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新入社員の成長を促すマインドセットを育む4つの方法【事例あり】
更新日:
「新入社員が言われた仕事しかしないで困っている…」
「新入社員から成長しようという意欲が感じられず、育成に力が入らない…」
そのようなお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした課題はマインドセットを書き換えないと解決が難しい場合があります。
本記事では、新入社員の成長を促すために必要なマインドセットである、グロース・マインドセットについて解説し、具体的な醸成方法と事例を紹介します。
グロース・マインドセットを理解し、醸成方法を知ることで、自組織の新入社員が組織で活躍する状態を期待できるようになりましょう。
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目次
1)新入社員が組織で活躍できるマインドセットは「グロース・マインドセット」
新入社員が組織で活躍できるようになるためには、グロース・マインドセット(Growth Mindset)が必要です。
グロース・マインドセット(Growth Mindset)とは、「自分が持っている能力や才能は、経験や努力によって成長できる」と思えている状態を指します。これは、スタンフォード大学心理学教授キャロル・ドゥエック氏によって提唱されました。
グロース・マインドセットと対極にあるのがフィックスト・マインドセット(Fixed Mindset)で、「自分が持っている能力や才能は先天的なもので、経験や努力では成長しない」と思い込んでいる状態です。
自分の成長にフォーカスできていて、自分は変わることができると思えている新入社員は、成長するための努力をしたり、フィードバックを自身の成長の糧として受け取ることが出来ます。結果として、成長スピードが早く、組織で活躍できる人となっていきます。
グロース・マインドセットとフィックスト・マインドセットを持っている新入社員では、受け止め方に次のような差が生じます。
グロース・マインドセットを持っている新入社員は周囲の人を頼りながら主体的に仕事を行うため、成長を期待できます。
一方、フィックスト・マインドセットを持っている新入社員は、仕事に対するモチベーションが低く、言われたことをやる状態になるため、成長を期待することが難しくなります。
ただ、マインドセットとは“考え方のクセ”のため、人は誰しもがグロース・マインドセットとフィックスト・マインドセットの両方を兼ね備えていると言われています。環境や状態によってどちらかのマインドセットの傾向が強くなるかが変わります。
学生から社会人という新しい環境に大きく変わった新入社員は不安も多く、フィックスト・マインドセットが強くなる傾向にあります。そのため、意図的にグロース・マインドセットを育み、成長を支援していく必要があります。
【関連記事】新入社員に期待する2つのことと新入社員本人と組織側でできること
2)新入社員のグロース・マインドセットを醸成する4つの方法
新入社員のグロース・マインドセットを醸成する方法を具体的に4つ紹介します。
・成果目標だけでなく、学習目標を創り取り組む
・成功体験を積み重ねられるようにする
・適切なフィードバックをする
・新入社員だけでなく、職場全体をグロース・マインドセットの環境にする
成果目標だけでなく、学習目標を創り取り組む
成果目標だけでなく、学習目標を創り取り組むようにしましょう。
学習目標とは「この仕事から何を学ぶか?」「この仕事で何をできるようにするか?」など、自分軸で評価できる目標です。
社会人になると他人軸での評価がメインになりますが、自分軸で評価できる目標を持てると、成長していることを実感できて、自分も変われることに気づけるようになります。
例えば、経理の仕事の中の請求書の作成をミスなく15分で作成できるようにする、という目標を立てたとします。目標を達成することができると、他人軸での評価には大きく関係することではありませんが、自身で成長していることを実感することが出来ます。
このように、新入社員自身が成長を実感することで、できることが増えている感覚を得ることもでき、グロース・マインドセットの醸成につながります。
成功体験を積み重ねられるようにする
新入社員が成功体験を積み重ねられるようしましょう。成功体験を積むことで、自信に繋がります。
成功体験とはすごく大きなものではなく、例えば、新入社員が初めて自分でアポイントを取れた時や、良いアイディアを出せた時などでも大丈夫です。周囲から見たら小さいことのように感じるかもしれませんが、新入社員自身が「やった!」と感じられる事は成功体験になります。
そして成功体験を振り返り、なぜ成功できたのか、今度この体験をどのように活かせばいいのかを言語化すると、次の成功体験を生みやすくなります。
このように、成功体験を重ねて、新入社員が自分自身を承認する機会を増やすことで、自分にもできる!と思えるようになっていきます。
適切なフィードバックをする
グロース・マインドセットを育んでいくためには、適切なフィードバックも必要です。特に、ポジティブフィードバックを受けることで、新入社員は場に貢献できていることを知り喜びを感じやすくなります。
フィードバックを行う際は、次の5つのポイントを意識すると良いです。
1. ポジティブ:ネガティブ=5:1の割合になるように意識する
2. 新入社員の「自己」ではなく「行動」に焦点を当てる
3. コンパクトに、日常的に、高頻度で行う
4. 業務支援・内省支援・精神支援の3つを押さえている
5. チームで相互にフィードバックし合える仕組みを創る
1. ポジティブ:ネガティブ=5:1の割合になるように意識する
1つ目は、「ポジティブ:ネガティブ=5:1」の割合を意識して、新入社員へフィードバックを行うことです。ポジティブなやり取りが増えると、良好な関係性構築に繋がります。
グロース・マインドセットには、職場における周囲との関係性が大きく影響を与えることがわかっており、本音で話ができる豊かな関係性があると、自然とグロース・マインドセットが育まれます。一方で、職場が恐れや不安で満ち溢れていると、フィックスト・マインドセットが助長されてやすくなります。
なぜ「5:1」の割合を推奨するのかというと、夫婦の離婚率予測で有名なジョン・ゴットマン博士(Dr. John Gottman)が、この割合で互いに関わることが良好な関係維持に非常に重要である、という研究結果を導き出したからです。博士はこの研究結果を基に、リーダーシップやフィードバックの分野においても大きな影響を与えています。
新入社員のグロース・マインドセットを促すためには、フィードバックをポジティブ:ネガティブ=5:1の割合になるように意識しましょう。
2. 新入社員の「自己」ではなく「行動」に焦点を当てる
2つ目は、新入社員の「自己」ではなく「行動」に焦点を当てることです。「あなたは…」を主語にするのではなく、「その行動は…」と行動を主語にしてフィードバックを伝えることを心掛けましょう。
なぜならば、「あなた」を主語にしてフィードバックすると、受け手である新入社員は「自分はダメなんだ…」と自分自身が否定されたように感じ、自己嫌悪に陥りやすくなってしまいます。その結果、フィードバックの目的である、改善行動まで至りにくく、フィックスト・マインドセットも強化されてしまいます。
一方で「本人の行動」を主語にしてフィードバックを行うと、「この行動を変えていけばいいんだ!」と理解でき、次なる行動にも繋がりやすく、フィードバックの効果も出やすくなります。
新入社員のグロース・マインドセットを促すためには、「自己」ではなく「行動」に焦点を当てたフィードバックを意識しましょう。
3. コンパクトに、日常的に、高頻度で行う
3つ目は、フィードバックは一度に色々詰め込まずに的を絞って、日々の業務の中でこまめに行うことです。なぜなら、一度の情報量が多いフィードバックは、受け手が理解するのに負担がかかり、次なる行動に繋がりにくくなってしまうためです。
的を絞ったこまめなフィードバックだと、受け手も「これならできそう」と思えます。そして、フィードバックを受けて、改善行動を行うことで、前進感や成長実感が持てると、フィードバックを受けることで自分は成長できている感覚を得ることができます。
フィードバックが自分の成長に繋がると思えると、よりフィードバックを求めるようになり、グロース・マインドセットが助長されやすくなります。1on1などで時間を取ったフィードバックの機会だけでなく、会議の前後の時間や社内チャットツールなどを活用し、日々の業務の中で意識的にフィードバックを取り入れていく姿勢が大切です。ただし、やり方によっては「マイクロマネジメントをされている」と受け取られることもあるため、注意が必要です。
このように新入社員のグロース・マインドセットを促すためには、日々の業務の中でこまめに行うようにしましょう。
4. 業務支援・内省支援・精神支援の3つを押さえている
4つ目は、業務支援、内省支援、精神支援の3つを押さえたフィードバックを行うことです。中原淳氏のフィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術によると、職場で人が育つためには、業務支援、内省支援、精神支援の3つの支援を他者から受ける必要があると言われています。
業務支援 | いわゆるOJTのこと。仕事のやり方を教え、必要に応じてアドバイスする。 |
内省支援 | 振り返りを促してあげること。客観的な意見を伝えて、本人の気付きを促す。 |
精神支援 | 励まし、褒めること。本人の感情のケアをする。 |
お客様からよくご相談いただく現場育成のお悩みを紐解いていくと、「業務支援はできているが、周囲からの内省支援や精神支援が抜けている」状況に陥っていることが少なくありません。
内省支援が足りないと、成長実感を持ちにくく、同じ失敗を何度も繰り返してしまうことがあります。また、精神支援が足りないと、落ち込んだり、自信をなくしたりする状態が続き、心を病んでしまう可能性もあります。
そのような状態は、「人は変われない」というフィックスト・マインドセットを助長してしまう恐れがあります。そのため、フィードバックを通して、内省支援や精神支援も担保していくことが重要です。
例えば、内省支援では、フィードバックの際に次のような問いかけを行います。問いかけによって、自身の言動・考え方をフラットに見つめ、そこから新たな気付きを得て次なる行動へ活かすためのサポートをします。
「○○さんが、この経験から得た学びは何だろう?」
「何か一つ変化させるとしたらどんなことをすればいいだろう?」
「今の仕事上で、○○さんが誇れる点はどこだろう?一方で、残念に思う点は?」
また、精神支援としては、フィードバックを行う際に次のような対応が大切です。
・新入社員からの話もちゃんと聴く(決めつけない)
・新入社員に対する期待や想いを伝える
なお、精神支援は「同僚・同期」からの影響が大きいとの調査結果があります。
そのため、上司・先輩が落ち込んでいる新入社員の様子に気付いたら、同期の新入社員へ「○○さん、なんだか落ち込んでいるみたいだから、ちょっと声掛けてあげてくれない?」といったフォローをすることも一つの方法です。
このように、新入社員のグロース・マインドセットを促すためには、業務支援、内省支援、精神支援の3つを押さえたフィードバックを行うことを意識しましょう。
なお「最近の若手社員の特徴とは?効果的に育成を行う4つのポイントも詳しく解説」の特徴の記事では、より詳しく最近の若手社員(新入社員)の特徴をまとめています。育成を行うポイントも解説していますので、ぜひご覧ください。
5. チームで相互にフィードバックし合える仕組みを創る
5つ目は、職場で相互にフィードバックし合える仕組みを創ることです。グロース・マインドセットを育んでいくには、フィードバックする・されるという固着化した一方通行な関係性ではなく、チームメンバー同士で気軽にフィードバックし合える機会や仕組みを創ることが重要だからです。
ただ、新入社員が上司・先輩へフィードバックするのはハードルが高いと感じやすいです。その際は、フィードバックしてほしい観点を予め新入社員に伝えておくことがポイントです。
例えば、上司と新入社員が営業同行する場面で、「お客様との関係性構築の観点で、学びになった点/よく分からない・気になった点の2点を考えて、商談後に伝えてくれる?」といった具合に事前に伝えて起きます。そうすると、新入社員もフィードバックしやすくなりますし、上司も多様な視点を取り入れやすくなります。
新入社員のグロース・マインドセットを促すためには、新入社員から上司へのフィードバックも踏まえて、チームで相互に行える仕組みを作りましょう。
このような5つのポイントを意識してフィードバックをすることで、新入社員のマインドセットを変容させることができます。
【参考コラム】
新入社員育成のカギ!フィードバックする時に知っておきたい5つのポイント
新入社員だけでなく、職場全体をグロース・マインドセットの環境にする
職場全体をグロース・マインドセットの環境にしましょう。新入社員だけでなく、他の社員がグロース・マインドセットを持てているのかも重要です。なぜなら、人は同じ環境にいる人の影響を受けやすいためです。
例えば、グロース・マインドセットのある職場であれば、新入社員に仕事を依頼するときに次のような感情になります。
これは、下記の図の通り、お互いがグロース・マインドセットの状態でいるために、良い循環が起きています。
一方でフィックスト・マインドセットのある職場であれば、新入社員に仕事を依頼するときに次のような感情になります。
これは、下記の図の通り、お互いがフィックスト・マインドセットの状態でいるために、悪循環となってしまっています。
このように新入社員以外の人がフィックスト・マインドセットを持っていると、新入社員もその影響を受けやすく悪循環が生まれてしまいます。
新入社員の成長に課題を感じる場合は、職場全体としてどちらのマインドセットが強いかを確認してみましょう。そして、職場全体がフィックスト・マインドセットを持っている場合は、新入社員だけでなく、他の社員にもグロース・マインドセットを促すことが必要になります。
【参考コラム】
若手社員流出をSTOP!|離職原因とすぐできる若手社員の離職防止策5選
最近の若手社員の特徴とは?効果的に育成を行う4つのポイントも詳しく解説
今回紹介した4つの方法を活用して、新入社員のグロース・マインドセットを醸成しましょう。
3)グロース・マインドセットが醸成され、仕事へのモチベーションに変化が見られた事例
アーティエンスでご支援させていただいている化粧品メーカー様の新入社員の方の中に、成長が見えずに心配されていた方がいました。しかし、マインドセットが変わったことで仕事への意識が変わり、組織として期待できる人材になっていった、事例をお伝えします。
<企業情報>
業種:化粧品メーカー
規模:300名程度
<新入社員の方>
性別:男性
部署:営業
新入社員のAさんは、入社当時は勤勉さはあるものの、向上心ややる気が感じられなれない言動が見られていました。
向上心ややる気が感じられなれない、というのは、例えば、先輩との営業同行が早めに終了したので、「他店を視察してから帰ったら?」と上司が提案したところ「別に大丈夫です」と断り、帰宅してしまうなどです。
言われたことはやるが、そうでないものはやらない、と向上心が感じられていませんでした。
しかし、徐々に変化が起き、入社から9ヶ月たったころには、営業に役立てられるようにと、自らで積極的に先輩に相談しに行ったり、自発的にSNSマーケを学ぶようになりました。
このような変化があったのは、マインドセットがフィックスト・マインドセットからグロース・マインドセットに切り替わったことが要因です。
新入社員のAさんは、4月の新入社員研修の時から、「周りの人はすごい。でも自分は出来ない。迷惑にならないように頑張る。」との発言がありました。グループワークでもほとんど発言せず、既に自分の能力に諦めているようにも感じていました。これは、フィックスト・マインドセットを持ってしまっている状態です。
しかし、その後人事の方やトレーナーの方の努力によって少しずつ変化が出てきました。少しでも成長を感じられたらポジティブフィードバックを行ったり、トレーナーやメンターの方がお昼に声をかけて信頼関係を築いていき、ミスする怖さを軽減するなどです。
このような取り組みをすることで少しずつ新入社員Aさんのマインドセットが変化していき、自主的な言動が生まれるまでになりました。
このように、マインドセットは組織や周囲の人からの支援によって、グロース・マインドセットに促すことが出来ます。
自組織の新入社員に対して諦めることをせず、今回紹介した方法を実践してみてください。
4)まとめ〜アーティエンスは新入社員のマインドセット変容を新入社員研修でサポート〜
本記事では、新入社員が組織で活躍するために必要なマインドセットとして、グロース・マインドセットについてお伝えし、具体的な醸成方法を紹介しました。
グロース・マインドセット(Growth Mindset)とは、「自分が持っている能力や才能は、経験や努力によって成長できる」と思えている状態です。全く同じ状況でも、新入社員がグロース・マインドセットを持っているのか、フィックスト・マインドセットを持っているかで、新入社員の受け止め方は違いが生まれます。
学生から社会人という新しい環境に大きく変わった新入社員は不安も多く、フィックスト・マインドセットが強くなる傾向にあります。そのため、意図的にグロース・マインドセットを育み、成長を支援していく必要があります。
新入社員のグロース・マインドセットを醸成する際は、以下の4つに取り組むことをおすすめします。
・成果目標だけでなく、学習目標も創り取り組む
・成功体験を積み重ねられるようにする
・適切なフィードバックをする
・新入社員だけでなく、職場全体をグロース・マインドセットの環境にする
今回紹介した4つの方法を活用して、新入社員のグロース・マインドセットを醸成しましょう。
アーティエンスは新入社員のマインドセットの変容を新入社員研修でサポートしています。研修内で成功体験や、適切なフィードバックを受けることでグロース・マインドセットを促しています。
当社の新入社員研修の詳細を知りたい方は、お気軽にご連絡ください。
グロース・マインドセットを醸成して、自組織の新入社員が組織で活躍する状態を期待できるようにしましょう。
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