自社の課題を解決!問題解決研修で押さえるべき内容と実践例

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「おすすめな問題解決研修って?」
「問題解決研修はいろんな種類があるみたいだけど、何を軸に検討すべき?」

など、問題解決研修を行うにあたり、お悩みの方も多くいらっしゃるのではないかと思います。 

そこで、本コラムでは、問題解決研修の内容を検討する際のポイントや問題解決研修の具体的な内容、実践例についてご紹介します。
最後までお読みいただくと、「自社ではどのような問題解決研修を行うべきか」の方向性を明らかにすることができているはずです。

問題解決力研修をご検討中の人事責任者様・担当者様へ

アーティエンスのスキル研修は、研修内の約8割が演習です。実際にやってみることで、スキルの活用イメージを持つことができ、現場で実践することができます。

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執筆者プロフィール
菊地 大翼
組織人事コンサルタント。業界歴15年以上。研修会社に入社し、法人営業で売上トップを達成後、新規商品の開発に従事。現在は人事制度構築支援、成人発達理論に基づいた人材・組織開発のコンサルティングを行っている。

専門性:パフォーマンス・マネジメント、研修開発・ワークショップデザイン、成人発達理論を活用した人材開発・組織開発

1)自社の業績アップにつながる問題解決研修の2つの内容

問題解決研修には

①問題解決スキルの習得を目的とした研修
②事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修

の2種類があります。以下で、それぞれの研修の内容を紹介します。

①問題解決スキル習得を目的とした問題解決研修

一つ目は、問題解決のステップに沿って、問題解決スキルを身につける研修です。問題解決には、以下の一般的なステップがあります。

【問題解決のステップ例】
①あるべき姿の確認
②問題所在の把握
③問題原因の把握
④解決策の考察

全体を一気に学んでも、消化しきれないため、ステップ毎に学ぶことが効果的です。
具体的には以下のような内容です。

①あるべき姿の確認

 問題解決力研修 ※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

あるべき姿は、現状と理想のギャップから導き出されます。さらに細かいステップとしては、理想を描いた上で、現状はどのようになっているか?を事実ベースで把握をします。

アーティエンスの問題解決研修では、配付資料からあるべき姿と現状を抽出していきます。この時に、意見と事実が混じる情報や、一見最もらしく考えられる主張でありながらも、根拠がない情報などを混ぜておくことが重要です。
なぜなら、実際の業務ではきれいに情報が整理されていることはほぼなく、自力で情報を集める必要があるからです。当然その中には思い込みや誤った情報、一方的な主張が含まれていることもあり、情報の取捨選択が必要です。

場面設定は必ずしも実務に近づける必要はありませんが、状況や条件については仕事でも起こり得る事象を盛り込めるとよいでしょう。

②問題所在の把握

※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

続いて、問題所在の特定を行います。「ロジックツリー」などのツールを用いて、漏れやダブりがないよう分解することが重要です。当社問題解決研修でも、上記のように問題の所在を分解し、問題への影響が大きい所在を特定します。

③問題原因の把握

※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

真因を深掘りするツールを用いて、行っていくのが一般的です。当社問題解決研修では、トヨタ式問題解決で有名な「なぜなぜ5回」というツールを用います。シンプルでありながら、深い考察が可能です。

この際に重要なのは、自分たちで解決策が可能である真因が挙げられるようにすることです。

なぜなぜ5回を使う際にしばしば起こるのが、自分たちでは解決できない真因にたどり着くことです。例えば、上記ケースであれば、無理やりアポを取っている理由を、

「目標が高すぎるから」
なぜ?→「会社の業績が悪化しているから」
なぜ?→「市場の状態が良くないから」

といったケースです。上記だと、自分たちで問題を解決することが困難になってしまいます。
自社でケースを作成する場合は、自分たちで解決が可能な真因にたどり着くかを事前検証する必要があります。

④解決策の考察

※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

解決策の立案でも、何らかのツールを用いて考えることが多いです。何もツールを使わずに考えてしまうと、普段の考え方の習慣や癖が入り込んでしまい、本当に必要な解決策が導き出せない可能性があります。

当社問題解決研修では、発散と収束というフレームワークを元に、各種ツールを用いて、解決策の立案を行っています。

なお、問題解決スキル習得を目的とした問題解決研修の場合は、ケーススタディ形式で学ぶことを推奨しまう。実際の課題を扱ってしまうと、学んでほしいポイントが本当に学べるか否かが、課題の内容に左右されてしまうためです。
当社でも、以下のようなケーススタディ形式で問題解決のステップを学ぶ研修があります。 ※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

上記ではワークのゴールや、ワークの出来の良し悪しを決める軸を明確にしています。これら点が曖昧だと、受講生は何を目指してワークに取り組めばいいのかがわからず、混乱を招く要因になります。 ※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

上記では、具体的にどのような状況なのかを明示しています。よくあるのは、ざっくりと「問題解決をしてほしい」とだけ提示してしまうことです。

問題解決をしてほしいとだけ提示をしても、研修参加者は具体的にどんなことをやればよいのかのイメージがつきません。すべてをわかりやすく説明する必要はありませんが、おおよそのイメージはついた、というレベルまで参加者を誘導することは必要です。

※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

ワークの際には、上記のように、必要な情報を提示しています。必要な情報が記載されていない、漏れがあるなどは、参加者に不要な労力を強いてしまうため、注意が必要です。

研修の本筋でないところに研修参加者の労力を使わせてしまうと、研修効果も下がってしまいます。
ケースを作成する際に必要な情報がすべて網羅されているかどうか、ワークの都合上、敢えて記載しない場合でもスムーズに答えられるようにしておきましょう。

学び・気づきを高めるケーススタディはすぐに作れるものではなく、ラーニングポイントの設計や情報量、負荷などを適切に調整しながら練り上げていく必要があり、難易度が高いです。

研修会社の場合、様々な企業や対象者に対して学びや気づきのあるケースを持っていますので、スキル習得が目的であれば、外部研修に参加する方が効果的な場合も多いです。

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アーティエンスのスキル研修は、研修内の約8割が演習です。実際にやってみることで、スキルの活用イメージを持つことができ、現場で実践することができます。

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②事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修

事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修は、ケーススタディではなく、実際の事業課題・組織課題の扱う研修です。

問題解決スキルを実践に結びつけたい際には、実際の事業課題・組織課題を扱うことが有効です。ただし、ケーススタディと比べると難易度が上がるので、初心者向けではありません。よって、問題解決スキル習得を目的とした研修のあとで導入することがおすすめです。

2)問題解決研修の実施事例

①問題解決スキル習得を目的とした問題解決研修の事例

医療器具専門商社さま(社員数200名程度)に、問題解決研修を提供した内容の事例をお伝えします。

問題解決スキル習得を行う際は、何のために問題解決スキルを取得する必要があるかを明確にする必要があります。
「何のために問題解決スキルを取得する必要があるか」が明確になっていないと、研修効果の確認ができません。

本事例のお客様の課題感として、「クライアントである医療機関の御用聞きになっており、建設的な提案ができていない」との課題を持っていました。さらに課題を深掘りしていくと、「御用聞きになっているため、クライアントの話にはすべてYESになっている。例えば休日の趣味である野球に参加する」など休みも返上している営業スタイルで、「競合他社から、よい提案があるとクライアントからリプレイスの連絡がある」とのことでした。今回は、クライアントに対して品質の高い提案を行い、(中長期的に)受注数や受注率を上げていくということを目的にしました。

ロジカルシンキング研修を一日目、問題解決思考研修フォローとして二日目に実施しました。この時に、ただスキルを渡すのではなく、明確にクライアントに適切な提案を行えるようにするという目的を明確に伝えます。現場での活用イメージを持って、実施したことにより、下記のような効果があったと伺っています。

・効果1:営業の提案資料の品質が上がり、顧客からの声もよく、なかなか攻略できなかった顧客をリプレイスできた

・効果2:社内会議において、受講者の話が分かりやすくなったという声が上がった

問題解決スキルを現場で活用し、身に付けていくため、受注数・受注率がすぐに飛躍的に上がっているわけではありませんが、企画側・参加者共に手応えを感じているようです。このように、何のために問題解決力を身に付けるのかを明確にして、スキル習得の研修を行うといいでしょう。

②事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修の事例

ここでは、筆者が実際に講師として登壇した際の事例を紹介します。ある店舗系企業の店長候補者の方に行った問題解決研修の事例です。

この企業では、店舗の責任者としての役割が求められる店長に対して、前もって問題解決力を養っておくことが重要だという考えのもと、問題解決研修を実施しました。
その際に、机上の空論ではなく、業務で実際に起こる問題解決ができるようになってほしいという意図のもと、実際に店長候補者が遭遇している問題を持ち寄って、研修を実施しました。

ただし、問題解決の基本については、理解度や習熟度がバラバラであったため、事前課題として問題解決の基本を学ぶeラーニングを実施し、研修当日を迎えました。

研修当日は、eラーニングと同じ問題解決のステップを改めて復習し、ステップ毎に講師からフィードバックを受けて、自分たちの解答をブラッシュアップしていく流れで進めていきました。

例えば、講師である私からは、以下のようなフィードバックを参加者ひとり一人に行いました。

(あるべき姿の設定について)
「あるべき姿が各項目の羅列になっています。各項目がすべて実現しているにはどんな状態にするためには、自部署がどうあるべきか?まで考えられるとよいでしょう」

(原因の把握について)
「人が足りないから目標達成できないというのは本当でしょうか?人が足りないことは、目標を達成している店舗でも起こっている事象であり、本当にそれだけが原因なのかを、もう一度考えてみましょう」

(解決策の立案について)
「確かに効果はありそうですが、効果があるからというより、やりやすい打ち手だから選択されている印象を請けます。本当にそれが結果にインパクトのある打ち手かどうかを改めて考えてみてください」

参加者は、研修終了後に上司からもフィードバックをもらって再度修正を行い、実際に、できる限り実行に移し、その結果をレポートにまとめ事務局に提出し、研修が完了となりました。

ただ問題解決のステップを学ぶだけでなく、それを実務で応用する際には、通り一辺倒のフィードバックではなく、参加者の背景や置かれている状況も踏まえてフィードバックする必要があります。また、実際に問題解決のステップを実践するには時間を要するため、研修だけをただ行って終わりではなく、上司からのフォローアップ、解決策の効果を検証するなどのステップも含む研修を設計することが必要です。

以上が、事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修の事例です。実際に研修を設計する際の参考にしてみてください。

3)問題解決研修の内容を決める際の5つの手順

①問題解決研修を実施する目的とゴールを決める

問題解決研修の内容を決める際に最初に行うべきは、目的とゴールを決めることです。

先述したように、問題解決研修には

①問題解決スキルの習得を目的とする
②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする

の2つがあります。この2つを混ぜたまま、内容を検討してしまうと、どっちつかずの内容になる可能性が高く、得たい研修効果が得られなくなるリスクが高まるので、どちらを実現したいのかを明確にして、目的とゴールを設定することが大切です。

具体的には

問題解決スキルを初めて学ぶ場合
 →①問題解決スキルの習得を目的とする

基本的な研修は実施済みで、応用・実践に向けてスキルアップしたい場合
 →②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする

がおすすめです。

②対象層を決める

次に、目的とゴールをふまえて、対象層を決めていきます。

目的:問題解決スキル習得対象層は若手~管理職

目的:事業課題・組織課題の問題解決対象層は管理職候補~管理職

①問題解決スキル習得を目的とする」場合には、若手層~管理職層まで幅広く対象層にしていただけます。問題解決スキルは、単体の業務から、事業課題・組織課題まで幅広く活用できるからです。

ただ、問題解決スキルは知識だけで実践できるのではなく、実際にフレームワークやツールを使っていく中で身についていくスキルです。よって、できる限り若手のうちから身に着けられるのが望ましいです。

一方で、一部の若手社員だけが問題解決スキルを身につけても、上司が問題解決スキルを身につけていないと職場での実践に支障をきたしますので、できる限り組織の共通言語とできるように、毎年対象者をスライドするなどして、実施していけるのが望ましいです。

具体的には

①若手層の基礎スキルとして問題解決スキルを若年層のうちに身につける
②公募研修のラインナップに加えるなどして、①で受けられなかった層にも機会を与える

とよいでしょう。

②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする」際には、

①問題解決の基本的なスキルが身についている対象者か?
②職場の問題を解決していける権限を有しているか?

の2点をふまえた上で対象者を選ぶことが大切です。

なぜなら、「実際の課題を扱う場合には、問題解決のスキルを実際の状況に合わせて応用することが必要」、「問題解決スキルを身につけたとしても、問題解決を推進できる権限がないと、スキルの有無に関わらず問題解決が進まない」からです。

この条件を満たすと、多くの場合、管理職手前~管理職層が対象者になるでしょう。この場合、できれば若手のうちに問題解決の基本スキルを身につけた上で、その後、応用として管理職手前~管理職層を対象層に研修ができるとよいでしょう。

なお、人数においては

①問題解決スキル習得を目的とする場合は最大でも2530名程度
②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする場合には、10名~15名程度
がよいでしょう。

①の場合は、グループワーク形式で実施可能なので、多少人数が多くても研修のクオリティは下がりません。②の場合は、個別フィードバックが必要になりますので、講師がひとり一人フィードバックできる人数であることが重要です。

③問題解決研修で扱うべき内容・形式を決める

問題解決研修で扱う内容は、「①問題解決スキル習得を目的とする場合」「②問題解決スキル習得を目的とする場合」で大きな差があるわけではありません。具体的には1章でも挙げた、以下のようなポイントを学べる内容です。

【問題解決のステップ例
①あるべき姿の確認
②問題所在の把握
③問題原因の把握
④解決策の考察

上記をケーススタディで学んでいくのか、実課題で学んでいくのかの違いで、押さえるべき内容は同じです。具体的には、問題解決の全体像を理解した上で、問題解決の進め方の手順やその際に使うフレームワーク、ツールを一通り使えるようになるための内容を扱います。詳細は、1章にもスライドイメージなども含めて記載しています。

一方で形式については、違いがあります。

①問題解決スキル習得を目的とする場合には、ケースタディを用いてグループワーク形式で実施することが有効です。なぜなら、グループワークの中で、自分だけでは考えられない観点をメンバーが持っている、メンバーからのフィードバックを通じて、理解が深まるからです。具体的には4名~6名程度を1グループにして、最大でも5グループ程度で実施するのがよいでしょう。

②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする場合には、個人ワーク形式で実施することが有効です。①と違い、個人毎に扱う課題が異なるため、グループメンバーからのフィードバックが難しい場合が多いからです。具体的には、簡単なレクチャーの後、問題解決のステップに沿って、ワークを進めながら、講師が個別にフィードバックしていく形式が一般的です。

リアル・オンラインについては、問題解決研修の場合、どちらでも実施が可能です。オンライン上でもグループワークは可能であり、進行も決められたプロセスに沿って進んでいくので、品質に大きな差がでるわけではありません。ただし、オンラインの場合、Googleスライドなどのツールを活用していくことが前提となることが多く、各種ツールに慣れていることが求められます。

④期間を決める

こちらは目的・内容によって違いがあります。「①問題解決スキル習得を目的とする場合」には、1日研修や半日研修×2回などで完結させることが可能です。決められた手順・プロセスどおりに進めていけば、滞りなく研修が進んでいくので、1日あれば一通りの問題解決のプロセスを理解することができるからです。

「②事業課題・組織課題の問題解決を目的とする場合」には、1日などで完結させるのではなく、1か月~半年など、一定の期間が必要です。なぜなら、実際の事業課題・組織課題を扱う際には、実際の現場において現状を把握する、解決策を実施して効果が出るまでに一定の時間を要するからです。

たとえば、半年間、月に1回ずつ研修を実施する場合、

①あるべき姿の確認
②問題所在の把握
③問題原因の把握
④解決策の考察

など1テーマずつ研修を実施します。一度にまとめて研修することも不可能ではありませんが、「いまは情報がないから考えられない」など、途中で問題解決のステップが止まりやすくなります。以上のように、達成したい目的や内容から、期間を決めましょう。

⑤現場でのフォローを決める

問題解決スキルは、一度研修を行ったからといって身につくものではありません。なぜなら、問題解決のステップは、普段の思考プロセスをより精緻にしたものであり、頭の動かし方に慣れていないと、つい問題解決のステップから外れたやり方で考えてしまうからです。よって、研修での学びを実践することで、学びが定着します。具体的には以下のようなフォローアップがあります。

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※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

①推薦図書を読む

最も行いやすいフォローアップは、推薦図書を読んでもらうことです。研修の後であれば、問題解決の用語や考え方にも馴染んでいるので、よい復習になるでしょう。本は、体系的・構造的に整理されていることもあり、改めて問題解決の全体像をつかむといった意味でも効果的です。具体的には以下の3冊がおススメです。

②ケーススタディを行う

問題解決をテーマとしたケーススタディを解いてみることもフォローアップとして効果的です。研修とは異なり、講師や他の参加者からのサポートなしで、独力で問題解決ができるかを試すことができるからです。

自社の事例をケースにしてもよいですし、市販の書籍などを参考にケースを作成することも可能です。研修会社に依頼する場合は、事後課題がある場合もありますので、問い合わせしてみてもよいでしょう。

③自分の仕事を題材に問題解決のステップを実践する

応用力を養うには、設定されたケースではなく、実際の課題を扱うことが効果的です。 なぜなら、ケーススタディは解答例やお手本がありますが、実際の課題には解答例、お手本はなく、自分の頭で考えきることが求められるからです。

具体的には、「自職場における問題解決」「業務プロセスにおける問題解決」「目標達成に向けた問題解決」などテーマを提示したうえで、問題解決のステップに沿って整理していきます。注意点としては、ただ整理しただけだと、問題解決のステップが正しく活用できているかがわからないので、できる限り添削やフィードバックまで行えるとよいでしょう。

④実課題を問題解決ステップで整理したのちに、解決策の実行まで行う

さらに解決策の実行まで行うのが最も効果的なフォローアップと言えます。なぜなら、問題解決のステップで整理しても、実際に解決策を実行してみると、工夫や修正が必要なことがあるからです。

具体的には、解決策を実行し、当初定義した問題が解決するかどうかを確認します。解決策の実行まで行う場合は、効果検証までには時間を要しますので、最低でも1か月程度の実践期間を設けると良いでしょう。

4)問題解決力研修の企画時によくある質問

①問題解決研修といってもいろいろなものがあるようですが、どのように選んだらよいでしょうか?

研修の目的、参加者の問題解決スキルの習熟度に沿って選ぶとよいでしょう。

ここまでにご紹介したように、問題解決研修には

①問題解決スキルの向上を目的とした内容を中心にした研修
②事業課題や組織課題の問題解決を目的とした内容を中心にした研修

の2種類があります。

問題解決のスキルの習得が目的であり、初めて問題解決に触れるのであれば、①問題解決スキルの向上を目的とした内容を中心にした研修を選ぶのがおすすめです。
問題解決の習熟度が高くないにも関わらず、実課題を扱ってしまうと、難易度が高くなりすぎて、問題解決できない、もしくは問題解決への苦手意識を持ってしまうことにもつながります。

基礎的な問題解決スキルは身につけた上で、さらなる応用力を養いたい場合には、②事業課題や組織課題の問題解決を目的とした内容を中心にした研修がよいでしょう。
ただし、どの程度の問題を扱うかによって、難易度が変わってきます。 例えば、若手社員であれば部全体の問題ではなく、自業務における問題を扱うのが妥当でしょう。

一方で、管理職クラスであれば、部全体の問題解決を扱うのが妥当です。目安としては、等級や役割期待に合わせたレベル~一つ上のレベルの問題を扱うとよいでしょう。難しすぎず、簡単すぎないレベルを選択することが重要です。

このように、研修の目的や参加者の問題解決スキルの習熟度の両方を加味して、研修を選びましょう。

②ロジカルシンキング研修を行っていないのですが、問題解決研修を行えますか?また、ロジカルシンキング研修と問題解決研修の違いは何ですか?

ロジカルシンキング研修を行っていない場合でも、問題解決研修を行うことは可能です。ただし、ロジカルシンキングの知識があった方が、問題解決が進めやすくなるので、できれば事前にロジカルシンキング研修などを行っておくことをおすすめします。

もし、ロジカルシンキング研修を行わずに、問題解決研修を行う場合には、情報整理のやり方など、ロジカルシンキングのエッセンスを問題解決研修の中に盛り込み、フォローするとよいでしょう。また、ロジカルシンキング研修と問題解決研修の違いは、考え方によっても変わってきますが、情報整理を目的とするのがロジカルシンキング研修で、情報整理を行った後に、問題の真因を分析し解決策を立案するところまで行うのが問題解決研修とすること位置づけられていることが多いです。

なお、多くの場合、ロジカルシンキング研修と比べると、問題解決研修の難易度は高いです。よって、可能であれば、ロジカルシンキング研修を行ったのちに、問題解決研修という順序で、研修を設計することをおすすめしています。

③問題解決研修のフォローアップは何をどのように行うとよいのでしょうか?

問題解決研修のフォローアップは、研修で学んだ考え方やフレームワーク、ツールが、業務でも実践できるように橋渡しすることを目的としたフォローアップとするのがよいでしょう。具体的には、3章でも触れましたが、以下のような内容が考えられます。

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※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋

研修目的、難易度や要する時間などを考慮した上で、フォローアップを計画してみてください。

④実際の事業課題や組織課題を、研修内で解決したいのですが、可能ですか?

実際の事業課題や組織課題を研修内で解決することは可能です。 ただし、以下のような条件を整える必要があります。

①数か月に渡り、研修を複数回行うことができる
②研修参加者に業務プロセスなどを変更する権限があり、職場の上司や同僚の協力を得られる
③業界や業務に関する知識を有した上で、問題解決スキルの観点から的確にフィードバックができる講師がいる

①については、実課題の場合、1回の研修で問題が解決することはほとんどなく、実態を把握する、情報収集や整理を行う、実際にデータを取って原因を分析する、などある程度の時間を要するからです。よって、1日の研修のみで実際の事業課題や組織課題を解決することは難しいと考えた方がよいです。扱う課題にも拠りますが、3か月~半年程度の研修とすることが必要でしょう。

②は、実際に問題解決を行う場合には、既存の業務プロセスや仕組みを変えなければならないことが多々あるからです。その時に、「権限がない」などの理由で変えられないということであれば、この時点でも問題解決が頓挫してしまいます。また、権限があったとしても「聞いていない」「勝手に変えられては困る」など、上司や同僚が協力的でないと、やはり途中で問題解決がストップしてしまいます。よって、実際の事業課題や組織課題を扱う場合には、事前に参加者の上司や同僚に対して協力を依頼することが重要になります。

こういった働きかけが難しい場合には、事業課題や組織課題を研修内で解決することはできないと考えた方がよいでしょう。

③は実際の事業課題や組織課題を扱う場合には、単に問題解決の観点だけではなく、業界や業務の特性を理解したうえでのフィードバックやフォローが求められるからです。

例えば、明らかに非効率な業務であっても、法令の観点から絶対に外すことのできない業務がある、などの場合です。こういった際に、問題解決の観点だけでフィードバックを行ってしまうと、研修参加者からは「この人はわかっていないな…」と感じられてしまいますし、的確な問題解決も行えません。

自社や業界に詳しい講師に依頼をする、もしくは問題解決の観点からは外部講師がフィードバックを行い、専門性が問われる内容については、社内講師からフィードバックを行うなどの役割分担を行う必要があります。

5)まとめ

以上、自社の業績アップにつながる問題解決研修の内容について紹介してきました。
世の中にはたくさんの問題解決研修がありますが、

・研修の目的やゴールは?
・参加者のレベルは?
・実際にどの程度時間が使えるのか?
・研修参加者の上司や同僚にどの程度協力をお願いできるのか?

など、複数のポイントを同時に考えていかなければなりません。

これらの点を曖昧なまま進めても、問題解決研修自体は行うことができますが、効果が低くなる、そもそも参加者の悩みやニーズに応えられず、自社の業績アップに繋がらないことは想像に難くないでしょう。

逆に考えれば、このコラムにあるポイントを押さえて問題解決研修を実施すれば、参加者が抱える課題や自社の事業や組織の課題を解決に導くことができるようになります。

問題解決研修を実施する際には、このコラムを参考に研修の検討や企画を行ってみてください。

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  • 経験豊富な講師に、現場感あるフィードバックを実施してほしい

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