2023/5/19作成ー
「研修講師の育成を行いたい」
このような問題意識を持って、本コラムにたどりついたのではないでしょうか。
研修講師を育成するにあたって、人事の方から、下記のような問題意識をよくお聞きします。
研修講師の育成を行う上で、どれもとても大事な問題意識だと思います。
研修やトレーニングは、すべて外注で行うことは不可能です。必ず社内講師で、研修を行う場面が出てきます。 そのため、研修講師を育成することで、より学習の場が良いものになっていきます。
内製化による予算削減に関しても、外部の力を借りないといけない研修に対して、しっかりお金をかけていくために必要でしょう。 人事のキャリア開発として、研修講師という道を設けることで、人材開発・組織開発のスペシャリストになっていくのであれば、本人にとっても、組織にとっても、素晴らしい未来が切り拓かれるのではないでしょうか。
本コラムでは、「研修講師を育成するには、どのような内容を抑えないといけないのか」ということをお伝えします。そして最後までお読みいただくと、「研修講師を育成するにはどうしたらいいのか」が、具体的な内容で理解ができます。
目次
研修講師を育成する際に、必ず抑えるべき内容として、下記2点が必要です。
それぞれ説明していきます。
研修講師を育成する際には、研修の企画力を身に付けることが重要です。
研修の企画力を身に付けなければ、研修プログラムの理解ができませんし、受講生への効果的なアプローチができません。
具体的には、下記の内容2点を身に付ける必要があります。
それぞれ説明していきます。
研修後や現場に戻ってから、どのような行動変容・認知変容が起きるかなどを定義するための力を養う必要があります。そのためには、研修参加者の課題や、参加者の取り巻く環境(組織課題、事業課題、外部環境など)を把握して、研修の要件定義を考えていく必要があります。
例えば、下記は当社の社会人の自覚研修の要件定義の内容になります。
※当社、資料より一部抜粋
この力がないと、他の人が開発した研修の講師を行う際に、研修の理解が薄くなり、講師としてのパフォーマンスも低くなるためです。
このように研修講師は、研修の要件定義を行う力が必要になります。
研修の要件定義を達成するために、最も効果的な研修プログラムを提供するために、研修プログラムを開発する力が必要になります。
例えば、
などから、最も適切なものを選んで、研修効果を上げていく必要があります。
このように研修講師は、研修のプログラムを開発する力が必要になります。
研修講師を育成する際には、研修講師としてのベーシックスキルを身に付ける必要性があります。
研修講師としてのベーシックスキルが身に付いていなければ、安定的に高品質の研修は提供できません。
研修講師としてベーシックスキルを身に付けるために抑えておきたいポイントは、下記3つにになります。
それぞれ説明していきます。
講師は自身の存在がとても重要です。ここをクリアできていない方に対して、どんなに育成をしても講師として高いパフォーマンスは発揮できません。なぜなら、講師としての存在感がなければ、受講生は前向きに講師の話を聞かないためです。
具体的には「信用できる存在か」と、「安心できる立ち振る舞い」です。
「信用できる存在か」は、研修テーマに対して、「ビジネスマンとしての実績があるか。専門スキルや知識はあるか」と、「そもそも人として尊敬できる人(人として成熟度)かどうか」ということです。この二つを満たしていなければ、どんなに本人が講師をしたくても、パフォーマンスの高い講師にはなりません。
次に、「安心できる立ち振る舞い」ですが、下記内容などが当てはまります。
こちらは、「信用できる存在か」と違い、トレーニングですぐに解決することが可能です。このように、講師は存在がとても重要であり、ここがクリアできていない方は、育成をしても講師として高いパフォーマンスを発揮できません。
講師は、講義やワークの説明などを分かりやすく説明する力が求められ、身に付ける必要性があります。講義や、個人ワーク・グループワークをする際の手順・説明などが分かりづらければ、受講生は何が重要かわからなかったり、何をしたらいいかわからなくなり、研修や講師自身に対してネガティブな感情を持つことになります。
説明の仕方の原則としては、「WHAT・WHY・HOW」で説明するといいでしょう。
例えば、講義でしたら、
などです。またワークの説明においては、下記を抑えるといいでしょう。 ※当社、研修講師育成資料より一部抜粋
また、受講生の理解度なども見て、下記のように臨機応変な対応も求められます。 ※当社、研修講師育成資料より一部抜粋
講師は、講義やワークの説明などを分かりやすく説明する力が求められ、身に付ける必要性があります。
講師は、受講生の質問などに関して、的確に捉えて、適切な回答を伝えるためのインタラクティブコミュニケーション力が求められます。どんなに素晴らしい講義や、研修を提供しても、受講生の質問に関して、適切に答えられなければ、受講生の学びは弱くなる可能性が出ます。そのため、受講生の質問に関して、的確に捉えて、適切に回答していく必要があります。
的確に捉えるためには、受講生の質問を正確に捉えていきます。受講生の質問が分かりづらい場合は、状況を正確に把握するために、質問に関して具体的な内容を聴いたり、質問をした背景を聞くといいでしょう。
適切な回答に関しては、まずは結論を伝えます。その上で、その結論を支える根拠・理由を伝えていくといいでしょう。
分かりづらい質問に関しては、最後に受講生の質問に対して、講師自身の回答が答えになっているかを確認するとよりよいでしょう。
このように、講師は、受講生の質問などに関して、的確に捉えて、適切な回答を伝えるためのインタラクティブコミュニケーション力が求められます。
このように研修講師を育成する際には、研修講師としてのベーシックスキルの3つを身に付けるが必要性があります。
パフォーマンスの高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須です。
なぜなら、ファシリテーションスキルを身に付けることで、チーム学習の質が高まります。研修は、講師から一方的に講義を伝えるものも、ケーススタディやワークを用いるものもありますが、研修効果が最も高くなるのは、受講生同士が学びあう状況を創ることです。自分たちで学びあい、正解を出すと、その正解に対してもコミットが高まります。この状況を作るには、講師としてのアプローチよりも、ファシリテーターとしてのアプローチの方が有効です。
このようにパフォーマンスの高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須です。
ファシリテーションスキルに関して、より学びたい方は、下記コラムを参考にしてください。
【参考】講師とファシリテーターの違い
具体的には、OJTトレーナー研修を例に挙げて、お伝えします。 OJTスキルをただ講義やワークで伝えるのは、講師です。講師が答えを持っており、やり方などまで教えます。OJTを現場で行うことで、「自分の仕事が圧迫する」や「性別や世代間の違い」の悩みなどがあった場合、他の参加者との議論や対話を活性化させるのが、ファシリテーターです。
ファシリテーターは、あくまでチーム学習を高めることへの貢献になります。参加者が自分たちで正解を創ることが重要だからです。
例えば、ベーシックなスキルの習得の際は、新入社員研修などテーマに扱うといいでしょう。 研修講師の育成には、専門家の意見やレクチャーの下、育成を行う必要があります。
・実務経験が十分にあり、ハイパフォーマーであること ・人として成熟しており、自利利他の精神を持っていること
この2つを満たしていなければ、受講生は一目置かないため、研修に対しての参加意欲が高まりません。実務経験がなくハイパフォーマーでなければ説得力がありませんし、人として尊敬されていなければ言っていることが正しくても素直に受け入れないでしょう。
そのため、研修講師の育成の対象者を選定する場合は、下記2点は抑えておく必要があります。
・実務経験が十分にあり、ハイパフォーマーであること ・人として成熟しており、自利利他の精神を持っていること
具体的には、当社が研修講師のご支援をさせていただく場合は、下記のようなスケジュールで進んでいきます。
・講師育成の研修 : 1日
・自己学習 : 1カ月間程度
・講師認定テスト : 2時間
※ 認定テストに受からない場合は、再試験のため、再度自己学習をしていただきます。
このように専門家の力を借りれば1カ月間でベーシックなスキルの習得は可能です。
研修講師は常に最新の知識やトレンドにアップデートする必要があり、自己啓発や学習意欲を持つことがスキル向上の鍵となります。
※ 過去の成功体験のみの講師は、時代に取り残されて、パフォーマンスが下がっていきます。
例えば、自身の専門分野の関連書籍や研究論文の読書、セミナーや研修プログラムへの参加などは行ったほうがいいでしょう。また講師スキルを高めていくということでしたら、他の講師の登壇の場の見学や、他の研修講師との勉強会などを通じて、学習します。
研修講師の育成においては自己啓発や学習意欲が持続的な成長の基盤となり、常に向上心を持ち学び続けることが重要です。
本コラムでは、研修講師の育成に関して、お伝えしていきました。
下記内容をお伝えしました。
【応用編】パフォーマンスを高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須
「研修講師を育成するには、どのような内容を抑えないといけないのか」ということを、理解いただけたと思います。
研修講師の育成は、組織の人材開発・組織開発に大きなインパクトを与えていきますので、本コラムが参考になればとても嬉しいです。
本コラムを参考にして、あなたの組織で素晴らしい研修講師が増えることを願っています。 研修講師の育成に関して、ご興味がある方はぜひご連絡ください。