会議の質を劇的改善!会議の生産性を上げる、今すぐできる具体的な対策案

更新日:

作成日:2024.5.28

「会議を良くしたいけれど、具体的な改善方法がわからない」

という悩みを抱えていませんか?

多くの方が「会議を改善したい」と感じていても、具体的な対策を見つけるのは難しいものです。そのため、まずは会議のどの部分に課題があるのかを明確にし、対策を打つすることが大切です。

本コラムでは、よくある会議の課題に対する具体的な改善方法を詳しく紹介しています。

このコラムを読むことで、自組織の会議でよく見られる課題に対する効果的な解決策が見つかり、実践にうつすことができるでしょう。

会議の質を高め、生産性の向上を目指しましょう。

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執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

目次

1)会議の課題ごとの改善方法

会議に関するお悩みでよく伺う課題ごとに改善方法を紹介します。

課題 改善方法
会議準備 1 会議の目的や議題が不明確である 会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有する
2 同じような会議がある 会議全体を整理する
3 必要のない会議が、惰性的に行われている 定期的に会議の必要性を見直す
4 会議がただの情報共有になっている チャットやメールなどで共有する
5 会議の概要や事前情報が共有されていない 会議のインビテーションを送る
6 会議の参加者に過不足がある 適切な人数(7名以下程度)で実施する
7 レイアウトが適切でない 会議の内容にあったレイアウトを選ぶ
会議中 8 会議で意見が出ない ・会議以外の場所で相談をして関係性を築いていく
・ポジティブフィードバックを行う
・質問形式で意見を伝える
・言い回しを工夫する
・会議の場にルールを入れる
・ファシリテーターを入れる
・意見がその後どのように扱われたのかを伝える
・ファシリテーター(司会)から意見がまとまってなくてもいいと伝える
・言葉にする時間を設ける
・フレームワーク(論点)を渡し、その中で意見を言ってもらう
・適宜理解レベルを把握する時間を設ける
・仕事に向き合う姿勢を改善する
9 会議が進んでいかない ファシリテーター・司会を含めた会議での役割を明確にする
10 会議の最中に内職をしている 会議での役割を明確にし、その役割を認識してもらう
11 会議が空中戦になる 会議の前提を確認する
12 会議内で対立関係が乗り越えられない 対立関係を言語化・可視化して本質的解決策を探す
13 特定の人で意思決定がされる 意思決定のルールを決める
14 会議で意思決定できない ・会議の時間に合った、適切な量の議題になっているのかを確認する
・意思決定のプロセスやルールを明確に定める
15 会議の時間が延びる 会議の終わりの時間を定めて、しっかりと守る

会議後

16 会議で決まったことが覆される 議論を徹底的に行い、抜け漏れやダブりなく、納得性の高い結論を導き出す
17 議事録がわかりづらい・抜け漏れがある ・議事録のテンプレート作成する
・ロジカルシンキングを用いて速記する
・次の会議につながる書き方を意識する
18 会議の議事録がなかなか共有されない 議事録の共有タイミングと方法を決めておく
19 会議での決定事項が実行されない ・納期を定めてゴールまでのスケジュールを明確にする
・プロジェクトマネージャーを置き、都度進捗管理を行う
・会議の段階からコミット度合いを高める

1-1. 【会議準備】会議の目的や議題が不明確である

会議の目的や議題が不明確だと、会議の質が低下します。話し合いの焦点が目的からブレたり、議題から逸れたりしやすくなるためです。

参加者が会議の目的や議題に沿った情報や意見を持ち寄ることが難しく、適切な意見を出し合えなかったり、関係のない話題で議論が膨らんだりしてしまい、会議が効率的に進まず、成果を上げることが難しくなります。

「会議の目的や議題が不明確である」場合の対策

会議の目的や議題が不明確である場合は、会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有するようにしましょう。

会議の目的・目標・アジェンダを定めて、「なぜ会議を行なうのか」「この会議で何を達成すればいいのか」という会議を行なう意味が明確になることが大切です。

例えば、アーティエンスが経営会議を行う際に設定した目的・目標・アジェンダは次のような内容です。

目的
新規事業開発を通して、〇〇グループがよりチャレンジする風土を創る

目標
・新規事業開発を通して、成し遂げたいこと(共有ビジョン)のすり合わせ
・個包装機PJにおけるマーケティング戦略の仮案策定
・各部署の役割分担の決定
・スケジュールの仮決定

アジェンダ
・チェックイン
・前回の振り返り
・各チームからの情報共有とSTPの決定
・Phase1のゴール設定(仮)
・各部門の役割分担
・スケジュールの仮決定
・チェックアウト

このような情報を会議の参加者に事前に共有し、また、会議の最初にもファシリテーターや司会が読み上げて確認し、共通認識を持った状態で会議に入れるようにします。

すると、会議の参加者が全員同じ方向を向いて歩めるため、会議が進みやすく、会議の質も高まります。

1-2. 【会議準備】同じような会議がある

同じような会議が頻繁に行われることも、改善したい課題の一つです。情報や意見の重複が生じ、時間が無駄になるだけでなく、意思決定のプロセスが遅くなることもあります。

また、同じような会議が続くことで、参加者のモチベーションや関心が低下し、会議への参加意欲が減退する可能性もあります。

「同じような会議がある」場合の対策

同じような会議が頻繁に行われる場合の対策として、会議全体を整理することが必要です。
同じようなテーマや内容を扱う会議を統合し、効率的な会議スケジュールを作成することで、参加者の負担を減らし、時間やリソースの無駄を削減できます。

会議を統合した際は、統合した後の会議の目的・目標をあらためて検討しましょう。ただAとBという2つの会議を一緒にしただけでは効率化にはなりません。

会議のアジェンダにダブりや漏れがないか、参加者はAとBの会議に参加していた人全て必要か、時間は2つの会議を合体した時間ではなくて縮小できないか、など、統合した会議の質を良くするために会議をデザインし直すことが必要です。

当社が会議の整理を支援したお客様の事例ですが、時間・工数にすると30~50%弱削減できたケースもあります。

1-3. 【会議準備】必要のない会議が惰性的に行われている

必要のない会議が惰性的に行われている状態になっている場合もあります。

例えば、毎週や毎月定例で開催される会議があり、参加者がそれを当たり前として受け入れていると、実際には必要のない会議でもルーチンとして開催されることがあります。
何も生み出さない会議は時間の無駄です。

「必要のない会議が惰性的に行われている」場合の対策

必要のない会議が惰性的に行われている場合は、定期的に会議の必要性を見直しましょう
目的や議題が明確でない場合や、他の手段で解決できる問題である場合は、会議を開催しない選択肢を検討します。

目的や議題が明確でない場合は、会議の場を設けても何も決まらない可能性が高いため、実施しないという選択で良いことがほとんどです。会議の目的を見直した結果、一部の人だけ参加すれば良いと判断できる場合もあるでしょう。

定期的な会議は目的が見えなくなりやすいため、半年に1度は会議の必要性について見直すことで、無駄な会議を削減し、組織全体の生産性と成果の向上に繋げましょう。

1-4. 【会議準備】会議がただの情報共有になっている

会議がただの情報共有になっていることもあります。会議は本来、多様な意見を出し合って、適切な意思決定をするための場です。しかし、時に会議がただの情報共有になってしまうことがあります。
意見を出し合う必要のない情報共有は会議以外の手段で十分に行うことができるため、他の方法で対応しましょう。

「会議がただの情報共有になっている」場合の対策

会議がただの情報共有になっている場合は、会議の場を設けるのではなく、チャットやメールなどで共有するようにしましょう。

チャットやメールを使用することで、情報を効率的に共有し、参加者がそれを自分のペースで読み込み、必要に応じて質問やコメントを追加することができます。

また、これらのツールを使うことで、時間や場所の制約にとらわれずに情報を受け取ることができます。これにより、参加者はより柔軟に情報にアクセスし、自分のスケジュールに合わせて作業を進めることができます。

1-5. 【会議準備】会議の概要や事前情報が共有されていない

会議の質が悪い原因として会議の概要や事前情報が共有されていないことも挙げられます。議題に関する深い理解や適切な準備ができず、議論が不毛に終わる可能性があるためです。

事前情報がなければ、参加者はなんとなく会議に出席してしまいます。意見を出すための情報が足りずに意見が出ない状態が続いたり、意見を考える時間が足りずに会議の時間が延長される、というようなことが起こります。

「会議の概要や事前情報が共有されていない」場合の対策

会議の概要や事前情報が共有されていない場合は、会議のインビテーション(招待状)を送りましょう

会議の前にインビテーションを送ることで、参加者に会議の概要や目的、議題などの事前情報を提供できます。これにより、参加者は会議に備えるために必要な情報を事前に把握できるようになります。
また、会議の目的や議題に関連する資料やデータを共有することも可能です。

なんとなく会議に参加するという状況にはならず、参加者それぞれが主体的に参加しやすくなります。

1-6. 【会議準備】会議の参加者に過不足がある

会議の参加者に過不足がある際も、会議の質が低下します。適切な人数でない場合、会議の進行や情報共有が難しくなるためです。

多すぎる場合は、議題の進行が混乱し、時間の無駄が生じる可能性があります。一方で、少なすぎる場合は、必要な情報が揃わなかったり、多様な視点を持てずに、適切な判断を行えなくなる可能性があります。

「会議の参加者に過不足がある」場合の改善方法

会議は適切な人数で実施することが必要です。会議の内容によって適切な人数は変動しますが、多くの場合7名以下あたりが適切な人数になります。

米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーで企業の組織論を専門とするパートナーのジェームズ・ルート氏によると、「会議はメンバーが7人を超えると、1人増えるごとに生産性が10%下がる」そうです。

参加者を決める際は、洗い出し絞っていくことが必要です。参加してもらう理由を明確に伝えられる人だけに絞ると、自然と適切な人数になるはずです。

1-7. 【会議準備】レイアウトが適切でない

会議の内容にあったレイアウトになっていることも、効率的に会議を行うために重要です。会議の内容に適したレイアウトは、参加者が議題に集中しやすくし、効率的な議論を促進します

例えば、ブレインストーミングとしていろんな意見を出していきたいという際に、コの字形式のレイアウトにしていると、意見を活性化することは難しいです。
島形式や、バズ部形式のほうがいいでしょう。
参加者がどのように座るかで意見の出やすさなどが変わるため、会議の効率さに影響します。

「レイアウトが適切でない」場合の対策

レイアウトの種類を知り、会議の内容にあったレイアウトを用意しておくことが大切です。
場のセッティングを行うことで、会議やワークショップの場の質が上がります。

レイアウトは下記の図のようにさまざまあるため、会議の内容に適切なレイアウトを選択しましょう。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

テキストを見ながら代表者の話を聞くなど、スピーカーの話を聞きながらも机での作業が必要になる場合は、スクール形式やコの字形式が良いです。

スピーカーの話を聞くことがメインの時はシアター形式やバズ形式がおすすめです。
グループワークが多い時は島形式、対話がメインな時はサークル形式などがよく使われます。

【参考】レイアウトごとの特徴

お薦めの場面 場によって生まれる状況 注意点
スクール形式 講義・講演など かしこまった雰囲気を作れ、話を聞く・勉強するという文脈になりやすい 「先生・生徒」や「講演者・聴講者」という分断が生まれ、上下の関係が生まれる
コの字形式 プレゼン・上程会議など プレゼンターの話を評価判断するという文脈になりやすい 評価する人・評価される人という分断が生まれ、共創・協働は起きにくい
島形式 会議・研修(一つの島で少人数)など 議論・対話を行いやすい場を創ることで、アウトプットを出すという文脈になりやすい 島の中で人と人の距離がある場合は分断が生まれ、共創・協働が起きにくい
シアター形式 ワークショップ・講演など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして話を聞くという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
バズ形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる
サークル形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる

1-8. 【会議中】会議で意見が出ない

会議で意見が出ない状態に課題感を感じている人も多いです。
会議で意見が出ない原因としては、次のようなことが考えられます。

・意見を言って辛い思いをした経験があるため
・自分の意見に価値がないと思っているため
・意見を言うと嫌そうな顔をされるため
・意見を言うことで評価が下がった経験があるため
・意見を言うことに恐怖心があるため
・意見を言うとその仕事を押し付けられるため
・意見を言っても変わらないと諦めてしまっているため
・意見を言う機会がないため
・意見をうまく伝えられないため
・会議の話を理解できていおらず意見を持っていないため
・仕事に主体的ではなく意見を考えていないため

これらの原因によって意見が出ないと、問題解決や意思決定が滞り、会議の目的が達成されません。

「意見を言って辛い思いをした経験がある」場合の改善方法

過去に意見を言って否定されたり、仲間外れにされたりなど辛いと感じる経験があると意見を言わなくなります。自分を傷つけず、守ろうとするためです。

意見を言って辛い思いをした経験があるために意見を言わなくなってしまった社員に対しては、会議以外の場所で些細ななことについて相談をして関係性を築いていくことから始めると良いです。
意見を言って受け入れてもらえたという感覚を持ってもらうことが大切だからです。

例えば、「資料の文言、どっちの方がいいと思う?」「先方へのお土産、どっちがいいかな?」など選択肢を設けて選んでもらい、その意見を受け入れる、という機会を作ります。

最初は2,3個の選択肢の中から選んでもらう機会を作り、その後もう少しオープンな相談をします。ここで意見を言っても大丈夫だという感覚を得られると、会議の場でも意見を言えるようになっていきます。

「自分の意見に価値がないと思っている」場合の改善方法

過去に自分の意見を流されたり、無視されたりした経験があると、意見を言わなくなります。自己評価が低下し、自分の意見や考えに対する自信を失うためです。

自分の意見に価値がないと思っている人に対しては、意見を言うことに対して悲観的にならないようにするために、ポジティブフィードバックを行うことを意識しましょう。
発言したことを受け止めてもらえているという感覚があると、自分の意見に価値がないと感じにくいためです。

意見の内容の質が良い場合は、「なるほど。その視点もあるね。」「確かに!そこについても考えないとね。」などと反応があることで、次も意見を言いやすくなります。

もし意見の内容があまり良くないと感じた場合は、意見を出してくれたことに対してポジティブフィードバックをしましょう

例えば「意見を出してくれてありがとう。」と言った後に、内容についてのフィードバックを行い、最後にまた「自分で考えて意見を出してくれたことは嬉しいから、また何か気づいたことがあったら言ってね」と伝えると、次もまた意見を言おうという意識になりやすいです。

「意見を言うと嫌そうな顔をされる」場合の改善方法

意見をいうと嫌そうな顔をされるのも、社員が意見を言わなくなる理由の一つです。自己価値感や対人関係に対する不安が生じるためです。

意見をいうと嫌な顔をされたために意見を言わなくなってしまった場合は、質問形式で意見を伝えるようにしましょう。

質問形式で意見を伝えることで、相手に対して攻撃的な印象を与えず、対話の雰囲気をより建設的なものにできます。また、質問を通じて相手の考えや視点を尊重し、双方の理解を深めることも可能です。

「意見を言うことで評価が下がった経験がある」場合の改善方法

意見を言ったことで評価が下がった経験がある社員は意見を言わなくなります。同じことが再び起こる可能性を恐れるためです。

意見を言うことを求められているのに、意見を言うことで評価を下げるということが起きている場合は、言い回しを工夫するようにしましょう。意見は伝え方によっては、相手を否定しているように受け取られてしまう可能性があるためです。

意見を言うことで評価が下がっているということは、評価する人が、何かしら嫌な思いをしたと考えられるため、相手に不快感を与えない伝え方を工夫してみるようにしましょう。

例えば、次のような伝え方などが効果的です。

・「発想を広げるために、あえて極端なことを言いますが…」
・「私の理解不足で申し訳ないのですが、○○の観点はどうお考えですか?」

このように伝えると、相手を不快にさせることなく、自分が聞きたいことや自分なりの意見を伝えられるようになります。

「意見を言うことに恐怖心がある」場合の改善方法

意見をいうことに恐怖心があると意見を言わなくなります。意見を言っても受け入れてもらえないと感じるためです。

社員が恐怖心を感じていて意見を言わない状態になってしまっている場合は、会議の場にルールを入れるようにしましょう。ルールを設けることで、参加者が互いに尊重され、安心感を持って意見を述べることができる環境が整います。

意見を言うことに恐怖心がある、という状況を改善したい場合は、次のような内容のルールを設けるものいいかもしれません。

「相手の話の良し悪しをジャッジするように聞くのではなく、探究する姿勢で聴く」

ルールは組織や打ち合わせの内容によって、調整が必要です。ルールの作り方についてはこちら「プロファシリテーターが伝授!失敗しないグランドルールの作り方と扱い方」のコラムをご覧ください。

なお、ルールを設ける際は「ルールがなぜ大切か」を伝えることがとても重要です。ルールが、大切なものだという認知になると、自然とルールが守られるようになるためです。会議の場にファシリテーターがいる場合は、ルールについて丁寧に説明するようにしましょう。

ルールをただ読み上げるのではなく、可能な限りそのルールの説明をします。このようにルールを設けることで、意見を言いやすい環境が整います。

「意見を言うとその仕事を押し付けられる」場合の改善方法

意見を言うと、その仕事を押し付けられてしまうことが原因で、意見を言わなくなってしまっている可能性もあります。自分の仕事が増えてしまうことを避けようとするためです。

意見を言うとその仕事を押し付けられてしまうために、意見を言わない状態が生まれている場合は、ファシリテーターを入れて公平に議論できるようにしましょう

ファシリテーターを入れることで中立的な立場から議論をリードし、役割や業務量、力量・経験などの要素から、適切なアサインを考えられるようになります。
公平な議論のもと新しい仕事が増えた場合は、業務調整が必要です。今ある仕事を他の人に依頼するなどして、仕事量の調整うことまでをセットで行いましょう。
ファシリテーターが入ることで社員は意見を述べても仕事を押し付けられる心配が減り、素直な意見交換が促進されます。

ファシリテーターの重要性については下記のコラムをご覧ください。
ファシリテーターとは?何をする人?重要性やメリット・必要なスキルを詳しく解説

「意見を言っても変わらないと諦めてしまっている」場合の改善方法

意見を言っても変わらないと諦めてしまっている場合も、社員は意見を言わなくなります。言うだけ無駄だと感じるためです。

意見を言っても変わらないと諦めてしまっている場合は、意見がその後どのように扱われたのかを伝えるようにしましょう。意見を反映しない結果となったとしても、意見に対してどのように検討され、どのような判断で実施を見送ったのかを必ず伝えることが必要です。

その経過がわかると、しっかりと検討してくれた上での判断なら仕方ないと思えます。そして検討してくれていることがわかるため、また自分なりの意見を出してみようと思えます。

検討されたことの共有がないと、意見を出した側からすると、ただ意見を無視されているように感じてしまうためです。
意見に対して向き合ってくれている姿勢を伝えることが大切です。

「意見を言う機会がない」場合の改善方法

社員が意見を言う機会が与えられていないために、意見を言えない場合もあります。意見を言うべきタイミングがわからないためです。

意見を言う機会がないことが理由で意見が言えない場合は、会議の際にはファシリテーターを入れて、参加者全員が意見を言ってもいい場だということを伝えましょう
その上で「〇〇について意見がある方はどうぞ」などの問いを出すと、意見をいうタイミングがわかります。

意見を言ってもいいタイミングや意見を求められている場所が明確になっていると、意見が求められていることがわかり、意見を出しやすくなります。

「意見をうまく伝えられない」場合の改善方法

意見があるが自分の中でうまく整理しきれず、伝えられないために意見を言わなくなる場合もあります。特に、「意見を言うときは要点だけ伝えて」などの指導が厳しい組織の場合は、その状態になるまで整理されないと意見を伝えることを躊躇してしまいます

意見をうまく伝えられない場合は、次のような対応策を実施しましょう。

・ファシリテーター(司会)から意見がまとまってなくてもいいと伝える
・言葉にする時間を設ける
・フレームワーク(論点)を渡し、その中で意見を言ってもらう

ファシリテーター(司会)から意見がまとまってなくてもいいと伝えることで、意見を持っている社員が「とりあえず出してみよう」となりやすくなります。

また、意見を求めた後に、言葉にする時間を設けることも有効です。考えながら話すと言葉がまとまらなくなりやすいためです。一度個人で考える時間を設けることで、伝えたいことを自分なりに言語化できます。

もし意見を言ってくれている社員の話しがまとまっていなくて理解が難しいと感じた場合は、フレームワーク(論点)を渡して、その中で意見を言ってもらうようにすることも一つの方法です。
例えば、5W2Hの紙を渡して、それらを埋めてもらってから発言をしてもらうなどです。

このような対策を行うことで、意見をうまく伝えられないことを躊躇することなく、意見を出せるようになります。

「会議の話を理解できていおらず意見を持っていない」場合の改善方法

話を理解できていない人に対しては、適宜理解レベルを把握する時間を設けましょう。すると、どの部分まで理解できていて、どこが理解できていないのかがわかります。

例えば、「現時点でもやもやする部分はありますか?」と質問したり、「理解レベルを1-5の選択肢のかかから選んでもらう」などです。「何がわかれば理解レベルが5になりますか?」と尋ねると、理解できない部分が見えやすくなります。理解できない部分について補足で説明することで、理解を促せます。

また話を伝える側は、できるだけわかりやすく伝えることを意識するのも大切です。専門用語など相手のレベルにあっていない用語を多用すると、理解を困難にさせます。

「仕事に主体的ではなく意見を考えていない」場合の改善方法

主体性が低い人については、仕事に向き合う姿勢を改善する必要があります。役割・責任範囲を明確にし、さらに思考の余白を与えて、在すべきことを考えてもらうことが必要です。

組織としてあなたに対してどのような役割や責任を求めているのかを明確に伝えます。明確な目標や期待を提示することで、その人がどのような役割を果たすべきかを理解しやすくなります。
そしてその期待と現状を比較して、どのような差があるのかをみて、その差をなくすために自分ができることを考えてもらいます。

一方的に「〇〇をやって」と伝えるのではなく、自分で考えてもらうことがポイントです。自ら考えることで主体性が高まり納得感が強くなります。

【参考コラム】
社員が意見を言わない10の理由と対応策。意見を言わないことで組織に対して起きる10のリスクとは
必見!会議で「意見を言わない人」を巻き込むための具体的な進行術

1-9. 【会議中】会議が進んでいかない

会議の場を設けても、意見が出なくて沈黙が続いてしまったり、話が停滞してしまい、会議が進んでいかないということが起きているために改善したいと考えている方もいるでしょう。

会議が進んでいかない原因としては、会議で進行する人がいないことが挙げられます。

会議が進んでいかないと時間が奪われ、ストレスがかかるようになり、品質も下がってしまう、という悪循環に陥ってしまうため、改善が必要です。

「会議で進行する人がいない」場合の改善方法

会議が進まない原因として、会議で進行する人がいないことも挙げられます。議題の整理や議論の促進が不十分になり、会議の効率が低下するためです。

そのため、ファシリテーター・司会を含めた会議での役割を明確にすることが必要です。
役割はさまざまありますが、ファシリテーター・司会と書記(議事録係)は決めておくと進行がスムーズになります。

ファシリテーター・司会は、会議の目的・目標・アジェンダを参考に会議を進行します。途中で話がブレた場合は話を戻したり、意見が停滞した場合は、問いを投げて場を動かせると、効率的な会議となります。

書記(議事録係)は、会議の内容を会議に参加していない人が見てもわかるようにし、会議後にやることが明確になり、次回以降の会議がスムーズになるように心かけます。

なお会議によって、ファシリテーターと司会を使い分けるといいでしょう。
ファシリテーターと司会の違いは、下記です。

・ファシリテーター:会議の進行を円滑にすすめ、目的を達成できるよう、中立的な立場から働き掛ける役割を担う人

・司会:会議などを滞りなくアジェンダ通りに進める人

より詳しい内容を知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
【参考コラム】ファシリテーターと司会の違いは?事例で分かりやすく解説!効果的な会議を実現しよう

1-10. 【会議中】会議の最中に内職をしている

会議の場にいるだけで内職をしている人に課題を感じているというお話もよく伺います。
会議の最中に内職をしてしまう原因としては、会議での役割がない・認識できていないことが挙げられます。

会議で内職をされると、話を理解していないために認識齟齬が起きやすくなったり、重要な視点が見落とされてしまうなど、会議の質が低下するため改善が必要です。

「会議の最中に内職をしている」場合の改善方法

会議の最中に内職をしている場合は、会議での役割を明確にし、その役割を認識してもらうようにしましょう

ファシリテーターや議事録といった、会議を行うにあたっての役割を伝える方法もあります。
他には、〇〇の観点からの意見が欲しいというように、どの立場で参加して欲しいかを伝えることで会議での役割を認識してもらう方法もあります。

会議の参加人数が多すぎる場合、自分の役割を見つけられず、やることがないために内職が起きやすくなります。そのため役割を明確に伝えられる人だけに絞り、適切な人数で会議を行えるようにしましょう。

1-11. 【会議中】会議が空中戦になる

結論や解決策が得られなず会議が空中戦になってしまうこともあります。参加者の前提が揃っておらず、互いに異なる方向に向かって意見を主張し、合意形成や解決策の発見が困難になることが原因です。

会議が空中戦になると、時間とリソースが無駄になり、参加者の不満や無力感が生じることがあります。

「会議が空中戦になる」場合の改善方法

会議が空中戦になる場合は、前提を確認する必要があります。前提条件は、議論や意思決定の基盤となる事実や情報、および参加者間で共有された理解を指します。

会議を行っている意味を確認するために、会議の目的・目標をあらためて確認したり、会議の前に会議に関連する情報やデータを参加者に提供するなどして、共通の理解を持てる状態を作りましょう。

1-12. 【会議中】会議内で対立関係が乗り越えられない

会議ないで対立が起き、乗り越えられないことも、会議で改善したい要素です。対立が起きてしまうと、関係者間での意見の食い違いや利害の衝突が起こり、意思決定プロセスが膠着状態に陥る可能性があるためです。

対立関係が生じる原因はさまざまで、関係者間でのコミュニケーション不足や誤解、競合する目標や利益、人間関係も、対立関係の発生に影響を与えることがあります。

対立関係が生じると、関係者は相手の意見や提案を受け入れづらく、自身の主張を強く主張しやすくなります。このような状況では、議論が一層激しくなるため、合意形成が困難になりやすいです。その結果、決定事項が明確にならず、会議が停滞してしまうことがあります。

「会議内で対立関係が乗り越えられない」場合の改善方法

対立関係が生まれるために会議で決定事項が明確にならない場合は、対立関係を言語化・可視化して本質的解決策を探すようにしましょう。対立にしっかり目を向けて、取った・取られたではなく、双方にとって、よりよい解決策を考えていくことが重要です。

より良い解決策を考えるためには、対立の状況を客観的に把握しておくことが大切です。そして段階に応じて保留・分配・交換・創造というアプローチを行います。

【段階ごとのアプローチ方法】

●創造の段階
創造的アプローチを行います。対立要因そのものをなくすことを目指せます。

●交換
満足的解消ができます。お互いが満足できる内容を考察しましょう。

●分配
痛み分けの段階です。お互いが納得できる着地地点を探しましょう。

●保留
先送りをした方が良い段階です。保留することで解決される場合もあります。

このように、対立関係を言語化したり可視化してどの段階にいるのかを知ることで、適切な対応を行いやすくなります。時には、自身がloseだと思っていても、相手からするとwinととらえている場合もあります。
対立関係を明確にし、適切な話し合いをできるようにすることが必要です。

1-13. 【会議中】特定の人で意思決定がされる

会議を行っても特定の人の意見が強く、他の参加者の意見が反映されないような状態となっている会議も改善する必要があります。参加者の平等性が保たれておらず、適切な判断につながらない可能性があるためです。

議論の多様性が損なわれて論の深まりが阻害され、会議の質が低下します。

「特定の人で意思決定がされる」場合の改善方法

会議をしても特定の人の意見に決まるような会議をしているために、参加者が会議に意味を見出せなくなってしまっている場合は、意思決定のルールを決めましょう

意思決定のルールとは、会議での意思決定プロセスを明確にし、公平性と透明性を確保するための枠組みとなります。その前提があると、自分が会議に参加する意味を見出せます。

意思決定のルールでは、公平な意思決定プロセスを確保するための原則を盛り込むことが重要です。

例えば、上司が自分の意見ばかりを採用しているのであれば、役割を担っている人が最終的な判断をするというルールを設けると、上司が自由に判断することを防げます。

他にも、皆の意見を聞かずに最終的な判断がされてしまっている場合は、必ず全員の意見を聞いた上で最終的な決定をする、という意思決定のルールを定めておくと、参加者全員の意見が反映されやすくなります。この時、無記名の付箋を集めるという方法も一つあります。

このように、会議の参加者が自分の役割や立ち位置の視点からの意見を出すことでより良いアウトプットになることがわかると、自分が会議に参加する意味や、会議を行なう意味を見出せるようになります。

1-14. 【会議中】意思決定が先延ばしされる

会議で意思決定ができず先延ばしにされる、という会議も改善が必要です。物事が決まっていかないと、仕事を先に進められないためです。

会議で意思決定できない原因としては、次のようなことが考えられます。

・アジェンダが適切でない
・意思決定のルールがない

会議で意思決定ができないと仕事が前に進んでいかないため、改善が必要です。

「アジェンダが適切でない」場合の改善方法

会議のアジェンダが適切でないと、会議の時間内に意思決定することが難しいです。議題が多いと会議の目標を達成できず、意思決定も先延ばしになるためです。

そのため、会議の時間に合った、適切な量の議題になっているのかを確認しましょう。会議の目標を達成するために必要な内容になっているのか、議題を詰め込みすぎず会議の時間内に全て議論できそうかを確認して、適切なアジェンダを作成しましょう。

「意思決定のルールがない」場合の改善方法

意思決定のルールが欠如していると、会議やチームの意思決定が迅速かつ効果的に行われない可能性が高まります。そのため、意思決定のプロセスやルールを明確に定めることが重要です。

意思決定のルールとは、会議での意思決定プロセスを明確にし、公平性と透明性を確保するための枠組みとなります。意思決定のルールでは、公平な意思決定プロセスを確保するための原則を盛り込むことが重要です。

例えば、参加者すべての意見を聞いた上で多数決で判断する、というルールが設けられていると、意思決定を迷わず行えます。

このようにどのようなプロセスで意思決定をするかがルール化されていると、意思決定の方法に迷うことなく、判断しやすくなります。

1-15. 【会議中】会議の時間が延長される

会議が延長されることも改善が必要です。終了時間が守られないと会議が長引いて参加者の時間やリソースが無駄に消費されてしまうためです。

また、参加者が集中力を保つことが難しくなり、議論の質や効率が低下するおそれがあります。

「会議が延長される」場合の対策

会議の終わりの時間を定めて、しっかりと守ることが必要です。会議のファシリテーター・司会は時間を意識し、終了時間までに会議の目標を達成できるように会議を進めていく必要があります。

場合によっては会議のゴールを達成できないこともありますが、一旦その時間内で進んだ内容をまとめて終了し、続きについては別の会議の場所を設けるようにしましょう。

なお、会議の設定時間として、30分や1時間単位で設定されることが多いですが、少しでも無駄な時間を減らすためには、15~20分単位でおこなうと効率を意識しやすくなります。

1-16. 【会議後】会議で決まったことが覆される

会議で決まったことが他の会議や上司の一声によって覆される、という状態が起きていることもいい会議ができているとは言えません。会議の必要性を感じられなくなり、会議への参加のモチベーションが低下しやすくなるためです。

上司や他の会議が会議での決定を覆すことが頻繁に起こると、参加者は会議での議論や意思決定が実質的な影響力を持たないと感じ、会議に対する信頼感が低下し、会議に参加する意欲が減退します。

「会議で決まったことが覆される」場合の対策

会議で決まったことが覆される状態になっている時は、議論を徹底的に行い、抜け漏れやダブりなく、納得性の高い結論を導き出す必要があります。

議論を徹底的に行うためには、十分な情報やデータを提供し、議題に関連する全ての視点や要素を考慮することが重要です。参加者が議論を深めるための情報を持つことで、より具体的な意見や提案が出され、議論がより建設的に進みます。

また、参加者が自由に意見を述べる状態を作ることもポイントです。多様な意見を議論することでより良い結論に近づくことができます。多様な意見が出た場合は、可視化するなど情報を整理して、参加者が理解しやすいようにすることも、質の高い結論を導き出すために重要です。

なお、会議で決まったことを変更する必要がある場合は、どのようば場合に変更できるのか、というルールを決めておきましょう。ルールに基づいて判断されていると理解できると、会議へのモチベーションが落ちることはありません。

【参考コラム】「決定事項が進まない会議」に陥る原因と7つの解決策

1-17. 【会議後】議事録がわかりづらい・抜け漏れがある

議事録がわかりづらいことや情報に抜け漏れがあることも良い会議とは言えません。前回の振り返りをする際に混乱が生じたり、決定事項の誤解や意思疎通の問題が生じるおそれがあるためです。

振り返りや前提の確認を行うことに時間がかかると、会議の目的を達成が難しくなるため改善が必要です。

「議事録がわかりづらい・抜け漏れがある」場合の改善方法

会議を効率化するための議事録を作成するためには、次のことを意識すると良いです。

・議事録のテンプレート作成する
・ロジカルシンキングを用いて速記する
・次の会議につながる書き方を意識する

議事録のテンプレートとして、以下の欄は設けておきましょう。

・会議名
・会議の日付
・会議の参加者
・会議の目的・目標
・アジェンダ
・会議の内容(アジェンダ別に記載)
・会議で決まったTO DO(担当者と納期を忘れない)
・次回に持ち越すテーマ

会議前に記載できるところは記載しておきます。

会議中は、ロジカルロジカルシンキングを用いて速記します。
具体的には、下記内容を意識しながら行うといいでしょう。

・主語と述語の確認
・事実と意見の明確化
・前提・背景・根拠の明確化
・議論・対話のレベル感の統一
・話をグルーピングし、MECEの確認
・メッセージの明確化や、事実・根拠の確認

これらの内容が記載されていると、抜け漏れなく振り返りがしやすいため、次回の会議の目標やアジェンダを考えやすくなります。

1-18. 【会議後】会議の議事録がなかなか共有されない

会議後に会議の議事録がなかなか共有されないと、情報の欠落や誤解が生じ、業務の進行や意思決定に影響を及ぼす可能性があるため改善が必要です。

情報の共有が不足することで、再度同じ問題について議論が行われたり、誤った方向に進でしまうなど、二度手間になることが増えやすいです。

「会議後に会議の議事録がなかなか共有されない」場合の改善方法

会議後に会議の議事録がなかなか共有されない問題を解決するには、議事録の共有タイミングと方法を決めておくと良いでしょう。

例えば、会議終了後30分以内にメールで送信する、ということを定めておくと、共有を忘れてしまっていた場合にリマインドできます。
他にも、議事録をオンラインで編集可能な共有ドキュメントで作成し、事前にURLを共有しておくことで、共有漏れを防ぐという方法もあります。

1-19. 【会議後】会議での決定事項が実行されない

会議での決定事項が実行されないというお悩みもよく伺います。
会議での決定事項が実行されない理由としては、次のことが考えられます。

・適切なスケジューリングが立てられていない
・プロジェクトが管理されていない
・決定事項へのコミットが低い

このような理由からせっかく会議で決定された事柄が実行されないと、成果につながらなくなるため、改善が必要です。

適切なスケジューリングが立てられていない場合の改善方法

実行に向けての計画やスケジュールが立てられていないと、決定事項が漠然としたままになり、実際の行動に移されることがありません

そのため、納期を定めてゴールまでのスケジュールを明確にすることが必要です。

納期と具体的なアウトプットイメージを設定することで、実行すべきタスクが明確になっていきます。それぞれのタスクに対して必要な時間や関わる人、必要なものの手配などを洗い出していくことで、適切なスケジューリングを作成できます

場合によっては、タスクを洗い出していくと、思ったより時間がかかりそうで予定していた期限に間に合わなさそうということに気づくこともあります。このような調整を行うためにも、事前に適切なスケジューリングが必要です。

プロジェクトが管理されていない場合の改善方法

プロジェクト管理に不備があると、現時点で問題なく進んでいるのかを把握できず、予定通りに決定事項が実施されないということが起きかねます。

そうならないためにも、プロジェクトマネージャーを置き、都度進捗管理を行うようにしましょう。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の計画、進捗状況、リソースの配分などを管理し、決定事項の実行を促進します。決定された事項が適切に実行されるように、各作業の責任者を明確にし、タスクの進行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整や対策を行うことで、確実に実行できます

さらに、プロジェクトマネージャーとして、関係者間のコミュニケーションを円滑にすることも実行をスムーズにすることに影響します。都度情報の共有を促進し、困り事や不安を解消するコミュニケーションを取れていると、不満や文句などネガティブな感情が生まれづらく、会議での決定事項が実行されやすくなります

決定事項へのコミットが低い場合の改善方法

決定事項へのコミットメントが低い状況では、会議の参加者が決定事項を主体的に受け止めず、実行するための積極的な行動が起こりません。

そのため、会議の段階からコミット度合いを高める工夫が必要です。

決定事項を実施することに対する理解や納得感がないと、決定事項に対して主体的に行動できません。

会議を実施する際には、参加者が皆自分の意見や考えを積極的に出し合い、適切な話し合いを経て決定事項を定められるようにする必要があります。そのためにも質の良い会議を行うことが必要です。

意思決定する際に「本当にコミットしているか?」という確認を取ってもいいでしょう。「コミットを10点満点で表すと、何点ですか?」と聞く方法もあります。

なお会議の進め方については「会議が非効率になる原因とは?会議の進め方のコツと効率化に成功した事例」のコラムもご覧ください。

2)質の良い会議にするための4つのポイント

質の良い会議にするためのポイントを4つ紹介します。

・ 建設的に話し合える信頼関係をつくる
・ 全体最適のために意見をぶつけ合う
・ 議論・対話を構造化する
・ 力強い意思決定を行うための意思決定のルールがある

建設的に話し合える信頼関係をつくる

1つ目のポイントは、建設的に話し合える信頼関係をつくることです。信頼関係が築かれていると、参加者は自由に意見を交換し合い、異なる視点やアイデアを受け入れられるためです。

意見の交換が対立や攻撃的な議論ではなく、建設的な対話となるため、参加者は、自身の視点を述べるだけでなく、他者の意見を積極的に受け入れ、共有し合います。

また、発言をすることに対して恐れがないため、積極的に新しいアイデアが提案されます。議論がより深く、多様な視点が採用されることで、創造的で効果的な解決策が生み出されやすくなります。

信頼関係を築くためには、会議以外の場でお互いの価値観や考え方を理解する必要があります。
信頼関係の築き方については「職場で信頼関係を築くために大切な8つのこととは」をご覧ください。

全体最適のために意見をぶつけ合う

2つ目のポイントは、全体最適のために意見をぶつけ合うことです。参加者が自らの立場や利益を超えて、組織やプロジェクト全体の最良の利益を追求する姿勢があると、議論がより建設的になり、最終的には最良の解決策が導かれる可能性が高まります

全体最適を意識せず、自分や自部署の利益のための発言をしていると、対立関係が生まれやすく、すべての意見をうまく統合して着地することが難しくなります。
しかし、全体最適を意識した上で意見を出し合えていると、対立関係ではなく協力関係を築きやすく、チームの一体感と連帯感が生まれます。これにより、チームのパフォーマンスが向上し、プロジェクトの目標達成にも寄与します。

会議で意見を出してもらう際は、全体最適を意識できるような言葉を用いながら進めることで、質の良いアウトプットにつながります。

議論・対話を構造化する

3つ目のポイントは、議論・対話を構造化することです。議論を構造化することによって、議題や目的に沿った効果的な対話が促進され、議論の焦点が明確になります

会議ですぐに使える用フレームワークは次の4つです。

・分かっていることと、分からないこと
・マトリックス
・プロセス図
・KPT

以下にそれぞれ説明します。

「分かっていることと、分からないこと」

対話・議論の始めに活用することでお互いの背景が分かります。背景が分かることで、参加者の認知が広がり、議論や対話を深く行うための準備段階として活用できます。

具体的には、下記のような表を用意して、個人で考えてもらい、その後まずは「わかっていること」について順番を決めずにシェアし、次に「わからないこと」を順番を決めずにシェアしてもらいます。そして出来上がった表を見て、感想や質問、伝えたいことを話すと、お互いの背景がわかるため、後の対話や議論の際に影響を与えられます。
 分かっていることと分からないこと

マトリックス

万能型のフレームワークです。議論・対話の整理から意思決定まで、さまざまな場面で活用が可能です。
例)意思決定を行う際のマトリックス

議論したいことについてマトリックスで整理することで、理解しやすくなり、意見が出やすくなります。

プロセス図
万能型のフレームワークです。事業の推進のゴール設定や、振り返りなどさまざまな場面で活用が可能です。

例えば、新規事業のゴールを設定する会議の場合は、次のようなプロセス図になります。

プロセスをわかるように可視化することで、イメージしやすくなり、より良い意見が出やすくなります。

KPT
振り返りの際に用いるフレームワークです。
KEEP(続けるもの)、PROBLEM(改善するもの)、TRY(次回チャレンジするもの)を洗い出して、次回をより良いものにしていきます。

これらのフレームワークの具体的な使い方については「ファシリテーションを支える6つのフームワークを知ろう│注意点にも言及」をご覧ください。

力強い意思決定を行うための意思決定のルールがある

4つ目のポイントは、力強い意思決定を行うための意思決定のルールがあることです。

意思決定のルールが明確に定められていると、議論や意見交換が効果的に行われ、最終的な決定が迅速かつ適切に行われます。これにより、会議の時間が効率的に使われ、参加者のモチベーションや満足度が向上し、意思決定の事項について主体的に取り組めるようになります

意思決定のルールには、意思決定の手順や決定権限、情報共有の方法などが含まれます。その中でも力強い意思決定を行うためにポイントとなるのが、意思決定の手順です。会議の中で参加者全員が決定事項に対して高い納得度を持てる状態になることが必要です。

そのためには、特定の人の意見が採用される状態でも、意見を言いにくい環境でもなく、参加者全員が安心して主体的に意見を出せて、さまざまな視点から議論をして、皆が納得できる結論を出せるプロセスがルール化されている必要があります。

これらのプロセスによって意思決定が行われると、その結論に参加者すべての想いが詰まっているため、より力強い意思決定になりやすいです。

【参考】意思決定に関してコミットができない人がいる場合

意思決定に対して、コミットができない人がいるケースもあります。
その場合は、その人がなぜ意思決定にコミットできないかを把握し、可能な限りフォローしていくことがいいです。そのフォローによって、コミットが高まっていくケースがあります。

そしてコミットが低い人でも、小さくてもいいので役割やタスクを与えましょう。他の人と協力してできるものがいいでしょう。

また重要な役割を担いながらもコミットが低い場合は、下記対応があります。

・コミットが高まる働きかけを行い続ける
・組織として、その役割はずれてもらう

それぞれ説明します。

・コミットが高まる働きかけを行い続ける
刺激し続け、当事者意識・主体性を育みます。
具体的には、フォローする人やレビューする人を設けるといいでしょう。

・組織として、その役割はずれてもらう
その意思決定が重要なものであれば、思い切ってその役割から外れてもらい、新しい人をアサインするといいでしょう。
ただし、丁寧に対話する場を設けることが前提です。

3)まとめ|会議の改善にはファシリテーターの育成がおすすめ

本コラムでは、会議の課題としてよく伺う事象に対して、それぞれ具体的な改善方法を紹介しました。

このコラムを参考に、自組織でよく起きている事象に対する適切な改善方法を知り、小さいことから実践していきましょう。

なお、アーティエンスでは、会議を改善する際に役立つファシリテーターの育成公開講座講師派遣型にて行っています
高品質な会議は生産性向上、決断の迅速化、創造力の活性化、そしてチームワーク強化につながります。会議を改善することで、組織にポジティブな影響を与えられるようにしましょう。

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