部下の育て方|これだけは押さえたい8ポイントを詳しく解説

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部下の育て方

「部下の価値観が理解できず、モヤモヤさせられる…」
「部下に対して親身に向き合っているつもりだけど、成長を感じられない…」
「部下が独り立ちできるように育ててあげたいのに、今の自分では力不足かも…」

このようなお悩みをお持ちの育成担当者や上司の方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

当社でも、人事や経営者の方々から、従業員の部下育成に関するお悩みをよくご相談いただきます。部下が育っていかなければ、いずれ上の役職になれる人材が不足し、組織も衰退してしまいます。

そこで、本コラムでは、育成担当者の方にこれだけはできておいて欲しいと考える8つのポイントと具体的な施策をお伝えします。部下の育て方で、育成担当者の方にこれだけはできて欲しいと考える8つのポイントは以下の通りです。

ポイント チェック欄
ポイント1 育成に対する想いと当事者意識を持っている
ポイント2 部下を育てる時間を確保している
ポイント3 部下との信頼関係を築こうとしている
ポイント4 部下を理解しようとしている
ポイント5 部下に適切な育成計画を立てている
ポイント6 部下の理解度合いに合わせたティーチングとフォローをしている
ポイント7 部下が納得できるフィードバックをしている
ポイント8 こまめにポジティブフィードバックしている

自身の部下に対する接し方を振り返る時間を作り、足りていないと感じる箇所があれば、今日から意識してより良い部下育成をできるようにしていきましょう。

監修者プロフィール

迫間 智彦

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

合計500社以上の導入実績を誇るアーティエンスでは「管理職がプレイヤーから抜け出せていない」「管理職が昔の気質のままで変われない」といった企業さまへ「研修成功事例集」を作成しました。
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    ポイント1:育成に対する想いと当事者意識を持っている

    大前提として育成担当者が部下を育てることに対する想いと当事者意識を持てている必要があります。育成に対するモチベーションによって、育成の質が変わってくるためです。

    育成担当者自身の想いや当事者意識を醸成するためには、部下育成を自分が行う意味や、部下育成をすることで起こるポジティブな影響について、自分なりの答えがある状態を作れることが大切です。そのためには下記のような内容について考える機会を設けましょう。

    ・自分が部下育成を任されたことについて、組織からのどんな期待を感じますか
    ・部下を育てることで自分にポジティブな影響があるとしたら、どんなことでしょうか
    ・部下を育てることで自分は組織に対してどのような貢献ができますか
    ・部下を育てることによって今後自分にどのようなキャリアが開かれますか

    これらの問いに対して自分なりの意味を見い出せていると、部下育成に対して想いを持って取り組みやすくなります。

    アーティエンスの育成担当者・OJTトレーナー研修は、部下育成の重要性や上司・トレーナーとしての役割を、単に「新人・部下を育成するため」だけではなく、「組織力強化のため」という観点から理解します。どんなに知識・スキルを学んでも、育成担当者が「育てる意義」を見いだせていなければ、部下育成で高い効果は期待できないためです。

    このように部下を育てることに対して育成担当者が想いと当事者意識を持てていることで、部下育成に真剣に向き合える状態になります

    ポイント2:部下を育てる時間を確保している

    部下を育てる時間を確保している必要があります。部下の成長を支援するにはある程度の時間が必要になるためです。部下を育てる時間がないと、「育てる」ではなく「指示する」になってしまったり、部下の気持ちや将来に向き合ったりすることができません。

    【部下との時間を確保するための具体的な行動】
    部下との時間を確保するための具体的な行動としては、部下育成のための予定をあらかじめスケジュールに入れておくことがおすすめです。

    例えば、毎日10時〜10時半と15時〜15時半は部下のための時間として、あらかじめ予定を確保しておくと、打ち合わせが続いて時間がなくなってしまったとか、自分の仕事で手一杯で時間が取れない、ということがなくなります。

    もし部下を育てるための時間を確保すると自分の仕事が終わらないという状態である場合は、仕事を抱えすぎな可能性があるため、上司や人事と話して調整をしてもらいましょう。

    部下育成が行えないことで最終的に困るのは組織です。人材が育たないと組織としての成長が停滞してしまうためです。組織として、育成担当者自身の仕事と育成という仕事をどのようなバランスで行うことを望んでいるか確認し、組織と育成担当者が合意できる場所を見つけましょう

    ポイント3:部下との信頼関係を築こうとしている

    部下との信頼関係を築こうとしている必要があります。関係性が良くないと質の良い仕事が生まれないためです。
    MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏が提唱した成功循環モデルによると、関係の質が結果の質に影響すると言われています。

    「関係の質が高まれば、思考の質が高まり、行動の質が高まり、結果の質が高まる、そしてさらに関係の質が高まる」という好循環が生まれます。一方、「関係の質が低くなれば、思考の質が低くなり、行動の質が低くなり、結果の質が低くなり、そしてさらに関係の質が低くなる」という悪循環も生まれるということです。

    そのため、部下を育てるためには関係の質が良い状態であることが必要です。
    部下との信頼関係を築くための具体的行動として、5つのポイントをお伝えします。

    1)周囲の人と信頼関係が築けている

    育成担当者が部下と信頼関係を築くためには、まず自身が周囲の人々と信頼関係を築くことが重要です。周囲の人から信頼されていない人を信頼するのは難しいためです。逆に周囲から「あの人はすごい!」と言われている人であれば、信頼していい人だと思いやすくなります。

    部下との信頼関係に直接的な関係がないように見えますが、部下は育成担当者が周囲からどのような人だと思われているのかは意外とみています。特に自分より長く関わっている人が、育成担当者をどう思っているのかは、将来の自分との関係を想像する参考になります。

    この後説明する約束を守る、ミスしたら謝罪する、悪口を言わないなどのことを積み重ねて、周囲との信頼関係を築きましょう。

    2)約束・納期を守る

    約束・納期を守ることで信頼関係を築くことができます。約束を守られないと、部下が自分をおざなりにされていると感じてしまうためです。

    よくあるのが元々部下との予定が入っていたところに、クライアントとの予定を入れてしまい、部下に日程の再調整をしてもらう、ということです。もちろんどうしても仕方がないこともありますが、このようなことが続くと、自分を後回しにされていると感じ、信頼関係から遠ざかってしまいます。

    仕事で関わり方で、「クライアント>社内の人」という公式を持っている人が多いですが、同じ人同士です。人として対等に接し約束を守ることで信頼関係を築きましょう。

    3)自身に非がある時は素直に謝る

    信頼関係を築く上で、自分に火がある時は素直に謝ることも一つのポイントです。ミスに対して謝ることをせずに言い訳をされると信頼できなくなってしまいます。

    例えば、育成担当者が打ち合わせの時間を間違えていて部下を待たせてしまったという時や、すべきことを失念していて部下が予定通りに仕事に取り組めなくなった時などは、恥ずかしい思いはあると思いますが、言い訳をするのではなく謝ることが必要です。
    ちゃんと謝罪をすると、場合によっては、育成担当者でもミスすることあるんだと、部下が親近感を覚えたりもします。

    人はいつになっても失敗やミスをします。その時に、どのように立ち振る舞うかを見せることも部下育成につながります。

    4)他者を非難しない

    信頼関係を築くためには、他者を非難しないようにしましょう。他者に対する愚痴などを話しているということを知ると、自分も裏では悪く言われているのではないかと不信感に繋がります。
    また、部下が育成担当者に悪く思われないようにという意識が働くと、自身の意見をオープンに伝えることも難しくなります。

    お互い、正直でオープンなコミュニケーションをとれるようにするためにも、悪口と捉えられてしまうような発言は避けるようにしましょう。

    5)部下を頼る

    信頼関係を築くために、部下を頼ることも一つの方法です。部下は育成担当者から頼られると、頼りにしてもらっていることに対して嬉しさを感じるためです。

    部下に頼る部分は小さくても大丈夫です。例えば、「営業資料のこの文章、どっちの方がお客さんに伝わると思う?」と2択を選んでもらうことも頼ることになります。
    部下を頼ることは、問題や課題を共有し、協力して解決策を見つけるための土台となり、オープンで率直なコミュニケーションを促します。

    信頼関係の構築には時間がかかります。日々このような行動を重ねていくことで部下との信頼関係が構築され、質の良い仕事を生み出せます。

    ポイント4:部下を理解しようとしている

    部下を理解しようとしている必要があります。部下を知ることで、適切な支援をできるようになるためです。
    部下を理解するための具体的な行動としては、次の3つがあります。

    1)なりたい姿や、やりたい仕事を知る

    部下を理解するためには、部下のなりたい姿ややりたい仕事を知ることが必要です。そこに近づくための支援ができると、部下にとっても育成担当者にとってもポジティブな結果となるためです。

    なりたい姿ややりたい仕事の話は業務中にしにくいこともあるため、1on1などの時間を活用して確認してみましょう。

    例えば、アーティエンスでは、毎月1回の1on1と別に3ヶ月に1回成果・成長報告会を実施しています。ここでは、やってみたい仕事の話や、仕事という枠にとらわれずに人生の目標や目指していることなどもシェアします。これらを共有できていると、組織として新しい取り組みをするときに声をかけれるため、お互いにとって良い状況をつくれます。

    部下がやりたいと思っていることと、組織が必要としていることを知らなかったために機会を与えることができなかったという状況はとても残念です。
    ありたい姿は日々かわっていくため、このようなことがないように、定期的に対話して、部下が描いている未来を確認することが大切です。

    【参考コラム】
    【例文付き】コーチング型1on1|部下の変容を促す進め方を詳しく解説

    2)得意・苦手意識のあることを知る

    部下が何を得意としていて何を苦手としているのかを知っておくことも必要です。適正に合わせた仕事を依頼しやすくなるためです。
    部下の特性を知らずに、部下が苦手としている仕事ばかり依頼していては、成果も出ず、育成も苦労することになります。

    もちろん苦手意識のあることでも、仕事としてしてもらう必要があるものもあると思います。ただ、そのやり方も部下の特性に合ったやり方でできないか工夫をすることで、ミスの回数が減ったり仕事の質が上がる可能性があります。

    組織はそれぞれいろんな特性を持っている人がいることで成り立っています。部下の特性を今の仕事や組織で活かせる方法を一緒に探していくことも部下を育てることの一つです。

    3)部下の話を聞き切る

    部下を理解するために、部下の話を聞ききることも重要です。部下は自分の意見や話を真剣に向き合ってくれていることで、尊重してくれていると感じるためです。

    2022年に株式会社チームスピリットが実施した調査によると、【自分らしく幸せに感じられる状態(ウェルビーイングな状態)で働くために上司に期待する行動・姿勢】の第1位が「傾聴」でした。
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    引用:ビジネスパーソンのウェルビーイングに関する実態調査

    部下にとって自分の話を最後まで真剣に聞いてもらうことが良い状態で働くことにつながることがわかります。

    急いでいるときだと、自分の仕事をしながら話を聞いてしまっている人もいるでしょう。しかし部下と話すときは、部下の方を向いて相槌をしたり、部下が言ったことを繰り返したり要約しながら話を聞いていることがわかるように対応するように意識する必要があります。

    これらのことを行い、部下のことを理解できるようになると、お互いに仕事がやりやすくなったり、仕事の質が高まっていきます

    【参考コラム】
    傾聴って何?3つの種類と意識すべきポイント|「育成しやすい土壌創り」に繋がる傾聴とは

    ポイント5:部下に適切な育成計画を立てている

    部下の成長を支援するための適切な育成計画を立てている必要があります。目指すべきところとそのためにやるべきことを明確になっていると育成しやすくなるためです。

    部下の育成計画を立てるための具体的行動は、次の3つです。

    1)明確なゴールを設定する

    明確なゴールを設定をすることで、すべきことが明らかになります。この際、意識したいのがSMARTの法則です。
    SMARTの法則というのは、ジョージ・T・ドラン氏が提唱した理論で、5つの成功因子によって構成されています。目標を設定する際には、このすべての要素が含まれているかをチェックしましょう。
    例えば、「今年の3月までに1人で営業できるようになり、10件の継続案件と5件の新規案件を獲得する」はSMARTの法則に則った明確なゴールになっています。

    ゴールが明確になることで、今の自分の状況を客観的に振り返ることもでき、部下自身が主体的に仕事に取り組む姿勢も見えてきます。

    2)部下に仕事を「任せる」ことを前提とした計画にする

    部下に仕事を「任せる」ことを前提とした計画にしましょう。最終的には部下に自立してもらうことがゴールだからです。

    任せてみるというところから、任せきるというまでにグラデーションを作り、徐々に任せきれる状態を作りましょう。
    任せる仕事内容や部下の状態によってタイミングが変わるため、予定として計画は立てておきますが、状況に合わせて柔軟に対応することも必要です。

    3)細かく目標を設定して、達成できたという感覚を持てるようにする

    目標を細かく設定して達成感を持てるようにしましょう。成長や前に進んでいる感覚を得られるためです。

    そのため、育成方法の中で設定するゴールは長期的なものだけではなく、中期、短期的なゴールも設定することをおすすめします。短期的なゴールとしては1日単位〜1ヶ月あたりで頑張れば達成できそうな明確なゴールを設定しましょう。短い期間のゴールがあると少なくとも毎月1回は達成感を味わうことができるため、モチベーションを維持しやすいです。

    これらのことを行い、部下にとって適切な育成計画が立てられていると、やるべきことが見えてきて部下を育てやすくなります

    ポイント6:部下の理解度合いに合わせたティーチングとフォローをしている

    部下の理解度合いに合わせたティーチングとフォローをしている必要があります。部下を育てるには、新たな業務を部下が一人でできるようにしていくことが必要なためです。
    適切な育成計画を立てるためには、次の3つを意識しましょう。

    1)ティーチングの基本的な進め方を理解する

    ティーチングの基本的な進め方は次の通りです。

    まずは部下がこれからやることをイメージできるようにするためにやってみせます。その後に、具体的な説明をし、その場で部下にやってもらいます。そうすると理解し切れていなかったり、伝え忘れている部分が見つかるため、追加で説明します。

    この流れで進めると、部下はどのように仕事を進めたら良いのかを理解しやすく、スムーズに仕事を進めることができます。

    2)相手の目線に立って伝える

    部下の理解度合いに合わせてティーチングをするためには、相手の目線に立って伝えることが重要です。相手が理解できていないと、教えたことにはならないためです。

    例えば、専門用語を使う時は相手の理解度に合わせて意味も合わせて伝えたり、相手のモチベーションや意欲に合わせた言葉を選ぶことを意識するだけでも部下が理解しやすくなります。

    なお、伝えるには、三段階あると言われています。自身がどのレベルでティーチングできているのかを客観的にみて、より上の段階に進めるように意識しましょう。

    3)教えて終わりではなく、できるようになるまでフォローする

    1度教えたことに対してできるようになるまでフォローすることが必要です。1度のティーチングだけでスキルを身につけるのは難しいためです。

    もし3回以上同じところでつまずいているようであれば、部下が育成担当者の話しを理解できていない可能性が高いです。その際は、育成担当者が説明したことを部下の言葉で言い直してもらい、理解度合いを確認しましょう。何がわかっていないのかがわかると、フォローしやすくなります。

    これらのことを行い、部下の理解度合いに合わせたティーチングとフォローを行えると、部下ができなかったことができるようになっていく過程を感じることができ、部下の成長を実感できます

    ポイント7:部下が納得できるフィードバックをしている

    部下が納得できるフィードバックをしている必要があります。フィードバックに対して納得性を感じられないと、部下に改善が見られないためです。

    部下が納得できるフィードバックをしていくために意識すべき点は、次の2つです。

    1)部下の考えや背景を確認する

    部下のアウトプットに対する考えや背景を確認しましょう。背景を確認しないと、部下の思いや考えとズレた観点でのフィードバックとなってしまい、部下の納得性が弱くなってしまうためです。

    伝え方としては、以下のようなイメージです。

    ●(アウトプットを見て)「作成ありがとう。まず、〇〇さんがどういう意図で作ったかも含めて説明をお願いできる?」
    ●(アウトプットを受け取って)「ありがとう。私のアドバイスが〇〇さんの意図とズレていたら申し訳ないから、もし〇〇さんなりに意識したこととか意図とかがあれば教えてくれる?」
    ●(打ち合わせでの発言に対して)「その意見の背景について教えてもらえる?」

    部下の意図を確認しない状態が続くと、「自分なりに考えて〇〇をしたのに、自分の考えを聞こうともしてくれないし、理解もしてくれないなら、もう言われたままやった方が楽だな」という思考に切り替わり、部下の主体性がなくなってしまいます。そうならないようにするためにも、まずは、部下がどのような意図で言動をしたのかを確認しましょう。それに合わせたフィードバックを行えると部下にとって納得できる内容となります。

    2)フィードバックする目的を伝える

    フィードバックをする目的を伝えましょう。目的が見えていないと、ただ自分の仕事を否定されたと受け取ってしまう部下もいるためです。

    フィードバックの一番の目的は成長支援です。部下の仕事を否定したいというわけではなく成長を支援したいという思いがしっかりと伝わると、フィードバックに対してネガティブな反応が見られなくなります。

    伝え方の例としては、以下のようなイメージです。

    ●「〇〇さんが〜〜について意識して作成したことは伝わったので、アウトプットをさらに良くするためにフィードバックを伝えても良い?」
    ●「〇〇さんは、もう一つ深いところまで考えられると、より良いものにできそうだから、そのための考え方についてフィードバックを伝えるね」

    このときに、フィードバックする対象を明確に伝えることで、部下の人格や価値観を否定しているわけではないことが分かりやすくなります。また理解もしやすくなります。

    部下を否定したいわけではなく、成長を期待しているためのフィードバックであることが伝わるようにしましょう。

    これらのことを行い、部下が納得できるフィードバックを行えていると、部下自身も育成担当者も成長を感じることができます

    ポイント8:こまめにポジティブフィードバックしている

    部下に対してこまめにポジティブフィードバックをしている必要があります。ポジティブフィードバックをもらえると良いところや成長を見てくれていることへの感謝や、純粋な嬉しさがあり、部下にとって仕事の原動力につながるためです。

    こまめなポジティブフィードバックをするうえで、意識したい2つのポイントをお伝えします。

    1)ポジティブ:ネガティブ=5:1の割合を意識

    フィードバック内容の割合は「ポジティブ:ネガティブ=5:1」を意識しましょう。上司として部下にもっと成長してほしいという思いが強いと、改善点ばかり見つけてしまいがちだからです。
    部下の発言や行動の中で「できたこと」「良かったこと」に注目して指摘し、本人の自信やモチベーションを引き上げ、個人の強みを更に伸ばすような支援をします。できたことや良かったことは他者と比べるのではなく、過去の部下と今の部下の状態の比較で伝える必要があります。

    意識しないとネガティブフィードバックが多めになりやすいため、改善点を1つ伝えるときは他にポジティブなことを4つ出せるかを考える時間を持てると良いでしょう。

    【参考】「ポジティブ:ネガティブ=5:1」の割合を推奨する理由
    なぜ「5:1」の割合を推奨するかというと、夫婦の離婚率予測で有名なジョン・ゴットマン博士(Dr. John Gottman)が、この割合で互いに関わることが良好な夫婦関係の維持においては非常に重要である、という研究結果を導き出したからです。
    博士はこの研究結果を基に、リーダーシップやフィードバックの分野においても大きな影響を与えており、職場においても、「5:1」の割合でポジティブなやり取りを日々意識することが重要だと言われています。

    2)ほめることがなければ、感謝の気持ちを伝える

    どうしてもポジティブフィードバックするところが見つからないという場合は、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。感謝してもらうことで、役に立てたという嬉しさや、自分がいる意味を実感できるためです。

    ただ、もちろん嘘で伝えてもその想いは伝わりません。そのため、どんな些細なことでも心から感謝していることを見つける意識が必要です。
    例えば、ゴミを片してくれて助かったとか、打ち合わせの時間をリマインドしてくれて助かったとか、議事録がわかりやすくて助かったなどがあるかもしれません。

    ポジティブフィードバックや感謝の気持ちを伝えるためには、部下のことをよく見ていないと難しいです。日頃から部下の様子を見て、感謝を伝えられることを探しておきましょう。

    これらのことを意識してこまめにポジティブフィードバックをすることで、部下が仕事に対して前向きに取り組めるようになり、以前と比べて仕事のパフォーマンスの高まりを感じることができます

    ここで紹介した8つの内容は、育成担当者としてできていてほしいポイントです。紹介してある具体的な行動の中でまず初めにやりたいことを1つ決めて早速今日から実践していきましょう。

    まとめ:アーティエンスでは研修を通して部下にあった育て方を学べます

    本コラムでは、育成担当者の方にこれだけはできておいて欲しいと考える8つのポイントと具体的な施策をお伝えしました。部下の育て方で、育成担当者の方にこれだけはできて欲しいと考える8つのポイントは以下の通りです。

    ポイント チェック欄
    ポイント1 育成に対する想いと当事者意識を持っている
    ポイント2 部下を育てる時間を確保している
    ポイント3 部下との信頼関係を築こうとしている
    ポイント4 部下を理解しようとしている
    ポイント5 部下に適切な育成計画を立てている
    ポイント6 部下の理解度合いに合わせたティーチングとフォローをしている
    ポイント7 部下が納得できるフィードバックをしている
    ポイント8 こまめにポジティブフィードバックしている

    これら8つのポイントさえ押さえておけば、部下の成長を感じることができます。本コラムで紹介した具体的な行動をヒントに、足りていないと感じる部分については今日から実施して行きましょう。

    なお、アーティエンスでは研修を通して部下にあった育て方を学べる機会をサポートしています。

    サポート①
    育成担当者・OJTトレーナー研修を通して、OJTトレーナーの育成スキルの向上をサポートします。本研修では、Z世代とも呼ばれる今の若手社員の傾向・特徴をふまえた育成方法・考え方をお伝えします。一方通行な指導ではなく、新人・部下の主体性と当事者意識を引き上げ、最終的にはかれらの自律自走を促していけるような育成スキルの習得を目指します。

    サポート②
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    参考:期待通りの仕事が返ってくる!デキる部下を育てる伝え方のコツ
    株式会社ウゴカス