【保存版】高い効果を生む管理職研修を徹底解説

更新日:

本コラムでは、組織の成長に欠かせない「高い効果を生む管理職研修」のポイントについて、具体的かつ実践的に解説します。

管理職研修を通じて、どのように組織の課題を解決し、変革を引き起こすのか。その答えを見つけるために、以下の内容をお届けします。

・成果を出す管理職研修とは?
・効果を最大化する研修企画・実施の進め方
・成功を妨げるNGポイント
・研修に関するよくある疑問への回答

実際に本コラムの内容に沿って実施した管理職研修では、以下の変化が起きています。

・管理職の育成力強化により、離職率が低下チームのパフォーマンスが上がる
・管理職研修内で経営陣の想いを受け止めた結果、管理職の意識が変わり、新商品が生まれる
・管理職研修を起点に、M&A後の新しい組織風土が創られる

このコラムを読めば、管理職研修がどれほど組織に影響を与えるかが理解でき、研修成功のためのヒントを得られるはずです。

管理職研修は、進め方によっては、逆効果を招くリスクもあります。本コラムによってリスクを避け、確実に成果を得る方法を学んでいきましょう。

管理職研修の企画に悩んでいる人事責任者様・担当者様へ

こんな悩みをおもちではありませんか?

  • 管理職研修企画の具体的なプロセスが知りたい
  • 予算内でできる最適な研修を知りたい
  • 自組織の課題を解決できる研修内容を知りたい
  • 成功事例や研修効果を高めるノウハウを知りたい

当社では、経験豊富な担当者が貴社の課題感や予算にあわせ、効果的な管理職研修を企画いたします。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

目次

1. 効果を生む管理職研修とは

効果の高い管理職研修とは、「自分たちは変われると確信が持てる」管理職研修です。

自分たちが変われると思わない限り、行動変容は起きません。行動変容が促すことができれば、組織課題に自ら働きかけ、組織変革も進んでいきます。

「自分たちは変われると確信が持てる」管理職研修を行うには、以下の3点を押さえる必要があります。

・やらされ感ではなく、自分事として捉えることができること
・理解はできるというレベルではなく、自分たちが変わりたいと思う内容であること
・自分たちは変わっているという実感が持てること

企画側は、上記のポイントを意図的に高めることが大切です。3つのポイントをおさえた進め方は、次の章で事例と共に紹介します。

2. 【事例から学ぶ】効果の高い管理職研修の進め方ガイド

管理職研修は、以下のプロセスで進めると、効果を高めていくことができます。

当社のお客様(コンテンツビジネス事業/マザーズ上場会社(当時)、社員数200名程度)が、管理職研修を実施して

・ストレスチェックの大幅改善
・新サービスの収益化

といった成果を出した事例を基に、説明します。

ステップ1. 企画 :組織の真の課題に目を向ける

企画では、真の課題を把握し、アプローチします。

真の課題を把握できていないと、管理職の変容を促せなかったり、表面的な管理職研修になってしまいます。企画の進め方は、下記の3つの流れで進めましょう。

企画のプロセス 内容
①真の課題の把握 【1. 課題を全て洗い出す】→【2. 課題の関連性を確認する】→【3. 真の課題を把握する】の順で進める
②コンセプトと、要件定義の決定 管理職研修で実現したいことをコンセプトにする
管理職研修の実施よって、管理職の意識・行動にどのような変化が起きているかを設定する
③研修内容の決定 コンセプトと要件定義を達成するための、研修内容を決める

企画①. 真の課題の把握

真の課題の把握は、以下のように実施します。

1. 課題を全て洗い出す
2. 課題の関連性を確認する
3. 真の課題を把握する

事例で見ていきましょう。
この企業は「ストレスチェックの結果が悪い」という課題があり、解決のために「管理職研修を行いたい」と考えていました。

下記は、実際にお客様からいただいた資料です。

#守秘義務のため、一部加工しております。

▼【1. 課題を全て洗い出す】
担当者と共に今の課題を洗い出すと、上記の他にも組織課題も明るみになってきました。

・新規サービスは立ち上がるが、マネタイズする気配がない
・新規サービスの失敗が多く、現場が疲弊している
・管理職はプレイヤーとして優秀だが、チームとして仕事ができていない

話すうちに、これらの課題それぞれが複雑に絡み合っている状況が見えてきました。

▼【2. 課題の関連性を確認する】
組織課題を紐解いていくために、システムシンキングという思考方法をもとに、対話しながら、組織の状況を可視化していきました。

▼【3. 真の課題を把握する】
システム図作成後、レバレッジポイント(小さい力で大きな効果を生むポイント)を明確にしながら、管理職研修で取り扱うテーマを選定していきました。
※システム図は参考情報としてご覧ください

上記システム図を基に話を進めたところ、経営陣・事業部長クラスは連携が取れ、新規サービスも立ち上がっている状況が見えました。コンテンツビジネスを扱っている会社として、新規サービスが立ち上がることはとても素晴らしいことです。

ただし、経営陣・事業責任者のスピード感に、管理職・現場がついていけない状況でした。結果、新規サービスは軌道に乗らず、失敗し、現場からは諦めやストレスが高まっていました。
そして、精神疾患や離職などが起きていることの背景が見えてきました。

これらの状況から、「個人での抱え込み」と「失敗の数」をテコ入れすべき点(レバレッジポイント)
と捉え、

・「個人での抱え込み」の対策:「共創・協働の機会」を実現するために、まずは「管理職同士の連携」の強化を行う
・「失敗の数」への対策:「ポジティブなフィードバック・内省」を用いて、メンバーの業務の抱え込みへの対策や失敗の捉え方の意識変革を行う

をテーマに研修を行っていくことにしました。

企画②|コンセプトと要件定義の決定

真の課題や研修テーマが明確になったら、次に、管理職研修のコンセプトと要件定義を創ります。コンセプトと要件定義は、以下のように進めます。

• 管理職研修を通して、何を成し遂げたいか?大切にしたいか?(コンセプト)
• 研修直前と直後でどのような変化を目指すか?(要件定義/研修要件)
• 研修受講前と後で、現場でどのような変化が起きていくか?(要件定義/効果要件)

実際には、「コンセプト」と「目指す姿(要件定義)」を行き来しながら進めていきます。
本お客様は、以下のコンセプトと、要件定義になりました。

研修コンセプト:

要件定義:

※ 「現場」の記載内容が効果要件です

企画 ③|研修内容の決定

次に研修内容の選定です。どのようなストーリーで、目指す姿を実現できるかを考えていきます。全体設計をふまえて研修プログラムや講師を決めます。
本お客様は、下記のように全体設計をしていきました。

今回の研修プログラムは、コンセプト・要件定義で導き出した、

・管理職同士のチーム力を高めて、チーム内外に良い影響を与える
・自部署のチーム力を高めて、共創機会を増やす
・部下と向き合い共に成長する

を実現するための研修を設計しました。

これは専門家である私たちが

・管理職同士の関係の質の向上と、管理職のリーダーシップ開発
・チーム学習を通しての課題解決
・行動変容と組織変革の促進

によって、コンセプト・要件定義をクリアするための内容を設計した結果です。

のあ、本事例の講師は、当初の相談内容であった「ストレスの解消方法を教えられる講師」ではなく、要件定義の達成に必要な「組織変革の経験を持つファシリテーター」を講師として選定しました。

このようにデザイン(企画)していくと、研修効果はとても高まるでしょう。

(参考) 管理職研修の企画承認を得る際に重要なこと

管理職研修の企画承認は、早い段階で経営者を巻き込みましょう。
理由は、2点あります。

1点目:効果への影響
考え抜いた企画であればあるほど、情報量の多さにより、その文脈が伝わりきらないことがあります。そのため、経営者に提案しても適切な理解を得られないことも多くあります。
結果、いかに良質な企画であっても、一蹴され、経営者の考えを形にする管理職研修に差し変わる場合があります。
逆に早い段階で、経営者を巻き込むと、経営者の考えや想いと現場課題とが適切に融合されます。また、経営者自身も管理職研修への関心を強く持ち、コミットも高まるでしょう。

2点目:研修効果への体感の影響
経営者と共に要件定義を考えると経営者も研修後の管理職の変化をイメージできます。そのため「効果があったのか?コンセプトは達成できたのか?」を強く体感でき、次の施策につなげていくことが可能です。最も望ましい進め方は「課題の洗い出しから経営陣に入ってもらう」。

難しい場合は「進捗報告をこまめにして、その都度経営者の意見やフィードバックをもらうこと」です。メールだけではなく、口頭でのコミュニケーションを取るようにしましょう。

経営者の方は時間がないので、時間が取れないという方もいます。しかし、管理職研修は会社に大きなインパクトを与えことを伝えましょう。
もしくは、このコラムを読んでいただいてもよいのではないでしょうか。

組織へのインパクトが大きい管理職研修の企画承認を得る際には、早い段階で経営者に当事者意識を持ってもらいましょう。
それが、組織課題の解決に繋がっていきます。

より詳しい内容は、下記コラムをご覧ください。
管理職研修の必要性を見極めた上で、人事は経営者・管理職への理解を促そう

ステップ2. 準備 :研修受講への意識を上げていく

準備で大切にしたいポイントは、研修実施案内と、事前ワークの配布の2つです。

準備のプロセス 内容
①研修実施の案内 管理職の参加意欲が高まるような内容を送る
②事前ワークの配布 管理職の受講意識が少しでも高まるもの・管理職の状況・状態が分かるものを実施

①研修実施の案内

研修実施の案内は、管理職の参加意欲が上がる内容を送ります。
いつもとは違うという認知を持ってもらうことが重要です。それだけでも、研修への関心度合いが変わります。関心度合いが上がれば、当事者意識が高まります。

例えば、本お客様の案内文は、経営者から下記のような内容を伝えていました。

より詳しい内容は、研修前の挨拶の詳しい内容は下記コラムをご覧ください。
研修挨拶は、投資対効果が高い!│「場面・立場・階層」別で説明

②事前ワークの配布

事前ワークは、可能な限り負担を無くしましょう。負荷が大きすぎると、管理職研修へのネガティブな印象が増えてしまいます。
また、管理職の状況が見える問いを用意しましょう。管理職の課題意識や状況が事前に把握できれば、講師・事務局ともに当日の準備の質を高めていけます。

本お客様の事前ワークでは、設問に対して「特になし」や最低限のテキスト量のアンケートが多く提出されました。
※実際のアンケート①

※実際のアンケート②
事事前ワークを見た経営陣は「当社の管理職は、こんなレベルか」とがっかりされていました。特に代表は、怒りをにじませた表情をされていました。

当社からは、「まずは現状が理解ができたことが良かったこと」をお伝えし、管理職職の本来持っているパフォーマンスをどのように解放するかを、経営陣を含めた企画チームと研修当日まで話していきました。

事前課題に関して、さらに詳しい内容を知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
管理職研修の学びを現場に繋げる【事前・事後課題】8つとポイント解説

ステップ3. 運営 :当事者意識の醸成・柔軟な対応を行う

管理職研修の運営では、「あるべき論を押し付けるのではなく、現場の状況を踏まえて進めること」が重要です。現場を一番理解しているのは管理職です。管理職の意見も尊重しながら、研修目的に統合していくことが大切です。

例えば、「管理職とはこういうものだ」と講師から一方的に伝えたり、説得モードに入っている場合は要注意です。一方的な押しつけは、当事者意識を下げ、学習効果を下げます。

大切なことは研修目的に沿いながらも、研修の場で出てきたものを大切に扱うことです。
そして、必要に応じて、勇気をもった柔軟な対応を取ることが大切です。

本事例では、一日目は予定通り、研修は進んでいきました。
しかし、二日目に、管理職の本音が出て場が乱れたため、目的に沿いながらも、柔軟な対応を取ることが求められました。

ロジスティック部のマネージャーに対して、マーケティング部・営業部のマネージャーが不満や非難を伝え始めました。
ロジスティックのマネージャーは、顔を真っ赤にし、怒りに耐えていました。他のマネージャーもその状況を見て、驚いています。

この時に、ロジスティックのマネージャーを慰めたり、マーケティング部・営業部のマネージャーをなだめても、何も変わりません。その場はいいかもしれませんが、管理職は何も変わりませんし、課題は解決されません。

研修をいったん中断して、マネージャー全体で対話をしました。

結果、ロジスティックのマネージャーのみが悪いわけではなく、組織としての連携が取れておらず、どの部署も自分の部署の都合ばかりを考えていることが浮き彫りになりました。

この状況が生まれる前は、管理職研修は活気にあふれていましたが、その後はとても静かに進んでいきました。

最後に、今後のアクションプランと、研修の感想を伝えて終了しました。
静かながらも、前向きなコメントが出ていました。下記画像は、最後の終了場面です。

ステップ4. フォロー :内省とチーム学習で意識・行動変化を加速

研修後のフォローでは、定期的な内省と、対話によるチーム学習による行動変容の認知を促すことが重要です。

人は忙しいと、自身が変わっていても、変化に気付かないことが多いです。

だからこそ、自身が今どのよう状態・状況なのかを振り返りにより把握します。
そして仲間との対話によるチーム学習により、成功体験や改善点として捉えて、変化を大きくしていきます。

研修後のフォローは、下記プロセスで進めていくとよいでしょう。

フォローのプロセス 内容
①定期的な内省の機会 負担感の少ない管理職の定期的な内省(振り返り)の機会を創る
②内省を促す対話の場 研修後に一定期間を置いた後、管理職が自身の変化を実感できる対話の場を設けます

フォロー①| 定期的な内省の機会

研修後に、定期的に研修時の学びを振り返る機会を設けることが重要です。ここで大切なことは、管理職自身の負担になりすぎない内容とすることです。

弊社ではバトンメールをおすすめしています。参考までに、ぜひ、ご覧ください。

事後課題で、多くのレポートを課すと、負担が多くなり、研修に対してネガティブなイメージを持ってしまいます。結果、今後の人材開発・組織変革に対して、管理職が非協力的になります。
事後課題は極力負担のかからないものとして、バトンメール🄬のようなものを実施するといいでしょう。

事後課題に関して、さらに詳しい内容を知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
管理職研修の学びを現場に繋げる【事前・事後課題】8つとポイント解説

フォロー②|内省を促す対話の場

研修後、内省と対話の場を用意すると、研修後の変化を実感しやすくなります。業務に追われると、どうしても日々の変化に鈍感になります。そのため、自分たちが変わったと自覚する場を設けることが必要です。

管理職研修後は一定期間を置いて、フォロー研修を実施することを、強く推奨します。本お客様も初回研修の数か月後にフォロー研修を実施しました。研修のオープニングでは、ネガティブなコメントが出てきました。

「研修をやったからと言っても、私は変われなかった」
「結局、学んだことを活かせていない」

しかし、そんな中で1名の方が「事前ワークで部下にインタビューした際、部下の変化から自分自身の変化を感じた」と話されました。
それを機に、管理職の皆さんが、一人ひとりの変化や周りの変化に気付き始めました。

管理職は、とても忙しいため、どうしても目の前のことに追われ、視野狭窄になりがちです。だからこそ落ち着いて、対話と通してチームで内省することで、認知が広がります。

【参考:フォロー研修の様子】

さらに研修終了後には、内省を深めるための事後ワークを実施しました。
一旦、管理職育成のプロジェクトは、これで終了しました。

アフターストーリーとして、人事の方から下記のような変化があり「株価も緩やかに上がっています」というお話を聞いています。

効果の出る管理職研修の進め方を行うと、自分たちは変わった。そして変われると確信できる」状況が生まれます。

管理職研修の企画に悩んでいる人事責任者様・担当者様へ

こんな悩みをおもちではありませんか?

  • 管理職研修企画の具体的なプロセスが知りたい
  • 予算内でできる最適な研修を知りたい
  • 自組織の課題を解決できる研修内容を知りたい
  • 成功事例や研修効果を高めるノウハウを知りたい

当社では、経験豊富な担当者が貴社の課題感や予算にあわせ、効果的な管理職研修を企画いたします。まずはお気軽にご相談ください。

3. 管理職研修の成功を妨げるNGポイント

管理職研修で、絶対行ってはいけないポイントをお伝えいたします。

1. 流行やネームバリューに流されて、研修講師・内容を選定

「○○理論で有名な講師を招いて研修を行った」、「経営者仲間から紹介を受けた研修プログラムを実施した」等のお話をよく聞きます。もちろん、その講師としっかり打ち合わせをしたり、紹介を受けたプログラムであっても管理職研修の企画を丁寧に行い、実施したのであれば、効果は見込めます。

ただし周りがいいと言っているから導入したというアプローチだと注意が必要です。

大手研修会社に有名な講師をアサインされたが、まったく効果がなかった。どうしたらいいか?」という状況で当社に相談が来るケースもよくあります。

本当に、その講師やプログラムが自組織にとっていいのかを、見定めていく必要があります。

2. 経営者のリクエストのみで研修を実施

「経営陣が言ったことをそのまま行う」と研修企画は上手く進みません。

あくまで管理職研修を実施して、何を成し遂げたいかに目を向けることが重要です。研修目的をどのように達成するかということです。

あるお客様から「経営者の紹介で導入した研修によって、離職率がとても上がり組織崩壊の一歩手前まで進んでいる」というお話もお聞きしました。組織課題・現場の状況を加味しないまま、コンサルタントの言われるがままに、研修と現場での業務ルールの徹底を強いられて起きたそうです。

3. 研修効果を継続させるフォローがない

あるお客様に聞いた話です。チームに分かれて、ラグビーの研修を行ったそうです。とても盛り上がり、研修満足度も高かったそうですが、フォローは何もしませんでした。

研修が一過性のもので終わり、経営者の一人は「研修効果が全くない。研修は意味がいない」という発言をされたそうです。

詳しくお話を聴いていると、社員同士の雑談等のコミュニケーションが増えているということで、小さくても変化は起きているようでした。研修プログラムや、講師は良かったのでしょう。しかし、研修効果を継続させるフォローがないために、変化を継続させることができませんでした。小さな変化を認知し、それを加速させていくことが必要です。

4. 管理職研修に関する質問への回答

管理職研修に関連してよくある質問に回答します。

Q. 管理職研修は、どんな種類があるの?

管理職研修は、大きく分けると4種類あります。

管理職研修の種類 研修目的 研修内容例 効果が出にくい研修の特徴
新任管理職研修 新任管理職としての役割とスキルを伝え活躍を促すため ・役割理解研修
・部下育成(OJT/1on1/コーチング)研修
・チームの目標設定と管理
・受講者の課題にフォーカスされず、意識転換ができない
次世代リーダー育成(上級管理職)研修 次の経営者層を育成するため 戦略思考、事業開発、マーケティング研修
・財務、会計理解研修
・問題解決研修
(クリティカルシンキング、システムシンキング 等)
・一般論を学ぶのみで自社戦略に転用できない・現在の役割と乖離がありすぐに活用できない
パフォーマンス向上研修 研修の学びにより、管理職が今抱えている課題の解決を促すため ・部下育成(OJT/1on1/コーチング)研修
・チーム力向上研修
・管理職のリーダーシップ研修
・ファシリテーション研修
・正しい課題設定ができていない

・内容と現場の状況に乖離があり活用できない
労務・コンプライアンス管理研修 リスクマネジメントを図るため ・人事労務管理研修
・メンタルヘルス研修
・コンプライアンス研修
・現場で学びを管理する方法がなく、実践されない

より詳しい内容は、「管理職研修は4種類!【種類別】目的とおすすめの研修内容12選をご紹介」をご覧ください。

Q. 管理職研修の企画中。何かいいネタはない…?

管理職研修の企画を行う上で、管理職研修のネタを探すのはとてもいいことです。なぜなら、企画の幅が広がり、自組織にとってどのような研修が最もマッチするかを考えることができるためです。
参考として、以下に12のネタをピックアップします。

①講義・動画鑑賞
②ケーススタディ・シミュレーションワーク
③対話・議論
④講演
⑤ビジネスゲーム
⑥寸劇・インプロ
⑦アクションラーニング
⑧合宿
⑨ラーニングジャーニー
⑩スポーツ・アウトドアなどのアクティビティ
⑪モノづくり
⑫人材開発・組織開発のトレンド

それぞれの詳しい内容は、管理職研修ネタ12選|最新の情報収集方法まで解説にてご紹介しています。

Q.「管理職研修は意味がない、ムダ」と言われてしまう。どうすれば…?

管理職研修は意味がない、無駄」と言われてしまうのは、研修後に、管理職の認知変容や行動変容が起きないからです。そうなってしまう理由として、次の12パターンが考えられます。

・経営者の考えを、ただ押し付ける
・管理職研修のプログラム、もしくは講師からのアプローチが厳しい
・過去に行っていた研修内容を踏襲し、何も変えずに行う
・世の中の流行りやトレンドを追いかける
・昔の文脈に引きずられて、時代遅れ
・オンラインでの動画鑑賞や講演など、インプットのみを行う
・学びのポイントが多すぎる
・効果を確認しない、もしくは間違った効果測定を行う
・講師があるべき論を一方的に伝えたり説得する
・受講生の状況に合わない
・一回やって終わり
・適切な予算をかけない

それぞれのパターンの詳細と回避策は、意味がない。無駄!と言われる管理職研修12パターンとその回避策にて解説しています。

Q. 合宿型で管理職研修を実施したい。注意すべき点はあるか?

アーティエンスでは、合宿型で管理職研修を実施する際のチェックリストを公開しています。【チェックリスト付】管理職合宿研修で実施すべき内容とは|効果的で安全な開催方法も解説からリストの無料ダウンロードも可能です。ぜひご参考ください。

Q. 中小企業でも、大企業と同じ管理職研修を実施しても効果はある?

中小企業が、大企業と同じように管理職研修を実施しても、期待した効果は出にくいでしょう。

中小企業が実施すべき管理職研修とは、「自組織の課題を解決する」研修です。

中小企業は、大企業よりも景気の影響を受けやすく、常に事業課題・組織課題がつきまといます。それら事業課題・組織課題を正しく全て把握した上で、最優先且つ効果が見込める課題解決のアプローチとして、管理職研修が期待できるようであれば、実施を検討していきましょう。

ただし、この時に、「事業課題・組織課題」を把握せず、「管理職の課題」にのみ焦点を当ててしまうケースが多くあります。そうすると、管理職研修が上手くいかない場合が多いです。

中小企業向けの管理職研修については、中小企業におすすめの管理職研修【8選】|絶対に成功させたい時の進め方も解説にて、より詳しく解説しています。

Q. 管理職研修は、オンライン形式でも効果は見込める?

下記3つの観点を意識することで、オンライン形式でも研修効果を高めることが可能です。

・研修プログラムを、オンライン用の設計に変更する
・オンラインでの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインする
・管理職の参加意欲を高め、受講環境を整える

それぞれ説明していきます。

研修プログラムをオンライン用に設計変更する

研修プログラムは、オンライン用の設計を行う必要があります。オンライン環境では、講師が受講生とコミュニケーションを取れるタイミングが制限されたり、コミュニケーションツールが限定されるといったリアルの研修とは違った側面があります。違いをふまえて、既存の研修プログラムに

・ワークの進め方に関する情報を丁寧に記載する
・コミュニケーションツールを用意する

といった、オンラインに適した形で構築する必要があります。リアルの研修であれば講師がクラス全体を見回して、受講者の様子を見ながら適宜フォローすることができますが、オンラインではそうした対応が難しいのです。そのため、オンラインではリアルの研修よりもオペレーションについて丁寧な説明が必要です。

また、ジャムボードやGoogleスライド等のオンラインツールは効果的に活用できるとよいでしょう。

このように研修プログラムをオンライン研修用に設計しなおし、質の高い管理職研修を納品することが大切です。

オンラインでの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインし、準備を進める

オンラインでの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインし、準備を進める必要があります。

オンライン研修は講師と受講生とのコミュニケーションが発生しづらいです。開催経験が豊富な講師であれば、オンラインの特性を理解した上で受講生との相互コミュニケーションをスムーズに行うことができます。例えば、オンライン研修ではチャットを用いて話しかけやすい雰囲気作りができたり、チャットの発言を読み上げることで場が活性化されます。こうした工夫も、開催経験があってこそ、実施できる内容です。

また、リアルの研修と比較して環境面でのトラブルが起きやすいです。

よくあるのは、通信環境のトラブルです。当日トラブルが起きないように、事前の案内文で注意事項を送ったり、当日の緊急連絡先を用意しておくと良いでしょう。それでも、当日トラブルが起きた場合は、講師やスタッフが全体の研修に悪影響を与えないように、可能な限りフォローをしていきます。

このようにオンラインの登壇経験が豊富な講師やスタッフをアサインし、準備を進めなければ、研修の場の活性化が上手く図れたり、トラブルにも対応しやすくなります。

管理職の参加意欲を高め、受講環境を整える

管理職の参加意欲を高め、受講環境を整える必要があります。オンライン研修では管理職の受講意欲はリアルの研修よりも下がりやすいと考えるといいでしょう。ただでさえ管理職は、仕事の忙しさもあり、研修受講に後ろ向きなケースが多く見られます。

よくあるケースとしてオンラインの場合だと管理職研修中に、自身の仕事を行っているケースがあります。オンラインでの研修はリアルの研修と比較して、通常の業務にアクセスしやすい、という状況があります。メールチェックやチャットツールのチェックなどだけではなく、時には企画書を作っていたというケースすら見られます。これらを防ぐには「研修実施前や研修中に、管理職の研修に対する当事者意識・主体性をどれだけ高められるか」がカギとなります。

Q. 厳しい管理職研修を実施したい。注意点は?

厳しい管理職研修とは、「管理職の大きな変化を求めて強い刺激を与える」研修のことです。
短期間で、管理職が今の状態から大きな変化を成し遂げるために、厳しい研修を検討する企業は少なくありません。ただし、それには一定のリスクも伴います。

「厳しい管理職研修が必要では?」と感じた際は、ぜひ、以下の3ステップで改めて、考えてみてください。

①「なぜ厳しい研修が必要だと思ったのか?」と目的を考える
②「変化させたいところはどこか?」と特定させる
③「どんな研修内容が良いのか?」と手段を考える

上記3ステップは、【受講生の反応実例あり】厳しい管理職研修を成功するために徹底解説にて、より詳しく解説しています。

Q. 管理職研修の費用はどのように考えるべき?

管理職研修の費用は、研修のゴールと内容によって相場が変わってきます。
管理職研修のゴールは大きく3つに分類されます。それぞれの一般的な相場は下記の通りです。

【参考コラム】【管理職研修の費用】相場観を一発回答!目的に合わせた適切な予算を決めよう

Q. 管理職候補向けの管理職研修を行いたい。ポイントは?

管理職候補向けに研修を実施する目的は、「一般社員から、管理職になるための準備」です。

ひと昔前と比べ、管理職に求められる役割は複雑化し、責任も重くなっています。そのため、管理職昇格前の丁寧なフォローが、管理職になってからの活躍を支える重要なカギとも言えます。

昇格前に管理職の全てを伝えきることは難しいです。管理職に求められる役割の中から、自組織で最も重要な要素を切り出し、それらを遂行するために必要な意識やスキルを研修で伝えていくことが重要なポイントです。

管理職候補者向け研修で得られる3つの効果|内容選定時の注意点も解説!も参考にしながら、検討してください。

Q. 管理職研修のレポート作成で、気を付けるべき点は?

管理職研修で扱うレポートは、大きく2種類あります。
それぞれの目的と注意点を簡単にまとめます。

管理職が、人事・上司に提出するレポート

目的:研修で学んだことを、現場で実践し、定着化させていくため
注意点:「可能な限り、負担を無くす」「感想文にしない」「やりっぱなしにしない」

人事が、経営者に提出するレポート

目的:管理職研修を起点にし、組織変革を促進していくため
注意点:「管理職の評価にしない」「管理職研修の評価にしない」

レポートの具体例や記載内容については、【事例から徹底解説】管理職研修の効果を高める2つのレポートにてご紹介しています。

Q. 管理職研修の資料を作成したい!構成やポイントは?

管理職研修の資料は、「管理職の行動が変わるためのもの」です。
管理職本人が「自分たちは変われる」と確認が持てることが重要であり、研修資料はそれを促進するものです。

そのための資料構成は、下記を参考に作成いただくとよいでしょう。

より詳しい資料の作成方法は、管理職研修の資料で、管理職の行動が変わる|具体的な構成と作り方にてご紹介しています。

Q. 管理職研修の必要性を、経営者や管理職本人たちに理解してほしい…どうすれば?

管理職研修の必要性を理解してもらうには、それぞれどのような反対意見があるのか(なぜ必要性を感じないのか?)を洗い出し、検討していく必要があります。

例えば、経営者や事業責任者からすると、管理職研修への反対意見として以下が挙げられます。

・費用対効果はどの程度あるのか
・現場が忙しいから無理
・過去に同じようなことをやって意味がなかった
・過去に成功した事例はあるのか
・今、他に優先事項がある

上記は全て「やらない理由」を探しています。それらを払拭するためには、共創と対話を行うことで、管理職研修の実施に対して前向きになってもらうことがポイントです。

また、管理職自身としては、「忙しい中、研修なんて受けたくない」「研修は意味がない」といったネガティブ感情を抱いているケースが多いです。

こういったネガティブ感情とは、次のステップで向き合っていくことが重要です。

・管理職研修の企画の際に、想定されるネガティブな反応を洗い出す
・事前に管理職研修の目的を丁寧に伝える
・管理職研修の前に、経営者・事業責任者が挨拶を行う
・管理職研修と実業務との連動を体感する
・研修に対して前向きになった感情を、管理職自身に言語化してもらう

より詳しい内容は、管理職研修の必要性を見極めた上で、人事は経営者・管理職への理解を促そうにて解説していますので、ご参考ください。

Q. 管理職研修の事前課題や事後課題はやった方がいいの?内容は?

管理職研修の効果を高めるためにも、事前課題と事後課題感は実施を推奨します。しかし、「忙しい管理職に、過度な負担を掛けるわけにもいかない…」という葛藤もあるでしょう。

事前課題・事後課題を最小限の負担で、最大限の効果を生み出すために意識いただきたいポイントとしては、普段行っているマネジメント業務と研修で学ぶ内容をブリッジさせるという点です。

より詳しい内容は、管理職研修の学びを現場に繋げる【事前・事後課題】8つとポイント解説にて、具体的な課題例を提示しながらご紹介しています。ぜひご参考ください。

まとめ~管理職研修ならアーティエンスがおすすめ~

管理職研修を丁寧に扱うと、管理職は自分たちは変われると確信します。
そして、課題は解決につながり、管理職の成果が上がります。ただし、中途半端な管理職研修を行うと、悪影響が出ることもあります。

管理職の影響力は、とても大きいです。

効果の高い管理職研修を行うには、下記のプロセスで行うことが重要です。

1. 企画 : 組織の真の課題に目を向ける
2. 準備 : 研修受講への意識を上げていく
3. 運営 : 管理職が当事者意識を持つために、予定調和に終わらせない
4. 研修後フォロー : 内省とチーム学習を通して、行動変容を止めない


効果の高い管理職研修を行うことと、管理職をはじめ現場のメンバーが変化していることを体感し、組織変革は進んでいくと言えるのです。

その成功体験から、管理職自身も現場も、これからの研修に対しても前向きになっていきます。

そして何より、管理職・現場の変容や組織変革が見えると、経営陣はより人材開発・組織変革への感度が上がっていき、企画側にとても協力的になっていくでしょう。

アーティエンスでは、研修企画から丁寧にご一緒しておりますので、管理職研修を検討されている方はぜひご連絡をいただければ嬉しく思います。

管理職研修の企画に悩んでいる人事責任者様・担当者様へ

こんな悩みをおもちではありませんか?

  • 管理職研修企画の具体的なプロセスが知りたい
  • 予算内でできる最適な研修を知りたい
  • 自組織の課題を解決できる研修内容を知りたい
  • 成功事例や研修効果を高めるノウハウを知りたい

当社では、経験豊富な担当者が貴社の課題感や予算にあわせ、効果的な管理職研修を企画いたします。まずはお気軽にご相談ください。