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導入事例

中堅社員のエネルギーを組織の原動力へ【株式会社ONE COMPATH|CHRO大橋様インタビュー】

24年度に中堅社員選抜研修を実施された株式会社ONE COMPATHのCHRO/管理本部 本部長の大橋様にお話を聞きました。

▼インタビュアー
迫間智彦 X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

組織ピラミッド崩壊への危機感が生んだ「中堅社員選抜プロジェクト」

迫間
今回の中堅社員選抜プロジェクトが御社で発足した経緯を教えてください。

大橋さん
このプロジェクトはコロナ禍の頃に構想を始めました。多くの企業が抱える“あるある”ですが、当社では中間層の退職や中堅層の伸び悩みという課題を抱えていました。

同時に部長クラスが高齢化し、次世代のリーダー・マネージャーが不足していました。このままでは組織のピラミッドが崩れる――そんな危機感から、社内で次期マネージャー候補を選抜し、計画的に、そしてピンポイントで育成する方針を固めたのが立ち上げの背景です。

経営層は前向き・選抜メンバーは期待─残る成功の鍵は“距離の短縮”

迫間
研修実施を決めたとき、経営層、そして、参加メンバーはどんな反応でしたか?


大橋さん
経営層は「しっかり対応していこう」と前向きでした。選抜メンバーからも「選んでいただきありがとうございます!」とポジティブな声が上がっており、両者ともポジティブな反応でした。

ただ私は、経営層と選抜メンバーの距離を縮めること、そこが選抜メンバーのパフォーマンスを高める鍵にもなると感じていました。「経営層も一人の人間で、こんなことに悩んでいる」といった弱い部分も共有し、距離を縮めていきたいと考えていました。

なお、今の経営層は自己開示が上手で「自分にもこういう課題があってね」と包み隠さずに話してくれます。ただ、そうした話を現場に伝えられる場を人事側が十分に用意できていないと感じていました。そのため、研修内に距離を縮められる場を組み込めれば効果を高められると考えていました。

迫間
距離を縮めることは、研修効果を高める上でも重要ですよね。初回に実施した経営層と選抜メンバーとの合同研修では、経営層から本研修への期待やメンバーへの熱いメッセージや対話の機会もあり、両者の距離を縮めることができたと感じています。

座学型から実践型へ─「変化に強い研修」を求めアーティエンスへ依頼

迫間
本プロジェクトは、22年度・23年度は別の研修会社で研修を実施されたかと思います。どういった背景で24年度からアーティエンスにご依頼してくださったんでしょうか?

大橋さん
22年度・23年度は、どちらかというと正解を得られる研修を行っていました。研修で「手に取れる何かを学んだ」という点を重視していたため、別の会社さんに座学中心でお願いしていました。

また、経営を巻き込まずに人事だけで完結できる研修設計を前提としており、対象者内で完結する座学型を選定しました。

24年度からは私が本研修を担当することになりました。もともとアーティエンスさんには長く新入社員研修をお願いしており、研修品質はもちろん、迫間さんが寄り添いつつ的確に助言してくださるコミュニケーションに安心感がありました。以前の管理職研修でもお世話になっています。

アーティエンスさんの研修で気に入っているのは、テキストで「はい、学びました!」で終わらず、研修後にも頭に残り「こういう時はこうすればいいんだ」と実務で思い出せるリアリティさがある点です。実務を進める中で時々顔を出すイメージですね。

消化しきれないモヤモヤを恐れなくて良いという研修のスタンスも魅力です。正解を求める研修は活用の場面が限定的になり、応用が効きづらい側面があると思っています。

会社も組織も変化が激しい時代にはアーティエンスさんの研修のように、状況が変わってもフィットする柔軟性が不可欠です。こうした点に大きな魅力を感じ24年度からお願いしました。

4つのキーワードで“自ら動ける”リーダーを育成

迫間
純粋に嬉しいです! 次に、本プロジェクトのテーマについてお聞きしたいと思います。24年度は「挑戦」「主体性」「組織効力感」「企画実現力」の4つをテーマにされていたと思います。このテーマを設定した背景や戦略を教えてください。

大橋さん
仕事をするうえで「自らやりたい」「やっていて楽しい」といった内発的動機づけがある状態が望ましいと考え、「挑戦」「主体性」「組織効力感」を設定しました。

また、企画実現力は当社 MVVS の “Strength” にあたります。「ワンコンパスの強みは企画実現力だよね」と改めて定義したので、研修を通じてこれを体現したいと思っていました。

会議起点で4つのテーマを実現─会議に照準を当てた24年度設計

迫間
こうしたテーマをふまえ、研修導入前に組織に足りなかった点や、大橋さんが感じていた組織・事業課題を教えてください。

大橋さん
23年度の選抜研修で、メンバーに会社全体の課題を整理してもらったところ、第1位は「会議が多い」でした。

問題は数そのものではなく、多くの会議を開いているのに生産性を感じないこと。アウトプットが低い、無駄な会議があるなど、一つ一つの会議に手応えがない――要は「量ではなく質」の問題だと捉えました。

すぐに解決できるテーマではないので、いったん私が預かりつつ課題感を整理し、24年度の選抜研修を設計しました。ちょうど迫間さんから「せっかく会議を行うなら、能動的・挑戦的な場にし、活発に意見が交わせるようにしよう」とアドバイスをいただき、会議の質向上をレバレッジポイントに据える方針を決定しました。

会議内で挑戦し、企画実現力を発揮できるようになる研修――そんなイメージで24年度プログラムを組みました。

将来の部長候補を4名厳選─少数精鋭で投資効果を最大化

迫間
解決策を会議に置き、本プロジェクトを推進する上で少数精鋭形式を取った背景をお伺いできますか。

大橋さん
今回選んだメンバー4人は、リーダーという役職の一歩手前の社員です。当社でリーダークラスとは、係長・主任クラスを指しています。

この4人は自社の将来有望株で、今も大きなプロジェクトでの責任を担っています。世代交代が起きれば、部長クラスになるであろう人材です。

未来のワンコンパスへの投資と考え、あえて厳選しました。私や上長から「将来は役職者として期待しているから選んだ」という熱いメッセージを添えて参加を依頼しました。選ばれること自体が、彼らのモチベーション向上につながると感じています。

“とにかく考え、自らで結論を出す研修”で学習と実務変化を促進

迫間
今回はアクションラーニングや自分たちでの振り返り、また、最終的にはシステム図を作成したと思います。


※ 毎月選抜メンバー同士で振り返りを実施  ※選抜メンバーが作成したシステム図

これらもふまえて、特に研修で重要視していた点はどこでしょうか?

大橋さん
アーティエンスさんの研修や姿勢で、弊社のフェーズ、そして私自身に合っているなと思っているのは「とにかく受講者に考えさせる」点だと感じています。

ファシリテーターとして時間通りに研修をクロージングしつつも、結論は自分たちで出せる。そこが良いなと思っています。

数多の一般的な研修では、できたストーリーになぞって進む内容が多いと思います。アーティエンスさんの研修は受講者の動きによって収束が変わる。ここがすごく良いなと思っています。アクティブラーニングというか、頭をフル回転させることが求められます。とても疲れますが……(笑)。

また、研修後に少しのモヤモヤが残る分、実務での学習が続くなと思っています。生きた研修と言いますか。その部分がとても良いなと思います。

昇格・異動・行動変容─4名のエース、研修後のそれぞれの変化

迫間
研修で少しのモヤモヤが残ることは、学習効果を高める要素になるので弊社も大切にしている点です。その部分に良さを感じていただけているのは嬉しいです!では次に、研修後の成果や変化を教えていただけますか。

大橋さん
A さんは、この春に飛び級昇格しました。もちろん仕事の成果もありますし、加えて研修での学びを日々着実に活かし、積み重ねたことがパフォーマンスを更に高めていったのかなと思います。そうした成果が周囲や役員にも認められたと感じています。

B さんは、この春からマーケティング部のキーマンとして様々なプロジェクトを担っています。

Cさんと D さんは、エース級の社員が集まる新設された部へ異動しました。

なお、D さんは今開発におりますが、営業にチャレンジしたいという前向きな発言もありました。研修との直接的な繋がりを明示することは難しいですが、研修を通じて D さんの中で何か変化があり、ワンアップの一端を担っていたのだろうと感じています。

改めて今の動きを見ても4人はエースですし「選抜して良かった」と実感しています。また、研修の中で全員が組織のこと・仕事のこと・会社のことと向き合えたのは、この研修のおかげだなと思っています。

迫間
私自身、研修の中で4名の皆さんの目線が「自分からチームへ」と変化していったことを感じていました。周囲へのインパクトは何かありましたか?

大橋さん
C さんは前半期までは、何でもできるマネージャーの下で1プレイヤーとして開発していました。しかしそのマネージャーが辞めてしまい、その損失を弊社も私自身も強く感じていました。その時にCさんが「あとは、私がやりますよ!」とピンチの状況にもかかわらず、組織を盛り上げてくれました。本当に頼もしく感じました。

会議の中でもマネージャーの代わりの業務を行ったり、冒頭でメンバーの緊張をほぐす働きかけを行ったり、マネージャーの上の層へも能動的に働きかけてくれました。

A さんは実務上、チームを育てていく役割を担い、ガラッと雰囲気が変わったなと思っています。案件を動かすと共にチームを運営することに意識が変わったなと。チーム運営の面では難しさを感じている部分もあるかもしれませんが、そこを乗り越えることは、これからの成長に向けた必要なプロセスだと思っています。

B さんは、優秀が故に自分自身で仕事を抱え込みすぎてしまう面があるなと感じていましたが、今は周囲を積極的に巻き込みながら仕事を進めているなと感じています。

選抜研修を「光栄なこと・嬉しいこと」へ

迫間
みなさんそれぞれが変化されていて、とても素敵だなと感じています!なお、御社のなかで、選抜研修はどのような位置づけになっていますか?

大橋さん
選抜研修の選抜基準は明確に全社へ発信していますので、選抜メンバーに選ばれるということは「エースとして期待されている優秀な人たち」というメッセージが伝わっているはずです。

とはいえ、これから先、今以上に「選抜研修」に選ばれることが「光栄なこと・嬉しいこと」にしていけたらと思っています。

選抜研修を人材戦略の柱に。中堅社員のエネルギーを組織の原動力へ

迫間
CHRO として感じている手ごたえや、研修の意味・位置づけ、また今後の展望等を教えてください。

大橋さん
3つほどあります。まず一つ目は、このプロジェクトを「人材戦略の大きな柱」にしていきたいです。自分で勝手に成長していく人は、一握り中の一握りだと思っています。だからこそ、組織が電動アシスト的に進む方向を示したり、成長を後押しすることが重要だと思っています。

組織が発展する上では「人」が本当に大切なエネルギーになると思っています。だからこそ、そのエネルギーを更に高めていきたいです。特に中堅社員のエネルギーを高めることが重要で、このプロジェクトがその鍵になっていけたら良いなと思っています。

二つ目は「憧れられる存在・社員の輩出」です。ロールモデルは若手社員にとって目指す存在になり、成長を高められると思っています。

三つ目は「採用力の強化への好影響」です。ワンコンパスに入ると“なりたい自分になれる”“自分のキャリアをつくれる”ということを伝える上で、本プロジェクトがその一翼を担ってもらえると良いなと思っています。

経営者との距離はない方が良い─経営と現場を両立するCHROの視点

迫間
ロールモデルがいると離職率が下がりやすいという調査結果もあるので、若手の定着率につながる施策ですよね。大橋さんは、人材育成に経営者を巻き込むことを大切にされているなと感じています。その背景をもう少しお伺いできますか。

大橋さん
私はCHROでありつつも現場マネジメントも行っています。現場の仕事にもかなり携わっています。なので「人事系の仕事だけをしている人」ではない、というところが一番大きいのかなと思います。

経営仕事と現場仕事の両方を行っている立場から見ると、経営者との距離は絶対にない方が良いと実感します。経営者をどんどん巻き込んで距離感を縮めたり、想いをダイレクトに受け取る——そうした場は、現場目線の私としては本当に欲しいなと感じています。

幸いなことに、 弊社の経営者は自分の弱い部分も含めてさらけ出しながら、弱みと強みをうまく使い分けて経営されています。今がチャンスというか、今だからこそできることなので、どんどん巻き込みたいという気持ちがあります。

会議スキルは必須。日々の会議の質向上が、キャリアに直結する

迫間
現場と経営陣をつないでいらして、本当に素晴らしいなと感じました。今後も「ファシリテーション」をキーワードに進めていくかと思います。
今後の「期待」や「もう少しこうしたい」という思いはありますか?

大橋さん
会議は仕事をする上で切り離せないものです。社会人なら誰しも必ず経験しますし、みんな毎日会議をやっています。それにもかかわらず会議のテクニックを習ったことがないんですよね。

会議にはテクニックがあって、そのテクニックを活用するだけで、会議の内容や雰囲気が180度変わるんですよね。

参考:会議のテクニックに関する研修資料

 

次のステップに進むタイミングや新たな役職につく上で「会議をうまく進められるか」「会議の中で何をアウトプットするか」は、本当に大切な要素だなと思っています。

昨年から私は CHRO になりましたが、CHRO になって会議の重要性を改めて痛感しました。それまで何気なくやっていた会議が全く違うものになるなと感じます。

ぼーっと会議を進めているとある役職に就いた時に通用しなくなると思いました。だからこそ中間レイヤーにいる方たちが会議の質を上げるテクニックを知り、日々の会議の質を高めることは今後のキャリアに直結すると感じています。

“期待を超える驚き”という新たなバリューを実現するには、会議の質をどれだけ上げるかが鍵になると思っています。

研修は会社を変える──長期視点で諦めず挑戦を続けよう

迫間
素晴らしいお話をありがとうございました。最後に、この記事を読んでくださった方、同じように変革に挑戦しようとしている CHRO や人事の方へ、一言メッセージをお願いします。

大橋さん
はい、僭越ながら……。CHRO や人材開発に長く携わっている方は研修の重要性をご存じだと思います。ただ、人事になりたての方、駆け出しの方は「これって意味あるの? どう変わるの?」と上から聞かれたり、成果を問われたりすることが多いですよね。

しかし、研修は「人と会社を育てる」営みなので、簡単に「これをやったからこうなる」と目に見えてすぐ成果や変化が出るわけではありません

ただ私の経験上確実に言えるのは「研修で会社は変わる」ということです。そして、どんな研修をするかで会社の方向性は大きく変わります

今日の研修が明日の仕事にどうつながるかよりも「未来どうなりたいか」を見据え、長期目線で一つずつ着実にやることが重要だと思います。上からいろいろ言われても諦めずに進めることで、振り返れば「大きく変わったよね」と気付けるはずです。

とはいえ、近年は AI などで研修成果を定量化する方法も増えてきました。研修を定量化する方法はいくらでもあります。研修は見えないものではなく、見えるものになってきたと感じます。

そうした新たな流れもくみ取りながらHR 界隈で頑張っている皆さん一緒に頑張りましょう!

迫間)
それではインタビューはこれで終了です。ありがとうございました。


本事例でご紹介した中堅社員選抜研修はファシリテーション研修がベースとなっています。サービス資料は下記よりダウンロードいただけます。
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