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【新入社員フォローアップ研修】タイミングや内容は?押さえたい3つのポイント

新入社員がガッツポーズしている写真

2023/8/1更新ー 2022/11/11作成ー

「新入社員にフォローアップ研修をしたいが、最適な内容やタイミングは?」

新入社員研修は適切な内容・タイミングで行わなければ、効果が低くなります。例えば、新入社員が組織に対してネガティブな感情が強くなり退職を考えているタイミングで行っても、退職を止められない可能性が高くなります。

そこで本コラムでは、「新入社員のフォローアップ研修とは何か?新入社員のフォローアップ研修の具体的な内容や、実施タイミングを考えるための事例をご紹介します。

本コラムを最後まで読んでいただくと、自組織でどのようなフォローアップ研修で行うべきかが分かります。

監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。


新入社員研修サービス資料
講師派遣型資料 公開講座型資料

目次


新入社員研修成功事例集

1)新入社員のフォローアップ研修とは「新入社員が自分の未来に希望が持てる研修」

新入社員フォローアップ研修とは、新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てる状態になるため研修です。

「新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てる」と、インサイドアウト(※)が促され、新入社員が自ら前に進もうとする動きが強まります。逆に、自身のキャリア・未来と組織に対して、希望が持てないと、新入社員の成長やモチベーションを高めることは難しく、離職に繋がることもあります。

当社のお客様の事例ですが、優秀層を採用しているメーカー様では、成長する機会がなく、組織に希望が持てなくなったことで、多くの若手社員が離職してしまうということが起きていました。
この会社は、ヒット商品があるために”それなりの活動”でもやっていくことができる状態でした。現状維持の体制が強かったために成長する機会が無く、自身のキャリアや組織に対して希望を持てなくなった社員が離職するということが起きていたのです。

ただし、新入社員研修のフォローアップ研修から、2年目・3年目のフォローアップ研修を行うことで、大幅な離職率を改善していきました。このようなことが起きないためにも、フォローアップ研修によって、「新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して希望」が持てるようにし、新入社員の成長を促していきましょう。

【参考】インサイドアウトとは

新入社員研修サービス資料
講師派遣型資料 公開講座型資料

2)新入社員のフォローアップ研修の2つの目的

新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てる」状態にするための機会となるフォローアップ研修の目的は2つです。

① 新入社員が、組織から成長を支援してもらえると感じること
② 新入社員が、自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになること

それぞれ説明していきます。

① 新入社員が、組織から成長を支援してもらえると感じること

新入社員が組織から成長を支援してもらっていることを感じられると、今後も自分自身のスキルを高めて成長していけると思えます。そして、自身のキャリアに希望を持つことができます。
組織が成長を支援するということは、あなたにこの組織で頑張って欲しいというメッセージにもなります。新入社員フォローアップ研修を通して、伝えやすいメッセージでもあります。

例えば、組織が新入社員の成長を支援するために、問題解決力を高める研修を実施するとします。新入社員は、今よりスキルが身に付くことで、成長できるということを感じることができますし、問題解決力を身に付けることで、仕事の成果にも影響がでるため、自身のキャリアについて希望を持つこともできます。

逆に組織から成長を支援してもらえないと、自分の成長に限界が見えてしまい、このままこの組織にいても良いのだろうかという疑問が生じてしまい、最悪の場合、離職へと繋がります。

② 新入社員が、自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになること

新入社員が自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになると、今やっている仕事が未来に繋がることをイメージできます。そして、自身のキャリアと組織に対して希望が持てるようになります。

例えば、将来AIの技術によって社会問題の課題を解決できるようになりたいと思っている新入社員がいるとしましょう。実は、この時にAI関連の研修をしなくてもいいのです。
研修の中でAI業務に携わっている先輩のストーリーを聞く時間を設けます。その先輩が新入社員初めての配属が希望通りではなかったことなど、さまざまな逆境を乗り越えて、AIを扱っている部署に移動し活躍している話を聞いたとします。この話を聞き、自身のありたい姿のように活躍している先輩がいるとわかると、自身のキャリアについて希望を持つことができます。
しかし、自組織で叶えられると思えていないと、いくらこの組織で仕事をしても意味がないという考えが強くなり、離職に繋がることがあります。

新入社員研修成功事例集

3)新入社員のフォローアップ研修の2つの内容

新入社員のフォローアップ研修の内容は、2つの目的を達成するための内容に分かれます。

① 新入社員が、組織から成長を支援してもらえると感じることを目的にした内容
② 新入社員が、自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになることを目的とした内容

それぞれの内容をお伝えします。

① 新入社員が、組織から成長を支援してもらえると感じることを目的にした内容

新入社員が組織から成長を支援してもらえると感じることを目的にした内容で、具体的には下記の3つがあげられます。

・ビジネススキルの向上
・コミュニケーション力の向上
・論理的思考力の向上

それぞれ説明します。

ビジネススキルの向上

ビジネススキルを再度学び直すことで、より高いレベルでのビジネススキルを習得します。配属前の研修で学んだとしていても、現場に出てから多くの新入社員は得手不得手が出てきます。強みはより活性化するように働きかけ、弱みは改善するために新入社員のフォローアップ研修を行います。今より成果を上げることが出来そうと思えることで、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てること」に繋がります。

例えば、当社の上司との協働体感研修では、ビジネススキル(要件定義、タスク分解、スケジューリング、報連相、問題再発防止)を活用しながら、上司役である講師とシミュレーションワークを行います。その中で、自分たちの強みや弱みを探求し、現場での活用法を考えます。

このようにビジネススキルを再度学び直しながら、自身の強み・弱みを通して、どのように現場で仕事のスピードや質を高めていくかを探求します

コミュニケーション力の向上

上司・先輩やクライアントとのコミュニケーションの機会を円滑に進め、より良い関係性を構築していくことを目的としています。

上司・先輩やクライアントとのコミュニケーションの中で出てきた不安の解消や、より良い関係性を創るためのヒントを得ます。今より周りとコミュニケーションが円滑に行えそうと思えることで、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てること」に繋がります。

例えば、当社でコミュニケーションをメインに扱う関係性構築力研修では、自身のあり方を見つめ、関係者とのコミュニケーションをより円滑にする方法を学びます。

このようにコミュニケーション力を向上させ、周囲やクライアントとの関係性が良くなることで、仕事を進めやすくなることを想像できるような機会を設けます。

論理的思考力の向上

ロジカルシンキングを身に付けることで、相手のニーズを正しく把握し、期待を超えるレベルを目指すことを目的としています。

課題を解決するときに、今までは先輩に相談しないと考えられなかった解決策を、新入社員自身で考えられるようになるかもしれないという期待が膨らみます。新入社員自身が、今より成果を上げることが出来そうと思えることで、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てること」に繋がります。

例えば、当社のロジカルシンキング研修では、相手の期待に応えるために“自分自身でロジックを創る方法”を繰り返し学びます。

このように論理的思考力が向上し、新入社員が自分自身で解決策を導くことができることを体験するという機会を設けます。成長のために必要なスキルを提供することで、新入社員自身がより仕事を前に進められることを実感できる内容です。そうすると、新入社員が組織から成長を支援してもらえると感じることでしょう。新入社員向けロジカルシンキング研修については、新入社員も使いたくなる!仕事効率と成果を上げるロジカルシンキング研修もあわせてご参考下さい。

② 新入社員が、自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになることを目的とした内容

新入社員が自分のありたい姿を自組織で叶えられると思えるようになることを目的とした内容は、具体的には、下記の2つです。

・「目指したい姿」を探求する内容
・振り返りを通して、成長実感・予感を体感する内容

それぞれ詳しく説明します。

「目指したい姿」を探求する内容

新入社員自身の「目指したい姿」を通して、自らの「現状」と「課題」に向き合うことを目的としています。

「目指したい姿」を通して今ある課題と向き合うと、課題はネガティブなものではなく、成長に繋がるもの、自身の人生を豊かにするものと捉えられます。「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てること」に繋がります。

例えば、当社の成長力強化研修では、自らの「現状」と「課題」に向き合い、これからの「目指したい姿」を探求していきます。

振り返りを通して、成長実感・予感を体感する内容

現場における実践の振り返りを通じて、自身の成長を認知し、組織との自己組織化を促進することを目的としています。

※自己組織化とは:
働く一人ひとりの構成員が、経営や上司などからの命令や階層による権威ではなく、自己管理によって、状況に応じた最適解を見出し、自らが意思決定し、スピーディーで柔軟に対応する組織を指します。(引用:
自己組織化|キーワード|HUMAN VALUE

これまでの成長を実感し成長予感が高まると、エンゲージメントも高くなるため、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てること」に繋がります

例えば、当社の1年目フォロー研修では、自らが成長することで、組織の成長につながる一歩を踏み出せる状態を目指します。この研修では、素晴らしい成長について考えるワールドカフェのワークを行います。

※ワールドカフェとは:
『カフェ』のようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行い、他のテーブルとメンバーをシャッフルして対話を続けることにより、参加した全員の意見や知識を集めることができる対話手法の一つです。(引用:
ワールド・カフェの手引き

ワールドカフェのワークでは、「2年目が終わる頃、みなさんが心から望む成長の姿を考えてみましょう」というような問いに対して、グループで対話をしてもらいます。対話の中で自身の想いを言語化することで、自分が考えていたことに気が付き、ありたい姿が明確になっていくことが起きます。

このように、振り返りを通じて、自身の変化を認知する機会を設けます。上記の内容を組み合わせて、両方の目的に沿った内容の研修にすることも可能です。

新入社員研修成功事例集

4)新入社員のフォローアップ研修を実施すべき組織の特徴

新入社員のフォローアップ研修を実施するべき組織は、「新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持ちにくくなっている」組織です。

このような状態では、成長実感も成長予感も育まれず、またエンゲージメントも高まりません。
そして新入社員のパフォーマンスも上がりませんし、離職率も上がっていきます。

具体的によく起きる行動は、

・新入社員のサーベイの数値結果が低い
・挨拶の声が小さいなど、元気がない
・会社や仕事、上司への不満など、ネガティブな発言が多い
・言われたことしかやらないなど、仕事に対してやる気がない
・何度も同じミスをするなど、仕事の習得度合いが低い

というような状態です。

このような状態にあるときは、新入社員の成長が思うように進んでいなかったり、新入社員にストレッチをかける必要があるため、新入社員のフォローアップ研修の実施を検討しましょう。  

当社では、市場調査による新入社員の課題意識と学術的背景を元にして、次のようなスケジュールで新入社員のフォローアップ研修を実施しています。業界や組織によって、もちろん課題意識の差や、課題意識が起きるタイミングが異なりますが、ぜひ一つの参考にしてください。

※ 当社資料より一部抜粋

上記のタイミングを踏まえて、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持ちにくくなっている組織」は、フォローアップ研修を実施することをおすすめします。

5)新入社員のフォローアップ研修の事例

実際にどのようなフォローアップ研修を行っているのか、下記事例をご紹介します。

① 希望が持てていない状態から前向きな行動を促す
② 半年間の変化・成長を確認して、成長意欲を強化する
③ 自身の未熟さを認知し、コミュニケーションが仕事の成果に影響することを知る
④ 2年目になる不安を、期待や楽しみにする

① 希望が持てていない状態から前向きな行動を促す

【企業情報】
・業種:人材紹介業界
・社員数:約50名
・実施研修:新入社員・OJTトレーナー合同研修(公開講座)

新入社員が「自らの成長・変化を実感」し、「どのように成長スピードを上げていくか」を新入社員とOJTトレーナーと共に探求することを目的とした研修です。

【具体的な内容】
8月末の時点で、「会社に対して良い感情を抱けなくなりました」というサーベイのフリーコメントでアラートを出していた新入社員が、新入社員・OJTトレーナー合同研修(公開講座)に参加して、意識が前向きに変化したという事例です。

研修を終えた後のアンケートでは下記のような内容が記載されていました。

・成長をするためには、なぜ自分が成長したいのか、どんなふうに成長したいのかを軸として持っておく必要があると気づきました。
・周囲との比較ではなく過去の自分との比較で成長を測ることも学びました。
・上司、先輩を巻き込むためには自ら行動し、コミュニケーションを増やすのが良いというのはいろいろな対話で出た話だったので心に留めておきたいです。

この企業様は、1年間に渡り当社の公開講座を実施していました。研修前に必ず行うパルスサーベイGrowthでネガティブなコメントが見れました。モチベーション高く仕事を前向きに行っている印象があった新入社員から、突然8月に「会社に対して良い感情を抱けなくなりました」というコメントが出てきました。

一旦9月の合同新入社員・OJTトレーナー合同研修の中で様子を見てみることとなりました。

研修の中で「1年目が終わる頃、私たちが心から望む成長の姿を考えてみましょう。」というテーマで対話を行う時間がありました。その中で、新入社員の方が「自分は成長したいと思っていたけど、何のためにが無かった。だから、成長実感も持てていないし、組織に対して希望を持てなくなるのかもしれない。」というような内容を話していました。

対話の中で、このような気付きを得ることができたのだと思います。
この新入社員の方は、成長して何をやりたいか、どうなりたいのが無いために、成長することが目的になっていたことに自身で気が付きました。この方の場合は、成長することが目的になっていたため、スキルが身に付いていないなどで成長を実感できなくなると、この組織にいる意味が分からなくなってしまったのではないかと感じました。研修の最後には、自身のありたい姿をちゃんと考えたいという発言が出ていました。

このように、自身の成長や目指すところについて内省する時間を研修で創ることができたことで、「自身のキャリア・未来と組織に対して希望が持てなくなっている状態」から、自身と向き合い、今の組織で仕事をしながら、ありたい姿を探すという前向きな行動を促すことが出来ました。

② 半年間の変化・成長を確認して、成長意欲を強化する

【企業情報】
・業種:SIer会社
・社員数:約400名
・実施研修:フォローアップ研修(派遣型)

これまでの半年間を振り返り、これからの成長に向けての意識・行動を強化する研修です。

【具体的な内容】
10月に半年の節目の振り返りとして半年間の変化・成長を確認することを目的に、新入社員のフォローアップ研修を実施しました。

日々の業務に追われ、振り返る機会を設けられていない方が多かったですが、4月からの成長に気が付くことができたという感想とともに、下記のような「まだ成長段階だから頑張っていきたい」という前向きなコメントが出てきました。

・同期と話をすることで、仕事面での不安や不明点を解消することが出来ました。みな同じことで悩んでいたり、違うことで悩んでいる人もおり、まだ成長していく段階であると感じました。また、今回の研修を活かして作業をしていきたいと思います。
・自分が成長するためには何が必要か考える機会になり、今後より一層様々な面で成長していきたいと感じた。
・コミュニケーション取ることや第三者の意見を積極的に取り入れることでより自分自身の仕事の質が向上すると思いました。

この研修では、半年間を振り返りフォローする内容と、「目指したい姿」を探求する内容を扱うことで、成長実感と成長予感にアプローチしています。 半年間を振り返りフォローする内容については、事前課題として実施した振り返りシートを元に、グループでシェアし、シェアが終わったら、話を聞いたグループのメンバーが素晴らしい点や印象に残った言葉を送るということを行います。グループメンバーから感想をもらうことで、自身では気が付かなかった視点からの成長にも気が付くことができます。このワークによって自身の成長を実感することができたのではないかと思います。

また、「目指したい姿」を探求する内容については、ワールドカフェを行い、ありたい姿を考えて頂きました。ありたい姿を言語化することで、気づきを得ていました。

※ 実際の研修の様子

こちらのSIer会社様は、お客様先に常駐して仕事を行っているため、同期との交流がほとんどありません。そのため、7月の研修以来、久しぶりに同期と会話したことで、みんな同じようなことで悩んでいるということを知り、安堵している様子も見受けられました。

このように成長を振り返る新入社員のフォローアップ研修を行うことで、自身の成長を実感し、これからの成長にエンジンをかけていくことができます。

③ 自身の未熟さを認知し、コミュニケーションが仕事の成果に影響することを知る

【企業情報】
・業種:中堅IT企業
・規模:1,500名、新入社員20名に実施
・実施研修:上司との協働体感研修


「上司との協働体験を通して、仕事の品質が上がることを知り、チームで仕事をする当事者意識・主体性を持つことの重要性を学ぶこと」を目的とした研修です。

【具体的な内容】
コロナ禍でテレワークが多くなり、「学生から社会人への切り替えができない」、「上司に対して主体的にコミュニケーションを取れない」という傾向が強く見られたため、「ビジネススキルの復習をしながらも、上司とのコミュニケーションを体感して仕事を進める」研修を、入社半年後の10月に実施しました。

研修後には、下記コメントがありました。

・ホウレンソウを自分ではできていると思っていたけど、客観的にはできていないということに気が付きました。
・上司と一緒にやっていくことを意識する。他者の意見も聞きながら作業を進めていく。
・皆に甘えてしまったところがあったので、自分の意見をあまり言うことができていなかったなと反省。これからの仕事では、もっと率先して思ったことを言っていこうと思いました。

新入社員自身が本研修のワークを通して、社会人としてまだまだ未熟なことや、上司とよりコミュニケーションを取ると仕事の成果に対しても大きく影響が出ることを理解しました。

※ 実際の研修の様子

コロナ禍でテレワークが多くなり、「学生から社会人への切り替えができない」、「上司に対して主体的にコミュニケーションを取れない」という傾向は、これからも見られると思います。その際は、入社半年後程度を目安に、ビジネススキルの復習をしながらも、「上司とのコミュニケーションを体感して、仕事を進める」研修を行うことをおすすめします。

④ 2年目になる不安を、期待や楽しみにする

当社では、毎年公開講座で1年間の振り返りとして1年目フォロー研修を実施しています。
毎年必ず出るコメントとして、2年目になるのが不安というものです。ただし、新入社員へのフォロー研修を丁寧に行うことで、後輩ができることや、2年目に対しての期待や楽しみを持つ傾向が多いです。

2022年3月に実施した新入社員のフォローアップ研修ですが、研修開始時次のような不安や少しネガティブなコメントが多く出ていました。

・後輩に教えられるかなという不安があります。
・入社したときは、仕事を覚えることに必死だったけど、息抜きの方法がわかってきた
・1年目は受け身の部分が多かった気がしている…

・1年間あっという間だった。2年目、本当にやっていけるのか…

しかし、研修最後には次のような前向きなコメントが多く出てくるようになりました。

※ 実際の研修の様子

本研修では、1年間を振り返りフォローする内容と、「目指したい姿」を探求する内容を扱うことで、成長実感と成長予感にアプローチしています。

当社の新入社員向け公開講座は1年に13講座あり、この全ての講座を受講して頂いている企業様もいらっしゃいます。そのため1年経つと、会社は違っても同期のような関係ができあがっており、他社にいるからこそ見えるお互いの成長している箇所を伝え合っていた姿が印象的です。

※ 実際の研修の様子

また、安心安全な場所があるからこそ不安も共有でき、その不安にどう立ち向かっていくのかという対話を行うことができます。一度不安を吐き出すと、漠然とした不安ではなくなるため、対応策が考えられるようになり、それが成長に繋がっていくという流れが起きていました。1年間の振り返りとして1年目フォロー研修を行うことで、2年目以降の成長に自分自身が期待できる状態をつくることができます。

6)新入社員のフォローアップ研修する際に抑えておきたいポイント

フォローアップ研修を実施する際に抑えておきたいポイントは、下記です。

・企画から、実施の流れを把握する
フォローアップ研修の費用を把握する
・フォローアップ研修の注意点を抑える

それぞれ説明していきます。

① 企画から、実施の流れを把握する

企画から実施までの流れは下記の通りです。

・配属先や新入社員へのヒアリング調査
・研修目的・ゴールの設定
・研修内容の設定
・研修の準備
・研修実施
・事後フォロー

具体的な進め方を説明します。

配属先や新入社員へのヒアリング調査

新入社員の配属先の社員や昨年度の新入社員にヒアリング調査(課題意識を聴く)を行い、新入社員育成に必要な要素やスキルを洗い出します。リアルな声を聞くことで、より適切なフォローアップ研修を検討することができるようになるためです。

例えば、当社では、ヒアリングして頂いた内容を共有して頂き、必要な要素を分かりやすいようにしています。

※ 当社資料より一部抜粋

研修目的・ゴールの設定

育成コンセプトとヒアリング調査をもとに、新入社員の目指す姿(ゴール)を定め、研修目的を設定します。新入社員の目指す姿を明確に言語化しておけると、その他の育成計画もスムーズになるためおすすめです。

研修内容の設定

研修目的・ゴールにあわせて最適な研修内容を設定します。研修によって、研修の目的や、新入社員の目指す姿が達成出来そうかをイメージしながら設定していきます。

当社では、研修の効果を最大限にするために、事前課題やフォロー施策もお客様と一緒に検討しています。この時に、人事の方や新入社員の負担や負担感を考えて、実施することが必要です。負担・負担感を考えないと、やらされ感や義務感が多くなり、研修効果が低くなるどころか、悪影響を与える場合もあります。

研修の準備

企画側である人事は、研修内容・日程などを新入社員本人と上司に通知し、講師・備品・会場の手配などを行います。新入社員の上司にも連絡する理由は、研修の日程に大切な打合せなどを外してもらい、研修の日を確保してもらうためです。

例えば、当社では次のようなシートを活用して、研修の準備を進めています。

【参考】研修内容・日程の伝え方人事から上司に対して、新入社員の内容と日程を伝える際に、組織として新入社員のフォローアップ研修がどれだけ重要かを伝えることがとても重要です。管理職が、新入社員のフォローアップ研修に対して、重要度が高いという認識を持つことで、新入社員の受け止め方も変わりますし、研修効果が高くなると言われています。

研修実施

研修当日、講師のフォローなども行いながら、研修を運営します。研修を見ている中で、気になったことがあれば共有し、研修の場がより良くなるようにしていきます。

事後フォロー

新入社員が行動変容し続けるためのフォローを行うことと、経営陣など上層部へのレポートをまとめます。研修を実施して終わりにしてしまうと、せっかく研修で学んだことが定着しないということが起きます。そのため、研修後のフォローが、スキルを定着させるために大切なポイントとなります。

当社では、フォロー施策のご提案を行い、上層部に提出できる状態のレポートをまとめてお渡ししています。上層部の理解も高まり、経営陣からのコメントを引き出しやすくなります。また新入社員にも共有して頂くことを推奨しています。レポートをみると、当日何を学んだかということが、思い出せるためです。 研修レポートの表紙

新入社員フォローアップ研修を内製で行うと自組織に完全にマッチした研修ができ、自由度も高くできますが、社内リソースが多くとられます。また人材開発のノウハウが少ない企業は、効果が低くなる場合もあれば、時代に即さない内容だと悪影響が出る可能性もあるため注意が必要です。新入社員フォローアップ研修を、外注で行う場合は、「研修効果を高めたい」、「工数を削減したい」という場合におすすめです。アーティエンスでは、上記の一連の流れを、お客様と一緒に創っていきます。

② フォローアップ研修の費用を把握する

自社で内製する場合

社内のメンバーがコンテンツ開発や講師を行う場合は、費用は発生しませんが、多くの時間を確保することが必要です。そのため、スケジュールに余裕を持って動いていくことが大切です。
※ 会議室を借りる場合や、備品のコストは確保しておくことが必要です。

外注(アーティエンス)の場合

当社の場合は、下記の料金設定になっています。

・公開講座の場合:お一人様あたり¥20,000~30,000/日(ご参加人数により異なります)
・派遣型の場合:企画のコンセプト・要件定義の設定から行うと¥600,000/日、パッケージ商品

の提供のみの場合は、講師料金¥300,000/日+受講生参加料金¥10,000/日

③ フォローアップ研修の注意点を抑える

フォローアップ研修を行う時の注意点は2つあります。

現場との連携を取る

新入社員は、研修の時間は業務ができなくなるため、現場との調整が必要になります。
現場からすると1日1名の人手が不足するため、研修に参加することをネガティブに捉える人もいます。そのため、新入社員が研修を受けることで、現場にもメリットがあることを伝え理解してもらうことが必要です。

余程の緊急事態以外は、新入社員が研修に集中できる状態を創るため、できるだけ現場でフォローしてもらえると研修に集中することができます。

新入社員がフォローアップ研修として、ロジカルシンキング研修を受けたことで、現場にもメリットがあることを伝える具体例をお伝えします。
新入社員からの提案が論理的で分かりやすく、最小限の手直しのみでクライアントに提案できるようになるなどが挙げられますし、報連相が分かりやすくなるなどです。

他にも、キャリア支援の研修の場合は、研修で行った内容を元に1on1を行うシートを作成すると、現場社員が1on1をやりやすくなるなど、現場にとってもメリットがあることを伝えましょう。事前に新入社員から研修日に行う必要がある仕事を引継ぎ、社内でフォローし合えると良いでしょう。

現場社員は、新入社員が早く自律自走できることを望んでいるため、そのことを具体的なメリットとして提示し、現場も新入社員の育成に協力的になってもらえるようにしましょう。

新入社員が研修に対して期待感を持てるようにする

新入社員が主体的に参加できるように、期待感を持てるようにすることも必要です。新入社員も1日仕事ができなくなるため、そのことに対してストレスに感じ、「何で研修なんて受けないといけないんだ」という気持ちの方もいます。しかし、そのような状態だと、仕事の様子が気になり仕事に集中しきれないがために効果が薄くなってしまうためです。

具体的には、事前課題を渡して、研修に参加するんだという心持ちを持ってもらう方法があります。
事前課題の中には、研修への期待や想いを記載してもらう内容や、社員にインタビューを行ってもらう内容などがあります。

※ 事前課題の振り返りシートとインタビューシート

他にも、冒頭でお伝えした研修内でインサイドアウト(※)を促し、研修に主体的に参加してもらえるようにすることもできます。新入社員のフォローアップ研修は、新入社員の成長支援のために行っていることを伝え、新入社員が期待感を持って研修に臨めることが、研修効果にも影響してきます。

新入社員研修成功事例集

7)まとめ

ここまで、新入社員のフォローアップ研修の目的や内容、事例について詳しく説明してまいりました。

本コラムから、新入社員のフォローアップ研修とは何かという前提の理解と、具体的な研修内容や事例から、具体的なイメージをすることができるようになっているのではないかと思います。新入社員の成長を促すことが、自組織の成長にも繋がってきます。

新入社員にキャリア・未来と組織に対して、希望が持てる状態にするための機会を与えられるよう、自組織でどのようなフォローアップ研修を行う必要があるか考えて頂けると嬉しく思います。

新入社員のフォローアップ研修についてはアーティエンスにご相談ください

アーティエンスでは、新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して、希望が持てる状態にするためのフォローアップ研修を派遣型、公開講座ともに実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

新入社員が自身のキャリア・未来と組織に対して、希望が持てる状態にするために、「ありたい」を醸成することを大切にしています。

※ 当社資料より一部抜粋

アーティエンスが実施する「新入社員フォローアップ研修」について詳しく知りたい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

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