コラム

管理職に必要な4つのコミュニケーションを身に付ける
~社内の上下左右と、社外の視点~

会議をしている4人の男女

2022/11/8作成ー

「管理職に必要なコミュニケーションとは、何だろう?」と調べていて、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。

管理職をされている方でしたら、

・部下が何を考えているか分からない。どうやってコミュニケーションを取ればいいのか。
・経営陣・事業責任者は、現場を見ていない。現場の状況をどうやって伝えたらいいのか。
・他部門との会議で、お互い部分最適になってしまう。全体最適を考えたコミュニケーションが取りたい。

経営者・人事の方でしたら、

・管理職のコミュニケーションが原因で、メンバーのエンゲージメントが下がり、離職率が上がっている
・管理職が、マネージャーではなくメッセンジャーになっていて、現場の士気が下がる
・部門間の連携が弱い。会議以外でコミュニケーションを取っている姿が見れない

などの問題意識を、管理職の方からも、経営者・人事の方からもよくお聞きします。
管理職のコミュニケーション力に問題意識を持った企業の事例を始めにお伝えさせていただきます。

Web系企業の経営者と管理職の合同研修のワンシーンです。
経営者が管理職に謝罪する場面がありました。

普段は、謝罪など絶対する方ではなかったそうなので、管理職のみなさんはもちろん他の経営者もとても驚いていました。この発言をきっかけに管理職や経営者から本音が出始め、深い対話をしていきました。そして、研修終了後にいくつかサービスが立ち上がり、業績が回復していったという話を聞いています。

実は、経営者が謝罪する前に、一人の管理職から質問があり、その質問を踏まえて、経営者が謝罪したという場面でした。

「経営陣は、新しいサービスを創ることに対して、諦めたのか?」 このシンプルな問い一つのコミュニケーションで、場が変わっていきました。

管理職のコミュニケーションで、経営者も、部下も、管理職同士の関係も変わっていきます。
管理職は、経営者、チーム・部下、他部門、社外の関係者(顧客・外部パートナー)とコミュニケーションが多岐にわたり、とても影響力が高いです。

本コラムを読んでいただき、管理職に求められるコミュニケーションを知り、管理職が高めるべきコミュニケーションスキルと絶対に行ってはいけないコミュニケーションを知っていただきたいと思います。

最後までお読みいただくと、管理職をされている方は自身にとってコミュニケーションスキルを向上させるための内容が分かりますし、経営者・人事の方は管理職のコミュニケーションスキル向上のための支援のヒントになるでしょう。

1)管理職にとって、求められるコミュニケーションとは

管理職に求められるコミュニケーションとは、「上下左右+社外」のコミュニケーションです。
具体的には、下記のコミュニケーションです。

①上司・経営陣とのコミュニケーション
②部下・チーム内のコミュニケーション
③部門間のコミュニケーション
④社外(顧客・外部パートナー)とのコミュニケーション

それぞれ説明していきます。

①上司・経営陣とのコミュニケーション

管理職に求められるコミュニケーションとして、上司・経営陣とのコミュニケーションがあります。
※ ここでの上司とは、事業責任者レベルを指します。

一言で言うと、下記のコミュニケーションになります。

・会社の戦略や方針を経営者の考えや想いなども理解した上で、必要に応じて現場の状況報告・提言をしていくコミュニケーション

例えば、当社のお客様であるベンチャー企業の事例をお伝えいたします。
コロナ禍になり、SNSを利用したマーケティング活動を行うことを会社の方針にしていくという判断をしました。ただし、SNSの担当者がいるわけでもなく、現場のリソースはない状態です。

その時に、ある管理職が、SNSマーケティングのインパクトの大きさも理解していることを伝えながらも、その前提でリスクなどに関しては、どう考えているかについて質問をしていきました。

その管理職の問いを中心に、

・自身の仕事で手いっぱいで、コミットできるメンバーがいない
・Webコンサルティング会社とコミュニケーションを取れるだけのメンバーもいない
・一度始めたら、撤退は難しい
・本当に品質が高いものが提供できるのか?リスクが大きいのではないか

という話が出てきました。

その内容を受け、経営者はSNSマーケティングを一旦延期し、今より必要なことに対してリソースを割く判断をしたそうです。

現場の状況とあまりにかけ離れていた場合は、上司・経営者に提言することも必要になってきます。現場の正確な情報を伝えなければ、経営者は状況に適応した戦略や方針を立てることができません。そのため、上司・経営者に嫌な顔をされたとしても、耳が痛いことを伝える必要があります。

この時に忘れてはいけないことは、「経営者の考えや想いなども理解した上」で提言するということです。

②部下・チーム内のコミュニケーション

管理職に求められるコミュニケーションとして、部下・チーム内のコミュニケーションがあります。一言で言うと、下記のコミュニケーションになります。

・会社の戦略や方針を咀嚼した上で伝え、現場のメンバーの目標達成へのコミットの醸成と目標達成のための支援を行い、さらにチームが成長するためのコミュニケーション

例えば筆者の前職の話ですが、素晴らしいなと思った管理職の同僚は、会社の戦略や方針と自チームの目標がどのようにつながり、この目標を達成すると、未来に何が起きるのかまで伝えていました。さらに、メンバーへ支援をしながらも、メンバーの結果と行動を会議で必ず振り返り、チームのナレッジとして積み上げていた方がいました。

ただ戦略や方針を伝えるだけでは、メンバーのコミット力を高めることはできません。さらに伝えるだけではなく、目標達成のための支援(短期成果)とメンバーとチームの成長(中長期成長)にアプローチするコミュニケーションを取っていく必要があります。

③部門間のコミュニケーション

管理職に求められるコミュニケーションとして、部門間のコミュニケーションがあります。一言で言うと、下記のコミュニケーションになります。

・会社の全体最適を考えた上で、各部門の部分最適を統合し、win-winの状況を創るコミュニケーション

「部下・チーム内のコミュニケーション」で例に挙げた管理職の同僚の話になりますが、彼は部門間のコミュニケーションも素晴らしかったです。

開発部に所属していた彼は、営業部から無理難題な納期で開発依頼などがありました。
もちろん顧客に迷惑をかけるようなものは断っていましたが、営業部のマネージャーと話をして、今まであった開発部の依頼のルールをアップデートし、さらに営業会議に対して開発メンバーの参加や、営業同行なども積極的に行っていくようにしました。

営業から無理な依頼が無くなり、また開発のメンバーと営業メンバーの敵対関係も無くなり、協力関係になっていきました。

このように、「会社として何を達成することが重要なのか?」を第一優先に考えます。
ただし部門間の対立関係が起きたときに、お互いの利害を把握し、統合していくコミュニケーションが必要になります。

④社外(顧客・外部パートナー)とのコミュニケーション

管理職に求められるコミュニケーションとして、社外(顧客・外部パートナー)とのコミュニケーションがあります。一言で言うと、下記のコミュニケーションになります。

・共にビジョン・目的・目標を達成する仲間として、協力体制を最大化するコミュニケーション

今回の事例も、「部下・チーム内のコミュニケーション」と先ほどの管理職の同僚の話ですが、顧客に対しても、外部パートナーに対しても誠実でフラットな方でした。

顧客2名、外部パートナー2名、自身とメンバー2名の7名の会議があったときの話です。
ミーティングでは、いつもであれば顧客側は担当者一人ですが、突然責任者である上司も出席し、要件定義から外れるオーダーをしました。正直、外部パートナーと自組織にとって、とても困るリクエストです。

この時に、「何とか受けようとする」や、「ただ断る」という選択はせず、リクエストをされた上司を中心に、背景などを聴いていきました。そして、最終的には「目的・目標」を達成するためにはどうしたらいいかという話になり、大きな要件定義の変更もなく、お互いの協力体制が強くなったということがありました。

このように、中の人や外の人と、区別するのではなく、共にビジョン・目的・目標を達成する仲間であり、そのために自分たちの力を最大限発揮するためには、どうしたら素晴らしい協力体制が取れるかを考えて取るコミュニケーションが必要です。

それでは、このようなコミュニケーションを取るためには、どのようなコミュニケーション力を高めるべきかを、2章で説明していきたいと思います。

2)管理職が高めるべきコミュニケーションスキルとは

管理職が高めるべきコミュニケーションスキルとは、対話力です。

管理職に求められる「上下左右+社外」のコミュニケーションですが、どうしても対立関係や衝突が生まれます。この時に議論だけに頼ると、勝者・敗者ができ遺恨を残したり、部分最適になることも多くあります。また表面的な会話だけで終わらせようとすると、当たり障りのない意思決定や、時には力のある人が一方的に決める意思決定になるでしょう。

アパルトヘイトを解放に導いた一人である世界的に著名なファシリテーターのアダムカヘン氏は、4つの会話があると説いています。
下記の図は、当社がアダムカヘン氏の提唱する考えをもとに、表現方法などを変えて分かりやすくした図です。  アダムカヘン氏  ※ 当社、社内ファシリテーター育成コースより抜粋

会議などで多いのは、礼儀的な会話や論争です。ここを乗り越えるためのコミュニケーション力として、管理職には対話力が求められます。対話力を向上させれば、管理職が求められるコミュニケーションへの対応は可能になるでしょう。対話力は、普段のコミュニケーションから、会議、1on1、商談などさまざまな場面で活用が可能です。

【参考】対話力を上げるためには 一つの方法として、ファシリテーションスキルを身に付けていくとよいでしょう。
下記コラムは、具体的に会議体でどのように管理職がファシリテーションを扱うかを書いている記事になるので、ぜひ参考にしてください。 会議の質を上げるには、管理職のファシリテーション力が肝! ~会議を起点に、組織変革を進める~

3)管理職が絶対に行ってはいけないコミュニケーション

管理職が絶対に行ってはいけないコミュニケーションには、下記3つがあります。

①上司・経営者の正解を探す
②自身の認知の正しさを証明する
③自部門のメリットに拘る

それぞれ説明していきます。

①上司・経営者の正解を探す

上司・経営者の正解を探してはいけない理由は、2点あります。

1点目は、上司・経営者が必ずしも正しい答えを持っていないということです。
特に、VUCAと言われる世界では、今日の正解が明日の不正解になっている可能性があります。

例えば、当社のお客様であるメーカー様の事例ですが、経営者の判断で数億円もする大型な機械を入れることになりました。最近のトレンドで必要だという判断で行いましたが、使い道などは不透明での導入でした。新しいビジネスで使えるだろうという程度での導入です。誰も経営者を止めることをせず、その機械をどう使ったらいいか、現場の管理職が今も考えているそうです。信じられないような事例ですが、経営陣の判断のみに頼ると、このようなことも起きるのです。

2点目は、上司や経営者の正解以上の結果が出ないということです。
そして多くの場合は、期待未満になることが多いです。

例えば、当社のお客様であるWebコンテンツを作っている企業様の事例ですが、管理職が想いを持って創った新サービスの企画案に対して、何度もダメ出しをしました。1回目の提案では、自身が考えるフォーマットに落として作り直しを依頼し、2回目になって新しい要件を伝えて、3回目になってさらに新しい要件を伝えて、最終的によくわからない企画になりました。もちろん、まったく結果も出なかったそうです。

管理職は、事業・組織の発展のために、経営者と現場をつなぐ存在です。
経営者の正解を探すのではなく、上司・経営者・現場と共に、時代に適応する正解を創っていく必要があります。そのため、上司や経営者の正解を探すのは止めたほうがいいのです。アダムカヘン氏の言う礼儀的会話が、これに当てはまります。

②自身の認知の正しさを証明する

「自身の認知の正しさを証明する」に関しては、自身の正しさを証明したところで、素晴らしい結果が出ないことが多いためです。

例えば、「1)管理職にとって、求められるコミュニケーションとは?」の「①上司・経営陣とのコミュニケーション」のSNSのマーケティングで、管理職の方が、SNSマーケティングが良くないことを強く力説すると、経営者はむきになって施策を実行したかもしれませんし、遺恨も残ったかもしれません。

このように自分の認知をもとに、正論で言い負かしたとしても、何もいい結果は出ません。相手との関係性やコミット力が下がるケースが多いです。またそれが正しいとは限らないため、誤った判断になるかもしれません。アダムカヘン氏の言う論争が、これに当てはまります。

③自部門のメリットに拘る

「自部門のメリットに拘る」に関しては、部分最適に陥ってしまい、自組織の発展のブレーキになってしまいます。

例えば、「1)管理職にとって、求められるコミュニケーションとは?」の「③部門間のコミュニケーション」の営業と開発との関係ですが、ここで開発部のマネージャーが、ルールに沿った案件しか受けないとなった場合は、営業の活動に制限がかかり、売上にも影響が出てくるでしょう。

自身や自チームのことばかり考えると、組織としての成長も発展性もありません。
アダムカヘン氏の言う論争が、これに当てはまります。

本章で説明してきたとおり、管理職が絶対に行ってはいけないコミュニケーションは、

①上司・経営者の正解を探す
②自身の認知の正しさを証明する
③自部門のメリットに拘る

になります。

4)まとめ

管理職に求められるコミュニケーションとは、「上下左右+社外」のコミュニケーションです。

①上司・経営陣とのコミュニケーション
②部下・チーム内のコミュニケーション
③部門間のコミュニケーション
④社外(顧客・外部パートナー)とのコミュニケーション

これらの管理職に求められるコミュニケーションを高めていくには、対話力の向上が必須です。対話力を高めるとともに、管理職が絶対に行ってはいけないコミュニケーションとして、下記3点があげられます。

①上司・経営者の正解を探す
②自身の認知の正しさを証明する
③自部門のメリットに拘る

最後に蛇足ですが、途中でご紹介した前職の管理職の同僚は、次世代リーダー候補として、抜擢されているそうです。もちろん他にも管理職としての役割を全うし、能力もある方ですが、管理職に求められるコミュニケーションを大切に扱っており、対話をとても大切にしていました。

管理職が、管理職のコミュニケーションに悩んでいたり、困っていた際に、本コラムが少しでもお役に立てればとても嬉しく思います。

経営者・人事の方で、管理職のコミュニケーションスキルにお困りの場合は、ぜひ当社までお問い合わせいただければ幸いです。