2023/2/14作成ー
新入社員の教育で何を大切にすればいいのだろうか…
新入社員の教育で何をどう伝えたらいいのだろうか…
このようなお悩みを抱えている方も多いのではないかと思います。新入社員の教育は、新入社員に2つの成長を促すことが大切です。2つの成長とは、「技術的成長」と「精神的成長」です。
技術的成長は、スキルや技術が身に付くことを指します。
精神的成長は、物事への意識・捉え方が変わる、意欲や意識の向上などの内面的な変化を指します。技術的成長と比較すると成長を感じにくいと言われています。
ただ、精神的成長が得られると、仕事に対するモチベーションが向上し、自身のキャリアをより主体的に捉えられるようになります。そして、そのような個人の成長・変化は、チームや組織にもポジティブな影響をもたらします。そのため、この2つの成長を促すことが、新入社員の教育には欠かせないのです。
そこで今回は、技術的成長と精神的成長という観点から新入社員の教育で大切にすることや、教育方法、事例についてお伝えします。このコラムを読むことで、新入社員の教育をするための計画を始められる状態になり、新入社員の教育をしっかりと設計できたことで、新入社員に期待感を持てるようになります。
目次
新入社員を教育する上で大切なことは、技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことです。技術的成長と精神的成長はお互いが、お互いの成長のために影響を与え合っており、どちらか一方のみを鍛えても、片方の成長がなければ、成長に繋がっていかないためです。
技術的成長である、スキルや技術としてのレベルを上げるために大切なことは、必要なスキルの提供です。新入社員がスキルを学び、身につけるための機会を設けることで、技術的成長を促すことができます。
例えば、ビジネスマナーのスキルを身につけてもらうために、研修を通して学ぶ機会を作ります。その後は、OJTでできていない箇所を指摘してビジネスマナーを定着させていく、というようなことです。
精神的成長である、仕事に対するモチベーションや仕事の意義を高めるために大切なことは、内省や対話の機会を創ることです。内省や対話を通して、それぞれが大切にしている価値観や考え方に気が付き、周りに適応するためにアップデートの必要性を感じることもあります。それが精神的成長を促すことに繋がります。
例えば、当社の社会人の自覚研修では、社会人として自身の望む成長についてワールドカフェの形式で探求する機会を創っています。
【引用】ワールド・カフェの手引き
「自分がどうなることを望むか」を対話を通して考えることで、ぼんやりしていたものが言語化されて明確になってきたり、他の人の意見を聞くことで視野を広げたりすることができます。
※ 当社資料より一部抜粋
このように、新入社員を教育する上で大切なことは、技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことです。
新入社員の教育を行うための方法をお伝えします。新入社員の教育を考えるためには、技術的成長・成長的成長に対して、どのような方法で渡すかを決める必要があります。順番にお伝えします。
技術的成長と精神的成長を高めることのできるスキルを目的別に選定します。
新入社員によく必要とされる内容は、下記になります。
・省察
・一般的なビジネススキル
・ロジカルシンキング
・要件定義力
・ソリューション提案力
・プレゼンテーション
・ビジネスマナー
・コスト意識(会計知識)
・コンプライアンス
・コミュニケーション
・チームビルディング
【精神的成長よりの内容】
・内省
・社会人としての意識を持つ
・「目指したい姿」を探求する
・振り返りフォロー
これらの内容をもとに、新入社員に対して技術的成長と精神的成長を促していくといいでしょう
新入社員を教育する方法は主に次の3つです。
・OFF-JT(Off the Job Training)
・OJT(On the Job Training)
・SD(Self Development)
それぞれ説明します。
Off-JTとは、OJTに対して、職場を離れて、講習や研修などを行う人材教育のことを指します。Off-JTの投資対効果を高めていくためには、研修の現場で学んだことが、仕事の現場で一般化されて役立てられるような工夫を行うことが非常に重要です。
【参考コラム】
【!人事必見!】新入社員研修を、企画・実施・フォローするために知っておきたいこと
OJTとは、組織の上司や先輩が、部下や後輩に対して具体的な仕事を与え、その仕事を通して、業務に必要な知識・技術・考え方などを指導し、修得させることを指します。
【参考コラム】
OJT研修の内容によって「人が育つ組織をつくる」ための3つのポイント
SDとは「自己啓発」、社員による自発的な学習を意味します。OJTやOff-JTと大きく異なるのは、原則として企業に強制力がない点です。企業は、「自己啓発支援制度」などとして社員に学ぶ機会を提供できますが、学習内容の選択や頻度の設定は社員の意思に委ねる形になります。
これら3つの方法のうち、新入社員の教育内容に合わせてどの方法が適切かを選択し、新入社員の技術的成長・精神的成長を促します。基本的には、OFF-JTやSDでスキルを実践しながらインプットし、学んだことを日々の業務の中で実践していく際にOJTで指導をする流れになります。
自組織の新入社員の成長を促すために、何のスキルを、どのような方法で渡すかを決めていき、新入社員の技術的成長と精神的成長を高められるようにしましょう。
何のスキルをどのような方法で渡すかを決めた後に行うのが、スケジュールを決めることです。スキルは一度にたくさん渡しても、新入社員のインプットが追いつかず、効果が薄くなってしまいます。
新入社員が不安や課題感を感じているタイミングでスキルを渡すことができると学びの理解が深くなります。そのため、自組織の新入社員は、いつどのような悩みや不安を抱えているのかを理解してスケジュールを決めていくことが大切です。新入社員が、いつどのような悩みや課題を感じているのかについて知る時に、参考にしていただきたいのが次の資料です。
これは、当社の調査に基づいて作成した、新入社員がいつどのような課題を感じるのかをまとめた資料になります。組織によって配属時期が異なるため、多少のズレはありますが、基本的にはこのようなタイミングで課題や不安を感じていることが分かりました。
不安や悩みが起きるタイミングに学ぶ機会を合わせられると、新入社員が主体的に学ぼうとする姿勢を強められるため、その分技術的成長・精神的成長も促しやすいです。ぜひ、タイミングを意識してスケジュールを立てられるようにしましょう。
アーティエンスの新入社員研修の公開講座スケジュールに関しては、上記の課題感にあわせた研修プログラムを予定しています。新入社員の人数が少ない企業様は、一年間受講される場合もありますし、上記の課題意識の強い内容の月一日のみ研修を受講される場合もあります。
このように、課題にあわせて、外部研修なども利用されるとよいでしょう。
新入社員の教育を行う際に、最近の新入社員の特徴を意識するとより成長を促せる教育を行うことができます。当社でインタビュー調査や専門家の見解をまとめたところ、2023年度の新入社員には3つの特徴があると考えられます。
多様な“理想のあり方=Be”と“実際の業務=Do”を紐付けられているケースが少なく乖離が発生する
コロナ前から活動的だった人と消極的だった人とのスタンスがそのまま社会人になった時にも影響すると考えられ、社会人としてのスタンスのグラデーションが拡大する
世代ごとに期待する反応や意思疎通が叶わず、お互いにストレスや認知のギャップが発生する
理想と現実を紐付けられるようにするための研修が必要になります。
例えば、新入社員の「ありたい」という内側からの変容を促して、実際の業務に必要なスキルの指導を取り入れるという方法があります。他にも、ありたい姿を実現するために今何をすればいいのかを考える中で、今行っている実務が大切だと気づくようになると言うような意識の変化を促せると良いです。
社会人として大切なことを理解する機会を作ることが一つの方法としてあります。
例えば、当社の社会人の自覚研修では次のような問いを投げて、新入社員同士で考え、言語化してシェアしてもらうことで、社会人としてのスタンスを持てるように働きかけています。
※ 当社 社会人の自覚研修テキストより一部抜粋
社会人としてのスタンスは、一方的に説明を伝えても、受け手の新入社員にとっては納得しきれない部分もあるため、新入社員自身で考えてもらうことがポイントです。
人事やOJTトレーナーなど受け入れ側の支援も行い、新入社員との関係性を構築するためのスキルを渡していくことが必要です。特に、新入社員の育成に影響を与えるOJTトレーナーへのスキルの提供は新入社員の育成と密に影響するため、検討すると良いでしょう。
オンボーディングの支援も大切になります。Feldman, D. C. (1977)の調査によると、新入社員が職場の仲間に受け入れられたと感じる(受容感)には、平均2.7カ月かかるという研究結果があります。そのため、入社後3か月間は研修を通して丁寧に育成し、受け入れの土台をつくっていくことを推奨します。
オンボーディングについて詳しく知りたい方は、下記のコラムで詳しく説明しています。
■新入社員の離職を防ぐ!オンボーディングの具体施策と成功の3つのポイント
これらの特徴を踏まえた教育を行い、新入社員の成長を促せるようにしましょう。
当社で、研修やそのほか新入社員の育成フォローをお手伝いさせていただいている事例をご紹介します。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8-9月 | 10月 | 11-3月 | ||
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技術的成長 | 研修 | ・ビジネススキル研修 ・上司との協働体感研修 |
専門スキル研修 | |||||
OJT | 実務を通しながら、新入社員の技術的成長を支援 | |||||||
精神的成長 | 研修 | ・社会人の自覚研修 | ・成長力強化研修 | ・1年目フォローアップ研修 | ||||
OJT | 1on1を通して、新入社員の精神的成長を支援 パルスサーベイGrowthによって新入社員の状態を把握 |
例年、新入社員研修を実施させて頂いているお客様のため、昨年度の振り返りから出てきた課題意識をお客様と話し合い、改善するという方法で新入社員の教育の方向性を決めていきました。
特に、同期との繋がりが弱いという課題があったため、その課題に適した成長力強化研修を7月に実施することにしました。その結果、同期との対話によって不安の解消や気づき、発見に繋がったという感想をいただきました。
こちらのお客様は、専門的なスキルを扱う職種のため、技術的成長はOJTで行い、フォローが弱くなる精神的成長について定期的に研修を取り入れて成長を促すような設計になっています。
また、パルスサーベイGrowthという、月に一度、新入社員が自身の仕事を振り返るツールを活用していただいていました。Growthでは、毎月同じ10の設問に回答していただき、数値の変化やフリーコメントの内容をみて、新入社員の変化に気づき、フォローできるようになっています。
テレワークも増えたことで、新入社員の変化に気がつくことが難しいため、このようなツールを活用していただき、都度フォローしたことで、精神的成長を妨げている要因を解消していくことができました。このように、技術的成長と精神的成長のバランスを取った教育を行うことで、新入社員は成長していくことができます。
今回は、新入社員の教育で大切にすることや、教育方法、事例についてお伝えしました。
新入社員を教育する上で大切なことは、技術的成長と精神的成長の両方の成長を促すことです。技術的成長と精神的成長はお互いが、お互いの成長のために影響を与え合っており、どちらか一方のみを鍛えても、片方の成長がなければ、成長に繋がっていかないためです。
技術的成長と精神的成長を高めることのできる内容のうち、新入社員によく必要とされる内容は次のような内容になります。
・省察
・一般的なビジネススキル
・ロジカルシンキング
・要件定義力
・ソリューション提案力
・プレゼンテーション
・ビジネスマナー
・コスト意識(会計知識)
・コンプライアンス
・コミュニケーション
・チームビルディング
【精神的成長よりの内容】
・内省
・社会人としての意識を持つ
・「目指したい姿」を探求する
・振り返りフォロー
これらのスキルから、自組織に必要な技術的成長と精神的成長を促せる内容を新入社員に渡せると、成長に繋がります。
新入社員を教育する方法は主に次の3つです。
OFF-JTやSDでスキルを実践しながらインプットし、学んだことを日々の業務の中で実践していく際にOJTで指導できるようにしましょう。
スキルを渡すタイミングについては、新入社員が不安や課題感を感じているタイミングが成長を促しやすいです。
当社の資料も参考にしながら、スケジュールに落とし込んでいきましょう。
また、新入社員の教育を行う際に、最近の新入社員の特徴を意識すると、より成長を促せる教育になります。当社の調査によると、2023年度の新入社員には3つの特徴があると考えられます。
多様な“理想のあり方=Be”と“実際の業務=Do”を紐付けられているケースが少なく乖離が発生する
コロナ前から活動的だった人と消極的だった人とのスタンスがそのまま社会人になった時にも影響すると考えられ、社会人としてのスタンスのグラデーションが拡大する
世代ごとに期待する反応や意思疎通が叶わず、お互いにストレスや認知のギャップが発生する
これらの特徴を踏まえた教育を行い、新入社員の成長を促せるようにしましょう。
このコラムを読むことで、新入社員の教育をするための計画を始められる状態になっていると思います。新入社員の教育を丁寧に設計して、新入社員の技術的成長と精神的成長を促せる状態を作り、新入社員の成長にワクワクできるようになりましょう。
新入社員教育で、お悩みがある場合は、お気軽にお問い合わせください。