コラム

【中小企業向け】管理職研修とは、自組織の課題を解決する研修を実施すべき

 SOLUTIONと書かれたブロックに人形が乗っている図

2022/9/30作成ー

「中小企業では、どんな管理職研修をしたらいいのだろう」と悩んでいて、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。
中小企業で行う管理職研修は、大企業で行う研修と同じでは効果は出ません。 実際、研修会社や人事コンサルタントに言われるがまま管理職研修を導入して、

「管理職や現場のモチベーションや士気が、余計下がった」
「管理職は一生懸命研修を受講していたが、何も変わらない」
「管理職が講師の言われるとおりにしたら、離職率は上がり、売上も下がった」

などのお話を聴きます。 そして、このような状況に陥ると、研修は意味がないと感じてしまいます。

 

「でも中小企業のキーマンは、管理職。事業課題や組織課題を解決するには、管理職の能力開発が必要」となり、経営者の悩みの種は、いつまでも続きます。

 

本コラムを最後まで読んでいただくと、中小企業向けの管理職研修とは何かを知ることができ、中小企業が管理職研修の導入で失敗しない方法を知ることができます。
※ 本コラムでの中小企業の定義は、社員数30~500名程度の組織を指します。そのため、大企業であっても、事業部の管理職研修を行う際は、参考にされてもよいでしょう。

 

1)研修のプロが薦める中小企業のための管理職研修とは?

中小企業のための管理職研修とは、「自組織の課題を解決する」ための研修です。
それ以上でも、それ以下でもありません。

 

中小企業は、大企業よりも景気の影響を受けやすいため、常に事業課題・組織課題があります。
その課題を解決していくことが必要になります。この時に自組織の課題を正確に把握し、最も優先度が高く、効果が見込める解決策の一つとして、管理職研修を中小企業では行う必要があります。 ※ 管理職研修で対応できないと判断した場合は、他の施策を考える必要があります。

 

例えば、よくあるNGな事例は、

・課題1 :「 管理職が戦略的に考えられない」 → 打ち手1 : 「戦略思考の研修を実施」
・課題2 : 「若手社員の離職率が高い」 → 打ち手2: 「心理的安全の研修を実施」
・課題3 : 「管理職の役割が分かってない」 → 打ち手3 : 「新任管理職研修を実施」

のようなパターンが見られます。もちろんたまたま上手くいくこともあるかしれませんが、ほとんどのケースは失敗に終わります。 それでは、どうしたらいいかというと、管理職の課題を中心にしながらも、自組織の事業課題・組織課題を一旦出し切ります。なぜ課題を出しきるかというと、それらの課題はすべて複雑に絡み合っているからです。
それらの課題がどのような関係があるのかを紐解き、最も優先して解決すべき課題を探していく必要があります。中小企業が管理職研修を行う際は、自組織の本質的な課題にアプローチする必要があります。

 

そして、この課題を解決するために、自組織にあった管理職研修を行うことが重要です。

管理職研修を行際は、「企画・準備・運営・研修後フォロー」のプロセスで進めます。

 

各プロセスのポイントは下記になります。

失敗しない管理職研修の進め方

1. 企画 : 経営者が、組織の真の課題に目を背けない
2. 準備 : 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝える
3. 運営 : 経営者と管理職が共に学び、現場の課題解決へのコミットを高める
4. 研修後フォロー : 管理職が課題を解決するために、経営者は支援する

失敗しない管理職研修の進め方を、「2)【事例から学ぶ】失敗しない中小企業の管理職研修の進め方」でお伝えいたします。

 

2)【事例から学ぶ】失敗しない中小企業の管理職研修の進め方

中小企業が管理職研修を失敗しないようにするためには、下記のように進めることが必要です。

 

1. 企画 : 経営者が、組織の真の課題に目を背けない
2. 準備 : 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝える
3. 運営 : 経営者と管理職が共に学び、現場の課題解決へのコミットを高める
4. 研修後フォロー : 管理職が課題を解決するために、経営者は支援する

 

イメージが付きやすいように、ある会社様(コンテンツビジネス事業。マザーズ上場会社(当時)。社員数200名程度)の事例を通して、説明していきたいと思います。

 

1. 企画 : 経営者が、組織の真の課題に目を背けない

企画では、経営者が、組織の真の課題に目を背けてはいけません。
経営者が、組織の真の課題から目を背けてしまうと、当たり前ですが課題解決はできません。もちろんさまざまなご事情はあると思いますので、できる範囲から行う場合もありますが、組織の真の課題を認識し、その課題を解決するという思いを強く持つことが必要です。

 

本お客様では、事業課題・組織課題を経営陣4名と共に丁寧に紐解いていきました。
経営陣が始めに認識していた課題は下記のとおりでした。

・次世代リーダーが育っていない
・ヒット商品の売上が鈍化し、新しい商品が生まれない
・新しいヒット商品を創る気概を、事業部長・管理職からは感じない
・株価も下がり始めている
・部門間を超えたコミュニケーションが、ミーティング以外で見られない。雑談もない。仲が悪く、縄張り意識もある
・目の前の仕事が忙しくて、新しい商品の企画が全く上がってこない

 

このままだと、今の経営陣が退任した際に、組織は崩壊するのではないかということになりました。
事業部長クラスに管理職研修をしたいという話でした。
これらの課題がどのように絡み合っているのかを把握するために、システムシンキングという思考方法をもとに、組織の状況を可視化していきました。
※ ロジカルシンキングだと、部分的な対処療法になりがちですので、注意が必要です。
※ 下記システム図は、お客様の言葉を尊重して作成しているため、飛躍している部分もあります。

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※ 当社資料より抜粋

 

上記システム図を簡単に説明すると、 ・組織風土として、部下へのハードマネジメントを行うので、上司への信頼がなく、チーム力が弱い
・ハードマネジメントをするので、挑戦したいとは思えず、今までの成功体験に依存して、目の前の利益ばかりに固執する
・目の前の利益ばかり追うので、目の前の仕事しかしない
・目の前のことばかりになるので、自部署しか見ず部分最適になり、部門間の壁は高くなる
・挑戦の気持ちもないので、アイディアは出ず、新サービスは生まれない
になります。

 

このシステム図がある程度つくられると、社長であるAさんは激怒しました。 「当社には当社の事情がある。私は、この会社が倒産しかけたときに、ジョインして、復活させたんだ!あの状況は、ハードマネジメントせざる得ない。今の状況を起こしているのは、私が原因だというのか?Bさん(当時本お客様の担当)、あなたに何が分かる!」  企業事例 システム図 ※ 当社資料より抜粋

 

会議室は静まり返りました。顧客担当であるBさんは、社長であるAさんも含めて、経営陣に問いかけます。 「いい悪いではなく、この状況が続くと、組織はどうなりますか?」 コーポレート本部の責任者である取締役Cさんが、口を開きました。 「あの時は、ああするしかなかった。ただ私はこの図を見て、とても苦しいですし、痛いです。当社の課題から目を背けるのではなく、どう解決するかを考えませんか?」と発言をされました。 その日は、一旦ここまでで終了になりました。 その後、社長Aさんは「事業部長への管理職研修は行う。私が協力できることはするが、まだ消化できていない部分がある。取締役Cさんのことを信じるから、頼む。今、私は全面に出ないほうがいい。具体的な研修内容などは進めてくれ」というお話でした。
社長Aさん、取締役Cさんも、そして他の二名の取締役も、この状況には逃げずに、課題と向き合うことになります。ここで、何となくお茶に濁したりせず、課題と向き合う覚悟持ったため、この後組織は大きく変わっていきます。

【参考】 本お客様の研修コンセプトと、研修内容  企業事例 研修コンセプト

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※ 当社資料より抜粋

 

コンセプトの創り方などを詳しく知りたい方は、下記コラムから確認が可能です。 下記コラムは、本研修のアフターストーリーでもあります。 【保存版】確実に効果をあげるための「管理職研修」を事例で解説!

2. 準備 : 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝える

経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝えない限り、管理職は本気になりません。
経営者が本気でなければ、そこまでコミット高く研修を受講することもなくなり、研修効果は期待できません。

 

本お客様では、社長のAさんが研修当日の挨拶で、メッセージを伝えることになりました。 ※ 本来であれば、管理職への事前課題と共に、メッセージを書いて送ってほしかったのですが、社長Aさんは言葉にできないということで、研修の当日に伝えていただくことになりました。とても険しい表情で、下記のように発言しました。 企業事例  ※ 当社資料より抜粋

 

事業部長の7人は、驚いた表情でしたが、いつもと違うということは感じ取ったようでした。 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝えることで、管理職の受講生は大きく変わります。

 

3. 運営 : 経営者と管理職が共に学び、現場の課題解決へのコミットを高める

「2. 準備 : 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝える」を言葉だけにするのではなく、行動として経営陣は見せていく必要があります。
経営陣も管理職と共に学ぶということが姿勢・行動が見えると、管理職も本気になって現場への課題解決を行います。

 

本お客様では、時間の関係上、経営陣は、3.5日間の研修のうち、初日しか参加できませんでした。
ただ社長Aさんから出てきた言葉は、「(一日目の研修の終了の際)他の日程も抑えておくべきだった。君たちに支援できることがあったら、言ってくれ」と伝えていました。また当社の顧客担当のBさんに対しては、「まだ一日だが、手ごたえを感じている。事業部長同士が、笑顔でお昼を食べているなんて想像できなかった。あれだけ仲悪かったのに。アーティエンスさん、Bさんに頼んでよかったよ」と握手を求めてきたそうです。

 

経営陣が本気になれば、管理職も本気になり、現場の課題に向きあいます。

(経営陣と管理職が共に学んだ研修風景)
研修一日目のオープニングの状況と、クロージングの状況になります。
 管理職研修の風景 チェックイン  管理職研修の風景 研修の一部とチェックアウト

4. 研修後フォロー : 管理職が課題を解決するために、経営者は支援する

現場に戻ったら、管理職にお任せではなく、経営陣と管理職が共創・協働することが必要です。
経営者が一方的に指示を出すのではなく、基本は、管理職に任せ、経営陣は彼らの支援をするのがいいでしょう。

 

本お客様では、研修後、すぐに下記のような動きがあったそうです。

・部次長による合宿
・合宿後、社員を巻き込んだボーリング大会
・部門間の活性化
・新サービスの企画立案の増加

これらの内容に関して、経営陣も全面的にフォローしていたとお話を聞いています。 研修が終わった後こそ、スタートになります。その際、管理職にお任せではなく、経営者と管理職が共に課題を解決していく必要があります。

 

なおこの後にアフターストーリーもあります。マネージャークラスの研修になります。よければこちらも参考にしてください。こちらでは、新サービスも立ち上がり、株価も上がっていく内容を見ることができます。 【保存版】確実に効果をあげるための「管理職研修」を事例で解説!

【参考】 研修後のシステムの変化~課題はどうやって解決されたのか?~ 部次長の関係性を高めるために「共有ビジョン」を作り、そしてお互いリーダーシップを発揮するための設計にしていました。  企業事例 システム図※ 当社資料より抜粋

3)中小企業の管理職研修で絶対に避けるべき注意点

中小企業の管理職研修は、課題が解決できなければ、意味がありません。 そのためには、「中小企業の管理職研修で絶対に避けるべき注意点」が3つあります。

1.課題解決に対して経営者のコミットが低く、管理職に変わることを要求する
2.短期的な目線のみになり、すぐに大きな効果を求める
3.予算もリソースもかけずに行おうとする

それぞれ説明していきます。

1.課題解決への経営者のコミットが低く、管理職に変わることを要求する

「管理職が悪い。管理職が変わるべきだ」では、課題は解決されません。
事業課題・組織課題も、誰が悪いのではなく、全員が当事者です。組織で最も影響力の高い経営者こそ、コミットを持ち、変わる必要があります。 経営者が管理職を見ているように、管理職も経営者も見ています。経営者が言葉だけの場合は、コミットの低さは透けて見えます。それでは、管理職は本気にはなりません。

 

よくあるケースは、管理職に対して、公開講座の合宿研修に参加させ、洗脳まがいの研修を実施するケースも見られます。そのような研修会社は、洗脳やマインドコントロールの技術もあるので、一定期間は変化する場合もあります。ただし洗脳は長くて一カ月だと言われています。その後は、経営者への信頼も低くなります。またそのような状態の管理職を見て、現場のメンバーは不安になります。 課題解決への管理職のみにコミットを求め、変わることを要求した場合は、上手くいきません。

 

2.短期的な目線のみになり、すぐに大きな効果を求める

短期的に大きな成果は出ません。どんなに早くて半年から一年は時間がかかります。
管理職も経営陣もお互いを信じ、愚直に課題解決をしていく必要があります。 外部研修を通して社内ルールの徹底などをして、短期的に成果が出るケースもあります。下記の話をお客様から聞き、どのように解決したらいいか、相談を受けたことがありました。

 

・経営者の友人から、短期的に成果の出る人事コンサルティング会社の紹介を受け、コンサルティングと研修を導入する
・行動量を増やすためのルールを徹底させたり、直属の上司以外への報連相を禁止にするなどの指導を受けた
・マネジメントが機能し、売上が一時上がった

 

一時上手くいったようでしたが、その後に下記のような問題が起きたそうです。

 

・行動量や数字だけの評価で、現場が疲弊して、退職者が増えた
・直属の上司への報連相のみになったので、パワハラ・セクハラが発生した
・数字をごまかすために、不正があった

 

このお客様は、当社に相談がありましたが、残念ながら当社とご一緒する前に、経営判断として結局会社を清算することに決めました。経営者が疲弊して、一人社長になり、社員は外部委託という形を取ることにしたそうです。これは専門用語でいうと、システムリベンジと言われるものです。一時上手くっているようで、あとでしっぺ返しが来ることを言います。過激なダイエットをすると、リバウンドが来ることをイメージしてもらうといいかもしれません。 短期的に成果を求める気持ちは、とても分かります。
大きな変化・根本的な解決をするためにも、長期的な視点を持つことが必要です。

3.予算もリソースもかけずに行おうとする

事業課題・組織課題を解決しようと思うと、お金もリソースも取られます。もちろん限られた予算やリソースで、できる限りのことを行うのもいいでしょう。ただしその場合は、効果も低いことや、根本的な課題は解決さないことが多いです。

よくあるケ―スは、研修会社からパッケージの安い研修導入したり、知り合いのコンサルタントに丸投げで依頼するなどです。このケースはうまくいかないということは、ここまでコラムを読んでいただいているので、もうご理解いただけると思います。 無駄なお金を使う必要はありませんし、余計なリソースも遣う必要はありませんが、管理職研修は、ある程度のお金とリソースを使うことをお薦めします。そうでなければ、事業課題・組織課題を解決することはできません。

 

4)まとめ

中小企業は、課題を解決するために、管理職研修をするべきです。 課題を解決できない管理職研修をしている余裕は、中小企業にはありません。 中小企業が管理職研修を行うには、下記2点を大切にする必要があります。

【中小企業が管理職研修を失敗しないようにするためのプロセス】
1. 企画 : 経営者が、組織の真の課題に目を背けない
2. 準備 : 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝える
3. 運営 : 経営者と管理職が共に学び、現場の課題解決へのコミットを高める
4. 研修後フォロー : 管理職が課題を解決するために、経営者は支援する

【中小企業の管理職研修で絶対に避けるべき注意点】
1. 課題解決に対して経営者のコミットが低く、管理職に変わることを要求する
2. 短期的な目線のみになり、すぐに大きな効果を求める
3. 予算もリソースもかけずに行おうとする

アーティエンスは、多くの中小企業のお客様の課題解決を、管理職研修を通して行ってきました。 管理職研修を通して、自組織の解決を本気で解決したいという方は、ぜひご連絡いただければと思います。