「新入社員がやばい!」と感じた時に知っておきたい2つのことと対処法

更新日:

作成日:2023.1.31

価値観のズレ

「今年の新入社員はやばい。指導が難しい…」
「新入社員の行動がやばい…これって普通なの?」

など、本コラムに辿り着いた方は、新入社員に対して「やばい」と感じた経験があるのかもしれません。

当社のお客様からも「新入社員が遅刻しても、平気な顔で何も謝罪がなかった」「ファッションが社会人として適切ではない」などのお話をお聴きすることもあります。このようなことが積み重なると、「新入社員がやばい」という言葉が発せられます。
これは、自分の常識ではあり得ないことが起こるために、なぜその言動になるのかさっぱり理解できない、という状態からきている言葉なのではないでしょうか。

つまり、「新入社員がやばい」というのは、自身と新入社員の感覚がズレていて、自分にとってあり得ない言動を行っている、という実感を表した言葉とも言えるでしょう。

そこで今回は、「新入社員がやばい」と感じる状況について、また、「新入社員がやばい」と感じてしまった際の対処法についてお伝えいたします。状況を適切に把握し、お互いにとってより良い状態を目指していきましょう。

監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。



新入社員研修成功事例集

1)「新入社員がやばい」と感じる2つの状況

上司・トレーナー・先輩社員・人事が、「新入社員がやばい」と感じる状況は大きく2つに分けることができます。

・明らかなルール違反をしている時
・価値観が大きく異なるために理解ができない時

新入社員と自分の中にある普通や常識がズレている状況をみると、相手と自分とが違いすぎるために「やばい」という言葉で表されるのです。2つの状況について具体的に説明します。

明らかなルール違反をしている時

新入社員が明らかなルール違反を行っている場合、「新入社員がやばい」という言葉が使われます。これは、社会や業界、会社のルールに違反しているため、その新入社員のことを知っている社員もお客様も共通して「やばい」という感情を持ちます。

例えば、会議中にスマートフォンでゲームをしている新入社員がいた場合、これは業務時間にも関わらず仕事をしていない状態のため、明らかなルール違反をしています。この場合は、会社のルールに則ってしっかりと注意をすることが必要です。

他にも、下記のような場合は社会人としてのルールにそぐわないと考えます。新入社員の背景を確認した上で、注意を促せるようにしましょう。

・遅刻を繰り返す
・業務中に居眠りする
・個人的な購入品を経費として処理している
・会議中に寝ていたり、仕事とは関係ないことをしている
・SNS等に会社やそのほかの部外秘情報を投稿している
・自分に振られている仕事をやりたくないからという理由で進めない

社員の多くが「やばい」と感じるような新入社員が、明らかなルール違反を行っている場合、「新入社員がやばい」という言葉が使用されます。

参考コラム:使えない新入社員|29の特徴と原因、対処法を詳しく解説!

価値観が大きく異なるために理解ができない時

明らかなルール違反をしているわけではないが、新入社員と自分の価値観が異なり過ぎているために理解ができない、という状況でも「新入社員がやばい」という言葉が使われます。

例えば、「残って働いている人がたくさんいる中で、定時で帰る新入社員」をやばいと感じる場合は、ご自身の価値観や経験から「(周囲が残っているのに)新入社員が定時で帰るのは悪いこと」という考えがあるからです。新入社員が、自分にとってはあり得ない言動をとっているいるため「やばい」という感情を持ちますが、実際は価値観が異なるだけで、法律に違反したり、会社のルール違反しているわけではないでしょう。その他、新入社員と価値観が異なることで起きる例として以下のようなことがあります。

・上司や先輩とタメ口で話す
・電話を全く取らない・取りたがらない

・スマホでメモを取る・メモとして写真を撮る
・親から欠勤の連絡がくる
・会社の飲み会に全く参加しない
・プライベートのことを話さない
・ペットの体調不良を理由に会社を休む

このように、明らかなルール違反をしている訳ではないが、 価値観が異なりすぎて理解ができない、という状況でも「新入社員がやばい」という言葉が使用されているのです。

参考コラム:最近の若手社員の特徴とは?効果的に育成を行う4つのポイントも詳しく解説

2)「新入社員がやばい」と感じた時にすべき2つの対応

「新入社員がやばい」と感じた時の対処法をそれぞれお伝えします。

「ルール」とそれが必要な背景や目的を伝える

前述した「明らかなルール違反としてやばい時」は、まずきちんとルールを伝えることが重要です。伝える際の手順は、次の通りです。

1、なぜそのような言動をしたのか確認する(まずは新入社員の話を聴く)

2、ルール、それが必要な背景や目的を伝える

怒りの感情で一方的に伝えても、新入社員都は腑に落ちないことが多いでしょう。なぜルール違反なのかを伝える際には、そのルールが必要とされる背景や目的もあわせて伝えることがポイントです。最近の新入社員には、「とりあえずやっといて」や「こういうものだから」と、目的が分からないことは受け入れるのが難しいという特徴があるためです。

過去、弊社にご相談があった企業様の事例をお伝えします。このお客様は当時、上場を目指して準備中であり、初めて新卒新入社員を採用した年でもありました。そんな新入社員が、上場に関する社内告知用の投影スライド(社外秘)をスマホ写真に撮り、個人のSNSにアップするというトラブルを発生させてしまったそうです。

明らかなルール違反ですが、当の新入社員本人から話を聴くと、「会社のことを誇りに思って、皆に自慢したくてアップしてしまった」と、全く悪気はなかったとのことでした。ルールを伝え、すぐに情報を削除させたため、大事には至らなかったそうですが、非常にヒヤッとする出来事です。

社会人経験のある立場からすると当たり前のルールであっても、新入社員は知らないために違反してしまうことも多くあります。
事例のような事態を招かぬよう、職場の指導体制や初期教育の見直しも図っていただく必要があるかもしれません。

参考コラム:新入社員の育成計画に必要な5ステップ│【サンプルあり】迷いを無くし、いち早く一人前の社会人へ

新入社員に言動の理由を質問してみる

前述した「価値観の違いから起こるやばい時」は、「なぜそのような言動をしたのか」を質問してみることから始めることをお勧めします。なぜなら、価値観が異なりすぎる場合、言動に至った理由や背景を想像することは難しいためです。

例えば、同期の交流の場を提供しようと、人事主催で業務後に食事をしながらの集まりを企画したものの、参加者が全体の3割程度だった、という状況があったとします。
人事としては、新入社員同士の交流がないと不安だろうからという想いで開催しても、新入社員の中には、「業務後はプライベートの時間だし、自分の好きなように時間を使わせて欲しい」という価値観の人もいれば、「同期間の交流を深めてほしいのは、結局は会社のためなんだから、就業時間中にしてほしい」という価値観を持っている人もいるでしょう。このように価値観が異なると、同じ出来事の見方が全く異なるのです。

この際、「なぜ参加しないのか」の背景を確認し、新入社員の価値観を知った上で、どのように対応するかを検討することが大切です。ただ、人事から一方的に、同期との繋がりは今後仕事をする上で大切だからと言われても、新入社員にとってはその状態をリアルに想像することができず、大切さをいまいち理解しにくいこともあるでしょう。そのため、新入社員の考えや背景を確認する、ということがポイントです。

「なぜ参加しないのか」という質問に対し、例えば「仕事後はプライベートの時間なんだから、自分の好きなように時間を使わせて欲しい」と返答があった場合、その価値観を受け入れた上でどうすればいいかを考える必要があります。

この場合、例えば、営業時間中に「仕事にもポジティブな影響を与えるチームビルディングのワークショップを行う」や「社内の課題を解決する新入社員研修を行い、新入社員同士だけではなく現場とも交流を図る」という内容に変更すると、人事は当初の予定通り新入社員の交流の場を提供できたことになりますし、新入社員はプライベートの時間を割かなくてよくなります。

このように、お互いの意見を受け入れた上でどうすればいいかを考えると、新たなアイディアが浮かんできます。「価値観の違いから起こるやばいと感じた時」は、「なぜそのような言動をしたのか」を質問して背景を理解した上で、お互いの要望を叶えるためにどうすればいいかを考えるようにしましょう。

「明らかなルール違反としてやばい時」か、「価値観の違いから起こるやばい時」かの判断ができると、それぞれに合わせた対処を行うことができます。「新入社員がやばいと感じた時」は、一旦冷静になって分類をするところから始めてみましょう。

参考コラム:新入社員の教育担当に必要なスキルとは?よくある悩みと対処法も紹介

新入社員研修成功事例集

3)まとめ

今回は、「新入社員がやばい」と感じる状況について、そして、「新入社員がやばい」と感じた時の2つの対応策についてお伝えしました。「新入社員がやばい」と感じた際は、一度冷静になって「なぜそう感じたのか?」を考えることから始めてみましょう。

新入社員育成において最も避けるべきことは、「うちの新入社員はやばいから、教えても仕方がない」と諦めてしまうことです。本記事でお伝えしてきたように、「新入社員がやばい」と感じる背景には、新入社員がそもそものルールを理解していなかったり、自分たちと価値観が大きく異なっていることがあげられます。
そういった背景を理解し、ギャップを埋めていくためには、日々の指導やコミュニケーション、研修などの初期教育がとても重要になります。新入社員育成でお悩みのことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。