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[ コラム ]
【事例付き】新入社員研修の内容例!成功のカギを深掘り解説
- 社会人としての土台を築き、活躍人材へと育成するための最初のステップである新入社員研修。本コラムでは、新入社員研修で取り入れるべき内容例や効果を高めるためのカギ、そして事例を詳しく紹介します。本コラムを参考に新入社員研修の内容を選定し、新入社
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新入社員研修を成功に導く秘訣11選!今すぐ実践できる施策を公開
「新入社員が早期に活躍し、職場に定着してほしい…」
「離職を防ぎ、戦力として成長してほしい…」
このような願いを胸に、新入社員研修を実施している企業は多いのではないでしょうか。
しかし、「研修を実施しても効果が見えにくい」「期待した成長や成果が得られない」といった課題に直面している組織も少なくありません。
新入社員研修で期待通りの成果を上げるためには、押さえるべき重要なポイントがあります。ポイントを押さえることで、新入社員が早期戦力化と定着の可能性がぐっと高まります。
本コラムでは、新入社員研修を成功させるための具体的なポイントと注意点を詳しく解説します。研修を通じて新入社員の可能性を引き出し、組織で輝く存在に育てましょう。
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目次
1)新入社員研修を成功させる11のポイント
新入社員研修を成功させるポイントを、新入社員研修の実施プロセスごとにお伝えします。全て行うことは難しさもあるでしょう。一覧の中から、現時点で取り組めるものから実施していきましょう。
新入社員研修の実施プロセス | 新入社員研修の成功ポイント |
---|---|
年間の研修企画 |
●目的の明確化:新入社員研修で達成したい目標を設定する ●必要な研修要素の選定:現場で求められるスキル・マインドを整理する |
各研修のプログラム企画 |
●ゴールの明確化:研修後の理想像と学びのポイントを定義する(評価基準を含む) ●手法選定:目的に合った研修手法を採用する |
研修前 |
●期待感の醸成:新入社員の研修へのモチベーションを高める |
研修中 |
●主体性の促進:自ら考え行動する場を提供する ●気づきを生む設計:研修内に学びを実践ワークを行って気づきを生み、その気づきを整理する時間を組み込む ●自己効力感の醸成:達成感を得られる成功体験を提供する |
研修後 |
●学びの定着促進:研修内容を振り返る機会を定期的に設ける ●現場との連携:学びを現場社員に共有しフィードバックを得る ●次回への改善:研修効果を分析し、次回に活かすポイントを整理する |
※これらのポイントは、統合行動モデル(Integrated Behavior Model, IBM)という、行動変容を促すために必要とされる5つの要素(行動意図・知識とスキル・行動の重大性・環境的制約・習慣化)を取り入れて作成しています。
<年間の研修企画>目的の明確化
年間の研修企画を立てる際には、新入社員研修で達成したい目標を明確に設定することが重要です。目的が明確でない場合、以下のような問題が発生する可能性が高まるためです。
●内容の方向性がブレる
どのスキルや知識に重点を置くべきか分からず、結果として研修内容に一貫性がなかったり、必要な要素の抜け漏れが発生します。
●新入社員のモチベーションが下がる
目的が不明確な研修は、新入社員に「何のために学ぶのか」が伝わりにくく、参加意欲を下げる原因となります。特に目的意識の強い今の世代には、目的が不明瞭な研修は価値を感じにくいです。
●研修の成果を測りにくい
目的がないと、研修後に期待する成果や変化を測定する指標が不明確になり、研修が成功したのか判断できません。また、改善ポイントも見えにくくなり研修の質が高まっていきません。
これらの問題が起きると、研修の成功から遠のくため、新入社員研修の目的を明確にする必要があります。
ポイント:研修目的は誰もが同じイメージを持てる内容にする
新入社員研修の目的は、誰もが同じイメージを持てる内容であることが重要です。
例えば、新入社員研修の目的を「早期活躍」や「組織への定着」としている組織がありますが、この内容では十分ではありません。
人によって想像するゴールが異なる為です。
早期活躍と聞いて、「配属後すぐに契約をとり、1年後には1ヶ月で数百万の契約を獲得」と考える人もいれば、「指示内容を問題なくこなせるようになること」と考える人もいます。
目的には、最終的なゴールイメージの明確さが必要です。
例えば、「自分の役割を理解した上で、依頼された業務に責任を持ってニーズに応えらえるアウトプットを出せる」「アウトプットの質を高めるために必要に応じて周囲を頼ることができる」などの目的にすると、ゴールイメージの認識の齟齬がなくなります。研修の方向性も、ブレなく必要な学びを選定できます。
可能であれば、この目的をもとに各部署に合わせてより明確な目的を設定することをおすすめします。
例えば経理部だと「経費精算、給与対応、入出金対応を間違いなく対応するために、必要に応じて周囲を頼ることができる」など、より具体的に設定すると達成できたのかの成果も確認しやすいです。
新入社員研修の目的を明確にすることで、組織が期待する新入社員像に近づくための育成を行えるようになります。
<年間の研修企画>必要な研修要素の選定
年間の研修企画の段階で現場で必要な知識やマインドを整理し、適切に選定することも不可欠です。現場で必要とされるスキルや姿勢が曖昧なままでは、研修の目的を見失い、効果を発揮しづらくなるためです。
現場で必要な知識やマインドを明確にする方法として適しているのはヒアリングです。
押さえるべきヒアリング対象と内容は、下記の2つです。
1.新入社員が配属される現場の上司やリーダー
┗新入社員に対する期待や現場で必要とされるスキル・マインド確認
2.若手社員(1~2年目)
┗自身が新入社員研修を受けた経験や現場で必要と感じたもの
ヒアリング形式は以下の3種が考えられます。
・1対1の面談:深掘りが可能で、個別の意見を聞きやすい
・グループインタビュー:他者の意見をきっかけに、多様な観点が引き出せる
・アンケート調査:短時間で広範囲の意見を収集できる
忙しくしている上司へはアンケート調査、リアルな意見を聞きやすい若手社員には面談やグループインタビューなど、対象者によって回答を得やすい形式で実施すると良いでしょう。
なお、適切な回答を得るためには、ヒアリングの目的共有と、適切な質問の用意が必要です。
ヒアリングの目的を伝える際は、ヒアリングに協力することで自分にもメリットがあると感じてもらえるとより質の良い回答が集まりやすいです。
例えば上司に対しては「育成負担が削減できる」「早い段階での独り立ちにつながる」などの言葉をつけると、協力を得やすいでしょう。
質問は、研修に取り入れてほしい内容と、研修で学べてよかったことの両方を確認することをおすすめします。研修内容の現状把握と改善点の発見を同時に行い、新入社員が現場で成果を出しやすくなる研修プランを設計できるためです。
以下に質問例を記載します。
質問例:
【1】新入社員のスキルについて伺います。
①新入社員の育成において苦労している点や不足を感じるスキルはありますか?具体的なスキル名でなくても、苦戦している状況などの記載でも大丈夫です。
②新入社員の育成において、問題ないと感じるスキルはありますか?具体的なスキル名でなく、この点は問題ないなと感じる状況などを記載していただいても大丈夫です。
③新入社員研修の中で学んでおいて欲しかったと感じるスキルはありますか?具体的なスキル名でなくても、不安や難しさ、できない苦しさを感じた状況などを記載していただいても大丈夫です。
【2】新入社員のマインドについて伺います。
①新入社員の育成において苦労している点や不足していると感じるマインドはありますか?具体的なマインド名でなくても、苦戦している状況などの記載でも大丈夫です。
②新入社員の育成において、問題ないと感じるのマインドはありますか?具体的なのマインド名でなくても、この点は問題ないなと感じる状況などを記載していただいても大丈夫です。
③新入社員研修で学んでおいて欲しかったと感じるのマインドはありますか?具体的なのマインド名でなくても、不安や難しさ、できない苦しさを感じた状況などを記載していただいても大丈夫です。
【3】そのほか研修についての希望がありましたら教えてください。
全てオープンクエスション形式の質問にしています。その方が、多様な回答を得られやすい為です。なお新入社員研修の概要資料などがあると、より適切な回答が出やすいでしょう。
研修企画を立てる際には、現場の責任者や先輩社員へのヒアリングを通じて、「実際に現場で必要なスキル」「求められるマインドセット」を具体的に洗い出しましょう。
ヒアリングの負担は大きいかもしれませんが、現場の声は研修企画を行う上で重要な情報です。現場での活用度の高い内容を選定することで、新入社員が早期に活躍する基盤を整えられます。
<各研修のプログラム企画>ゴールの明確化
各研修のプログラム企画を立てる際には、研修後の理想像と学びのポイント(評価基準を含む)を定義して明確にすることが、研修の成功のポイントとなります。
研修後の理想像と学びのポイントが明確でない場合、以下のような問題が発生する可能性が高まるためです。
●研修に多くの要素を詰め込みすぎて混乱を招く
期待する姿や学びのポイントが明確でないと、研修を絞り込めず、多くの学びを盛り込んでしまい、混乱を招きます。結果、記憶や実践に結びつきづらいです。
●研修の成果を測りにくい
研修後にどのような変化を期待するかが明確でない場合、受講生が必要な学びを得ているのかの効果測定が難しくなります。
これらの問題が起きないようにするために、研修後の理想像と学びのポイントを明確にしておく必要があります。
例えばアーティエンスのビジネスマナー研修では、研修後の理想像と学びのポイントを次のように設定しています。
【研修後の理想像】
信用を積み上げるために必要な、相手と場に応じたビジネスマナーを習得できている
【学びのポイント】
1, ビジネスマナーを実践することの意義と、与える影響を理解する
2, ビジネスマナーの基本となる「相手目線」を意識する
3, ビジネスマナーを通じた「個性の発揮」を考える
このように研修後の理想像と学びのポイントを設定した上で、具体的なプログラム内容を創ることで、知識として渡すべきことや、ワークの中身が洗練されていきます。
またアーティエンスでは、研修後に実施している受講者アンケートで、何を学んだかを自分の言葉で記載してもらうことで、その内容と学びのポイントが合致しているかを確認しています。
研修後の理想像と学びのポイントを明確にすることは、研修の方向性を定め、効果的なプログラムを作成するうえで必要不可欠です。
<各研修のプログラム企画>手法選定
各研修のプログラム企画では、目的に合った研修手法を採用することも成功のカギとなります。適切な手法で伝えることで、研修の効果が高まり、学んだことが実際の行動につながりやすくなります。
研修でよく取り入れられる主な手法とそれらの特徴をお伝えします。
手法 | 特徴 |
---|---|
座学 | ●理論や基礎知識を効率的に伝えるのに適している
●受講者が受け身になりやすい ●実践的なスキルや行動変容にはつながりにくい |
演習形式での個人ワーク | ●自分で考えて解決する力が身につく
●受講者が自分のペースで進められる ●自己省察の機会となる ●周囲からの刺激が得られにくい |
グループワーク | ●協働意識が生まれる
●多様な視点や知見を得られる ●参加者同士が影響し合い、学びに対する意欲が高まる ●メンバー構成やファシリテーターの進行によって効果が左右されやすい |
ゲーミフィケーション | ●受講者の集中力や参加意欲が向上しやすい
●楽しいだけで終わらず、学びを伝えるために工夫が必要 |
上司や先輩社員の成功体験のシェア | ●ロールモデルとして今後のイメージをしやすい
●すべての受講者に適用しづらい |
具体的な手法の活用方法について、アーティエンスの新入社員研修を例に紹介します。
例えば目標達成・コスト意識研修では、次のようなアジェンダと手法を用いて、研修を成功につなげる工夫を行っています。
アジェンダ | 手法 |
---|---|
ワールド・カフェ (組織としての豊かなお金の使い方とは?) |
グループワークで、意見を出し合うことでコスト意識を醸成
※ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法 |
講義 (会計基礎知識:粗利と営業利益) |
座学にて、最低限知っておくべき利益の作り方について提示 |
経営シミュレーションワーク | ゲーミフィケーションで実施(グループワーク)
受講生を数チームに分けて、各チームそれぞれが1つの会社だと仮定。依頼される仕事の受注判断や、人材育成、トラブル対応などのイベントを乗り越えながら、最終的に1番利益が高かったチームの勝ち。 |
講義 (機会損失、異常値、数字の相関関係、チームで目標を達成するためには) |
座学にて、目標達成やコスト意識を醸成するための考え方を提示 |
振り返り | 個人ワーク、グループワーク
ゲームを通して学んだことや気づきを個人で振り返り、その内容をグループでシェア |
なお演習形式での個人ワークは、例えばロジカルシンキング研修などスキル系の時に取り入れることが多いです。
上司や先輩社員の成功体験のシェアは、仕事と自己成長をつなぐ研修などマインドやキャリアを促す研修で取り入れることが多いです。
このように研修内容の中でも目的に合った研修手法を採用することで学びが深まり、新入社員が現場で活かせるスキルやマインドを身につけられます。
<研修前>期待感の醸成
研修前に新入社員研修への期待感を醸成することは、研修の成功に向けて欠かせません。
期待感が高まれば研修へのモチベーションも高まり、自ら学ぼうとする姿勢が生まれます。研修への前向きな姿勢は、研修効果を大幅に向上させます。
期待感を醸成するために次の2つのことを推奨します。
・研修目的や期待する姿を添えた案内メール送付
・事前課題
研修目的や期待する姿を添えた案内メール送付
研修目的や期待する姿を添えた案内メールを研修前に送付することで、受講者に「なぜこの研修が必要なのか」「どのような成果が期待されているのか」を把握してもらい、研修内容への興味や参加意欲を高めます。
例として、ロジカルシンキング研修を受講する場合のメッセージを考えてみます。
案内メール OK例
入社して半年以上経ち、仕事を任され始めていると思います。そんな中、先輩やクライアントから「結局何が言いたいの?」「もう少し簡潔に話せてもらえる?」というフィードバックをもらうこともあるかもしれません。もしくは、自分の意見をうまく説明できず、悔しい経験をしている人もいるかもしれません。
そんな時に役立つのがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングが身につくと、物事を論理的に考えて整理し、自分の意見を分かりやすく伝えられたり、情報を論理立てて整理することで確認モレやミスが減り、業務効率や生産性の向上を期待できます。
今の皆さんにとって必要になるスキルですし、会社としてもロジカルシンキングを鍛えることで、皆さんにはより高度な仕事を渡したいと思っています。
そこで、来月にロジカルシンキング研修を実施することにしました。
ロジカルシンキングに苦手意識や抵抗感を持つ方もいるかもしれませんが、丁寧に実践しながら学べるので、安心してください。ロジカルシンキングを学んで、仕事の質が高まることを期待しています!
P.S.研修に集中できるように、研修の予定を各部署の共有スケジュールに入れて、急ぎの仕事を持たなくていいように調整しましょう!
研修のことで疑問や質問などあれば、人事の〇〇までご連絡ください。
案内メール NG例
来月○月×日にロジカルシンキング研修を実施します。
ロジカルシンキングは、物事を論理的に考えるスキルで、仕事に役立つと言われています。ぜひ参加してください。
OK例のように、目的や期待を受講者視点に立ったメッセージとして伝えることで研修への期待感を促せます。
事前課題
研修内容に興味や意識を持てるようにするための2つ目の方法は、研修内容に関わる事前課題を実施することです。
事前課題を行うことで、現在の自分に課題感を持ったり、研修内容に興味が深まり、自分に関係のある内容だと実感できます。
事前課題としてアーティエンスが取り入れるのは、インタビューと現状確認の課題です。
インタビューは、主に自己理解や成長実感を目的とした研修の事前課題として実施しています。先輩社員や上司にインタビューを実施し、自身の強みと弱みを知ることが狙いです。
現状確認の課題は、研修で学ぶ内容に関する、現在地を整理する際に行っています。
研修前に期待感を醸成することは、新入社員が積極的に学び、研修の成果を最大化するための重要な準備です。
<研修中>主体性の促進
研修中に主体性を促すことは、研修の成功に大きく影響します。
主体性を持って取り組むことで、自ら学び取ろうとする姿勢が生まれ、理解度や応用力が向上します。また、主体的に取り組んだ経験は、研修後の自律的な行動や継続的な学習につながります。
主体性を促すためにアーティエンスでは次のような工夫をしています。
・ワールド・カフェを取り入れる
・研修の7,8割の時間を実践にあてる
ワールド・カフェを取り入れる
ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。
例えば、社会人の自覚研修では、「社会人とは何か?」についてワールド・カフェの手法を用いて、理解を深めています。
ワールド・カフェの問い
・round1 学生と社会人の違いとは何だろう?
・round2 「組織・世の中に貢献し、自身の幸せ度を上げる」社会人とは?
・round3 私たちの未来と今を豊かにするために、社会人のスタートをどのように切るといいのだろう?
ワールド・カフェを通して、さまざまな人の意見を聞き、自身の考えを深めアップデートして、現時点で自分なりに「社会人とは?」の問いに対する答えを言語化できるようになります。
こうして自分なりの学ぶ意味が見つかると、現在の自分とのギャプに気づき、研修を通して学ぶ必要があることを理解するため、主体性が高まります。
研修の7,8割の時間を実践にあてる
研修の7,8割の時間をワーク実施に使う設計も、主体性を促すための工夫です。
ワークを中心にした研修では、受講者が自ら考え、意見を出し合う時間が増えます。これにより、受講者が学びを受け取るだけでなく、自分自身で考えて行動する必要性が出てくるため、主体的に参加せざるをえない状態になります。
アーティエンスのロジカルシンキング研修では、約4時間を受講生に預けてワークに取り組んでもらっています。
このように研修中に主体性を促すことで、学びを自分のものとして吸収し、研修後の行動変容や成長を持続させることができます。
<研修中>気づきを生む設計
研修内に学びを実践ワークを行って気づきを生み、その気づきを整理する時間を組み込むことが重要です。
学びを行動に結びつける体験が、知識の定着や実務への応用力を高めるためです。
また実践により、自分の理解がどこまで深まっているかを確認でき、さらに改善の余地に気づくことが可能になります。
そのためには、適切なワークを取り入れることが必要です。
例えば、アーティエンスのプレゼンテーション研修では、相手のニーズをすり合わせて応えるための知識として、説明の構成と方法、可視化についてお伝えします。しかし、知識として伝えるだけでは、使えるようになりません。
そのため、シミュレーションワークを行い、上司役の講師に対して何度も報連相する中で、認識の齟齬が起きないようにする伝え方や、本質的な解決をするための対策に納得感を持たせる方法など、を実践しながら学んでいきます。
(参考)2024年11月7日 プレゼンテーション研修ー公開講座研修レポート
実践することで、適切なタイミングや内容の伝え方に関する具体的な気づきを得ることができます。さらに、フィードバックを受けることで、より効果的な方法を学ぶことになります。
学んだことを研修中に実践できる環境を用意することで気づきが生まれ、受講者は知識やスキルを深く理解し、実務での応用につなげることができます。
<研修中>自己効力感の醸成
研修中には、自己効力感を高めることも重要です。自己効力感とは、「自分にもできる」と感じる力のことで、これを高めることで受講者の行動意欲や研修後の実践力が向上します。
自己効力感を高めるために、アーティエンスではシミュレーションワークの実施や具体的なアクションプランの策定の時間を取り入れています。
シミュレーションワークの実施
アーティエンスのシミュレーションワークは、設定を作り込んでリアルな設定にしているため、ワークの世界に入りやすく、熱を持って参加しやすいです。
その分、アウトプットを完成した時の達成感は大きく、反省点はありながらも、ここまでやり切ったことに対する自己効力感も得られます。
アクションプランの策定
研修で学んだことを現場でどのように活かすかを考えて、アクションプランを策定します。具体的にやることが明確になると行動しやすくなるためです。
例えば、研修によって報連相の大切さに気づいた新入社員は、「毎朝のミーティングで自分から進捗を共有する」「困ったときは仕事を前に進めるためにも上司に相談する」など、自身の業務内に取り入れたプランを作成するでしょう。
今の自分にできる具体的な行動を挙げることで、すぐに行動に移せるようになります。
自分ですぐに実践できることを明確にするなどの研修中に自己効力感を高める仕組みを取り入れることで、受講者が研修後に積極的に行動を起こし、学びを実務に活かせるようになります。
これらを研修に取り入れて達成感を得たり、具体的なアクションプランで行動しやすい状態にすることで、自己効力感が醸成され、実務でも取り組んでみようと行動できるようになります。
<研修後>学びの定着促進
研修後には、研修内容を振り返る機会を定期的に設けることが重要です。研修で得た知識やスキルを定着させ、実務に活かせるようにするためです。
研修直後は意識が高まっていても、日常業務に追われるうちに学びを忘れてしまうことが多いです。その結果、研修の内容が現場で活かされず、時間やコストをかけた研修の効果が薄れてしまいます。
学びを意識する機会を作ることで、研修の内容を思い出し、実務への応用が促進されます。
具体的な方法を3つ紹介します。
・研修のレポート共有
・日報
・バトンメール®
研修のレポート共有
研修で学んだテキストの一部や、研修の様子を思い出せる写真、コメントを入れた研修レポートを作成して受講生に共有します。その内容を見るだけで、研修の記憶が蘇り、研修で定めたアクションプランを実行に移せているかを意識できます。
アーティエンスの研修は、ご希望に応じて研修レポートを作成することも可能です。
日報
日報や週報として、日々研修で学んだことを現場でどのように活かしたのかを書いて提出することも有効です。具体的にどのような行動をしたのか、行動したことでどのような結果となったかを書くには、研修で学んだことを思い出す必要があり、リマインド効果を生みます。また、日報に書くためにも意識して行動しようという動きも見られます。
リマインド効果を高める日報のテンプレートについては「新入社員の日報はテンプレートの工夫で成長を加速!記載例も紹介」のコラムをご覧ください。
バトンメール®
バトンメール®はアーティエンスが開発した取り組みで、バトンのように特定のグループの中で研修で学んだことをどう活かしたかを記載したメールを回していく方法です。(メール以外にも、グループチャット等で実施も可能です)
他のメンバーが研修で学んだことを仕事でどう活かしているのかを知ることができ、学びの活かし方の幅を広げられます。行動が維持されるまでの3ヶ月程度行うことをおすすめします。
これら3つの方法を活用してリマインドし、研修で学んだことや定めたアクションを実行できる状態にします。
研修後に研修内容を振り返り、学びを定着させる機会を作ることで、研修内容を現場で活かしやすくなり、学びが定着して成果が向上します。
<研修後>現場との連携
研修後には、現場との連携をとるために現場社員に研修での学びを共有し、現場でのフィードバックにつなげることも重要です。研修で得た知識やスキルを現場社員に共有することで、学びを周囲の業務に結びつけたり、実践に対するアドバイスを行えます。
現場社員に研修での学びを共有するための具体的な方法としては、次の2つが挙げられます。
・人事から研修レポートやテキストの共有
・新入社員からアクションプランを共有
研修レポートやテキストを人事から現場社員にも共有すると、研修の学びを確認でき、現場の仕事で研修の学びを活用したフィードバックをしやすくなります。
また、研修で受講生が策定したアクションプランを受講生から現場社員に共有する方法もあります。自ら共有することで、アクションプランを宣言することになり実行意識が高まりますし、新入社員がどんなアクションを意識しようとしているのかがわかると現場社員もフォローしやすいです。
研修での学びを現場社員に共有し、フィードバックにつなげることで、個人の成長だけでなくチーム全体の知識向上や実践力の強化が期待できます。
<研修後>次回への改善
研修を成功させるには、研修後に次回に活かすための情報収集をすることが重要です。受講者や現場からフィードバックを収集することで、次回以降の研修設計をより効果的かつ実践的なものにできます。
具体的な方法としてアンケートとインタビューがあります。
例えば、研修の3ヶ月後にアンケートやインタビューで以下のような問いをしてみると気づくことがあるでしょう。
研修の3ヶ月後にアンケート・インタビュー例
【新入社員向け】
「〇〇研修によってどのようなポジティブな影響がありましたか。具体的な場面や状況を教えてください。」
「〇〇研修で学んだが、うまく活かしきれていないことはありますか。それはどんな時に感じますか。」
「〇〇研修は◯月の実施タイミングで学べてよかったと思いますか。感じない場合は、希望する時期と背景を教えてください。」
「〇〇研修で、この情報も知りたかったと感じるものがあれば教えてください。」
【現場の上司や先輩向け】
「研修後、新入社員の行動変容が見られましたか。具体的にどのような変化が見られたか教えてください。」
「新入社員に強化してほしいことはありますか。その背景も教えてください。」
「新入社員に対して期待することを教えてください。」
次回に活かすための情報収集を行うことで、研修内容の質を継続的に高め、受講者や現場にとって価値のある研修を提供し続けられます。
ここまで紹介した11個のポイントを抑えることで、新入社員研修の成功を促せます。ぜひ今できるところから取り組んでみましょう。
2)新入社員研修の成功を阻む、4つの注意すべきポイント
新入社員研修の注意点を4つ説明します。
・価値観の押し付けや強制しない
・1回の研修に内容を詰め込みすぎない
・難易度を上げすぎない
・研修と現場を分けて考えない
価値観の押し付けや強制しない
新入社員研修では、価値観の押し付けや強制を避けましょう。
価値観を押し付けられると、新入社員が自分の意見や考えを持つことをためらい、主体性を失う可能性があります。また、押し付けられた価値観は受け入れられにくく、結果的に組織への不信感やモチベーションの低下につながることもあります。
例えば、「社会人としてビジネスマナーは守るべき」と一方的に伝えるのではなく、ビジネスマナーがなぜ必要なのかを新入社員それぞれが考えて自ら大切さに気づいた上で適切な知識を伝えることで、新入社員は納得感を持ち、主体的な研修への参加を促せます。
新入社員が自分らしく成長できるよう、価値観の押し付けではなく共有や対話を重視した研修にしましょう。
1回の研修に内容を詰め込みすぎない
1回の研修でさまざまば要素を詰め込みすぎないようにすることも重要です。
多くの内容を一度に詰め込むと、新入社員が混乱し、何を優先的に学べばいいのか分からなくなる可能性があります。また、消化不良が起きやすく、結果的に記憶にも行動にも定着しづらいです。
例えば、ビジネスマナーとビジネススキル(報連相、スケジューリング、要件定義など)をすべて1日で行うと、インプットが多すぎて理解が追いつかなかったり、学びを深めるワークの時間を十分に確保できず、受講者はそれぞれのテーマを深く理解できません。
新入社員の学びを深めるために、研修内容を絞り、焦点を明確にしたプログラム設計が大切です。
難易度を上げすぎない
研修の難易度を上げすぎないように注意することも大切です。
難易度が高すぎると、理解が追いつかず、モチベーションの低下や研修の効果が半減する可能性があります。
例えば、専門的なスキルを扱う研修で高度な内容を初日から詰め込みすぎた場合、受講者が内容についていけず、理解が不十分なまま進んでしまうことがあります。一方で、基礎的な内容から段階的に難易度を上げていくと、受講者が自信を持って取り組むことができ、学びが定着しやすくなります。
新入社員がスムーズに成長するためには、研修の難易度を上げすぎず、基礎から段階的に学べる内容にすることが大切です。
研修と現場を分けて考えない
新入社員研修を成功させるためには、研修と現場を分けて考えないように調整することも重要です。
研修の学びが現場で使えるイメージができないと、新入社員は研修が役立たないと感じ、研修に対してモチベーションを失う可能性があります。また、現場での業務が研修内容と矛盾している場合、新入社員は混乱し、適応が遅れることになります。
例えば、毎日製品の検品作業しかしていない新入社員がロジカルシンキング研修を学んでも、現場で活かせるイメージが難しく研修への参加意欲を持ちづらいです。また、せっかく研修で学んでも、現場で活かす場面がないとロジカルシンキングの活用経験を得られないためスキルを定着させるのは難しいです。
研修と現場が連動していることを意識し、新入社員がスムーズに実務へ移行できる環境を整えましょう。
新入社員研修を成功させるためには、注意すべき点を意識して実施することも大切です。
3)【事例】成功のポイントを押さえた新入社員研修
新入社員研修によって新入社員に期待する姿を達成した事例を紹介します。
【企業情報】
・業種:地方銀行
・規模:約2,500名
・研修形式:講師派遣型
この企業様は、まずはゴールとなる新入社員に対してどのような状態になって欲しいかを設定をしました。
1年後の新入社員のゴール「上司・先輩から、仕事を任せられる人」
4月の研修後のゴール「積極的に周囲に働きかける人」
このゴールを達成するために、具体的に研修が必要な要素を洗い出し、研修スケジュールを作成し、実際に研修を実施しました。
4月の研修後のゴールである「積極的に他者に働きかける人」を促すために、ワールド・カフェで主体性を促し、「自身が組織に対してポジティブな影響を与えるためにはどうしたらいいか」を考えるテーマを扱ったり、内省と探求から素晴らしい未来を創るワークショップをするなど適切な手法を用いて実施しました。
また、研修の最後にはアクションプランを作成し、具体的な行動を明確にしました。
研修後にはフォローとして研修レポートを人事の方から新入社員に送付してもらい、リマインドもしています。
4月の研修後しばらくして新入社員の様子を伺うと、新入社員が現場社員に「何か手伝うことはありますか?」と声掛けをしている様子が見られたり、自由参加の社内の勉強会への参加率が高く主体的に仕事に取り組んでいる様子が見られているとのことでした。
新入社員研修の企画を担当されていた人事の方は、配属直後のゴールとして設定していた「積極的に他者に働きかける人」を達成できていることに喜びを感じていらっしゃいました。
このように、成功させるポイントを網羅した新入社員研修によって新入社員に期待する姿を達成することができます。
※お客様と共に作成した大切な内容のため、一部情報を変更して掲載しております。
4)新入社員研修を成功させたいならアーティエンスにおまかせ
本コラムでは、新入社員研修を成功させるための具体的なポイントと注意点を詳しく解説しました。
新入社員研修を成功させるためには、企画段階から研修後に至るまで、成功のポイントを押さえた取り組みを行うことが必要です。
新入社員研修の実施プロセス | 新入社員研修の成功ポイント |
---|---|
年間の研修企画 | ●目的の明確化:新入社員研修で達成したい目標を設定する ●必要な研修要素の選定:現場で求められるスキル・マインドを整理する |
各研修のプログラム企画 | ●ゴールの明確化:研修後の理想像と学びのポイントを定義する(評価基準を含む) ●手法選定:目的に合った研修手法を採用する |
研修前 | ●期待感の醸成:新入社員に研修へのモチベーションを高めてもらう |
研修中 | ●主体性の促進:自ら考え行動する場を提供する ●気づきを生む設計:研修内に学びを実践ワークを行って気づきを生み、その気づきを整理する時間を組み込む ●自己効力感の醸成:達成感を得られる成功体験を提供する |
研修後 | ●学びの定着促進:研修内容を振り返る機会を定期的に設ける ●現場との連携:学びを現場社員に共有し、フィードバックを得る ●次回への改善:研修効果を分析し、次回に活かすポイントを整理する |
また、以下の4点に十分に注意して実施することも、成功につながります。
・価値観の押し付けや強制しない
・1回の研修に内容を詰め込みすぎない
・難易度を上げすぎない
・研修と現場を分けて考えない
アーティエンスの新入社員研修は、今回紹介した全てのポイントを押さえて実施しているため、受講者と人事の方に満足していただいています。
新入社員研修を成功させたい!との想いをお持ちの方は、お力になれることがあるかと思いますので、ぜひお問い合わせください。
新入社員研修を通じて新入社員の可能性を引き出し、組織で輝く存在に育てましょう。