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[ コラム ]
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失敗しない次世代リーダー研修。重要な視点と3プロセス【事例あり】
更新日:
「次世代リーダーがなかなか育たない」
「経営層を支える人材が不足している」
――そんな不安を抱えている企業は少なくありません。
実際、人事や経営層からは「研修でスキルを学ばせても、主体的に未来を切り拓くリーダーが育たない」という声が多く聞かれます。スキル補填だけでは日々の業務は回せても、未来を創り出す力までは十分に育ちません。
実は、次世代リーダー育成で本当に大切なのは「未来に希望を持つリーダー」を育てることです。
未来に希望を持つリーダーは、自ら主体的に行動し、挑戦を続け、周囲を巻き込みながら変革を推進します。その姿は現場にエネルギーを与え、組織全体の成長を加速させていきます。
では、どうすれば希望を持てるリーダーを育てられるのでしょうか。
その答えは「未来を共に描き、現実の課題に挑み、実際の経営経験を積む」プロセスを組み合わせた研修設計にあります。
そこで本コラムでは、次世代リーダー育成研修の設計で最も重要な視点と、効果を高めるための具体的なプロセスを解説します。さらに、実際に組織が変わった2つの事例をご紹介します。
未来を共に描き、希望を持てるリーダーを育てることで、組織はより力強く、持続的な成長のステージへと進んでいきましょう。
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
1)次世代リーダー育成研修の設計で最も重要な視点
次世代リーダー育成研修では、「足りない部分を補うこと」ではなく、「組織の未来に希望を持てるリーダーを育てること」を目的にすることを意識することが重要です。
「足りないスキルの補填」だけを目的にしてしまうと、マイナスからゼロに戻す施策にとどまり、未来を切り拓くリーダーを育てることができないためです。
まずは「どのような素晴らしい組織の未来を描きたいのか」という理想像を描き、そのうえで現状との差分を整理することが不可欠です。研修を通じて受講者が「自分たちの組織はもっと良くなる」と心から思えるようになったとき、主体的な行動や現場への影響力が生まれます。
研修では、たとえば次のようなテーマが扱われます。
・長期的なビジョンや目標の設定
・組織戦略の策定と実行計画
・組織経営に必要な視座/判断軸の習得
・長期視点を持つための意識醸成
これらを単なる知識として学ぶのではなく、「自社の未来像を描くプロセス」と結びつけることで、受講者は自分たちが未来を担う当事者であると実感できます。この実感が、研修後の行動を変える力となります。
つまり、次世代リーダー育成研修で重視すべき成果は、次世代リーダーが 「組織の未来に希望を持つこと」 です。希望を持てた受講者は学びを現場で実践し、施策を前に進め、周囲に影響を広げていきます。その結果、組織全体の変革へとつながります。
このように、次世代リーダー育成研修は「不足を補う場」ではなく、「未来を描き、希望を持てるリーダーを育てる場」として設計し、次世代リーダーが 「組織の未来に希望を持つこと」 を目指せるようにすることが重要です。その先にこそ、組織の持続的な成長があります。
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2)次世代リーダー研修の効果を上げる3つのプロセス
次世代リーダー育成研修を効果的なものにするには、単に知識やスキルを学ばせるだけでは不十分です。
未来を描き、現実の課題に対応し、実際の経営経験を積む——この3つのプロセスを組み合わせることで、初めて学びが行動に結びつき、次期経営者としての成長が加速します。

以下では、それぞれのプロセスについて具体的に見ていきます。
2-1.現経営陣と共に、素晴らしい未来を描く
次世代リーダー育成研修では、現経営陣と共に「組織の素晴らしい未来」を描くことが欠かせません。
未来に対してポジティブな気持ちを持てなければ、次期経営者としての当事者意識や主体性は育たないためです。
経営陣と未来を共有することで、受講者は「自分もこの未来をつくる一員だ」という意識を持つことができます。
そのための効果的な方法の一つが「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)(※)」という手法です。
AIでは、自分たちの強みや可能性が最大限に発揮されたときに、どのような未来が描けるかを探求します。枠を外して考えることで、心から望む未来像を描けます。
このプロセスに現経営陣も加わることで、次世代リーダーと経営陣の想いが統合され、共に目指す「共有ビジョン(※)」が育まれます。
共有ビジョンは、一部の人が描いたビジョンを伝達するのではなく、対話を通じて当事者意識を持ちながら共に形成するものです。
現経営陣と共に未来を描く場を設けることは、次世代リーダーに当事者意識と主体性を育み、組織全体が希望を持って未来を目指すための重要なプロセスとなります。
参考|用語解説
●アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)
1987年に提唱された手法で、「肯定的な質問」を通じて組織の強みや可能性を発見し、未来の可能性を広げるプロセス。
●共有ビジョン
ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」の要素の一つ。経営者が一方的に示すビジョンではなく、対話を通してメンバー全員が当事者として共有し、主体性を持てる未来像のこと。
2-2. 現実の課題と向き合い、経営者として必要なスキルを習得する
未来像を描いた後は、自組織の現実的な課題と向き合い、それを乗り越えるために必要なスキルを整理します。
現実の課題を乗り越える力を持つことが、未来を実現するための土台となるからです。そのため、経営者として必要なスキルは多岐に渡りますが、経営者に必要なスキルを幅広く挙げるのではなく、自組織に直結するものを優先的に学ぶ必要があります。
まずは、以下の2つの観点をおさえて優先順位を明確にしていきましょう。
・自組織の現実的な課題を解決できるか
・自組織の未来を創ることにつながるか
例えば「コロナ禍や生成AIによりビジネスモデルの大変革が必要」となれば、戦略思考・事業開発・マーケティングといった学び直しが求められます。
また「社内で想定外の問題が次々と起きている」状況なら、全体を俯瞰し複雑な因果関係を整理できるシステムシンキングの習得が効果的です。
こうした観点を踏まえ、次世代リーダー育成研修で取り入れると効果的なプログラムを3つご紹介します。
組織と自身の未来を描くワークショップ(共有ビジョン)
自分や組織の未来をポジティブに描くことで、次世代リーダーとしての主体性や当事者意識を育むことを目的に行います。経営陣と共に実施することで、未来像がより力強いものとなり、共通の方向性を持ちながら現実的な施策に落とし込むことが可能になります。
戦略思考をテーマとした研修
この研修は、組織経営の視点を持ち、長期的に成果を生み出す力を養うことを目的としています。ビジネス環境の変化に対応しながら、長期的なビジョンや目標の設定、戦略の策定、実行計画の立案といった知識やスキルを習得させたいときに効果的です。
システム思考をテーマとした研修
複雑な課題を全体像で捉え、因果関係を整理しながら解決策を導き出す力を育むことを目的に行います。
参考|システム思考を使ったシステム図の例

VUCAと呼ばれる不確実で複雑な環境で、想定外の問題が次々と発生している組織に特に有効です。
アーティエンスのシステムシンキング研修では、まず組織でよくある事例を題材に、システム図作成の基礎を学びます。続いて、参加者同士が協力しながら、自分たちのチームや組織の状態をシステム図に落とし込んでいきます。
こうして自分たちの組織課題を可視化することで、システム思考を実際にどう活用できるのか、その具体的なイメージを掴むことができます。
このように次世代リーダー研修では「未来を描く」だけでなく「現実課題に対応するスキル習得」を組み合わせることが不可欠です。これにより、理想の未来像を実際に実現できる経営者としての力を育むことができます。
2-3. 経営課題に取り組み、経験を積む
現実にある課題を解決するためのスキルを習得したら、実際に経営課題に取り組み、経験を積んでいきます。
習得したスキルは、すぐに活用しなければ忘れてしまうためです。行動を伴わなければ現場からの信頼も得られず、次期経営者としての経験を積むこともできません。
ただし、いきなり現場で経営課題に取り組むのは難しい場合もあります。
そこで有効なのが研修に「アクションラーニング」を取り入れる方法です。アクションラーニングとは、現場で実際に起きている問題を題材に、グループで原因を分析し、解決策を立案・実行し、振り返ることで学ぶチーム学習の手法です。
経営陣も一緒に参加すれば、自らの考えや想いを直接伝えることができ、次世代リーダーにとってはより深い経営視点を養う機会となります。
こうして研修で学んだスキルを実際の経営課題と結びつけることで、次世代リーダーは「実践力」と「信頼」を兼ね備えた経営者へと成長していけます。
このように、3つのプロセスを循環させることによって、次世代リーダーは「未来を構想できる力」と「現実を動かせる力」の両方を備え、組織の未来を担う存在へと成長していきます。
▼執筆者が動画でじっくり解説中!あわせてご覧ください。
※クリックで動画が流れます。音量にご注意ください
3)【企業事例から見る】 次世代リーダー育成研修
次世代リーダー育成研修の2つの事例をお伝えします。
・① 未来を描けなかった状態から、中長期施策を進める存在に
・② 部分最適の状態から、全社視点を持ち合う次世代リーダーへ成長
次世代リーダー研修事例①: 未来を描けなかった状態から、中長期施策を進める存在に
製造業・従業員約200名規模の企業での事例です。
課題|将来的な経営陣不足と若い社長を支える人材不在
将来的に経営陣の人数が足りなくなること、そして3代目の若い社長をフォローできる人材がいなくなることが大きな課題でした。
話を進める中で明らかになったのは、コロナ禍によって現経営陣自身が未来を見据えた行動を取れなくなっていたという事実でした。その姿勢が次世代リーダーにも影響を与え、未来志向の行動が阻害されていました。
実施内容|経営陣と次世代リーダーが共に学ぶ場の設計
そこで、経営陣と次世代リーダーが一緒に組織の未来や課題を見つめていくことを目的に、研修を設計しました。
まずは「学習する組織」を軸に据え、経営陣と次世代リーダーが共に参加する研修と読書会を実施しました。
【参考】実際に行った読書会のスケジュール

研修後の変化|未来志向のプロジェクト推進と主体的な学び
経営陣と次世代リーダーの目線が揃い、会社の未来を見据えたプロジェクトが力強く推進されるようになりました。
さらに議論を重ねる中で、次世代リーダーからは「自分たちの今と未来に必要なのはファシリテーションスキルだ」という意見が生まれるなど、主体的に学ぶ姿勢が醸成されてきています。
その後、約1年間にわたりアーティエンスのファシリテーション研修に参加。現在では、研修での学びを活かし、次世代リーダーが社内ファシリテーターとして新規事業の推進や組織力向上に貢献しています。
実際に現場からは、次のような声が上がっています。
経営者
「自分たちがやらないといけないはずだった中長期施策が、次世代リーダーを中心に進んでいる」
現場社員
「次世代リーダーが目標にコミットしてプロジェクトを進めている。自分たちも頑張らないと」
次世代リーダー本人
「今までは目の前のことだけだったけど、中長期的に物事を見られるようになった」
こうした変化は、単なるスキル習得にとどまらず、組織全体に「未来を共に創る姿勢」が広がり始めていることを示しています。
次世代リーダー研修事例②: 部分最適の状態から、全社視点を持ち合う次世代リーダーへ成長
コンテンツビジネスを展開する従業員約250名規模の企業での事例です。
課題|短期的・部分最適に偏り、部門間の協力体制が崩壊寸前
「次世代リーダーが育っておらず、お互いの協力体制も弱い」というご相談から、企画が進みました。企画を進めていくうちに、次世代リーダー自身ではなく、組織における構造(システム)が次世代リーダーのパフォーマンスを下げていることが分かってきました。
具体的には、下記の状況が生まれていました。
次世代リーダーが目先の利益を追求し、目の前の仕事しか見えていない
↓
短期的視点で、自部署しか見えず、部分最適となり、部署間の壁が高くなる
↓
部門間の協力体制が構築されず、責任の押し付け等も多くなり、成果が小さくなる
↓
成果が上がらないため、さらに自部署を中心に、目先の利益ばかり考えるようになる
その背景には、過去のヒット商品への依存がありました。しかしその売上が伸び悩んだことで、組織全体が未来を描けなくなっていたのです。
実施内容|共有ビジョン共創から始めるチームビルディング・部下育成研修
この状況を受け、経営陣も現状を真摯に受け止め、次世代リーダーと共に「共有ビジョンの共創」から取り組みをスタートしました。
研修では、部門間を超えた協働の必要性を体感するプログラムを導入。そのうえで、次世代リーダーに求められていた「チームビルディング力」と「部下育成力」を重点的に高める研修を実施しました。
全4回のプログラムを通じて、個別の能力強化だけでなく、組織全体の視点を養うことに重きを置きました。
研修後の変化|全社的視点の獲得と自発的な協働の拡大
研修を経て、次世代リーダー同士の連携が強化され、新サービスの企画立案が増加。部門を超えた協力体制が芽生え、組織全体で成果を生み出す動きが加速しました。
さらに、研修後には次世代リーダーたちが自発的に合宿研修を企画するなど、主体的な学びと挑戦の文化が根づきました。
そして、この研修から3年後、参加メンバーのうち2名が経営陣に昇格。研修が一過性で終わらず、「未来の経営層」を育てる土台となりました。
4)知っておくべき、次世代リーダー研修の副作用
次世代リーダー育成研修は大きな成長をもたらす一方で、進め方によっては一時的な摩擦や反発が生じることもあります。こうした副作用を理解しておくことで、事前に備えをし、組織全体で成長のきっかけに変えることができます。
例えば、以下のようなコメントが出てくるケースがあります。
経営者の声:「次世代リーダーが、指示に対して的外れな意見を言ってくる」
これは、経営者自身の考えが固定化され、異なる意見を受け入れにくい場合に起こります。未来を議論する際には前提や考え方の違いが生じやすいため、相手の意見が的外れに見えてしまうのです。そのため、経営者と次世代リーダー双方の前提を確認・整理することが有効です。
現場社員の声:「次世代リーダーには、未来よりも今の業務に集中してほしい」
現場社員にとっては、目の前の仕事の重要性が高く映ることがあります。また、環境の変化に対する不安から未来志向を受け入れにくいこともあります。これは心理学的に“コンフォートゾーン(ぬるま湯)”と呼ばれる状態です。
このような経営者や現場社員からのコメントは、裏を返せば次世代リーダーの意識や行動が変わり始めている兆しとも言えます。
大切なのは、それを否定するのではなく、組織全体で対話の文化を育みながら乗り越えていくことです。そうすることで、副作用を成長のエネルギーに変えていくことができます。
7)まとめ|次世代リーダー育成研修で未来を描ける組織へ
次世代リーダー育成研修の本質は、「足りないスキルを補うこと」ではなく、「組織の未来に希望を持てるリーダーを育てること」にあります。
そのために次世代リーダー育成研修で重要なのは、
・現経営陣と共に未来を描き、共有ビジョンを持つ
・現実の課題と向き合い、必要なスキルを習得する
・経営課題に取り組み、実践から学ぶ
という3つのプロセスを循環させることです。
事例でも見たように、この取り組みは次世代リーダー本人の成長にとどまらず、組織全体の未来志向・協働文化の醸成へと広がっていきます。一時的な摩擦や反発さえも「変化の兆し」として捉え、対話を重ねることで成長のエネルギーへと変えていけます。
「未来を共に描き、希望を持てるリーダー」を育てることは、これからの持続的成長に欠かせない投資です。
アーティエンスでは、次世代リーダー向けの研修を多数ご用意しています。
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次世代リーダー育成研修で、未来を共に描き、希望を持てる組織をつくっていきましょう。
次世代リーダー育成研修の企画に悩んでいる人事責任者様・担当者様へ
こんな悩みをおもちではありませんか?
- 次世代リーダー育成研修企画の具体的なプロセスが知りたい
- 予算内でできる最適な研修を知りたい
- 自組織の課題を解決できる研修を知りたい
- 成功事例や研修効果を高めるノウハウを知りたい
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