仕事ができる新入社員になろう!仕事ができないと言われる原因と解決策

更新日:

作成日:2023.4.28

絶望する男性 「今度の新入社員、仕事ができなさすぎて手に負えない。本当に困る…」 このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、実際に当社でも、下記のようなお声をよくお聞きします。

・言われたことしかやらず、自分の頭で考えようとしない
・仕事を依頼した際「教えてもらってないからできません」と返答された
・わからないことがあった際、周りに聞かず、自分なりのやり方で解決しようとする(想定以上に時間がかかったり、結局、解決できないことが多い)
・納期ギリギリになってから相談があり、周りもフォローが一苦労
・何度説明しても、同じミスを繰り返している

しかし、だからといって新入社員育成を放棄していては、成長が見込めず、活躍してくれる人材にはなりません。それは、組織としても、上司や人事としても、また新入社員本人としても望んでいないことです。
そこで本コラムでは、そのような「仕事ができない新入社員」の特徴と原因を解説し、具体的にどのような改善策を講じていけばよいのかをご紹介します。

この本をお読みいただき、改善策を実行していくことで、

・新入社員と周囲の関係性向上
・新入社員の成果やモチベーションの向上

などが期待できます。

監修者プロフィール

山下 絢加

2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。子育てを機に、現在は主にマーケティングプランニングを担当。




新入社員研修成功事例集

1、仕事ができない新入社員の特徴

新入社員のなかで仕事ができないと言われる方の特徴は大きく3つあります。

1)社会人としての自覚が弱い
2)仕事を遂行する力が低い
3)コミュニケーションスキルが低い

それぞれ説明します。

1)社会人としての自覚が弱い

社会人としての自覚が弱い新入社員は、仕事ができないという評価をされます。責任感が弱く、周囲への貢献意欲も乏しく、自分本位な行動が多くなってしまうためです。
このような新入社員がとる言動として、例えば次のようなことがあります。

・仕事を依頼した際、「教えてもらっていないことはできない」と答える
・チームで仕事をするときに、周囲に任せて自分で考えようとしない
・自分の報連相不足で生じたミスを「上司が忙しそうで報連相できない」と他責にする

このように、社会人としての自覚が弱いと、仕事のクオリティが低下し、期限遅れや社内外のコミュニケーションの不具合につながる可能性があります。

2)仕事を遂行するスキルが備わっていない

業務を遂行するために必要なスキルや知識が不十分な新入社員は、仕事ができないと捉えられてしまいます。このような新入社員がとる言動として、例えば次のようなことがあります。

・余裕を持ったスケジューリングや軌道修正ができておらず、納期に間に合わない
・上司の確認を取らず勝手に判断し進めてしまい、期待した成果物に達していない
・依頼された仕事内容を正しく把握しておらず、対応できていないことが後から出てくる

このように、仕事を遂行するスキルが備わっていないことで、仕事のクオリティが低下したり、必要以上に時間がかかったり、周囲に迷惑をかけることも多くなります。

3)適切なコミュニケーションを取れない

適切なコミュニケーションが取れない新入社員は、仕事ができないという評価をされてしまいます。周囲と適切なコミュニケーションが取れないと、協力して仕事を前に進めることができないためです。このような新入社員がとる言動として、例えば次のようなことがあります。

・緊急事態やクレーム等をすぐに伝えず、後々大きなトラブルに発展する
・報連相の頻度が少なく、対応のヌケモレが多発する
・結論から簡潔に話すことができず、結局何が言いたいのかわからない

このように、適切なコミュニケーションを取れないと、周囲と関係性を築けず、さらにコミュニケーションが取りにくくなるという悪循環に陥ってしまいます。

2、新入社員が仕事できない原因

前章では仕事ができない新入社員の特徴についてお伝えいたしました。本章では、「仕事ができない新入社員」が生じる原因について解説していきます。下記2つの側面が考えられます。

1)新入社員側の原因
・社会人としての自覚が足りない(精神的成長)
・仕事に必要な技術やスキルが足りない(技術的成長)

2)組織側の原因
・新入社員の適性と不一致な採用や配属をしている
・新入社員に適した育成ができていない
・育成する側へ育成スキル・知識の付与やトレーニングを行っていない

それぞれ詳しく説明します。

1)新入社員側の原因

まず、新入社員側の原因として挙げた2点について詳しくお伝えします。

社会人としての自覚が足りない

社会人としての自覚がないために、仕事ができないと思われてしまいます。
仕事は主体的に行動し、与えることが求められますが、学生気分のままだと与えられることを求めてしまうためです。

仕事を自ら探して取りに行くことをせず、与えられたこと・言われたことをやるのが仕事だと思っています。仕事をマニュアル通りに対応するだけで、自分なりに相手のためを思った言動やより良くしようという言動が全くない方もいます。
一方、自分の役割を自分で決めて、自分の役割だと思わない仕事を依頼されたときに「それって私がやらないといけないですか?」と仕事を断ろうとする新入社員もいます。
どちらも社会人として必要になる、「自分なりに考えて与える」という言動ができていません。

このように、与えることができない新入社員がいると、主体的な言動が見られないため、仕事ができないと言われるようになります。

仕事に必要な技術やスキルが足りない

新入社員が仕事に必要な技術やスキルが身についていないと、仕事ができないと思われてしまいます。もちろん仕事の中で覚えていくこともあります。
しかし、基本的には組織として仕事を行う上で最低限必要な知識やスキルは入社後に研修等で学ぶ機会を与えているはずです。それなのに、学んだことが身についておらず、仕事が進んでいかないような状態だと、仕事を任せることができません。

例えば、研修で「報連相の仕方」について学んだにもかかわらず、いつまで経っても、上司から声掛けしないと報連相ができていない状態だと、「仕事ができない」という評価を受けてしまうでしょう。
また、一度指摘を受けたことに対して、何度も同じミスを繰り返していると、「何度も同じことを伝えていて、仕事の覚えが悪く、やる気も感じられない」というレッテルを張られてしまうこともあるでしょう。

このように、学ぶ機会を組織からもらっているにもかかわらず、学んだことを仕事に活かせていないと、いつまで経っても仕事を任せることができず、仕事ができないと言われてしまうようになります。

2)組織側の原因

次に、組織側の原因として挙げた3点について詳しくお伝えします。

新入社員の適性と不一致な採用や配属をしている

採用のミスマッチや新入社員の適性に合っていない配属をしていると、仕事ができないと言われる新入社員が生まれやすくなります。人は誰しも、強みと弱みを持ち、周囲との相性の問題もあります。新入社員の強みを活かすことができず、弱みとなる部分ばかりを求められると、立ち上がりに時間がかかったり、期待されている成果を出しにくくなってしまいます。

採用に関しては、組織文化や職種に対して求められる能力が新入社員と適していないと、その環境下で仕事をすることに苦しさを感じ、仕事ができないと思われる可能性が高まります。

例えば「メンバー全員で協力し合い、共に頑張っていこう」という風土を好む方が、個々の成績を競い合わせるような風土の組織に入社しても、その人本来のパフォーマンスを発揮することがむずかしいでしょう。周囲からは仕事ができないと思われ、最終的には離職を選択されるかもしれません。

配属に関しても、上司やトレーナーとの相性の不一致や、求められる能力と新入社員の適性とがミスマッチな場合、仕事ができない人と思われやすくなります。

例えば、トレーナーが、大まかな方向性がずれていなければ、細かいことは気にしない性格だとします。一方で、新入社員は細かいことまで気を配る性格だとします。新入社員が、資料の細部まで丁寧に確認し作成していることが、トレーナーから見ると「必要以上に時間をかけ過ぎていて、仕事ができない子」とネガティブな印象を持ってしまいがちになります。

新入社員に適した育成ができていない

組織が新入社員に適した育成ができていないことが、仕事ができない新入社員を生んでいる可能性があります。最近の新入社員の特徴や組織と新入社員の育成の方向性を把握しておらず、以前から行なっている育成をそのまま踏襲している場合によく起こります。
例えば、ただただ精神論に訴えるような研修を実施しても、近年の新入社員に響くことはなく、期待した意識・行動変容には遠く及ばない、意味のない時間となります。

【参考情報】下記より無料ダウンロードいただます。
新入社員育成の歴史と、これからの新入社員育成とは?

また、最近の新入社員と既存のメンバーが関係性を築くのには以前より難しさを感じている組織が多く、入社前からのオンボーディングが必要になってきています。オンボーディングの具体的な進め方については、新入社員のオンボーディングで必要な3つのポイントと、効果的なツールの活用法をご覧ください。
そのほか、組織の目的と新入社員に求めることに合致していないスキルを渡していたり、渡すスキルが足りていない場合もあります。例えば、新入社員に早い段階で一人で営業をおこなうようになって欲しいのに、ヒアリングやトーキングスキル、問題解決のためのスキルを提供していないと、営業を一人で行えるようになる人に育てるのは難しいです。

このように、指導面と新入社員に渡すスキル面が新入社員に適していないと、成長を促すことができないため、仕事ができないと言われるようになってしまいます。

【参考】最近の新入社員の特徴 新入社員の育成を計画する際に、最近の新入社員の特徴を意識すると時代にあった育成になります。当社でインタビュー調査や専門家の見解をまとめたところ、2023年度の新入社員に3つの特徴があると考えられます。 新入社員 特徴 分断 これら3つの分断が解消できないと、「仕事がつまらない。人間関係も辛い。成長もできない。今の会社にいても仕方がない。」という状態になってしまいます。 そうならないためにも、これら3つの分断の解消を意識した育成計画を作れるようにしましょう。

育成する側へ育成スキル・知識の付与やトレーニングを行っていない

育成は研修だけでなく、OJTで行う部分も大きいです。しかし、OJTのトレーナー向けに育成スキル・知識の付与やトレーニングを行えていなければ、適切に新入社員育成が行えず、仕事ができないと言われる新入社員が生まれやすくなります。
例えば、新入社員の育成計画の立て方やフィードバック方法などは、何となく実施しているだけでは、期待した効果を生む出すことは難しいです。

また、「仕事のやり方を教える」ことと「新入社員の成長を促す」ことでは、必要とされるスキルや知識は別物です。
このことを理解していないがために、新入社員を育成する側へのトレーニング機会を設けていないと、新入社員の成長が弱くなり、仕事ができないというような評価になってしまいます。

新入社員研修成功事例集

3、仕事ができない新入社員への改善策

本章では、仕事ができない新入社員に対する改善策を「新入社員個人に向けての施策」と「組織全体での施策」の2つの切り口からご紹介します。

1)新入社員個人に向けての施策

まず、新入社員個人に対しては、「精神的成長」と「技術的成長」の2つの成長を促していくことが重要です。

【参考】精神的成長と技術的成長
人の成長には2つの種類があると言われています。
精神的成長 技術的成長 ●精神的成長:物事への意味・捉え方が変わったり、意識変革が起こること。「心の成長」とも言われます。精神的成長を促すことで、仕事に対して責任を持って行動するようになったり、仕事を自分ごととして捉えられるようになったり、主体的に行動できるようになります。 ●技術的成長:スキルや技術が身に付き、できることのレベルがあがること。技術的成長を促すことで、仕事を進める上で必要な知識を習得し、業務を進められるようになっていきます。

精神的成長を促す

精神的成長は、一方的にメッセージを伝えるだけで変化を促すことは難しく、新入社員が自ら考えて気付き、自分の考えとして出てくることが大切です。
当社の社会人の自覚研修を例に挙げて、お伝えいたします。研修では、「学生と社会人の違いとは?」「組織・世の中に貢献し、自身の幸せ度を上げる社会人とは?」などの問いを渡し、新入社員同士で対話(ダイアログ)を行います。その中で「求められる社会人像」について、新入社員一人ひとりが自分で気付き、言葉にしていく工程を大切に扱っていきます。
実際のアウトプットの一部をお見せします。
社会人の自覚研修 また、当社の目標達成・コスト意識研修からも例を挙げていきます。経営シミュレーションのビジネスゲームを通して、自身が会社としてコストであることを自覚します。
「あなたは会社にとってコストだよ」と一方的に社内の人から伝えられるだけでは、反感を買ったり、「ブラック企業なんじゃ?」と思われかねません。当社の研修では、新入社員の内側からそのことを感じられる研修になるように設計しています。新入社員が研修での問いや学びをとして自身で考えることで、会社の売上・利益・コストへの感度を上げていきます。
研修終了時のコメントでは、次のような言葉が出ていました。

・自分にかかるコストを常に意識して、仕事に取組みたいと思った
・自分だけでは働けないんだということを感じた。誰かの協力や相手からの信頼があって成り立つことがあるので、自分の言葉や行動に気をつけたい
・今は、会社が自分に対して投資をしてくれているのだと気付き、喜びが生まれた。早く貢献できるようになりたい
・会社に対して自分ができること・やるべきことは何か、を明確に理解することができた

このように、こちらから一方的に伝えるのではなく、新入社員自身で考える機会を作ることで、新入社員は初めて自分にとっての社会人ってどういう存在なのか、社会人としてどうあるべきなのかを考え、言語化し、見つけていくことができます。

それが見つかると、言われたことをやることが仕事だという認知ではなく、社会人としての自覚が芽生え、自分ができることを考えて行動していくことができるため、主体的な言動も見られやすくなります。

技術的成長を促す

技術的成長を促すためには、スキルを学び、学んだスキルを活かして活用していくことが必要です。
スキルを学ぶ主な手法としては、OFF-JT(Off the Job Training)、OJT(On the Job Training)、SD(Self Development)があります。

◆OFF-JT(Off the Job Training)
Off-JTとは、OJTに対して、職場を離れて、講習や研修などを行う人材教育のことを指します。Off-JTの投資対効果を高めていくためには、研修の現場で学んだことが、仕事の現場で一般化されて役立てられるような工夫を行うことが非常に重要です。

◆OJT(On the Job Training)
OJTとは、組織の上司や先輩が、部下や後輩に対して具体的な仕事を与え、その仕事を通して、業務に必要な知識・技術・考え方などを指導し、修得させることを指します。

参考:もっと効果的なOJT研修を実施するには?3つのポイントを解説!│人が育つ組織をつくるために
◆SD(Self Development)
SDとは「自己啓発」、社員による自発的な学習を意味します。OJTやOff-JTと大きく異なるのは、原則として企業に強制力がない点です。企業は「自己啓発支援制度」などとして社員に学ぶ機会を提供できますが、学習内容の選択や頻度の設定は社員の意思に委ねる形になります。

そして、学びの定着・活用には、「学びながらの実践」と「学びのリマインド」が重要です。

新入社員研修では、実践的なワークやロールプレイングを多く盛り込んでいただくことを推奨します。実際にやってみることで、新たな気付き。発見や疑問が生まれ、理解度が深まります。

そして、研修のリマインドとしては、バトンメール®はとても有効なツールです。
バトンメール®とは、当社が開発した研修後のフォローツールです。受講生4~5名のグループになり、1週間に1回程度「研修での学びをこんな風に現場で使ったよ」など自由に記載したメールを送り合い、バトンのように次の人に回していくというものです。一人ひとりの負担も少なく、定期的なリマインドにもなります。 バトンメール®

2)組織全体での施策

組織全体での施策としては、次の3点があります。

・新入社員の適性を考えた採用や配属の実施
・新入社員に適した育成の実施
・育成者のトレーニングの実施

それぞれ説明します。

新入社員の適性を考えた採用や配属の実施

ミスマッチが起こらない採用や新入社員の適性を考えた配属を行えるようにしましょう。個々の強みを活かす頃ができると、成長スピードも周囲へのポジティブな影響も強くなるためです。
ミスマッチが起こらないようにするために、採用する人材要件を設定し、選考プロセス(面接やグループワークなど)での観察・評価ポイントを明確にしていきます。

配属に関しては、配属前研修時に、新入社員の特性や強み・弱みを理解して、行うことが必要です。特性や強み・弱みを把握することで、配属部署との相性や、スキル面で新入社員がパフォーマンスを発揮しやすくなります。
新入社員への評価については、新入社員研修の評価項目と方法とは?│新入社員の評価と、新入社員研修の評価も合わせてお読みいただければと思います。

また、参考として、新入社員の特徴・強みを知るためのアプローチを一つご紹介します。

下記内容は、当社がリーダーシップ研究を行う中で市場調査を行い、リーダーシップの発揮の仕方をもと10のタイプに分けたものです。この内容をベースに、新入社員個々人の特性や強み・弱みを把握いただけるとよいかもしれません。
アーティエンス リーダーシップ 10の戦略
面接の時や研修期間の時に、それぞれがどのようなリーダーシップを発揮しているのかをみることができると、周囲にポジティブな影響を与えやすくなるため、仕事ができないという評価にならなくなります。 この10タイプについてより詳しく知りたい方は、【管理職・人事必見】新入社員10タイプ別の特徴と、育成ポイントのコラムをお読みいただければと思います。

新入社員に適した育成の実施

新入社員に適した育成ができていない場合は、自組織が望む新入社員に必要なスキルを学べる機会を作りましょう。新入社員の目指す姿が明確になっていないと、必要なスキルを渡すことは難しく、新入社員の成長は促進されません。
自組織が望むスキルを選択するための流れは、次のように考えます。

①新入社員に望む姿を設定する 組織の目標を達成するために、新入社員にどうなって欲しいかを考えることから始めます。ゴールが定まらないと、そのためにどんなスキルが必要になるのかという判断ができず、自律自走する新入社員のための育成ができなくなるためです。

②新入社員が望む姿になるために必要なスキルを洗い出す
新入社員に望む姿が明確になったら、そのために必要なスキルは何かを洗い出していきます。必要になるスキルを、どのような方法でいつ渡すのかを考えるために必要な作業になります。このときに、抜け漏れやダブりがなく洗い出すことができているかの確認が必要です。
新入社員によく必要とされるスキルは次のような内容になります。 新入社員に必要なスキル ③必要なスキルを身につけるための方法とタイミングを考えてスケジューリングする
上記で洗い出したスキルを、いつ、どのような方法で新入社員に渡していくかを考えるのがスケジューリングです。
スキルは、一度にたくさん渡しても、新入社員のインプットが追いつかず、効果が薄くなってしまいます。新入社員が、課題や不安を感じているタイミングでスキルを渡すことができると、学びの理解が深くなります。そのため、自組織の新入社員は、いつどのような悩みや不安を抱えているのかを理解してスケジュールを決めていくことが大切です。

④育成計画を新入社員に渡し、成長イメージを持たせる
新入社員育成の育成計画が決定したら、新入社員と受け入れ先の社員に展開します。新入社員には、自身で新入社員の目標を意識できるようにし、受け入れ先の社員には育成計画を元にそれぞれが新入社員をフォローするように呼びかけましょう。
新入社員が目標を達成するための育成計画だということを認識できていると、育成に対してポジティブに受け取ることができます。

⑤毎月の新入社員の成長度合いに合わせて都度修正する
作成した育成計画の通りに進めていく中で、新入社員の成長スピードとのズレが生じることがあります。ズレを感じた際は、そのまま放置せず、新入社員の成長スピードに合わせて育成計画を調整しましょう。新入社員の成長度合いと計画がズレたままでは、新入社員の成長が停滞し、ついていけなくなって体調不良や退職をしてしまう可能性が高まるためです。
新入社員の育成計画については、以下のコラムもご参考ください。

【参考コラム】 ・新入社員の育成計画を作成する際に知っておくべき5つのステップ│新入社員の自律自走を促そう目標設定を通じて新入社員が成長するためには、新入社員の自発性を高めること新入社員研修スケジュール作成の基本│配属までの組み方と、1日の流れの作り方

育成者のトレーニングの実施

新入社員の育成者のトレーニングを実施しましょう。新入社員の成長を促すことができる育成者が増えると、仕事ができない新入社員を生み出す環境が改善されます。
育成者として必要なスキルは大きく4つあります。

1、育成計画を立てる 2、指導をする(ティーチング) 3、行動を改善・強化する(フィードバック) 4、自律・自走させる(コーチング)

当社の部下・後輩育成OJTトレーナー研修では、より現場を意識した行動、意思決定が出来るように、ワークの合間に様々なストーリーが入ります。実務さながらに、育成計画の立案、フィードバック、ティーチング、コーチングを実演していただきます。
OJT研修 育成方法をオリジナルのやり方でやっている方もいらっしゃいますが、どのような声かけや指導を行うと、新入社員の成長を促すことができるのかを体形的に理解できると応用もしやすくなりますし、本人も安心できます。

「周囲から、新入社員が仕事ができない」という発言が無くなるように、適切な育成スキルを身に着けることも大切です。このように、新入社員個人と組織に対して施策を行うことで、仕事ができない新入社員を少なくしていきましょう。

4、新入社員の成長事例〜できない人という評価から主体的な人へ〜

当社でご支援している美容器具メーカーの新入社員の方で、初めは仕事ができないと言われていた方が、OJTや1on1を通して信頼できるトレーナーができ、そのトレーナーによって新入社員の精神的成長が促されたことで、9ヶ月後には主体的に行動できるようになった方がいらっしゃいました。

<企業情報>
業種:美容器具メーカー
規模:300名程度
新入社員の職種:営業職


入社当時は、周囲から見ると、向上心ややる気が感じられない状況でした。 具体的には、先輩との営業同行にて、予定よりも早めに同行が終了したため「(業務時間終了まで、自社商品が陳列されている)他店舗を視察して回って帰ったら?」と先輩が新入社員に提案したところ、「別に大丈夫です」と断り、早々に帰宅してしまう」というようなことがありました。
言われたことはやるものの、より自発的に学ぼう・成長しようという向上心が感じられず、「仕事ができない新入社員」ともなり得る言動が多々見られていました。

そのような状況でも、上司やトレーナーが、新入社員に積極的に声を掛け、新入社員に寄り添った対応や育成を行っていきました。新入社員とトレーナーの方の信頼関係が構築されていきました。その結果、周囲のアドバイスを素直に受け取れるようになり、トレーナーの方のために頑張りたいという思いが出てくるようになったようです。9ヶ月たった頃には、営業としてチームに貢献できるようにと、自発的にSNSマーケについて学んだり、報連相の頻度も高まっていったとのことです。 自分のためだけではなく、周囲や会社のためを意識することができ、言われたことしかやらなかった入社時と比べて大きな変化です。 このように、始めは仕事ができないと感じている新入社員も、適切な施策を行い、向き合うことで必ず変化していきます。 今の新入社員に諦めてしまうのではなく、まずは新入社員の現状をみて原因を把握し、適切な施策を行うことから始めていきましょう。

新入社員研修成功事例集

5、まとめ

今回は、仕事ができない新入社員の特徴と原因を解説し、仕事ができないと思われている新入社員に対して具体的にどのような対策を行えばいいかを紹介しました。 新入社員のなかで仕事ができないと言われる方の特徴は大きく3つあります。

1)社会人としての自覚が弱い 2)仕事を遂行するスキルが備わっていない 3)適切なコミュニケーションを取れない

仕事ができないと言われる特徴を持っている新入社員は、次のことが原因で生まれていると考えられます。

1)新入社員側の原因
・社会人としての自覚が足りない(精神的成長)
・仕事に必要な技術やスキルが足りない(技術的成長)

2)組織側の原因
・新入社員の適性と不一致な採用や配属をしている
・新入社員に適した育成ができていない
・育成する側へ育成スキル・知識の付与やトレーニングを行っていない

仕事ができない新入社員に対しての改善策として、新入社員個人に対する施策と、組織で行うべきことを紹介しました。

1)新入社員個人に向けての施策
・精神的成長を促す
・技術的成長を促す

2)組織全体での施策
・新入社員の適性を考えた採用や配属の実施
・新入社員に適した育成の実施
・育成者のトレーニングの実施

この記事を読むことで、新入社員の仕事ができない理由が明確になり、そのためにどのような対策をすればいいかを理解していただけたと思います。 ぜひ自組織と改めて向き合い、改善が必要なことに対してどのような対策を行えばいいか検討しましょう。

なお、当社の新入社員研修では、新入社員が仕事ができないと言われないために様々な学術的背景に基づいた内容を提供しております。
特に、インサイドアウトを促す設計や、リアルな仕事に近いシミュレーションワークがお客様から評価していただいております。
当社の新入社員研修についてより詳しい情報を知りたい方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。

参考:メンズファッション研究所KASHIKARI