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[ 研修・セミナーレポート ]
2023年5月11日 巻き込み力研修ー公開講座研修レポート
- 2023/5/18作成ー本内容は、2023年5月11日に開催した「巻き込み力研修」の公開講座研修レポートです。受講内容や、受講前と後の変化などをレポートとしてまとめていますので、ぜひご覧ください。(参加企業数:4社、参加人数:18名、集合型
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報連相の課題は研修で解決できる!原因別アプローチと8つの成功事例紹介
更新日:
「報連相が不足して、現場でミスや認識のズレが生じている」
「部下が十分に報告してこないため、判断が後手に回っている」
――そんな状況を目にすることはありませんか。
「報連相の徹底」を呼びかけても、実際にはなかなか定着せず、成果に結びつかないケースも少なくありません。
実はその背景には、部下側のスキル不足や苦手意識、そして上司側の受け止め方や関係性のあり方といった、複合的な要因が存在しているのです。
だからこそ重要なのは、原因に即した研修の導入です。
社員の成長段階や組織の課題に合わせて設計された研修を取り入れることで、報連相の質が変わり、日常のコミュニケーションが活性化します。
本コラムでは、報連相を改善するための研修内容と実際の導入事例をご紹介します。ぜひ自社の現状に照らし合わせながら読み進め、次の一手を検討してみてください。
組織の成長のためにも、報連相をスムーズにし、社員が安心して力を発揮しながら挑戦できる環境を築いていきましょう。
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
- 1)【原因別】報連相を改善するための研修一覧
- 2)研修で報連相を改善した8つの事例
- 事例1|新入社員が公開講座で報連相の基礎を習得し、早期から現場で活用
- 事例2|情報整理が苦手だった2年目が、ロジカルシンキング研修で提案力と報連相力を大幅に向上
- 事例3|若手社員が意思発信力を磨き、プレゼンと報連相が大きく変化
- 事例4|OJTトレーナー研修とフォロー研修で上司の関わりが変化し、新入社員が前年比5倍の成果
- 事例5|上司との協働体感研修で、新入社員の報連相が主体的に変化
- 事例6|巻き込み力研修で、新入社員が積極的に上司を活用できるように変化
- 事例7|関係性構築力研修で、上司への苦手意識が和らぎ報連相が増加
- 事例8|心理的安全性研修で、上司の態度が変わり1on1と日常の報連相が活性化
- 事例9|部門間の関係性構築ワークで、横の連携が強化され報連相が改善
- 3)まとめ
1)【原因別】報連相を改善するための研修一覧
報連相を改善するための研修で高い効果を促すには、原因に合致した研修内容を実施することが大切です。
まず、報連相がうまくいっていない原因が部下にあるのか上司にあるのかを考えます。より改善が必要な層に研修を実施しましょう。
| 対象者 | 研修内容 |
|---|---|
| 部下 | 伝える力を高める→報連相スキル習得研修 |
| 怖さをなくす→報連相の苦手意識を変える研修 | |
| 上司 | 部下の報連相を受けられるようになる→受け手のスキルを学ぶ研修 |
| 報連相を妨げる態度を見直す→関係性づくり研修 |
各研修について一つずつ説明していきます。
① 部下向け|伝える力を高める→報連相スキル習得研修
報連相を行うスキルが身に付いていない場合は、報連相スキルを習得してもらう研修が効果的です。
特に新入社員は、報連相の必要性の理解や、何をどのように報告すればよいのかを知らない状態のため、そこから伝えることが必要です。
若手社員の場合は、基本は身についていても「より分かりやすく伝える方法」を知らず、結果的に誤解を生んでしまう可能性があります。
そして中堅社員以降になると、自己流の報連相が定着してしまい、結論が分かりづらかったり、必要な情報が抜け落ちてしまったりするケースも少なくありません。
そのため、社員の成長段階に合わせて、以下のような研修が有効です。
●新入社員・若手社員|報連相の基本型の習得
●新入社員~中堅社員|報連相に必要な思考スキルの習得
●若手社員・中堅社員|報連相で自身の意思を発信するスキルの習得
新入社員・若手社員|報連相の基本型の習得
具体的には「『結論・理由』の順番で話す」や「事実と意見を分ける」などの型を学びます。
アーティエンスのビジネススキル研修では、以下のように、報連相の基本的な考え方や型をワークを通して繰り返し練習し、現場で即活用できる力を育成しています。


※ビジネススキル研修テキストの一部抜粋
新入社員~中堅社員|報連相に必要な思考スキルの習得
具体的には「上司や顧客の話をまとめて、その内容をもとに報連相を行う」や「複雑な情報を整理し、報連相を行う」などです。
アーティエンスロジカルシンキング研修では、情報を分解・整理して本質をつかみ、相手に伝わる形に構造化する思考プロセスを学びます。これにより、報連相の精度が高まり、上司や顧客との認識の齟齬を防ぐことができます。
若手社員・中堅社員|報連相で自身の意思を発信するスキルの習得
具体的には、「自分の意思を持った上で、それが本当に良い提案(報連相)かを考えるクリティカルシンキング」や「報連相の際に、上司・顧客・チームとの共創・協働を可能にするファシリテーション」などを学びます。
アーティエンスの意思発信ワークショップでは、自分の考えを整理し、相手を巻き込みながら対話を進める力をトレーニングします。単なる報告にとどまらず、建設的な提案や協働を生み出す報連相を実現できるようになります。
※意思発信ワークショップのテキストの一部抜粋
このように、対象層に合わせた研修を組み合わせることで、報連相の「伝える力」が着実に強化され、現場での実践につながります。
② 部下向け|怖さをなくす→報連相の苦手意識を変える研修
部下が上司への報連相に苦手意識を持っている場合は、その背景を把握したうえで研修を設計することが効果的です。
苦手意識の原因は一人ひとり異なり、背景を無視してスキルだけを教えても行動にはつながりにくいためです。
具体的には、以下のように苦手意識の背景ごとに適した研修があります。
●報連相後のフィードバックへの恐れ|受容力の習得
●上司を巻き込むことへの後ろめたさ・怖さ|巻き込み力の習得
●上司との価値観の違いや関係性の不良|関係性の構築方法の習得
報連相後のフィードバックへの恐れ|受容力の習得
フィードバックを受けることへの恐れが強いと、部下は報連相自体を避けてしまいがちです。特にコロナ禍で学生時代を過ごした世代に多く見られる傾向です。
アーティエンスの上司との協働体感研修では、上司と協働する中でフィードバックを受け止め、次に活かす経験を重ねることで、フィードバックに対する恐怖心を和らげる力を養います。

※アーティエンスの上司との協働体感研修のテキストを一部抜粋
上司を巻き込むことへの後ろめたさ・怖さ|巻き込み力の習得
「上司を煩わせてはいけない」という意識から、必要以上に遠慮してしまう部下もいます。
アーティエンスの巻き込み力研修では、上司を巻き込むことで成果物がより良くなる体験を提供し、巻き込むことの意義を理解させます。そのうえで、効果的な巻き込み方を学ぶことで、行動に移せるようになります。

※アーティエンス巻き込み力研修のテキストを一部抜粋
上司との価値観の違いや関係性の不良|関係性の構築方法の習得
報連相のスキルを持っていても、上司との関係性が悪いと実践の頻度も質も低下します。
アーティエンスの関係性構築研修では、「多様な価値観がある」という前提を理解し、上司との関係性を高めるスキルを学びます。関係性が改善されることで、報連相への心理的ハードルも下がり、実践につながります。
※アーティエンス関係性構築力研修のテキストを一部抜粋
このように、部下が報連相に苦手意識を持つ背景を踏まえて研修を設計することで、単なるスキル習得ではなく、行動につながる実践力を育てることができます。
③ 上司向け|部下の報連相を受けられるようになる→受け手のスキルを学ぶ研修
上司に「報連相を受ける・改善させるスキル」が不足している場合は、部下育成を体系的に学ぶことが効果的です。
部下育成を学ぶことで、「聴くスキル」「教えるスキル」「フィードバックするスキル」を網羅的に習得でき、部下の報連相を適切に受け止め、改善へと導けるようになるためです。
具体的には、以下のようなスキルが求められます。
●傾聴力の習得|部下の報連相をしっかりと聴く
●教えるスキルの習得|報連相のやり方を指導する
●フィードバックの習得|報連相に改善点を返す
傾聴力の習得
上司が部下の報連相を受ける際、まず重要なのは「聴く姿勢」です。コーチング型の傾聴を身につけることで、部下の話を遮らずに聴き、意図を引き出すことができるようになります。
教えるスキルの習得
部下が報連相のやり方に不安を持っている場合、上司が具体的に「どのように報告すべきか」を教える必要があります。ティーチングのスキルを身につけることで、部下に明確な基準や型を伝え、実践へとつなげることができます。
フィードバックの習得
部下の報連相を受け取ったあとに適切なフィードバックを返すことは、改善と成長に欠かせません。具体的な改善点を伝えるだけでなく、良い点を評価しながら伝えることで、部下の報連相に前向きな意欲を持たせることができます。
このように、上司が「聴く・教える・フィードバックする」という3つのスキルを学ぶことで、部下の報連相を正しく受け止め、改善へとつなげられるようになります。
アーティエンスでは、育成担当者・OJTトレーナー研修で、部下育成に欠かせない3つのスキルをシミュレーションワークを行いながら学び、研修後すぐに現場で実践できることを目指して実施しています。
※育成担当者・OJTトレーナー研修のテキストの一部抜粋
部下育成に欠かせない3つのスキルを上司が習得することで、チーム全体の情報共有や意思決定のスピードも高まります。
④ 上司向け|報連相を妨げる態度を見直す→関係性づくり研修
上司が部下から報連相を受ける際に「態度や姿勢」に問題があると、部下は委縮し、必要な報告や相談を避けるようになってしまいます。そのため、報連相を阻害している自身の態度を振り返り、改善することが重要です。
上司自身が態度を見直すことで、部下が安心して報連相できる環境をつくれるようになり、組織のコミュニケーションは大きく変わります。
具体的には、以下のような観点が大切です。
●自身の態度が部下に与える影響を理解する
●部下が安心して話せる心理的安全性をつくる
●報連相を促進する関係性のあり方を学ぶ
自身の態度が部下に与える影響を理解する
上司の一言や表情は、部下に大きな影響を与えます。たとえば、不機嫌な態度や否定的な反応が続くと、部下は「報告しても無駄」「叱られるかもしれない」と感じ、報連相を避けるようになります。
自身の態度が部下の行動を左右することを理解することが第一歩です。
部下が安心して話せる心理的安全性をつくる
報連相を活発にするには、部下が「失敗しても受け止めてもらえる」「自分の考えを尊重してもらえる」と感じられる場をつくる必要があります。
心理的安全性の高い職場づくりを学び、安心して発言できる雰囲気を整えることが求められます。
報連相を促進する関係性のあり方を学ぶ
単にスキルを教えるだけではなく、部下との信頼関係を築くことが重要です。
「関係性をどう構築するか」をテーマに扱い、上司としてどのように接すれば部下が報連相を前向きに行えるのかを具体的に学ぶことで、部下は安心感を持ち、自発的かつ質の高い報連相を行えるようになります。
これらの内容を、アーティエンスでは心理的安全性向上研修で扱っています。

※アーティエンス心理的安全性向上研修のテキストの一部抜粋
このように、上司が自らの態度を振り返り、関係性づくりに取り組むことで、部下の報連相は活性化します。上司が変われば、組織の情報の流れも大きく改善されていきます。
報連相の課題は「部下のスキル不足」「部下の報連相への苦手意識」「上司の受け手としてのスキル不足」「上司の態度や関係性の問題」と多様です。
組織として「どこに原因があるのか」を丁寧に見極め、適切な研修を取り入れることが、報連相改善の最短ルートとなります。
なお、報連相の課題は、個人や上司だけでなく「部門間の情報共有」に起因するケースもあります。特に縦割りの組織で縄張り意識が強い場合、部署同士の情報共有は会議体に限定され、日常的な報連相が停滞してしまいます。
こうした場合は、研修よりも 部門間の関係性を良くするワークショップ や、情報共有を仕組みやルールとして定着させる取り組み が効果的です。部門間の壁を取り払い、組織全体で情報を循環させる環境をつくることが、報連相の活性化につながります。
2)研修で報連相を改善した8つの事例
新入社員から管理職まで、さまざまな対象に向けた 報連相改善の実践事例 をご紹介します。
●事例1|新入社員が公開講座で報連相の基礎を習得し、早期から現場で活用
●事例2|情報整理が苦手だった部下が、ロジカルシンキング研修で提案力と報連相力を大幅に向上
●事例3|若手社員が意思発信力を磨き、プレゼンと報連相が大きく変化
●事例4|OJTトレーナー研修とフォロー研修で、上司の関わりが変わり新入社員が前年比5倍の成果
●事例5|上司との協働体感研修で、新入社員の報連相が主体的に変化
●事例6|巻き込み力研修で、新入社員が積極的に上司を活用できるように変化
●事例7|関係性構築力研修で、上司への苦手意識が和らぎ報連相が増加
「どんな課題に対して、どのような研修を行い、どのような効果が生まれたのか」を具体的に知ることで、自社での研修企画や改善施策に役立てていただけるはずです。
事例1|新入社員が公開講座で報連相の基礎を習得し、早期から現場で活用
| 課題 | 新入社員が報連相を行うスキルを実践的に身につけられていない |
|---|---|
| 実施内容 | 新入社員を対象に、公開講座形式のビジネススキル研修(4月)を実施 |
| 効果 | 報連相の考え方と基礎スキルを実践的に習得でき、現場での活用に結びついた |
本事例は、複数企業が参加する集合研修として新入社員研修を実施した、出版・広告業(従業員数約150名)の事例です。
背景には「従来の座学中心の研修では学びが定着しにくい。実践形式で基本スキルを身につけさせたい」というニーズがありました。
そこで導入したビジネススキル研修では、報連相の基礎から実践までを体系的に習得。
結果として新入社員からは「研修を通じて報連相の重要性を繰り返し学べた。現場でも、上司や先輩に声をかける際に“今お時間よろしいですか?”と切り出すようになった」といった具体的な変化が見られました。
事例2|情報整理が苦手だった2年目が、ロジカルシンキング研修で提案力と報連相力を大幅に向上
| 課題 | 言われたことはできるが、自ら考えた+αの提案や主体的な報連相ができない |
|---|---|
| 実施内容 | 2年目社員を対象にロジカルシンキング研修を実施(10月) |
| 効果 | 顧客への提案が増加し、上司への報連相も活発化 |
本事例は、IT保守運用サービスを提供する従業員1,500名規模の企業で行われました。
課題となっていたのは、「社員が言われた業務は一生懸命こなすものの、自ら考えて提案する力や、整理された報連相を行う力に欠けている」という点です。
原因としては、情報を整理し、そこから示唆を導き出す力が不足していることが挙げられました。そこで、2年目社員を対象にロジカルシンキング研修を実施しました。
研修では、情報を分解・整理し、論理的に組み立てるプロセスを習得。
結果として、社内レポートにおいて顧客への提案内容が増えただけでなく、上司への報連相も格段に増加しました。
社員自身が「考えを整理し、相手に伝える型」を身につけたことで、主体的な行動が生まれたのです。
事例3|若手社員が意思発信力を磨き、プレゼンと報連相が大きく変化
| 課題 | 若手社員が自分の意思を発信できず、報連相やプレゼンが物足りない |
|---|---|
| 実施内容 | 半年間の若手社員育成プログラムの一環として「意思発信力研修」を実施(2月) |
| 効果 | 経営陣から「今年の若手は想いを伝えている」と高評価、報連相や現場との協働も活性化 |
本事例は、従業員300名規模の乳幼児用品メーカーでの取り組みです。
経営陣からは「若手社員は英語などのスキル学習には真面目だが、自分の意思を発信せず、研修最後のプレゼンも毎回物足りない」という課題感があり、当社へ相談がありました。
そこで、半年間の若手社員育成プログラムの一環として意思発信力研修を実施。研修を通じて、若手社員は「自分の想いをどう表現するか」「上司や現場をどう巻き込むか」を実践的に学びました。
その成果は、最終プレゼンテーションで大きく表れました。経営者からは「今年の若手社員は、自身の想いをしっかり伝え、上司や現場ともうまく連携している」と高評価を得られたのです。
さらに、若手社員自身も「自分たちの考えを伝えることで周囲に良い影響が生まれる」という成功体験を得られ、日常の報連相にも前向きな変化が見られるようになりました。
事例4|OJTトレーナー研修とフォロー研修で上司の関わりが変化し、新入社員が前年比5倍の成果
| 課題 | 上司や先輩社員が新入社員を放置し、報連相や関係性が築けていない |
|---|---|
| 実施内容 | 管理職・OJTトレーナーを対象に育成研修を実施(5月)、 さらに新入社員との合同フォロー研修を実施(7月) |
| 効果 | 配属4カ月後に新入社員が前年比5倍の受注を達成 上司・トレーナーのフォローが増え、報連相も活性化 |
本事例は、従業員100名規模の不動産会社での取り組みです。
現場では「上司や先輩社員が新入社員を放置してしまう」という状況があり、人事担当者から相談をいただきました。原因は、育成の仕組みやOJTの方法が現場に浸透していないことでした。
そこで、まず管理職やトレーナーに向けてOJTトレーナー研修を実施。部下育成の基本スキルを習得した後、7月には新入社員と合同でフォローアップ研修を行い、お互いの関わり方や日常のコミュニケーションを振り返りました。
結果として、日ごろから上司・トレーナーが新入社員をフォローする場面が増え、報連相のやり取りも活発化。配属から4カ月後には、新入社員の受注が前年比5倍に増えるという大きな成果が生まれました。
さらに、人事責任者や経営陣も「新入社員の成長には日常のフォローとコミュニケーションが不可欠である」と理解を深め、組織内に「育成文化をつくる」動きが定着。現在では、現場での学びを継続するために毎月の勉強会も開催されるようになっています。
事例5|上司との協働体感研修で、新入社員の報連相が主体的に変化
| 課題 | 新入社員が上司への報連相に苦手意識を持ち、関わりが消極的 |
|---|---|
| 実施内容 | 配属前研修として「上司との協働体感研修」を実施(4月) |
| 効果 | 配属後、新入社員が上司や先輩社員に積極的に働きかけるようになった |
本事例は、従業員2,500名規模の地方銀行での取り組みです。
企画時には「ビジネススキルを学ぶだけでなく、上司やチームとの関わり方を強化し、早期に成果を出してほしい」という人事部の強い想いがありました。
そこで、配属前に「上司との協働体感研修」を実施。研修を通じて新入社員は、上司との関わりの重要性や、協働を通じて成果を生み出す体験を積みました。
結果として、配属後は例年に比べて新入社員が上司や先輩社員に積極的に働きかけるようになった、という現場の声が寄せられています。
単なる「苦手意識の払拭」にとどまらず、主体的にコミュニケーションを取りにいく姿勢が育まれたことで、早期の成長と成果につながりました。
事例6|巻き込み力研修で、新入社員が積極的に上司を活用できるように変化
| 課題 | 新入社員が配属後に意欲を失い、離職率も高い。他社と比べても受け身の姿勢が目立つ |
|---|---|
| 実施内容 | 配属前に「巻き込み力研修」を実施(6月) |
| 効果 | 管理職から「今年の新入社員は積極性がある」との声が多数あがった |
本事例は、従業員5,000名規模のIT保守運用企業での取り組みです。
人事担当者は「配属前は期待に胸を膨らませている新入社員が、フォロー研修の時期には表情が暗くなっている」「他のグループ会社と比べても離職率が高い」という課題を抱えていました。
そこで、「配属後に直面する課題を、自ら報連相を通じて上司を巻き込みながら乗り越え、仕事を楽しんでいける人材になってほしい」という想いから、配属前に巻き込み力研修を導入。上司を協働パートナーとして活用するための意義や方法を学びました。
結果として、配属後の管理職研修の場では、多くの管理職から「今年の新入社員は積極性がある」という声があがり、上司を頼りながら主体的に動ける姿勢が育っていることが確認されました。
関連記事:【事例あり】受け身姿勢を打破し、共創意識を育てる巻き込み力研修
事例7|関係性構築力研修で、上司への苦手意識が和らぎ報連相が増加
| 課題 | 新入社員が上司に強い苦手意識を持ち、報連相がほとんどできていなかった |
|---|---|
| 実施内容 | 公開講座として「関係性構築力研修」を実施(6月、1クラス平均5〜8社が参加) |
| 効果 | 受講後、上司の話を聴く態度が変化し、報連相の頻度も増加 |
本事例は、当社が提供する公開講座「関係性構築力研修」を活用した企業の声です。対象は新入社員や若手社員で、フォロー研修として実施されました。
参加したある新入社員は、配属当初から上司に対して強い苦手意識を持ち、報連相がほとんどできていない状態でした。
しかし研修を通じて「人には多様な価値観があることを前提に考える」視点を学んだことで、「無理だ」と拒絶するのではなく「少しでも理解しよう」と意識を変えることができました。
その結果、研修後には上司の話を聴く姿勢が改善され、報連相の回数も少しずつ増えてきたとのことです。
初期の関係性構築に必要な意識とスキルを学ぶことが、報連相を前向きに行える基盤づくりにつながった好例といえます。
事例8|心理的安全性研修で、上司の態度が変わり1on1と日常の報連相が活性化
| 課題 | M&A後に部門間の壁や縄張り意識が強まり、関係性が悪化。上司の態度も硬直し、部下からの報連相が減少 |
|---|---|
| 実施内容 | マネージャーを対象に、2年間のリーダーシップ開発プログラムの一環として「心理的安全性研修」を実施(9月) |
| 効果 | 「1on1の質が変わった」「スラックが活性化した」などの変化が現れ、日常のコミュニケーションが改善 |
本事例は、従業員150名規模のWebサービス企業での取り組みです。
M&A後、部門間の壁が強まり、縄張り争いや情報共有不足によるミス・クレームが増加し、組織全体がギスギスした状態にありました。当然、上司と部下の関係性も悪化し、報連相を含むコミュニケーションが停滞していました。
経営陣は「組織を強くしていくキーパーソンはマネージャー」と判断し、2年間にわたるリーダーシップ開発を実施。その中のセッションの一つとして「心理的安全性研修」を取り入れました。
研修の場では、「自分の価値観に固執し、指示命令が多く、部下の話を聴いていなかった」「対話の概念がなく、会議も日常も議論や詰める場になっていた」といった振り返りが多く出されました。
終了後の管理職レポートでは、「1on1や会議の場で心理的安全を意識するようになった」「チームのスラックで積極的に声をかけるようにした」といった変化が見られました。
人事部からも「1on1の質が変わった」という評価があり、報連相を含めた日常的なコミュニケーション改善につながっています。
事例9|部門間の関係性構築ワークで、横の連携が強化され報連相が改善
| 課題 | 部門間や上司への報連相が不足し、ミスやブランド毀損につながっていた |
|---|---|
| 実施内容 | 報連相を起点に組織を見直す「部門間の関係性構築ワークショップ」を実施(3月) |
| 効果 | 部門間の横の連携が強化され、ミスが減少。企画の質も向上 |
本事例は、従業員150名規模のプロスポーツ運営企業での取り組みです。
同社では、上司への報連相や部門間の連携不足によりミスが頻発しており、ブランドや対外的な信用に関わる事態も発生していました。人事部からも「何とか改善したい」という強い相談が寄せられました。
そこで、社内での報連相意識を高め、組織全体をより良くしていくことを目的に、部門間の関係性構築ワークショップを実施しました。
研修の中では、実際に自部門で起こっていた「報連相不足によるトラブル」を題材にしながら、他部門との連携の重要性を学びました。

上記以外にも、さまざまな事例を通して「報連相ミスがどのような損害を生むのか」を学びました。そのうえで、自組織において「良い報連相とは何か」を探求し、さらに報連相によって組織がどう良くなるのかを対話しました。
フォローセッションでは、参加者から「公式戦前の忙しい時期だったが、だからこそやってよかった」「他部門と連携を強化するとアウトプットの質が大きく変わることを実感した。報連相は侮れない」という声があがりました。
結果として、部門間の横のつながりが強化され、日常業務におけるミスが減少。企画の質そのものも高まり、組織全体にポジティブな変化が生まれました。
さらに、他部署や上司部下の関係も改善し、報連相を起点に社内の状況が好転。今まで頻発していた大きなミスはなくなり、全社員のパフォーマンスが向上しました。
研修を実施した年には、最下位から優勝争いにまで進む成果につながったとのことでした。
報連相は一人のスキルだけではなく、組織全体の文化として根づくことが重要です。
本章の事例を参考に、自社にとって最適な切り口から研修を導入し、報連相を組織成果へとつなげていきましょう。
3)まとめ
報連相は、社員一人ひとりのスキルにとどまらず、上司・部下・部門全体の関係性や組織文化そのものに深く関わるテーマです。
原因を見極めずに一律の研修を導入しても効果は限定的ですが、部下のスキル不足や苦手意識、上司の受け手スキルや態度など、課題に応じて適切な研修を選択すれば、確実に改善と成果につながります。
報連相を見直すことは、スキル習得や苦手意識の払拭にとどまらず、関係性や連携の質を底上げする取り組みです。
その先には、社員の成長スピードが増し、組織全体がより大きな成果を生み出す未来が待っています。
自社でも「報連相を改善したい」「社員のコミュニケーションを変えたい」と感じられたら、ぜひ一度ご相談ください。
アーティエンスでは、企業の課題に合わせて最適な研修プログラムを設計し、現場での行動変容につなげるお手伝いをしています。
組織の成長のために、報連相をスムーズにし、社員が安心して力を発揮しながら挑戦できる環境を築いていきましょう。









