- [ コラム ]
最近の若手社員の特徴とは?効果的に育成を行う4つのポイントも詳しく解説
- 2023/9/22更新ー2023/1/19作成ー「最近の若手社員は、どのような接し方がよいのか分からない…」「若手社員とは考え方のギャップが大きく、関係構築が難しい…」若手社員育成に取り組む人事や現場管理職、育成トレーナーの方々から上記
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2023/8/1更新ー 2022/12/13作成ー
「2年目社員にも、研修は必要なのだろうか?」
「2年目社員研修って、何したらいいか分からないんだよね」
このような悩みがあり、本コラムにたどりついたのではないでしょうか。
2年目社員は、新入社員と一番近い存在として、また、1年間の業務経験を基に飛躍できる年次としても非常に重要な存在です。
もしも思ったように活躍していないのであれば、新入社員にとっては悪影響となり、2年目自身にとってもモチベーションの低下から離職を選択してしまう可能性があります。2年目社員の離職は、これまでの育成投資を回収できないため、組織にとっても大きなダメージです。
本コラムでは、2年目社員研修の目的と内容例、押さえなければいけないポイントをお伝えします。最後までお読みいただくと、自組織の2年目社員研修では何をすればいいかが分かるでしょう。
目次
2年目社員研修では、具体的にどのような内容を取り扱うべきなのか、目的(効果)別に具体的な研修内容例と「押さえなければいけないポイント」を下記表にまとめました。
目的(効果) | 2年目社員研修の内容例 | 押さえなければいけない ポイント |
---|---|---|
エンゲージメント向上 | ・キャリア開発 ・フォロー研修(振り返り) | 成長実感を持つことで、自組織での成長予感を見出す |
パフォーマンス向上 | ・ロジカルシンキング研修 ・ドキュメンテーション研修 ・問題解決力研修 ・コミュニケーション研修 ・専門知識研修 | 仕事ですぐに活用できる、もしくは悩み・課題を解決する知識・スキルを得られる |
新入社員のロールモデル | ・リーダーシップ研修 ・メンター研修 ・OJTトレーナー研修 | 新入社員にとっての憧れ・手本になる |
次の項目から、一つずつ説明していきます。
エンゲージメント向上は、社員の離職防止につながります。若手社員の離職理由でよくあるものは、「仕事の内容への悩みや不満」です。
さらに、この理由を掘り下げると、一番相関性が高い項目が「やりたい仕事ができない」というものです。これは、自身の今の仕事に価値を見出せていないということになります。価値が見出せていなければ、今いる会社におけるキャリアや将来が見出せなくなるでしょう。
ただ、組織としても「やりたい仕事」をすぐに2年目社員に渡せないケースの方が圧倒的に多いでしょうし、本人自身もやりたいことを分かっていないこともあります。その場合は、本人が今取り組んでいる仕事の意味付けを行い、その中で成長をしている実感を持つことが重要になります。成長実感を持つことで、今の仕事へのやりがいも生まれますし、成長予感(今の会社でこれからの成長できそうという期待やワクワクがある)を持つことも可能になります。
参考:最初に転職を考えた際に悩んだ内容 (「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」労働政策研究・研修機構)
【研修時のアプローチ方法】
「成長実感と成長予感」の両者を扱う研修にしましょう。2つを扱うことが重要です。理由は、この2つは相関関係が取られているため、同時に扱うとエンゲージメント向上に繋がりやすいためです。成長実感を持ち、自組織で成長できることを言語化していく必要があります。
成長実感を持つためには、自身の日々の仕事を振り返り、どのように成長したかを振り返ります。そうすると、成功体験が言語化され、自身の強みや可能性を見出すことができます。自身の強みを高めて、その強みや可能性にアプローチすると、どのような未来が訪れるかを考えます。そうすると、成長予感が生まれていくのです。
参考:成長実感と成長予感の関係
下記は、新入社員のデータですが、「成長実感と成長予感」の相関関係を示しています。赤丸は、新入社員が半年以内に離職した企業です。
【エンゲージメント向上のための研修でやってはいけないこと】
エンゲージメント向上のための2年目社員研修においてやってはいけないことは、3つあります。
・「WILL・CAN・MUST」の枠組みのみで考える
・「あるべき姿」を押し付ける』
・「衛生要因」を満たさないまま、「動機付け要因」ばかりにアプローチする
それぞれ説明します。
「WILL・CAN・MUST」の枠組みは、もともと欧米のキャリア開発で生まれたものです。ジョブ型においては、とてもパワフルなフレームワークになりますが、メンバーシップ型では機能しにく側面があります。
研修内で、『「WILL・CAN・MUST」の重なる部分が考えられた!頑張ろう」と思っても、頑張る仕事がないということが起きえます。そのため『「WILL・CAN・MUST」の枠組みのみで考える』は、避けたほうがいいでしょう。
「あるべき姿」を押し付けてはいけない理由は、2つあります。
一つは、アウトサイドインになり、当事者意識や主体性の発揮が損なわれるためです。
二つめは、VUCAと言われる時代、多様性を大切にする時代において、組織側の都合(カンパニーセンタード)のあるべき姿を押し付けることはできなくなっています。
研修内で、会社としては「2年目には能力要件として、AとBを求めて、○○のような人材になってほしい」と思っていることを伝え、それに沿ったキャリア開発をするなどです。このような研修では、2年目社員のエンゲージメントは向上しません。そのため「あるべき姿」を押し付けることは、避けたほうがいいでしょう。
「動機付け要因」にアプローチし、無理やりモチベーションを上げてはいけない理由は、2つあります。
一つは、やりがいや意義など仕事への満足度が高まる動機付け要因にアプローチしても、仕事への不満を解消する衛生要因への対応ができていないと、意味がないためです。
二つめは、その場で高揚感が上がっても、現場は何も変わっていないため、認知変容も行動変容も続かないためです。
研修内でとても盛り上がっているように見えても、現場に戻ると「衛生要因」によって不満が高まってしまいます。そして、結局変わることができず、研修は意味がないという認知を持ってしまいます。
パフォーマンスの向上の研修を行うと、2年目社員の自律自走を促し、成果の向上に繋げることができるでしょう。
現在、パフォーマンスが高い2年目社員に対しては成長を加速することにもなりますし、パフォーマンスが低い2年目社員に対してはフォローに繋がります。
具体的には「2年目社員が仕事ですぐに活用できる、もしくは悩み・課題を解決する知識・スキルを得られる内容にすること」が必要です。この時、2つの研修に分かれます。
一つ目は、専門知識の研修です。
例えば、IT企業であれば、2年目社員に必要なITスキルを身に付けさせるのもよいでしょう。専門知識の研修は、「2年目社員が仕事ですぐに活用できる、もしくは悩み・課題を解決する知識・スキルを得られる内容にすること」を、簡単に満たせるため、とても有効です。
二つ目は、カッツ理論で言われる
コンセプチュアルスキル(ロジカルシンキング・問題解決など)
ヒューマンスキル(コミュニケーション力・プレゼンテーション力など)
です。
※ 専門知識は、カッツ理論では「テクニカルスキル」に分類されます。
コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキルにおいて「2年目社員が仕事ですぐに活用できる、もしくは悩み・課題を解決する知識・スキルを得られる内容にする」ためには、いかに2年目社員自身の現場での活用イメージができるかという点です。ケーススタディやシミュレーションワークを通して、学ぶことをお勧めします。
新入社員のロールモデルになるための2年目社員研修を行うと、新入社員に対して、素晴らしい影響力を与えることに繋がります。
組織としては、新入社員にとってのロールモデルを提示できるため、新入社員が成長イメージを持ちやすくなります。2年目社員にとっては、存在承認が高まり、仕事へのやりがいの度合いや成果が高まりやすくなります。そして会社からの評価も高まります。
具体的な方法としては、「新入社員にとっての憧れ・手本になる」ための意識やスキルが高まる内容にすることが必要です。
例えば意識を高めたい場合には、2年目社員が新入社員時代に、先輩社員とのコミュニケーションを通して「憧れたこと・感謝していること」や「残念に思ったこと・嫌だったこと」を振り返り、その後に自分たちが新入社員に対してどのような働きかけをしていきたいのかを、考えていくといった流れが考えられます。
この時の注意点は、「エンゲージメント向上のために行う2年目社員研修において、やってはいけないこと」でお伝えした「あるべき姿を押し付ける」はNGということです。あくまで、2年目社員のインサイドアウトを促していく必要があります。「ロールモデルとして、ちゃんとしなさい!」というメッセージでは、インサイドアウトは起きません。
人の成長には、「技術的成長」と「精神的成長」の2つがあるとされています。技術的成長は、スキルや技術が身に付くことを指します。一方で、精神的成長は、物事への意識・捉え方が変わる、意欲や意識の向上などの内面的な変化を指し、技術的成長と比較すると感じにくいと言われています。
精神的成長が得られると、仕事に対するモチベーションが向上し、自身のキャリアをより主体的に捉えられるようになります。そして、そのような個人の成長・変化は、チームや組織にもポジティブな影響をもたらします。そのため、精神的成長を促すことは、人材育成において欠かせません。2年目社員研修がパフォーマンス向上の目的だけだと、どうしても技術的成長が強くなります。エンゲージメント向上やロールモデルになるための研修と合わせて、実施していくといいでしょう。
「エンゲージメント」、「パフォーマンス」、「ロールモデル」の観点から、研修事例をお伝えします。
・離職率を下げて、エンゲージメントを高める : 美容器具メーカー(300名程度)
・顧客への+αの提案を通して、課題解決力を高める : 中堅IT企業 (1,500名程度)
・新入社員への影響力を知り、自律への意識を高める : マーケティングコンサルティング(100名程度)
項目 | 詳細 |
---|---|
業種 | 美容器具メーカー |
企業規模 | 300名程度 |
実施時期・方法 | 7月・1月2日間。公開講座 |
目的 | 離職率の低下と、エンゲージメント向上 |
2年目社員研修 | 内省(振り返り)、キャリア開発(会社との統合) |
得られた効果 | 離職率の低下(ライフイベント以外は、ほぼ離職が無くなる)。自社商品への誇りや、自組織への感謝が研修内で出てくる |
3年目~5年目で若手社員の80%が退職してしまうという状態から、内省・キャリア開発に影響を与える公開講座に参加することで、退職率5%未満まで改善していきました。
※ 本クライアントは、3年目社員研修でも公開講座を利用しました。
【ストーリー】
優秀層を採用できるが、3年目~5年目で80%以上退職してしまうという課題意識があり、当社にご相談がありました。会社としては、ヒット商品があるため、“それなりの活動”でもやっていける、ぬるま湯文化でした。
「情熱を持って仕事をしていない上司・先輩社員に対して、若手社員はがっかりし、若手社員が”この組織では成長できない”と組織に見切りをつけて、退職していく」というお話でした。
組織の未来への危機感と、若年層のキャリア形成への想いから、2年目社員研修・3年目社員研修を企画していきました。企画を進める中で「成長を実感する機会の少なさ」と「孤独感」が改善すべきポイントではないか、という仮説が生まれました。
対策として、研修の公開講座に参加することとなりました。他社の同期と関わることで、成長実感と成長意欲を高めていくことができるからです。
受講時は「自組織で成長していない」と思っていた二年目社員の多くが、「しっかり内省すると成長していること」に気付いていました。またネガティブな感情を持っていた上司や先輩社員に対してインタビュー(事前ワーク)を行うことで「自分たちを見てくれている」という理解や、「実は先輩社員も想いを持って仕事をしていること」を知り、繋がりも高まっていきました。
数年後の研修現場では、若手社員から「自組織が大好きだ。商品に誇りを持っている」という発言も出てきて、見学に来られていた人事の方の表情はとても明るかったです。
「言われたことは一生懸命行うが、+αができない」という課題がありました。2年目社員研修を実施してから「顧客への提案が増えた」という大きな変化がありました。
項目 | 詳細 |
---|---|
業種 | 保守運用サービス |
企業規模 | 1,500名程度 |
実施時期・方法 | 10月。派遣型研修 |
目的 | 顧客への提案力向上 |
2年目社員研修 | ロジカルシンキング、ドキュメンテーション |
得られた効果 | 社内レポートにおいて、顧客への提案内容が増えた |
【ストーリー】
「言われたことは一生懸命行うが、+αができない。もう一皮むけてほしい」というご相談から始まります。毎年、20名前後の新入社員を採用するが、職種がエンジニアのため、大人しい社員が多いとのことでした。さらにお話を聴くと、「真面目だし、大きな問題も起こさない。ただ本当に言われたことしかしない。仕事が楽しそうには見えない」ということであったため、下記のポイントを大切にしていきました。
・真面目さ、一生懸命さは、長所として扱う
・顧客や上司と一緒に仕事をする楽しさを知る
・顧客や上司と一緒に仕事をするためのスキルを学ぶ
上記の内容をもとに、実践的な研修「ロジカルシンキング・ドキュメンテーション」を行い、2日間を通して学んでいきます。
上司役・顧客役を行う講師とのシミュレーションワークを通して、コミュニケーションの大変さを経験しながらも、共創・協働することで、仕事がよりよくなることを体験していきました。シミュレーションワークの振り返りの際には、「もっと現場でも、上司に提案したり、クライアントからヒアリングをしたい」などというコメントが出てきました。
アフターストーリーとして、社内レポートの一部を変更し「クライアントへの提案」という項目を創り、研修で学んだことを反映される導線を創ったそうです。顧客への提案が増えたことで、仕事に対して+αの意識が高まったそうです。顧客満足・売上共に上がっていったというお話でした。
項目 | 詳細 |
---|---|
業種 | マーケティングコンサルティング |
企業規模 | 100名程度 |
実施時期・方法 | 7月・1月2日間。公開講座 |
目的 | 自律促進と、新入社員へのロールモデルになること |
2年目社員研修 | リーダーシップ開発 |
得られた効果 | 自身の目標達成と、そのことによる成長実感 |
プロパー一期生ということもあり、育成環境が整っておらず、会社が予定していたよりも成長スピードが遅く成果も出ていない状態でした。公開講座に参加したことで、他社の新入社員の活躍ぶりに影響を受け、仕事へのコミットが高まりました。そのことで、自身の目標達成をしていきます。大幅に達成する2年目社員もいたとのことです、
【ストーリー】
会社が予定していたよりも成長スピードが遅く、成果も出ていない状態でした。
「入社当初は想いを持っていたんですが、だんだん変に慣れて、一生懸命さが無くなってきています。周りが面倒を見れていないのもよくないですが、彼らも成長している実感がないのか、不貞腐れたり諦めている2年目社員も見受けられます。後輩の新入社員に対して、悪影響も懸念していて」というお話を人事の方から聞き、自分たちの状況や周りに与える影響を理解するために、リーダーシップ開発を行う公開講座を受講しました。
研修現場では、公開講座であったため、他社の2年目社員の活躍ぶりや成長ぶりを目のあたりにし、自分たちの成長度合いの低さ、そして成果に対してのコミットが弱いことを知ります。7月に実施した一日目の研修中には、「自分たちは、仕事をしていない。成長もできていない」と落ち込む2年目社員も見られました。この時に、他社の2年目社員から、「気付いてよかったじゃん。今から頑張ればいい」「ベンチャー企業でよくやっていると思うし、尊敬するよ。○○の部分は成長しているよ」などのフィードバックがありました。
アフターストーリーとして、2年目社員の多くが目標を達成したとのことです。営業の2年目社員の一人は、売上目標の300%以上も達成したそうです。売上目標の300%以上も達成した2年目社員は、1月に実施した二日目の2年目社員研修で、「7月の2年目社員研修が、自分のターニングポイントだった」と話しており、人事の方も、あの研修で意識も行動も変わったという話でした。
本コラムでは、2年目社員研修に関して、お伝えしました。はじめに、2年目社員研修では、具体的にどのような内容を取り扱うべきなのか、目的(効果)別に具体的な研修内容例と「押さえなければいけないポイント」を説明しました。
目的(効果) | 2年目社員研修の内容例 | 押さえなければいけない ポイント |
---|---|---|
エンゲージメント向上のため | ・キャリア開発 ・フォロー研修(振り返り) | 成長実感を持つことで、自組織での成長予感を見出す |
パフォーマンス向上のため | ・ロジカルシンキング研修 ・ドキュメンテーション研修 ・問題解決力研修 ・コミュニケーション研修 ・専門知識研修 | 仕事ですぐに活用できる、もしくは悩み・課題を解決する知識・スキルを得られる |
新入社員のロールモデルになるため | ・リーダーシップ研修 ・メンター研修 ・OJTトレーナー研修 | 新入社員にとっての憧れ・手本になる |
その後に、各目的に沿った事例をお伝えしました。2年目社員研修を行うことで、2年目社員の悩み・課題に対してアプローチが可能になり、それが組織課題の解決にも繋がっていきます。
2年目社員研修は、他の階層と比較して、どうしても優先度が下がりがちです。2年目社員研修を丁寧に行うことで、新入社員研修で行った学習習慣を継続することも、また3年目社員研修や他の階層の研修を受講するための準備としても、良い影響を与えます。
本コラムを通して、自組織に必要な2年目社員研修が見つかったのであれば、嬉しいです。組織として、よりよい育成環境を創り、成長機会を増やしていくためにも、2年目社員研修を大切に扱っていただければと思います。
2年目社員研修の企画や実施でご相談があれば、ぜひ当社アーティエンスまでご連絡ください。