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[ コラム ]
管理職研修の種類がわかる!4種類の目的別・おすすめ研修12選
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管理職研修、どう進める?経営と現場をつなぐ研修設計5ステップと14の研修例
「管理職研修をやりたいけれど、何から始めればいいのか分からない」
「どんな内容にすれば効果が出るのか迷っている」——そんな声をよく耳にします。
評価制度を見直しても、チーム体制を整えても、管理職の行動が変わらない。
せっかく研修を実施しても、「いい話だった」で終わり、現場のマネジメントにつながらない。
そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、管理職研修がうまく機能しない理由の多くは、「何をすべきか」から考え始めてしまうことにあります。
本来、研修設計の出発点は“何をやるか”ではなく、“何を変えたいのか”——つまり、組織としてどんな行動変化を起こしたいのかを明確にすることです。
しかし現実には、「検索して良さそうだったから」「他社が導入していたから」といった理由で、“外側の正解”を探して進めてしまうケースが少なくありません。
ただ、そのような方法を取るのは「どう進めればいいのか分からない」状態だからだと思います。
本コラムでは、管理職研修を効果的に進めるための5つのステップと、行動変容を促す7つのテーマ軸をもとに、研修を「実施して終わり」ではなく、“現場を動かす仕組み”に変える方法を具体的に解説します。
さらに、実際に研修を通じて管理職がチームの関係性を変え、成果につなげた事例もご紹介します。
「何をすべきか分からない」と感じたその瞬間こそ、研修のあり方を見直すチャンスです。
本コラムを通じて、経営の意図と現場の実践をつなぎ、組織が求める管理職像へ導く研修設計のステップを一緒に見ていきましょう。
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
1)管理職研修で「何をすべきか」ではなく「何を変えたいか」から始める
管理職研修を企画するとき、最初に考えるべきは「何をすべきか」ではなく「何を変えたいか」です。
“変えたい行動”が決まらないままテーマを選ぶと、効果の出ない研修になるためです。
たとえば「検索で部下育成スキル研修を実施すべきと書いてあったから、育成スキル研修をしよう」と決めたとします。
しかし実際には、「育成スキルを知らない」のではなく、「忙しくて対話の時間を取っていない」「部下に任せるより自分でやったほうが早いと思っている」など、行動を止めている要因が別のところにあるかもしれません。
このように、課題の本質を見極めずにテーマを決めてしまうと、現場の実態とズレた“的外れな研修”になってしまいます。
一方で、「どんな行動を変えたいのか」を先に明確にすれば、テーマ選定の軸がはっきりします。
そのための流れを5つのステップで説明します。
① 経営層に課題感をヒアリングする
最初に経営層へヒアリングを行い、「会社としてどんな変化を起こしたいのか」を把握しましょう。
管理職研修は、人材育成だけでなく経営課題を解決する手段でもあるからです。
経営が「なぜ今、管理職を育てたいのか」を正確に理解することで、研修の目的が経営方針と一致し、組織全体を動かす施策に変わります。
一方で、このステップを飛ばして「他社もやっているから」「去年と同じ流れで」と決めてしまうと、社内の納得感が得られず、形だけの研修になりがちです。
ヒアリングの目的は、“経営が感じている違和感”を言語化することです。
次のような質問を投げかけると、本音を引き出しやすくなります。
🔹質問例
「最近の管理職を見ていて、物足りないと感じる点はありますか?」
「今後の会社の成長に向けて、どんな管理職像が必要だと思いますか?」
「ここ数年で、現場やマネジメント層にどんな変化を感じていますか?」
「経営として、“この部分を変えたい”と感じているテーマはありますか?」
🔹進め方のポイント
・1対1のインタビュー形式がおすすめです。時間は30分〜1時間。
・“課題”よりも、“理想の状態”を聞く方が、前向きなテーマが引き出せます。
・回答を整理する際は、「経営が目指す組織像」「今のギャップ」「変化を起こしたい領域」の3つに分類すると明確になります。
経営が求める変化と現場の実情を結びつけることで、研修は経営の戦略的な打ち手になります。
② 管理職に求める役割・行動を明確にする
経営の意図を踏まえて、「管理職にどんな行動を期待するのか」を具体的に定義しましょう。
多くの企業では、「マネジメント力を高めたい」「リーダーシップを発揮してほしい」といった抽象的な言葉で目的を語りがちです。
しかし、これでは何をどう変えるべきかが曖昧なままで、研修後に成果を測定することもできません。
重要なのは、「何をできるようになってほしいか」を行動レベルで明確にすること。行動が具体化されると、研修で扱うテーマもフォロー方法も自ずと決まります。
以下の流れで進めましょう。
🔹進め方のステップ
1, 経営層ヒアリングの内容を整理する
前章で聞いた「経営が求める変化」をもとに、「管理職に求められる役割」を抽出します。
2, 役割を“行動”に分解する
「役割」だけでは抽象的なので、「その役割を果たすために、どんな行動が必要か」を言語化します。
具体化のイメージ例
| 抽象的な表現 | 行動レベルでの定義 |
|---|---|
| リーダーシップを発揮する | チームの方向性を言語化し、メンバーに共有する |
| 部下を育てる | 週1回の1on1で、部下の課題と成長を確認する |
| 経営と現場をつなぐ | 経営方針をチームで議論し、行動計画に落とし込む |
| チームをまとめる | 週次ミーティングで課題を共有し、改善策を合意形成する |
このように、役割を行動に翻訳することで、研修が目指す“行動変容”が明確になります。
行動が明確になれば、研修テーマも自然に導かれ、現場での再現性が高まります。
③ 現場ヒアリングによって実情を把握する
現場の声を直接聞き、管理職やメンバーが実際にどんな課題を感じているのかを把握しましょう。
経営と現場のギャップを埋めないままテーマを決めてしまうと、研修がうまく機能しなくなります。
たとえば、経営は「戦略実行力が足りない」と言い、現場は「忙しくて人を育てる余裕がない」と感じている――そんなズレが生まれがちです。
現場の実態を知らずに研修を企画すると、「うちの現場には合わない」「今それじゃない」と受講者に思われてしまい、定着しません。
現場にヒアリングを行うことで、表面化していない課題や、管理職本人が抱える“本音の壁”が見えてきます。
🔹進め方のステップ
1, 対象を決める
課長・係長クラスの管理職を中心に、部下を持つ層とメンバー層の両方を対象にします。
3〜5名ずつのインタビュー、または簡易アンケートを組み合わせると効率的です。
2, テーマを設定して聞く
“研修で扱いたいテーマ”を先に提示するのではなく、現場の日常行動や課題の背景を中心に質問します。
3, 回答を「行動」「認識」「環境」の3軸で整理
個人のスキル不足だけでなく、組織構造や時間的制約など、行動を妨げている要因も見える化します。
🔹質問例(管理職へのヒアリング)
「部下育成で一番難しいと感じていることは何ですか?」
「チームを動かすうえで、今どんな壁を感じていますか?」
「経営方針をチームに伝えるとき、どんな工夫をしていますか?」
「最近、マネジメントで“うまくいったこと/うまくいかなかったこと”はありますか?」
🔹質問例(メンバー層へのヒアリング)
「上司とのコミュニケーションで困っていることはありますか?」
「チームの雰囲気や動き方で、改善できそうだと感じる点はありますか?」
「上司にもっとこうしてほしい、と感じることはありますか?」
🔹まとめ方のコツ
・回答をそのまま箇条書きにせず、「課題の背景」→「望ましい行動」に整理します。
・「スキルが足りない」ではなく、「なぜその行動が取れないのか」を掘り下げると、本当に必要な研修テーマが見えてきます。
現場ヒアリングの目的は、課題を並べることではなく、“変えるべき行動の核心”を見つけることです。
経営の期待と現場の実情の両方を照らし合わせることで、研修が“納得感のある設計”に変わります。結果として、「やらされ感のない研修」「現場で実践される研修」を実現できます。
④ 「ギャップ」と「研修によって起こしたい変化」を設定する
経営の期待と現場の現状の“ギャップ”を整理し、研修によってどんな変化を起こしたいのかを明確にしましょう。
研修の目的を「課題の解消」ではなく、「変化の創出」として設定することで、研修の成果を正しく評価できるようになります。
単に「問題をなくす」ではなく、「どう変わると理想か」を明文化しておくと、
・テーマの方向性
・講師や手法の選定
・フォロー施策 など、すべての判断が一貫します。
一方で、この“変化の定義”が曖昧なままだと、研修後に「成果があったのか分からない」「やりっぱなし」になりがちです。
以下のように進めると良いでしょう。
🔹進め方のステップ
1, 現状と理想の差(ギャップ)を書き出す
経営層・現場ヒアリングの内容をもとに、「今の状態」と「あるべき状態」を対比します。
2, “変化”を行動レベルで定義する
「知識を得る」ではなく、「行動が変わる」視点で表現することがポイントです。
3, “変化の結果”をどう測るかを決める
「会話が増えた」「部下が意見を出すようになった」など、目に見える指標を設定します。
行動定義のイメージ例
| 現状(Before) | 理想(After) | 起こしたい変化(行動の定義) |
|---|---|---|
| 経営方針が伝わらない | チームが方針を理解し、自分ごと化する | 上司が方針の背景を説明し、チームで議論する |
| チーム内の連携が弱い | メンバー同士が補い合う風土がある | 上司が心理的安全性を高める対話を促す |
「今の状態」から「どうなりたいか」を明確に描くことが、研修設計の土台となります。結果として、経営にも現場にも「やる意味」が伝わる研修を実現できます。
⑤ 研修テーマを設定する
これまで整理した「経営の課題」「現場の実情」「起こしたい変化」をもとに、最も効果的に行動変容を起こせるテーマを設定します。
“どんな行動を増やしたいのか”を出発点にすれば、テーマ選定の根拠が明確になり、経営層・受講者の双方が納得できる企画になります。
次の流れで考えましょう。
🔹進め方のステップ
1, 「起こしたい変化」を再確認する
1.1.4で定義した“行動の変化”を中心に、何を変えることが最も成果に直結するかを考えます。
2, 変化に直結するスキル・思考・関係性を特定する
行動を起こすために必要な“学びの要素”を整理します。(例:対話・巻き込み・意思決定・関係構築など)
3, テーマを1文で表現し、狙いを添える
「〇〇を通じて△△を実現する」という形式にすると、社内説明資料にも使いやすくなります。
テーマ設定の具体例
| 起こしたい変化 | 研修テーマ(タイトル例) | 狙い(どんな変化を目指すか) |
|---|---|---|
| 上司が方針の背景を説明し、チームで議論する | 対話型リーダーシップ研修またはビジョン浸透のためのコミュニケーション研修 | 経営方針の「背景」や「意味」を自分の言葉で語り、チームの納得と主体的議論を促す。上意下達ではなく、“共に考える文化”を育む。 |
| 上司が心理的安全性を高める対話を促す | チームマネジメント研修(心理的安全性の実践)または信頼関係を育むコミュニケーション研修 | メンバーが安心して意見を出せる環境をつくり、相互理解と協働を促進する。「傾聴・承認・質問」の対話スキルを通じて、チームの信頼と挑戦意欲を高める。 |
経営の意図と現場の現実をつなぎ、行動変容を起こすテーマを導き出すことで、研修は「知識提供」ではなく、組織を動かす仕組みへと進化します。
もし、自社でテーマを決めるのが難しい場合は、ステップ4までの情報(経営の課題・現場の実情・起こしたい変化)を整理した上で、研修会社に相談してみましょう。
目的と現状を共有できれば、専門家の視点から自社に最適なテーマを提案してもらえます。
管理職研修を成功させるためには、上記の5ステップをもとに“何をすべきか”ではなく、“何を変えるか”を明確にすることが大切です。
2)管理職研修テーマ別| 効果的な研修内容14選
この章では、「何を変えたいか」を7つの軸で整理し、具体的な研修内容をお伝えします。
| テーマ | 研修内容 |
|---|---|
| ① 役割理解 | ① 経営方針を理解し、自分の言葉でチームに伝えられるようにする ② 自分の強みと価値観を活かしたリーダーシップを発揮できるようにする |
| ② 戦略遂行・意思決定力 | ① 経営方針を現場目標に落とし込み、成果を出せるようにする ② 経営視点で意思決定し、全社最適を実現できるようにする |
| ③ 影響力・巻き込み力 | ① 相手を動かす伝え方・聴き方を身につけ、信頼関係を築けるようにする ② 部門を越えて巻き込み、組織全体を前進させられるようにする |
| ④ チームマネジメント | ① 心理的安全性を高め、信頼関係を築けるようにする ② 多様性を受け入れ、違いをチームの力に変えられるようにする |
| ⑤ 育成力 | ① 部下一人ひとりに合わせた支援と対話を行えるようにする ② 部下のキャリア志向を理解し、成長を支援できるようにする |
| ⑥ 自己変容力 | ① 感情を整え、ストレスに強く成果を出せるようにする ② 過去の成功体験を手放し、変化に適応できるようにする |
| ⑦ ハラスメント対策 | ① 指導とハラスメントの違いを理解し、信頼を損なわない伝え方ができるようにする ② 対話と信頼に基づくマネジメントで、安心して意見を交わせる職場をつくれるようにする |
① 役割理解 ― 経営と現場をつなぐ立ち位置と責任を理解する
管理職研修のテーマとして「管理職の役割を改めて理解してもらうこと」は重要です。
経営の意図を理解し、現場を動かす“媒介者”としての立ち位置を自覚することで、管理職は初めて「組織を動かす存在」になれます。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – 経営方針が現場に浸透せず、動きがバラバラになっている。 – 各部門が“自部門最適”で判断し、全社方針とズレている。 – 中間層が経営の意図を理解せず、「伝書鳩」にとどまっている。 – 現場マネジャーに“経営感覚”や“全体視点”が欠けている。 |
| 現場の実情 | – 「方針は共有されたけど、意味が分からない」という声がメンバーから出ている。 – 管理職自身が「方針の意図が腹落ちしていないため、説明できない」。 – 「結局、何を優先すべきか」が分からず、チームが迷走している。 – “やらされ感”が強く、自部門の目標が経営戦略とつながっていない。 |
このような場合は、管理職の役割理解を行うことが効果的です。具体的な研修内容を2つ紹介します。
研修内容①:経営方針を理解し、自分の言葉でチームに伝えられるようにする
■ 研修の目的
経営戦略を単に「伝える」ではなく、「意味づけして共に考える」リーダーを育成する。
管理職が経営方針の背景を理解し、自分の言葉でチームに語れる状態を目指す。
■ 学べる内容・スキル
・経営戦略を理解するための視点(市場変化・顧客視点・競合との関係など)
・経営方針を「なぜこの方向性なのか」と説明する“意味づけコミュニケーション”
・チームの業務を経営戦略と結びつけて説明する“翻訳力”
・メンバーと一緒に考える「方針共有ミーティング」の進め方
■ 具体的なワーク例
・インタビュー:経営陣・同僚、部下のインタビューを通して、自組織のありたい姿や課題意識を理解する。その上で管理職としてのリクエストを受け取る。
・自社ワーク: 自部門の業務が経営方針にどう貢献しているかを整理するマッピング。
・実践設計: 経営方針説明会後に実施する“部門ミーティング”の進行シナリオを作成。
■ 実施後の変化
・管理職が経営方針を「自分の言葉」で語れるようになる。
・メンバーが「なぜやるのか」を理解し、主体的に行動できるようになる。
・方針浸透が“通達”から“対話”に変わり、現場の納得感が高まる。
アーティエンスでは、困難を乗り越えるリーダーシップ開発コースで扱っています。
研修内容②:自分の強みと価値観を活かしたリーダーシップを発揮できるようにする
■ 研修の目的
経営から求められるリーダー像を“そのまま演じる”のではなく、経営の意図を理解したうえで、自分の強みと価値観を活かして現場を動かすリーダーを育てる。
経営と現場をつなぐ「媒介者」として、“組織の方向性”と“自分の軸”を統合することが狙い。
■ 学べる内容・スキル
・経営方針や組織ビジョンを“自分の言葉”で語る力
・自身の“リーダーとしての影響パターン”の理解(支配型・支援型・共感型など)
・メンバーとの信頼関係を築くためのコミュニケーションの取り方
・上司・他部署・メンバーとの“関係性の構造”を俯瞰して見る視点
・自分の価値観を経営の方向性と結びつけたリーダーシップスタイルの言語化
■ 具体的なワーク例
・自己分析ワーク: 「自分が理想とする上司/苦手だった上司」から、自分の価値観・行動傾向を整理。
・関係性マッピング: 上司・部下・他部署との関係性を可視化し、「どんな影響を与えたいか」を設計。
・統合ワーク: 経営方針のキーワードと自分の価値観を掛け合わせ、“自分らしい言葉で語る方針メッセージ”を作成。
・リーダー像の宣言: 「経営の意図をどう現場に伝えるか」「自分がどう在りたいか」を1分でプレゼン。
■ 実施後の変化
・経営の方針を“自分の言葉”で意味づけして語れるようになる。
・経営の意図と自分の価値観が統合され、軸を持って判断・行動できる。
・部下に対しても一貫した発信ができ、チームの信頼と納得感が高まる。
役割を理解し、自分の言葉でチームを動かせるようになった管理職は、「伝書鳩」ではなく「変化を生み出す媒介者」として、経営の想いを現場で形にしていけるようになります。
② 戦略遂行・意思決定力 ― 経営目標を実行に移し、的確に判断する
管理職研修のテーマとして、「戦略を実行に移し、的確に判断できる力を育てること」は重要です。
経営方針を理解し、現場で行動に落とし込む“翻訳者”としての意思決定力を持つことで、管理職はチームを「動かす」存在から「成果を出す」存在へと進化します。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – 戦略が立っても、現場で実行されず「絵に描いた餅」になっている。 – 現場が日々の業務に追われ、戦略目標が後回しになっている。 – 経営方針を“理解”しても、“行動に変える”管理職が少ない。 – 変化のスピードに合わせた意思決定ができず、チャンスを逃している。 |
| 現場の実情 | – 「経営方針は分かるけど、現場ではどう動けばいいかが分からない」。 – 「判断の基準がなく、上司や部門によって方針がブレる」。 – 「目標設定が形骸化しており、現場の行動に落とし込まれていない」。 – 「意思決定が遅く、メンバーが自律的に動けない」。 |
このような場合は、戦略を実行に移し、判断の軸を持つための研修が効果的です。
以下に、具体的な研修内容を2つ紹介します。
研修内容①:経営方針を現場目標に落とし込み、成果を出せるようにする
■ 研修の目的
経営戦略を「目標設定」と「評価」を通じて現場に落とし込むスキルを習得する。
成果目標だけでなく、“成長目標”を設定し、プロセスを支援できる管理職を育てる。
■ 学べる内容・スキル
・経営戦略をチーム・個人目標に翻訳する“戦略展開思考”
・「成果」と「成長」を両立させる目標設計の方法(OKR・MBOなど)
・メンバーとの目標合意面談・進捗確認の進め方
・評価を“査定”ではなく“育成対話”として活用する方法
■ 具体的なワーク例
・目標設定面談のプロセス理解: 目標設定面談のプロセスを5つに細分化し、管理職としてはずせないポイントを理解。
・アクションプランシートの策定: 目標設定での課題に向き合い、実行することを決める。
・ファシリテーションスキルの習得: メンバーのモチベーションを引き上げ、目標管理の成果を最大化させていくために必須なファシリテーションスキルを習得。
■ 実施後の変化
・経営目標と現場行動がつながり、チームが同じ方向に動くようになる。
・管理職が“数値”と“成長”の両面で部下を支援できるようになる。
・評価面談が「納得感を生む対話の場」へと変化し、組織のエンゲージメントが高まる。
アーティエンスでは、管理職のための目標設定・管理研修で扱っています。
研修内容②:経営視点で意思決定し、全社最適を実現できるようにする
■ 研修の目的
“自部門最適”から“全社最適”への視点転換を促し、経営の視点で意思決定できる管理職を育てる。
自部門の成果だけでなく、組織全体の成果を最大化するための判断力を鍛える。
■ 学べる内容・スキル
・経営視点を持つための3つの軸(収益・顧客・人材)
・「戦略と現場のズレ」を見つけ、整合性を取る思考法
・部門間での優先順位調整・リソース配分の考え方
・不確実な状況下での意思決定プロセス(判断スピードと納得感の両立)
■ 具体的なワーク例
・ケースディスカッション: 会社全体の利益を左右する意思決定場面を題材に、各部門の立場から意見交換。
・シミュレーション: 経営層の立場で投資配分を決定する演習。
・自社ワーク: 自部門の施策が他部門や顧客に与える影響を整理し、全体最適案を策定。
■ 実施後の変化
・部門最適ではなく、会社全体の利益を考えて行動できるようになる。
・意思決定が早くなり、現場の実行力が高まる。
・経営層との対話で“同じ言葉”で話せるようになり、信頼関係が強化される。
管理職が判断の軸を持ち、チームに方向を示せるようになることで、戦略は現場で動き出します。
③ 影響力・巻き込み力 ― 組織を横断して周囲を動かす
管理職研修のテーマとして、「他部署・上司・部下を巻き込み、組織を動かす力」を育てることは非常に重要です。
どれほど正しい方針を持っていても、周囲を動かせなければ成果にはつながりません。
他者を“説得する”のではなく、“共に進む”関係を築ける管理職が、組織全体の推進力を高めます。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – 方針は出しても、現場での協働が進まずサイロ化している。 – 部門間の対立や情報の断絶が多く、横の連携が弱い。 – 管理職が“自部門中心”で、他部署を巻き込む力が不足している。 – 経営層からの施策が、現場で「やらされ感」に変わっている。 |
| 現場の実情 | – 「他部署に頼みづらい」「言っても動いてもらえない」といった声が多い。 – 部下同士の連携が取れず、チームを越えた協働が生まれにくい。 – 上司や関係部門への説明が苦手で、調整に時間がかかっている。 – 管理職自身が“伝える力”や“聴く力”に自信を持てていない。 |
このような場合は、組織の関係性を変え、影響力を高める研修が効果的です。
以下に、具体的な研修内容を2つ紹介します。
研修内容①:相手を動かす伝え方・聴き方を身につけ、信頼関係を築けるようにする
■ 研修の目的
「伝えたのに伝わらない」「話しても動かない」という状況を変え、相手の立場や関心を踏まえて“共感と行動”を引き出す伝え方を習得する。
管理職が、経営や現場に自らの考えを明確に伝え、組織を前に進めるコミュニケーションの核をつくる。
■ 学べる内容・スキル
・メッセージ設計力:目的・相手・ゴールに基づいて「何を」「なぜ」「どう」伝えるかを構造化
・相手理解の視点:相手の立場・関心・心理状態を踏まえて、最適な伝達方法を選ぶ
・ストーリーテリング:感情と論理を組み合わせ、納得感と共感を生む伝え方
・双方向コミュニケーション:一方的に伝えるのではなく、“聴きながら伝える”対話設計
・発信力の強化:上司・部下・他部署など、立場の異なる相手に応じて伝え方を調整する
■ 具体的なワーク例
・自己理解:自身が大切にしている価値観などの自己理解を深める
・対立関係を乗り越えるワーク: 「部下に新しい方針を伝える」「他部署を巻き込む」など、実際の社内シーンを題材に伝え方を設計・実践
・ロールプレイ: 相手の反応を観察しながら、伝え方を修正していく練習
■ 実施後の変化
・自分の意図・考えを明確に伝えられるようになり、誤解や衝突が減る
・部下・他部署・経営層など、立場の異なる相手に“納得感のある発信”ができるようになる
・対話を通じて相手の共感を引き出し、チームや組織を自ら動かす存在に変わる
・「話が分かりやすい」「一緒に動きたくなる」と評価されるリーダーが増える
アーティエンスでは、意思発信力向上研修で扱っています。
研修内容②:部門を越えて巻き込み、組織全体を前進させられるようにする
■ 研修の目的
部門を越えて人を巻き込み、意見を引き出しながら合意形成を導く“ファシリテーション型リーダー”を育成する。単なる会議運営ではなく、組織の意思決定と実行を加速させる進行力・対話力を身につけることが狙い。
上司・部下・他部署など立場の異なるメンバーをまとめ、全体の力を引き出す場づくりを学ぶ。
■ 学べる内容・スキル
・場を設計する力: 目的設定・ゴール設計・アジェンダ構成など、会議を“目的達成のプロセス”に変える設計力
・意見を引き出す力: メンバーの発言を促す問いかけと傾聴、意見の可視化と整理手法
・合意をつくる力: 対立や多様な意見の中から、共通点を見い出し意思決定に導くプロセス
・ファシリテーションの構造理解: 「発散 → 整理 → 収束」の流れに沿った議論進行の型
・関係性を築く力: 会議の進行だけでなく、対話を通じた信頼・協働関係の構築方法
■ 具体的なワーク例
・会議進行シミュレーション: 目的の曖昧な会議を題材に、発散〜収束〜合意形成までを実践。
・グループ演習: 「意見が対立している状況」を設定し、全員の納得を得るための問いかけを設計。
・ロールプレイ: 上司・他部署・メンバーなど異なる立場でのファシリテーター役を体験し、場の動かし方を学ぶ。
・自社会議の改善設計: 実際の会議・打ち合わせを題材に、目的・アジェンダ・進行方法を再設計する。
■ 実施後の変化
・会議や打ち合わせが「話し合う場」から「決めて動く場」へ変わる。
・管理職自身がファシリテーションを通じて、他部署や上司を巻き込みながら物事を前進させられるようになる。
・部下やメンバーの意見が引き出され、チームの主体性・一体感が高まる。
・組織全体で“対話を通じて進める文化”が根づき、意思決定スピードが向上する。
アーティエンスでは、社内で進める!組織変革ファシリテーター育成コースで扱っています。
管理職が「自分の範囲」を越えて組織全体を見渡せるようになると、経営の戦略は“トップダウン”ではなく、“全員で動かすもの”へと進化します。
④ チームマネジメント ― 信頼と心理的安全性を基盤に成果を出すチームをつくる
管理職研修のテーマとして、「信頼関係と心理的安全性を基盤にしたチームづくり」は欠かせません。どれほど優れた戦略やスキルがあっても、チームの関係性が機能していなければ成果につながりづらいためです。
心理的安全性を高め、互いに意見を出し合い補い合う文化を育むことが、成果を生み出すチームの土台になります。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – チーム内で意見が出ず、会議が形骸化している。 – メンバー間に温度差や遠慮があり、協働が進まない。 – 変化対応が遅く、失敗を恐れて挑戦できない風土がある。 |
| 現場の実情 | – 「発言すると否定されそう」と感じているメンバーが多い。 – 管理職自身が忙しく、チームの関係性づくりに時間を割けていない。 – 「人間関係のぎくしゃく」が業務の妨げになっている。 |
このような場合は、心理的安全性と多様性をテーマにした研修が効果的です。
以下に、2つの研修内容を紹介します。
研修内容①:心理的安全性を高め、信頼関係を築けるようにする
■ 研修の目的
「安心して発言できる」「助け合える」関係性を育み、チームの生産性と創造性を高める。
管理職自身が“心理的安全性を高める行動”を理解し、信頼をベースに成果を出せるチーム運営を学ぶ。
■ 学べる内容・スキル
・心理的安全性の4段階(学習・貢献・挑戦・発言)を理解する
・信頼関係を築くための3つの要素(関心・共感・行動)
・フィードバック・承認・質問など、安心感を生む対話スキル
・「成果」と「人間関係」を両立させるチームマネジメントの型
■ 具体的なワーク例
・チーム診断ワーク: 自チームの心理的安全性の現状を可視化し、強みと課題を共有
・ロールプレイ: 意見が出ない会議を題材に、「否定せず受け止める対話」を体験
・承認トレーニング: 行動を認め、貢献を引き出す承認メッセージを実践
・アクションプラン設計: チームで心理的安全性を高めるための行動を決める
■ 実施後の変化
・チーム内で意見が出やすくなり、会議や議論が活性化する。
・メンバー同士の信頼関係が深まり、ミスや課題もオープンに話せるようになる。
・管理職が“対話を通じて成果を出すリーダー”としてチームを牽引できるようになる。
アーティエンスでは、心理的安全性向上研修で扱っています。
研修内容②:多様性を受け入れ、違いをチームの力に変えられるようにする
■ 研修の目的
無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を理解し、多様な価値観を尊重できるチーム運営を実現する。
個々の違いを否定せず、チームの創造性と柔軟性を引き出すマネジメント力を養う。
■ 学べる内容・スキル
・無意識のバイアスのメカニズムと職場への影響
・「違いを否定しない関わり方」を実践するための思考フレーム
・多様な価値観・働き方を活かすためのコミュニケーションスキル
・バイアスを抑制するためのチーム設計・意思決定プロセスの工夫
■ 具体的なワーク例
・バイアス発見ワーク: 自分の中にある思い込みを洗い出し、チームへの影響を考察
・ケースディスカッション: 無意識の偏りが生じる職場シーンを題材に、対応策を検討
・相互理解ワーク: メンバーの価値観や強みを共有し、違いを認め合う体験型演習
・アクションプラン: 「チームで多様性を活かすために明日からできる行動」を具体化
■ 実施後の変化
・管理職が自分の偏りを自覚し、柔軟で公平な判断ができるようになる。
・メンバー同士の相互理解が深まり、発言や挑戦がしやすい雰囲気が生まれる。
・チームが“違いを活かして成果を出す”組織へと変化する。
アーティエンスでは、リーダーのためのアンコンシャスバイアス・トレーニングで扱っています。
管理職が対話を重ね、違いを認め合う関係をつくることで、チームは単なる集団から“協働する組織”へと進化します。
⑤ 育成力 ― 部下の成長を促す「観察・対話・支援」
管理職研修のテーマとして、「部下を教える」から「育てる」への転換は欠かせません。
現場では「忙しくて育成の時間が取れない」「どう関わればいいか分からない」といった声が多く聞かれます。
育成力とは、“教えるスキル”ではなく、“成長を支援する関わり方”です。
部下一人ひとりに合わせた問いかけ・対話・承認を通じて、主体的な成長を促す力を育みます。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – 若手社員の定着率が低く、育成コストが成果につながっていない。 – 管理職がプレイヤー業務に偏り、育成行動が後回しになっている。 – 育成文化が根づかず、属人的な指導に頼っている。 |
| 現場の実情 | – 「教えても動かない」「言わないとやらない」と感じている。 – 部下の特性や強みが分からず、関わり方に迷っている。 – 1on1が“雑談化”あるいは“詰問化”しており、信頼関係が築けていない。 |
このような場合は、「部下を動かす」ではなく「部下が自ら動けるよう支援する」ための育成力をテーマにした研修が効果的です。
以下に、2つの研修内容を紹介します。
研修内容①:部下一人ひとりに合わせた支援と対話を行えるようにする
■ 研修の目的
OJTや日常マネジメントを通じて、“教える”ではなく“支援する”育成行動を身につける。
部下の成長段階や個性を観察し、対話によって自発的な学びを引き出せる管理職を育成する。
■ 学べる内容・スキル
・「育てる」ための3ステップ:観察 → 対話 → 支援
・成長段階に応じた関わり方(指導型・伴走型・任せる型)
・信頼を築く“傾聴・問いかけ・承認”のスキル
・行動変容を促すフィードバック・リフレクションの設計法
・日常業務の中で育成を仕組み化するための実践ポイント
■ 具体的なワーク例
・観察トレーニング: 部下の言動から「成長段階」「つまずきポイント」を読み取る練習。
・ロールプレイ: 「成果が出ない部下」「自信を失っている部下」など実例をもとに、対話の型を実践。
・育成プラン設計ワーク: 部下一人ひとりのタイプに応じて支援計画を作成。
・フィードバック演習: 行動を責めず、成長意欲を引き出す伝え方を学ぶ。
■ 実施後の変化
・部下の行動・変化を“観察できる上司”が増え、指導の精度が上がる。
・対話を通じて信頼関係が強まり、部下の主体性と意欲が向上する。
・現場に“育て合う文化”が生まれ、組織全体の成長力が底上げされる。
アーティエンスでは、育成担当者・OJTトレーナー研修で扱っています。
研修内容②:部下のキャリア志向を理解し、成長を支援できるようにする
■ 研修の目的
評価や指示のための面談ではなく、“部下の未来を共に考える”対話型マネジメントを実現する。
部下のキャリア志向や価値観を理解し、本人の成長と組織の方向性をすり合わせながら、長期的な成長を支援できる管理職を育てることを目的とする。
■ 学べる内容・スキル
・キャリア志向の把握: 「何を大切に働きたいのか」「どんな貢献をしたいのか」を引き出す質問設計
・動機を理解する聴き方: 部下の言葉の裏にある想いや価値観を捉える傾聴力
・キャリア支援型1on1の進め方: 業務の進捗確認ではなく、“経験をどう学びに変えるか”を支援する面談構成
・組織と本人のすり合わせ: 会社の方向性と個人のキャリアを接続する「共通ゴール設計」
・キャリアの対話文化づくり: 管理職自身がキャリアを語り、部下にも“自分ごと”として考えさせる関わり方
■ 具体的なワーク例
・キャリアジャーニーワーク: 部下の過去経験と価値観を振り返り、今後の方向性を一緒に整理。
・面談ロールプレイ: 評価面談とキャリア面談の違いを体感し、質問とフィードバックを実践。
・キャリア支援プラン設計: 自チームのメンバーの成長を中長期視点で支援する計画を立案。
・心理的安全性チェック: 部下が“話せる”環境をつくるための関係構築行動を棚卸し。
■ 実施後の変化
・部下のキャリアを“本人任せ”にせず、共に考えられる上司が増える。
・キャリア面談を通じて信頼関係が深まり、部下のエンゲージメントが高まる。
・管理職が「人を育てること」を成果の一部として実感できるようになる。
・結果として、離職率の低下や、若手・女性社員の定着向上につながる。
管理職が一人ひとりの成長に寄り添い、キャリアの伴走者として関わることで、組織には「人が育ち、育て合う文化」が定着します。
⑥ 自己変容力 ― 自ら学び、変化に柔軟に適応する
管理職が成果を出し続けるためには、知識やスキルの更新だけでなく、自らの“在り方”を柔軟に変化させる力が求められます。
どれほど優れたスキルを持っていても、時代や環境の変化に合わせて自分の在り方をアップデートできなければ、チームや組織を前に進めることはできません。
環境の変化や多様な価値観に直面したときに、自分を整え、学び直しながら成長できることが、今の時代に不可欠な「自己変容力」です。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – 変化に対応できない中間層が、組織変革のボトルネックになっている。 – 管理職の意識が保守的で、新しい施策に前向きに取り組めない。 – 組織として“学び続ける文化”が根づいていない。 |
| 現場の実情 | – 忙しさやプレッシャーから、感情のコントロールが難しい。 – 「やり方を変えるのが怖い」「失敗したくない」という心理的抵抗がある。 – 振り返る時間がなく、経験が学びに転化されていない。 |
このような場合は、「感情を整えるセルフマネジメント」と「古い成功体験を手放すアンラーニング」の2つを柱とした研修が効果的です。
研修内容①:感情を整え、ストレスに強く成果を出せるようにする
■ 研修の目的
変化やプレッシャーの中でも、自分を立て直し、前向きに行動できる“しなやかな管理職”を育てる。
感情・思考・行動の3つの側面から自分の状態をマネジメントし、ストレスを力に変えて成果を出し続ける「レジリエンス(回復力)」を高めることを目的とする。
■ 学べる内容・スキル
・レジリエンスの構造理解: 「感情」「思考」「行動」が相互に影響し合う仕組みを理解する
・感情マネジメント: ネガティブ感情を客観的にとらえ、冷静に切り替える技術
・思考の柔軟性: 事実と解釈を分けて捉え、状況を前向きに再定義するリフレーミングスキル
・行動の再起動: 困難に直面しても“小さな一歩”を積み重ねて立て直す行動思考
・他者支援スキル: 部下や同僚が落ち込んでいるときの共感的関わり方・声かけのポイント
■ 具体的なワーク例
・ストレスシーン分析: 自身がプレッシャーを感じた場面を振り返り、「思考→感情→行動」のパターンを整理。
・リフレーミング実践: 困難な出来事を“学びや成長”の視点で再定義する練習。
・ペアセッション: 相手の気持ちを受け止めながら、前向きな言葉を引き出すコミュニケーション演習。
・マイレジリエンスプラン作成: 自分を立て直すための「再起動行動リスト」を策定。
■ 実施後の変化
・プレッシャーの中でも冷静さを保ち、感情に振り回されずに判断できるようになる。
・困難を乗り越えるプロセスから学びを得て、次の挑戦につなげられるようになる。
・部下の感情にも寄り添い、支援的なリーダーシップが発揮できるようになる。
・組織全体に「立て直す力」「前向きに捉える文化」が根づく。
アーティエンスでは、レジリエンスアップ研修で扱っています。
研修内容②:過去の成功体験を手放し、変化に適応できるようにする
■ 研修の目的
アンラーニングの実践を通じて、固定観念を手放し、新たな視点で物事を捉え直せるリーダーを育成する。
経験を振り返り、内省を深め、行動を再設計するプロセスを通じて、変化を恐れず、成長し続けるしなやかなマインドセットを身につけることを目的とする。
■ 学べる内容・スキル
・アンラーニングの概念理解: 成長を妨げる“過去の成功体験”や“固定観念”に気づき、手放す方法を学ぶ
・内省の質を高めるスキル: 経験学習サイクルにおける「内省」を通じて、無意識の思考・行動パターンを可視化
・自己認識力の向上: 自身の言動がチームやメンバーに与える影響(好影響・悪影響)を客観的に理解
・チーム学習の促進: チーム内で学びを共有し、挑戦と成長が循環する仕組みをつくる方法
・行動変容設計: 気づきを行動につなげるアクションプランの立案と実践スキル
■ 具体的なワーク例
・事前課題の共有: 現場で感じている課題や“成功パターンへの固執”を可視化。
・ケースワーク: 過去の成功が現在の停滞を生んでいる事例を題材に、手放すべき思考を分析。
・内省演習: 経験学習サイクルを用いて「出来事 → 気づき → 教訓 → 実践」を整理。
・自己影響マッピング: 自身の行動がチームに与える“良い影響/悪い影響”を振り返る。
・アクションプラン策定: 自分とチームが進化し続けるための新たな取り組みを具体化し、現場で実践。
■ 実施後の変化
・管理職が自らの思考のクセや固定観念に気づき、柔軟に行動を変えられるようになる。
・過去の成功にとらわれず、メンバーの挑戦を支援・後押しする関わり方ができるようになる。
・管理職を起点に、チームで“経験を共有・振り返り・成長を実感する”文化が定着する。
・組織全体に、変化を恐れずに学び続ける「進化し続けるチーム風土」が生まれる。
変化の多い時代において、“自分をアップデートできる管理職”こそ、組織を前に進める原動力となります。
⑦ ハラスメント対策 ― 安心して意見を交わせる職場をつくる
組織の健全性を保ち、心理的安全性を高めるうえで、
ハラスメント防止は“ルール遵守”ではなく“関係性づくり”のテーマです。
管理職が自らの言動を振り返り、部下が安心して意見を出せる職場環境をつくることが求められます。
このテーマが必要になる背景は以下のような場合です。
| 視点 | 典型的な課題・声の例 |
|---|---|
| 経営の課題 | – ハラスメントの相談件数が増えており、職場の信頼関係が揺らいでいる。 – 組織として“安全な発言環境”が整っておらず、現場が萎縮している。 – 形式的な研修は実施しているが、現場の行動変化につながっていない。 |
| 現場の実情 | – 「どこまで言っていいのか分からない」と上司が指導をためらっている。 – 部下が困りごとを相談できず、トラブルが表面化した時には関係が悪化している。 – “叱る”と“ハラスメント”の境界が曖昧で、現場の判断基準が統一されていない。 |
このような状況では、単なるルール教育ではなく、「信頼を損なわずに伝えるスキル」や「安心して話せる関係づくり」が重要になります。
研修内容①:指導とハラスメントの違いを理解し、信頼を損なわない伝え方ができるようにする
■ 研修の目的
管理職が「適切に指導する力」と「無意識のハラスメントを防ぐ感性」を身につけ、部下の成長を支援しながら信頼を守るコミュニケーションを実現する。
単なる“NG行動の理解”ではなく、日常の言動を通じて安全で前向きな関係性を築くリーダーを育成する。
■ 学べる内容・スキル
・ハラスメントの定義と、判断を分ける「相手視点」の理解
・“叱る・注意する・指導する”の違いと適切な伝え方
・感情をコントロールし、冷静に意図を伝える技術
・日常的にフィードバックを行うための信頼構築コミュニケーション
■ 具体的なワーク例
・ケースワーク: グレーゾーン事例をもとに、上司・部下の両視点から「伝え方の違い」を検討。
・ロールプレイ: 指導場面を再現し、「伝わる注意」と「反発を生む注意」の差を体感。
・セルフチェック: 自身のコミュニケーション傾向を可視化し、改善ポイントを整理。
■ 実施後の変化
・上司が安心して部下に指導・助言できるようになり、チームの生産性が向上。
・指導や注意の場面で感情的な衝突が減少し、信頼関係が深まる。
・現場で“安全に話せる”空気が醸成され、問題が早期に共有されるようになる。
研修内容②:対話と信頼に基づくマネジメントで、安心して意見を交わせる職場をつくれるようにする
■ 研修の目的
ハラスメント防止を「個人のマナー」ではなく「組織文化」として根付かせる。
管理職自身が対話の起点となり、メンバーが安心して発言・相談できるチーム環境をつくる。
■ 学べる内容・スキル
・心理的安全性を高めるマネジメントの実践原則
・多様な価値観を尊重するコミュニケーションと承認スキル
・対話を通じて相互理解を深める1on1の進め方
・早期相談を促す仕組みづくり(共有ルール・振り返りの場設計)
■ 具体的なワーク例
・組織診断ワーク: 「メンバーが安心して話せる」と感じている割合を可視化し、改善策を検討。
・対話演習: 部下からの相談を想定し、“聞く・共感する・整理する”を体験。
・アクションプラン作成: チーム内で心理的安全性を高めるための行動を設定。
■ 実施後の変化
・管理職が“信頼と安心”を軸にしたマネジメントを実践できるようになる。
・チーム内での対話量が増え、問題が隠れずに共有されるようになる。
・ハラスメント防止が「リスク管理」から「人が成長できる環境づくり」へと意識転換される。
管理職が安心して関われる環境と、部下が安心して話せる関係性を増やすことが、心理的安全性の高い組織づくりの第一歩になります。
先に定めた起こしたい行動変化に合わせて適切なテーマを選ぶことで、管理職に変化を促すことができます。
3)管理職研修を次に繋げるための効果測定方法
管理職研修は「実施して終わり」にせず、成果を見える化し、次の研修設計や現場支援に活かすことが大切です。
研修を通じて“どこまで変化が起きたのか”を定量・定性の両面から把握することで、改善すべきポイントが明確になり、経営への説明責任も果たせます。
最も実務で活用されているのが、カークパトリックの4段階モデル(反応→学習→行動→結果)です。
以下の表は「どの段階で何を測定すれば、研修の本当の効果を確認できるか」を整理した評価の枠組みです。
| レベル | 実施時期 | 確認内容 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| レベル1: 反応(Reaction) |
研修中〜1週間以内 | 受講者の自己効力感(Can・Will)や、内容の有用性・関連性を確認 | ・研修中の受講態度(集中度・発言・質問) ・研修後アンケート(自己効力感・有用度・関連度) |
| レベル2: 学習(Learning) |
研修直後〜1〜2ヶ月後 | 研修を通じてどの程度、知識やスキルを習得したかを確認 | ・テスト(理解度チェック) ・ケーススタディやロールプレイの評価 ・学びの振り返りシート |
| レベル3: 行動(Behavior) |
研修実施から3〜6ヶ月後 | 現場で実際に行動変容が起きているかを確認 | ・日報・週報での実践記録・バトンメール(学びの共有) ・本人の自己評価(パルスサーベイなど) ・上司・同僚の観察やインタビュー |
| レベル4: 結果(Results) |
研修実施から半年〜1年後 | 組織全体にどのような成果が出たかを確認 | ・生産性や品質の向上 ・コスト ・事故・離職率の低減 ・売上・利益・顧客満足度の向上 などの数値変化 |
このように、レベル1〜4を段階的に測定することで、学びが行動に変わり、成果につながる流れを確認できます。
具体的な確認方法は、【テンプレあり】研修の効果測定「いつ・なにを・どうやって?」を分かりやすく解説をご覧ください。
こうした効果測定を継続的に行うことで、管理職研修を単発のイベントではなく、組織変化の循環を生み出す仕組みへとつなげることができます。
4)【事例】進化し続けるチームをつくるための管理職研修
インターネットサービス事業を展開している、従業員数約130名の企業の事例を紹介します。
研修を通じて、管理職同士の関係性が変化し、組織全体に「対話と協働」の文化が根づいていったプロセスを見ていきましょう。
■ 組織の背景と課題
この会社は、異なる文化・価値観をもつ2社が合併したことで、組織としての一体感をどう生み出すかが大きなテーマになっていました。
しかし、管理職層には次のような課題がありました。
・管理職育成は単発的な取り組みに留まり、体系的な育成方針がない
・「管理職だからできて当たり前」という雰囲気があり、役割認識のばらつきがある
・経営方針や体制が変化する中で、管理職自身も戸惑いと不安を抱えている
経営層は「これからは、管理職が組織の中心となって変化をリードしていく必要がある」と感じており「管理職が会社の文化をつくる起点になる」ことを目的に、管理職研修企画が始まりました。
■ どのように研修を設計したのか
まずは人事担当者とアーティエンスでデザインミーティングを実施。
「自社にとっての管理職とは何か?」「今の組織に必要なリーダー像は?」という問いを掘り下げながら、研修を“スキルを教える場”ではなく、管理職自身が考え、対話し、変化を起こす場として設計しました。
特に意識したのは、
・経営方針と現場の間に立つ管理職が“対話”を起点に変化を起こす存在になること
・一過性ではなく、管理職同士が学び合う関係性をつくること
これを実現するために、研修は3日に分けて実施しました。
■ 実施した研修の内容
【1日目】
目的:自社にとっての「素晴らしい管理職像」「理想の組織像」を、対話を通じて共創する
内容:正解を与えるのではなく、管理職自身が“今の会社に必要なリーダー像”を見つけ出すワークなどを実施
効果:
「素晴らしい管理職とは?」という正解のない問いに向き合うことで、一部の参加者からは「よく分からなかった」「忙しい中で意味があるのか」といった声もありました。
しかし、この“モヤモヤ”が次第に思考の深まりを生み、2日目の気づきや納得感につながる重要なプロセスとなりました。
【2日目】
目的:管理職が自ら課題を見つけ、当事者意識を持って行動できる状態をつくる
内容:1日目で見出したリーダー像を踏まえ、実際の現場課題をテーマにした対話型セッション(OST形式)などを実施
効果:
管理職自身が抱える課題をテーマに議論したことで、1日目のモヤモヤが現場課題とつながり、「自分たちの手で変えていく」感覚が生まれました。
また、経験年数や立場に関係なく意見を出し合い、互いの考えを聞く時間を持てたことで、学び合う土壌づくりが進みました。
【3日目】
目的:ファシリテーションスキルを実践し、対話を通じて組織を動かせる状態をつくる
内容:ファシリテーションスキルを習得するためのワークやロールプレイングなどを実施
効果:
研修後、「他の管理職からのアドバイスを現場で実践し、良い変化があった」という声が多く聞かれました。たとえば、
「アイ(I)メッセージを意識して伝えるようにしている」
「中間面談の前に1on1で進捗を確認し、納得感のある目標設定を意識している」
など、学びが日々の行動に直結する変化が見られました。
■ 研修後に起きた変化
・管理職としての当事者意識が芽生え、主体的に動く文化が育った
これまで「会社や経営から与えられる役割」と捉えていたマネジメントに、「自分たちが組織を動かす主体である」という意識が芽生えました。現場課題に対して受け身ではなく、自ら考え、提案・行動する姿勢が定着しています。
・管理職同士の関係性が深まり、支え合う文化が育った
研修後、管理職同士のSlackチャンネルで日常的な相談・情報共有が活発化。「同じ課題を持つ仲間」として互いを支え合う関係性が築かれ、孤立しないマネジメント文化が生まれました。
・対話と巻き込みの文化が根づき、共に創る風土が育った
学びを会議や1on1に活かすことで、対話を通じた意思決定が根づきました。会議の場が「問題を共有する場」から「解決を生み出す場」へと進化。部下を巻き込みながらチームで成果をつくるスタイルが広がっています。
この事例の特徴は、「スキルを教える研修」ではなく、管理職自身が“考え・気づき・行動する”ための仕掛けを段階的に設計した点にあります。
結果として、「管理職が変わる」だけでなく、彼らを中心にチームが進化し続ける仕組みが生まれました。
5)まとめ|自組織に適した管理職研修はアーティエンスにお任せ
本コラムは、「管理職研修で何をすべきか?」という問いに対し、“何を変えたいか”から導く研修設計の考え方を提示しています。
多くの企業では、管理職研修を「知識を教える場」として企画しがちですが、それだけでは現場の行動は変わりません。研修を経営課題の解決につなげるには、まず“どんな行動変化を起こしたいか”を明確にし、そこから内容を設計することが重要です。
コラムでは、経営・現場ヒアリングから行動定義・テーマ設定までの5ステップを紹介しました。さらに、役割理解や育成力、チームマネジメントなど7つの軸で、実際に効果を上げた研修テーマや事例を紹介しています。
また、カークパトリックモデルによる効果測定や、対話を中心とした実践事例も取り上げ、研修を「やって終わり」にしない仕組みを示しています。
アーティエンスでは、「経営の意図」と「現場の行動」をつなぐところから伴走し、課題に合った管理職研修の企画・実施をサポートしています。
自社に最適な研修を検討したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
経営の意図と現場の実践をつなぎ、組織が期待する管理職像へと成長できる研修を実現していきましょう。







