必見!会議で「意見を言わない人」を巻き込むための具体的な進行術

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必見!会議で「意見を言わない人」を巻き込むための具体的な進行術

「会議で『誰か、意見のある人はいますか』と聞いても誰も手をあげない…」
「会議で意見が出ないままダラダラと時間が過ぎていく…」

このような状態にお悩みの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

意思決定を伴う会議は、参加者自身で議論や対話によって物事を決めなければなりません。

ただ会議で意見が出ず、適切な議論を行えないことは往々にあります。そして「声の大きい一部の人が決めてしまう」や、「経営者・管理職が決める」ということが起きます。

このような会議があると、会議に対するモチベーションが低下し、会議の質が悪化していく一方です。

そこで本コラムでは、会議で意見がでない理由と対策についてお伝えします。
会議に出席する人が当事者意識を持って意見を出すことで、仕事の質を高められる状態を作りましょう。

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執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革


1)意見が出ない会議の7つの原因と対策

原因 対策
上司の問題 上司がほとんど話していて、部下が離せない 部下が話す時間を設ける
上司が意見に対して
否定したり感情的になる
グランドルールを設ける
最終的に上司自身の意見にもっていく 意思決定のルールを決める
部下の問題 意見を先に言われて
言うことがなくなる
付箋で意見を出してもらう
考えをうまく言語化できない 考える時間を渡す
意見が出てこない ・事前の情報共有や会議のリマインドを行う
・考えるポイントを提示する
過度な緊張がある チェックインで話す練習をする

上司がほとんど話している

上司が会議で主導権を握り、会議のほとんどの時間を話している場合、他の参加者は自身の意見を言うことは難しいです。意見を述べるための機会を与えられていないと感じるためです。
会議での上司の存在が圧倒的であると、部下は自分の声を上げることが躊躇されます。

また、上司が会議で積極的に発言していると、部下は自分の意見が求められていないと感じ、無用な重複や意見の衝突を避けるために意見を言わないようになります。

上司がほとんど話していることへの対策

上司が会議のほとんどの時間を話しているために、意見が出なくなっている場合は、部下が話す時間を設けるようにしましょう。

具体的には、会議のアジェンダに部下が発言する時間を設け、議題ごとに会議の参加者が意見を述べられるようにします。
また、会議の進行中には上司が積極的に部下たちの意見を求め、部下に発言する機会を与えることも重要です。

上司が会議に参加している部下の発言を促進し、意見を尊重する姿勢を示すことで、部下たちも自信を持って意見を述べられるようになります。

【参考コラム】
会議アジェンダ【テンプレート集】効果的な作成方法と円滑な進行方法

上司が意見に対して否定したり感情的になる

上司が意見に対して否定したり感情的になると、他の参加者が意見を出しづらくなります。
上司が否定的な態度を示すと、他の会議の参加者は自分の意見が尊重されないと感じるためです。

上司が意見を否定する姿勢を見て、他の参加者は自らの意見が受け入れられないという恐れから、意見を言わないという選択をとるようになります。

また、上司の感情が高ぶると、建設的なディスカッションが妨げられると感じ、意見を出すことが難しくなります。

上司が意見に対して否定したり感情的になることへの対策

上司が意見に対して否定したり感情的になるために、意見が出なくなっている場合は、会議のグランドルールを設けましょう。

グランドルールとは会議やコミュニケーションにおける基本的なルールを定めたもので、ルールを設けることで参加者が互いに尊重され、安心感を持って意見を述べられる環境が整います。

例えば、グランドルールで「相手の意見の良し悪しをジャッジするように聞くのではなく、探究する姿勢で聴く」という内容を設けるとしましょう。
すると意見に対しての否定的なコメントをするのではなく、なぜそのように考えたのか、という背景を理解しようとしやすくなります。

ルールの内容は会議で何を求めるかによって調整が必要です。ルールの作り方についてはこちら「プロファシリテーターが伝授!失敗しないグランドルールの作り方と扱い方」のコラムをご覧ください。

なお、ルールを設ける際は「ルールがなぜ大切か」を伝えることがとても重要です。
ルールが大切なものだという認知になると、自然とルールが守られるようになるためです。会議の場にファシリテーターがいる場合は、ルールについて丁寧に説明するようにしましょう。

ルールをただ読み上げるのではなく、そのルールを設けている背景を含めて説明することで意見を言いやすい環境が整います。

【参考】グランドルールとは
グランドルールとは会議やワークショップ等をより効果的に進めていくために定めるルールのことです。ルールを設けることで参加者が互いに尊重され、安心感を持って意見を述べられる環境が整います。

アーティエンスでは、下記の内容をワークショップの目的・目標に応じて、カスタマイズしていきます。

※ 当社、ファシリテーター育成コースのテキストより抜粋

最終的には上司自身の意見にもっていく

会議でさまざまな意見が出ても、最終的に上司の意見を採用することが多いと、他の参加者は意見を出さなくなります。
自らの意見を出すことに意味を見出させなくなるためです。

自らの考えや視点が尊重されないと感じ、会議において積極的に意見を述べることをやめるようになります。

上司が最終的には自身の意見にもっていくことへの対策

上司が自分の意見を採用するため意見が出なくなっている場合は、意思決定のルールを決めましょう。
意思決定のルールとは、会議での意思決定プロセスを明確にし、公平性と透明性を確保するための枠組みとなります。意思決定のルールでは、公平な意思決定プロセスを確保するための原則を盛り込むことが重要です。その前提があると、自分の意見を述べる意味が見出せます。

例えば、上司が自分の意見ばかりを採用しているのであれば、会議に参加している人の多数決によって決める、というルールを設けると、上司が自由に判断することを防げます。
この時に、無記名にするなどの工夫も必要です。

他にも、皆の意見を聞かずに最終的な判断がされてしまっている場合は、必ず全員の意見を聞いた上で最終的な決定をする、という意思決定のルールを定めておくと、参加者全員の意見が反映されやすくなります。

このように、上司が一人で判断するのでなはく、会議の参加者全員が納得できる意思決定を行うためのルールを作ることで、会議の参加者が主体的に意見を言おうと思えるようになります。

意見を先に言われて言うことがなくなる

部下としては、自分が考えていた意見を先に他の人に言われてしまうと、言うことがなくなり、意見を出せなくなります。会議の効率を考慮して、同じ意見を再度述べるようなことをしないためです。

「同じ意見でもいいから言って」と言われていたとしても、自分が考えていた意見を再度述べても発展がないし…と考えて、意見を言わない人も多いです。

意見を先に言われて言うことがなくなることへの対策

意見を先に言われてしまうために意見を言えなくなっている場合は、付箋を活用して意見を出してもらう仕組みを導入することが有効です。

付箋に書いて提出する仕組みだと、先に言われてしまったということを防げます。また、付箋を使用することで、タイムリミットや発言の順番に縛られず、自由な発想を促進できます。

付箋を活用する場合は、会議の準備段階で会議の参加者に付箋を配布し、会議の議論のタイミングで、一定の時間を設けて、自分の意見を付箋に記載してもらいます。

意見を書き終えたら参加者全員の付箋を集め、それぞれの意見を共有します。共有の仕方は、会議のファシリテーターや司会が読み上げてもいいですし、付箋を壁やホワイトボードに貼って、みんなで見る方法でも良いでしょう。

集められた付箋を全員が目にすることで、異なる視点やアイデアが共有され、より多様な意見が考慮されるようになります。

なお、付箋を活用する際に匿名で行う場合は、立場や役割に縛られず、率直な意見が出やすくなることも特徴です。

付箋を活用した意見出しの仕組みを導入することで、部下たちが自由に意見を述べる機会を確保し、意見を先に言われてしまうという問題を解消できます。

考えをうまく言語化できない

自分の考えをうまく言語化できないと、意見として出せる状態になりません。自分の中で意見ががまとまっていない場合、それを他の人が理解できるように伝えることが難しいためです。

自分の考えについて伝え方を間違えてしまうと、誤解されたり、意図した内容が伝わらないといったリスクがあります。こうしたリスクが先回りし、意見がまとまっていない状態で意見を出すことに抵抗を感じることがあります。

考えをうまく言語化できないことへの対策

考えをうまく言語化できないために意見を言えなくなっている場合は、考える時間を作るようにしましょう。自分の考えを整理し、言葉にできるようにするために考える時間が必要です。

議論の際に他の人の話を理解することで精一杯になってしまうと、自分の考えを言語化する時間を持てなくなるためです。

会議で問いが出た時は、会議のファシリテーターや司会が「今から3分間は個人で考える時間にしましょう」と伝えて、参加者がそれぞれ考える時間を設けます。その後、考えたことをシェアする流れにすると、意見を出しやすくなります。

意見が出てこない

会議の内容に対して意見が出てこないために、意見を言えない人もいます。大きく2つの理由が考えられます。

1つ目
会議のテーマに関わる十分な情報や知識がなかったり、準備不足していることです。この状態では考えるための情報が足りず、自分なりの意見を出すことが難しいです。

2つ目
会議の内容は理解できているけど意見が出てこない場合です。この場合は、考え方がわかっていないことが多いです。

このような理由で意見が出てこないと、会議で意見を言わない人を生み出してしまいます。

意見が出てこないことへの対策

意見を考えるための情報が不足しているために、意見を言えない場合は、事前の情報共有や会議のリマインドを行うことをおすすめします。

事前の情報共有では、前回の議事録や、共通認識を持っておいてほしい情報、会議中に読むには時間を要するデータや詳細の資料を送ることで、自分なりの意見も考えやすく、会議が進めやすくなります。

また、会議のリマインドを行うことで、会議の準備をする時間を作ろうと意識しやすくなります。この際に、会議の目的・目標やアジェンダも伝えておくことで、心構えをしやすくなります。

会議の内容は理解できているけど意見が出てこない場合は、考えるポイントを提示することをおすすめします。特に新入社員や若手社員は、どのような視点で考えればいいのかがわからない人も多いです。

例えば、「ユーザーの立場になったときにどう思う?」「納期とクオリティーを維持するためにどうすればいいだろう?」などです。
このように考えるポイントが提示されると、自分なりの意見が出てきやすいです。

このように意見を出したいのに出せないと言う人もいるため、少し支援をすることで自分なりの意見を促せるようにしましょう。

過度な緊張がある

会議で自分の意見を言うことに緊張すると、会議で意見を出せなくなります。

緊張する理由はさまざまですが、例えば、他の参加者や上司からの評価や批判を恐れている場合だと、意見を言うことでネガティブな評価を受けないようにするために、意見を言わないことで自分を守ろうとしています。

他にも、自分の意見が他の人と異なる場合も、対立することへの不安や、自分の意見に対する拒絶を心配してしまい、意見を出すことが難しくなります。

どちらも意見を出すことでネガティブなことが起こるのではないかという不安を感じてしまっていて、参加者が安心感を感じられていないことが問題です。

緊張して言えないことへの対策

会議の参加者が会議の場に対して安心感を感じられずに緊張してしまい、意見を言えなくなっている場合は、チェックインで話す練習をする時間を設けると良いです。

チェックインとは、研修やワークショップの始めに「その場に入る」ために用いられる導入ワークやアイスブレイクとして用いられます。
会議のはじめに、今の正直な気持ちや気になっていることなどをありのままに1分程度で話してもらいます。

会議で一度話す経験をすることで、大勢の前で話すことに慣れ、また他の参加者が自分の話を受け入れてくれるという感覚を得られるため、その後の意見を出しやすくなります。

緊張してしまう参加者にとっては、チェックインという練習を通じて緊張を和らげ、自信を持って意見を述べられるようになります。

【参考】チェックインとは

チェックインとは、研修やワークショップの始めに「その場に入る」ために用いられる導入ワークやアイスブレイクの一つです。

チェックインを行うことで意見を出しやすくなります。ただ、チェックインで話すテーマを決めたり順番を決めると、参加者が受け身になったり、オープンにならない場合があります。そのためチェックインは、自由度高く実施する方が場創りに関しては望ましいです。

アーティエンスではチェックインの前に下記ルールを説明して、実施しています。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

このように会議で意見が出ない理由はさまざまなため、自組織ではどのようなことが原因になっているのかを考えて適切な対策を行いましょう。

2)会議での「意見の質」を上げるための方法

会議の意見をよりよくする方法について、大きく2つの切り口からお伝えします。

会議をデザインする ・目的・目標・アジェンダを明確にし、事前に連絡する
・事前に意見を考えてもらう
・話しやすいレイアウトにする
・備品を用意する
・グランドルールを設ける
・チェックインとチェックアウトを行う
ファシリテーターをアサインする ・フレームワークをもとに状況を整理する
・言語化の支援を行う
・質問やフィードバックをする

①6つの観点で会議をデザインする

会議の意見をより良くするためには、会議をデザインすることが必要です。
会議の場の質が高く、すべきことが明確になっていると、会議に主体的に参加できるようになり、結果的に会議での意見もより良くなります。

会議をデザインするというのは、具体的に次のことを行うことです。
①目的・目標・アジェンダを明確にし、事前に連絡する
②事前に意見を考えてもらう
③話しやすいレイアウトにする
④備品を用意する
⑤グランドルールを設ける
⑥チェックインとチェックアウトを行う

それぞれ説明します。

目的・目標・アジェンダを明確にし、事前に連絡する

まずは、会議の目的、目標、アジェンダを明確にし、事前に連絡します。

事前に何についての会議かを理解できると、無意識のうちにも心の準備を行えます。

目的・目標について共有がないと、成果物が出ずに終わってしまうことになりかねませんし、参加者が好き勝手話して終わるということも発生しやすくなります。

また、アジェンダがあることで、参加者が会議の時間の使い方を把握できます。
「今何を話せばいいのか?どの程度時間を使えるのか?」ということがわかると、目標を達成するために参加者同士で協力し合うということも起きます。

参考までに目的、目標、アジェンダの参考として、アーティエンスが経営会議で用いた内容を紹介します。

このような情報が事前にわかっていると、会議への参加理由も明確になり、参加者それぞれが主体的に参加しやすくなります。

事前に意見を考えてもらう

会議の時間が限られている時や、テーマが複雑な時などは、会議の目的・目標・アジェンダを共有する際に、事前に意見を考えてもらうこともおすすめです。

会議の時間は限られているため、参加者がそれぞれ十分な時間を使って考えることが難しいためです。

例えば、アーティエンスで実施している人事勉強会では次のような事前ワークを用意しています。

※過去のGrowth Meetingより一部抜粋

ただ「意見を考えてください」と伝えるだけだと、考えるポイントがズレてしまうため、考えてもらいたいポイントを具体的に伝えることも大切です。

話しやすいレイアウトにする

話しやすいレイアウトを用意しておくこともポイントです。場のセッティングを行うことで、会議やワークショップの場の質が上がります。

レイアウトは下記の図のように多くの種類があります。会議の内容に適切なレイアウトを選択しましょう。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

テキストを見ながら講師の話を聞くなど、スピーカーの話を聞きながらも机での作業が必要になる場合は、スクール形式やコの字形式が良いです。

スピーカーの話を聞くことがメインの時はシアター形式やバズ形式がおすすめです。
そしてグループワークが多い時は島形式、対話がメインな時はサークル形式などがよく使われます。

備品を用意する

会議で必要な備品を用意することも忘れずに行いましょう。会議が始まってから、準備したり、別室に物を取りに行くというような時間が発生すると、会議への意識が緩んでしまいます。

備品は会議の内容によって変わりますが、備品の例を参考までに紹介します。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

リラックスした状態で会議を行いたい場合は、音楽やお菓子を用意することもあります。

会議の目的によって必要な備品をリスト化し、当日の準備がスムーズに行えるようにしておきましょう。

グランドルールを設ける

会議でのグランドルールを設けることもポイントです。1章でもお伝えしたように、グランドルールを設けることで参加者が互いに尊重され、安心感を持って意見を述べられる環境が整います。

プロファシリテーターが伝授!失敗しないグランドルールの作り方と扱い方」のコラムを参考に会議に合わせた適切なグランドルールを作り、意見を出しやすい場を作りましょう。

【参考】グランドルールとは
グランドルールとは会議やワークショップ等をより効果的に進めていくために定めるルールのことです。グランドルールは、会議・ワークショップの目的・目標を達成するための心強い味方になるため、その会議・ワークショップにあわせた内容にすることが必要です。

また、ファシリテーションにおけるグランドルールの扱い方として、「ルールがなぜ大切か」を伝えることがとても重要です。グランドルールが、大切なものだという認知になると、グランドルールを守ります。そして、対話・議論の場の質が高くなっていきます。

アーティエンスではチェックインの前に下記ルールを説明して、実施しています。

※ 当社、ファシリテーター育成コースのテキストより抜粋

チェックインとチェックアウトを行う

会議のはじめと終わりにチェックインとチェックアウトを行うことも会議の質を高めるために大切な要素です。1章でお伝えしたように、チェックインを行うことで練習を通じて緊張を和らげ、自信を持って意見を述べられるようになります。

また、チェックアウトも言い残しをしないために重要です。

会議で言えなかったことや、会議での発言が誤解を与えてしまってそうで心配という時に、チェックアウトでそのことを出せると安心できます。

【参考】チェックインとは

チェックインとは、研修やワークショップの始めに「その場に入る」ために用いられる導入ワークやアイスブレイクの一つです。

チェックインを行うことで意見を出しやすくなります。ただ、チェックインで話すテーマを決めたり順番を決めると、参加者が受け身になったり、オープンにならない場合があります。そのためチェックインは、自由度高く実施する方が場創りに関しては望ましいです。

アーティエンスではチェックインの前に下記ルールを説明して、実施しています。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

【参考】チェックアウトとは

チェックアウトとは、研修やワークショップの終わりに今の気持ちや、言い残したこと、今後についてなど、自分の気持ちを一言ずつ発言していくことです。

気になっていることが解消されることで安心感を持って会議を終われるようになったり、会議の課題の理解が深まるなどの効果があります。

このような準備をした上で会議を行うと、会議に対する当事者意識が高まり、質の良い意見が出やすくなります。

②ファシリテーターをアサインする

会議の意見をより良くするためには、ファシリテーターをアサインすることが効果的です。
ファシリテーターの関わりによって、参加者が意見をより出しやすくなるためです。

ファシリテーターの関わり方として、具体的に次のようなものがあります。

・フレームワークをもとに状況を整理する
・言語化の支援を行う
・質問やフィードバックをする

それぞれ説明します。

フレームワークをもとに状況を整理する

議論の停滞、無言の状態が続く、表面的な話し合いにとどまっている場合には、フレームワークを用いて状況を整理することで、会議の意見がより良くなります。

ファシリテーションの際によく使われるフレームワークは次の5つです。
・OARR
・分かっていることと、分からないこと
・マトリックス
・プロセス図
・KPT

以下にそれぞれ説明します。

OARR(オール)
デイビッド・シベッツ氏が提唱した「会議やワークショップをスムーズに進める」ためのフレームワークです。
Outcome(会議の目的・目標)、Agenda(進行スケジュール)、Roll(役割)、Rule(会議での約束事)が会議の準備の段階で明確になっていると、会議の質が上がります。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

「分かっていることと、分からないこと」
対話・議論の始めに活用することでお互いの背景が分かります。背景が分かることで、参加者の認知が広がり、議論や対話を深く行うための準備段階として活用できます。

具体的には、下記のような表を用意して、個人で考えてもらい、その後まずは「わかっていること」について順番を決めずにシェアし、次に「わからないこと」を順番を決めずにシェアしてもらいます。そして出来上がった表を見て、感想や質問、伝えたいことを話すと、お互いの背景がわかるため、後の対話や議論の際に影響を与えられます。 分かっていることと分からないこと

マトリックス
万能型のフレームワークです。議論・対話の整理から意思決定まで、さまざまな場面で活用が可能です。
例)意思決定を行う際のマトリックス

議論したいことについてマトリックスで整理することで、理解しやすくなり、意見が出やすくなります。

プロセス図
万能型のフレームワークです。事業の推進のゴール設定や、振り返りなどさまざまな場面で活用が可能です。

例えば、新規事業のゴールを設定する会議の場合は、次のようなプロセス図になります。

プロセスをわかるように可視化することで、イメージしやすくなり、より良い意見が出やすくなります。

KPT
振り返りの際に用いるフレームワークです。
KEEP(続けるもの)、PROBLEM(改善するもの)、TRY(次回チャレンジするもの)を洗い出して、次回をより良いものにしていきます。

これらのフレームワークの具体的な使い方については「ファシリテーションを支える6つのフームワークを知ろう│注意点にも言及」をご覧ください。

言語化の支援を行う

ファシリテーターとして言語化の支援を行うことも、会議の質を高めることにつながります。

たとえば、話がまとまっていない状態で長く話し続ける人がいた場合、彼らの言いたいことが不明確になることがあります。
このようなときには、「〇〇ということで合っていますか?」や「私は〇〇と理解しましたが、それで正しいですか?」といった形で、話を要約して確認を求めると良いでしょう。これにより、他の参加者も話の内容を理解しやすくなります。

参加者がお互いの意見をスムーズに理解しあえる状態を作ることで、相乗効果が促進され、より良い意見につながります。

質問やフィードバックをする

ファシリテーターとして質問やフィードバックをすることも、会議の質を高めるために重要です。

例えば、意見が出ない状態が続いたときに「今沈黙状態が続いていますが、〇〇というゴールを達成するためにはどうしたら良いでしょうか」という問いを投げることで、参加者に変化を促せます。

他にも、参加者の様子を見て「この施策は、本当に現実的ですか?現場のメンバーのコミットの観点が抜け落ちているように見えます」というようなことをフィードバックすることで、参加者に気づきを与えることもできます。

このようにファシリテーターをアサインすることで、会議の質を高め、意見をより良くすることにつながります。

3)まとめ|ファシリテーター育成ならアーティエンス

本コラムでは、会議で意見がでない理由と対策についてお伝えしました。

原因 対策
上司の問題 上司がほとんど話していて、部下が離せない 部下が話す時間を設ける
上司が意見に対して
否定したり感情的になる
グランドルールを設ける
最終的に上司自身の意見にもっていく 意思決定のルールを決める
部下の問題 意見を先に言われて
言うことがなくなる
付箋で意見を出してもらう
考えをうまく言語化できない 考える時間を渡す
意見が出てこない ・事前の情報共有や会議のリマインドを行う
・考えるポイントを提示する
過度な緊張がある チェックインで話す練習をする

会議で意見が出ない理由と対策について、上司と部下それぞれの問題から説明すると次のようになります。

このように会議で意見が出ない理由はさまざまなため、自組織ではどのようなことが原因になっているのかを考えて適切な対策を行いましょう。

会議の意見をよりよくする方法について、大きく2つの視点からお伝えしました。

会議をデザインする ・目的・目標・アジェンダを明確にし、事前に連絡する
・事前に意見を考えてもらう
・話しやすいレイアウトにする
・備品を用意する
・グランドルールを設ける
・チェックインとチェックアウトを行う
ファシリテーターをアサインする ・フレームワークをもとに状況を整理する
・言語化の支援を行う
・質問やフィードバックをする

これらの点を踏まえて会議をよりよくしていきましょう。

なお、アーティエンスでは、会議の課題を解消するために必要な講師派遣型・公開講座で会議ファシリテーターの育成を行っています。
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高品質な会議は生産性向上、決断の迅速化、創造力の活性化、そしてチームワーク強化につながります。
会議に出席する人が当事者意識を持って意見を出し、仕事の質を高められる状態を作りましょう。

ファシリテーターの育成について興味のある方、もう少し詳しく話を聞いてみたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください