新入社員に『常識知らず』と感じた29の出来事とフォロー方法

更新日:

作成日:2023.4.24

ビジネス NG行為

2023/11/2更新ー 2023/4/24作成ー

・新入社員が遅刻をしているのに何の連絡もない…
・新入社員がクライアントへのメールに絵文字を使っている…
・新入社員が先輩に対してタメ語で話している…

といった、いわゆる「新入社員が常識知らずで困る」いったお悩みをしばしお聞きします。
近年は特に、新入社員の言動が全く理解できず、怒りを通り越して呆れている…といったお話も少なくありません。

そこで本コラムでは、実際に見聞きした、新入社員を常識知らずと感じた29の出来事をお伝えしていきます。あわせて、その言動が生じた背景と、今後の対応策についても解説を加えます。

「今年の新人は常識知らずでダメだ」と決めつけ、育成を諦めるのではなく、本コラムの内容を参考に新入社員との接し方や育成を見つ直すきっかけにしていただければ幸いです。

このコラムで分かること

  • 新入社員に常識知らずと感じた29の出来事
  • 新入社員の常識知らずな行動への対処法
  • 『常識』のすり合わせに有効な'対話'の進め方
執筆者プロフィール
山下 絢加
2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。子育てを機に、現在は主にマーケティングプランニングを担当。

専門性:新入社員若手社員組織開発・組織変革

目次

1、新入社員を『常識知らず』と感じる出来事 29選

新入社員を常識知らずと感じる出来事として、当社がお客様とのお打ち合わせ等で見聞きした29の事例を取り上げます。あわせて、そのような出来事が生じてしまう背景と対策についても解説いたします。
※ 本コラムでは、業務中での出来事に限定しています。

1、遅刻をしても連絡をしない

新入社員の中には、遅刻をしても連絡をしないという方がいます。これは、遅刻をすることが、社会的な信用を失うことになる、ということを理解していないために起こります。
そのため、仕事をする上で信用してもらうことが大切で、その信用は、遅刻をしないとか、納期を守るなど、些細なことの積み重ねで獲得するものだ、ということを理解してもらう必要があります。

例えば、アーティエンスの目標達成・コスト意識研修では、ビジネスゲームを通じて、『信用』の大切さについて学びます。ゲーム中では、顧客からの信用度が足りなければ、自社で案件を請け負うことができず、『信用度がないと仕事をもらえない』ということを体験します。そして、新入社員はクライアントや周囲のメンバーと仕事を行う上で、信頼関係を築かないといけないことを学びます。
仕事の中で信用が必要であることは、言葉では理解している人が多いと思いますが、そのことを体感している新入社員は少ないです。信用が仕事において必要不可欠なものであることを体感する機会を作るようにしましょう

2、ビジネスメールの書き方がなっていない

新入社員の中には、仕事のメールで絵文字や顔文字を使用していたり、言葉使いが適切でない場合があります。これは、ビジネスのマナーや経験が無いために起こります。そのため、ビジネスマナーを学ぶ機会を作り、先輩たちのビジネスメールを参考として共有しましょう。

メールのマナーを伝える際に、一方的にこれが良くてこれがダメというように伝えてしまうと、マナーというよりルールとして受け取られてしまいがちです。その場合、新入社員はなぜ、これは良くてこれはダメなのかの背景を理解できず、また学んだことと違う場面に遭遇したときに自分で考えることができず、応用が利きません。

ビジネスマナーを伝える際は、背景・理由などの根本的な考え方を伝えるようにしましょう。当社のビジネスマナー研修では、「相手と場に合わせたビジネスマナーを通じて、その先で相手との関係性を高め育む」ために、ビジネスマナーを学ぶと伝えています。なんでもマナー通りにすれば良いということではなく、その時の状況に合わせた言動・行動を取っていく必要があるためです。

研修では、ビジネスの場を想定した社外へのメール作成を行い、講師からのフィードバックを通してブラッシュアップしていきます。現場では、上司や先輩が日頃社内外でやり取りをしているメールを参考として新入社員へ共有することも、具体的なイメージがつきやすくなりおすすめです。

3、電話を取ろうとしない

新入社員の中には積極的に電話を取ろうとしない方がいます。これは、電話に慣れていないことや、どのような話になるのか予測できないために心の準備ができず、負担が大きいと感じていることが原因として考えられます。この場合は、ロールプレイングをしっかり行い、わからないことがあったらいつでも代われる人がいるという安心感を持たせてあげることが大切です。

ロールプレイングを行う際は、まずマニュアルを渡して先輩同士でやってみせて、その後、新入社員に実施してもらうようにします。はじめに見本を見せて新入社員に客観的にみてもらうことがポイントです。その上で実際にやってみると、わからないことが出てくる可能性があるので、質問に答えましょう。
当社のビジネスマナー研修では、電話対応については、動画を用いた間違い探しとロープレの実践を通して学びます。
電話対応」 新入社員研修
また、いつでも先輩に代わることができる、という安心感があることで負担感を減らすことができます。電話対応は、かかってきた電話の内容を予測することができないため、新入社員が対応しきれない内容の場合もあります。その際に、新入社員が「一人でどうにかしなければ」と思ってしまうと、プレッシャーになり、電話対応への負担感が大きくなってしまいます。そのため、わからないことがあったら、いつでも先輩に声をかけて大丈夫という安心感があることも、電話を取りやすくすることに繋がります。

4、電話対応のマナーが悪い

新入社員の電話対応を聞いていて、マナーが悪いと感じることがあるかもしれません。それは、ビジネスマナーが身についていないことが原因として考えられます。そのため、電話で顔は見えなくても相手を気遣う気持ちを持つことを伝えましょう。

当社のビジネスマナー研修では、前述の「電話を取ろうとしない」でご紹介した間違い探しの動画を視聴した上で、「受話器を乱暴においている」などが間違いとして入っている、電話対応の悪いマナーについて客観的に理解していきます。また、顔が見えないためにマナーを意識しづらい場合は、電話を受ける場所の近くに鏡を設置して、自分の顔をみながら電話すると、マナーを自然と意識しやすくなるためおすすめです。

5、上司や先輩に敬語を使わない

新入社員の中には、上司や先輩に敬語を使わない人がいます。最近の新入社員はコロナの影響もあり、部活動やバイトなど上下関係のある経験が少ないことが多く、敬語を使う機会が以前よりも減少していることも原因の一つとして考えられます。
そのため、まず上司や先輩が新入社員と近い関係性の距離感で話すのではなく、先輩と後輩ということを意識した話し方にするということが必要です。そうすると、自然とその距離感に合わせた言葉使いを行うようになりやすいです。

それでも難しい場合は、敬語を使わなかったときにフィードバックを行い、正しい言葉の使い方を伝えるようにしましょう。この頻度や細かさは、組織文化や新入社員の状態によります。あまりにもたくさん敬語についてフィードバックしすぎると、その点について注意されることが嫌になってコミュニケーションをとる機会を減らそうとする新入社員も出てくるためです。

上司や先輩に敬語を使わないことに対して指導を行うときの注意としては、上司や先輩に敬語を使わないことの上位概念を伝えて、根本的な課題を意識することです。何かしら仕事を行う上で不都合があるために、新入社員が上司や先輩に敬語を使わないとダメだ、という意見があると思います。しかし、よくあるのが、本来の目的を忘れて敬語を使わせるようにすることが目的になってしまう、ということです。それでは、意味がありません。

自組織の中で、なんのために新入社員が上司や先輩が敬語を使えるようになってほしいのかを言語化し、新入社員に伝えられる状態にしておきましょう。

【参考】マナーが秩序を守るとは?~孔子による「仁」と「礼」の考え方~
紀元前551年~前479年の中国の思想家である孔子は、「仁」と「礼」という言葉でマナーの大切さを説明しています。
「仁」は他者への思いやりの気持ちのことで、
「礼」は思いやりを態度としてあらわす礼儀作法のことです。
「礼」にあたるマナーは「仁」という思いやりがあってこそ生まれるものだ、という考えは、ビジネスマナーにも通ずるところがあると思います。

6、挨拶ができていない

挨拶ができない新入社員がいます。これは、挨拶が与える影響を理解していないために起きるため、挨拶が与える影響を新入社員にも理解できるよう伝えていきましょう。

特に、社外のお客様への挨拶ができていなかったり、暗く気持ちの良くないものであると、場合によってはクレームに繋がってしまうこともあります。一方で、挨拶が元気で明るさがあると、「一緒にいて気持ちがいいな」、「この子なら頑張ってくれそうだな」と、それだけで前向きな印象を持たれやすくなるため、知識や経験の浅い新入社員にとって、挨拶は社会人として何よりも大事な武器とも言えます。

また、挨拶は人が出会った時に最初に交わす言葉で、人の印象に大きく影響を及ぼします。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)心理学名誉教授、アルバート・メラビアンが発表した、メラビアンの法則では、人の第一印象は 3~5 秒で決まると言われています。
挨拶を行う数秒で人の印象が決まり、その後の関係性にも影響するということです。

このような内容を伝え、挨拶は相手との関係性を築く上でとても重要なものということを新入社員が理解できるようにしましょう。

【参考コラム】新入社員の挨拶は会社の顔│挨拶で失敗せずに、印象アップ!

7、服装がビジネスに不適切

ビジネスに適していない服装をする新入社員がいます。これは、「自分にとって快いことが相手にとって快いとは限らない」ということを理解しきれていないことで起こります。そのため、相手から見たときの自分の立場をしっかり認識し、相手を不快にさせないことを新入社員が意識できるようにしましょう。

当社のビジネスマナー研修では、身だしなみについて3つのポイントを伝えています。 身だしなみのポイント 新入社員研修
※当社ビジネスマナー研修のテキストより一部抜粋

最近は多様性を重んじられることもあり、入社式もそれぞれが思い思いの服装で執り行われた組織もあります。しかし、その中でも、上記の3つのポイントは大切になりますので、新入社員に意識してもらえるように伝えましょう。

8、社内ルールやマニュアルを守れない

新入社員の中には、社内のルールやマニュアルを守れない方もいます。これは、なぜそのようなルールやマニュアルがあるのかという背景まで考えられていないことが原因として考えられるため、新入社員にルールやマニュアルの背景まで伝えることを意識しましょう。
例えば、社内のルールとして、今月の経費の申請は翌月1週目までと決められていたとします。このルールだけを伝えると、新入社員は「給与の振り込みは25日なんだから15日までくらいに提出すればいいんじゃないの?なんでこんなに早く提出しないといけないの?」と疑問を感じるかもしれません。しかし、背景として、1週目までに申請しないと、社員全員分の確認が間に合わないからなどの説明があると、そのルールを理解し、守ろうとする姿勢につながります。

社内のルールやマニュアルの背景を知らないと、「守る必要なるのか?」と個人で判断してしまいがちです。そうならないためにも、背景を伝えることを意識しましょう。

【参考コラム】新入社員が業務に迷わないために必要なマニュアルの作り方と使い方

9、業務上の機密情報を漏らす

新入社員の中には、機密情報を漏らしているという意識なく、機密情報を漏らしてしまう方がいます。これは、モラルが備わっていないことが原因として考えられます。そのため、モラルについて新入社員に考えてもらう機会を作り、新入社員のモラルの意識を高めるようにしましょう。

モラルは、通常「道徳」、「倫理」、「社会・環境に対する精神的態度」と定義されます。端的に表現すると、「善悪を判断する基準」というです。モラルを意識・使用する際に重要となることは、「環境や対峙する人・集団」によっても変わってくることです。例えば、日本とアメリカでは、求められるモラルの在り方は異なりますし、学生と社会人とでも異なってきます。

当社の社会人の自覚研修では、実際に発生したモラルに反する事例を紹介しながら、ケーススタディで、社会人としてモラルを遵守することの必要性について深く学んでいきます。モラルについては、一方的に説明を受けるだけでは、なかなか自分ごととして捉えにくいため、新入社員が個人やグループで考え、議論する時間をとることをおすすめします。

10、上司や先輩から聞かないと報連相がない

上司や先輩から聞かれないと、報連相をしないという新入社員がいます。この原因は、様々なパターンがあり、それぞれのパターンによって対応は変わってきます。

何を質問・相談すればよいのかがわかっていない場合

慣れるまでは、毎日10:00-10:15、14:00-14:15、17:00-17:15など時間を決めて、現状の仕事の状況を伝える時間を設けましょう。その中で、どんなことを上司や先輩は知りたがっていて、何を伝えたらいいのかが掴めるようになっていきます。

質問・相談をしたら「仕事できないやつ」だと思われそうで怖い場合

質問や相談は仕事を進める上で必要不可欠なことだということを伝えましょう。例えば、自分もいまだに上司に質問や相談をしながら仕事を進めている、ということを伝えるなどです。

【参考コラム】“新入社員に伝えたい!”たった1つの大切なこと│組織が支援できる3つのポイント

質問・相談をすると怒られたり否定されるからしたくない場合

ポジティブフィードバック→改善点→ポジティブフィードバックの順番で伝えるようにしましょう。そうすることで、質問や相談にいくことに対する怖さを和らげることができます。
過去に質問や相談をして嫌な経験があった可能性があるため、フィードバックの言葉は十分に注意しましょう。
【参考コラム】新入社員が育つフィードバックとは?基本となる考え方や方法を詳しく解説

質問・相談をできる先輩がいない/質問・相談をしたいが、皆忙しそうで声を掛けづらい場合

質問や相談をする時間を設定しておきましょう。特にオンラインでは相手が何をしているかわからない状態のため、新入社員から声をかけづらいです。

11、締め切りを守れない

新入社員の中には締め切りを守れない方がいます。これは、締め切りを意識せずに仕事を行っていることが原因です。そのため、新入社員には、締め切りに間に合わすためにどのようなスケジュールで仕事を進めたら良いかを考えてもらい、その進め方で問題ないかを上司や先輩と確認するようにしましょう。

スケジュールを立てるときに必要になってくるスキルが、要件定義・タスク分解・スケジューリングです。要件定義でやるべきことやその目的を明確にし、ゴールがズレないようにします。次に、ゴールまでに必要なタスクを全て洗い出します。そして、締め切りとタスクにかかる時間とを調整してスケジューリングすると、締め切りを守れない確率は下がります。
ただ、仕事を進めていく中で何かしらのトラブルが起こる可能性もあるため、バッファを設けて、都度スケジューリングの見直しを図るようにしましょう。

当社のビジネススキル研修では、次のようなワークを行い、要件定義・タスク分解・スケジューリングのやり方を学びます。

ビジネススキル研修 新入社員研修

※当社ビジネススキル研修のテキストより一部抜粋/受講生のアウトプット例

12、アウトプットの質が不十分

新入社員のアウトプットの質に対して、が不十分と感じるケースがいます。これは、アウトプットに対するクオリティレベルの認識が新入社員と上司・先輩でズレていることで起きます。そのため、求めているアウトプットのレベルを新入社員に理解してもらえるように、過去の事例や見本を見せたり、言葉で明確に伝えることを意識しましょう。

例えば、営業でのプレゼンの資料が不十分だと感じたら、先輩のプレゼンの様子とそのために準備しているものを見せて「このレベルまで行う必要があるのか」ということを体感してもらいます。また、過去の似たような案件の資料を渡して、この資料と同等レベルのものを期待していることを伝えたり、資料に記載してほしいことをまとめたリストを作成し、これらの内容を全て記載してほしいことを伝えます。
こうすることで、どの程度のクオリティを求められているのかを理解でき、そのための適切な準備を行えるようになります。

13、自分なりのやり方で進める際に確認をしない

新入社員の中には自分なりのやり方で進める際に確認をしない方がいます。これは、自分の考えや判断が正しいと思い込んでいることで起きます。自分なりに考えるということ自体は主体的で素晴らしいことですが、まだ知識や経験の浅い新入社員では意識しきれていないこともあります。そのため、自分で考えてくれたことはいいものの、方向性がズレてしまうことも多々あります。そうならないためにも、自分の判断で進める前に確認させてほしいことを伝えましょう。

例えば、新入社員に依頼していた営業の提案資料が、一緒にすり合わせを行った時と内容が異なっていたとします。このときにいきなりネガティブフィードバックをするのは推奨しません。新入社員は悪気はなく、むしろ自分なりにより良くしたのだから褒めてほしいと思っているためです。

まずは、「作成してくれてありがとう。この箇所が以前にすり合わせした時と内容が変わっていると思うのだけど、こうした理由を教えてもらってもいい?」と新入社員の背景や意図を聞くところから始めます。

そして、新入社員から背景や意図を確認して一度受け止め、改善してほしい箇所を伝えます。
例えば、「なるほど。〜〜を工夫してくれたのだね。自分なりに考えてくれたことはすごく嬉しいのだけど、今の内容だと〜〜の視点が抜けてしまっているんだ。だから、〜〜の視点も加えてもらえる?」や「すり合わせた内容だと、何がわかりづらいと思った?その要素をすり合わせた内容に足すというのはどうだろう?」などです。

そして最後に、時間のロスが生まれないように、今後は事前に確認してほしいことを伝えます。
例えば「今回みたいに資料を綺麗に作ってから修正をしてもらうと、工数が多くかかってしまって、時間のロスになってしまうから、次からは自分なりにこうした方がいいかもって思ったらそのときに確認してもらえると助かるのでお願いできる?」などです。

このような手順で新入社員が自分なりのやり方で進める際に確認してもらえるようにしましょう。

14、話を聞くときにメモを取らず、忘れたと言って確認しにくる

話を聞くときにメモを取らず、忘れたと言って確認しにくる新入社員がいます。これは、このようなことが積み重なると信用してもらえなくなることを理解していないために起こります。そのため、何度も話を聞くときにメモを取らず、忘れたと言って確認しにくる新入社員に対して、今のままだと信用して仕事を任せることができないから、一緒に対策を考えたいと思っていることを伝えてみましょう。
他にも、メモを取らないことでどのような影響があるのかを新入社員自身に考えてもらうことも一つの方法です。新入社員自身で考えてもらうことでメモの大切さを自覚することができる場合もあります。

もし何をメモしたら良いかわからない、という新入社員がいる場合は、慣れるまでは基本的に全ての内容を専用のノートにメモを取ることを推奨しましょう。そのことを続けていくと、自分なりにメモが必要な箇所がわかってきます。また、上司や先輩が指導をする際にメモを渡し、それによってメモの内容をイメージできるようにすることも一つのやり方です。

小さな出来事の積み重ねが信用となり、信用がある人に仕事が回ってきます。信用がないままでは成長することができないことを、新入社員が理解できるよう伝えることがポイントです。

15、業務時間中に寝る

新入社員の中には、業務時間中に寝ている方がいます。意図的に寝ようとする人はおそらくいないと思うため、睡眠時間が足りていないことが原因として考えられます。そのため、睡眠時間が足りていない原因が何かを新入社員と一緒に考えてみましょう。

もし、抱えている仕事が多すぎて毎日遅くまで残業している、という場合は業務量の調整が必要です。抱えている仕事が多いわけではないが、それぞれの作業に時間がかかっているようであれば、具体的に何に時間がかかっているのかをみていき、効率的に進めるための方法をアドバイスしましょう。
もし、仕事の後にゲームやドラマに熱中して睡眠時間が確保できなかった、という場合は、社会人としての自覚が弱いです。組織が新入社員に対して育成し給与を支払っている意味や、寝ている人が社内にいることで周囲にどのような影響を与えているのかを考える時間を作り、社会人としての意識を強めることが必要です。

16、デスク上の整理整頓ができていない

新入社員の中には、自分のデスク上の整理整頓ができていない方がいます。これは、整理整頓できていないことで仕事のスピードを遅くしていることに気がついていないために起こります。そのため、整理整頓できていないことが仕事を妨げていることを新入社員が自覚できるようにしましょう。その際は、具体的な数字を伝えるとわかりやすいです。

例えば、IT機器やオフィス用品を販売している大塚商会が行なった調査によると、ビジネスパーソンは勤務中の探し物におよそ年間150時間も費やしているそうです。探し物をすると、一度集中力が途切れてしまいます。一度きれた集中力を取り戻すにも時間がかかり、シャンタル・バーンズ氏によると、一度切れてしまった集中力が再び元に戻るには、およそ25分かかるそうです。このようなことを伝えることで、整理整頓しておくことの大切さを理解してもらいやすくなります。

17、指示されたことしかやらない

指示されたことしかやらない新入社員がいます。そのことについて指摘すると「それって私の仕事なんですか?」、「そこまで言われていなかったので」などの反応が返ってくることもあるようです。これは、仕事の理解の認識が異なっているために起きると考えられます。新入社員の中には「仕事=言われたことをやること」だと思っている、という方がいるということです。

そのため、仕事に対する意識を変える必要があります。当社の社会人の自覚研修では、次のようなことをワークを通して体感し、理解してもらいます。 周囲への貢献 新入社員研修 ※当社社会人の自覚研修のテキストより一部抜粋

意識の変化を促すには、一方的に伝えるだけでは難しく、実際に体験してもらうことが効果的です。そのため、意識変革を促す設計をしっかりと行っている研修に新入社員を参加できるようにすることもおすすめです。

18、自分の意見を持っていない

新入社員の中には自分の意見を持っていないように見える方がいます。この原因は様々なパターンがあり、それぞれのパターンによって対応は変わってきます。

知識や経験が少ないために自分の意見が考えつかない場合

自分で考えられるようになるために、考える観点や問いを渡してあげましょう。

自分の意見に自信なく発言ができず、周囲からは意見を持っていないように見える場合

新入社員は基本的に自分の意見に自信を持っている人は少なく、意見を発言することにとても勇気が必要です。そのため、新入社員が意見を発しやすい環境を作ることが大切です。内容が未熟でもそのことばかりにフィードバックするのではなく、意見を発言してくれたことに対してポジティブフィードバックを行い、積極的に発言してくれる環境を作りましょう。

「自分の意見を発言しても意味がない」と考え発言せず、周囲からは意見を持っていないように見える場合

匿名で意見を出し合える場を作ることをおすすめします。この場合は、過去に意見を発言したがその体験がネガティブなもので、再度その体験をしたくないがために、発言しない、ということで自分を守っている可能性があるためです。
例えば、Jamboardや付箋などを使って意見を出し合うようにすると、自分を守りながらも発言ができます。匿名で意見を出す練習を行ううちに、匿名でなくても意見を発言しやすくなります。

19、周りと積極的にコミュニケーションを取らない

新入社員の中には周りと積極的にコミュニケーションを取らない方がいます。これは、関係性がアウトプットの質に影響してくることを理解していないがために起こります。そのため、関係の質が結果にも影響があることを理解してもらうことが大切です。

以下の図は、MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏が「成功循環モデル」として提唱した考え方です。
成功の循環モデル
「関係の質が高まれば、思考の質が高まり、行動の質が高まり、結果の質が高まる、そしてさらに関係の質が高まる」という好循環が生まれます。ただし、「関係の質が低くなれば、思考の質が低くなり、行動の質が低くなり、結果の質が低くなり、そしてさらに関係の質が低くなる」という悪循環も生まれるということです。
実際に関係性が築けていないと、ちょっとした相談をしにくくなり、そのことでアウトプットのクオリティを下げる要因となることもあります。
特に新入社員は、一人で仕事をすることは難しく、周囲の助けを借りながら仕事を進めます。このことを新入社員が自覚をし、関係性を築くことで仕事がやりやすくなることを理解できるようにしましょう。

20、ちょっとしたことでセクハラやパワハラをしていると訴える

新入社員の中にはちょっとしたことでセクハラやパワハラをしていると訴える方がいます。これは、以前よりハラスメントの問題が身近になり、事例がSNS等で見ることができるようになったことが原因だと考えられます。

中には「こんなことで?」と思うようなちょっとしたことでも、ひどく傷つき本当に辛くて訴えたいという人もいます。ただし、「こんなことで?」と思っても、軽く扱うのは危険です。その人がどれだけ辛いかは、他者として感じることはできないためです。ハラスメントで相談があった場合は、丁寧に話を聞き、専門家に相談して今後の対応を話し合うことをおすすめします。専門家は、産業医、精神科専門医、精神保健福祉士、臨床心理士、公認心理師のような方々がいます。

年長者からすると「こんなことも?」というようなこともハラスメントとして扱われることが増えてきています。
例えば、飲酒や飲食の強要・飲み会への参加強制です。飲食の席に本人の意向を踏まえずにつきあわせ、飲食を強要することもパワハラ(厳密にはアルコールハラスメント)になります。過去に被害者の損害賠償請求を認める判決が出たこともあります。
昔だと当たり前とされていたことが今ではハラスメントになることもあります。意図せずに加害者になっていた、ということがないよう、最近の事例を社員に共有して定期的に勧告することが必要です。

ハラスメントに関する裁判例は、下記のページに記載されています。
裁判例を見てみよう|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト

【参考コラム】パワハラ被害者を守るために管理職と会社ができることとは?│失敗しない3つのポイント

21、社内で悪口や噂話をする

社内で社員の悪口や噂話をする新入社員がいます。これは、社会人としてのモラルが身についていないために起こります。そのため、学生から社会人としてのモラルを身につけられるような意識の変革を促すことが必要です。

当社の社会人の自覚研修では、モラルについてのワーク実施後、下記メッセージを伝えています。 モラルの意識 ※当社社会人の自覚研修のテキストより一部抜粋

社内という場所で誰かに聞かれ、そのことで信頼をなくなってもいいのか、ということを新入社員が自分自身に問いかけてもらい、社内で社員の悪口や噂話をするリスクを考えられるようにしましょう。

22、同じミスを繰り返す

同じミスを繰り返す新入社員がいます。これは、指導を理解しきれていないことが原因の可能性があります。その背景には、次の3つがあげられます。それぞれの対策をお伝えします。

・指導内容を理解できていないのに、「わかりました」と言ってしまう
・そもそも指導を受ける際、話を聞いていない(聞こうとしていない)
・同じミスだと思っていない

▶指導内容を理解できていないのに、「わかりました」と言ってしまう
┗新入社員に自分の言葉で言い直してもらう
上司や先輩から「今私が伝えたことを自分の言葉で説明してもらえる?」などと声をかけて、理解度を確認するようにしましょう。新入社員自身で説明することで、どの程度理解できているのかを確認できます。

▶そもそも指導を受ける際、話を聞いていない(聞こうとしていない)
┗話を聞けない理由を解明する

話を聞けない状態にしている原因を掘り下げていく必要があります。
例えば、指導者との関係性が悪いことが背景にあり、指導内容を聞いていないということもあるかもしれません。

▶同じミスだと思っていない
┗根本的なミスを改善する指導を行えているか確認する

例えば、前回のミスの際に「お名前がわからないと、こちらから電話することができないから、次回からはお名前を忘れないように確認するようにね」と伝えていたとします。この伝え方だと、確認をし忘れるという根本的なことに対しての解決策を伝えきれておらず、上部だけの対策になってしまっています。
そのため、その指導を受けて新入社員がとる行動としては、電話のそばに付箋に「名前を確認する!」と書いて貼り付けておく、というような内容になってしまいます。確認のし忘れを防いでもらうことを新入社員に望んでいる場合は、確認を忘れないようにするためにどうしたらいいか、について新入社員に伝える必要があるのです。

【参考】【種類別】新入社員のミスの原因と改善策を徹底解説!

23、業務時間外で勉強しない

新入社員の中には業務時間外に勉強をしない方がいます。これは、仕事とプライベートを分けるワークライフバランスを重視している方に特に多いです。
ワークライフバランスは、仕事とプライベートを分けて考えているため、仕事をプライベートに持ち込まないという考えが生まれます。しかし、業務時間内だけで、仕事に必要なことを全てインプットするには時間が足りないことも多いです。

そのため、ワーク・ライフ・インテグレーションという考え方があることを伝えてみましょう。ワーク・ライフ・インテグレーションというのは、仕事とプライベートを統合させる考え方です。仕事の経験をプライベートに活かし、プライベートの経験を仕事に活かすことで相乗効果を高めます。
例えば、アイディア出しの企画の仕事で、プライベートで経験したことを活かしたり、仕事の経理の経験をプライベートの家計管理に活かすなどです。

プライベートの時間にも勉強をしろと強制させるようなことを行うと、プライベートへの干渉の点でハラスメントにもなりかねません。ワーク・ライフ・インテグレーションという考え方を伝え、新入社員に強制させるのではなく、新入社員が自ら進んで勉強できるような働きかけをできるようにしましょう。

24、会議時のビジネスマナーがなっていない

会議の時のビジネスマナーがなっていない新入社員がいます。例えば、新入社員なのに上座に座ったり、相手から「どうぞおかけください」と声がかかる前に座るなどです。これは、ビジネスマナーの知識がないことで起こります。そのため、新入社員がビジネスマナーを学び、身につけられるような機会を用意しましょう。

当社のビジネスマナー研修では、次のような資料も参考にしながら一般的な席次について伝えています。 自利利他 ※当社ビジネスマナー研修のテキストより一部抜粋

席次については学生の際に意識することはほとんどないため、しっかりと学び身につけられると改善していくことができます。

25、クライアントの競合他社の製品を身につけてくる

新入社員の中にはクライアントの競合他社の製品を身につけてくる方がいます。これは、意識が細かい部分にまで向けられていなかったことが原因として考えられます。
まずは具体的に意識することを伝え、次第にクライアントと同じ立場になって課題を捉えられるように育成の中で伝えていきましょう。そうすることで自然と競合の製品を身に着ける、というようなことはなくなるはずです。

具体的に意識することとしては、例えば服装やバックについてはブランド名が見えるものは避けるように伝えることで回避できます。文房具については、できるだけクライアントの商品を使うように伝えると良いでしょう。
中には、そこまで意識しないといけないの?という疑問を持つ方もいるかもしれません。もちろん、クライアントによっては意識しない方もいると思いますが、些細な意識を持っていることで信頼関係を構築することに繋がることを伝えましょう。

その際、事例などを伝えてもいいかもしれません。当社のお客様で、カメラの製造を行っているお客様がいました。当社スタッフが研修風景を撮影する際、お客様の商品を使っており、そのカメラの話で盛り上がり、よりリレーションが強くなったことがあります。このようにクライアントの製品を持っているだけで、親近感を持ってもらえることがあります。

新入社員に対して、「あなたがクライアントの立場だとしたときに、クライアントの競合他社の製品を身につけている人と、クライアントの商品を身につけている人、どちらと一緒に仕事をしたいと思うか」を考えてもらうと、新入社員も理解しやすいかもしれません。

26、クライアントに1時間おきに催促の電話をする

新入社員にクライアントから請求書が届いていないから確認してと伝えたら、1時間おきに催促の電話をしていた方がいました。これは、クライアントの立場を理解しきれていないことで起こります。
そのため、相手の立場を理解する意識を強める練習をする必要があります。練習として、おすすめなのが上司や先輩の報連相です。いかに相手のことを意識して報連相を行うかを毎日練習していると、相手目線を意識しやすくなっていきます。

また、仕事は一人で行っているものではなく、様々な人が様々な状況の中で行っていることを理解できると、クライアントや相手を意識した対応ができるようになっていきます。

27、タクシーを電話で呼べない

新入社員の中にはタクシーを電話で呼べない方がいます。これは、タクシーをアプリで呼ぶ機会が増えたためです。そのため、タクシーを電話で呼ぶことは、年長者にとっては常識かもしれませんが、現在の新入社員にとっては常識ではありません。
中にはタクシーを電話で呼べない新入社員に対して、常識知らずという方もいるかもしれませんが、それは育ってきた環境が異なるため仕方がない部分です。
最終的にはタクシーを呼べたら手段にこだわる必要はない場合が多いと思うので、電話で呼ぶことに固執せず、新入社員はそのようなやり方をするんだなと、受け止めるようにしましょう。

28、親に欠勤の電話をさせる

  新入社員の中には、親に欠勤の電話をしてもらう方もいます。もちろん、声が出ない場合や重症の場合は問題ありません。しかし、自分で伝えることができるにもかかわらず親に連絡をさせるというのは、学生気分が残っているように見えます。
そのため、自分の言動は自分で責任を持つことを伝えましょう。例えば、社会人として親に欠席の連絡をしてもらうと学生気分が抜けていないとか、社会人としての自覚や責任感がないと認識されてしまう、ということをフィードバックとして伝えます。

ただ、言葉で伝えても理解しきれないことが多いため、日々の仕事の中で新入社員が責任感を持てるように促すことも一緒に行いましょう。例えば、いつまでにアウトプットを提出するかを新入社員に決めてもらうとか、納期までにアウトプットが仕上がっていない場合、その後全てを引き取るのではなくて、新入社員に最後までやってもらうようにするなどです。
このような積み重ねで少しずつ新入社員の責任感を鍛えていきましょう。

29、納期に向けて忙しく、他の社員は残っているにもかかわらず定時に帰る

納期に向けて忙しく、他の社員は残っているにもかかわらず定時に帰る新入社員がいます。これは、自利の意識しかなく、利他の精神を持てていないことが原因です。手伝える時間や余裕があれば、手伝う意識を醸成していくといいでしょう。 ※ 組織全体として助け合う意識と風土創りが重要であり、手伝いを強制することや「上司より先に帰宅してはいけない」というルールを設けるといった話でもありません。 その際、自利から利他に意識を向けられるようにするためには、リーダーシップを強化することが必要です。当社ではリーダーシップの定義として「人や組織に対して、ポジティブな影響を与え続け、その上で自身の未来も今も幸せであること」と設けています。

それぞれがリーダーシップを発揮してポジティブな影響を与えることで、それが自身にも返ってくるということを体感できるためです。
自利利他 新入社員も自身のリーダーシップを発揮して、何かしら周囲にポジティブな影響を与えることはできます。日々の仕事の中からこのことを意識できると、利他の精神を持ちやすくなります。

また「新入社員研修の担当者向け|研修設計の基本や効果を高めるポイントを解説」の記事では、新入社員研修の担当者になった方向けに、研修内容を決めるためのポイントを解説しています。
同時に、どのようなポイントを意識すれば研修効果を高められるかを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2、『常識』のすり合わせには“対話”が必要

ここまで、新入社員が『常識知らず』と感じた29の事例をご紹介してきました。

読んできてお気付きの方もいらっしゃると思いますが、上司やトレーナーに常識があるように、新入社員の中にも常識があります。ただ、お互いが持っている常識が異なるために『常識知らず』という言葉として出てきてしまいます。

新入社員育成においては、自分の常識と相手の常識は異なることを前提として、接していくことが重要です。そのために「対話」は有効な手段であると言えます。
対話を通じて、各々の常識の背景を確認していくと、それぞれの価値観や大切にしたい想いが見えてきます。それは“効率化”かもしれないですし、“思いやり”や“協力”かもしれません。それぞれの価値観や育ってきた環境によって常識は創られています。

誰が正解で、誰が間違っている、と言えるものではない、ということです。

新入社員に対して「常識知らずだな」と感じたことがあったら、まずは、なぜそのような言動をしたのか聞いてみましょう。新入社員なりに何かしらの考えを持って発言や行動をしていることがわかるはずです。
その内容を確認した上で、お願いしたいことがあれば、その背景も説明して新入社員に納得してもらえるように伝えることが必要です。

新入社員研修成功事例集

3、まとめ

今回は、当社がお客様とのお打ち合わせ等で伺った話を、新入社員を常識知らずと感じる出来事として29個取り上げ、その言動の背景と、対応策をお伝えしました。

新入社員が常識知らずだから、どうしようもないと諦めてしまっては、新入社員が育たず、組織が望む姿になることは難しいです。
今回のコラムで新入社員の言動の背景もフォローの仕方も理解していただけたかと思います。読んで終わりにせず、早速、常識知らずと言われてしまっている新入社員1人に対して具体的な取り組みはじめましょう。そこから新入社員の成長が始まります。

なお、当社の新入社員研修では、新入社員が常識知らずだと言われないために様々な学術的背景に基づいた内容を提供しております。
特に、インサイドアウトを促す設計や、リアルな仕事に近いシミュレーションワークがお客様から評価していただいております。新入社員が常識知らずだと言われないようにするために、ぜひ当社の新入社員研修もご活用ください。

当社の新入社員研修についてより詳しい情報を知りたい方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。

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