やる気がない新入社員を動かす!8つの原因と7つの支援策

更新日:

「新入社員からやる気がまったく感じられない…」
「どうすれば今どきの新入社員の意欲は上がるのか」

現場で繰り返し聞こえてくる切実な声です。

強く背中を押せば'パワハラ'と受け取られるかもしれない。一方で優しくしすぎると、いつまでも火がつかない——その板挟みに苦しんでいる方が多いように感じます。

やる気は「本人の資質」だけで決まりません。多くの場合、原因は見立てと環境設計にあります。個人の内面要因と、組織の関わり方・育成設計が噛み合っていないと、誰でもやる気を失いやすくなります

本コラムでは、まず「やる気が出ない8つの原因」を整理し、そのうえで上司・先輩・組織が実践できる7つのアプローチを具体例つきで解説します。

原因が見え、関わり方が変われば、やる気は偶然の産物ではなく再現可能な成果になります。
新入社員が自ら考え、任せられる状況になる未来を、一緒に作っていきましょう。

執筆者プロフィール
山下 絢加
2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。現在は主にマーケティングプランニングを担当。
X:@yama_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

専門性:新入社員若手社員組織開発・組織変革

1)新入社員のやる気がない8つの原因

新入社員のやる気がない理由には、新入社員個人の原因と組織の原因があります。

区分 原因
新入社員個人の要因 ① 社会人としての自覚が弱い
② 希望の部署や仕事をできないことを受け入れられていない
③ 苦手な先輩・上司との関係性を気にしている
④ 自分で考えられる仕事ができていない
組織側の要因 ① 社会人の自覚を促せていない
② 新入社員のありたい姿と今の仕事の繋がりを示していない
③ 新入社員との関わり方や指導の仕方を教える機会を設けていない
④ 細かく指示を出しすぎている

新入社員個人の4つの原因

新入社員本人の内側にある4つの原因を整理し、それぞれがどのようにモチベーション低下につながるのかを見ていきます。

①社会人としての自覚が弱い

社会人としての自覚が弱いと、新入社員のやる気は下がりやすくなります

社会人としての意識がないと、「組織に貢献しよう」「成果を出そう」とする意欲が湧きにくく、仕事への力の入れ方も浅くなるためです。

たとえば、「特に会社で働きたいわけではなかったけれど、みんな就職するから自分もとりあえず…」という感覚で入社した新入社員がいるかもしれません。

そのまま社会人生活に入ると、「なんでこんなことをやらなきゃいけないんだろう」「社会人って大変だな」と感じる場面が増え、次第に仕事への前向きな気持ちを失ってしまいます。

こうした状態を防ぐには、入社初期の段階で'社会人としての自覚'を育むことが大切です。
弊社でも社会人の自覚形成を目的とした研修を行っており、こうした初期支援がやる気の土台づくりに効果的です。

②希望の部署や仕事をできないことを受け入れられていない

希望した部署や仕事を任されなかったことで、やる気を失う新入社員も少なくありません。

「今の仕事が、自分の将来にどうつながるのか」が見えないためです。

たとえば、商品開発を希望していた新入社員が、営業に配属されたとします。
本人は「有名な商品を生み出したい」というキャリアビジョンを持っていたため、思い描いた未来とのズレを感じ、「今の仕事を頑張っても意味がない」とモチベーションを失ってしまうのです。

近年は、「自分のありたい姿」や「理想像」と仕事のつながりを重視する若手が増えています。
そのため、配属後のリアリティショック(理想と現実のギャップ)にどう対応するかが、やる気維持の鍵となります。

③先輩・上司からのネガティブフィードバックが苦手

先輩や上司から否定的なフィードバックが続くと、新入社員のやる気は急速に下がります

日々の関わりがストレスや不安の原因となり、仕事に対してネガティブな感情を抱きやすくなるためです。

たとえば、自分の発言や行動に対して毎回否定的な言葉をかけられると、「自分は評価されていない」「どうせ何をしても否定される」と感じるようになります。
その結果、「もう関わりたくない」「頑張っても報われない」と思い込み、意欲が潰されてしまうのです。

こうした傾向は、最近の若手・新入社員ほど顕著に見られます。
フィードバックの伝え方一つで、やる気を高めることも失わせることもあるため、上司・先輩側の関わり方の工夫が求められます。

④自分で考えられる仕事ができていない

「指示された通りにやるだけの仕事」が続くと、新入社員のやる気は低下します。

自分で考える余白がないと、仕事が単なる作業になり、面白みを感じにくくなるためです。

たとえば、資料作成を依頼する際に、ページ構成やレイアウトまで細かく指示すると、確かにスムーズに進みますが、新入社員が自分で考える機会は失われます。

入社後3か月ほどまでは、アウトプットの基準を掴んでもらう目的で丁寧な指示も必要ですが、それ以降も常に細かい指示を続けると、考える力や工夫する意欲が育たず、仕事の楽しさを感じられなくなってしまいます

新入社員が主体的に考える機会を意識的に設けることで、やる気と成長意欲を引き出すことができます。


新入社員のやる気が低下する背景には、個人の内面に関わる要素が多く存在します。

これらは一見'本人の問題'のように見えますが、実際には入社初期の関わり方や環境づくりで大きく変えられる部分です。
人事や現場が早い段階から意識的に関わることで、新入社員が「やる気の出る社会人」へと成長していく土台を築くことができます。

組織側の4つの原因

やる気を低下させてしまう「組織側の4つの原因」を整理し、どのような環境づくりが必要かを見ていきます。

①社会人の自覚を促せていない

新入社員が社会人としての自覚や責任を持てていないと、やる気を持って仕事に取り組むことが難しくなります

社会人としての意識が芽生えないままでは、「仕事や組織・社会に対する甘さ」が残り、「この程度でいいだろう」という気持ちが生まれやすく、仕事をいい加減に進めてしまう傾向があります。

当然ながら、そうした姿勢では成果が出にくく、成長の機会も失われます。

上司や先輩からのポジティブフィードバックや承認の機会も減り、結果的に「やる気が下がる → 成果が出ない → 評価が下がる」という悪循環に陥ります

この状態を防ぐには、入社初期から「社会人としての自覚」を促す関わりが重要です。

②新入社員のありたい姿と今の仕事の繋がりを示していない

自分が行っている仕事が、将来のありたい姿とつながっていないと感じると、新入社員は「今の仕事に意味があるのか」と疑問を抱き、やる気を失いやすくなります

組織の都合上、希望する部署に配属できないこともありますが、その際に十分なフォローを行わないと、新入社員のモチベーションを保つことは難しく、中には「希望と違うから」と退職を選ぶケースも見られます。

理想と現実のギャップ(リアリティショック)をどう埋めるかは、今後ますます重要です。
新入社員が「今の仕事が将来の成長につながっている」と実感できるような関わりが求められます。

③新入社員との関わり方や指導の仕方を教える機会を設けていない

社員に「最近の新入社員の特徴」や「効果的な関わり方」を伝える機会がないと、新入社員の価値観や背景を理解しないまま接してしまうことになります。

結果として、何気ない言動が新入社員のやる気を削いでしまうこともあります。

中堅社員と新入社員とでは、育ってきた時代背景や環境が異なり、「常識」だと思っていることもそれぞれ違います。

それを理解しないまま育成を進めると、お互いの価値観のズレが大きくなり、関係性の構築に苦労することになります。「今年の新入社員は使えない」「上司の言っている意味がわからない」といった相互不信を招くケースもあります。

関わり方の理解とアップデートは、円滑な関係づくりの第一歩です。

参考コラム:「新入社員がやばい…」と感じ時に試すべき2つの対処法

④細かく指示を出しすぎている

「この通りにやればミスなくできる」と、細かく指示を出しすぎると、新入社員が自分で考える余白を失い、仕事が単なる作業になってしまいます。単調な作業は飽きやすく、やる気にもつながりにくいためです。

入社直後は、何もわからない状態のため、具体的な指示が必要です。
しかし、いつまでも同じような指示を続けていると、新入社員は「考えなくてもできる」ことに慣れてしまい、いざ自分で判断・行動しなければならない場面で立ち止まってしまいます

その結果、思うように成果を出せず、評価が下がり、最悪の場合、退職につながるケースもあります。

また、上司や先輩の中には、「自分のイメージ通りのものを作ってほしい」という自分の都合で細かく指示を出してしまう人もいますが、これでは新入社員の成長を促すことはできません。

新入社員のやる気を高めるためには、「正確にやらせる」ではなく、「成長させる」意図を持って指示を出すことが大切です。


新入社員のやる気が下がる背景には、本人の意識や能力だけでなく、組織の関わり方や環境設計の影響があります。
新入社員のやる気を高めるには、「個人の意識づけ」と同時に、組織としての育成環境づくりが不可欠です。

次章では、そのために企業が取り組むべき「やる気を引き出す7つの具体的な対策」について解説します。

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    2)やる気のない新入社員を変えるための7つのアプローチ

    やる気が伸び悩む新入社員を「前向きに行動できる状態」へ転換するための7つのアプローチを紹介します。

    対象は「新入社員」「上司・先輩」「組織」の3層です。

    対象 取り組み内容
    新入社員に対して 社会人としての自覚を育む研修を行う
    関係性の重要性を理解できる機会をつくる
    上司・先輩に対して オンボーディングを丁寧に実施してもらう
    関係性構築のスキルを学ぶ機会を提供する
    考える余白のある仕事の任せ方を実践してもらう
    組織として 「任せる」を前提にした育成計画を立てる
    現場の実態と理想の姿を一緒に考える場を設ける

    1. 新入社員に対して|社会人としての自覚を育む研修を行う

    社会人の自覚は、一方的に教えるのではなく対話と体験で自分事化することで根づきます。気づきの言語化により、役割・責任の受け止めが深まり、やる気の源泉(意味・意義)が形成されます。

    例えば、当社の社会人の自覚研修の中では、社会人について新入社員同士で対話を行い考えを深めていくような内容を行います。ダイアログ(対話)を通して、社会人としての大変さや、楽しさ、やりがいを探求していきます。

    ダイアログテーマ例:「組織・世の中に貢献し、自身の幸せ度を上げる」社会人とは?

    また、当社の目標達成・コスト意識研修でも、次の問いに対して新入社員同士で対話を行います。誰かから一方的に言われるのではなく、自身で考えることで、会社の売上・利益・コストへの感度を上げていきます。

    目標達成・コスト意識研修の資料より一部抜粋

    これらの問いを投げかけられることによって、新入社員は初めて自分にとっての社会人はどういう存在なのか、社会人としてどうあるべきなのかを考え、言語化し、見つけていくことができます。

    社会人としてあるべき姿が見つかると、社会人としての自覚が芽生え、自分の役割や立場を考えて行動していくことができるため、やる気の維持もしやすくなります

    2. 新入社員に対して|関係性の重要性を理解できる機会をつくる

    新入社員に関係性の重要性を理解してもらい、関係性を築くためのコミュニケーションスキルを学ぶ機会を設けると、摩擦を回避でき、やる気を守れます

    一方、世代・経験のギャップを前提に相手理解の姿勢と対話が欠けると、「相手が悪い」という短絡に陥り、モチベーション低下を招いてしまいます。

    当社の関係性構築力研修は、関係性の重要性を理解してもらうための一つとして、関係性の質の高さによって成果の質に影響が出ることを学びます
    その後、上司やトレーナー・先輩社員との具体的なコミュニケーションスキルを学び、自ら関係性を築けるようにしています

    例えば、下記のような聞き方・伝え方の型を知るだけでも、コミュニケーションはぐっとスムーズになります。

    関係性構築力研修の資料より一部抜粋

    関係性を築くための相互理解とスキル習得で関係性の質が高まると、職場に安心感が生まれ、同時に挑戦意欲も育ちます

    3. 上司・先輩に対して|オンボーディングを丁寧に実施してもらう

    受け入れ〜定着の導線(オンボーディング)を丁寧に設計すると、早期に関係性と安心感が醸成され、やる気の初動が高まります

    Feldman, D. C.(1977)の研究では、職場受容感の形成に平均2.7カ月を要することが示されており、最初の3カ月の関わりが特に重要です。

    具体的な方法として、次のようなことがあります。

    ・歓迎会
    ・毎日の1on1
    ・相互インタビュー

    それぞれ説明していきます。

    歓迎会

    新入社員を歓迎していることを明確に伝える場を設けることで、「受け入れてもらえなかったらどうしよう…」という不安を和らげることができます。

    ただし、形式的で雰囲気が悪いと逆効果になるため、普段から部署内の関係性を良くしておくことが前提です。

    毎日の1on1

    1日15分程度の短時間でも、毎日1on1を実施することで不安解消と信頼関係の構築に効果があります。

    トレーナーだけでなくチーム全体で持ち回りにすることで、新入社員は多様な視点を得られ、トレーナー側の負担も軽減できます。

    相互インタビュー

    新入社員と既存社員が互いに質問し合い、価値観や背景を理解することで関係構築を深める方法です。
    自己紹介シートの配布などよりも直接の対話が効果的で、配属初期のオンボーディングをスムーズにします。

    弊社新入社員研修を導入いただいたお客様にオンボーディング支援ツールとしてお渡ししています。

    新入社員が入社してからの最初の3カ月を特に丁寧に設計すれば、信頼と挑戦のベースが固まり、離脱・失速を防げます

    【参考コラム】オンボーディングについて、より詳しく知りたい方へ
    【実例あり】新入社員のオンボーディング計画!スムーズに進む5つの手順

    4. 上司・先輩に対して|関係性構築のスキルを学ぶ機会を提供する

    上司や先輩が「新入社員の特徴」と「関係性づくりのポイント」を学ぶことで、誤解や摩擦を防ぎ、信頼関係を築きやすくなります

    事前に特徴や適した関わり方を知っておくことで、新入社員の考え方を受け止めやすくなり、前向きな関係づくりが可能になります。

    当社の部下・後輩育成OJTトレーナー研修では、最近の新入社員の特徴を踏まえた指導のポイントを紹介しています。

    こうした情報を知るだけでも、新入社員への声かけや育成スタイルが変わり、関係性を構築しやすくなります。

     

    さらに本研修では、育成計画の立て方や、ティーチング・フィードバック・コーチングといった育成スキルも学びます。これらを身につけることで、新入社員のやる気を損なわず、成長を後押しできるようになります。 

    上司や先輩が関係性構築と育成の'型'を学ぶことは、教える側・教えられる側双方のストレスを減らし、チームの信頼とやる気を高める近道です

    5. 上司・先輩に対して|考える余白のある仕事の任せ方を実践してもらう

    新入社員のやる気を高めるためには、仕事に「自分で考える余白」を与えることが大切です。考える範囲が広がることで、主体性や成長意欲が育ちます。

    指示通りにこなすだけの仕事は、単なる作業になりやすく、工夫や改善の意識が生まれにくくなります。

    一方で、自分の判断や工夫が求められる場面があると、「どうすればより良くできるか」を考える力が育ち、仕事の面白さや責任感も感じやすくなります

    たとえば接客の場面で、話す内容をすべてマニュアル化すると、新入社員が自分で考える機会が失われます。一方で、伝える方向性だけ共有し、言葉選びは本人に任せると、自然と考える力が身につきます。

    また資料作成を依頼する際も、方向性や参考資料だけ渡し、「3時間後に一度確認しよう」「概要ができたら見せて」などと段階的にチェックすると、安心感を保ちながら自律的な進行が促せます。

    新入社員が最終的に一人で仕事を進められるようにするには、考える余白を少しずつ広げていくことが不可欠です。「正確にやらせる」から「考えさせて育てる」への意識転換が、主体的に動ける人材を育てます

    6. 組織として|「任せる」を前提にした育成計画を立てる

    入社初期から「任せる」前提の育成計画を設けると、主体性と社会人としての自覚が早期に育ち、やる気の土台ができます

    2年目以降は自走が求められるためです。いつまでも丁寧な指示の'延長'ではなく、自走を促すことで社会人としての適切な緊張感や責任感を促せます。

    計画段階から「任せる→見守る→必要時にフォロー」を前提にした段階設計にしておくことが必要です。

    例:5月配属の広告代理店・新入社員育成計画(OJTで意識するポイント)

    OJTで意識するポイント
    4月
    5月 具体的で丁寧に説明して仕事を依頼
    6月 新入社員に考えさせる余白を持たせて仕事を依頼
    7-9月 まず任せてみる
    ただしフォローできる体制は準備しておく
    10-12月 まず任せて、新入社員からの相談によって、アップデートさせていく
    1-3月 新入社員が主導になってOJTトレーナーを巻き込み仕事を進めていく

    「任せる→見守る→必要時にフォロー」のサイクルを計画化することで、新入社員を早期の段階で、自覚と自走を促せます

    育成計画表のサンプルを以下よりダウンロードしていただけます。

    7. 組織として|現場の実態と理想の姿を一緒に考える場を設ける

    希望の部署に配属されなかった新入社員には、今の経験が将来のキャリアにつながることを一緒に考える対話が重要です。自分の「ありたい姿」と今の仕事の意味を結びつけられると、やる気が大きく高まります

    例えば、商品開発を希望して入社した新入社員が営業に配属された場合、当初は「夢から遠ざかった」と感じるかもしれません。しかし、営業経験を通じて「顧客がどんな商品を求めているか」「何が売れるのか」を理解することで、将来、ヒット商品を生み出すための重要な視点を得ることができます。

    アーティエンスの自己成長と仕事をつなぐ研修では、今活躍している先輩社員の「これまでの道のり」を振り返り、成功は一夜で築かれないことを学ぶプログラムを行います。

    「希望の部署に配属されなかった先輩たちも最初は同じように迷い、壁を越えてきた」という実感を持つことで、今の自分の経験にも価値があると気づき、仕事に前向きな意識が芽生えます。

    また、キャリア理論の一つである計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)では、成功したビジネスパーソンのキャリアの約8割が、予期せぬ出来事から生まれているといわれています。

    偶然の機会を前向きに活かし、意図的に行動することでキャリアは形づくられていく、という考え方を共有することも、今の経験を肯定的に捉えるきっかけになります。

    新入社員と一緒に「今の仕事がどう未来につながるか」を対話を通じて探ることで、仕事の意義が見つかり、モチベーションの向上につながります


    新入社員のやる気は、本人の資質ではなく「環境設計と関わり方」で大きく変わります。
    これらを一貫した仕組みとして実行することで、やる気は持続可能な成長へと転化します。

    3)やる気がない新入社員に対応するときの注意点

    やる気を出させようとして逆効果になりやすい3つの対応と、その注意点を紹介します。

    やる気を求めたり、意欲の低さを叱責しない

    やる気の低い新入社員に対しては、叱責したり「やる気を出せ」と求めたりするのではなく、原因を見極めて対応することが大切です。

    やる気がない状態は、本人の性格や怠慢ではなく、何らかの要因(環境・人間関係・役割の不明確さなど)に対する反応として表れていることが多いからです。原因に目を向けず反応だけを叱っても、状況は改善しません

    例えば、「最近やる気が感じられない」と注意するだけでは、新入社員は防御的になり、さらに意欲を失ってしまいます。
    一方で、「何か困っていることがある?」「どんなときに力を発揮しやすい?」といった問いかけを行えば、本人の課題や不安を一緒に整理でき、前向きな行動につながりやすくなります。

    やる気の低下は「叱るべき問題」ではなく「解決すべきサイン」です。表面的な態度に反応せず、背景にある要因を丁寧に見立て、支援的に関わることが、長期的なモチベーション回復につながります。

    脅しで動かそうとしない

    新入社員を「脅し」で動かそうとすることは、短期的な効果があっても、長期的にはやる気と信頼を失わせる逆効果な関わり方です。

    脅すという行為は、相手に恐怖心を与えて反抗できないようにするためのものです。恐怖によって一時的に行動を変えることはできても、内発的な意欲や成長意識は育ちません。むしろ心が疲弊し、メンタルヘルスの不調や離職につながるリスクを高めます。

    たとえば、「これができなかったらチームの足を引っ張るぞ」「次もミスしたら終わりだな」といった言葉は、冗談めかしていても受け手には脅しとして伝わることがあります。
    こうした言葉を繰り返し聞くうちに、「自分はこの会社に必要とされていない」「失敗したら終わりだ」と感じ、やる気どころか安心して働く意欲すら失ってしまうことがあります。

    恐怖で人を動かすのではなく、信頼と期待で人を育てる姿勢が重要です。冗談のつもりでも脅しと受け取られる発言は避け、安心して挑戦できる関係性づくりを心がけましょう。

    行動を強制しない

    新入社員に行動を強制することは、やる気を高める手段として適切ではありません。目的に合わない強制は、形だけの従属を生み、主体性を損ないます。
    意味を伴わない行動は再現性が低く、長期的な成長や自走につながりません

    たとえば、朝礼で「気合いを入れるために全員で大声を出す」ことを義務づけても、短期的に'やっている感'は出ますが、仕事の理解・工夫・責任感には直結しません。

    1990年代には研修でこうした手法が見られましたが、効果が乏しいことが分かり、現在はほとんど行われていません。自分たちの時代に慣行だったからといって、今の新入社員にも有効とは限らないのです。

    「声を大きく」などの目的不在の強制ではなく、行動の狙い(何のためか)を共有し、本人が自分のやり方で貢献できる余地を設計しましょう。意味づけ×自律性が、継続するやる気と成果につながります。

    新入社員育成の歴史とこれから求められる新入社員育成について知りたい方は、下記フォームに入力していただくと、資料をダウンロードしていただけます。 ※ 資料の一部

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      新入社員のやる気を引き出すには、「叱る」「脅す」「強制する」といった外的な圧力ではなく、安心して考え・行動できる環境と関係性が欠かせません。
      やる気の低下は'怠け'ではなく'サイン'です。背景にある原因を探り、信頼と期待をベースに関わることで、本人の内側から「やってみよう」という意欲が生まれます。

      短期的な行動変化を求めるのではなく、長期的に自ら動ける人材を育てる関わり方を意識しましょう

      4)まとめ

      本コラムでは、新入社員のやる気が出ない原因と、組織として取るべき具体策、そして避けるべきNG対応を整理しました。

      ポイントは、やる気を'個人の資質'に帰さず、環境設計と関わり方で変えられるものとして捉えることです。

      新入社員の中には、社会人になることに対して後ろ向きな気持ちを抱えている方もいます。
      そのままの状態では、やる気が出ず、成長の機会を逃し、やがて「自分はこの会社に合わない」と感じて離職を考えてしまう――そんな悪循環に陥る可能性があります。

      そうならないためにも、組織からの支援が欠かせません。

      アーティエンスの新入社員研修は、自分の内側から意欲が湧き出す'インサイドアウト'の設計を重視しています。

      その結果、新入社員は研修の内容を自分ごととして受け止め、学びを深めながら行動へとつなげていけるようになります。

      当社では、時代にあった新入社員研修を実施しておりますので、より詳しく知りたい方は、お気軽にお問合せください。

      新入社員の「やる気が出ない理由」を理解し、正しいアプローチを取ることで、自組織でできる支援の方向性が見えてきます。
      取り組めることを少しずつでも実践し、新入社員一人ひとりの成長と未来に期待できる組織へと近づけていきましょう。

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