若手社員の離職理由は2つ!今すぐできる離職防止策5選もご紹介

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作成日:2023.5.23

頭を抱えている女性 「若手社員の離職の連鎖を止めたい」
「若手社員の離職理由を知りたい」

このような悩みを持って、本コラムにたどりついたのではないでしょうか。若手社員の離職理由は、下記のとおりです。

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※ 当社、人事勉強会資料より一部抜粋

いくつも理由があり、どうしたらいいのだろうと思ってしまうかもしれません。

本コラムでは若手社員の離職理由は、根本的には2つに絞られること。そして離職防止のために今すぐできる解決策と、根本的なアプローチをお伝えいたします。

本コラムをお読みいただくことで、若手社員の離職防止に関して、「今すぐできること」と、「根本的な対策の事例」が分かります。

ぜひ、自組織にあった若手社員の離職防止を実施してみてください。

監修者プロフィール

迫間 智彦

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

1)若手社員の離職理由は「今が辛い」と「未来が見えない」の2つ

それぞれ若手社員自身の問題と、組織の問題があります。 下記の4つを説明していきます。

①「今が辛い」:若手社員自身の問題
②「今が辛い」:組織の問題
③「未来が見えない」:若手社員自身の問題
④「未来が見えない」:組織の問題

①「今が辛い」:若手社員自身の問題

若手社員が「今が辛い」と感じる問題は、若手社員の精神的成長が未熟であるために起き、離職に繋がります。

若手社員の精神的成長が未熟であると、今しか見えないため、リアリティショック(※)を乗り越えることができずに、組織に適応できません。

例えば、メーカーで自身で新しい製品を作りたいと思っていた若手社員が、入社後工場で単純作業を繰り返し行うことに嫌気がさし、離職するケースもこれにあたります。組織側が、「まずは現場を知ってもらい、その後若手社員を研究開発に異動する」ということを伝えていても、今が辛いから辞めるということです。

昨今では、テレワークによって、孤独で誰も見てくれないという気持ちになり、離職するケースも見られます。組織側が、1on1などの対策を行っていても、「私は独り。誰も助けてくれない」という認識になるケースも見られます。

このように若手社員が「今が辛い」と感じる問題は、若手社員の精神的成長が未熟であるために起き、離職に繋がります。

(参考)リアリティショックとは アメリカの組織心理学者のE.C.ヒューズによって提唱され、マサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン教授によって広められました。「現実と理想のギャップに衝撃を受けること」と定義されており、自身が描いていたイメージと、実際の仕事内容や人間関係などに乖離があると、不安感や喪失感、諦めの気持ちを感じ、その度合いによっては早期離職や休職を招く大きな要因になります。

主に下記の4つがあると言われています。  リアリティーショック

②「今が辛い」:組織の問題

組織側の衛生要因(※)に問題・大きな欠陥があると起き、若手社員は「今が辛い」と感じ、離職に繋がります。

衛生要因は、若手社員からすると、満たして当たり前のものであるため、これらに応えられなければ、不満や不安を持ちます。そして「今が辛い」になっていきます。

例えば、組織が労働時間の適正管理を行っていない場合、若手社員は過労に繋がりますし、プライベートを大切にする社員であれば、大きな不満に繋がるでしょう。

このように、若手社員が「今が辛い」と感じる問題は、組織側が衛生要因(※)に対して応えられていないと起き、離職に繋がります。

(参考)衛生要因とは
・給与 ・労働条件 ・福利厚生 ・経営方針 ・人事労務体制 ・職場の人間関係
などの要素を指します。組織が一定レベルを対応できなければ、従業員は不満を持ち、エンゲージメントは低下すると言われています。

③「未来が見えない」:若手社員自身の問題

若手社員が「未来が見えない」と感じる問題は、若手社員が自身のキャリアに対して、そもそも組織が用意してくれるという意識があり、その支援がないと離職に繋がっていきます。

こちらも、『「今が辛い」を起こしている若手社員自身の問題』と同様に精神的成長の未熟さに関わってきます。本来であれば、自身のキャリアは自身で切り開いていくものです。まずは、その組織で何ができるかを考えて、行動する必要がありますが、最近の若手社員の傾向として、すぐに見切りをつけるということがあります。これは、第二新卒採用という言葉がさらに彼らの行動を促している部分もあります。

例えば、同期が昇進や希望部署に異動し、自身が昇進できないとなったとき、「自分は評価されていない。だから、この組織では、未来が見えない」という判断をして、退職する場合もあります。この時に、成果を出して、上司や組織に働きかけるなどをせずに、諦めて外に出るケースもあります。

このように、若手社員が「未来が見えない」と感じる問題は、若手社員が自身のキャリアに対して、そもそも組織が用意してくれるという意識があり、その支援がないと離職に繋がっていきます。

(参考)「未来が見えない」を起こしている若手社員自身の問題で、辞めていく人材とは
特に、優秀層だったり、期待している若手社員が、退職するリスクが高いです。

なぜなら、彼らは第二新卒というカードを有効に使えるためです。社会人として教育を受け、そして一定レベルのスキルがあれば、多くの企業から歓迎されます。

そのため、優秀な若手社員とのボタンの掛け違いは、起こさないようにフォローが必要です。優秀な若手社員と言っても、まだまだ精神的成長では未熟な部分も見られます。

④「未来が見えない」:組織の問題

若手社員が「未来が見えない」と感じる問題は、組織側が動機付け要因(※)に対して応えられていないと起き、離職に繋がっていきます。

動機付け要因がないと、若手社員からすると、「この組織にいていいのか?」という考えが出てきます。そして、より自身の動機付け要因を満たしたいがために、離職に繋がっていきます。

例えば、当社のお客様でも、給与も福利厚生でも業界では好条件の企業から、若手社員の離職が多いという相談を受けたことがあります。理由としては、先輩社員や上司を見ていて、この人たちみたいに、仕事のできないビジネスパーソンになりたくないという話でした。

このように、若手社員が「未来が見えない」と感じる問題は、組織側が動機付け要因(※)に応えられていないと起き、離職に繋がっていきます。

(参考)動機付け要因とは
動機付け要因とは、仕事の満足度を左右する要因のことです。「物事を達成すること」や「認められること」「責任や権威を持つこと」「仕事に対する興味」「自己成長・昇進」などがあります。

2)【プロセス別】すぐにできる若手社員の離職防止策:5選

若手社員の離職防止の対策を、採用から退職までのプロセスに沿って5つお伝えします。

①採用時 : 人材要件と選考プロセスを決める
②入社時 : オンボーディングを丁寧に行う
③業務時1 : ポジティブフィードバックで、成長を促進する
④業務時2 : 定期的な1on1を行い、業務・内省・精神支援を行う
⑤離職時 : 気持ちよく送り出し、他の社員への影響を最低限に抑える

①採用時 : 人材要件と選考プロセスを決める

若手社員の離職を防ぐためには、採用時に適切な人材要件を決め、選考プロセスを通じて候補者を選別することが重要です。

人材要件や選考プロセスを明確に決めないで採用を行うと、ミスマッチによる早期の人材流出を引き起こす可能性が高まります。そのため人材要件と選考プロセスを決めることは、とても重要です。

募集している職務で「活躍できる能力要件」と「自組織とのカルチャーマッチする人柄」を具体的に言語化するといいでしょう。

例えば、コンサルティング営業職を募集している場合には、能力要件として論理的思考力が必要かもしれません。ルート営業職でしたら、関係性構築力の方が必要かもしれません。自組織とのカルチャーマッチは、目標達成に厳しいカルチャーであれば、負けず嫌いな人柄が必要かもしれません。挑戦を求めるカルチャーであれば、知的好奇心が強く物怖じしない人柄が必要かもしれません。そして、これらをどのように面接で判断していくかが必要です。

このように人材要件を具体的に言語化し、選考プロセスを明確にすることで、ミスマッチを無くしていくことが可能です。

採用時に以下の手順を踏むことで、適切な人材を選び抜き、将来的な離職を予防することができます。

(参考)人材要件の明確化と、選考プロセスの策定

人材要件の明確化

「活躍できる能力要件」と「自組織とのカルチャーマッチする人柄」を具体的に言語化するといいでしょう。

面接基準の策定

面接時に評価する項目や基準を明確に設定します。これにより、候補者を(可能な限り)客観的かつ一貫性のある基準で評価することができます。

面接方法の適切な選択

面接方法は、候補者の適性を自組織の求める人材要件とずれがないかを、判断するために重要です。グループ面接、個別面接、実務演習など、選考の目的に合わせた方法を選びます。

行動ベースの質問の活用

候補者の過去の行動や経験を探る質問を用いることで、将来のパフォーマンスや組織適応性を予測することができます。

組織の文化や価値観の共有

面接中に組織の文化や価値観を積極的に伝えることで、候補者との相互理解を深め、組織への適応性を高めることができます。

②入社時 : オンボーディングを丁寧に行う

若手社員の離職を防ぐためには、新入社員としての入社時・第二新卒・既卒採用の入社時共に、オンボーディングを丁寧に行い、初期からエンゲージメントを高めることが重要です。組織社会化(組織になじむ過程)の3つの要素を基に行うといいでしょう。

一つ目は職業的社会化と言われる仕事に必要なスキル・知識を習得するためのトレーニングを行います。
具体的には、ビジネススキルから、専門スキルがこれにあたります。育成計画をしっかり立てることをお勧めします。下記は、新入社員用のコラムですが、オンボーディングにおける育成計画の作成に関して参考になるでしょう。

二つ目は文化的社会化と言われる組織の社風や考え方、ルールを受け入れるためのすり合わせです。
具体的には、チームメンバーと対話を行う機会を設けていくといいでしょう。ランチ会や飲み会などもいいでしょうし、チームメンバーとお互い自己紹介を通して相互理解を促す場を設けてもいいでしょう。

三つ目は役割的社会化と言われる自身の役割を理解・受け止めるための支援です。
入社時に、期待を伝えることと、どのような役割(今と未来)を担ってほしいか伝えていくといいでしょう。

オンボーディングを丁寧に行うことで企業になじみ、即戦力化も促せますし、エンゲージメントも高まっていきます。そして、若手社員の離職防止に繋がっていきます。

(参考)オンボーディングをより丁寧に設計するには

下記は、オンボーディングをより具体的に知りたい方に対して、手法をお伝えいたします。

ウェルカムプログラムの設計

新入社員・若手社員を迎える際に、専用のウェルカムプログラムを用意します。これには、組織の歓迎メッセージや重要な情報へのアクセス方法、仕事の基本的なルールやプロセスの説明などが含まれます。

メンター制度の導入

新入社員には、経験豊富なメンターを割り当てます。メンターは、組織内のナビゲーターとして新入社員・若手社員をサポートし、仕事や組織文化に関する疑問や不安を解消する役割を果たします。

下記は、新入社員用のコラムですが、メンターのアサインに関して参考になるでしょう。
【Q&A付】新入社員のメンター|4つの役割で組織への安心感をもたらす

トレーニングや研修の提供

新入社員・若手社員に必要なスキルや知識の習得を支援するため、適切なトレーニングや研修プログラムを提供します。これにより、業務に早く適応し、成果を上げることができます。

育成計画とフィードバック

入社初期から明確な目標を設定し、定期的なフィードバックを提供します。これにより、新入社員は自身の成果や成長を実感し、モチベーションを維持することができます。

※ 定期的なフィードバックに関しては、「④業務時2 : ポジティブフィードバックで、成長を促進する」で詳しく説明していきます。

下記は、新入社員用のコラムですが、育成計画に関して、参考になるでしょう。
新入社員の育成計画に必要な5ステップ│【サンプルあり】迷いを無くし、いち早く一人前の社会人へ

社内交流やイベントの活性化

新入社員同士や他のメンバーとの交流を促すために、社内イベントやチームビルディング活動を積極的に行います。これにより、組織への繋がりや帰属意識を高めることができます

下記コラムですが、交流会やチームビルディングに関して、参考になるでしょう。
【若手社員交流会】4つの交流会の目的と運営ポイント
【チームビルディング研修】協働・共創を生み、成果につなげるための研修

③業務時1 : ポジティブフィードバックで、成長を促進する

若手社員の離職を防ぐためには、ポジティブフィードバックで、成長を促進することが必要です。
「承認されている」や「成長している」という実感はエンゲージメントを高めやすいためです。すぐにできる対策は、ポジティブフィードバックです。具体的には4つの観点を持つといいでしょう。

・「ポジティブ:ネガティブ」=「5:1」の割合を意識する
・「あなた」ではなく「行動」を主語にする
・コンパクトに日常的に、高頻度で行う
・両者が「グロース・マインドセット」を意識する

それぞれ詳しく説明していきます。

「ポジティブ:ネガティブ」=「5:1」の割合を意識する

夫婦の離婚率予測で有名なジョン・ゴットマン博士(Dr. John Gottman)によると、「5:1」の割合で互いに関わることが、良好な夫婦関係の維持において非常に重要である、という研究結果を出しています。博士はこの研究結果を基に、リーダーシップやフィードバックの分野においても大きな影響を与えており、「5:1」の割合で日々のやり取りを意識することが重要だと言えるでしょう。

「あなた」ではなく「行動」を主語にする

フィードバックの際には、「行動」を主語にすると改善すべき行動が明確に理解でき、フィードバックの効果は出やすくなり、成長にも繋がります。一方で、「あなた」を主語にしてフィードバックすると受け手は「自分はダメなんだ。認められていないんだ」と自分自身までも否定するようになり、自己嫌悪に陥りやすくなります。気分が落ち込んでいる上に改善すべきポイントが不明瞭なため、成長もしづらくなります。

コンパクトに日常的に、高頻度で行う

的を絞ったフィードバックは、「これならできそう」と思えます。一方で、情報量が多いフィードバックは、受け手が理解するのに負担がかかり、次なる行動に繋がりにくくなります。また、フィードバックを高頻度で受け取り、短いスパンで改善行動を繰り返すことは、本人の前進感や成長実感に繋がります。「フィードバックは自分の成長に繋がる」と思えると、より好意的に受け止めるようになるでしょう。

具体的なタイミングとして、1on1等の時間を取ったフィードバックの機会に加えて、会議前後の時間・社内チャット等により、日々の業務の中で意識的にフィードバックの機会を増やす姿勢が大切です。ただし、やり方によっては「マイクロマネジメントをされている」と受け取られることもあるため、注意が必要です。

両者が「グロース・マインドセット」を意識する

グロース・マインドセットとは、スタンフォード大学心理学教授キャロル・ドゥエック氏が提唱した考え方で、「自分が持っている能力や才能は、経験や努力によって成長できる」という信念・心の在り方を意味します。

グロース・マインドセットと対極にあるのがフィックスト・マインドセットで「自分が持っている能力や才能は先天的なもので、経験や努力では成長しない」という信念・心の在り方を意味します。

効果的なフィードバックを行うにあたり、2つのマインドセットの違いを理解することは非常に重要です。グロース・マインドセットの傾向が強い人は「人は変われる」と信じ、フィードバックが自身の成長の糧になり、求めるべき存在であると認識しています。一方、フィックスト・マインドセットの傾向が強い人は、「人は変われない」と考え、フィードバックに対して恐怖感があり、避けるべき存在として認識しています。社員の成長を支援するための触媒としてフィードバックが作用するためには、それを提供する側も受け取る側も、グロース・マインドセットを持つ必要があります。 グロース・マインドセット フィックスト・マインドセット なお下記コラムですが、新入社員のコラムですが、フィードバックに関して、より知りたい方にはおすすめです。
新入社員育成のカギ!フィードバックする時に知っておきたい5つのポイント

(参考)キャリア開発と、評価制度に関して
「キャリア開発を行う」「評価制度を変える」等の方法は、時間と手間がかかりますし、時代の流れにより、すぐに陳腐化するというリスクもあります。

将来の不確実性が高く、スキルが陳腐化しやすい今、組織主導のキャリア開発は難しいと言われています。また評価制度の変更は、やらされ感を増幅させ、形骸化しやすいとも言われています。

こまめなフィードバックは、社員が自身を振り返り成長していく方法としてのキャリア開発に有効ですし、そこで得た情報を基に組織側も社員に対しキャリアに繋がる成長支援を行うことができます。また日ごろからのフィードバックの機会が多いと、評価に対する納得感も高まりやすいと言われています。

④業務時2 : 1on1を行い、業務・内省・精神支援を行う

若手社員の離職を防ぐためには、定期的な1on1はとても重要です。なぜなら、1on1を行うことで、若手社員の状況が理解でき、適切な支援が可能になるためです。しっかり時間を作り、業務・内省・精神支援を行い、本人の成長実感やエンゲージメントを高めましょう。

(参考)業務・内省・精神支援とは

業務支援

仕事のやり方を教え必要に応じてアドバイスすることです。

内省支援

振り返りを促すこと。また、客観的な意見を伝え、本人の気付きを促すことです。

精神支援

励まし、褒めること。また、本人の感情のケアをすることです。

この業務・内省・精神支援がなければ、人は成長実感を持ちにくく、上司・トレーナーとの信頼関係が高まらない可能性があります。若手社員の離職も起きやすくなるでしょう。

当社は、多くの企業さまに対して人材開発・組織開発のご支援を行っていますが、業務支援に取り組む上司・トレーナーは多くいます。しかしながら、意識的に内省支援と精神支援を行っている方は少ないです。そのため、内省支援と精神支援に関して、簡単にできるアプローチをお伝えします。

内省支援で使える三つの問い

-「○○さんが、この経験から得た学びは何だろう?」 -「何か一つ変化させるとしたらどんなこと?」 -「今の仕事上で、○○さんが誇れる点は?一方で、残念に思う点はどこだろう?」

これらの問いは、客観的に自身の経験を振り返るきっかけになり、次にむけての気付きを与えてくれます。

精神支援で大切にしたい三つのアプローチ

-社員からの話をちゃんと聴く(決めつけない) -社員に対する期待や想い言葉でしっかりと伝える -(参考)他の社員から、フォローしてもらう

これらを参考に、業務支援に加えて意識的に内省・業務支援を行っていただくと良いでしょう。

⑤離職時 : 気持ちよく送り出し、他の社員への影響を最低限に抑える

若手社員の離職を防ぐためには、退職するメンバーを気持ちよく送り出すことは重要です。なぜなら、在籍している他の社員への悪影響が大いに懸念されるためです。また、転職者が口コミサイトなどに書き込み、ネガティブな評価がweb上に残る可能性もあります。強引な引き止めや、有休消化をさせないなどの退職者へのネガティブなアプローチは控えましょう。

数年後実力をつけて、自組織に戻ってくる可能性を期待し、気持ちよく送り出すことを心がけましょう。
具体的には、「嫌味を言わない」や「嫌がらせのような対応をしない」ことです。そして「引き継ぎのスケジュールを一緒に引く」、「送別会を開く」などを行い、組織にとって大切な存在であったことを言葉や態度で伝えましょう。

若手社員の離職防止の対策を、5つお伝えしました。

①採用時 : 人材要件と選考プロセスを決める
②入社時 : オンボーディングを丁寧に行う
③業務時1 : ポジティブフィードバックで、成長を促進する
④業務時2 : 定期的な1on1を行い、業務・内省・精神支援を行う
⑤離職時 : 気持ちよく送り出し、他の社員への影響を最低限に抑える

これらの対策は、すぐにできるものなので、ぜひ実施していただければと思います。

3)若手社員の離職を防止するには組織側の変革も必要

若手社員の離職ですが、「すぐにできる若手社員の離職防止の対策5選」だけでは、防ぎきれない場合もあります。

若手社員の離職を防止するには、根本的な対策として組織変革が必要です。そして、厄介なことに根本的な対策は、企業によって異なります。その組織にあった変革が必要です。

本来であれば、組織ごとに状況を確認することが必要ですが、よくある代表的な例を3つのケースとしてお伝えします。

①衛生要因が満たされていない
②動機付け要因が満たされない
③組織構造の悪循環

それぞれ説明していきます。

①衛生要因が満たされていない

臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによって提唱された「二要因理論」のモチベーション理論で言われる衛生要因が満たされていないと、どんな打ち手を打っても、解決しません。

衛生要因は、

・給与 ・労働条件 ・福利厚生 ・経営方針 ・人事労務体制 ・職場の人間関係

などが上げられます。これらに大きな欠如・欠陥がある場合には、その他の打ち手をいくら実施しても、人材流出は防ぎきれません。

当社のお客様で、50名程度の施工会社では、社長が想いを持って、給与も業界水準より高く、福利厚生などを充実させていきました。ただし職場では、上司・先輩社員が新入社員を放置するということが起き、3年目にまでには、離職率が50%以上ほどありました。新入社員の受け入れ態勢の充実化と、新入社員の状況がすぐにわかるように社外研修(当社の公開講座)を一年間受講し、定期的な1on1を人事が行うことで、改善していきました。3年目までの離職率は、20%を切るようになりました。

このように、衛生要因を満たしていくことが必要です。

②動機付け要因が満たされない(特に、「物事を達成すること」「責任や権威を持つこと」「自己成長・昇進」)

動機付け要因が満たされないと、若手社員が離職してしまうケースがあります。若手社員の離職理由で最も多いのは、自身のキャリアが見えないという結果が出ています。今回は、「日本の人事部白書2019」のデータですが、多くの調査結果も同様の結果が見られます。これが満たされず離職してしまうケースも多くあります。

(参考)若手社員の離職理由

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※ 当社、人事勉強会資料より一部抜粋

当社のお客様で、300名程度の美容器具メーカーでは、優秀層と言われる新入社員が採用できるものの、現場のメンバーの仕事に対してのやる気のなさや能力値を見て幻滅し、3年~5年で80%以上退職してしまうという課題が起きていました。

成長する実感を持ってもらうために、現場を巻き込んだ研修制度とメンター制度を充実させていきました。現場を巻き込んだ研修制度では、外部研修(当社の公開講座)を新入社員は一年間、2年目・3年目社員に対して、半年に一度実施しました。

他社との合同研修により、自己認知を広げ、成長実感と成長意欲を上げていくことに成功しました。研修前には、必ず上司や同僚(主に先輩社員)に対して、インタビューを行い、彼らの仕事に対しての考えを知ることで、上司・先輩社員のことを見直し、関係性も高まっていくということも起きました。またメンター制度を充実させることで、若手社員同士が学び合う風土も創っていきました。

このことで、数年後にはライフイベント以外での退職がほぼ見られなくなりました。

③組織構造の悪循環

仕組みや制度として、衛生要因への解決策を行ったとしても、組織構造が悪循環に陥っていれば、若手社員の離職は起きます。

当社のお客様であるWebコンテンツを提供している会社の事例をお伝えします。100名程度の企業で上場しており、制度などの仕組みは整っています。ただし、役員・幹部社員の意思決定のスピード感が早すぎるため、現場がついていけないということが起きていました。

「役員・幹部社員の方針変更が速い」→「現場で新たなチャレンジや変更点が多発する」→「現場社員は頭では理解しているが業務が追い付かない」→「各所でミス・失敗が続き、恐れや諦めが生まれる」→「メンタルを病む・離脱する」→「新たなチャレンジが実を結ばない」→「役員・幹部の方針変更が…」という悪循環が起きていました。

この組織は、対策として「チーム力を上げていくことで、役員・幹部社員の意思決定のスピードに追い付いていくこと」、「失敗を応援する組織風土に変えていく」等を行いました。結果、チーム力向上による個別の仕事の抱え込みが減り、チャレンジへのポジティブな意識も高まり、この状況を乗り越えていきました。

詳しい内容は、下記コラムで確認ができます。若手社員の離職を、若手社員にアプローチするのではなく、管理職にアプローチした例です。

このように若手社員の離職は、すぐに対応できる打ち手だけでなく、衛生要因や動機付け要因、組織構造にも目を向けていくことが大切です。

4)まとめ

具体的には、下記内容です。

1)若手社員の離職理由は「今が辛い」と「未来が見えない」の二つ

①「今が辛い」:若手社員自身の問題
②「今が辛い」:組織の問題
③「未来が見えない」:若手社員自身の問題
④「未来が見えない」:組織の問題

2)すぐにできる若手社員の離職防止の対策5選

①採用時 : 人材要件と選考プロセスを決める
②入社時 : オンボーディングを丁寧に行う
③業務時1 : ポジティブフィードバックで、成長を促進する
④業務時2 : 定期的な1on1を行い、業務・内省・精神支援を行う
⑤離職時 : 気持ちよく送り出し、他の社員への影響を最低限に抑える

3)若手社員の離職を防止するには組織側の変革も必要

本コラムを通して、自組織にあった若手社員の離職防止のアイディアが出てきていると、とてもうれしいです。
若手社員の離職防止に関して、ご相談があればぜひ当社までお問い合わせいただければと思います。

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