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中小企業に必要な管理職研修とは?【課題別】おすすめプログラム
更新日:
「中小企業におすすめの管理職研修は?」
「内容や事例・費用相場を知りたい…!」
このような思いから、本コラムに辿り着いたのではないでしょうか。
中小企業において、管理職は組織に与える影響が大きい重要な役割を担っています。だからこそ、事業課題や組織課題を解決するためには、管理職の能力向上が不可欠です。
本コラムでは中小企業に必要な管理職研修を課題別にお伝えします。また、研修を最大化する4つのポイント失敗しがちな3つの要因を解説します。また、研修の費用相場についてもお伝えします。
自社に最適な管理職研修を見つけ、組織の課題解決に向けて一歩踏み出しましょう。
※ 本コラムでは、従業員数30~500名程度の組織を中小企業と定義しています。

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
1)中小企業における管理職研修とは?研修の目的と重要性
中小企業のための管理職研修とは「自組織の課題を解決する」ための研修です。
なぜなら、大企業と比較して、中小企業における管理職の影響力は非常に大きく、企業全体の成長を左右するためです。
中小企業は大企業よりも景気の影響を受けやすく、事業課題・組織課題が常に存在します。これらの事業課題や組織課題を解決するために、影響力を持つ管理職に管理職研修を行うことは、効果的な解決策の一つと言えます。
管理職研修を通じて、管理職のスキルを向上させ、その能力を最大化することが、企業全体の成長を促進します。
2)【課題別】中小企業の管理職研修で行うべきプログラム8選
中小企業が管理職研修で行うべき内容例を、課題別に4つの区分に分けて8つ紹介します。
離職・エンゲージメントなどの 組織課題を解決したい | 売上・コストなど 事業課題を解決したい | |
---|---|---|
現状を変える | ①ハラスメント対策研修 各ハラスメントの意識を強く持たせることで、トラブルを防止する | ⑤目標設定・管理研修 今の売上を上げるために、どのような目標設定・管理方法が最適かを学ぶ |
②1on1ミーティング研修 1on1や評価面談の質を上げることで、メンバーのエンゲージメントとパフォーマンスを上げていく | ⑥アンラーニング研修 昔の成功体験を捨て、新しいナレッジを仕組化する方法を学ぶ | |
長期 目線で 変える | ③心理的安全性研修 心理的安全性を高めることで、離職率を下げ、エンゲージメントを高める | ⑦システムシンキング研修 物事のかかわりから、未来の課題にも目を向ける方法を学ぶ |
④成人発達理論研修 自身とチームメンバーの精神的成長を促していく | ⑧次世代リーダー向け研修 次世代リーダーの意識変革やスキル習得を学ぶ |
この表を参考に自組織が解決したい課題に優先順位をつけ、効果的に研修を実施できるようにしましょう。
新任管理職研修・次世代リーダー研修など、管理職研修の【種類別】に適した研修内容を見つけたい方はこちらから。
3)【事例あり】中小企業の管理職研修を最大化する4つのポイント
中小企業の管理職研修を成功させるためにはポイントがあります。研修の企画からフォローまで4つのプロセスに分けて、それぞれのポイントを事例とともにお伝えします。
各プロセスで意識したいポイントは以下の通りです。
1. 企画 : 組織の真の課題に目を向ける
2. 準備 : 管理職に研修を実施する想いを強く伝える
3. 運営 : 研修を通して課題解決へのコミットを高める
4. 研修後フォロー : 管理職を組織として支援する
当社のあるクライアント企業(コンテンツビジネス事業・マザーズ上場会社(当時)・従業員数約200名)の管理職研修の事例を通じて詳しく説明していきます。
1.企画 : 組織の真の課題に目を向ける
企画において最も重要なことは、「組織の真の課題に目を向ける」ことです。組織の真の課題に向き合うことは辛く苦しいことですが、目を背けていては課題解決はできません。
当社のあるクライアント企業(コンテンツビジネス事業・マザーズ上場会社(当時)・従業員数約200名)は、管理職研修の企画にあたり、経営陣4名と共に事業課題・組織課題を紐解いていきました。
当初、経営陣が認識していた課題は下記の通りでした。
・次世代リーダーが育っていない
・ヒット商品の売上が鈍化し、新しい商品が生まれない
・新しいヒット商品を創る気概を、事業部長・管理職からは感じない
・株価も下がり始めている
・部門間を超えたコミュニケーションが、会議以外見られず、雑談もない
・目の前の仕事が忙しくて、新しい商品の企画が全く上がってこない
「現状のままでは今の経営陣が退任した際に組織が崩壊する可能性もあるのではないか」という課題感から、事業部長クラスに管理職研修を実施したいというご要望でした。
これら課題がどのように絡み合っているのか、システムシンキングという思考法を用いて、課題の全体像を可視化したところ、下記のことがわかりました。
・上司のハードマネジメントが強く、部下から上司への信頼やチームの団結力が弱い
・ハードマネジメントが強いため、部下側は守りの姿勢となり、目先の利益追求を優先
・目先の利益ばかり優先するので、短期目線が強く目の前の仕事しかしない
・目の前の仕事に集中し、自部署だけの部分最適が強くなり、部門間の壁が高くなる
・挑戦意欲も削がれているので、アイディアは出ず、新サービスは生まれない
この状況を改めて見た社長のAさんは激怒しました。
会議室は静まり返りました。その時、担当者であるBさんは、社長であるAさんと経営陣に問いかけます。
コーポレート本部の責任者である取締役Cさんが、口を開きました。
その日は、これで一旦終了となりました。
後日、社長Aさんから「事業部長への管理職研修は行う。私が協力できることはするが、まだ消化できていない部分がある。取締役Cさんのことを信じるから頼む。今、私は前面に出ない方がいいので、具体的な内容などは進めてくれ」というお話がありました。
社長のAさんを含めた経営陣4名が、課題と向き合う覚悟を持ったため、この後、組織は大きく変わっていきました。
【参考】 本お客様の研修コンセプトと、研修プログラム詳細
研修コンセプトの創り方などの詳細は、【管理職研修】事例を通して効果的な内容と失敗しないポイントを徹底解説!をご覧ください。
2.準備 : 管理職に研修を実施する想いを強く伝える
準備では、管理職に対して管理職研修の重要性や目的、期待される成果について強く伝えることが大切です。研修に対する組織の本気度が伝わらないと、管理職は自らの成長や組織の課題解決に積極的に取り組む姿勢を持たなくなり、研修の効果が薄れてしまうためです。
本お客様では、社長のAさんが研修当日に直接メッセージを伝えることになりました。とても険しい表情で、次のようにメッセージを伝えました。
参加する管理職の7名は、驚いた表情でしたが、いつもと違うことは感じ取ったようでした。
管理職に対して、研修への想いを強く伝えることで、管理職の受講態度は大きく変わります。
3.運営 : 研修を通して課題解決へのコミットを高める
管理職が研修に対して本気で取り組むためには、研修内容が実際の課題解決に直結していることをしっかりと伝えることが重要です。研修が組織の課題解決にどれだけ影響を与えるかが明確で、本気で取り組まないといけない内容だと感じると、管理職のコミットメントも高まります。
本お客様の場合は、全3.5日間の研修日程のうち、初日に経営陣が参加し、経営陣と管理職が一同に対話を行う機会を設けました。
経営陣も全日程参加できるとよりコミットが高まりますが、初日に経営陣と管理職らが共に学びあったため、経営陣の本気度や変容が、管理職にも伝わっていったようでした。
【参考】経営陣と管理職が共に学んだ研修風景(初日)
研修終了時、社長Aさんは参加者全員に次のように伝えていました。また、担当者のBさんに対しては、次のように伝え、握手を求めてきたそうです。
経営陣が本気になれば、管理職も本気になり、現場の課題にも本気で向きあいます。
4.研修後フォロー : 管理職を組織として支援する
現場に戻ってからの重要なポイントは、「管理職に丸投げする」のではなく、管理職を組織全体で支援することです。
管理職は組織の中で非常に大きな役割を担っていますが、その責任とプレッシャーは非常に重いため、単独で全ての問題を解決するのは難しい場合が多いです。組織として管理職を支援することで、彼らがその役割を効果的に果たし、組織全体の成果を上げるための助けになります。
可能であれば、経営陣と管理職の共創・協働関係を創っていけると良いでしょう。経営者が一方的に指示を出すのではなく、基本は管理職に任せて、経営陣は管理職の支援をしていく体制を整えます。
本お客様では、研修後、管理職からの発案から以下のような取り組みを行ったそうです。
・部次長らによる合同合宿
・合宿後の、メンバーも巻き込んだボーリング大会
・部門間の活性化
・新サービスの企画立案の増加
上記取り組み内容に関して、経営陣も全面的にフォローしていたとお話を聞いています。
その後、本事例のクライアントは、さらに変革が進み、下記のような変化がありました。
【研修後の変化】
・ストレスチェックの大幅改善
・新サービスの収益化
・管理職自身の意識の変化
ーリーダーシップの発揮
ー自身の成果よりもチームの成果を喜ぶ
ー他部署の成果を喜ぶ
ー部下の成長を喜ぶ
研修をして終わりにせず、研修後のフォローまで丁寧に行うことで、管理職の変容を促せるようになります。
4)中小企業の管理職研修が失敗する3つの要因
中小企業の管理職研修が失敗してしまう際の要因として下記3つについてお伝えします。
1. 管理職にのみ変化を強要する
2. 短期的な目線のみで、すぐに大きな効果を求める
3. 適切な予算とリソースをかけない
1. 管理職にのみ変化を強要する
管理職にのみ変化を強要するのではなく、管理職を起点として、他の社員も巻き込むことを理解しておくことが必要です。事業課題や組織課題は、特定の人物に問題があるわけではなく、全員が当事者として関わるべきものだからです。
よくある失敗例は、管理職に変わることを強制し、洗脳のような研修を実施することです。
確かに洗脳的な研修が短期間で効果を感じる場合もありますが、それは長くて1ヶ月程度であり、その後は逆効果になることが多いです。経営者や組織への信頼も低くなり、研修後には管理職が不安や疑念を抱くようになり、メンバーもそれに影響されます。
このように、管理職だけに課題解決を期待して変わることを要求するのは、組織全体に逆効果を及ぼすことがあります。
そのため、管理職の変化をきっかけに、他の社員も巻き込んで組織全体が変わるようにすることが大切です。経営者から管理職、そして管理職から他の社員へと、全員が一丸となって課題解決に取り組む姿勢を作り出すことが、持続的な成長と改善に繋がります。
2. 短期的な目線のみで、すぐに大きな効果を求める
どんなに早くても、効果が出るまでには半年から1年かかります。大きな変化や根本的な解決を実現するためには、中長期的な視点で取り組むことが不可欠です。
以前ある企業が短期的な成果を求め、外部の人事コンサルティング会社から研修を導入してさまざまな施策を実施したところ、退職者の急増、パワハラ・セクハラの多発、売り上げの不正が発生という深刻な影響を与えることになった、というお話を伺いました。
これは専門用語で「システム・リベンジ」と言われます。最初は一時的に上手くいったように見えても、後に大きな代償が訪れます。
システム・リベンジを防ぐためにも、管理職と経営陣が信頼し合い、中長期的な視点で愚直に取り組み続けることが重要です。一時的な結果に囚われず、持続可能な成長に向けて一貫して努力する姿勢が求められます。
3. 適切な予算とリソースをかけない
事業課題や組織課題を解決するためには、お金やリソースが必要です。もちろん、無駄な支出や余計なリソースを使うべきではありませんが、管理職研修に関しては、ある程度の予算とリソースを確保しておくことをおすすめします。
よくある失敗例として、格安パッケージの管理職研修をそのまま導入したり、社長の知り合いのコンサルタントに丸投げするケースがあります。しかし組織に合致していない研修を実施しても意味がないのは明らかです。
重要なのは、限られた予算やリソースの中でも、まずは自社の事業課題や組織課題を正しく把握し、それらを解決するために必要な管理職研修をしっかりと企画することです。これが成功への第一歩です。
5)中小企業での管理職研修の相場
研修費用は企業により異なりますが、100万~1000万の幅で実施されることが多いです。
管理職研修を単発・講師派遣型で実施 | 100万円程度 |
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管理職研修を複数日程・講師派遣型で実施 | 1000万円程度 |
なお、1年間のみでは研修効果も一時的になってしまう場合があります。
特に、【長期目線で変える】の内容を実施する場合は、短くとも3年間は継続して実施しないと、効果が見えてきづらい場合もあるため、その分の予算を確保しておきましょう。
管理職研修の相場について、詳しくは以下のコラムに記載しています。
管理職研修の費用はどれくらい?相場観を知り、適切な予算を決めよう
6)まとめ
本コラムでは、中小企業が実施すべき管理職研修についてお伝えしました。中小企業が実施すべきは「自組織の課題を解決するための」管理職研修です。
課題解決につながらない管理職研修をしている余裕は、中小企業にはありません。今あるリソースを最大限活かして、効果的な管理職研修を行うことが重要です。
今回紹介した下記4つのポイントと、3つの失敗要因を意識するだけでも、より良くなっていくでしょう。
【中小企業の管理職研修を最大化する4つのポイント】
1.企画 : 組織の真の課題に目を向ける
2.準備 : 管理職に研修を実施する想いを強く伝える
3.運営 : 研修を通して課題解決へのコミットを高める
4.研修後フォロー : 管理職を組織として支援する
【中小企業の管理職研修が失敗する3つの要因】
1. 管理職にのみ変化を強要する
2. 短期的な目線のみで、すぐに大きな効果を求める
3. 適切な予算とリソースをかけない
アーティエンスは、管理職研修を通じて多くの中小企業の課題解決を行ってきました。自組織の課題を解決していきたいという方はぜひお気軽にご連絡いただければと思います。
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