管理職でも、組織の仕組みや文化、支援体制が変わらなければ、行動を持続させることは難しいからです。
ここでは、管理職が記載する姿へと変わっていくために、組織として取り組むべき8つの対策を紹介します。

①組織の構造やプロセスを見直す
管理職が変われるようになるために、組織の構造やプロセスの見直しが必要です。
現在の組織の構造やプロセスが変化や成長に適応していない場合、管理職が新しいアイデアやイノベーションを実現するのに制約を受けることがあるためです。
見直すべき構造やプロセスには、例えば次のようなものがあります。
・意思決定の権限を一部、管理職に委譲する
・新しいアイデアを承認するまでのプロセスを簡略化・短縮する
・経営層が「管理職の変化を阻む存在」ではなく、「変化を支援する存在」として機能するようにする
・情報共有や意見交換を活性化するために、会議や報告の設計を見直す など
こうした見直しを行うことで、組織全体がより柔軟でスピーディーに動けるようになります。
管理職も自らの判断で新しいアイデアや戦略を実行しやすくなり、組織全体に変化の循環が生まれていきます。
②心理的安全な組織文化をつくる
管理職が変われるためには、心理的安全な組織文化を構築することが不可欠です。心理的安全性とは、「メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、よりよくするための意識行動ができる状態」です。
心理的安全な組織があると、失敗や批判を恐れて保守的な方針をとるのではなく、新しい考えや取り組みを提案しやすくなります。
そのためにも、まずは管理職自身が心理的安全性を正しく理解することが重要です。
特に鍵を握るのは、管理職自身の「心理的柔軟性」です。
自分の言動や反応のクセを見つめ直し、チームの状態を客観的に捉えられるようになることで、「自分がどう変われば、チームがより安心して動けるか」を考え、実践できるようになります。
管理職やリーダーに対して心理的安全性の研修を実施したい場合は、下記のコラムをご覧ください。
【事例あり】心理的安全性研修を成功に導く7ステップ
また、アーティエンスでは心理的安全性向上研修を実施しています。詳細等お気軽にお問い合わせください。
③挑戦を奨励し、リスクを受け入れる文化を育む
管理職が変化をリードするためには、挑戦を歓迎し、失敗を受け入れる文化を育てることが欠かせません。
成果だけを重視する風土では、失敗を恐れて誰も新しい行動を取らなくなってしまうためです。
挑戦を奨励する文化とは、「うまくいくかどうか」ではなく、「より良くしようと行動したか」を評価する文化です。
管理職が新しい施策や仕組みづくりに挑戦しやすくなれば、組織全体のイノベーションも自然と生まれていきます。
挑戦を奨励するためには、まず経営層や上位管理職が「失敗を許容する姿勢」を明確に示すことが重要です。
たとえば、挑戦のプロセスを評価する、失敗から得た学びを共有する場をつくるなど、「挑戦しても大丈夫」という空気を組織に浸透させることが求められます。
管理職が安心してリスクを取り、変化に踏み出せるようになると、挑戦が連鎖し、組織の中に新しい価値創出のサイクルが生まれていきます。
④情報共有のプロセスを改善し、透明性を高める
管理職が変化を進めるためには、正確でタイムリーな情報共有と高い透明性が欠かせません。
必要な情報が届かないままでは、管理職は判断を誤り、組織全体のスピードが鈍ってしまいます。
情報がオープンに共有されている組織では、管理職が自らの判断で素早く行動できます。
また、経営と現場の間に信頼関係が生まれ、変化の方向性をそろえることが可能になります。
情報の透明性を高めるためには、次のような取り組みが有効です。
・経営方針や意思決定の理由を、定期的に全社・部門単位で共有する
・管理職同士が情報を交換できる場を設ける(定例会・Slackなど)
・組織内の重要な情報を、階層を越えてオープンにする文化をつくる
情報の流れをスムーズにし、隠さない・遅れない仕組みを整えることで、管理職は「迷わず動ける環境」を得られ、変化のスピードと質の両方が高まります。
下記コラムは、情報共有プロセスの参考になると思いますので、よければご覧ください。
【徹底解説】知っておきたい!会議の進め方
⑤管理職同士の協働・共創意識を強める
管理職が変化を実現するためには、管理職同士が連携し、共に考え行動する文化を築くことが重要です。
孤立した管理職が個々で課題を抱えていても、組織全体の変化は進みません。
特に変化の時代には、管理職同士が“共に考え、共に変わる”関係を築くことが求められます。
協働・共創を促すためには、次のような仕組みづくりが有効です。
・部門を越えて管理職同士が管理職研修に参加し、ディスカッションや事例を共有する場を設ける
・「失敗談」や「工夫事例」などをオープンに共有できる社内コミュニティを運営する
・管理職同士が互いにフィードバックし合うピアレビュー制度を導入する
管理職が互いに支え合い、学び合う関係を築けると、孤立や停滞から抜け出し、組織の中に「変化を共に創る力」が生まれていきます。
アーティエンスでは、そのための管理職研修をさまざま用意しておりますので、ぜひご覧ください。
⑥公平で明確な報酬体系と評価制度を整える
管理職が安心して挑戦し、変化を生み出せるようにするためには、公平で納得感のある評価制度と報酬体系が不可欠です。
努力や挑戦が正当に評価されない環境では、管理職の意欲は次第に低下してしまいます。
公平で明確な評価制度を築くためには、次のような取り組みが効果的です。
・目標達成だけでなく、挑戦・学習・改善のプロセスも評価項目に入れる
・評価基準と報酬ルールを可視化し、管理職が自分の立ち位置を理解できるようにする
・上司・経営層・人事が一貫した評価方針を持ち、納得感のあるフィードバックを行う
また評価において、下記図のように失敗を定義しておくことも一つの方法です。
管理職の目安としては、図に示す“不確実性”以上の失敗を、前向きな失敗と定義するとよいでしょう。
出典:「チームが機能するとはどういうことか」 エイミー・C・エドモンドソン
変化への取り組みが公平かつ適切に評価される仕組みが整っていれば、管理職は安心してリスクを取り、組織の成長を自ら牽引できるようになります。
⑦管理職の成長を継続的に支援する
管理職が変化し続けるためには、成長を支える仕組みと環境が欠かせません。
管理職に必要な「チームを導く力」「人を育てる力」「経営の意図を理解して現場に伝える力」などのスキルについて学ぶ機会や相談できる場がなければ、管理職は孤立し、守りの姿勢に入りやすくなります。
管理職の成長を支援するためには、次のような取り組みが効果的です。
・階層別や目的別の管理職研修を定期的に実施し、スキルとマインドをアップデートする
・1on1やコーチング制度を導入し、悩みを安心して相談できる場をつくる
・異なる部門や他社との学びの場を設け、視野を広げる機会を提供する
特に下記のスキルは、プレイヤーの経験では身についていない部分も多いため、研修などでスキル強化の支援を行うことをおすすめします。
・リーダシップ
・マネジメント
・心理的安全性
・チームビルディング
・目標設定・管理
・アンラーニング
・システムシンキング
こうした継続的な支援があることで、管理職は自分の役割に自信を持ち、「変化を恐れず、成長し続ける姿勢」を保てるようになります。
管理職の成長を支援することは、個人のためだけでなく、組織全体の変化力を高める最も確実な投資です。
⑧管理職の役割と期待を明確にする
管理職が自信を持って行動し、変化をリードするためには、役割と期待の明確化が不可欠です。
役割が不明確な状態では、管理職は「余計なことはしないほうが安全だ」と考え、現状維持を選びやすくなります。結果として、変化を促すリーダーシップが発揮されず、組織全体が“静かな停滞”に陥る危険性があるためです。
役割を明確にするためには、次のような工夫が有効です。
・経営層と管理職の間で、役割・責任・権限を具体的に言語化・共有する
・定期的な対話を通じて、期待のズレや認識の違いをすり合わせる
・役割に基づいた評価指標を設計し、行動と成果を一貫して評価する
役割と期待が明確になることで、管理職は安心して挑戦できるようになり、自らの意思で変化をつくる存在へと成長していきます。
管理職の役割に関して、詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
【事例あり】管理職の役割を最大化!組織力を高める方法を徹底解説
管理職が変われるようになるための対策案を8つ紹介しました。
管理職に対して適切な対応策を実施することで、管理職の変化を促しましょう。
3)【事例】コンフォートゾーンから抜け出した管理職たち|1年の研修で起きた変化
アーティエンスが支援した企業様における、管理職の変化事例をご紹介します。
課題・背景|コンフォートゾーンから抜け出せず、組織が停滞
社員数が約150名、インターネットサービス事業を行う企業では、
・変化に対して保守的な組織文化
・「言ったもん負け」という雰囲気
が根づいており、管理職が新しい挑戦を避ける傾向がありました。
その結果、チーム全体のパフォーマンスが徐々に低下。
「このままでは組織が停滞してしまう」という危機感を抱いた人事の方から、アーティエンスにご相談をいただきました。
企業として目指したのは、管理職を中心に心理的安全性を高めながら、ラーニングゾーン(挑戦と学びの領域)に向かうチームづくりです。
※コンフォートゾーン=心理的に安全だが、挑戦が生まれない状態
※ラーニングゾーン=安心感を保ちながら挑戦できる状態
実施内容|1年間の管理職研修で、意識変革と関係性の再構築を支援
アーティエンスでは、1年間を通じて管理職研修を実施しました。
目的は、
・管理職が「変わる必要性」に気づき行動できるようになること
・管理職同士の関係性を強め、支え合えるネットワークを形成すること です。
研修初日には、「今ある仕事をこなすだけで精一杯」という声が多く聞かれました。
しかし、研修を通じて対話が深まり、率直な意見が交わされるようになると、次第に管理職の意識に変化が生まれました。
「でも今、〇〇をしないと変わっていけないよね」「〇〇に挑戦することが必要だと思う」といった、自発的な変化への言葉が聞かれるようになっていきました。
研修後の変化|管理職同士の対話文化が根づき、挑戦意欲が向上
1年後には、次のような変化が見られました。
・管理職同士で対話をする文化が生まれ、研修以外でも自然に集まる場ができた
・中途採用の面談では、管理職自身が「チームの成果とメンバーの成長に貢献したい」と熱く語る姿が見られた
これまで変化を“怖いもの”と感じていた管理職たちが、「挑戦したい」「一緒に変わりたい」と思える関係を築けたことが最大の成果でした。
変わることを避けていた管理職も、「必要性への気づき」「仲間の存在」「安心できる対話の場」によって、一歩を踏み出すことができます。
組織の中にいると、変われない原因は見えづらいため、時には外部の支援を活用し、客観的な視点から変化を促すことが有効です。
アーティエンスでは組織の状況について対話を通して理解を深めていき、必要な対策についてアドバイスしております。具体的な相談をしたい場合はこちらからお問い合わせください。
4)管理職が変われないことで組織に生じるネガティブな影響6選
管理職が変われないことは、個人だけでなく組織全体に大きな影響を及ぼします。
ここでは、主な6つの影響を紹介します。
組織の成長鈍化
管理職が変わらないと、組織全体の成長スピードが鈍化します。
管理職は戦略の立案・実行やチームの育成など、組織の中核を担っているためです。変化を恐れて過去の成功体験に頼り続けると、新しい挑戦や発想が生まれず、現状維持が続いてしまいます。
たとえば、現場の社員が「この作業をデジタル化すればもっと効率的にできます」と提案しても、管理職が「今のやり方で特に問題ない」と判断して却下してしまうケースがあります。
すると、社員は「どうせ言っても変わらない」と感じ、改善の提案や工夫をしなくなっていきます。結果として、組織全体が新しい発想を取り入れるチャンスを逃してしまいます。
管理職が変わらなければ、組織も変われません。成長を続けるには、まず中核を担う管理職が変化の先頭に立つ必要があります。
イノベーションが起きない
管理職が変化を拒むと、イノベーションが起こらなくなります。
現状維持を優先し、新しいアイデアや手法を取り入れることに慎重になりすぎるためです。「効果が証明できない」「他社ではまだやっていない」といった理由で挑戦を止めてしまうようになります。
たとえば、AIやデジタルツール導入の提案が出ても、「慣れていないから」「リスクがある」として見送られることで、時代の変化に取り残されてしまうケースがあります。
イノベーションは「変化を受け入れる勇気」から始まります。管理職が変化に対する抵抗が強いと、新しいアイデアが育まれず、イノベーションが生まれにくいです。
競争力の低下
変化に対応できない管理職が多い組織は、競争力を失っていきます。
市場や顧客ニーズが急速に変化する中で、意思決定や実行のスピードが遅れるためです。競合他社が新しい技術や仕組みを導入して成長する中、現状維持を続けると差が広がってしまいます。
たとえば、競合がオンライン施策を積極的に取り入れる一方で、自社が「対面にこだわる」ことで顧客接点を失い、市場シェアを落とすことになる可能性があります。
競争環境が変化する今、管理職が変化に順応できるかどうかが、組織の生存を左右します。
社員のモチベーション低下
管理職が変わらないと、社員のモチベーションが低下します。
社員の意見や提案が受け入れられず、努力が報われない環境になるためです。新しい挑戦をしても否定される経験が続くと、「言っても無駄だ」という諦めが広がります。
たとえば、若手社員が業務改善のアイデアを提案しても、「前例がない」「余計なことはしなくていい」と却下されると、自発的な行動は止まり、受け身な働き方に戻ってしまいます。
管理職が挑戦を受け止める姿勢を見せることで、社員は安心して行動できるようになります。その積み重ねが、組織全体の前進力を育てます。
生産性の低下
変化しない管理職がいると、組織の生産性が下がります。
古い手法や非効率なプロセスが放置され、新しい仕組みや技術が導入されにくくなるためです。
たとえば、管理職が「従来の紙ベースの報告が一番わかりやすい」と言ってデジタル化を拒むと、時間も手間もかかる業務が続き、社員の工数が無駄になります。
どんな制度やツールを導入しても、管理職の行動が変わらなければ成果にはつながりません。管理職が変わることで、はじめて組織全体の生産性が動き出します。
優秀な人材の流出
管理職が変わらない組織では、優秀な人材が離れていきます。
変化のない職場では成長の機会が乏しく、やりがいを感じにくくなるためです。挑戦や改善の提案が通らない環境では、前向きな人ほど転職に目を向けてしまいます。
「もっと良くしたい」と考える社員が、古いやり方を変えようとしても管理職に止められ、最終的に成長できる環境を求めて転職してしまうケースがあります。
優秀な人ほど、自分が成長できる環境を選びます。管理職が変化を体現することで、社員は「ここで働き続けたい」と感じるようになります。
管理職が変わらないことは、管理職だけの問題ではなく、組織の活力を奪っていきます。
管理職が変化を受け入れ、行動を変えていくことこそが、組織が成長し続けるための原動力になります。
5)まとめ|変わらない管理職に変化を促すにはアーティエンスの研修がおすすめ
本コラムでは、「なぜ管理職は変われないのか」を12の要因で整理し、期待する管理職像に近づくための8つの実践策を提示しました。
管理職が変われない背景には、時代のスピード、硬直した仕組み、保守的な文化、役割や学習の不足など、個人の努力だけでは乗り越えにくい構造的な壁があります。
だからこそ、組織として仕組みを整え、支援を行うことが不可欠です。
アーティエンスでは、管理職に変化を促すための管理職研修を実施しています。
管理職に変化を促すためには、ある程度の期間と継続的なサポートが必要になるため、早い段階で対策を検討し始めることをおすすめします。
具体的なご相談は、こちらからお問い合わせください。
管理職が変われば、組織は変わります。
業績の向上やエンゲージメントの強化といったポジティブな循環を、ぜひ貴社でも生み出していきましょう。
管理職の意識を変えたい人事責任者様・担当者様へ
こんな悩みをおもちではありませんか?
- 管理職の意識が変わる研修企画の具体的なプロセスが知りたい
- 自社の管理職の意識が変わるために必要なポイントを知りたい
- 成功事例や研修効果を高めるノウハウを知りたい
当社では、経験豊富な担当者が貴社の課題感や予算にあわせ、効果的な管理職研修を企画いたします。まずはお気軽にご相談ください。




