コラム

管理職に求められる能力要件とは?
~短期成果と中長期成長の両立するために~

男性2人と女性1人が会議をしている様子

2022/10/27作成ー

「管理職になったけど、どのような能力を身に付けたらいいのだろう?」
「上司との面談で、管理職としてもっと力をつけてほしいと、フィードバックがあったがどうしたらいいのか?」
「チームが回らない。管理職として、どんな能力を高めたり、改善したらいいのだろう」

このような課題意識を持って、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。

管理職として求められる能力は、一般社員より抽象的であるため言っていることは分かるが、実業務に落としづらいということもあります。
上司や管理職を長年経験している先輩社員にアドバイスを求めても、「経験が必要」という回答や、持論が強く自身にあてはまらないケースをよく目にします。

ネット検索をしても、カッツ理論等を用いた「テクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキル」など当たり障りない内容も多く感じているのではないでしょうか。

上司・先輩の管理職にアドバイスを求めて、ネット検索をして、何とか実業務に結び付けようとしても、管理職に求められる能力は、習得に時間がかかったり、能力を発揮してから結果が出るまで時間がかかることもあり、成長実感・成長予感を感じられないという現状もあるため、手触り感がなく、不安になります。

そして、さらに難易度が高くなるのは、時代や会社によって、どの能力が最も重要なのかが異なります。これでは、何を身に付けていいか分からないという認識になってしまい、不安になってしまうでしょう。

実は、管理職の能力の要件は時代・会社によって異なりますが、どの組織にも共通し、管理職が必ず身に付けなければいけない能力要件があります。

本コラムを読んでいただくと、管理職に必要な能力要件を一つに絞り、手触り感がある内容をお伝えいたします。最後まで読んでいただくと、すぐに実行できる内容を得て、そして自身とチームの成果に結びつくものも得ることができるコラムになっています。

1)管理職に求められる能力要件とは?

管理職に求められる能力要件とは、「短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みを作ることと、その仕組みをアップデートし続けること」です。

それぞれ2つずつ説明していきます。

『短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みを作ること』に関して

管理職になり、上司や経営者・事業責任者から突きつけられる課題意識は、「結果を出せ!(短期成果)」と「チームを成長させろ!(中長期成長)」の矛盾を言われ続けます。
その時に、「どちらを優先したらいいのか?」ということに悩むことになります。

この状況を解決するための能力要件が、管理職には必要になります。

例えば、ある営業会議のシーンをもとにお伝えできればと思いますので、イメージをしてみてください。

部長Aさん : 「B課長、今期の売上がこのままだと、未達になるぞ。君の部下は育っていないし、売上が君に依存していたら意味がないぞ」

この時に、管理職としての能力要件を習得できていない場合と、能力要件を習得できている場合を見ていきたいと思います。

【管理職としての能力要件を習得できていない場合】
B課長 : 「A部長、現在、部下に対して行動量を増やすように伝えています。そしてクロージングでは、私が同席し、売上を達成します。私との同席で、OJTを行います。」

【管理職としての能力要件を習得できている場合】
B課長 : 「A部長、現在、顧客へのアプローチ方法をアップデートしたことにより、結果が出るのに少し遅れています。ただ結果が見え始めているので、来週にはリカバリーされてくると思います。今期の売上も達成できると算段しています。またこのアップデートにより、マニュアル化した部分と、メンバー本人で顧客ニーズを考え抜くためのテンプレートも作ったので、部下育成にもアプローチしています。」

上記のシーンを見て、どちらが管理職として、パフォーマンスを発揮しているかは一目瞭然です。
管理職の役割は、チームの成果を出すための業務遂行、部下育成などとても多いですが、身に付ける能力は、「短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みをアップデートし続ける」のみになります。

【参考】 管理職の役割・あるべき姿などを知りたい方は、下記コラムもよければご覧ください。
コロナ禍で変化した管理職の役割とは?~自組織にマッチした管理職の役割を再定義しよう~
管理職のあるべき姿は、時代・場所によって変わる。自組織にあった管理職像とは?

『短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みをアップデートし続けること』に関して

仕組みを作ったら終わりではなく、常にアップデートし続ける必要があります。

例えば、上記の例である営業会議のアフターストーリーがあるとします。

「顧客へのアプローチ方法と、それに伴いマニュアル化」を変えたということでした。
売上は上がったが、部下の成長スピードが遅いという状況だったとします。

その際は、そのマニュアルで部下に考えさせる部分を作ったということでしたが、「考えさせる部分を変更する」というアプローチもあれば、部下育成自体を切り離して、勉強会・1on1をアップデートする場合もあるかもしれません。

このように常により良くしていくという意識・行動を持って、仕組みをアップデートし続けます。

2)管理職の能力要件を満たし、高めていくために必要なことは

「短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みを作ることと、その仕組みをアップデートし続けること」を身に付け、高めていくために、

①管理職自身ができること
②組織として支援が必要なこと

この2つを説明していきます。

①管理職自身ができること

チーム・他部署との連携・組織の「課題を探す」ことが必要です。
課題を探すことで、仕組み化や仕組みに対してアップデートする必要がありますし、それが短期成果や中長期成長に繋がっていくためです。

「課題を探す」方法として、3つのアプローチがあります。

①課題を解決する
②課題を発見する
③課題を創造する

それぞれどのようにアプローチしていけばいいかを、お伝えしていきます。

課題を解決する

これは、課題が明確なため、一般的な課題解決のアプローチを行えばいいでしょう。
あるべき姿・ありたい姿が明確なため、課題が明確になっているため、下記のようなプロセスを行います。

・課題を確認する : あるべき姿・ありたい姿と、現状のギャップである課題を確認する
・課題の所在を明確にする : 課題がどこにあるかを確認する
・課題の原因を把握する : Big Whyや5W2Hなどで原因を深掘りして、課題の真因を明確にする
・真因に対しての打ち手を考える : 対策を考えて、PDCAを回してながら、仕組みに落としていく、もしくは仕組みをアップデートする

当社の問題解決力研修のテキストを一部抜粋しますので、下記でイメージしていただくとよいでしょう。

クリックで拡大
クリックで拡大
クリックで拡大

課題を発見する

「いろいろ打ち手は打っているが、何となく上手くいかない」
「なぜか同じようなことが起きる」
というケースに関しては、課題を発見する必要があります。

こちらに関しては、システムシンキングという思考方法を用いていく必要があります。
簡単に説明すると、物事を俯瞰しても、レバレッジポイントと言われる課題解決に最も効果のある要素を探していき、課題解決を行います。

例えば、あるプロジェクトで開発が遅れているケースがあります。火消し対応として、「スケジュールの再設定をする」や、再発防止策として「バッファを多めにとる」や「人員を多くする」などではなく、構造化していくことが重要です。

下記は、当社のシステム思考のテキストの抜粋です。

クリックで拡大
クリックで拡大

上記のように構造化して、対策を考えて、それを仕組化していく必要があります。
システム思考をより知りたい方は、下記コラムをご覧ください。

眼前にそびえる「複雑な課題」に向き合える思考法─「システム思考」

課題を創造する

「課題が全くないから大丈夫」というケースに関しては、課題を創造する必要があります。

時代はとても速いスピードで変わっていきますので、常により良くしていく意識を持つことが重要です。こちらに関しては、経験学習を用いて、内省力を高めていくとよいでしょう。

【参考】当社チームビルディング・ワークショップより

クリックで拡大

まずは、振り返りを習慣化させるためにも、チームの会議から始めてみるのはいかがでしょうか。仕組みのアップデートが必要になる場合と、仕組み自体を作る必要も出てくるでしょう。

クリックで拡大

下記コラムもよければご覧ください。
withコロナを乗りこなすために、管理職は ”振り返り(リフレクション)” をどのように扱うといいのか?

チーム・他部署との連携・組織の「課題を探す」ことで、管理職の能力要件を身に付け、高めていただければと思います。

【参考】チーム・他部署との連携・組織の「課題を探す」ために必要なスキルとは
2つのスキルが求められます。

①「課題を探す」ための思考力
②「課題を解決していくための」実行力

「課題を探す」ための思考力

静的思考と言われるロジカルシンキングと、動的思考と言われるシステムシンキングが必要です。

ロジカルシンキングは、物事が変わらない前提で思考していくので、課題設定した後の課題解決の際の役に立ちます。
システムシンキングは、物事が変わる前提で思考していくので、今まで見えていなかった課題が発見されたり、創造されたりします。

【参考】当社、システムシンキングワークショップのテキストより

クリックで拡大
クリックで拡大

下記コラムで詳しい事例を用意していますので、よければご覧ください。
【保存版】確実に効果をあげるための「管理職研修」を事例で解説!

「課題を解決していくための」実行力

ファシリテーション力が必要です。管理職が課題を解決していくには、チームパフォーマンスを最大限は発揮し、そしてメンバーのコミットを高めていくことが必要なためです。

【参考】当社、ファシリテーター育成コースのテキストより抜粋

クリックで拡大

② 組織として支援が必要なこと

組織ができることは、2つあります。

①戦略方針を伝えて、その戦略方針をもとにフィードバックし続ける
②他社の管理職との交流を持たせる

戦略方針を伝えて、その戦略方針をもとにフィードバックし続ける

戦略方針を伝えることで、フォーカスポイントが明確になるため、短期成果と中長期成長に両立・統合を意識した仕組みづくりが可能になります。またフィードバックし続けることで、意識し続け、行動が促進されます。

例えば、当社の事例になりますが、2023年度の当社の方針は下記になります。  アーティエンスの戦略方針 上記の内容をもとに、会議などでは、短期成果・中長期成長と、それぞれの目標に対して、フィードバックを行っていきます。

具体例として一つ上げると、当社は毎月、パルスサーベイのデータを活用して、人事の方向けの勉強会を行っています。その際、参加者数であったり、アンケート結果・リピート率などを観るだけではなく、「それが参加された人事の方の役にどれだけ立ったのか?」、「本日の勉強会の学びは、現場に戻ってから活用されそうか?それがお客様の組織の未来につながるのか?」などを対話し、フィードバックします。

他社の管理職との交流を持たせる

他社の管理職と交流を持たせることで、認知が広がります。
自組織や自身が当たり前だと思っていることが、認知変容する場合があります。

まったく利害が無く、異業種の管理職からのフィードバックは、自身の認知や気付き発見を広げてくれます。これは、異質の目という呼ばれ方もします。短期成果と中長期成長に両立・統合を意識した仕組みづくりの新しいアイディアや、自組織・自チーム・自身の課題が明確になっていきます。

例えば、管理職研修を自組織だけでするのではなく、公開講座などを利用されてもいいかもしれません。アーティエンスでも管理職の公開講座をご用意しておりますので、ご興味のある方は仰ってください。

組織として支援できることととして、

①戦略方針を伝えて、その戦略方針をもとにフィードバックし続ける
②他社の管理職との交流を持たせる

があるので、ぜひ組織・人事は実践したり、管理職本人は組織に頼ってもいいかもしれません。

3)まとめ

管理職に求められる能力要件は、「短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みをアップデートし続ける」ことのみです。

これは、どの業界・組織であっても、基本的には求められます。
そのためには、管理職自身は、課題を探し続け、改善やより良くしていくことが必要です。

課題は与えられて解決するだけものではなく、「課題を発見・創造」までしていく必要があります。それが管理職の能力要件を、高めていくことに繋がります。
そして組織も、管理職の能力要件を高めていくために支援できることとして、「戦略・方針を伝え続けること」と、「他社の管理職との交流の機会を設けること」を、ぜひ行ってほしいと思います。

管理職に求められる能力要件として、「短期的成果と中長期的成長の対立関係・矛盾を両立・統合するための仕組みをアップデートし続ける」ことに対して、問題意識がある方は、ぜひ当社までご連絡いただければと思います。