- [ コラム ]
管理職が本気でパワハラと向き合うために、押さえるべき3つのポイント
- 2023/7/25更新ー2022/9/29作成ー「管理職がパワハラに対しての意識が低い」「パワハラがあっても、自身の評価を恐れて、もみ消してしまう管理職がいる」経営者の方や人事部の方と話をしていると上記のような相談を受けることがあります。上
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2023/8/1更新ー 2022/9/30作成ー
「中小企業では、どんな管理職研修をしたらいいのだろう?」
「大企業と同じ管理職研修を、中小企業でも実施してもいいのか?」
と悩み、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。
中小企業で行う管理職研修は、大企業と同じ内容では効果は出ません。 実際、研修会社や人事コンサルタントに言われるがまま管理職研修を導入し、
「管理職や現場社員のモチベーションや士気が、余計に下がった」
「研修は真面目に受講していたけど、結局何も変わらない」
「講師のアドバイス通りに実践したのに、離職率が上がり、業績は下がった」
といったお話をお聴きします。
このような状況に陥ると「研修は意味がない」と考えてしまいがちですが、「でも、中小企業のキーマンは管理職。事業課題や組織課題を解決するためには、管理職の能力開発は必須」となり、経営者の悩みの種はいつまでも続きます。
本コラムを最後までお読みいただくと、中小企業に最適な管理職研修とは何かを知り、管理職研修の導入で失敗しない方法を理解することができます。
※ 本コラムでは、従業員数30~500名程度の組織を中小企業と定義しています。大企業に所属されている方でも、事業部単位で管理職研修を実施する際のご参考となるでしょう。
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中小企業のための管理職研修とは、「自組織の課題を解決する」ための研修です。それ以上でも、それ以下でもありません。
中小企業は、大企業よりも景気の影響を受けやすく、常に事業課題・組織課題がつきまといます。中小企業の管理職研修は、それら課題を正確に把握した上であれば、最も優先度が高く、効果も見込める解決策の一つです。(もちろん、管理職研修で対応できないと判断した場合は、他の施策を考える必要があります)
ただし、中小企業の管理職研修の多くは、複雑に絡み合う自組織の事業課題・組織課題を把握しないままに、管理職の課題のみを中心に考えて実施しているため、失敗に終わるケースがあります。
例えば、よくあるNG事例として、下記パターンがあげられます。
では、どうすれば良いのかというと、管理職の課題を中心にしながらも、自組織の事業課題・組織課題を一旦全て出し切ることが重要です。なぜならば、それらの課題は全て複雑に絡み合っているからです。
課題を出し切った上で、最優先且つ効果が見込める課題へのアプローチを管理職研修として検討します。それこそが、中小企業が実施すべき「自組織の課題を解決する」管理職研修です。
【参考コラム】管理職研修の必要性を経営者・管理職に理解してもらうためのアプローチ
中小企業の管理職研修が失敗に終わらず、高い効果を上げていくためには、各プロセスで以下のポイントを押さえることが重要です。
上記プロセスについて、当社のあるクライアント企業(コンテンツビジネス事業・マザーズ上場会社(当時)・従業員数約200名)の管理職研修の事例を通じて詳しく説明していきます。
企画において最も重要なことは、経営者が企画から関与し「組織の真の課題から目を背むけない」ことです。経営者として、組織の真の課題に向き合うことはとても辛く苦しいことですが、目を背けていては課題解決はできません。
本お客様では、管理職研修の企画にあたって、経営陣4名と共に事業課題・組織課題を紐解いていきました。当初、経営陣が認識していた課題は下記のとおりでした。
・次世代リーダーが育っていない
・ヒット商品の売上が鈍化し、新しい商品が生まれない
・新しいヒット商品を創る気概を、事業部長・管理職からは感じない
・株価も下がり始めている
・部門間を超えたコミュニケーションが、会議以外見られず、雑談もない
・目の前の仕事が忙しくて、新しい商品の企画が全く上がってこない
現状のままだと、今の経営陣が退任した際に、組織は崩壊するのではないかという話まであがっていたため、事業部長クラスに管理職研修を実施したいというご要望でした。
これら課題がどのように絡み合っているのか、システムシンキングという思考法を用いて、課題の全体像を可視化しました。
※ 当社資料より抜粋(お客様の言葉を尊重し作成しているため、一部飛躍している部分もあります)
上記システム図を簡単に説明すると以下の通りです。
・上司のハードマネジメントが強い組織風土のため、上司への信頼やチームの団結力が弱い
・ハードマネジメントが強いため、挑戦意欲が弱く守りの姿勢となり、目先の利益追求を優先
・目先の利益ばかり優先するので、短期的に物事を見て、目の前の仕事しかしない
・短期的に物事を見ているので、自部署だけの部分最適となり、部門間の壁が高くなる
・挑戦意欲も削がれているので、アイディアは出ず、新サービスは生まれない
このシステム図がある程度つくられると、社長であるAさんは激怒しました。 「当社には当社の事情がある。私はこの会社が倒産しかけた時に参画し、復活させたんだ!あの状況は、ハードマネジメントせざる得ない。今の状況を起こしているのは、私が原因だというのか?あなたに何が分かる!?」
会議室は静まり返りました。担当者であるBさんは、社長であるAさんも含めて、経営陣に問いかけます。
「良い悪いではなく、この状況が続くと、我々の組織はどうなりますか?」
コーポレート本部の責任者である取締役Cさんが、口を開きました。
「あの時は、ああするしかなかった。ただ私はこの図を見て、とても苦しいですし、痛いです。当社の課題から目を背けるのではなく、どう解決するかを考えませんか?」
その日は、これで一旦終了となりました。後日、社長Aさんから「事業部長への管理職研修は行う。私が協力できることはするが、まだ消化できていない部分がある。取締役Cさんのことを信じるから頼む。今、私は全面に出ない方がいいので、具体的な内容などは進めてくれ」というお話がありました。
社長のAさんを含めた経営陣4名が、上記課題と向き合うことになります。この場で曖昧にせず、課題と向き合う覚悟を持ったため、この後、組織は大きく変わっていきます。
【参考】 本お客様の研修コンセプトと、研修プログラム詳細
研修コンセプトの創り方などの詳細は、【管理職研修】事例を通して効果的な内容と失敗しないポイントを徹底解説!をご覧ください。
準備において重要なポイントは、経営者が、管理職に対して研修への想いを強く伝えていくことです。経営者が本気にならなければ、管理職はもっと本気にはなりません。
本お客様では、社長のAさんが研修当日に直接、メッセージを伝えることになりました。とても険しい表情で、以下のメッセージを伝えました。
参加する管理職の7名は、驚いた表情でしたが、いつもと違うということは感じ取ったようでした。 経営者が、管理職に対して、研修への想いを強く伝えることで、管理職の受講生は大きく変わります。
前述した「想いを強く伝える」という言葉だけでなく、行動からも、経営陣は管理職に伝えていく必要があります。経営陣も管理職と共に学ぶという姿勢や言動が見えると、管理職のコミットメントも高まります。
本お客様では、全3.5日間の研修日程のうち、経営陣は時間の関係上、初日しか参加できませんでした。ただ、経営陣と管理職らが共に学び合う中で、経営陣の本気度や変容が、管理職にも伝わっていったようでした。
【参考】経営陣と管理職が共に学んだ研修風景(初日)
研修終了時、社長Aさんは「他の研修日程もおさえておくべきだった。君たちに支援できることがあったら、言ってくれ」と参加者全員に伝えていました。また、担当者のBさんに対しては、「まだ一日だが、手ごたえを感じている。事業部長同士が、笑顔でお昼を食べているなんて想像できなかった。あれだけ仲悪かったのに…。アーティエンスさん、Bさんに頼んでよかったよ」と握手を求めてきたそうです。
経営陣が本気になれば、管理職も本気になり、現場の課題にも本気で向きあいます。
現場に戻ってからは「管理職に丸投げ」はなく、経営陣と管理職の共創・協働関係を創っていくことが重要です。経営者が一方的に指示を出すのではなく、基本は管理職に任せて、経営陣はかれらの支援をしていく体制を整えるのが良いでしょう。
本お客様では、研修後、以下のような取り組みがでてきたそうです。
・部次長らによる合同合宿
・合宿後の、メンバーも巻き込んだボーリング大会
・部門間の活性化
・新サービスの企画立案の増加
上記取り組み内容に関して、経営陣も全面的にフォローしていたとお話を聞いています。 研修が終わった後こそが、スタートになります。より良いスタートがきれるよう、経営者と管理職の協力体制が重要です。
本章では、中小企業の管理職研修で絶対に避けるべき、下記3つの注意点をお伝えします。
1. 管理職にのみ課題解決を期待し、変わることを要求する
2. 短期的な目線のみで、すぐに大きな効果を求める
3. 予算もリソースもかけずに行おうとする
経営者が、「管理職が悪い。管理職が変わるべきだ」という状況では、課題解決には繋がらず、研修効果も期待できません。
事業課題・組織課題も、特定の人物のみが悪いのではなく、全員が当事者として関わっています。そして、組織で最も影響力の高い経営者こそ、課題解決へのコミットを高め、変わろうとする意識が必要です。経営者が管理職を見ているように、管理職も経営者も見ています。経営者のコミットの程度は、管理職にも透けて見えます。
よくある失敗例としては、管理職に変わることを強要するあまり、人格否定から入る合宿研修など洗脳まがいの研修を実施するケースです。洗脳やマインドコントロールのようなものは、一定期間効果がある場合もありますが、長くて一カ月だと言われています。その後は、経営者や組織への信頼も低くなります。そのような管理職を見て、メンバーも不安になります。管理職にのみ課題解決を期待し、変わることを要求しても、かえって逆効果となります。
どんなに早くても、半年~1年は効果が出るまで時間がかかるでしょう。大きな変化や根本的な解決をしていくには、中長期な視点で取り組むことが必要です。
以前、あるお客様からこんなご相談を受けました。
・短期的に成果が出せるという人事コンサルティング会社から、コンサルティングと研修を導入する
・社員の行動量を増やすためのルールを徹底させ、直属の上司以外への報連相を禁止する等を実施した
・組織全体でマネジメントが機能し、売上が上がった
一時上手くいったように思われましたが、その後、こんな問題が起きてしまったそうです。
・行動量や数字だけの評価となったため、現場社員が疲弊し、退職者が急増した
・直属の上司への報連相のみとなったことから、パワハラ・セクハラが多発した
・売上や数字をごまかすといった、不正が発生した
これは専門用語で「システム・リベンジ」と言われるものです。一時的に上手くいくものの、後々しっぺ返しが来ることを言います。過激なダイエットでリバウンドしてしまうことをイメージいただくと良いかもしれません。
上記のようなシステムリベンジを発生させないためにも、管理職も経営陣もお互いを信じ、中長期的な視点をもって愚直に取り組み続けることが必要です。
事業課題・組織課題を解決しようと思うと、お金もリソースも取られます。もちろん、無駄なお金や余計なリソースを使う必要はありませんが、管理職研修の場合は、ある程度の予算とリソースを確保いただくことをオススメします。
よくある失敗例としては、格安パッケージの管理職研修をそのまま導入したり、社長の知り合いのコンサルタントに丸投げで依頼するなどのケースです。これらのケースが上手くいかないということは、ここまでコラムをお読みいただいた皆さんであれば、もうご理解いただけるかと思います。
限られた予算とリソースであっても、まずは、自分たちの事業課題・組織課題を正しく把握し、それらを解決していくための管理職研修として企画検討いただくことを強く推奨します。
本コラムでは、中小企業が実施すべき管理職研修についてお伝えしてまいりました。何度もお伝えしますが、中小企業が実施すべきは「自組織の課題を解決するための」管理職研修です。
課題解決につながらない管理職研修をしている余裕は、中小企業にはありません。そして、管理職研修を実施する際のポイントを以下にまとめます。
【中小企業の管理職研修で絶対に避けるべき3つの注意点】
1. 管理職にのみ課題解決を期待し、変わることを要求する
2. 短期的な目線のみで、すぐに大きな効果を求める
3. 予算もリソースもかけずに行おうとする
アーティエンスは、多くの中小企業のクライアントの課題解決を、管理職研修を通じて取り組んでまいりました。自組織の課題を本気で解決していきたいという方はぜひお気軽にご連絡いただければと思います。