【Q&A付】1on1のやり方は目的別の使い分けが重要!効果的に進める9ステップ

更新日:

1on1

「1on1の時間が無駄に感じる…」
「1on1が雑談で終わることが多く、これでいいのかな?とモヤモヤし続けている…」
「意味のある時間を過ごせる1on1をできるようになりたい…!」

このような思いをお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

1on1とは、「上司と部下が対話することを通じて、部下が自律すること」を目指した対話の場です。1on1ミーティングともいわれます。
変化の激しい時代を乗り切るため、個々が自律した人材になって欲しいと、近年特に多くの組織で導入されています。

しかし、具体的にどのように進めたらいいのかわからず、部下の成長につながっているのかわからないような話しをして、ただ時間がすぎるのを待つだけの状態になっている、という話をよく伺います。

そこで本コラムでは、意味ある時間にするための1on1のやり方をお伝えし、よくいただく1on1に関連する質問にお答えします
1on1の時間を有効に活用し、部下の自律を促すことで、部下の成長だけでなく上司自身も仕事の負担を軽くできます。それぞれが素晴らしい仕事を行うことで、組織としての成長を後押しできるようにしましょう。

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    監修者プロフィール

    迫間 智彦

    X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
    大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

    1)1on1のやり方は目的によって使い分けることが必要

    1on1のやり方は目的によって使い分けることが必要です。目的によって上司としての関わり方が変わるためです。

    1on1のやり方は、大きく2つにわかれます。1つはティーチング型で、もう1つがコーチング型です。

    目的 1on1のやり方
    仕事を効率的・効果的に進める ティーチング型1on1 上司が部下に教育や指導をする
    部下の意識・行動変容を促す ​​​​コーチング型1on1 対話を通して、部下に気づきを促す

    仕事の進め方や課題を感じているところなど、具体的な仕事について相談したいという部下に対しては、部下の悩みを解決するための教育や指導を行うティーチング型1on1が適しています。

    一方、将来について漠然と不安があるとか、今の仕事がなんか辛いなど、何らかの感情が湧いていてそれをどうにかしたいと部下が思っている場合は、それについて対話をしながら一緒に考えていくコーチング型1on1が適しています。

    目的とやり方が異なると部下が抱えていることに向き合えなくなってしまうため、部下がどちらを望んているのかを見極めて、適切なやり方を選択するようにしましょう。

    次章以降、それぞれの具体的なやり方について説明します。

    2)ティーチング型1on1のやり方

    ティーチング型1on1は仕事をしやすくするために、教育や指導をすることがメインの時間になる1on1です。基本的な流れは次の通りです。

    1、環境準備
    2、「評価をする場ではない」ことを確認
    3、チェックイン
    4、前回の1on1の振り返り
    5、扱いたい内容を確認
    6、現状を把握し原因を確認
    7、課題に対する解決策を提案・検討
    8、実行できるレベルの目標を設定
    9、チェックアウト

    1、環境準備

    ティーチング型1on1に適切な環境を準備しましょう。適切に教えられる環境があることで理解がスムーズになるためです。

    周囲が気にならない場所で行うことをお勧めします。周りに人がいると、話しに集中できなくなるためです。ただ、密室で他の音がしない静かすぎる場所だと緊張感が高まってしまいやすくなります。そのため、気にならないくらいの雑音や人の動きを感じられる個室がおすすめです。

    実際に操作や画面を見ながらティーチングをする方がスムーズな場合は、PCを持ってきましょう。内容によって、教えやすい環境に移動するのも一つの方法です。

    2、「評価をする場ではない」ことを確認

    この場で話すことは評価に影響しないことを伝えましょう。「評価につながったらどうしよう」「他の人に聞かれていたらどうしよう」などの不安があると思考が遮断され、集中して話に入っていけないためです。
    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    これから話すことは、評価には一切関係しないことを約束します。基本的にここで話したことは、他の人に勝手に話すことはないので、そこについては安心してもらえたらと思います。

    部下が話したいことや聞きたいことを自由に話して良いというメッセージを伝え、安心して話せる場をつくります。

    3、チェックイン

    次にチェックインをします。チェックインとは、本題に入る前に「その場に入る」ために用いられる導入ワークです。チェックインで、今の状態や先に出しておきたいことを伝えることができ、自身が安心した状態で場に入ることができます
    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ●チェックインに慣れている場合
    それではチェックインから始めましょう。どちらからでも、準備ができた人からお願いします。

    ●チェックインに慣れていない場合
    まずチェックインから始めようと思います。チェックインの目的としては今思っていること、頭にあることを一旦出して、場に入れるようにすることです。なので、例えば「風邪気味で話している途中に咳が出て、聞きにくいかもしれません」とか「さっきまでやっていた仕事が気になっています」とか何でも大丈夫です。順番はないので、出てきた人から話してみましょう。

    チェックインを行うことで、本題に入る準備を行いましょう。

    4、前回の1on1の振り返り

    前回の振り返りをします。進捗を確認することで、部下の理解を深めたり、成長を感じられるためです。参考として伝え方の例文をお伝えします。

    前回の1on1では、〇〇について話したけど、その後どうですか?実際に使ってみた感想だったり、難しさを感じたこととか何かありますか。

    前回の振り返りを行い、1on1を1回切りのものでなく、継続的に支援するためのものにしましょう。

    5、扱いたい内容を確認

    今回の1on1で扱いたい内容を確認します。課題を感じていることかもしれませんし、より効率的にできるようになりたいことかもしれません。今回の1on1の目的をすり合わせるために必要です。参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ・今日扱いたい内容はありますか。
    ・今仕事をしていて、難しさを感じることや課題、できるようになりたいこと、はありますか。

    上司から部下に特定のスキルを身につける指導の時間ではなく、部下が解決したい課題やできるようになりたいことを扱います
    ただ、もし部下から学びたいことが出てこなかった場合は、以下のような問いかけをして内容を決定するサポートをしましょう。

    ●話すことを戸惑っている場合
    この場は何を話しても良いので、もし頭の中に出てきているものがあればどんな内容でも大丈夫です。

    ●話したいテーマがなさそうな場合
    ・もっと効率的にできたらいいなと思うことは何かありますか
    ・他のメンバーを見ていて、このやり方いいなと思ったことはありますか
    ・あまり気が進まない業務内容はありますか

    話す内容を部下に決めてもらうことで主体性が高まるため、上司はそのための支援をします。

    6、現状を把握し原因を確認

    内容が決まったら、具体的にどんな時に困っていたり、もっとよくできるようになりたいのかを確認します。部下が悩んでいる課題によって、教え方や考え方を指導できるようにするためです。参考として伝え方の例文をお伝えします。

    △△について課題を感じているんですね。それって具体的にどんな時に感じますか。最近感じた時の状況をもう少し教えてください。

    ここで原因を確認し、その問題の根本にある課題を探します。上部だけの教育ではなく、根本的な課題を解決することで、他の問題についても応用しやすくなり部下の成長と自律につながります。

    7、課題に対する解決策を提案・検討

    課題に対する解決策を提案します。提案として伝えることで、より部下にとってやりやすい方法を検討できるようにするためです。上司がやりやすいと思っている方法が部下にとってやりやすいとは限りません。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    今の話を聞いていると、□□の時に△△になってしまう、ということだと思うから、〜〜をやってみるのはどう?自分はこのやり方がやりやすいから、このやり方で進めているんだけど、〇〇さんにとってはどうかわからないから、やりづらさを感じる場合は、他のやり方でもいいと思うんだよね。どうかな?

    部下が納得感を持って理解し、使うことができるやり方や考え方などを一緒に模索しましょう。

    8、実行できるレベルの目標を設定

    解決策が導き出せたら、実行できるレベルの目標を設定します。具体的に目標を設定することで、部下の成長を促すことができるためです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ・次回の1on1までに解決策をそれを業務でどのように活かしますか
    ・今週の業務のどこで活かせそうですか
    ・△△(解決策)を活かすことで、この1週間、どうなることを目指しますか

    目標を設定しておくことで、成長を実感できます。もし目標を達成できなかったとしても、達成できなかった原因を一緒に確認することで、改善箇所が明確になっていき、より良いパフォーマンスにつながります。

    目標を設定する際は、「SMARTの法則」を意識して設定しましょう。目標の達成度が確認しやすくなるためです。
    SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドラン氏が提唱した理論で、5つの成功因子によって構成されています。

    解決策を見つけて終わりだけでなく、業務で活かせるようにするための目標を設定することで、部下の成長を促せます。

    9、チェックアウト

    最後はチェックアウトをして終了します。1on1での変化を確認するためです。チェックアウトでは、面談の感想や、今感じていることなどを伝えます。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ●チェックアウトに慣れている場合
    それでは最後にチェックアウトして終わりましょう。どちらからでも、準備ができた人からお願いします。

    ●チェックアウトに慣れていない場合
    それでは最後にチェックアウトして終わりましょう。今ある感情や思いなど何でも大丈夫です。順番はないので、出てきた人から話してみましょう。

    チェックアウトが終わったら終了し、片付けをして現場に戻ります。

    このような流れで進めることで、雑談や無意味に感じる時間になることなく、ティーチング型1on1を進めることができます。はじめは例文を参考にしながら実施することから始めてみましょう。

    3)コーチング型1on1のやり方

    コーチング型は話し手の自己実現や目標達成のために気づきを促す時間となる1on1です。
    基本的な流れは次の通りです。

    1、事前準備
    2、コーチングについて説明
    3、「評価をする場ではない」ことを確認

    4、チェックイン
    5、前回の振り返り
    6、話したいテーマを確認
    7、対話
    8、今の感情や気づいたこと、ネクストアクションを確認
    9、チェックアウト

    1、事前準備

    コーチング型1on1に適切な環境を準備しましょう。部下が安心して話せるかがポイントだからです。

    安心できる環境を作るために、次のことを取り入れてみることをお勧めします。

    周囲が気にならない場所で行う

    周りに人がいると、他の人に聞かれたくないからと話が止まってしまったり、話しに集中できなくなるためです。ただ、密室で他の音がしない静かな場所だと緊張感が高まってしまいやすくなります。そのため、気にならないくらいの雑音や人の動きを感じられる個室がおすすめです。

    対面ではなくL字で座る

    座る位置は対面ではなく、L字型で座ることをおすすめします。対面だと心理的な圧迫を感じやすくなりますが、L字のだと自然と視線がずらせ、お互いにリラックスして面談に臨めます。

    オンラインで行う場合は、画面にお互いの顔がしっかりと映るようにカメラの位置を設定しましょう。

    室内の温度を適切にする

    寒すぎず、暑すぎず、適切な温度を設定しましょう。寒いや暑いなど温度に意識が向くと、話に集中できなくなります。

    少しの延長には対応できるようにする

    話の内容によっては時間が長引くこともあります。話しが深まっているところで無理やり中断してしまうことがないよう、予定の時間より多めに時間を見積もり、少しの延長には対応できるようにしておきましょう。

    このような環境を意識して安心して話せる場を作り、テーマに深く入っていける状態を作りましょう。

    2、コーチングについて説明

    コーチング型1on1を行うことが始めての場合は、コーチングについての説明をしましょう。多くの人にとってコーチングは身近になく、理解が曖昧な人が多いためです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    コーチングは、対話を行うことで、〇〇さんが自分の中にある答えに気づき、行動が生まれるようにするためのコミュニケーションです。コーチングの考え方としては、答えは〇〇さん自身が持っているけど、それに気づけていない状態である、という考え方なので、私は〇〇さんがそのことに気づけるようにサポートしていきます。ただ、もちろん私が答えを知っているわけではないので、〇〇さんが自分で考えてもらうことが必要です。
    〇〇さんの中にある答えに気づけるように、一緒にこの場を作っていけたらと思います。

    コーチングについて理解ができていないと、上司からアドバイスをもらえる場だと思って、部下が受け身の姿勢で参加してしまうことがあります。しかし、コーチングは、話し手が主体的に関わろうとしないと成り立ちません。
    認識の違いによってコーチング型1on1の質が下がってしまうのは勿体無いです。

    コーチングについてお互いが共通認識を持ち、話し手が主体的に関わる必要があることを理解してもらいましょう。そうすることで、意味のある1on1の時間がつくられます。

    3、「評価をする場ではない」ことを確認

    この場で話すことは評価に影響しないことを伝えましょう。「評価につながったらどうしよう」「他の人に聞かれていたらどうしよう」などの不安があると思考が遮断され、集中して話に入っていけないためです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    これから話すことは、評価には一切関係しないことを約束します。基本的にここで話したことは、他の人に勝手に話すことはないので、そこについては安心してもらえたらと思います。

    部下が話したいことや聞きたいことを自由に話して良いというメッセージを伝え、安心して話せる場をつくります。

    なお、評価する場ではないこと以外に事前に伝えておきたいことがある場合は、必要に応じてグランドルールを作ることもお勧めです。ルールとしてまとめてあることで、安心して参加できます。

    例えば、アーティエンスがグループでの対話を深めたいときには次のようなグランドルールを事前に伝えるようにしています。

    コーチング型の1on1を実施するときはこれだけは守ってほしいというルールについては、人事で作成し、展開することでコーチングの文化が根付いていきやすくもなります。

    4、チェックイン

    次にチェックインをします。チェックインとは、本題に入る前に「その場に入る」ために用いられる導入ワークです。チェックインで、今の状態や先に出しておきたいことを伝えることができ、自身が安心した状態で場に入ることができます

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ●チェックインに慣れている場合
    それではチェックインから始めましょう。どちらからでも、準備ができた人からお願いします。

    ●チェックインに慣れていない場合
    まずチェックインから始めようと思います。チェックインの目的としては今思っていること、頭にあることを一旦出して、場に入れるようにすることです。なので、例えば「風邪気味で話している途中に咳が出て、聞きにくいかもしれません」とか「さっきまでやっていた仕事が気になっています」とか何でも大丈夫です。順番はないので、出てきた人から話してみましょう。

    チェックインを行うことで、本題に入る準備を行いましょう。

    5、前回の振り返り

    前回の振り返りをします。進捗を確認することで、部下の理解を深めたり、成長を感じられるためです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    前回の1on1では、〇〇をテーマに話して、〇〇という気づきを得ていたようだけど、そのことに気づいたことによる変化や、その後進捗、難しさを感じていることなどは何かありますか。

    前回の振り返りを行い、1on1を1回切りのものではなく、継続的に支援するためのものにしましょう。

    6、話したいテーマを確認

    話したいテーマを確認します。下が話したいことを話す時間だからです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    そしたら早速入っていけたらと思いますが、〇〇さんが今話したいことは何かありますか?

    この後に返ってきた答えが抽象的だったりテーマが大きい場合は、もう少し深く聞いてみます。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ・〇〇について気になっているんですね。〇〇についてもう少し詳しく教えてもらえますか?

    ・〇〇の何が気になっているんですか。

    ・〇〇について話したいと思ったのには、どのような背景がありますか?

    このような問いを投げてテーマを明確にします。

    会話のイメージとしては以下のようになります。

    ■上司:そしたら早速入っていけたらと思いますが、〇〇さんが今話したいことは何かありますか?

    ▶︎部下:なんか最近、A社との打ち合わせがあると嫌だなって思うようになってきてしまって…。でもA社はウチにとって大切なお客さんなので、丁寧に対応しないといけないし…。なんかこの状態であることが嫌だなって思います。

    ■上司:A社を大切にしないといけないけど、なんか嫌だなって思うことがあるんだね。何で今、このことが気になっているんだろうね。

    ▶︎部下:うーん、何ででしょう。嫌だなって思いながら仕事をしたくないからかな。いい仕事をするためには、ネガティブな思いを持っていたらダメな気がする。

    ■上司:そっか。いい仕事をするためには、ネガティブな思いを持っていたらダメだと思っているんだね。そしたら、今の時間はそのことについて話してみる?もし他に話したいことがあれば教えて欲しいけど。

    ▶︎部下:そうですね。そのことについて話してみようと思います。

    もし部下から話したいテーマが出てこない場合は、下記のように問いかけてテーマを決めるサポートをします。

    ●話すことを戸惑っている場合
    この場は何を話しても良いので、もし頭の中に出てきているものがあればどんな内容でも大丈夫です。

    ●話したいテーマがなさそうな場合
    ・今、仕事でもプライベートでも、もっとこうなればいいのになって思っていることは何かありますか
    ・今の状態は、〇〇さんの中で10点が最高とすると中何点くらいですか。(仮に6点くらいと返事があった場合)6点の状態で満足だなって感じですか。それとももう少し高い点数にしたいなって思いますか。(もう少し高い点数を目指したいと返事があった場合)そしたら、6点の状態から点数を高めるためにどうすればいいかを考えてみましょうか。

    テーマの認識がズレていると、上司は部下に寄り添うことができなくなるため、テーマの認識についてお互いに理解しあえてから対話に入っていきましょう。

    7、対話

    傾聴、質問、フィードバックのスキルを駆使して対話をします。部下に気づきを与えられるようにするためです。

    対話のときによく使う例文をお伝えします。

    ●傾聴
    ・相槌の言葉「そうなんですね」「はい」「へー」「うん」「なるほど」など
    ・〇〇だと思ったんですね(話し手の言葉を繰り返す内容)
    ・〇〇の時に〇〇になるんですね(話し手の言葉を繰り返す内容)

    ●質問
    ・何が〇〇さんをそうさせるのでしょうか
    ・その時どのように感じますか
    ・〇〇すると、〇〇さんはどうなってしまうのですか
    ・そのことを考えてみると、どう感じますか
    ・〇〇さんにとって〇〇ってどのようなものですか

    ●フィードバック
    ・今まで話しを聞いていて私は〇〇が〇〇ように感じましたが、これを聞いてみてどう感じますか?
    ・私は〇〇さんが〇〇を大切にする人なんだと感じました
    ・私は〇〇さんから〇〇な思いを感じました

    会話のイメージとしては以下のようになります。

    ■上司:いい仕事をするためには、ネガティブな思いを持っていたらダメだと思っているという話が出てきたけど、それについてもう少し詳しく教えてもらえる?

    ▶︎部下:そうですね。なぜそう思っているのかと言われると、今すぐには出てこないですが…。なんでしょう。

    ■上司:(沈黙が続くかもしれないが、部下の思考を止めないように一旦待ってみよう)

    ▶︎部下:なんか、自分が全力で取り組めていないから、ちょっと自信のなさとか不安があるのかもしれないなって今思いました。

    ■上司:(もっと話したいことがありそうだなと感じたため受動的反映で対応しよう)そうなんだね

    ▶︎部下:はい。自分の提案に自信がないと自信を持って成長できないから、さらにその時間が怖くなるっていうか…。

    ■上司:うん、うん

    ▶︎部下:なんかちょっと話が変わるかもしれないんですけど、高校の部活をなんか思い出しました。自信がないと試合に出たいけど怖いと感じていて、その状態で試合に出てもあんまりいい結果が出なかったなって。

    ■上司:良いパフォーマンスをするためには、自分に自信を持てている必要があるって思っているんだね。

    ▶︎部下:はい。

    ■上司:自信を持てていない時って、〇〇さんはどんな感情なの?

    ▶︎部下:なんだろ。怖い、不安、その場から逃げたくなるような感じですかね。

    ■上司:そうなんだ。それは何がそうさせるんだろう?

    ▶︎部下:何が?

    ■上司:うん。わからないけど、例えば、怒られるのが怖いのか、自分の価値がわからなくなってしまうのか…

    ▶︎部下:あー、なるほど。そうですね。なんだろう?貢献できないことが辛いのかもしれないです。

    ■上司:貢献できないと辛く感じるんだ

    ▶︎部下:そうですね。自分がいる意味ってなんなんだろうって思ってしまうかもしれないです。

    ■上司:なるほどね。そうなんだね。〇〇さんは、周りの人に感謝してもらうことに喜びを感じるのかなって感じたんだけど、これを聞いてみてどう感じる?

    ▶︎部下:うん、そう思います。感謝してもらえると嬉しいです。あー、だからもしかしたら、嫌だなって思いながら仕事をしていると感謝してもらえないかもしれない、っていうことに不安を感じて、やりたくなくなるっていうループが起きているのかもしれないですね。

    ■上司:なるほど、そうなんだね。今自分の中で気づきがあったようだけど、ここまで話してみて今何を感じる?

    ▶︎部下:…続く

    気づきを与えようとすると、答えに導くような形になってしまいがちです。無理やり答えを見つけにいこうとしなくても、自然と答えにたどり着くという心を持って、今相手が話している話に好奇心を向けて向き合うことを大切にしましょう。

    8、今の感情や気づいたこと、ネクストアクションを確認

    対話をした後の部下の感情や気づきを確認します。自身で変化を実感できるようにするためです。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ・今まで話してみて、どうでしたか?
    ・今改めて〇〇(最初のテーマ)についてどう感じますか?
    ・今、〇〇さんはどんな感覚ですか?

    このように対話した後の状態を確認することで、対話の前と違う認識や感覚などに何かした変化が見えます。今答えに辿りつかなくても、ここで得た変化によってその後の日常生活の中でふと答えが見えることもあります。そのため、答えが出なかったとしても、そのことに落ち込まなくて大丈夫です。
    最後は、部下が答えを見つけられることを信じて送りだすことも必要です。

    9、チェックアウト

    最後はチェックアウトをして終了します。1on1での変化を確認するためです。チェックアウトでは、面談の感想や、今感じていることなどを伝えます。

    参考として伝え方の例文をお伝えします。

    ●チェックアウトに慣れている場合
    それでは最後にチェックアウトして終わりましょう。どちらからでも、準備ができた人からお願いします。

    ●チェックアウトに慣れていない場合
    それでは最後にチェックアウトして終わりましょう。今ある感情や思いなど何でも大丈夫です。順番はないので、出てきた人から話してみましょう。

    チェックアウトが終わったら終了し、片付けをして現場に戻ります。

    このような流れで進めることで、無意味に感じる時間になることなく、コーチング型1on1を進めることができます。はじめは例文を参考にしながら実施することから始めてみましょう。

    4)1on1のやり方に関するQ&A

    1on1のやり方ついてよくいただく質問にお答えします。

    Q. 1on1の目的とは?

    1on1の目的は、部下を成長させ自律して仕事を行えるようにすることです。それが結果として組織の成長につながります。

    また、付随して上司と部下の関係性構築や離職防止にもポジティブな影響を与えやすいため、1on1を導入している組織が多いです。

    部下の成長と自律という目的を強く持たないと、1on1の時間が雑談や仕事の指示をする時間になってしまいやすくなります。1on1を行う際は、上司、部下ともに目的をしっかりと把握して臨むようにしましょう。

    Q. 1on1と面談の違いとは?

    1on1と面談の大きな違いは話すテーマと評価の有無です。1on1は部下が話したいことを話しますが、面談では上司が確認したいことを話すことが多いです。
    また、面談は評価の要素が入ってくることが多いですが、1on1では評価はしません。

    1on1をやっているつもりでも面談のようになってしまいやすい場合は、
    ・部下が話したいテーマを確認し、そのことについて話す
    ・評価しようとするのではなく、部下の成長に目的を置いて話す
    ことを意識するようにしましょう。

    Q. 1on1の頻度はどれくらいがいいのか?

    1on1の頻度は、上司と部下の関係性や部下をどの程度成長させた以下によって変わってくるため、一概に言うことが難しいです。ただ、月に1回以上は1on1の時間を設ける方が良いでしょう。

    事例で言うと、1on1によって社員と組織を成長させたヤフーは週1回、30分、部下のための時間として設けています。
    アーティエンスでは、月に1回30分〜1時間、1on1の時間を設けています。

    最低月1回、30分以上の時間を取ることは決めて、それ以上行うか否かは上司と部下で相談して判断しましょう。

    Q. 雑談にならないためにどうしたらいいのか?

    1on1の時間で何を行うかを決めることが大切です。目標が決まっていると、そこに向かって歩むことができます。

    そのためにも部下から1on1で話したい内容やテーマが出てくるような問いを投げて、部下が話したい内容や、解決したいことについて対話できる時間にしましょう。

    Q. 1on1で部下が話しやすいように意識すべきことは?

    価値観や育ってきた環境が異なることを前提に対話をしましょう。そうすることで、相手をよく知ろうとしやすくなるためです。

    価値観が異なることが前提にないと、上司と部下で価値観が異なる時に、「なんでこんなこともわからないの⁉︎」「これが普通じゃん」などと話が噛み合わないことに対してイライラしてしまいやすくなってしまいます。

    価値観や考え方が違うな、と感じたら、その背景にどのような思いがあるのかを確認することで、お互いを理解し、お互いの思いを統合しあっていけます。

    【参考コラム】
    使えない新入社員|29の特徴と原因、対処法を詳しく解説!
    新入社員に『常識知らず』と感じた29の出来事とフォロー方法

    Q. 1on1を良い時間にするために、部下に依頼することはあるのか?

    1on1の時間は部下の成長を促す時間のため、部下に主体的に参加してもらう必要があります。もし部下が受け身の場合は、1on1を実施する目的を確認したり、1on1の時間は部下のために組織はコストを支払っていることを認識してもらうなど、主体的に参加してもらうための施策を行いましょう。

    【参考コラム】
    OJTを受ける側|持つべき4つの意識と効果を高めるフォロー施策4選

    Q. 1on1は誰にやってもらうのが良いのか?

    ティーチング型1on1は業務の内容を理解している人でないと対応できないため、同じ部署の先輩や上司が良いです。コーチング型1on1は具体的な業務の進め方の話しをするわけではないため、同じ部署の人に限らず、他部署の人や、外部の人でも大丈夫です。
    コーチング型1on1をしたいけど、いつも業務の話になってしまうという場合は、業務の話がでいない相手と話してもらうようにするのも一つの方法です。

    ただ、どちらの1on1にしても、お互いに関係性を築くように努め、部下に寄り添える人の方が、質が高まりやすいです。

    Q. 1on1についてもっと学びたい時に、おすすめの参考資料は?

    アーティエンスとしておすすめしたいのは、次のものです。

    ●研修
    育成担当者・OJTトレーナー研修
    ・1on1ミーティング研修

    ●コラム
    1on1ミーティング研修導入ガイド:目的設定から事後フォローまで解説
    管理職研修におけるコーチングの活用方法と、3つのメリット

    ●書籍
    リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術
    特に第3章「育成編 自立型学習者を育てる」が参考になります。リフレクションと対話によって部下の自主性を引き出して成長させることができます。

    ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
    1on1によって社員がどのように成長し、組織としての力を強くしていったのかが具体的にわかります。

    ぜひご参考にしてみてください。

    5)まとめ〜アーティエンスは効果的な1on1を行うためのスキルを研修を通してお伝えします〜

    本コラムでは、意味のある時間にするための1on1のやり方をお伝えし、よくいただく1on1に関連する質問にお答えしました。

    1on1のやり方は目的によって使い分けることが必要です。目的によって上司としての関わり方が変わるためです。1on1のやり方は、大きく2つにわかれます。1つはティーチング型で、もう1つがコーチング型です。

    目的 1on1のやり方
    仕事を効果的・効率的に進める ティーチング型1on1 上司が部下に教育や指導をする
    部下の意識・行動変容を促す コーチング型1on1 対話を通して、部下に気づきを促す

    仕事の進め方や課題を感じているところなど、具体的な仕事について相談したいという部下に対しては、部下の悩みを解決するための教育や指導を行うティーチング型1on1が適しています。

    一方、将来について漠然と不安があるとか、今の仕事がなんか辛いなど、何らかの感情が湧いていてそれをどうにかしたいと部下が思っている場合は、それについて対話をしながら一緒に考えていくコーチング型1on1が適しています。

    目的とやり方が異なると部下が抱えていることに向き合えなくなってしまうため、部下がどちらを望んているのかを見極めて、適切なやり方を選択するようにしましょう。

    ティーチング型1on1のやり方は次の通りです。

    1、環境準備
    2、「評価をする場ではない」ことを確認
    3、チェックイン
    4、前回の1on1の振り返り
    5、扱いたい内容を確認
    6、現状を把握し原因を確認
    7、課題に対する解決策を提案・検討
    8、実行できるレベルの目標を設定
    9、チェックアウト

    コーチング型1on1のやり方は次の通りです。

    1、事前準備
    2、コーチングについて説明
    3、「評価をする場ではない」ことを確認
    4、チェックイン
    5、前回の振り返り
    6、話したいテーマを確認
    7、対話
    8、今の感情や気づいたこと、ネクストアクションを確認
    9、チェックアウト

    このような流れで進めることで、意味のある1on1を進めることができます。はじめは例文を参考にしながら実施することから始めてみましょう。

    なお、アーティエンスは効果的な1on1を行うためのスキルを育成担当者・OJTトレーナー研修を通してお伝えしています。一方通行な指導ではなく、新人・部下の主体性と当事者意識を引き上げ、最終的にはかれらの自律自走を促していけるような育成スキルの習得を目指します。

    1on1の時間を有効に活用し、部下の自律を促すことで、部下の成長だけでなく上司自身も仕事の負担を軽くできます。それぞれが素晴らしい仕事を行うことで、組織としての成長を後押しできるようにしましょう。

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