ファシリテーターの向き不向きとは?|向いている人の5つの特徴

更新日:

作成日:2023.9.12

男性が考えている

「ファシリテーターに、向き不向きはありますか?」
ファシリテーション研修の受講生から、たまにこのような質問を受けます。

ファシリテーターには、向き不向きはあります。
ただし、「最初からファシリテーターに向いている人はほぼいない」と考えてもらって良いでしょう。ファシリテーターに求められることはとても多く、最初から全てを備えている人はほとんどいません。つまり、正しい努力を積み重ねていけば、ファシリテーターに向いていない人でも、高いパフォーマンスを発揮していくことは可能です。本コラムで詳しく解説していきます。

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このコラムで分かること

  • ファシリテーターの向き・不向きを見極めるポイント
  • ファシリテーターが扱う「タスク」と「メンテナンス」
  • ファシリテーターとしてレベルアップしていくために学ぶこと
執筆者プロフィール
迫間 智彦
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

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1. ファシリテーターの向き・不向きの見極めポイントは?

ファシリテーターには、向いている人と向いていない人がいます。それぞれ説明していきます。

【ファシリテーターに向いている人】タスク・メンテナンスの質を高められる人

ファシリテーターに向いている人は、タスク・メンテナンスの質を高められる人です。

・タスク:会議やワークショップ後に出てくるアウトプット
・メンテナンス:
参加者の関係の質

会議後の意識・行動変化を促進するためには、タスクとメンテナンスを両輪でまわすことが重要だからです。

例えば、会議のアウトプット(タスク)がどんなによくても、参加者の不平不満を置き去りに進めてしまっては参加者がコミット高く行動を起こすことはないでしょう。

逆に参加者の関係性(メンテナンス)が高まったとしても、アウトプットの品質が悪ければいつまでたっても物事は進んでいきません。

このようにファシリテーターに向いている人とは、タスク・メンテナンスの両者を高めていける人です。

【ファシリテーターに向いていない人】タスク・メンテナンスの質のどちらかに引っ張られる人

ファシリテーターに向いていない人は、タスク・メンテナンスの質のどちらかに引っ張られる人です。
ただし、人は基本的にはタスクとメンテナンスのどちらかを重要視すると言われり、偏っているのが普通なのです。論理を大切にする人はタスクより、人間関係を大切にする人はメンテナンスよりの傾向が強いです。
つまり、最初はファシリテーターに向いていない人の方が圧倒的に多いです。

ファシリテータ―に向いている人になるためには、自身の傾向を理解し、ファシリテーターとしてパフォーマンスを高くしていくための努力をすればいいのです。

2. タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴5選

「タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴」の5つお伝えします。
日々の自身の行動や言動と照らし合わせながら、どの特徴に注意して努力してゆけば良いのか考えながら読み進められると良いでしょう。

ファシリテーター 向き不向き

①主役にならず、促進者を全うできる

タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴として、主役にならず、裏方としての促進者を全うできることが上げられます。

ファシリテーターは、日本語では促進者と訳されます。ファシリテーターは、自身が主役ではなく、物事を前に進める促進者である必要があります。

例えばファシリテーターが主役となり、アウトプットを創り参加者のモチベーションをあげられたとしても、現場ではその決定が続かないケースは大変多いです。
なぜなら、その決定の当事者はあくまでファシリテーターであって、参加者の当事者意識は低いためです。

会議後の意識・行動のが継続されるためにも、促進者に徹し、自分を抑える必要があります。

②フラットに物事を見て、対応できる

タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴として、フラットに物事を見て対応できることが上げられます。

物事をフラットにみるとは、

・参加者同士から生みだされるものを大切に進める
・誰の意見も平等に扱える
・参加者の価値観を受け止め、大切にする
・物事の良し悪しすぐに決めつけず、その背景を知ろうとする

等です。フラットに物事を見れないと

・ファシリテーターが、意図した落しどころに落とそうとする
・役職や自身の好き嫌いで発言内容の重みづけを変える
・ファシリテーター自身の価値観を優先し、あわないものは扱わない
・ファシリテーター自身の認知で決めつける

といったことが発生します。フラットに物事をみて進めなければ、参加者から信用されずコミットは低くなります。また、一方的なアウトプットとなり、会議後の効果も低いでしょう。

タスクとメンテナンスを高めるためには、起きていることを受け止め自身の認知や価値観に引っ張られることなく、フラットに物事を見て対応できることが必要です。

③チーム学習を促すことができる

タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴として、チーム学習を促すことができることが上げられます。

チーム学習を行うと、想像もしていなかった考えやアイディアが出てきます。それは、アウトプットの質に大きく影響するでしょう。またチームで考えることで、当事者意識・主体性が育まれ、参加者のコミットが高まっていきます。

一人のハイパフォーマーが思いつくアイディアには限界があります。ハイパフォーマー自身が見えている世界が偏っているためです。これは、どんなに優秀な人でも起きます。
ファシリテータ―がチーム学習を促すことで、ハイパフォーマーを含めた一人一人の認知が広がり、これまでにないアイディアや解決策(アウトプット)が生まれてきます。つまり、チーム学習はタスクの質に影響するのです。
また、よりよいアイディアが生成的に生まれると、ポジティブなエネルギーが高まり、チームの一体感(メンテナンス)を醸成します。

このように、ファシリテーターがチーム学習を促すと、タスク・メンテナンスの質は高まっていきます。

④待つ・引き出す・背中を押すことができる

タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴として『「待つ」、「引き出す」、「背中を押す」ことができる』ことが上げられます。

ファシリテーターは促進者として、場が停滞していても参加者を信じて「待つ」ことが求められます。しかし「待つ」だけでは、物事が前に進まない場合もあります。
その際には、問いを投げて参加者の考えや想いを「引き出す」ことが求められます。
時に、参加者の恐れによって場が前に進まない場合には、参加者の「背中を押す」ことも大切です。

会議の場もワークショップの場も、停滞することは多くあります。その時には適切な『「待つ」、「引き出す」、「背中を押す」』を実施することが重要です。

⑤関わる場へのコミットが高く、胆力がある

タスク・メンテナンスの質を高められるファシリテーターの特徴として関わる場へのコミットが高く、胆力があることが上げられます。

ファシリテーターは主役ではありませんが、関わる場へのコミットの高さは求められます。また、ファシリテーションの場では混乱・衝突・敵意などが起きることもあります。その際には、胆力も必要になります。

例えば、経営会議や部門間の会議は、それぞれの利害関係があるので衝突が起きることは多くあります。また、不快感をぶつけるところがなければ、ファシリテーターに対して参加者が攻撃的になることもあるでしょう。

実際、筆者も下記のような経験(一例)をしています。

次世代リーダー育成会議で、上場会社の社長から「あなたに何が分かる」と怒鳴られる
・幹部社員ワークショップの場で、ベンチャー企業の事業責任者に怒鳴りつけられ胸ぐらを掴まれそうになる
・中小企業の幹部会議の場で、企画者である専務と部長が喧嘩し専務が怒りワークショップを放棄する

こうした状況でも、冷静にフラットに場を見て進め、乗り越えることで、タスク・メンテナンスの質は高まっていきます。(変革が起きる時は否定と破壊があり、それを乗り越えることが必要だと言われています。)

先ほどの例に関しても、そうした衝突を乗り越えた先に変化がありました。

次世代リーダー育成会議で、上場会社の社長から「あなたに何が分かる」と怒鳴られる
→ 会議でのモヤモヤを持ったまま、研修受講する社員の様子を見た社長が”私たちは変わらなければならない”と改めて感じることになる。”あの会議で気付きがあったから、私たちは危機感を持てた”と感謝される

・幹部社員ワークショップの場で、ベンチャー企業の事業責任者に怒鳴りつけられ胸ぐらを掴まれそうになる
→ ワークショップを通して現場社員が「事業部長のトップダウンだけではなく、自分たちからも想いや意見をちゃんと発信しないといけない」と気付き当事者意識・主体性が育まれる。結果、事業責任者との建設的なコミュニケーションが始まる

・中小企業の幹部会議の場で、企画者である専務と部長が喧嘩し専務が怒りワークショップを放棄する
→ 会議の後に専務が自身が現場に介入しすぎていることを自覚し現場に口を出さなくなる。結果、営業部長を中心に現場メンバーの当事者意識・主体性が上がり、売上がV字回復した。

※ 上記事例はファシリテーターが「関わる場へのコミットが高く、胆力がある」ことによってどのような影響があったか、に内容を絞ってお伝えしています。

関わる場へのコミットが高く胆力があることで、衝突の場を乗り越えていくことができるのです。

3.ファシリテーターの向き不向き別の学習方法

【ファシリテーターに向いている人】守破離の守であるファシリテーションスキル・手法・コツを学ぶ

ファシリテーターに向いている人と感じた人は、まずは、守破離の守であるファシリテーションスキル・活用手法・コツを学ぶといいでしょう。

まずはファシリテーションスキルを学ぶことをお勧めします。スキルを学び、実践を通してスキルを磨くといいでしょう。
スキルを覚えた後には、具体的な活用手法を覚えるとファシリテーションを実施しやすくなります。ファシリテーションの手法を学ぶことをお勧めします。
スキルの実践と手法の活用に慣れてきたら、ファシリテーションのコツを学び、経験を積むことで、ファシリテーターとして一皮むけていきます。
このようにファシリテーターとして向いている人は、守破離の守であるファシリテーションスキル・手法・コツを学ぶといいでしょう。

【ファシリテーションのスキル】
スキルは、下記の4つあります。

・場のデザインのスキル
→ 目的・目標などを決め、対話や議論が行える場創りを行うためのスキル

・対人関係のスキル
→ 関係の質を高め、相互作用が起きるためのスキル

・構造化のスキル
→ ロジカルシンキング等を用いて、可視化して構造化するスキル

・合意形成のスキル
→ コミットの高い意思決定を促すためのスキル


詳しくは
ファシリテーションスキルの基本と磨き方│上手な場作りの秘訣とは?をご覧ください。

【ファシリテーションの手法】
具体的な手法は、プロのファシリテーターが教える!すぐ使えるファシリテーションの手法12選にて、成功循環モデルに沿った内容を紹介しています。


【ファシリテーションのコツ】
コファシリテーションのコツは、参加者の認知(メンタルモデル)まで観ることです。


■観察のポイント

・言動・行動を観る
→ 具体的な事実をフラットに拾っていくこと
・思考を観る
→ 参加者の思考のプロセスを、丁寧に見に行くこと

・感情を観る
→ 参加者の状態を丁寧に観ること
・関係を観る
→ 参加者の相互作用を丁寧に観ること


詳しくは
ファシリテーションのコツとは何か?│場を観るための4つの観点と7つのポイントをご覧下さい。

【ファシリテーターに向いていない人】まずは自身の弱さと向き合う

ファシリテータ―に向いていないと感じた人は、向いていない原因を深ぼり解消していこうとする働きかけが重要です。
原因をつくる背景には自身の弱さが存在する場合が多くあり、その弱さと向き合うことを大切に進めていきましょう。
自身の弱さを拒絶したり見て見ぬふりをしていては、いつまでも変わりません。

例)
「自身はタスクよりの思考で、メンテナンスをおざなりする傾向が強い」と感じている。
   ↓そこには、どんな価値観がある?

「結局、人は結果がすべて。成果をださなければ意味がない。人間関係は、二の次」
   ↓価値観をつくる経験や背景は?
「○○時代に成果がだせなかったときに、誰からも何も評価されなかった。」

上記はあくまで一例ですが、自身の偏りをつくる価値観を深ぼると根底にある弱さが見えてきます。その弱さに向き合い受け入れて初めて、その価値観を動かすための次のステップを踏み出すことができます。

(参考)ファシリテーションの経験を重ねながら、自身の弱さと向き合うこともできる

ファシリテーターに向いていないと感じたからといって「自身の弱さと向き合って、タスク・メンテナンスの質を高められるようになってから、ファシリテーターになろう!」と意気込むことはお勧めしません。
なぜなら、自身の弱さと向き合うことは、一人で行うにはとてもハードルが高いことだからです。ワークショップのような場でプロが介入したり、自身の弱さと向き合わさざるを得ない状況(チームや組織が崩壊するなど)でなければ、向き合えないケースがほとんどです。
お勧めは「ファシリテーションスキルを学び、実践を積みながら、自身の弱さと向き合っていく」方法です。
ファシリテーションを実際に行っていくと、上手くいかないというケースや、自身の中では物足りないというケースも多く出てきます。
そうした際に、毎回「タスクとメンテナンスの質がどれだけ高まったと思うか」「タスク・メンテナンスの質を高められる人の5つ特徴」の達成度合いはどうだったか、そしてそれを引き起こした理由は何か、を振り返るだけでも自身の弱さと向き合うことができます。

4. まとめ

本コラムでは、ファシリテーションの向き不向きについてお伝えしました。

具体的には、


・ファシリテーターに向いている人:タスク・メンテナンスの質を高められる人
・ファシリテーターに向いていない人:タスク・メンテナンスの質のどちらかに引っ張られる人

と定義しています。

ただし、最初からファシリテーターに向いている人はほとんどいません。努力によって変わってきます。
ファシリテーターに向いていない人はぜひ、(ファシリテーションスキルを学びながら)自身の弱さと向き合ってみてください。

【参考コラム】ファシリテーターとは?何をする人?重要性やメリット・必要なスキルを詳しく解説

一つひとつの会議やワークショップを丁寧に実施し、都度振り返りを行うことで、半年後にはファシリテーターとしてのパフォーマンスは大きく変わっているはずです。

ファシリテーターとしての学習や、育成に興味がある方は、ぜひアーティエンスまでご相談いただければと思います。

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