【Q&Aつき】社内研修の品質を上げる!研修講師の育成方法

更新日:

作成日:2023.5.19

セミナー講師
「研修ができる社内講師を増やしたい。そのために、講師育成方法を行いたい」
研修講師を行う予定があり、スキルアップの方法を知りたい

このような意識を持って、本コラムにたどりついたのではないでしょうか。
社内での研修講師育成ができると、

・社内研修の品質向上
・研修の内製化を促進による、予算削減を行いたい
・人事のキャリアとして、研修講師として活躍できる道がひらける

といったメリットがあります。

本コラムでは、上記のような状況の方々へ「研修講師を育成していくために、どのような内容をおさえないといけないのか」をお伝えします。そして最後までお読みいただくと、「研修講師を育成するにはどうしたらいいのか」が、具体的な内容で理解ができます。

監修者プロフィール

迫間 智彦

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

1)【基礎編】研修講師を育成する際に必要な内容

虫眼鏡 研修講師を育成する際には、下記2点のポイントをおさえましょう。

①研修の企画力を身に着けるor企画背景を深く理解する
②研修講師としてのベーシックスキルを身に付ける

それぞれ説明していきます。

研修の企画力を身に着けるor企画背景を深く理解する

研修講師を育成する際には、まず、研修の企画力を高めることが重要です。

研修の企画を担う場合には、研修の企画力自体が必要となります。また、企画が担当外であっても、企画のプロセスや背景を深く知っておかなければ、研修プログラムの理解ができませんし、受講生への効果的なアプローチができません。

具体的には、下記の内容2点について、状況にあわせて力を高める必要があります。

・研修の要件定義
・研修プログラムの開発力

それぞれ説明していきます。

研修の要件定義

研修後や現場に戻ってから、どのような行動変容・認知変容が起きるかを設定しておく必要があります。社内講師の場合は、研修講師が企画も担うケースがあります。その際には、要件定義ができる力も必要となります。

要件定義を行う際には、研修参加者の課題や、参加者の取り巻く環境(組織課題、事業課題、外部環境など)を把握して、研修の要件定義を考えていく必要があります。

例えば、下記は当社の社会人の自覚研修の要件定義の内容になります。

クリックで拡大

※当社、資料より一部抜粋

もしも研修講師が要件定義を担わない場合であっても、要件定義への理解は必須です。理解が薄いと、研修の理解が薄くなり、講師としてのパフォーマンスも低くなってしまいます。

研修プログラムの開発力

研修の要件定義を達成するために、最も効果的な研修プログラムを提供するために、研修プログラムを開発する力が必要です。社内講師の場合は、研修プログラムの開発も講師が担う場合が多いでしょう。

例えば、

・個人ワークとグループワークのどちらを行うといいのか
・ディスカッションと、ダイアログのどちらがいいのか
・ケーススタディか、もしくは受講者の課題を扱うのがいいのか

などから、最も適切なものを選んで、研修効果を上げていく必要があります。
このように研修講師は、研修のプログラムを開発する力が必要になります。

②研修講師としてのベーシックスキルを育成する

研修講師としてのベーシックスキルを身に付ける必要性があります。
研修講師としてのベーシックスキルが身に付いていなければ、安定的に高品質の研修は提供できません。
研修講師としてベーシックスキルを身に付けるために抑えておきたいポイントは、下記3つです。

・(前提)講師としての存在
・説明する力
・インタラクティブコミュニケーション力

それぞれ説明していきます。

(前提)講師としての存在

講師は自身の存在がとても重要です。ここをクリアできていない方に対して、どんなに育成をしても講師として高いパフォーマンスは発揮できません。

具体的には「信用できる存在か」と、「安心できる立ち振る舞い」です。

「信用できる存在か」は、研修テーマに対して、「ビジネスマンとしての実績があるか。専門スキルや知識はあるか」と、「そもそも人として尊敬できる人(人として成熟度)かどうか」ということです。この二つを満たしていなければ、どんなに本人が講師をしたくても、パフォーマンスの高い講師にはなりません。

次に、「安心できる立ち振る舞い」は、下記内容などが当てはまります。

・声の大きさや、話すスピード
・顔の表情、落ち着いた態度
・服装

こちらは、「信用できる存在か」と違い、トレーニングですぐに解決することが可能です。このように、講師は存在がとても重要であり、ここがクリアできていない方は、育成をしても講師として高いパフォーマンスを発揮できません。

説明する力

講師は、講義やワークの説明を分かりやすく説明する力が求められます。講義や、個人ワーク・グループワークをする際の手順・説明などが分かりづらければ、受講生は何が重要かわからなかったり、何をしたらいいかわからなくなり、研修や講師自身に対してネガティブな感情を持つことになります。

説明の仕方の原則としては、「WHAT・WHY・HOW」で説明するといいでしょう。

例えば、講義でしたら、

WHAT : 何が重要か
WHY : なぜ重要か
HOW : 具体的に何をするといいのか

などです。またワークの説明においては、下記を抑えるといいでしょう。  研修講師育成資料 ※当社、研修講師育成資料より一部抜粋

また、受講生の理解度を見て、下記のように臨機応変な対応も求められます。  研修講師育成資料 ※当社、研修講師育成資料より一部抜粋

講師は、講義やワークの説明などを分かりやすく説明する力が求められ、身に付ける必要性があります。

インタラクティブコミュニケーション力

講師は、受講生の質問に対して、的確に捉えて、適切な回答を伝えるためのインタラクティブコミュニケーション力が求められます。どんなに素晴らしい講義や、研修を提供しても、受講生の質問に関して、適切に答えられなければ、受講生の学びは弱くなる可能性が出ます。そのため、受講生の質問に関して、的確に捉えて、適切に回答していく必要があります。

的確に捉えるためには、受講生の質問を正確に捉えていきます。受講生の質問が分かりづらい場合は、状況を正確に把握するために、質問に関して具体的な内容を聴いたり、質問をした背景を聞くといいでしょう。

適切な回答に関しては、まずは結論を伝えます。その上で、その結論を支える根拠・理由を伝えていくといいでしょう。

分かりづらい質問に関しては、最後に受講生の質問に対して、講師自身の回答が答えになっているかを確認するとよりよいでしょう。

このように、講師は、受講生の質問などに関して、的確に捉えて、適切な回答を伝えるためのインタラクティブコミュニケーション力が求められます。

このように研修講師を育成する際には、研修講師としてのベーシックスキルの3つを身に付けるが必要性があります。

・(前提)講師としての存在
・説明する力
・インタラクティブコミュニケーション
  

2)【応用編】パフォーマンスの高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須

 会議中の社員  パフォーマンスの高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須です。

なぜなら、ファシリテーションスキルを身に付けることで、チーム学習の質が高まります。

研修は、講師から一方的に講義を伝えるものも、ケーススタディやワークを用いるものもありますが、研修効果が最も高くなるのは、受講生同士が学びあう状況を創ることです。自分たちで学びあい、正解を出すと、その正解に対してもコミットが高まります。この状況を作るには、講師としてのアプローチよりも、ファシリテーターとしてのアプローチの方が有効です。

このようにパフォーマンスの高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須です。

ファシリテーションスキルに関して、より学びたい方は、下記コラムを参考にしてください。

【参考】講師とファシリテーターの違い

講師とは、インストラクターであり、スキルや知識を渡す人です。
ファシリテーターとは、参加者の当事者意識と主体性を解放することで、参加者のコミットを高める存在です。

具体的には、OJTトレーナー研修を例に挙げて、お伝えします。 OJTスキルをただ講義やワークで伝えるのは、講師です。講師が答えを持っており、やり方などまで教えます。OJTを現場で行うことで、「自分の仕事が圧迫する」や「性別や世代間の違い」の悩みなどがあった場合、他の参加者との議論や対話を活性化させるのが、ファシリテーターです。

ファシリテーターは、あくまでチーム学習を高めることへの貢献になります。参加者が自分たちで正解を創ることが重要だからです。

3)研修講師の育成において、よくある質問

 会議中の社員 

Q1. 研修講師の育成にはどのような方法が効果的ですか?

【回答】

専門家の意見やレクチャーの下、育成を行うといいです。その際は、実際のロールプレイングも必要です。研修講師の育成には理論的な学習だけでなく、実践を通じた経験や、専門家からのフィードバックが重要です。

例えば、ベーシックなスキルの習得の際は、新入社員研修などテーマに扱うといいでしょう。 研修講師の育成には、専門家の意見やレクチャーの下、育成を行う必要があります。

Q2. 研修講師の育成の対象者は、どのように選べばいいですか?

【回答】

下記2点があります。

・実務経験が十分にあり、ハイパフォーマーであること
・人として成熟しており、自利利他の精神を持っていること

この2つを満たしていなければ、受講生は一目置かないため、研修に対しての参加意欲が高まりません。実務経験がなくハイパフォーマーでなければ説得力がありませんし、人として尊敬されていなければ言っていることが正しくても素直に受け入れないでしょう。

そのため、研修講師の育成の対象者を選定する場合は、下記2点は抑えておく必要があります。

・実務経験が十分にあり、ハイパフォーマーであること
・人として成熟しており、自利利他の精神を持っていること

Q3. 研修講師の育成にどれくらいの時間がかかりますか?

【回答】

個人の能力や学習スピードにより変わりますが、専門家の力を借りれば1カ月間でベーシックなスキルの習得は可能です。最低1カ月間は、専門家から学んだ内容を習得するための自己トレーニングが必要になるためです。

具体的には、当社が研修講師のご支援をさせていただく場合は、下記のようなスケジュールで進んでいきます。

・講師育成の研修 : 1日
・自己学習 : 1カ月間程度
・講師認定テスト : 2時間

※ 認定テストに受からない場合は、再試験のため、再度自己学習をしていただきます。

このように専門家の力を借りれば1カ月間でベーシックなスキルの習得は可能です。

Q4. 研修講師の育成において、自己啓発や学習意欲は重要ですか?

【回答】

研修講師の育成において、自己啓発や学習意欲は非常に重要です。

研修講師は常に最新の知識やトレンドにアップデートする必要があり、自己啓発や学習意欲を持つことがスキル向上の鍵となります。
※ 過去の成功体験のみの講師は、時代に取り残されて、パフォーマンスが下がっていきます。

例えば、自身の専門分野の関連書籍や研究論文の読書、セミナーや研修プログラムへの参加などは行ったほうがいいでしょう。また講師スキルを高めていくということでしたら、他の講師の登壇の場の見学や、他の研修講師との勉強会などを通じて、学習します。

研修講師の育成においては自己啓発や学習意欲が持続的な成長の基盤となり、常に向上心を持ち学び続けることが重要です。

4)まとめ

本コラムでは、研修講師の育成に関して、お伝えしていきました。

下記内容をお伝えしました。

【基礎編】研修講師を育成する際に必要な内容
 ・研修の企画力を身に付ける
 ・研修講師としてのベーシックスキルを身に付ける

【応用編】パフォーマンスを高い研修講師を育成するには、ファシリテーションスキルの習得が必須

「研修講師を育成するには、どのような内容を抑えないといけないのか」ということを、理解いただけたと思います。
研修講師の育成は、組織の人材開発・組織開発に大きなインパクトを与えていきますので、本コラムが参考になればとても嬉しいです。

本コラムを参考にして、あなたの組織で素晴らしい研修講師が増えることを願っています。 研修講師の育成に関して、ご興味がある方はぜひご連絡ください。