ベンチャー企業にとって研修は必要?│成功法則を知ることで、無駄をなくす

2023/5/17作成ー
ベンチャー企業の経営者から、よくお聞きするのは、
「研修なんて意味がない!研修するくらいなら、実践で学んだほうがいい」
ということです。よくお話を聞いていくと、
「今まで研修を行ったけど、効果が出なかった」
「研修をやっても、すぐやめる」
「忙しくて研修を行う時間なんてない」
などです。ただし、このコラムを読まれている経営者や人事の方は、
「自組織で起きている課題を解決したい」
「これから、組織が成長するにあたって、起きるであろう問題に備えたい」
「成果が出ない。困っている」
等の問題意識を持って、本コラムにたどりついたのではないでしょうか。
研修が無駄だと思いながらも、何かしらの打ち手を探している状況にいらっしゃるのではないかと思います。ベンチャー企業が、研修導入で失敗するパターンは、研修への理解がなかったり、企画(ゴール設定)などを行わないためです。
本コラムを通して、まずはベンチャー企業において、どのような研修を行っていけばいいかを知っていただきたいと思います。本コラムを読み終わったときには、自組織に研修が必要かどうかの判断がつくでしょう。
1)研修のプロが薦めるベンチャー企業のための社員研修とは?
ベンチャー企業における社員研修は、成長と成果を促す研修である必要があります。なぜなら、ベンチャー企業は、チャレンジすることが前提のため、中長期目線である成長と、短期目線である成果の両方が必要になるためです。
成長では、下記を抑える必要があります。
・成長によって、今起きている歪を解決するための研修
・次のステージに行くために実施するための研修
成果では、下記を抑える必要があります。
・今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修
それぞれ説明していきます。
成長に関しての研修① : 成長によって、今起きている歪を解決するための研修
ベンチャー企業は、急激な成長が起き、多くの歪が起きるため、それを解決するための研修が必要です。なぜなら、その歪をそのままにしてしまうと、成長を止めてしまうということが起きるためです。
例えば、管理職が機能しておらず、チーム力を発揮できてないという課題があるとします。創業当初の少人数で行っていた時は、少人数でハイパフォーマー同士が阿吽の呼吸で、素晴らしい成果を出して、どんどん成長していたかもしれません。ただし、企業が成長すると、ハイパフォーマーばかりが集まってくることはありません。そのため、管理職が適切なマネジメントを行い、成果を出しながらも、メンバーを育成していく必要があります。
この時に、管理職が役割を全うしていなければ、ベンチャー企業の成長は止まります。
歪が見えたときや予測ができるときは、その歪を解決するための研修が必要です。
【参考】研修ですべてが解決できるわけではない歪のすべてが、研修で解決できるわけではありません。研修ではなく、システムを導入するなど仕組みで解決できることもあります。そのため、課題や状況を整理して、対応するといいでしょう。
具体的には、課題を洗い出し、下記観点を持つとよいでしょう。
・マニュアルやツール、ルールを作ったり、システムを導入すれば、すぐに解決できるものか
(ex)テレワークの環境を整えるための機材の購入など
・専門家の力を借りれば、短期的に解決できるものか
(ex)Webマーケティングのコンサルティング
・時間をかけなければ、解決できないものか
(ex)自組織のカルチャーをアップデートするための研修や組織開発
成長に関しての研修② : 次のステージに行くために実施するための研修
ベンチャー企業は、次のステージ行くために、経営者およびメンバーが学んでおく必要があるものを研修として実施することもあります。なぜなら、「IPOする」や「グローバル化する」などが起きたときに、適切な対応ができなくなるためです。
例えば、社員同士が仲が良く、その仲の良さをSNS等を使って発信していたベンチャー企業がIPOを控えているのであれば、SNSの扱い方の研修を学んだほうがいいかもしれません。IPO前であれば問題なかった発言が、株価に大きな影響を与え、大きなリスクになる可能性もあります。実際に、当社のお客様の事例ですが、新入社員が全体会議の風景を、Facebookに載せたことがありました。そして、その風景には、戦略方針のスライドが映り込んでおり、大問題になったことがあります。
このように、ベンチャー企業は、次のステージ行くために、経営者およびメンバーが学んでおく必要があるものを研修として実施する必要性もあります。
成果に関しての研修 : 今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修
ベンチャー企業は、今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修を実施する必要があります。なぜなら、「マーケティングのノウハウがない」、「営業成績が振るわない」、「プログラミングのスキルが低く、製品開発に影響がある」などの問題が起きるケースもあり、成果を出すためにすぐにスキルやノウハウを身に付ける必要があるためです。
例えば、当社のお客様で、営業活動のメインは、テレアポでした。ただし、コロナ禍になり、テレアポができなくなり、成長に影が見えました。そのため、今までなかったマーケティング部を作り、Webマーケティング研修に参加させたということがありました。
このように、ベンチャー企業は、今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修を実施する必要があります。
2)ベンチャー企業の社員研修の内容とは
「1)研修のプロが薦めるベンチャー企業のための社員研修とは?」でお伝えした下記3つの観点で、具体例を通してお伝えします。
・成長によって、今起きている歪を解決するための研修
・次のステージに行くために実施するための研修
・今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修
内容 |
背景・目的(一例) |
研修内容(一例) |
成長によって、今起きている歪を解決するための研修 |
1.経営陣に依存しており、管理職以下はただの駒になっている 2.管理職が機能せず、チーム力がない 3.新入社員・若手社員の離職率が高い
| 1.組織開発 2.管理職研修の充実化 3.新入社員・若手社員研修の充実化 |
次のステージに行くために実施するための研修 |
1.IPOの準備がしたい 2.グローバル人材を採用したい 3.新規事業を立ち上げたい |
1.リスクマネジメントのための研修(ハラスメント、SNS、メンタルヘルスなど) 2.ダイバーシティ研修、アンコンシャスバイアス研修、グローバル人材育成研修など 3.デザイン思考研修、システム思考研修、戦略思考研修など |
今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修 |
1.マーケティングのノウハウがないため成果が出ない 2.営業スキルが低く、営業成績が振るわない 3.プログラミングのスキルが低く、製品開発に影響がある |
1.マーケティング研修 2.営業研修 3.IT研修 |
研修内容のより具体的な内容を知りたい方は、下記のそれぞれのリンクから参考にしてくださいませ。
・
組織開発・
管理職研修・
新入社員・
若手社員研修・リスクマネジメントのための研修
(ハラスメント、SNS、
メンタルヘルスなど)
・ダイバシティ研修、アンコンシャスバイアス研修、グローバル人材育成研修など
・デザイン思考研修、
システム思考研修、戦略思考研修など
・マーケティング研修
・営業研修
・IT研修
※ 他の研修に関しては、コラム等ができましたら、ご紹介させていただきます。
3)ベンチャー企業の社員研修の導入でよくある質問とは?

中小企業が社員研修を行う際に、よくある質問をまとめましたので、ぜひこちらを参考にしてください。
Q1.ベンチャー企業に関して、社員研修は内製化と、外部研修のどちらがいいですか?
回答
状況にあわせて、使い分けていただくといいでしょう。自組織にとって、特殊なスキルなどは社内講師で実施するといいでしょう。また自組織に専門家などがいない場合は、積極的に外部研修を行ったほうがいいです。
Q2.研修費用はどのくらいかかりますでしょうか?
回答
研修費用は研修の内容や規模によって異なります。公開講座でしたら、一名数万円~数十万円が一般的です。派遣型でしたら、50万円~数百万円が一般的です。
ベンチャー企業は、社員数も少ない場合が多いので、研修会社が複数の企業を受け入れている公開講座なども利用されると、コストを抑えることができます。
Q3.研修の効果や成果をどのように評価すれば良いですか?
回答
研修の成果評価は、事前に設定した目標や評価基準に基づいて行います。参加者のレポートや、実務での成果、定量的な指標の分析など、複数の評価手法を用いることが有効です。
Q4.ビジネススキルがないので、学ばせたいのですが、何からやったほうがいいですか?
回答
「ビジネススキルがないこと」で、どのような課題が起きているのかを確認することが必要です。課題の確認がないと、ビジネススキル系の研修を行っても的外れになったり、対象者も参加意欲を持てないためです。
よくお聞きする失敗例を一つ上げると、管理職がマネジメント力がないので、管理職研修を受けさせようなどです。管理職の役割は多いため、何が足りていないかを考えて、必要なスキル習得を行うことが必要です。これは、他の階層でも例外はありません。
Q5.忙しいので、動画を見せて終わりでもいいか
回答
何もしないよりは、実施したほうがいいですが、効果はそれほど高くないことと、悪影響が出る可能性もあることは念頭に置くといいでしょう。
例えば、動画を見て、強制的にレポートを書かせるなどになると、そのことに対してネガティブに思う社員のエンゲージメントは下がります。代替案としては、少人数でも構わないので、1~2時間程度の社内勉強会などを実施し、育成文化を創っていくことをお薦めします。
Q6.時間も予算もあまりかけたくないが、早く効果を出したい
回答
人や組織の成長には時間がかかるため、時間も予算もかけないで効果を上げることはできません。限られたリソースで早い効果を上げていくためにも、本コラムで説明した内容をもとに研修を企画・実施していただくといいでしょう。
・成長によって、今起きている歪を解決するための研修
・次のステージに行くために実施するための研修
・今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修
よくある失敗例は、研修会社を低価格で選び、何も効果が出ないパターンです。そうすると、経営者も現場も「研修=悪」という認知になり、さらに研修に関して後ろ向きになっていきます。
Q7.どこまでカスタマイズをすればいいか
回答
カスタマイズを行うか行わないかは、あくまで企画を考えた上で判断を行うといいでしょう。基本、研修会社のパッケージは創り込まれているので、企画の目的からそれた些末なカスタマイズは行わないほうがいいです。カスタマイズを行う目的は、研修効果を最大限高めて、課題を解決するためのものとして扱っていきます。
Q8.社員を鍛え直してほしい
回答
Q9.研修を行う期間や時期はいつがいいのか
回答
研修の企画次第です。
研修効果を最大限高めていくために、どの時期にどのような内容をどの程度行ったほうがいいかを考えていく必要があります。
ただし、よくない実施方法として私たちがよくお伝えするのは、GW前・夏休み・年末年始休暇など、長期休暇の前に研修を実施するのはお薦めしておりません。長期休暇前に行うと、認知変容・行動変容が起きていても、休みによってリセットされてしまう可能性があるためです。
唯一、長期休暇前にお薦めする研修は、エンゲージメント・モチベーション低下が起きている社員に対してフォローするための研修です。長期休暇に入り、組織と離れたときに、家族や友人との関わりで今の組織に居ても仕方ないと思い、離職してしまうケースがあるためです。
組織の問題ではなく、自身の問題であっても、組織の問題にすり替えてしまう場合があります。
具体的な例としては、夏休み前に新入社員へのフォロー研修を行うなどです。少し社会人に慣れてきて、さらに夏の暑さによる体力を失い、モチベーション低下が起きる場合があります。このモチベーション低下は、組織の問題ではないですが、適切なフォローをしないと、新入社員は組織に対してネガティブな感情を持つケースがあります。
例えば、友人から「そんな企業はブラックだ」という発言があり、それを真に受けるなどです。新入社員や若手社員は、人としての成熟度(精神的成長)が未熟なため、他責にしてしまうことがあります。このような時にフォローとして、研修を行うことは一つの方法です。
4)まとめ
本コラムでは、ベンチャー企業にとって、必要な研修をお伝えしていきました。
ベンチャー企業における社員研修は、成長と成果を促す研修である必要があります。
その時に抑えてほしい考え方は、下記3点です
・成長によって、今起きている歪を解決するための研修
・次のステージに行くために実施するための研修
・今、成果を出すために必要なスキル・ノウハウの習得を行う研修
これらを踏まえて、自組織にマッチする研修を実施し、成長と成果を促してほしいと思います。
アーティエンスでは、ベンチャー企業のご支援も多くしておりますので、お気軽にご相談ください。