コラム

新入社員研修でグループワークを行い、理解度を深める|分かるとできるは違うを体感する

会議中の男女

2022/11/22作成ー

「新入社員研修でグループワークを取り入れた方がいいのだろうか…」
「新入社員研修のグループワークってどうやって作ればいいのだろうか…」
「新入社員研修のグループワークで気を付けるべきことはあるのだろうか…」

新入社員研修でのグループワークの作り方や扱い方に困っている方も多いのではないでしょうか。
新入社員研修を内製で行っている場合は、座学がメインになりがちで、グループワークを積極的に取り入れられていないこともあると思います。

しかし、自転車の乗り方の知識はあっても、実際に乗ってみないと乗れるようにならないのと同じように、学んだ知識や自身で考えたことを、アウトプットしなければ学びを深め、定着させることができません。

そこで今回は、グループワークをテーマにし、グループワークの目的や、事例、グループワークの作り方をお伝えします。このコラムによって、グループワークの基本的な情報が理解でき、新入社員研修の効果を高めるためのグループワークを実施できる状態になるかと思います。ぜひご覧ください。
※ 本コラムは、研修の作り方ではなく、あくまで研修内のグループワークに特化したものになります。人事のみなさんが、グループワークを作る際の参考になれば嬉しいです。

1)新入社員研修でグループワークを実施する目的

新入社員研修でグループワークを行う目的は、新入社員が社会人の基礎力を身に付け、関係性を創り、仕事への理解を深めるため、そして、人事が新入社員の特徴を知るためです。

具体的には、次のようなことです。

・グループワークを通して、新入社員が学びや仕事の楽しさ・厳しさを知る
・グループワークを通して、新入社員が実業務の疑似体験をする
・グループワークを通して、新入社員が自身の成長を実感する
・グループワークを通して、新入社員が同期とのつながりを強化する
・グループワークの中で、新入社員の適性を知る

講義を受ける形式だと、スキルや知識を新入社員へ渡すことはできますが、新入社員は教えてもらったスキルや知識をどのように仕事の現場で活用していけばいいのかをイメージすることは難しいです。また、同期との関係性を築くことも難しいですし、人事が新入社員の特徴を知る機会を作ることも難しいです。

例えば、当社では新入社員研修の内容の約8割ほどをグループワークの時間としていて、仕事と同じようにグループのメンバー同士で助け合い、学び合える設計にしています。

グループワークの中で、新入社員の特徴を知るためにも、新入社員がどのような動きをしているのかを観察して、人事の方にフィードバックするということも行っています。グループワークの中での動きは、採用面接や普段の会話の中では見えてこない部分も多く、配属先の検討などに活用して頂いています。

当社では、新入社員研修にご利用、下記のようなフィードバック内容(有償サポート)をお伝えしています。  フィードバック内容(有償サポート) このように、新入社員研修でグループワークを行うことは、新入社員にとっても人事にとっても意味のある方法だということが分かります。

2)新入社員研修でグループワークを実施するメリット・難しさ

新入社員研修でグループワークを行うにあたり、メリットと難しさを確認します。

① 新入社員研修でグループワークを実施するメリット

新入社員研修でグループワークを実施するメリットは、次の通りです。

新入社員にとってのメリット

①学習機会に主体的に関わることを経験できる
②周りの人と協力しながら答えを生み出す経験ができる

人事にとってのメリット

①新入社員がどのような関わり方をするのか見ることができる
②フォローや指導が必要な場合、すぐに対応ができる

それぞれについて詳しく説明します。

新入社員にとってのメリット①:主体的に関わることを経験できる

グループワークは、座学と異なり、自ら発言や行動をすることが求められるため、新入社員が主体的に関わりやすくなります。

過去の新入社員研修で、研修に消極的で講義も聞き流すような方が参加された時がありました。研修の始めに行ったグループでの対話では、人から振られないと話さないというような状態でしたが、研修の中盤に行った課題解決のグループワークでは、自分も参加しないと解決できないという状態になり、自ら発言することが増えるようになったということがありました。

このように、グループワークでは、新入社員が参加者の一員であるという自覚と責任を持つことで、主体的に参加できる状態を創ることができるため、新入社員に主体性を促したい時に効果的です。

新入社員にとってのメリット②:周りの人と協力しながら答えを生み出す経験ができる

グループワークでは、答えが1つで無いことについて同じメンバーとコミュニケーションを取りながら考えます。そのため、仕事に必要な周りの人と協力しながら、答えを生み出す経験ができます。

周りの人とコミュニケーションを取りながら課題解決をするというのは、最近の新入社員にとっては難しさを感じることがあるようで、課題解決のグループワークを実施した研修後のアンケートで、次のようなコメントを記載している方がいました。

「もっと他者を理解しようという気持ちが生まれた。これまで友人や同期と接してきて、理解が追いつかない人がいることがあまりなかったので、もっと他者に関心を持ちたいと思った。どんな人とでもやっていける力を磨きたい。」

学校生活の中では、自分で付き合う人を選んでいましたが、社会では利害関係が働くため、自身と相性が合わなくても仕事を進める必要が出てきます。そのことを研修のグループワークで実感して頂いたようでした。

このように、グループワークでは周りと一緒に答えを生み出す面白さと難しさを経験をすることができます。

人事にとってのメリット①:新入社員がどのような関わり方をするのか見ることができる

新入社員について採用から見ていたとしても、新入社員の性格や特性をすべて把握することは難しいですが、グループワークの様子を見ると、性格や特性をより見ることができます。

例えばグループワークの様子を見ていると、

・発言数が多く前に進める力が強い
・皆と平等にコミュニケーションを取っている
・積極的にメモを取っている
・周りとのコミュニケーションをあまり取らずに一人で作業していることが多い

というようなことが見て取れます。

また、メンバーを変えると言動が変わる新入社員もいるため、その観点からも新入社員の特徴を知る良い機会となります。グループワークの姿から見て取れたことを、配属先の検討材料とする企業も多いです。

このようにグループワークでは、採用面接などでは見ることのできなかった新入社員の性格や特性を知る機会になるのです。

人事にとってのメリット②:フォローや指導が必要な場合、すぐに対応ができる

座学の中で指導をすることは、タイミングなどの兼ね合いで難しいことが多いですが、グループワークだと対話の共有やアウトプットに対してのフィードバックとして、伝えることができます。

例えば、当社の上司との協働体感研修のグループワークでは、上司役である講師に何度も報連相に行きます。そのため、何度もフィードバックをする機会があり、課題に対して方向性がズレていたり、報連相の仕方についてその時々でフォローや指導を行うことができます。

このように、グループワークでは、講師が個人もしくはグループに対して、都度フォローや指導を行うことで成長を促すことができるようになるのです。

② 新入社員研修でグループワークを実施する難しさ

新入社員研修でグループワークを実施する難しさは、次の通りです。

新入社員にとっての難しさ

 グループワークの質や講師の質が低いと、学びが低くなる

人事(講師)にとっての難しさ

 質の高いグループワークの作成には、専門知識も必要で、時間がかかる

新入社員にとっての難しさ:グループワークの質や講師の質が低いと、学びが低くなる

グループワークが始まったらグループメンバーで進めてもらうため、そもそものワークの質や講師の質が低いと、新入社員の学びも低くなってしまうのです。

例えば、グループワークで何を学ぶかが明確ではなく、何となく開発したグループワークだったり、テストを行わないで市場に出した場合は、学びが落ちないということが起きます。 ※ フリーで研修講師をされている方は、テストをしないで、お客様に納品されることがよく見られます。

また、グループワーク後のアウトプットの発表後に、講師からの新入社員へのフィードバックが必要以上に厳しく高圧的な場合は、学ぶべき内容は入っていかないでしょう。

このように、グループワークや講師の質が低いと新入社員の学びが低くなってしまうということが難しさとしてあげられます。

人事(講師)にとっての難しさ:質の高いグループワークの作成には、専門知識も必要で、時間がかかる

グループワークを作成するには、新入社員の傾向などを調査し、その上で要件定義を決め、学術的な背景を踏まえて、作成していく必要があります。

例えば、マナー研修の服装に関してのワークを作る際に、下記のような進め方が必要になります。

1. 時代背景に基づいた市場調査として、どのような服装の観点を持ったほうがいいのか調べる
例えば、「性別による縛りを無くしていくこと」や、「多様性という言葉で、服装の縛りがあると最近の若手は嫌がる」などの特徴が見えてきます。

2. 要件定義として、グループワークを行うことで、どのような変化を起こしたいのかを考える
例えば、「会社の代表として、顧客や外部パートナーから、服装に関して不快に思われない」や、「既存社員が違和感を感じるような服装は避けてほしい」、「服装に関して新入社員が、堅苦しさを感じることなく、自組織にあった服装をしてほしい」などが考えられるかと思います。

3. 学術的な背景などを踏まえて、ラーニングポイントに落として、グループワークを作成する
例えば、自組織にあった服装とは何かを対話をした後に、孔子の「礼(挨拶やマナー)は秩序を守るため」という話を伝えるなどです。

下記は当社の研修で活用している身だしなみのチェックシートです。昔は性別ごとにチェックシートを入れていましたが、現在は性別で分けて記載しないようにしています。

クリックで拡大
クリックで拡大

※ 当社ビジネスマナー研修テキストより抜粋

このように、質の高いグループワークの作成には、専門知識を用いてアップデートすることが必要になります。グループワークは、新入社員が社会人の基礎力を身に付け、関係性を創り、仕事への理解を深めるため、そして、人事が新入社員の特徴を知るためには良い手段です。しかし、実際に行うと難しさもありますので、そのことを理解した上で実施に向けて準備を進めて頂けたらと思います。

3)新入社員研修でよく行われるグループワークの種類・事例

新入社員研修でよく行われるグループワークの種類は大きく分けて4つです。

・対話
・課題解決
・ディベート
・ゲーム

これらの特徴と事例をお伝えします。

① 対話

グループのメンバーで対話を行い、学びを深めます。グループで対話を行うことで、自分とは異なる意見を聞くことができ、認知の幅を広げられることが特徴です。

当社の社会人の自覚研修では、次のような問いについてグループで対話を行ってもらっています。

・学生と社会人の違いとは何だろう?
・私たちの未来と今を豊かにするために、社会人のスタートをどのように切るといいのだろう?

答えが明確にあるものではない問いに対して、さまざま人の意見を聞くことで、自分だけの考えではなく他にもいろんな考え方があることを知り、認知の幅が広がっていきます。

この対話では、1つの問いについて、約15分程、対話の時間を設けています。そして、対話の時間が終了した後に、クラス全体でいくつかの対話の内容を共有することで、より認知の幅を広げるということを行っています。

対話を行うときのポイントとしては、新入社員が感じていることを素直に発言できる環境を整えることです。対話をするということについて慣れていない人もいるため、当社では対話をする前に必ず下記のルールを伝えています。  対話のルール ※ 当社社会人の自覚研修のテキストより抜粋

このようなルールを設けることで、誰かの発言によって傷つくということが起きないようにしています。グループワークとして対話を行うことで、さまざまな考え方があることを知り、認知の幅を広げられることが特徴です。

② 課題解決

提示された課題について、グループで解決していくグループワークです。実際の仕事で起こり得るシチュエーションをイメージした課題を設定すると、実業務の疑似体験をすることができます。

当社のロジカルシンキング研修では、CS向上のための企画を作成するという課題に対して、次のような具体的なシチュエーションを設定しています。

クリックで拡大

※ 当社ロジカルシンキング研修より抜粋

このように実際の仕事をイメージできるように具体的なシチュエーションを設定した上で、グループで課題に取り組むことで、新入社員はリアルな仕事をイメージしながら学ぶことができます。課題解決のポイントとしては、実務を想定して進める設定にすることです。

例えば、当社では講師が上司役になり、課題を解決していく中で、現場さながらに不明点があれば相談し、方向性が合っているかを確認するということを研修内で行います。どのように上司や先輩を巻き込めばいいのかも体験することができます。

4月に行う新入社員研修の場合、新入社員にとっては報連相を行う経験をしたことがないため、何を聞けばいいのかが分からなかったり、上司に何を求めるための報連相を行っているのかを自分で理解できていないというようなことが起きていました。  受講生の様子 新入社員にとって、報連相は大切なスキルです。4月に研修内で練習することで、新入社員の立ち上がりを早めるだけではなく、新入社員の不安や現場の負担も軽減できるでしょう。

このように、実際の仕事で起こり得るシチュエーションを元に課題を設定し、グループで解決していくグループワークは、現場の疑似体験の時間となり、すぐに活用できるスキルを身に付けることが可能です。

③ ディベート(その後対話)

一つのテーマに対して、対立する2つの意見を用意し、本人の思いとは関係なく振り分けられた意見を持っている人として、ディベートをしてもらうグループワークです。仕事を行う中で意見が対立したときに、どう乗り越えていけばいいのかを体験します。

例えば、上司との飲み会について、

A:仕事で成果を出すために積極的に行くべき
B:自分のプライベートを大切にした方がいいので、断るべき

という対立する意見があったとしましょう。この対立する2つの意見でディベートをしてもらいます。  ディベートのワーク ※ 当社資料より一部抜粋

ディベートのポイントとしては、新入社員が自分の考えとは異なっていても、思いっきり設定になりきることです。そうすることで、異なる意見をぶつけ合うという経験をすることができます。

ディベートのグループワークを行うときは、事前にグループごとの作戦タイムを設けることがポイントです。自身の立場を正当化するものと、相手から出るであろう意見の反論などをあらかじめ考えて議論できる状態にします。
その後、同じメンバーで対話をしてもらうことで、相手の意見も聞きながらお互いが納得できるポイントを探せることに気が付くと思います。

 ディベートのワーク ※ 当社資料より一部抜粋

日々の業務の中で、例えば、クライアントからの「コストをできるだけ下げて欲しい」という意見と、上司からの「コストを下げることはできない」という意見の狭間になってしまうことがあります。その時に、ディベートのグループワークを思い出すことで、意見を言い合うだけでは解決出来なかったから、クライアント、上司それぞれと対話をしてみようと進めることができると、自ずと解決策は見えてくるのではないかと思います。

仕事を行う中で、表面には出てこないけど水面下で、顧客と上司や、部署間で対立していることはよくあると思います。お互いの意見を言い合うだけでは解決しないことがグループワークを通して分かっていると、対立関係になったときに乗り越えることができるようになります。

④ ゲーム

グループメンバーとの関係性を創ったり、実感することが難しい会社の仕組みを分かりやすく知ることができるのが、ゲームのグループワークです。

ゲームということもあり、楽しみながら行うことができるということが大きな特徴です。
例えば、当社の目標達成・コスト意識研修では、学びの一つとして、新入社員が「自分はコストである」ということに新入社員が気がつけるゲームとなっています。  スタートアップ企業のゲーム  スタートアップ企業のゲーム ※ 当社研修資料と受講生のグループワークの様子

ゲームのグループワークを開発するときのポイントとしては、学んでほしいことを意識し続けることです。ゲームを通して新入社員に学んで欲しいことは何なのかを明確にしておかないと、目的がブレてしまい、楽しい時間は過ごせても学びが少なくなってしまいます。

先ほど紹介した例以外にも、より関係性の構築にフォーカスした「ペーパータワー」というゲームなどもあります。ペーパータワーは、A4用紙30枚を使ってできるだけ高いタワーを作るゲームです。使えるものはA4用紙のみと非常にシンプルだからこそ、チームで知恵を出し合い、工夫することが試されます。

<ペーパータワーの実施方法>
1チーム4~5人のグループを作り、各グループに30枚ずつA4用紙を配布します。配られた用紙については、切ったり折ったりしても問題ありません。しかし、紙以外の材料を使用してはいけません。ゲームの準備ができたら、5分間作戦タイムをとり、タワーのイメージや手順、役割を話し合います。作戦タイムで触れてもよい用紙は、1枚に限るということもルールの一つです。

作戦タイムが終了したら、組み立てを開始します。時間は5分間です。組み立てタイムが終了したら、参加者はタワーに触れてはいけません。手を触れない状態で10秒数え、その時点のタワーの高さで競い、一番高いタワーを作ったグループが優勝です。ゲームを一度終えたら、振り返りを行い、反省と改善を話あった上で再度同じゲームを行うと、仕事で大切なPDCAを回す経験にもなります。

新入社員という関係性が創れていないという状態で、協力し合うというゲームのグループワークを行うことで関係性を深めることに繋がります。

4)新入社員研修でグループワークを実施するための手順

新入社員研修でグループワークを実施するための手順は次の通りです。  グループワーク実施の手順 詳しく説明します。

研修の目的と連動を踏まえて、グループワークの目的(=ラーニングポイント)を設定

研修の目的と、何のためのグループワークなのかを明確に言語化します。
目的(=新入社員に学んでほしいポイント)がブレてしまうと、効果が期待できないグループワークになってしまう可能性が大きいためです。

例えば、次のような目的が考えられます。  研修の目的 このように研修の目的と連動したグループワークの目的(=新入社員に学んでほしいポイント)を作成し、明確にしておくことが大切です。

グループワークの種類と、タイムラインスケジュール(研修の流れと時間配分)作成

まずは、グループワークの目的に最も適した内容を決めます。その後、そのグループワークの効果が最大限高まるタイムラインを考えます。

グループワークの目的を達成できる内容とタイムラインになっているかは、新入社員がどれだけ学べるかに関わってくるため、アップデートを重ねて作っていきましょう。そのようなポイントを踏まえて考えて作成した、当社ビジネスマナー研修のグループワークの一部のスケジュールがこちらです。 タイムライン この例の場合、挨拶を学ぶために、グループワークの目的を「挨拶のマナーが正しくないことによるネガティブな影響を知り、挨拶のマナーの重要さを知ること」としていました。そのため、そのグループワークの目的に最も適した内容として、グループワークでマナーができていない人の動画を見て間違い探しをし、グループワークで確認し合うという内容にしています。

グループワークで間違いを確認し合ってもらった後に、正しい例と解説を行うことで、新入社員の学びを深め、関係性を築くためにマナーが必要であると理解できるようにしています。

このように、グループワークの目的に最も適した内容を決め、それに合わせたタイムラインスケジュール(研修の流れと時間配分)作成を行うことが大切です。

1日の研修スケジュールについてより詳しく知りたい方は下記のコラムもご覧ください。
新入社員が最大限の学びを得るための新入社員研修スケジュールの作り方

グループワークのコンテンツ開発

グループワークの開発では、新入社員が主体的に取り組む仕掛けがあることが重要です。グループワークは、新入社員がどれだけ主体的に取り組めるかで学びの深さも変わってくるためです。

例えば、当社のビジネスマナー研修では、新入社員が何度もマナーを研修内で実践します。 ビジネスマナー研修

クリックで拡大

※ 当社ビジネスマナー研修テキストより抜粋

新入社員が主体的に取り組むための方法として、当社では初めから型を教えることはしません。まず何も言わずやらせてみて、そのあと型を教えて、実践するという流れを作っています。コロナ以降は、当社がオリジナルで作成した動画で、マナーの間違い探しをしてもらい、その後正しいやり方を教えています。こうすると、できない自分を理解した上で、正しいものを学ぼうとするため、理解が深まり、習得度合いが高くなります。

当社のマナー動画をご覧になりたい方は、下記フォームからダウンロード下さい。マナー動画の一部をご覧いただけます。

    下記フォームより必要事項をご入力の上、送信してください。
    ご入力いただいたメールにダウンロードURLが届きます。

    ※同業者からのお申し込みはお断りしております
    ※ご入力いただいたメールへ、人事に役立つメルマガ(週1回程度)を配信いたします

    *は入力必須項目となります。

    企業名*
    氏名*
    メールアドレス*
    電話番号*

    このように、目的と合致した内容且つ、新入社員が主体的に取り組める仕掛けを意識してグループワークを開発することがポイントです。

    グループワークのコンテンツ開発を行う中で、前の段階で作成したタイムラインスケジュール(研修の流れと時間配分)に変更が必要な場合も出てきます。その際は、二つを行き来しながらアップデートしていきましょう。

    テストプレイ・アップデート

    コンテンツを開発したら、テストプレイを行います。実際に行ってみないと見えてこないこともあるためです。

    当社では、実際に想定しているグループワークの人数を集めて実施しています。テストプレイの中で、時間や伝える内容などを最終調整できると良いでしょう。

    また、テストプレイを実施してもらった方から、フィードバックをもらうことも重要です。その中には、心が痛む内容もあるかもしれませんが、グループワークをより良くすることができるというマインドを持って受け止めましょう。逆に、「良いと思います」というフィードバックのみだけだった場合は、本心で言っているのかよく注意が必要です。

    フィードバックの観点としては、

    ・グループワークの目的とズレがないか
    ・研修の流れに違和感がないか
    ・新入社員が実施できるレベルか
    ・説明で分かりづらいところがないか
    ・その他、気になったこと

    を意識してもらうようにしましょう。新入社員にとって、より学びのあるグループワークにするためにも、アップデートを重ねていきましょう。

    実施

    いよいよ実施です。今まで準備してきたものはありますが、一旦それを脇に置いて、その日の新入社員の様子を良く見て、柔軟に対応することが必要となります。

    なぜなら、グループワークを開発した通りに行うことが目的ではなく、新入社員にとって学びとなるかが重要な目的だからです。実際にグループワークを行う中で予期せぬ事態が起こる可能性もありますが、その時は、グループワークの目的を思い出して、目的を達成するためにはどうしたらいいかを軸に判断してもらえると良いかと思います。

    実際にあった例としては、2時間以内に日報の提出率改善の提案書を作成するワークで、新入社員から時間の延長の依頼があったため、時間を延長したということがありました。

    グループワークの発表後、納期を守らなかったことは良くないですが、バッドニュースをしっかり伝えていたことは良いというフィードバックをお伝えしました。また、今回は納期ギリギリに時間延長の依頼があったため、実際の現場では、納期を守ることが基本ですが、延長を依頼する場合はもっと早い段階で伝える必要があることもフィードバックしました。

    受講生の状況を見て対応すると、より学びが深くなるため、当日の新入社員の状態を良く見て、ベストなグループワークを実施できるようにしましょう。

    このような流れでグループワークのコンテンツ開発を行えると、新入社員が社会人の基礎力を身に付け、関係性を創り、仕事への理解を深める意味のあるグループワークを実施することができるようになります。

    5)新入社員研修でグループワークを実施する際に押さえておきたいポイント

    新入社員研修で、グループワークを実施する際に押さえておきたいポイントについて、お伝えします。

    ① グループワークのメンバー構成を目的に合わせて調整する

    メンバー構成によって、グループワークで見れる行動に変化があるためです。
    グループワークのメンバー構成には大きく2つのパターンがあります。

    ① 毎回同じメンバーでグループワークを行う場合
    ② 適度にメンバーを入れ替えてグループワークを行う場合

    ① 毎回同じメンバーでグループワークを行う場合

    毎回同じメンバーでグループワークを行う場合は、以下の目的の時に効果的です。

    ・知り合いとの関係性の築き方を知りたい
     配属されたときに部署内でどのように関係性を築いていくのかを垣間見ることができます。

    ② 適度にメンバーを入れ替えてグループワークを行う場合

    適度にメンバーを入れ替えてグループワークを行う場合は、以下の目的の時に効果的です。

    ・初対面の人とどのように関係性を築くのか知りたい
     例えば、自ら積極的に声を掛けに行く方なのか、話しかけるのを待っているのかなどを見ることができます。

    ・同期同士の繋がりを持たせたい
     毎回異なるメンバーになるようにするとその分多くの人と関係を持てるようになります。

    グループワークで、メンバーのどんな様子が見たいかに合わせて、グループメンバーの編成を調整することでより効果的に活用できます。

    【参考】グループワークの人数と男女比率
    グループワークを行う時に一般的に適切と言われているのは、対面実施の時は4~6名、オンラインの時は3~5名です。

    あまりにも少人数過ぎると1名の影響力が強く出てしまい、グループのメンバーで協力し合うという効果が薄くなってしまいます。一方で多すぎると、発言ができなかったり、何もしなくてもグループワークが進むという状態になりかねません。そのため、一般的には、対面実施の時は4~6名、オンラインの時は3~5名が良いとされます。

    しかし、この人数はあくまでの基本的な人数設計になるため、グループワークの主旨にあった人数かを検討して実施するようにしてください。

    また、グループの男女比ができるだけ1:1になると良いです。そうすることで多様性が生まれ、さまざまな意見を統合しながら目的を達成する経験に繋がります。同性だけになると、偏った思考になったり、慣れ合いが強くなる場合があります。学生ノリが出てしまい、社会人への意識変革も難しくなります。

    ② 意図的に新入社員が想像できる余白を作る

    実際の仕事も完璧な情報を元に依頼されることは少ないためです。

    ゲームについては、しっかりとルールを伝えることが必要ですが、対話・課題解決・ディベートのときは、意図的に余白として説明を明確にしすぎないとか、定義をしすぎないようにすることが必要な場合もあります。

    決まり切っていないことについて、新入社員がどのように対応するのかもグループワークで見ることができる大切なポイントです。中には、「これってこういうことであっていますか?」と質問されることもあると思いますが、明確にしない方が良いと思う箇所であれば「ご自身で考えてもらって大丈夫です。」とだけ伝えて良いも悪いも講師で判断しないようにしましょう。

    余白とグループワークが問題なくできる状態のバランスが難しいと思いますが、「初めて新入社員に業務を依頼する時にどこまで伝えるか」や、「現場の上司がどのような依頼をするか」などを一つの判断軸として持ってもらえるといいのではないかと思います。

    このように、完璧すぎない状態のグループワークにすることで、より業務に近い状態を生み出すことができます。

    【参考】ラーニングポイントを踏まえた上で講師の対応に関して
    新入社員に余白を渡すことは必要ですが、講師のオペレーションも明確にする必要があります。講師にオペレーションのトークスクリプトを用意することが必要です。これは、グループワークの品質を保持し、学びの質を高めるためです。

    例えば、新入社員が上司役である講師に確認をした場合に、「講師は、どこまでオペレーショに沿う必要があるのか」ということです。主に、下記を抑えておくといいでしょう。

    ・何をどのタイミングで伝える必要があるのか
    ・新入社員に情報を渡す判断はどうしたらいいのか
    ・講師判断で、新入社員の余白に対して、どこまで自由にフィードバックをしていいのか

    一例として、当社の講師オペレーションの説明資料(一部)をお見せします。

    クリックで拡大

    ※ 当社ロジカルシンキング研修の講師トークスクリプトより抜粋

    ③ 講師が場をホールドする

    講師がしっかりと場をホールドすることが必要です。場をホールドするとは、「コントロールするのではなく、研修で起きることを全て受け止めて、その時に合わせたベストな学びを提供すること」です。

    研修への参加意欲が低い方の影響が強いと、クラス全体の学びの質が低くなってしまうこともあります。特に対面形式だと、他のグループの空気感を何となく感知することができるため、クラス全体に影響してしまいます。

    クラス全体にネガティブな影響を与える例としては、グループワークをやっているときに、だらっと机の上で寝るような姿勢を取ったり、背もたれに浅く腰掛けるというような行動をしている人や、「このワーク面倒だね」という発言をするような人です。ネガティブな影響は伝播しやすいため、1人から1グループへ、そしてクラス全体へ伝わっていきます。

    講師は、そのような状態になった時でも場をホールドし、フィードバックの時間に適切に指導をすることが必要になります。

    当社のビジネスマナー研修で講師が場をホールドすることにより、新入社員のマナーに対する認知の変化が起きた例がありますのでご紹介します。

    挨拶のマナーの変化が分かる動画がありますので、まずはこちらをご覧ください。

    認知前は、椅子をしまっていなかったり後ろで腕を組んでいたり、お辞儀が浅く雑な印象ですが、認知後は、そのようなことが無くなり、ピシッとしている印象になっています。

    新入社員にこのような認知の変化を促せたのは、講師が場をホールドしていたためです。

    「挨拶をちゃんとしなさい」と伝えるのではなく、認知前の動画を見せて、お客さんがみたらどう思うか?と問いを投げることで新入社員に気づきを与えるということを行いました。

    このような問いかけや講師からのフィードバックを積み上げることで、研修効果を最大限にすることができます。
    小さな働きかけで場は変わってくるのです。

    【参考】場のコントロールと、ホールドの違い
    場のコントロールとは、講師が細かく指示を出したり、立ち振る舞いを強制することです。

    例えば、「コメントがあったら毎回拍手をする」の行動へのアプローチや、「○○してください」という指示出しです。これを行いすぎると、言われたことをやるという受け身になります。現場に行ってからの新入社員の受け身を強化すると言われています。

    この時、場を完璧に把握することは難しいので、全体の8割をホールドすることを意識してみてください。全体の8割が問題なく動いていれば、基本的には問題なく新入社員は学ぶことができます。8割がホールドできれば、多少ネガティブな2割の新入社員がいても、ポジティブな新入社員の意識に引っ張られるためです。

    場のコントロールとホールドの使い分けを意識して活用されると、グループワークの効果はとても高まります。
    ※ 場のコントロールが必要な場合もありますが、多用は避けたほうが良いです。

    当事者意識・主体性の育み方は、下記のコラムもぜひ参考にしてください。 ■社員の当事者意識を育む研修・ワークショップの創り方 ~人事が働きかけられることとは?〜

    【参考】 オンラインの時の場のホールドに関して オンライン形式だと、他のグループがどのような状態か見えないため、話し合いに集中はできますが、新入社員自身が周りを見ながらアウトプットの質や時間を調整することは難しくなります。

    オンライン形式の時は、当社では、定期的にアテンドがグループを回って、ワークと異なることを行っている場合や、態度の気になる方がいた場合は講師に報告しています。その状況に合わせて、講師の判断により、全員に向けてアナウンスをしたり、グループに介入するなど、対応を考えて場をホールドしています。

    ④ アテンドスタッフが、講師をフォローする

    講師一人だとグループワークの中でどのようなことが起きているのかを見きれないためです。講師は、場をホールドすることに意識が向いているため、個々の動きをすべて見ることは難しいです。そのため、アテンドを1名付けて、新入社員の動きを見ておくと、講師が見えていない部分を見て、講師をフォローできます。

    新入社員が全く別の方向で進めようとしている時のフォローや、新入社員がネガティブな発言・行動がある場合に講師に伝えることで、講師から適切なフィードバックが可能です。また、気になる新入社員がいた場合は、人事へ個別のフィードバックをすることができるようになります。

    実際に、グループワークの中で全く異なるページの内容をやろうとしていることがありました。特にオンラインで実施するときは、他のグループがどのようなことをやっているのか見ることができないため、自分たちが違うことをやっていることに気が付きにくい状態になっています。

    そのため、グループワークが始まった時にアテンドが各グループを回って、グループワークとして行っている課題があっているのか確認できると良いと思います。

    また、人事としては、新入社員の様子を知ることもグループワークの目的になっていると思いますが、講師だけだと参加者全員の細かい様子を観察することは難しいです。その際に、アテンドから見えたグループワークの中での発言や発言量、人との関わり方などを伝えられると、人事にとって意味のある情報となります。
    ※ アセスメントではないので、あくまでも見えている範囲になります。

    このように、個の状態を確認するためにも、グループワークを行う時はアテンドを付けることをお勧めします。これらのことに注意して、意味のあるグループワークを実施できるようにしましょう。

    6)まとめ

    新入社員研修の中でグループワークを実施することは、新入社員が社会人の基礎力を身に付け、関係性を創り、仕事への理解を深めるため、そして、人事が新入社員の特徴を知るためには良い方法と言えます。

    この記事でご紹介した次の手順を踏んで、押さえておきたいポイントを意識することで新入社員にとって効果のあるグループワークを実施できます。  研修の手順 研修の中にグループワークを取り入れることで、インプットだけでなくアウトプットを行い、学んだことを活用できるレベルを目指していきましょう。 グループワークを含む新入社員研修について相談したい場合は、ぜひアーティエンスにご相談ください。

    グループワークの質が悪いと、新入社員の学びは弱くなってしまいます。学びの質の高いグループワークの開発や、実際の運用については難しさがありますので、グループワークについて、お気軽にご相談頂けたらと思います。

    アーティエンスの新入社員研修は、毎年時代に合わせた内容にアップデートし続けているため、目的に合った学習効果の高いグループワークを実施しています。

    例えば、コロナになりただ研修内容をオンライン化するだけや、テレワークでの活用方法という内容にとどまらず、新入社員の傾向などを調査しています。

    クリックで拡大
    クリックで拡大

    ※ 当社新入社員研修資料より一部抜粋

    新入社員と人事の方にとって学びを得られる質の高いグループワークを開発しておりますので、グループワークについて知りたいことなどございましたらお気軽にご相談を頂けたらと思います。