すぐできる!無駄な会議をなくす11の施策

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無駄な会議とは、「アウトプットの質」と「参加者の当事者意識・主体性」が低い会議です。


例えば、どんなにロジックが完璧で参加者が理解できていても、事者意識や主体性がなく一体感を持てていなければ、絵に描いた餅に終わるでしょう。

逆に、参加者のテンションが上がり一体感があっても、ロジックが弱ければ、具体的に前に進みません

このように、アウトプットの質と参加者の当事者意識・主体性の二つが高い水準でなければ、決定事項の効果は低迷し無駄な会議になってしまいます。

そこで本コラムでは、無駄な会議をなくすための11の具体的な施策をご紹介します。これらの施策を実践することで、会議の無駄が減り、他の業務に有効に活用できるようになります。

無駄な会議をなくし、組織全体の生産性を高めましょう

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執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

1)今からできる!無駄な会議をなくす11の施策

無駄な会議をなくすためには、「アウトプットの質」と「参加者の当事者意識・主体性」を高めることが必要です。そのための具体的な対策についてお伝えします。

アウトプットの質を高める施策 ①会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有する
②会議の概要や必要情報を事前に共有する
③適切な準備をしておく
④アウトプットを高める会議のルールを設ける
⑤状況を可視化する
参加者の当事者意識・
主体性を高める施策
⑥インビテーションを送る
⑦参加者の当事者意識・主体性を高める会議のルールを設ける
⑧チェックインを行う
⑨意思決定のルールを設ける
⑩参加者に役割を設けてTO DOを渡す
両方に影響する施策 ⑪ファシリテーターを入れる

アウトプットの質を高める5つの施策

アウトプットの質を高めるための施策として、次の5つの施策を紹介します。

1 会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有する
2 会議の概要や必要情報を事前に共有する
3 適切な準備をしておく
4 アウトプットを高める会議のルールを設ける
5 状況を可視化する

①会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有する

会議の目的・目標・アジェンダを明確に言語化して事前に共有し、共通認識を持てるようにしておくことがアウトプットの質を高めるために重要です。

目的・目標が不明確なまま会議が進行すると、参加者の焦点がぶれたり、議題から逸れる可能性が高まり、無駄な会議となりやすいです。

なんのための会議なのか、そのために今回の会議で何を決める/何を議論する必要があるのか、ということを明確にしておくことで、アウトプットの質が高まります。

例えば、アーティエンスが経営会議を行った際の目的・目標は次のような内容です。

目的
新規事業開発を通して、〇〇グループがよりチャレンジする風土を創る

目標
・新規事業開発を通して、成し遂げたいこと(共有ビジョン)のすり合わせ
・個包装機PJにおけるマーケティング戦略の仮案策定
・各部署の役割分担の決定
・スケジュールの仮決定

アジェンダ
・チェックイン
・前回の振り返り
・各チームからの情報共有
・phase1のゴール設定
・各部門の役割分担
・スケジュールの決定
・チェックアウト

このような情報を会議の参加者に事前に共有します。
また、会議の最初にもファシリテーターや司会が読み上げて確認し、共通認識を持った状態で会議に入れるようにします。

すると、会議の参加者が全員同じ方向を向いて歩めるため、会議が進みやすく、無駄な会議にならなくなります。

②会議の概要や必要情報を事前に共有する

会議の概要や必要情報を事前に共有することも、会議を無駄にしないために必要です。

会議の概要や必要情報を事前に共有されていないと、議題に関する深い理解や適切な準備ができず、議論が不毛に終わる可能性があるためです。

事前に情報がなければ、参加者はなんとなく会議に出席してしまいます。
意見を出すための情報が足りずに意見が出ない状態が続いたり、意見を考える時間が足りずに会議の時間が延長される、というようなことが起こります。

そのため、会議の前に概要や参考資料を送り、事前情報を確認したことを把握できるように簡単なアクションを設定することをおすすめします。会議の前に会議の情報を共有しておくことで、参加者は会議に備えて準備を行えます。

なお事前に確認してほしい資料がある場合は、確認をしたことがわかるように簡単なアクションを設定しておきましょう。
例えば、資料に目を通したら、チャットのリアクションボタンを押してもらうようにする、というのも一つの方法です。

他にも、事前準備として前回の議事録の見直しと設定されていた場合に、「議事録を見直して今感じること」を記載してもらうというアクションを設けるのも良いでしょう。そのコメントを他の参加者も見られる状態だと、会議の準備がしやすいです。

アクションを設定することで、アクションがない人に対してリマインドできるため、準備不足の人がいる状態を避けられます。皆が同じ情報を持っている状態で始められることは、アウトプットの質を高めるために重要です。

③適切な準備をしておく

会議の準備を万端に整えておくことも、無駄な会議をしないことにつながります。準備が整っていない状態では、そのために会議が停滞したり、暇な時間が生まれてしまうためです。

適切な準備というのは主に、レイアウトと備品の準備です。

レイアウトはさまざまあるため、下記の図や表にまとめている特徴を参考に、会議の内容に適切なレイアウトを選択しましょう。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

【参考】レイアウトごとの特徴

お薦めの場面 場によって生まれる状況 注意点
スクール形式 講義・講演など かしこまった雰囲気を作れ、話を聞く・勉強するという文脈になりやすい 「先生・生徒」や「講演者・聴講者」という分断が生まれ、上下の関係が生まれる
コの字形式 プレゼン・上程会議など プレゼンターの話を評価判断するという文脈になりやすい 評価する人・評価される人という分断が生まれ、共創・協働は起きにくい
島形式 会議・研修(一つの島で少人数)など 議論・対話を行いやすい場を創ることで、アウトプットを出すという文脈になりやすい 島の中で人と人の距離がある場合は分断が生まれ、共創・協働が起きにくい
シアター形式 ワークショップ・講演など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして話を聞くという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
バズ形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる
サークル形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる

備品は会議の内容によって変わりますが、備品の例を参考までに紹介します。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

会議の目的によって必要な備品をリスト化し、当日の準備がスムーズに行えるようにしておきましょう。何枚使うか予想できない用紙や付箋などの備品は少し多めに用意しておくと安心です。

④アウトプットを高める会議のルールを設ける

アウトプットを高める会議のルール設けることで、会議がスムーズに進みやすくなり、会議の無駄をなくすことにつながります

例えば、参加者の中に自分の利益だけを考えて発言する人がいるとします。しかし、次のようなルールが定められていると、そのような自己中心的な意見はルールに反するため、出しにくくなります。結果として、全体の利益を考える意識が生まれます。

このようなルールによって、お互いの状況に配慮しながらも、時には衝突を乗り越えて、コミット高く物事を前に進めるようになります。

このように会議でのルールを設けておくことで、ルールに則った行動を促しやすくなり、アウトプットの質が高くなります。そのような会議は無駄な会議とはなりません。

ルールの内容は会議で何を求めるかによって調整が必要です。具体的なルールの作り方についてはこちら「プロファシリテーターが伝授!失敗しないグランドルールの作り方と扱い方」のコラムをご覧ください。

なお、ルールを設ける際は「ルールがなぜ大切か」を伝えることがとても重要です。ルールが、大切なものだという認知になると、自然とルールが守られるようになるためです。ルールを設けている背景を含めて説明することで会議の場が整います。

⑤状況を可視化する

会議の情報量が多く理解が難しくなってきた時や、議論が停滞してしまったときなどは、状況を可視化して整理すると、参加者間での共通理解が促進され、議論が前進しやすくなるため、無駄な会議になりづらいです。

状況を可視化するためには、ホワイドボードやスライドに、図などでまとめることがおすすめです。下記の4つは、会議やワークショップの際に使い勝手がいいフレームワークになりますので、ご紹介します。

・分かっていることと、分からないこと
・マトリックス
・プロセス図
・KPT

以下にそれぞれ説明します。

「分かっていることと、分からないこと」

対話・議論の始めに活用することでお互いの背景が分かります。背景が分かることで、参加者の認知が広がり、議論や対話を深く行うための準備段階として活用できます。

具体的には、下記のような表を用意して、個人で考えてもらい、その後まずは「わかっていること」について順番を決めずにシェアし、次に「わからないこと」を順番を決めずにシェアしてもらいます。そして出来上がった表を見て、感想や質問、伝えたいことを話すと、お互いの背景がわかるため、後の対話や議論の際に影響を与えられます。
 分かっていることと分からないこと

マトリックス

万能型のフレームワークです。議論・対話の整理から意思決定まで、さまざまな場面で活用が可能です。

例)意思決定を行う際のマトリックス

議論したいことについてマトリックスで整理することで、理解しやすくなり、意見が出やすくなります。

プロセス図

万能型のフレームワークです。事業の推進のゴール設定や、振り返りなどさまざまな場面で活用が可能です。

例えば、新規事業のゴールを設定する会議の場合は、次のようなプロセス図になります。

プロセスをわかるように可視化することで、イメージしやすくなり、より良い意見が出やすくなります。

KPT

振り返りの際に用いるフレームワークです。
KEEP(続けるもの)、PROBLEM(改善するもの)、TRY(次回チャレンジするもの)を洗い出して、次回をより良いものにしていきます。

これらのフレームワークの具体的な使い方については「ファシリテーションを支える6つのフームワークを知ろう│注意点にも言及」をご覧ください。

フレームワークを用いて状況を整理することで場が動き出し、質の高い会議にできます。

アウトプットの質を高めるためにこのような施策を行い、無駄な会議をなくせるようにしましょう。

参加者の当事者意識・主体性を高める5つの施策

参加者の当事者意識・主体性を高める施策として、次の5つの施策を紹介します。

1 インビテーション(招待状)を送る
2 参加者の当事者意識・主体性を高める会議のルールを設ける
3 チェックインを行う
4 意思決定のルールを設ける
5 参加者に役割を設けてTO DOを渡す

①インビテーション(招待状)を送る

会議のインビテーションを送ることは参加者の主体性を促しすために効果的です。会議の前にインビテーションとして会議の概要や目的、アジェンダ、事前情報を渡すことで、参加者は会議の内容を事前に理解し、必要な準備を行えます
会議で何を議論するのか、どのような貢献が期待されているのかを把握しやすくなり、心の準備が整いやすいです。
前々から会議の予定や内容が決まっていると、参加者は心構えを持って会議に臨めます。

また、インビテーションを受け取ることで、参加者は自分が会議の重要な一部であると感じ、参加意欲の向上につながります

インビテーションの送り方は、普段使用しているメールやビジネスチャットで送ると受け手は確認しやすいです。

②参加者の当事者意識・主体性を高める会議のルールを設ける

参加者の当事者意識・主体性を高める会議のルールを設けることも、無駄な会議をなくすことにつながります。主体的に参加することがルールとなっていると、無意識的にもそのことを意識し、ルールが設けられていない場合と比べて、参加意識が高まるためです。

例えばルールの中に「対等で自由な立場で参加する」と定められていると、その状態であることが前提としてマインドがセットされやすいです。

アーティエンスで、参加者の当事者意識と主体性を促す際には、会議の内容によって調整しますが、基本的には次のようなルールを用いています。

このようなルールを用いることで、自然と会議に参加することが当たり前のマインドセットとなり、主体性を促せるため、無駄だと感じる会議をなくしていけます

③チェックインを行う

会議の初めにチェックインの時間を設けることも、参加者の当事者意識を促し、無駄な会議をなくすために役立ちます。チェックインを行うことで、自分は会議に参加している一員であることを感じるためです。

チェックインとは、研修やワークショップの始めに「その場に入る」ために用いられるアイスブレイクの一つです。会議のはじめに、今の正直な気持ちや気になっていることなどをありのままに1分程度で話してもらいます。

会議に参加している人の中には、できる限り発言しないでいたいという人もいます。しかし、チェックインで一度発言をしてもらうことで、会議に参加しているメンバーであることを自覚せざるを得ず、当事者意識が高まります

会議に自分が呼ばれた意味を理解して、主体的に会議に参加してもらうことで、無駄な会議をなくせます。

④意思決定のルールを設ける

意思決定のルールを設けておくことも大切です。例えば、会議を行っても特定の人の意見が強く、他の参加者の意見が反映されないような状態となっている会議は、特定の人以外の参加者にとっては無駄な会議となります。参加者が自分の意見を求められているとは思えず、自分が会議に参加している意味がわからない状態になってしまうと、会議へのコミット度合いが落ち、質の低い無駄な会議になっていきます

このように、意思決定において自分のいる意味がないと感じてしまっている参加者がいる状態の場合は、意思決定のルールを設けることが必要です。

意思決定のルールとは、会議での意思決定プロセスを明確にし、公平性と透明性を確保するための枠組みとなります。その前提があると、自分が会議に参加する意味を見出せるため会議へコミットしやすくなります。

意思決定のルールでは、公平な意思決定プロセスを確保するための原則を盛り込むことが重要です。

例えば、Aさんを忖度してAさんの意見ばかりを採用しているのであれば、参加者全員参加の多数決によって最終的な判断をするというルールを設けると、Aさんの意見を意図的に採用するという不公平なことは起きづらくなり、自分が会議に参加している意義を感じやすくなります。

他にも、皆の意見を聞かずに最終的な判断がされてしまっている場合は、必ず全員の意見を聞いた上で最終的な決定をする、という意思決定のルールを定めておくと、参加者全員の意見が反映されやすくなるため、会議への主体性が高まります。

特に上司部下の関係性だと、何となく上司の意見を採用しなければならない雰囲気になってしまいやすいです。そのような場合でも、意思決定のルールに則って透明性が担保されていると理解できていると、会議へのコミット度合いが高まり、無駄な会議を減らすことにつながります

⑤参加者に役割を設けてTO DOを渡す

参加者に役割を設けてTO DOを渡すことも、参加者の当事者意識と主体性を促して、無駄な会議をなくすことにつながります。具体的な役割を与えることで、各自の責任が明確になるためです。

役割というのは例えば、議事録係、タイムキーパー、ファシリテーターなどです。他にも「〇〇の視点で意見を出してほしい」というようなTO DOを渡すことも効果的です。参加者それぞれに役割やTO DOを設けることで、参加者は自分の役割に対する責任感を持ち、会議の進行に積極的に関与するようになります

新入社員や若手社員に渡せるTO DOがないと感じるかもしれませんが、TO DOは小さくても大丈夫です。例えば、発言できなくてもいいので自分の意見を考える、というのもTO DOになります。

このように、参加者に対して役割やTO DOを設けることで、参加者は会議への参加意識が高まり、結果的に質の良い会議を行えます。

参加者の当事者意識や主体性を高めるためにこのような施策を行い、無駄な会議をなくせるようにしましょう。

両方に影響する施策

アウトプットの質を高めることと、参加者の当事者意識・主体性を高める施策に共通する施策が、ファシリテーターを入れることです。

ファシリテーターを入れることで参加者の思考を支援したり、参加者が安心して意見を出せる環境をつくる支援を行えます。会議で意見が出ないと物事が何も決まらないために無駄な会議となってしまうため、そのような際に有効です。

思考を支援するための方法としては、考えるポイントを提示することをおすすめします。例えば、「ユーザーの立場になったときにどう思う?」「納期とクオリティーを維持するためにどうすればいいだろう?」などと問いを出すことです。このように考えるポイントが提示されると、自分なりの意見が出てきやすいです。
さらに途中で話がブレた場合は話を戻したり、意見が停滞した場合は、問いを投げて場を動かせると、より質の高い会議となります

意見を出せる環境を作る方法としては、発言以外の方法で意見を出してもらうことを考えましょう。例えば、付箋に書いて提出してもらうとか、オンラインの場合だとチャットに書いて送ってもらうなどです。発言するとなると、緊張したり、タイミングを図りすぎて意見を言いづらいという人もいます。そのような人に対して他の手法で意見を出せるようにできると、さまざまな意見が出てくるため、より良い議論をできます。

【参考コラム】
必見!会議で「意見を言わない人」を巻き込むための具体的な進行術

また、ファシリテーターを入れることで、参加者の当事者意識・主体性を促すこともできます。ファシリテーターは参加者や会議の場の状態に合わせて、柔軟に対応を変えて会議のゴールを達成しようとするためです。

例えば、参加者の多くがパソコンで内職をしていて会議に参加していないと感じたら、「一度机の上を綺麗にしてもらい会議に集中できるようにする環境を整えましょう」と呼びかけることもで会議に参加している一員であるという当事者意識を促せます。

他にも、参加者の主体性が低いために場が停滞してしまったときは「皆さんは今、会議にどの程度コミットできていますか」と問いを投げることで、参加者に参加意識の低さへ気づきを促すこともできます。

このようにファシリテーターを入れることで、アウトプットの質を高めることと、参加者の当事者意識・主体性を高めることの両方に影響を与えられます。そのため、アーティエンスでは、質の良い会議を行うためにはファシリテーターの育成が欠かせないと考えています。

【参考コラム】
ファシリテーターとは?何をする人?重要性やメリット・必要なスキルを詳しく解説

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2)会議が無駄になる根本的な原因と対応策

会議が無駄になる根本的な原因は、次の2つのポイントに絞られます。

・参加者の当事者意識・主体性の欠如
・会議文化による弊害

これら2つのことが改善されない限り、無駄な会議は生まれ続けてしまうため、対応が必要です。

参加者の当事者意識・主体性の欠如

会議の場を設けても、参加者が当事者意識や主体性を持っていなければ、無駄な会議が生まれます

問題意識をもって積極的に会議に参加しないため、意見が出ず、多様な視点が得られないため、アウトプットの品質が低くなります。また参加者同士の建設的な意見交換が行われないと、一体感も生まれません。

例えば、当事者意識・主体性を持っていない会議は、ただ淡々とアジェンダ通りに会議が進み、特に何も起こらず、上位役職者が意思決定をしていくイメージです。全て予定調和で、物事が進んでいきます。

これでは、無駄な会議と言われてしまっても致し方ないでしょう。

対策方法:組織風土へアプローチする

参加者の当事者意識・主体性の欠如への根本的対策は、組織風土へのアプローチです。
一朝一夕では、上手くいかないことが多いです。

具体的には、

・MVVなど経営理念の策定・醸成
・人事制度・評価制度など制度設計・展開・運用
・研修・勉強会など企画・トレーニング
・会議・朝礼・1on1など日常業務でのフォロー
・雑談を育む戦略的コミュニケーションの導線

など多くのアプローチがあります。

アーティエンスとして特におすすめするのは、会議にファシリテーターを設けることで、当事者意識・主体性を育んでいくことです。日常業務ですぐにできるためです。

ファシリテーターを育成し、普段の業務から社員の当事者意識・主体性を解放していくといいでしょう。

詳しくは、下記コラムの「組織改革・変革の事例1.|【各部門】のファシリテーター育成から組織変革を力強く進めた事例」をご覧ください。

中小企業の組織改革・変革【事例6選】|手軽な取組みから大胆な変革まで紹介

もちろんタイミングが合えば、「MVVなど経営理念の策定・醸成」などから行ってもいいでしょう。

会議文化による弊害

組織に会議文化が根付いていると、無駄な会議が発生しやすくなります。会議以外でのやり方を検討することなく会議を実施するため、数が増えてしまうためです。

会議文化による弊害というのは具体的に次のようなことが起きている状態です。

・何事も会議で承認を得ないと進められない
・定例会議をすることが当たり前になっている
・トラブルなどがあった時に、とりあえず集まろうとなっている

このような組織文化がある場合は、「そもそもなぜ会議を行なっているのか?会議をする必要性はあるのか?」という問いについて考える必要があります

組織で今行われている会議について、上記の問いを投げかけていくと、誰も答えられない会議も出てくるでしょう。

そのような会議は廃止していくといいでしょう。ただしそのような判断ができないこともあります。その場合は、根本的な対策を行うといいでしょう。

具体的に説明していきます。

対策方法:同じような会議がないように会議全体を整理する

同じような会議がないように会議全体を整理することが必要です。情報や意見の重複が生じ、時間が無駄になるだけでなく意思決定をしきれません

また、同じような会議が続くことで、参加者のモチベーションや関心が低下し、会議への参加意欲が減退する可能性もあります

そのため、会議全体を整理して、同じような会議が実施されないように調整しましょう。

同じようなテーマや内容を扱う会議を統合し、効率的な会議スケジュールを作成することで、参加者の負担を減らし、時間やリソースの無駄を削減できます。

会議を統合した際は、統合した後の会議の目的・目標をあらためて検討しましょう。ただAとBという2つの会議を一緒にしただけでは効率化にはなりません。
会議のアジェンダにダブりや漏れがないか、参加者はAとBの会議に参加していた人全員必要か、全体の時間は統合前のよりも縮小できないか、など、統合した会議の質を良くするために会議をデザインし直すことが必要です。

当社の事例では、時間・工数が30~50%弱削減できたケースがあります。

対策方法:惰性的に行われている会議がないか、定期的に会議の必要性を見直す

惰性的に行われている会議がないか、定期的に会議の必要性を見直すことも必要です。会議を実施しても何も生み出すことはなく、会議という名目で特に集まる必要のないことが行われている可能性があるためです。

例えば、毎週や毎月定例で開催される会議があり、参加者がそれを当たり前として受け入れていると、実際には必要のない会議でもルーチンとして開催されることがあります。
何も生み出さない会議は時間の無駄です。

このような場合は、定期的に会議の必要性を見直すことが必要です。
目的や議題が明確でない場合や、他の手段で解決できる問題である場合は、会議を開催しない選択肢を検討します。

目的や議題が明確でない場合は、会議の場を設けても何も決まらない可能性が高いため、実施しないという選択で良いことがほとんどです。「会議を行うことでどんな意思決定をしたいのか」という問いに答えられるかで判断しましょう。

定期的な会議は目的が見えなくなりやすいため、1ヶ月に1度は会議の必要性について見直すと良いです。無駄な会議を削減でき、組織全体の生産性と成果の向上に繋ります。

参加者全員に役割がある、適切な人数で実施する

参加者全員に役割があり、適切な人数で実施することも無駄な会議を生まないために大切です。適切な参加者でない場合、会議の進行や情報共有、意見交換が難しくなるためです。

多すぎる場合は、議題の進行が混乱し、時間の無駄が生じる可能性があります。一方で、少なすぎる場合は、必要な情報が揃わなかったり、多様な視点を持てずに、適切な判断を行えなくなる可能性があります。

会議の内容によって適切な人数は変動しますが、多くの場合7名以下あたりが会議に適切な人数とされています。

米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーで企業の組織論を専門とするパートナーのジェームズ・ルート氏によると、「会議はメンバーが7人を超えると、1人増えるごとに生産性が10%下がる」そうです。

会議を実施する際に「なんとなく〇〇さんも参加してもらっておいた方がいいかも」と会議の議題と関わりが薄い人にも参加を要請してしまいがちです。しかし、それでは、なんとなくで参加している人にとっては自分が参加している意味がわからず、無駄な会議と感じる人が多くなります。
会議の参加者は参加してもらう理由を明確に伝えられる人だけに絞ると、自然と適切な人数になるはずです。

会議が無駄になる根本的な原因に対する対応は長期的な取り組みが必要です。しかし、無駄な会議をこの先もずっと実施され続けると、組織にとっての損失が大きいため、小さいことからでも対策を始めていくことをおすすめします。その際にわからないことが出てきましたら、アーティエンスが状況に応じたアドバイスいたしますので、お気軽にお問い合わせください

まとめ|無駄な会議をなくすためにはファシリテーターの育成が必須

本コラムでは、今すぐできる無駄な会議をなくすための施策をお伝えしました。


アーティエンスでは、無駄な会議とは「アウトプットの質」と「参加者の当事者意識・主体性」が低いものとしています。

良いアウトプットと、参加者の一体感の二つが高い水準でなければ、会議の目的・目標を達成できないためです。

質の高い会議にするための「アウトプットの質」と「参加者の当事者意識・主体性」を高めるための具体的な対策を11個お伝えしました。

アウトプットの質を高める施策 会議の目的・目標・アジェンダを定めて、事前に共有する
会議の概要や必要情報を事前に共有する
適切な準備をしておく
アウトプットを高める会議のルールを設ける
状況を可視化する
参加者の当事者意識・主体性を高める施策 インビテーションを送る
参加者の当事者意識・主体性を高める会議のルールを設ける
チェックインを行う
意思決定のルールを設ける
参加者に役割を設けてTO DOを渡す
両方に影響する施策 ファシリテーターを入れる

これらの施策を行うことで、無駄のない効率的な会議を行いましょう。

なお、会議が無駄になる根本的な原因は、次の2つのポイントに絞られます。

・参加者の当事者意識・主体性の欠如
・会議文化による弊害

これら2つのことが改善されない限り、無駄な会議は生まれ続けてしまうため、根本的な課題への対応も必要不可欠です。

ただ、根本的な対応には時間を要するため、今できることとして、社内にファシリテーターを増やすことをおすすめします。ファシリテーターを会議に入れることで、「アウトプットの質」と「参加者の当事者意識・主体性」を高められるためです。

アーティエンスでは、研修を通してファシリテーターの育成支援を行っています。適切なスキルを身につけることで、会議を効率に進め、建設的な意見が飛び交い、参加者がコミット高く参加してくれる会議をつくれるようになります。

ファシリテーターの育成に興味のある方は、組織にあった育成方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください

組織において会議は欠かすことのできない要素です。無駄な会議をなくして会議の質を高めることで、成果の質も高めていきましょう。

【公開講座】会議の進行術を学べる!会議ファシリテーション研修 開催中