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新入社員の独り立ちを加速!組織ができるサポート4選
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【Q&A付】新入社員への接し方に困ったら!押さえるべき5つのポイント
更新日:
「新入社員とうまく接することができず、関係が築けていない…」
「新入社員との接し方で気をつけるべきことは?」
自分では良かれと思った接し方が、新入社員にハラスメントとして受け止められてしまうなど、新入社員との接し方に難しさを感じている方も少なくありません。
働き方やキャリア観が多様化するなかで、新入社員の「常識」や「価値観」は大きく変わってきており、従来型のOJTや指導法では成果が出にくくなっています。
だからこそ今必要なのは、スキル以前に「どのように関わるか」という“接し方”を見直すことです。
一人ひとりの個性を尊重し、信頼関係を築きながら育成していくことで、若手の主体性や行動力を引き出す土台が整い、結果として組織の成果にもつながっていきます。
本コラムでは、現場・人事・経営の視点をふまえ、新入社員との信頼関係を築くための「5つの接し方のポイント」と、よくある6つの悩みに対する具体的な対応策をご紹介します。
新入社員が組織になじむまでには、おおよそ3ヶ月かかるとも言われています。
本コラムを参考に、まずは3ヶ月、5つのポイントを意識しながら接することで新入社員と良好な関係構築を築いていきましょう。

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専門性:新入社員・若手社員、採用・育成
目次
1)トラブル防止!新入社員の接し方「5つのポイント」
新入社員との接し方で気を付けたいポイントは、次の5つです。
【意識すべき5つのこと】
1. 価値観の違いを前提にする
2. 新入社員を一括りにせず、個人として見る
3. 物事の背景を共有する
4. 失敗は一緒に改善する
5. 新入社員が仕事に求めることを理解する
1. 価値観の違いを前提にする
新入社員と接するうえで大切なのは、「価値観は違っていて当然」と考えることです。
新入社員と他の社員では、育ってきた環境も常識も異なります。年齢や世代の違いがあるほど、「普通こうするでしょ」「これが常識でしょ」といった感覚のズレが起きやすくなります。
この前提がないまま接すると、自分の価値観を押しつけてしまい、無意識に相手を否定する形になりかねません。
たとえば、新入社員が休みの連絡をLINEで送ってきたとします。
これに対して、「連絡は電話でするのがマナーだ」と違和感を覚える人もいるかもしれません。
しかし新入社員側には、「電話だと外出中でつながらない可能性があるし、取り次ぎの手間をかけるのも申し訳ない。LINEなら確実に本人に届く」といった意図があるかもしれません。
また、日常的に予約や問い合わせをチャットで済ませる文化の中で育っているため、「電話をかける」という発想自体が自然に浮かばないこともあります。
こうした背景を理解せず、「非常識だ」と一方的に判断してしまうと、新入社員は「なぜ怒られたのか」が分からないまま萎縮してしまい、信頼関係にもひびが入ります。
だからこそ、「価値観は違っていて当然」という前提を持って接することが重要です。
その視点があると、相手の行動の背景を冷静に捉えたり、丁寧に確認することができるようになります。結果として、お互いに納得できる対応や改善策を見つけやすくなり、信頼関係も自然と築かれていきます。
【参考】「新入社員がやばい…」と感じ時に試すべき2つの対処法
2. 新入社員を一括りにせず、個人として見る
新入社員は「一人の個人」として向き合うことが大切です。
近年は「Z世代の特徴」など、世代ごとの傾向に関する情報が多く出回っています。確かに、そうした情報は新入社員を理解する一つの手がかりにはなります。
ただし、それはあくまで“傾向”であって、“その人自身”を示すものではありません。全員に当てはまるわけではなく、個人差は大きいのが実情です。
たとえば、「Z世代はフィードバックを苦手とする」と言われることがあります。
しかし実際には、「フィードバックを受けて成長したい」と前向きに捉えている新入社員も少なくありません。にもかかわらず、先入観から「伝えすぎない方がいいかな」と遠慮してしまえば、本人の成長機会を奪ってしまうことにもなります。
だからこそ、世代や傾向にとらわれすぎず、目の前の一人ひとりと丁寧に向き合うことが大切です。
傾向やデータを参考にしながらも、それに縛られず、その人の個性や背景を尊重して接することで、信頼関係も築きやすくなります。
3. 物事の背景を共有する
新入社員に伝えるときは、「背景」や「意図」もセットで伝えましょう。
最近の新入社員は、タイムパフォーマンスを重視する傾向があり、「この仕事は何のためにやるのか?」「どこにつながるのか?」が見えないと、モチベーションにつながりにくいことがあります。
たとえば、「とりあえずこれやっておいて」とだけ指示された場合、意味や目的が見えず、ただの作業として受け取られてしまうこともあります。
一方で、「明後日の商談でお客様に渡す大切な資料になるから、これをまとめてほしい」と伝えれば、業務の重要性が伝わり、新入社員も納得感をもって取り組めます。
このように、背景や意図を伝えることで、仕事の意義が伝わりやすくなり、やりがいや納得感が生まれます。
結果として、お互いに仕事を進めやすくなり、信頼関係の構築にもつながっていきます。
4. 失敗は一緒に改善する
新入社員が失敗したときは、責めるのではなく「一緒に改善する姿勢」で向き合うことが大切です。
失敗を頭ごなしに叱ってしまうと、「また怒られるのでは」と不安になり、挑戦や行動を避けるようになってしまうことがあります。
大切なのは、「なぜ失敗したのか」よりも、「この経験をどう活かすか」という視点です。
たとえば、新入社員が「イベントで使用する備品の発注数を間違え、当日までに足りない分をかき集めることになった」という失敗をしたとします。
このとき、「どうしてこんなことをしたんだ!」と感情的に責めてしまえば、新入社員は萎縮し、自分を責めるばかりで次に活かすことができません。
まずは、イベントを無事に遂行することに集中し、落ち着いてから振り返りの時間を設けましょう。
振り返りの際は、失敗の原因と再発防止策について、新入社員自身に考えてもらうことがポイントです。一方的に解決策を与えるのではなく、一緒に考えるプロセスを重ねることで、気づきと成長につながります。
失敗を「責める材料」ではなく、「成長のきっかけ」として捉える関わりが、信頼関係と挑戦できる風土を育てます。
5. 新入社員が仕事に求めることを理解する
新入社員が「仕事に何を求めているか」を理解したうえで接することが大切です。
働き方やキャリア観が多様化している現代では、「仕事に対する価値観」も人それぞれです。新入社員がどんな目的や期待をもって働いているのかは、一人ひとり異なります。
たとえば、ある人は「早く昇進・昇給して、収入を増やしたい」と考えているかもしれません。
一方で、「最低限の給与があればいいから、趣味やプライベートを充実させたい」と考える人もいます。
また、「仕事を通じて成長したい」という意欲を持つ人もいれば、「安定した環境で淡々と働きたい」という人もいるかもしれません。
こうした違いを理解せずに、上司自身の価値観を前提にして関わってしまうと、アドバイスや声かけの方向性がズレてしまい、かえって信頼関係を築きにくくなります。
だからこそ、新入社員の考えや気持ちを丁寧に聴き、本人の価値観を尊重した関わり方をすることが重要です。
その姿勢が、「わかってくれている」という安心感を生み、良好な関係構築や成長支援にもつながっていきます。
なお「新入社員の悩みTOP10を徹底解説!解決に導く対応策とは?」の記事では、新入社員の悩みランキングとフォロー施策を具体的に解説しています。
新入社員がどのようなことで悩み、その悩みをどのように解決すれば良いかを解説していますので、ぜひ本記事と併せてご覧ください。
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2)新入社員との接し方に関するよくある6つのお悩みに回答
現場でよく寄せられる6つの具体的なお悩みに対して、すぐに実践できる対応のヒントをご紹介します。
Q1. 新入社員がプライベートのことを話したがらず、距離が縮まりません…
無理に聞き出そうとしなくても大丈夫です。
最近の新入社員の中には、「仕事とプライベートをしっかり分けたい」と考えている人も多くいます。まずはその価値観を尊重することが大切です。
ただし、たとえば地方から出てきて一人暮らしをしているような新入社員は、周囲に頼れる人が少ない場合もあります。そうしたケースでは、気にかけてもらえること自体が安心感につながります。
もし自分から話してくれない場合は、「自分も一人暮らしのときにこういうことが大変だったんだよね」と、自分の経験を軽くシェアしてから、「〇〇さんはどう?」と自然に聞くと、少しずつ打ち解けやすくなるはずです。
Q2. 新入社員が失敗したとき、どんな声かけをすれば前向きになってもらえるでしょうか…
新入社員が落ち込んでいるときは、まず「自分も失敗したことがある」という安心感を与えることが大切です。
効果的なのは、自分が過去に経験した、同じくらいの失敗談を共有することです。
その際には、当時の心境や状況を具体的に伝えましょう。たとえば、「あのときは頭が真っ白になった」「周囲にどう思われるか不安だった」など、感情も含めてリアルに描写すると、共感が生まれやすくなります。
そして、「その失敗をどう受け止め、どんな気づきがあって、どう成長につながったのか」までを伝えると、新入社員自身も「自分も乗り越えられるかもしれない」と前向きに捉えやすくなります。
失敗は成長の通過点だと、実例を通して示すことが、勇気づけにつながります。
Q3. 自分の働き方を見て学んでほしいのに、指示を待つばかりで動こうとしません…
最近の新入社員は、「背中を見て学ぶ」という育成文化を経験したことがない場合もあります。
そのため、「見て覚えるだろう」という前提だけでは、うまく伝わらないことが多いのが実情です。
また、仕事に対するモチベーションが低い状態では、周囲の動きから学ぼうという意欲も生まれにくくなります。
まずは、新入社員自身が「なぜこの仕事をするのか」「どう成長につながるのか」を理解できるような関わりや声かけが必要です。
加えて、「見て学べ」ではなく、言葉で丁寧に説明し、実際にやって見せてから一緒にやってみるという育成スタイルの方が、今の新入社員には合っています。
育成方法を時代や相手に合わせてアップデートすることが、結果的にお互いにとってスムーズな関係づくりにつながります。
Q4. 話しかけても反応が薄く、本当に伝わっているのか分からず不安です…
新入社員の反応が薄い場合は、伝えた内容を相手に自分の言葉で言い直してもらうのが効果的です。
たとえば、「今の話を、〇〇さんなりに整理して伝えてもらえる?」と声をかけることで、どこまで理解できているのかを確認できます。
もし言葉に詰まったりズレがあった場合も、その場で補足や再説明ができるため、伝えたつもりのまま進んでしまうリスクを防げます。
また、反応が薄い理由が「緊張」「遠慮」「どう反応していいか分からない」などであることも多いため、安心して発言できる雰囲気づくりも大切です。
「理解しているかどうか」は、反応を見るだけでなく、対話の中で確認するようにしていきましょう。
Q5. 言葉で伝えた業務について、後から「分かりませんでした」と言われてしまいます…
口頭で説明したつもりでも、相手には十分に伝わっていないことがあります。特に新入社員は、わからないことをその場で聞き返すことに遠慮してしまうケースも少なくありません。
可能であれば、仕事の見本やデモを実際に見せながら説明し、その場で一度手を動かしてもらうのがおすすめです。
そうすることで、どこでつまずきやすいのか、理解が不十分な部分はどこかを早い段階で確認できます。
ただ、忙しくてそこまで時間が取れない場合は、「途中で確認に来てもらう」仕組みをつくることが効果的です。
たとえば、「3時間後に一度、進捗を教えてくれる?そのときに不明点があれば聞いてね」といった声かけをしておけば、わからないまま放置されるのを防ぐことができます。
“伝えたつもり”を防ぐには、確認の場を意図的に設けることが大切です。
Q6. 接し方によってはハラスメントになるのでは…と感じて、適切な距離感がわかりません…
最近はハラスメントへの感度が高まっており、多くの方が悩みを抱えています。
特に新入社員との信頼関係がまだ築けていない段階では、言葉の使い方に注意することが大切です。
ハラスメントの難しさは、「言った側の意図」ではなく、「受け取った側の感じ方」によって判断されるという点にあります。
たとえ冗談のつもりでも、強い言葉やネガティブな決めつけは避けるのが無難です。
たとえば、以下のような言い換えをしましょう。
NG表現 | 言い換えの例 |
---|---|
「こんなこともできないでダメだな」 | 「ここが難しかったみたいだけど、どのあたりでつまずいた?」 |
「使えないな」 | 「この業務、お願いできる?この手順でやるとスムーズだよ」 |
「何度言ったら分かるんだよ」 | 「この前の説明、分かりづらかったかもね。もう一度整理して伝えるね」 |
ポイントは、“否定する”のではなく、“支える”言葉に変えることです。
関係性ができるまでは、丁寧で柔らかい言葉を意識しながら接すると、信頼を築きやすくなります。
3)新入社員への接し方で成果が変わる!──”成功循環モデル”が示す関係性の重要性
新入社員への接し方を意識するのは、「成果につながる良好な関係性」を築くためです。
新入社員が力を発揮し、成長していくためには、まず安心して働ける関係性が必要です。関係の質が高まれば、自然と考え方や行動にも良い影響が生まれ、それが結果として表れるようになります。
この考え方は、MIT組織学習センター共同創始者 ダニエル・キム氏が提唱した「成功循環モデル」にも表れています。
たとえば、関係性が良くなると、より前向きに柔軟な意見を出せるようになり(=思考の質が上がる)、前向きに行動できるようになります(=行動の質が上がる)。
その結果、成果も上がりやすくなり(=結果の質が上がる)、さらにお互いの信頼関係も深まっていく──というよい循環が生まれます※ 当社資料より一部抜粋
逆に、関係性がうまく築けないと、考え方も行動も結果も低下し、さらに関係が悪くなるという悪循環にも陥りかねません。
つまり、新入社員の成長や成果を引き出すためには、業務の教え方やスキル指導だけでなく、日々の接し方そのものが重要なポイントです。
相手を一人の個人として尊重し、丁寧に関係性を築いていくことで、信頼が生まれ、思考・行動・成果にもよい循環が生まれます。
関わり方ひとつで、育成の質も、組織の未来も変わっていくのです。
4)まとめ|“接し方”が育成の成果を左右する時代に
新入社員の成長や成果を支えるためには、業務やスキルの指導だけでなく、日々の接し方にも目を向けることが大切です。
価値観の違いを前提に、一人ひとりの個性や背景を尊重しながら丁寧に関わることで、信頼関係が生まれ、思考や行動にも良い影響が広がっていきます。
現場で起こる多くのすれ違いやトラブルは、伝え方や関わり方のズレから生まれます。
だからこそ、育成担当者やOJTトレーナーが「どのように関わるか」を学ぶ機会が、これまで以上に重要になっています。
アーティエンスでは、そうした現場の悩みに寄り添いながら、新入社員との関係性構築や育成の質を高める育成担当者・OJTトレーナー研修をご提供しています。
「育成がうまくいかない」「トレーナーが手探りで対応している」と感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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