部下への褒め方・叱り方|OKポイントとNGポイント29選

更新日:

作成日:2023.12.20

部下 育成 褒め方 叱り方

「部下育成において、適切な“褒め方”と“叱り方”が難しい…」

部下育成をテーマとした研修で、受講生からよくいただくお悩みです。

「褒める」もしくは「叱る」という行動なくして、部下の成長は望めません。
そこで本コラムでは、部下育成で大切な褒め方と叱り方についてお伝えします。部下の成長のために伝えたいことを適切に伝えられるようになり、部下の成長と関係性を向上させましょう。

このコラムで分かること

  • 部下を「褒める」3つの目的と「叱る」2つの目的
  • 効果的な部下の「褒め方」と「叱り方」
  • 逆効果になる部下の「褒め方」と「叱り方」
執筆者プロフィール
山下 絢加
2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。子育てを機に、現在は主にマーケティングプランニングを担当。

専門性:新入社員若手社員組織開発・組織変革



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1)効果的な部下の「褒め方」

部下を褒める目的は、大きく次の3つです。

一つ目は、部下との関係性係性の向上です。褒めるというポジティブなコミュニケーションをすることで、信頼関係や協力関係を築けます。
二つ目は、部下のモチベーションの向上です。褒めてもらうことによって嬉しさを感じ、次の仕事への活力となります。
三つ目は、部下の長所や強みを伸ばせることです。部下が持っている得意なことを伸ばして仕事に活かせるようにすることで、成長や成果の向上を促せます。

このような目的を達成するために、効果的な部下の褒め方として8つのポイントをお伝えします。

1.具体的に褒める

具体的に褒めるようにしましょう。具体的に伝えることで部下自身も自分の成長を実感しやすく、また、成長を見守ってくれていることにも嬉しさを感じるためです。

たとえば、「さっきの会議で、自分なりの意見を伝えられていて良かったよ。伝えたいことが端的に伝えられていたし。2ヶ月前は発言することに緊張していたから、すごく成長しているよね。」などです。
具体的に伝えることで、部下も「確かに2ヶ月前と比べたら成長しているかも」と成長に自覚的になれます。また、純粋に褒めてもらえて嬉しいと感じますし、次のモチベーションにもつながります。

具体的に褒めることで、部下が自分の成長に自覚的になれると共に、見守ってくれている上司への感謝の気持ちが生まれ、さらに褒められた嬉しさによって次の仕事へのモチベーションを高められます

2.小さな変化・成長を褒める

小さな変化・成長を褒めるようにしましょう。小さい変化の積み重ねで、大きな変化を生み出せるようになるためです。

たとえば、「もしかしてフォルダを整理してくれた?ありがとう。わかりやすくなって助かる。」とか「打ち合わせの5分前には会場の準備を終えてくれているよね。スムーズに打ち合わせを進められるから助かっているよ。」などです。
誰も気がついていないだろうと思っていることに気がついてくれるのは嬉しいものです。

小さな変化や成長を褒めることで、上司はちゃんと見てくれていることを知り、部下の主体的な行動が加速します

3.I(アイ)メッセージで伝える

I(アイ)メッセージで伝えるようにしましょう。アイメッセージは、英語の「I」つまり「私」を主語にした表現のことです。「私は~だと思う」と伝えます。
褒める側が感じたことを伝えているため、内容を受け入れやすくなります。また、印象に残るメッセージになりやすいといわれています。

たとえば、「私はあなたの〇〇というアイディアが良いなと思いました。なぜなら〜」とか「私はあなたがいつもお客さんの希望に寄り添おうとしていて、素敵だなって思うよ」などです。

I(アイ)メッセージで伝えることで、部下は褒めてもらったことを受け取って自己肯定感が高まります。部下が自分の良いところがより磨かれ成果にもつながります。

4.結果だけでなく行動やプロセスを褒める

結果だけでなく行動やプロセスを褒めましょう。結果はコントロールできないことも多いですが、行動やプロセスには部下の価値観や思いが込められていることが多いためです。

たとえば、以下のような褒め方が考えられます。
「A社のために定期的なフォローや、A社が経営層に許可をもらうための資料作成を一緒に作成していることとか、A社のために頑張りたい!という思いが感じられて頑張っているなと思っていたよ。今回はサービスの機能性の部分で負けてしまったけど、今回みたいに先方と信頼関係を築きながら仕事を進めていく姿勢は大切にしてね。もしかしたら他の案件でまたA社から連絡くることもあるからね。」

結果だけでなく行動やプロセスを褒めることで、残念な結果の場合も落ち込みすぎずに今回の経験を次に活かそうとします。また良い結果の場合も、自分の行動によって結果を得られたと実感することで、より自分の行動の精度を高めようと思えます

5.気づいたときに褒める

部下のポジティブなことに気づいたタイミングで褒めるようにしましょう。すぐ伝えた方が心に響くためです。

たとえば、「すぐ対応してくれてありがとう」「1枚に内容がまとまっていてわかりやすい資料だね」「ナイスアイディア」などです。このくらい短くサラッとした内容で大丈夫です。
このようなことを感じていたとしても言葉で伝えなければ相手には伝わりません。

伝え方を難しく考えすぎることなく、気づいたときに自分が思ったことを事実として伝えることで部下は嬉しくなり、関係性の向上やモチベーションの向上につながります

6.第三者の言葉を用いて褒める

第三者の言葉を用いて褒めることも一つの方法です。「直接褒められる」のと「第三者を通じて褒められる」のでは「第三者を通じて褒められる」方が嬉しさも大きいことが研究によって明らかにされています。(第三者を通して間接的に褒められる方がより嬉しさが増す効果を「ウインザー効果」といいます。)

たとえば、「〇〇課長も△△さんの提案力がすごいって言ってたよ」とか「後輩の〇〇さんが△△△さんはいつも丁寧に教えてくれるって言ってたよ」などです。

第三者から褒めてもらうことで、直接言われるより素直に褒めてもらう内容を受け取れます。そしてその嬉しさがモチベーションとなります。

7.部下のポジティブな気持ちに共感する

部下のポジティブな気持ちに共感しましょう。成功や喜びを共有することで関係性が深まり、また、より高い目標に向けて頑張るモチベーションを持てるようになるためです。
特に褒めるポイントを見つけるのが難しいという方におすすめです。

たとえば、部下が案件を受注したときに一緒に喜んだり、部下が他の人から褒めてもらったことに対して嬉しいという感情に共感するなどです。

部下がポジティブな感情にあるときに一緒に喜ぶことで、一緒に頑張る仲間という関係性が強まり、仲間と共にもっと頑張りたいというモチベーションが湧いてきます

8.感謝を伝える

感謝を伝えるようにしましょう。何をしたら感謝してもらえるのかがわかると、その点を意識して仕事をするようになり、成長につながりやすいためです。
感謝を伝えることも、褒めるポイントを見つけるのが難しいという方におすすめです。

たとえば、「いつも打ち合わせのリマインドをくれてありがとう」「コピー用紙の補充ありがとう」などです。

感謝を伝えることで喜んでもらえるポイントがわかり、そのポイントを意識して仕事をすることで、結果的に成長につながります

このようなポイントを意識して褒めることで、褒める目的である関係性の向上やモチベーションの向上、長所の育成につながり、部下の成長を期待できるようになります。

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2)逆効果になり得る部下の「褒め方」

褒める目的を達成できない部下の褒め方を7つ紹介します。

1.お世辞で褒める

お世辞や思ってもいないことを褒めるのはやめましょう。「本当はそう思っていない」という本心が透けて見えると、馬鹿にされたように感じるためです。

たとえば、相手の顔を見ずに伝えるとか、何か作業をしながら伝えるなどです。

相手との関係をよくしたい、自分の仕事を助けて欲しいなどの裏目的のために褒めるとその思いも伝わります。そのように接し続けると信頼関係が築けなくなるため、心を込めて伝えられない褒め言葉は言わないようにしましょう

2.抽象的な内容で褒める

抽象的な内容で褒めるのはやめましょう。どの仕事を見て褒めてもらっているのかがわからず、素直に受け取れないためです。

たとえば、「いい仕事をしているね」「頑張っているね」といった言葉は抽象的で、部下としては何を褒めてもらっているかがわかりません。

部下が自分の成長に自覚的になれるようにするためにも、抽象的に褒めるのではなく、具体的な事実と一緒に褒めるようにしましょう

3.上から目線で褒める

上から目線で褒めるのはやめましょう。言い方によっては相手に不快感を与える可能性があるためです。

たとえば、「よくできたね」や「その意見参考にさせてもらうね」という言葉は、褒める言葉ではありますが、評価する人・される人の関係性が含まれているようにも感じられます。上司と部下の関係性によりますが、信頼関係が築けていない状態で、評価のニュアンスが強い言い方をしてしまうと、部下に不快感を与える可能性があります。

褒めるという行為は、相手を評価することではなく感謝を伝えるものであることを忘れないようにしましょう

4.自分の自慢を含めて褒める

自分の自慢を含めて褒めることはやめましょう。褒めてもらって嬉しいという感情にはなれないためです。

たとえば「A社の受注取れたって聞いたよ。おめでとう!私が〇〇さんと同じ年齢のときに私もB社の受注を取ったんだよね。あの時のことを思い出しちゃった。」などです。
自分のことを伝えられると、褒めてもらったということがおざなりになり記憶に残りません。

部下を褒めるときは、部下の話だけをするようにして他の話を盛り込まないように注意しましょう

5.外から見える部分ばかり褒める

外から見える部分ばかり褒めることはやめましょう。人は自分の本質により近いことを褒めてもらうほうが心を動かされるためです。順番で言うと、外見や環境→行動→能力→信念や価値観→存在です。

たとえば、頻繁に褒めることが大事だからといって服装や髪型ばかりを褒められても、「そこしか褒めるところがないのかな」と受け取ってしまうかもしれません。そうではなくて「あなたは自分の大変さよりクライアントのことを考えて仕事をしていて素晴らしいです」など人としての本質に近いところを褒めることも忘れないようにしましょう。

相手の人間性や価値観を知ることを意識し、その中で見えてきた部分を褒めるようにしましょう

6.他者と比較して褒める

他者と比較して褒めることはやめましょう。他者と比較することで、褒め言葉が卑下的に感じられたり、相手の自尊心を傷つけたりする可能性があるためです。

たとえば「同期の〇〇さんより△△さんの方が仕事が早くて助かるよ」「△△さんは売り上げが同期の中で一番だね」などです。
他者との比較に基づいているため、褒めているつもりがプレッシャーを与えられていると感じる人も多いです。また、自分が他の人と比べて劣ってしまった時のことを考えて怖さを感じることもあります。

褒めるときは他者との比較ではなく、相手の過去と今の比較で褒めるようにしましょう

7.ご褒美をあげる

ご褒美をあげるのはやめましょう。ご褒美を得ることが目的となってしまう可能性があるためです。成長することに喜びを感じづらくなり、ご褒美がなくなった途端に成長も止まってしまいます。

たとえば、毎月の売り上げ目標を達成したら給与が+3万円となる組織があったとします。しかし、組織の都合で+3万円のお金を用意することが難しくなり、そのルールが廃止されることになりました。そうすると、その後社員のやる気は下がってしまい成果を維持することは難しいです。

もちろん、このプロジェクトが終わったら美味しいものを食べに行こう!など楽しみを想像することが全てダメというわけではありません。しかし使い方や頻度を誤ると、ご褒美のために仕事をするという構造になってしまい、ご褒美がなくなった途端に仕事へのモチベーションがなくなってしまうことは理解しておきましょう

褒める際にはこのようなポイントを意識し、部下の成長を妨げないように注意しましょう。

3)効果的な部下の「叱り方」

部下を叱る目的は、大きく次の2つです。
一つ目は、社会や組織のルールから逸脱した行動を正すことです。ルールを守れないとトラブルを起こしたり組織の秩序を壊す可能性があるためです。
二つ目は、期待している成果や質の基準に達していないことを部下に自覚してもらうことです。部下に現在地を把握してもらうことで、主体的に成長してもらえるように促します。

このような目的を達成するために、効果的な部下の叱り方として7つのポイントをお伝えします。

1.他の人がいない場所で叱る

他の人がいない場所で叱るようにしましょう。他の人がいる場所で叱ると部下のプライドや自尊心を傷つけてモチベーションを下げてしまうためです。また、他の人からの目線が気になって叱られている内容に集中できない場合もあります。

そのためたとえば、個室や閉ざされた会議室など、他の人が入り込まないプライベートな場所で叱るようにしましょう。
叱られている姿を他の人に見られると、「できない社員だと思われるかも」「みんなの視線が集まっていて恥ずかしい。早く終わってくれないかな」などと、叱られている内容以外のことに意識が向いてしまいます。そうすると、改善してほしいことが伝わりません。

また、人前で叱られている状況をみると、周囲にも不快感や緊張感などを与えることにもなり、周囲の仕事の質も落としかねます。

叱るときは部下のためにも周囲のためにも他の人の目が気にならない場所に移動し、叱っている内容と向き合える状態を作りましょう

2.端的に伝える

端的に伝えるようにしましょう。端的に伝えることで部下は理解しやすくなるためです。

たとえば「遅刻するのは本当に気をつけてください。社会人として打ち合わせに遅れると信頼関係を築けないよ。」などです。

上司として伝えたいことを端的に伝えることを意識し、何がいけなかったのかを部下が理解しやすいようにしましょう

3.部下の話を聞いた上で叱る

起きたことに対して、まずは部下の弁解を聞いたうえで叱るようにしましょう。前提が異なっていると、叱る内容が本質的ではなくなるためです。

たとえば、事前に確認した内容と異なる状態で修正資料が上がってきたとします。このとき、なぜこのようになったのかを確認せずに叱ると、部下と認識のズレが起きていて、叱っている内容が的外れになってしまう場合があります。もしかしたら部下は他の上司に確認してこうしたほうがいいよというアドバイスをもらい、修正したのかもしれません。そのことを理解していないまま、なぜ事前に確認した通りに修正できないのかということを話し合っても意味のある時間になりません。

叱りたいポイントが出てきたときは、そもそもなぜ今の状態になっているのかを部下から説明してもらい、その上でどこを改善してもらいたいかを伝えるようにしましょう

4.事実に基づいて叱る

事実を元に叱るようにしましょう。事実に基づいていると公平、部下も内容を受け入れやすくなるためです。

たとえば、部下が期限を守らずにプロジェクトを遅延させたとします。その際は具体的な日時や遅延の影響を挙げ、「このタスクの提出期限はX日で、それに遅れが生じたことでプロジェクト全体がY日遅れたよね。そして他のメンバーがフォローのために残業してくれた。提出期限を守る大切さはわかる?」などと、事実に基づいて叱責します。

事実を元に叱ることで部下は自分の犯したミスの重要性を認識しやすく、改善の行動に繋げやすくなります

5.自分の失敗談を交えて伝える

自分の失敗談を交えて伝えるようにしましょう。失敗談を交えることで、部下は上司が共感し理解してくれると感じ、叱責を受け入れやすくなります

たとえば、自社商品についてクライアントにわかりやすく説明できなかった部下がいたとします。その際に、「自分も2年目のときに、自社商品について質問されたことに答えられなかったことがあったんだよね。そして、その打ち合わせの後に他社に決めたって連絡をもらって、自分でチャンスを逃してしまったと感じたことがあったんだよね」と伝えるなどです。

上司の失敗談を聞くことで、同じような失敗をしていることに対して安心感を感じるとともに、今のままではダメだということも感じるため、部下の変わろうとする力が強まります

6.期待していることも伝える

ただ叱るだけでなく、期待していることを一緒に伝えるようにしましょう。叱責の背景や理由を伝えることで、部下は状況を理解し、叱責を受け入れやすくなるためです。

たとえば、部下に依頼していた会計データにミスが多く見られたとします。その際にただミスについて叱るだけでなく、会計データの大切さや、部下の役割として組織のお金が正しく使われているかを確認する役目をになってほしいということを伝えるようにします。そうすると部下は組織から求められていることを再認識し、自分の役割を全うしようという意識が強くなります。

期待していることを伝えて叱ることで、部下に自分の役割を再認識してもらい、主体的な行動の促進に繋げられます

7.叱って終わりではなく改善策を一緒に考える

叱って終わりではなく、改善策を一緒に考えるようにしましょう。言動が改善されなければ、また同じミスが起こる可能性があるためです。

たとえば工場の機械操作を誤ってしまったという部下がいたとします。その際に、操作を誤ったことについては反省してもらうためにも端的に叱ることが必要です。ただ、それで終わりにするのではなく、どうしたら今回のような過ちを起こさないようになるのかを一緒に考えるようにします。そうすることで、明日から意識できるようになるためです。

叱ることの目的は、言動を変えてもらうことです。部下だけでは改善策を考えきれない場合もあるため、一緒により良くしていくための方法を考えるようにしましょう

このようなポイントを意識して叱ることで、叱る目的である社会や組織のルールから逸脱した行動を正し、部下の主体的な行動を期待できるようになります。

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4)逆効果になり得る部下の「叱り方」

叱る目的を達成できない部下の叱り方を7つ紹介します。

1.自分の感情の捌け口として叱る

自分の感情の捌け口として叱るのはやめましょう。客観性がなく、部下との信頼関係も失うためです。

たとえば、プロジェクトの遅れに腹を立て、部下を叱責する際に「なぜこんな簡単なことができないんだ!」と怒りを露に叱っても怖さを感じるだけで現状の改善につながりません。
感情を抑えて事実を伝えることで、部下は自分のミスの重要性に気づき、対応を考えられるようになります。

自分が当たり前にできることについて、部下ができていないと感情的になりやすいですが、自分と部下の得意や不得意は異なります。自分の感情のままに起こっても意味がないことを理解し、部下が改善できるように伝えることを意識しましょう

2.人格を否定する

人格を否定するような言葉を使うのはやめましょう。部下の自己肯定感を下げて、職場の居心地も悪くしてしまうためです。

人格を否定する言葉というのはたとえば「お前はダメだな」「この仕事に向いていない」「手伝おうと思わないの?」などです。これらは具体的な仕事の内容ではなく、人としての部分に対して否定の言葉を使っています。

人格を否定するような言葉を使って叱ることで具体的な解決策を考えることは難しく、行動の変容を促すことにも関係性の構築にもネガティブな要素しかありません。叱ることを安易に考えず、部下の行動変容を促せるような言葉を使うようにしましょう

3.他人と比較する

他人と比較して叱ることはしないようにしましょう。他人と比較されたところで、自分はダメなんだと傷つけてしまうだけで、具体的な解決策に繋がらないためです。

他人と比較して叱るというのは、たとえば「同僚の〇〇さんはできているのに、あなたはなぜできないの」「〇〇さんと同期とは思えない。今まで何を学んできたのか」「後輩の〇〇さんのほうが成績いいよ」などです。

他人と部下とは性格も特性も育ってきた環境も異なります。部下には部下の成長のペースや経験が必要です。他人と比べて叱るのはやめましょう。

4.過去のことを持ち出す

叱るときに過去の話を持ち出すのはやめましょう。部下は自信を無くして成長が妨げられてしまうためです。

たとえば、部下が前回のプロジェクトでミスを犯した場合、「前回も同じようなミスを犯して、もう一度同じことをやるのか」と叱っても自信をなくしてしまうだけです。そもそも、前回ミスしたときに一緒に解決策を考えきれなかったことが、同じようなミスを生んでいる可能性もあります。同じようなところでミスしているなと感じたら、たとえば「この部分が苦手みたいだから、対策を考えよっか」などと前向きなアプローチで改善策を模索することが重要です。

過去の過ちを責めるのではなく、将来に向けた解決策を模索しましょう

5.抽象的な言葉をつかう

叱るときに抽象的な言葉を使うのはやめましょう。上司と部下とで認識のズレが起きる可能性が高いためです。

たとえば、上司が「もっとテレアポを頑張ってほしい」と伝えたとします。もっとの認識を上司は今より+20件くらいと思っているかもしれませんが、部下は+10件くらいをイメージしているかもしれません。

抽象的で曖昧な言葉を使うと上司と部下とで認識のズレが起きやすいため、具体的で明確に伝えるようにしましょう

6.部下のレベルにあわせていない

部下のレベルにあっていない内容で叱るのはやめましょう。部下が内容を理解しきれないためです。

たとえば、新入社員の部下が電話対応でミスして、お詫びの連絡をしなくてはいけなくなったとします。その際に「この電話対応のせいで組織にXパーセントの影響を与えた」と伝えても、新入社員にはイメージしづらく、理解が難しいでしょう。

言動を改善してもらうためには、部下が理解できる伝え方で伝えることが大切です

7.長い時間叱り続ける

長時間叱り続けることはやめましょう。何に対して叱っているかという重要なポイントが曖昧になり、メッセージが伝わりにくくなるためです。また、長時間叱られ続けるのはモチベーションも低下させます

たとえば、「打ち合わせの資料作りが終わってないってどういうこと?今まで何してたの?さっき同期と楽しそうに話していたように見えたけど、雑談はやることをやってからにしてくれる?資料がない状態でどうやって打ち合わせを進めるの?〜〜〜」などです。上司が感じている不安や怒りを伝え続けても何の解決にもなりません。
また、長く叱り続けることは、上司自身の時間も使ってしまっていることになります。

どのように叱ることが効果的で改善を促せるのかを考えて叱るようにしましょう

叱る際にはこのようなポイントを意識し、部下の成長を妨げないように注意しましょう。
また、管理職の悩みとは?│解決するための有効な対処方法も説明では、管理職が抱えている悩み「矛盾や対立関係」の対処方法についても解説をしています。
具体的な事例をもとにポイントもご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

5)まとめ〜アーティエンスでは部下育成の学びを研修でサポート〜

本コラムでは、部下育成で大切な褒め方と叱り方についてお伝えしました。下記に改めてまとめます。


効果的な部下の「褒め方」

・具体的に褒める
・小さな変化・成長を褒める
・I(アイ)メッセージで伝える
・結果だけでなく行動やプロセスを褒める
・気づいたときに褒める
・第三者の言葉を用いて褒める
・部下のポジティブな気持ちに共感する
・感謝を伝える

逆効果になり得る部下の「褒め方」

・お世辞で褒める
・抽象的な内容で褒める
・上から目線で褒める
・自分の自慢を含めて褒める
・外から見える部分ばかり褒める
・他者と比較して褒める
・ご褒美をあげる

効果的な部下の「叱り方」

・他の人がいない場所で叱る
・端的に伝える
・部下の話を聞いた上で叱る
・事実を元に叱る
・自分の失敗談を交えて伝える
・期待していることも伝える
・叱って終わりではなく改善策を一緒に考える

逆効果になり得る部下の「叱り方」

・自分の感情の捌け口として叱る
・人格を否定する
・他人と比較する
・過去のことを持ち出す
・抽象的な言葉をつかう
・部下のレベルにあわせていない
・長い時間叱り続ける

叱る際にはこのようなポイントを意識し、部下の成長を妨げないように注意しましょう。

なお、アーティエンスの育成担当者・OJTトレーナー研修では、部下の成長を促すための伝え方を含めた、部下育成のために必要なスキルの学びをサポートしています。お気軽にご相談ください

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