新入社員を伸ばす上司の教え方とは?即戦力として活躍してもらうためのポイント

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「いよいよ来週から新入社員が配属。どのように仕事を教えるのが良いのだろう?」
「新人に仕事を教えているけど覚えが悪い。もっと効果的に教えるにはどうすれば…」

新入社員育成に取り組む上司やトレーナーの方々から、よくお聞きするお悩みです。

入社したばかりの新入社員は、仕事についてほとんど何も知りません。そのため、上司やトレーナーなどの周囲の人が仕事を教え、1日も早くパフォーマンスを上げられる人材に育て上げていく必要があります。

ただ多くの場合、「自分の仕事を人に教えること」を体系的に学ぶ経験は少ないため、他者へ教えることに苦手意識を持っている方も少なくありません。

そこで、本記事では、新入社員が1日でも早くパフォーマンスを発揮していくために意識したい、たった一つのポイントと、具体的な教え方を解説していきます。

ぜひこの記事を読んで、新入社員への教え方を理解し、新入社員の早期活躍を支援していきましょう。

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    監修者プロフィール

    迫間 智彦

    X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
    大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

    1)新入社員への教え方で意識すべきは「自律自走」への支援

    新入社員への教え方において意識したいたった一つのポイント、それは「新入社員の自律自走を促していくこと」です
    新入社員が1日でも早くパフォーマンスを発揮していくためには、できる限り早期に、独り立ちをしてもらう必要があります。上司やトレーナーのフォローの下、仕事を進めていると、パフォーマンスの発揮に限界があるためです。

    ・いつまでも上司・トレーナーの指示のもと、受け身で言われたことしかしない新入社員
    ・自分で考えて、上司・トレーナーに自ら確認して、仕事を進める新入社員

    どちらがパフォーマンスが高いかは一目瞭然でしょう。
    ただ単に業務を教えるのではなく、新入社員が自律自走していけるような教え方が必要です。

    参考:新入社員の独り立ちをサポート!組織としてできる4つの観点と11の施策

    2)自律自走を促す教え方のポイントを内容別に解説

    新入社員の自律自走を促すための教え方のポイントを内容別にお伝えします。

    ①一般的なビジネススキルや専門スキルを教える場合

    ビジネススキル・専門スキルを教えるときの新入社員の自律自走を促す教え方は、2つのポイントがあります。

    ・育成計画を立てて目標を細分化することで、成功体験を積み成長実感を持てる
    ・マニュアルを用意し、「手本・実践・内省・フィードバック」で次につなげる

    小さい目標を達成していくことで成功体験を与え、自信とモチベーションを与えることが、自律自走を促すことに繋がります

    2つのポイントを具体的にお伝えします。

    育成計画を立てて目標を細分化することで、成功体験を積み成長実感を持てる

    新入社員が自律的に行動できるようにするには、育成計画を立て、目標を細かく設定することが重要です。目標を小さく区切ることで、成功体験を積み重ね、成長を実感しやすくなります。成功の実感が得られると自信がつき、少し難しい課題にも積極的に取り組めるようになります。

    具体的には、育成計画を立てて、育成計画の目標に乗っ取って、フィードバックを行います
    育成計画は始めのうちは1週間や1か月ごとまで細分化して考えましょう。
    育成計画のイメージは、下記になります。

    【参考】営業チームの新入社員向け 1か月の育成計画例

    ※ 当社「育成担当者・OJTトレーナー研修」テキストの一部

    もし1年後こうなっていて欲しいという大きな目標しかないと、新入社員はそのためにどのようなステップを踏んでいけばいいのかが分かりません。また、いきなり大きな目標を提示されても、入社してすぐの新入社員には乗り越えられる気がせず、自分には無理かも知れないとモチベーションが下がってしまうこともあります。

    そのため、頑張ったらできるかもしれないと新入社員が思えるような小さくて具体的な目標を立てて、クリアしていくことで、成功体験を感じてもらえるようにします。

    成功体験を積み重ねることで、新入社員が自らチャレンジするサイクルが生まれ、これが自律的な行動を促す鍵となります。

    【関連記事】新入社員の育成計画をつくる5ステップ

    マニュアルを用意し、「手本・実践・内省・フィードバック」で次につなげる

    新入社員の自律自走を促すための教え方として、マニュアルを用意することが重要です。
    マニュアルを渡すことで、何度も振り返りを行うことができるためです。マニュアルをもとに、下記のように進めていきます。

    ①トレーナー(指導者)が新入社員の前で手本を見せる
    ②新入社員がマニュアルを見ながら、実践する
    ③新入社員にマニュアルを活用して実践してみて、感想(トレーナーとの違いなど)・疑問・質問を考えさせる
    ④感想(トレーナーとの違いなど)・疑問・質問に対してフィードバックを行う

    まずトレーナーの手本を見ることで、新入社員はこれから行うことをイメージします。次に新入社員がマニュアルを見ながら実践します。そこでの気づきを言語化したり不明点を質問し、トレーナーからフィードバックすることで理解を深めます。

    人は理解したと思っていても、実践してみないと分からないことがあるため、トレーナーが側にいるときに実践することが大切です。
    実際に新入社員研修で、受講生が報連相で何をどのように伝えればいいを学び、その後ワークで実際に学んだことを活かして実践してもらいましたが、多くの方が難しさを感じていました。研修終了後のアンケートにも、「分かったとできることは違うことを感じた」というコメントが多く寄せられました。

    一度体験をすると記憶に残りやすくもなるため、結果的に仕事を覚えるスピードが上がり、自律自走を促すことに繋がります。

    ②社会人・組織人としてのマインド・立ち振る舞いを教える場合

    社会人・組織人としてのマインドや立ち振る舞いを教える際は、次の2点がポイントです。

    ・心理的安全性な場を提供し、ワクワク感と健全な危機意識を持たせる
    ・自身のありたい姿とのギャップを埋める

    心理的安全性な場を提供し、ワクワク感と健全な危機意識を持たせる

    新入社員の心理的安全性を確保した職場環境で、「ワクワク感」と「健全な危機意識」の両方を持ってもらえる教え方が重要です。

    それらの感覚を持って仕事を積み重ねることで、仕事に自信を持てるようになったり、仕事に対する向き合い方が変化し、自ら成長していく自律自走する新入社員になっていきます。その土台となる心理的安全性のある職場環境は、関係性によってつくられるため、普段から新入社員と良い関係を築いておくことが必要です。

    【参考】
    心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だというチームメンバーに共有される信念のこと。以下は「心理的安全性」に関する参考コラムです。

    心理的安全性研修のゴールは何?|企画から実施方法まで詳しく解説!

    心理的安全性の場で、仕事に対するワクワク感と健全な危機意識を持てると、新しいことに積極的に取り組み、困難なことを乗り越える経験ができます。すると仕事への意識も変化し、仕事をやる意味が見出され、自律自走する新入社員に育っていきます。

    【関連記事】心理的安全性研修のゴールは何?|企画・実施時のポイントを解説

    自身のありたい姿とのギャップを埋める

    新入社員の自律自走を促すために、「自身のありたい姿」と「現実」のギャップを新入社員に意識してもらいながら教えることが重要です。

    新入社員がありたい姿に近づけていると感じることができると、自主的にありたい姿に近づこうとするため、結果的に自律自走できる状態になります自身のありたい姿(ビジョン)と現実のギャップを埋めるために行動することをクリエイティブテンションと言い、自らの力を最大限に発揮できる状態になります。

    【参考】
    クリエイティブテンションとは、現実と理想のギャップを埋めるために努力し、理想に近づいていけるようにする考え方で、マサチューセッツ(MIT)工科大学のピーター・M・センゲ教授により提唱されました。

    ビジョンの力を利用して緊張感を持ちながらも現実を見るメージとして、ゴムひもを引っ張っているイメージが良く使われます。 クリエイティブテンション
    「ビジョンの力をうまく利活用して緊張感を維持することによって(中略)高い想像性を生み出すことができます。現実にばかり引っ張られたり、現実から逃げようとしたりしていては、よいパフォーマンスは得られません。ビジョンによって方向づけされた、良質で適度な緊張が、自らの力を最大限に発揮してくれるといってよいでしょう。」
    【引用】小田理一郎『「学習する組織」入門』(英治出版)

    例えば、ありたい姿として、A先輩みたいに仕事をできるようになりたいと考えている新入社員がいるとします。その場合、A先輩の具体的にどんなところに憧れているのかを細かく分解していき、自分の目標(ありたい姿)として言語化するところから始めます。

    ありたい姿が言語化出来たら、その姿になるまでのゴール期間と、ありたい姿に近づくためのステップをつくります。このステップは、新入社員が頑張ったら達成できると思えるレベルに設定しておくと、モチベーションを保ちながらクリアしていけます。ステップが設定出来たら、新入社員が自身でステップをクリアしていくために努力しやすくなるため、自律自走できる状態になります。

    ただ、この時に注意すべきことが2点あります。
    1点目は、ステップの設定までは上司やトレーナーと共に考えてもらうことです。新入社員は仕事の見えている幅が狭いため、上司やトレーナーの俯瞰的な視点を持って、ありたい姿に近づくために設定しましょう。

    2点目は、ステップを設定した後、新入社員を放置せず、定期的に状況を確認する機会を設けることです。ステップをクリアしていく中で悩みが出てくることもあるため、定期的に面談や1on1などの機会を用意して状況を確認し、フォローする必要があります。

    参考:新入社員の放置は今すぐ止めるべき!その理由と対処方法5選

    このように自身のありたい姿とのギャップを埋めることを意識した教え方をすると、新入社員がありたい姿に近づけていると感じ、モチベーションが高まるため、結果的に自立自走できる新入社員になっていきます

    3)新入社員への教え方で心掛けたい4つのポイント

    新入社員の自律自走を促すために、心掛けたい4つのポイントがあります。

    ①今の新入社員の傾向や価値観をふまえた教え方であること
    ②パワハラ・セクハラと受け取られない教え方であること
    ③組織が一体感を持って新入社員を育てること
    ④教え方を実践してできるようになること

    ①今の新入社員の傾向や価値観をふまえた教え方であること

    今の新入社員の傾向や価値観をふまえた教え方をしましょう。時代と共に新入社員の傾向や価値観も変わります。「自分が新人の時は、こう教えられたから」という考えだけでは、適切に指導できない場合もあります。

    最近の新入社員の特徴として、次の3つが挙げられます。

    ※当社新入社員研修資料より一部抜粋

    このような特徴を持っていることから、次のことを意識して教えることが大切です。

    ・べき論で教えるのではなく、新入社員に問いを投げかけて一緒に考えていく教え方
    ・「ありたい」という内側からの変容を促したうえで、規範やルールなどを伝える教え方
    ・出来事の背景を確認した上でフィードバックする教え方

    「こうすべき」や「一般的に…」と教えられても、「なぜ?」という疑問が生まれ、納得感のある説明が返ってこないと教えを受け取ってもらえません。これは多様性を認めていこうという環境下で育ってきたことや、SNSなどを通じて、色んな人がいることを知っていることが影響していると考えられます。

    そのため、例えば、「営業で受注確率を上げるためにこうすべき」という伝え方ではなく、「営業で受注確率を上げるためにはどうしたらいいと思う?」と問いを投げかけて、対話をしながら一緒に答えを探していく方法が良いでしょう。すると、人から言われたことではなく新入社員の意見を踏まえたことを実行することになるため、納得感を持って進められます。

    また、フィードバックも、最近の新入社員が受け止められるような教え方をすることが求められています。最近の新入社員はネガティブフィードバックに苦手意識を持っており、またポジティブフィードバックも素直に受け取れず謙遜してしまう方が増えているためです。

    最近の新入社員の学生時代は、「みんな平等、個性を大事にという考え方」により褒められたり注意される機会、ネガティブフィードバックを受ける機会が少なかったことが原因として考えられます。そのため、上司や先輩は自分の結論だけを伝えるのではなく、背景を確認し、共に考えながらフィードバックすることを意識しましょう

    例えば、お客さんに間違った資料をメールで送付してしまった新入社員がいたとします。その時に、感情的な怒りの気持ちは一旦抑えて、「お客さんに間違った資料を送ってしまっていたよね。何でこういうことが起きてしまったのか原因を教えてもらえる?」と質問します。

    そして、新入社員が答えたことを受けて、「なるほど、そうだったんだね。そしたら、次に同じことが起きないようにするためにできることはある?」と問います。新入社員から返ってきた答えで問題無さそうであれば、なぜこのミスがいけないのかという理由を教え、次からその手順で行ってもらうように伝えて終了です。

    新入社員の意見を聞き、同じミスを繰り返しそうだと判断したら、「今の改善策を聞いてみて、私だったらこのタイミングでまたミスをしてしまいそうに思ったんだけど、○○さんはどう思う?」など質問を繰り返して、一緒に改善策を考えていきましょう

    最近の新入社員の特性に合わせて教えるためには、継続的な対話が必要です。教えることは時間が掛かりますが、一つ一つのことを丁寧に行うことで、少しずつ成長が見られるようになります。新入社員の傾向や価値観を意識した教え方にしましょう。

    ②パワハラ・セクハラと受け取られない教え方であること

    パワハラやセクハラが大きな問題とされており、比較的訴えやすくなっている状況のため、言動・行動に注意しましょう。この問題に関しては、明確な線引きがあるわけではなく、上司やトレーナーは意図していなくても、新入社員から見て、パワハラやセクハラに感じてしまったら、問題となってしまうため十分に注意が必要です。

    パワハラの事例では次のようなものも含まれています。

    【上司が送ったメールの内容が侮辱的言辞として、損害賠償請求が認められた事案】

    結論: 本件メールの表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くものであって、不法行為を構成する、とした上で、送信の目的、表現方法、送信範囲等を総合すると、賠償金額としては、5万円が相当と判断した。

    事案の概要: Xは、A社のBサービスセンター(SC)で勤務するところ、その上司である、Yが、Xに対し「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います」などと記載された電子メールを、Xとその職場の同僚に送信した。Xはこのメール送信が、不法行為に当たるとして、損害賠償を求め、訴えを提起した。

    引用:【第56回】 上司が送ったメールの内容が侮辱的言辞として、損害賠償請求が認められた事案

    この事例のように上司から部下に対するメールが、不法行為として損害賠償が認められる場合があります。

    上司やトレーナーからすると、悪気なく、教育としての発言だったとしても、受け取る新入社員によっては、ひどく傷つけられたと感じることもある、ということです。そのことを十分に理解し、柔らかい言葉や口調を意識して教えるようにしましょう。

    ③組織が一体感を持って新入社員を育てること

    新入社員の育成方針を言語化し、育成計画や内容をオープンにして、組織全体で育成する意識を持ちましょう。育成の方向性を合わせることが可能になり、上司やトレーナーだけに負荷がかかる状態を解消できるためです。

    具体的には、新入社員の育成方針を、誰が読んでも同じ理解ができる程度まで明確にして、新入社員に関わる社員(時には全社員)に共有すると良いでしょう。会社全体で新入社員を育成する文化が創られると、新入社員は誰にでも相談しやすくなり、会社に受け入れてもらえている感覚も強く感じられるでしょう。

    新入社員は右も左もわからず毎日不安を感じながら仕事を行っています。その不安を会社全体で包み込み、新入社員がいつでも助けてもらえると感じられると安心して仕事に取り組むことができるようになるため、結果的に自律自走を促す新入社員になっていきます。

    ④教え方を実践してできるようになること

    理解しただけでなく、実践できるようになることが大切です。ここまでお伝えした内容で、教え方について理解できたものの、すぐに実践できるかと聞かれると難しさを感じるのではないでしょうか。

    教え方は理解できたからと言ってすぐに実践できるわけではないため、練習の場を設けましょう。練習方法としては、教え方のロールプレイングがおすすめです。

    ロールプレイングの注意としては、教えられる方が新入社員になりきることが重要です。新入社員が知っているであろう知識量や言動を想像してなりきらないと、ロールプレイングを行っても適切な教え方に対する学びが得られなくなってしまうためです。

    アーティエンスのOJTトレーナー研修では、教え方のスキルのインプットはもちろん、研修の場でリアルな場面を想像しながら実践してみるシミュレーションワークを多く行います。

    例えば、営業の数値が一気に下がって、自社製品について悪く言っている新入社員の松島君に真相を確かめて指導するというシチュエーションがあります。

    松島君役の人は、下記のような最近の新入社員の特徴を反映した新入社員になりきり、指導を受ける経験を行います。 OJT研修 テキスト※当社育成担当者・OJTトレーナー研修テキストより一部抜粋

    このような具体的な新入社員の設定があることで、新入社員役の人もなりきりやすくなり、トレーナーとしての学びや気づきを得られます。ロールプレイングが終わってから、松島君役の設定を確認すると、表に出ている言動から背景が見えていないことを痛感する方が多いです。

    ただ個人的なロールプレイングでここまでの具体的な設定を考えて実行することは難しいと思いますので、当社のような研修をうまく活用してみてください。

    適切な教え方を身につけて、新入社員の自律自走を促せる育成を行えるようにしましょう。

    4)「新入社員への教え方」に関するよくある質問

    新入社員への教え方に関して、よくいただく下記6つのご質問にお答えしていきます。

    【質問①】新入社員がメモを取りません
    【質問②】厳しく教えるとへこみ、優しすぎると危機感を持ちません
    【質問③】何度も同じことを聞かれたり、同じミスをします
    【質問④】世代間ギャップや性別が異なるので、どう教えたらいいか分かりません
    【質問⑤】自分で調べもせず、相談に来ます
    【質問⑥】何をやっても新人が育てられない

    【質問①】新入社員がメモを取りません

    基本的に全てメモを取ってもらい、相談後、メールでメモの内容を上司・トレーナーに送る方法が良いでしょう。 メモの習慣化が生まれて、メモの内容を整理・まとめる思考力も養われます。
    ※ 全てメモを取る理由は、新入社員のうちは、メモをする・しないの判断基準を持てていないためです。

    具体的には、5W2Hシートなどを用いてメモをしてもらいます。そのメモを上司やトレーナーに確認してもらいます。
    確認してもらう工程が入ることで新入社員は自分以外の人も読めるようなメモを取らなけらばという意識が芽生え、情報を整理する能力が養われます。
    また、上司やトレーナーは、メモを共有してもらうことで理解に相違が無いことを確認できます。

    メモを後ほど上司やトレーナーに共有する、というルールを作ることで、メモを習慣化できるようにしましょう。

    【参考】メモ用5W2Hシート ビジネススキル研修 5W2Hシート ビジネススキル研修 5W2Hシート※当社ビジネススキル研修のテキストより一部抜粋

    【質問②】厳しく教えるとへこみ、優しすぎると危機感を持ちません

    良い感情もネガティブな感情も事実と感情に分けてフィードバックを行いましょう。フラットに状況を観ながら、相手のケアとして自身の感情を見せます。

    例えば、新入社員の営業に同行したところ、ヒアリングの改善が必要だと感じたとしましょう。まず事実として起きたことを伝えます。「クライアントがマーケティングを課題だと感じている」という情報のみで、その後自社サービスの提案をしてしまい、「なぜマーケティングに課題を感じているのかを深掘りできていなかった」などです。その事実が起きていたことを新入社員と確認し合い、その後、感情として、「クライアントがその後の提案に対する納得感が弱くて、もったいないなと私は感じた」などを伝えます。

    このように事実と感情を伝えることで、事実に対してフィードバックしていることが分かりますし、なぜフィードバックしてくれているのかも理解できます。納得感を得られると次回はフィードバックしてもらったことを活かして頑張ろうと思い、次に繋がるため成長が促がされます。

    【質問③】何度も同じことを聞かれたり、同じミスをします

    新入社員にとって理解が難しかったり複雑な内容の可能性が高いため マニュアル化しましょう。新入社員のせいにするのではなく、仕組みとしてできることはないか考えて、改善することが必要です。

    具体的には、「新入社員から何度も聞かれる質問やミスに関するマニュアルがあるか」、「新入社員が読んで理解できるようになっているか」、「適切に更新されているか」などを確認しましょう。特にミスが起きやすい業務は、マニュアルの中に失敗事例を記載しておくと、未然に防ぐことも可能です。

    新入社員から何度も同じ質問を受けたり、ミスが起きるのは、どこか分かりづらいことがあるためです。トレーナーや先輩の時間を無駄にしないためにも、繰り返し起こる質問やミスについてはマニュアルの作成や見直しを行いましょう。

    【質問④】世代間ギャップや性別が異なるので、どう教えたらいいか分かりません

    相手のことを理解できていないという前提を持ち、新入社員の状況を考えながら教えましょう。理解できていない部分があるという前提があると、相手のことをよく観察して、適切な教え方を探せるようになります。

    例えば、機材の使い方を教える時、勝手にスマートフォンで写真を撮りだす新入社員がいたとします。相手のことを理解できていないという前提が無いと、上司の時代にはありえないことなので、怒りの感情が出てきてしまうかもしれません。

    しかし、相手のことを理解できていないという前提で相手のことをよく観察すると、撮影した写真上で注意が必要な名所に印をつけていたり、後日自分なりに機材の扱い方の資料を作っていたりと、より良い仕事をするために行っている事だと理解できるかもしれません。するとその後の教え方も変わってきます。

    上司やトレーナーが持っている常識や価値観で判断するのではなく、新入社員は何のために行っているのかを観察してみると、新入社員に合わせた教え方ができるようになります

    【質問⑤】自分で調べもせず、相談に来ます

    相談の際に、稚拙でもいいので仮説・意見を持ってくるように促すようにしましょう。相談を受ける際は意見を毎回確認し、意見がない場合は改めてもらうようにすると、自分で考える習慣を作れます。

    例えば、カスタマーサービスの対応を行っている新入社員が、お客さまからお問い合わせ内容について自分で判断出来ず、トレーナーに相談しに来たとします。その時に、「あなたはどう答えるのがいいと思う?」と必ず新入社員の意見を確認します。そして出てきた答えを受けて、より良い考え方や回答を教えるようにします。

    これを繰り返すうちに、新入社員は相談しに行くと必ず自分の意見を聞かれることに気が付き、事前に用意しておこうという思考になっていきます。

    新入社員の意見を聞く時間を設けないで教えてしまうと、自分の考えを持ってくる習慣が身につきません。相談しに来たときは、新入社員の意見を聞くことを徹底し、新入社員が自主的に意見を持って来れるように促しましょう。

    【質問⑥】何をやっても新人が育てられない

    さまざま課題があり、その課題が複雑に絡み合っているかもしれません。

    使えない新入社員の特徴と原因|29の対処法を解説 のコラムでは、新入社員育成に関する29の対処方法が書かれています。詳しい内容は、ぜひそちらのコラムをご参考ください。

    5)まとめ

    新入社員の教え方は、様々なHow toがありますが、自律自走を促すものでなければなりません。新入社員を教えることの目的は、早く独り立ちをしてもらうことで、そのためには新入社員が自分で考えて行動できるように教える必要があります。

    新入社員の自立自走を促すための教え方は次の通りです。

    一般的なビジネススキル・専門スキルを教える場合

    ・育成計画を立てて目標を細分化することで、成功体験を積み成長実感を持てる
    ・マニュアルを用意し、「手本・実践・内省・フィードバック」で次につなげる

    社会人・組織人としてのマインドや立ち振る舞いを教える場合

    ・心理的安全性な場を提供し、ワクワク感と健全な危機意識を持てるようにする
    ・自身のありたい姿とのギャップを埋める

    自律自走を促す教え方は、単純に業務を教えることより時間も掛かるし難易度も高いですが、結果的に、上司やトレーナー、そして組織のためになります。新入社員の自律自走を促す教え方を実施し、新入社員も上司やトレーナーも、組織も良い方向に進んでいけるようにしましょう。

    新入社員の教え方について相談がある方は、お気軽にお問い合わせください

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