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[ 研修・セミナーレポート ]
2022年11月10日 ソリューション提案力研修ー公開講座研修レポート
- 2022/11/16作成ー本内容は、2022年11月10日に開催された「ソリューション提案力研修」の公開講座研修レポートです。(参加受講者:新入社員・若手社員、参加企業数:3社、参加人数:4名、1グループ、オンライン1クラス)1)研
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問題解決研修の内容は主に2種類!解決の設計のコツと成功事例
更新日:
「問題解決力を高めたいけれど、どんな研修が自社に合うのか分からない」
「スキルアップもしたいけど、事業の課題もなんとかしたい…」
問題解決研修の導入を検討する中で、方向性に悩むご担当者は少なくありません。
実際、世の中には「問題解決研修」と呼ばれるものが数多く存在し、その内容や目的はさまざまです。目的や対象があいまいなまま企画を進めてしまうと、「やって終わり」になってしまい、研修効果が現場に定着しないというケースも多く見られます。
そこで本コラムでは、問題解決研修の具体的な内容や事例、自組織にあう問題解決研修の内容を決める5ステップを紹介します。
最後までお読みいただくと、「自社ではどのような問題解決研修を行うべきか」の方向性を明らかにすることができているはずです。
問題解決力は、変化の激しい時代をしなやかに切り拓くための武器です。自ら課題を捉え、動き、未来をつくり出せる人と組織を目指しましょう。
専門性:パフォーマンス・マネジメント、研修開発・ワークショップデザイン、成人発達理論を活用した人材開発・組織開発
目次
1)2つの目的別、問題解決研修の内容
問題解決研修は、目的によって2種類に分けられます。
①問題解決スキルの習得を目的とした研修
②事業課題や組織課題の解決を目的とした研修
それぞれの内容を解説します。
①問題解決スキル習得を目的とした問題解決研修
問題解決スキルを習得するための研修では、以下4つの内容を段階的に学ぶことが効果的です。
【問題解決研修の内容例】
・あるべき姿の確認
理想と現状のギャップを事実ベースで把握し、課題を明確にする。
・問題所在の把握
フレームワークを活用し、問題を構造的に分解して本質的な課題を特定する。
・問題原因の把握
ツールを使い、自分たちで解決可能な真因にたどり着くことを重視する。
・解決策の考察
フレームで多角的にアイデアを出し、ツールを用いて最適解を導き出す。
上記については実践を通じて学ぶほうが定着しやすく、現場での応用力も高まります。これらについて具体的に扱う内容を説明します。
①あるべき姿の確認
まずは、「理想の状態」と「現状」のギャップを事実ベースで把握します。このギャップを正しく捉えることで、解決すべき課題が明確になります。
アーティエンスの問題解決研修では、配付資料から「あるべき姿」と「現状」に関する情報を抽出するワークを実施します。このとき、あえて意見と事実が混在する情報や、一見もっともらしく見えるが根拠のない主張を含めておくことがポイントです。
なぜなら、実際の業務では情報が整っていることは少なく、自分で情報を収集し、取捨選択する力が求められるからです。
ワークの場面設定については、必ずしも実務そのものに寄せる必要はありませんが、状況や条件に、実際の仕事で起こりうるような事象を盛り込むことで、より現実に即した思考トレーニングが可能になります。
②問題所在の把握
次のステップは、「問題がどこにあるのか」を明確にすることです。ここでは、ロジックツリーなどのフレームワークを用いて、問題を構造的に分解します。重要なのは、漏れやダブりがないように整理し、全体像を的確に捉えることです。
アーティエンスの問題解決研修でも、こうした手法を活用しながら、複数の要因に分解したうえで、最も影響の大きい問題所在を特定するワークを行います。構造的に整理することで、真に取り組むべき課題が見えてきます。
③問題原因の把握
問題の真の原因(真因)を見つけるためには、深掘りするためのツールを活用することが有効です。アーティエンスの問題解決研修では、トヨタ式問題解決で知られる「なぜなぜ5回」を使用します。これはシンプルな手法ですが、本質を突く深い考察が可能なツールです。
ここで重要なのは、「自分たちで解決できる真因」にたどり着くことです。よくある失敗として、自分たちではどうにもできない真因に行き着いてしまうケースがあります。
たとえば、「無理やりアポを取っている」という問題に対して、
なぜ? → 目標が高すぎるから
なぜ? → 会社の業績が悪化しているから
なぜ? → 市場の状態が悪いから
というように進めていくと、最終的に自分たちでは対処できない原因にたどり着いてしまい、問題解決が困難になります。
そのため、事前にケースを設計する際には、「自分たちで対処できるレベルの真因にたどり着けるか」を検証しておくことが大切です。
④解決策の考察
解決策を考える際には、ツールを活用することが重要です。何も使わずに考えると、普段の思考のクセや既成概念にとらわれ、本当に必要な解決策を導き出せないことがあります。
アーティエンスの問題解決研修では、「発散と収束」のフレームワークを活用しながら、複数のツールを用いてアイデアを広げ、効果的な解決策を絞り込んでいきます。
※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋
また、スキル習得を目的とした研修では、実際の業務課題ではなく、ケーススタディ形式での学習を推奨しています。実課題を扱うと、学んでほしいスキルがその課題に適しているかどうかに左右されてしまい、学習効果が安定しないためです。
ケーススタディを効果的に行うためには、以下のような点に配慮することが大切です。
・ワークのゴールと評価軸を明確にする
・問題状況を具体的に設定し、受講者が取り組むイメージを持てるようにする
・必要な情報を過不足なく提示する
こうした配慮がないと、受講者が「何をすればいいのか分からない」という状態になり、研修の効果が半減してしまいます。
なお、ケースを設計する際には、意図的に情報の一部を伏せることもありますが、その場合でも受講者がスムーズに進められるよう配慮が必要です。情報の不足や不明瞭な点で無駄なエネルギーを消耗させてしまうと、本来学ぶべきポイントへの集中力が削がれてしまいます。
問題解決スキルの習得を目的とした研修では、以上の4ステップを段階的に学ぶことで、実践的な力が身につきます。
質の高いケーススタディを作成するには、ラーニングポイントの設計、情報量の調整、受講者の負荷設計など、さまざまな工夫が求められます。そのため、社内だけで設計するのが難しい場合は、研修設計に知見のある外部パートナーと連携することで、より効果的な学びの場をつくることができます。
②事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修
事業課題・組織課題の問題解決を目的とした研修は、実際の事業課題や組織課題を扱うことで、問題解決スキルの実践力を高めることができます。
ケーススタディと異なり、自社の現実の課題に取り組むことで、より主体的かつ当事者意識を持った学びが可能になるためです。また、実務に直結する成果が求められるため、解決策の精度や妥当性を高める力が養われます。
たとえば「営業部の受注率が低下している」「部門間の連携がうまくいっていない」といった課題をテーマにし、問題の構造を可視化し、真因を特定し、解決策をチームで検討・実行します。現場のリアルなデータや状況を使うため、抽象的な議論にならず、現実的な改善につながるアウトプットが得られます。
このように、実際の課題を扱う研修は実践力を養う上で非常に効果的です。ただし難易度が高いため、まずはケーススタディで基本スキルを習得した上で、段階的に導入することをおすすめします。
なお、アーティエンスでは実際の課題を扱う研修も実施しています。研修の設計方法や渡すスキルに迷う場合は、お気軽にお問い合わせよりご相談ください。
問題解決研修には、「スキル習得を目的とした研修」と「実課題の解決を目的とした研修」の2つがあります。
目的や受講者のレベルに応じて、段階的に研修を設計・導入することで、問題解決力を着実に育成していくことができます。
問題解決力研修をご検討中の人事責任者様・担当者様へ
アーティエンスのスキル研修は、研修内の約8割が演習です。実際にやってみることで、スキルの活用イメージを持つことができ、現場で実践することができます。
- 座学で終わらないスキル研修を実施したい
- 実践を繰り返すことで、スキル習得を早めたい
- 経験豊富な講師に、現場感あるフィードバックを実施してほしい
上記の研修をお探しであれば、ぜひ、当社までお声がけください。効果的な問題解決力研修を実施し、現場での変化につなげましょう。
2)現場が変わる!問題解決研修の成功事例
「スキルの習得を目的とするもの」と「実際の事業・組織課題の解決を目的とするもの」それぞれの目的に応じた2つの問題解決研修事例をご紹介します。
①スキル習得を目的とした事例|「御用聞き」営業から脱却!提案力を育てた問題解決研修
医療器具専門商社さま(社員数200名程度)に、問題解決研修を提供した内容の事例をお伝えします。
課題
営業担当は、医療機関の要望にすべて「YES」と応える“御用聞き”的な対応に終始しており、建設的な提案ができていないという課題がありました。
具体的には以下のような状況が見られました。
・クライアントの趣味である野球に休日も付き合うなど、営業が過度に対応し疲弊していた
・提案力が弱く、競合他社からの提案があると、すぐにリプレイスされてしまう
実施内容
こうした背景から、提案力を強化し中長期的に受注率を高めることを目的と設定し、以下の2日間の研修を実施しました。
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1日目:ロジカルシンキング研修
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2日目:問題解決思考研修(フォローアップ)
単なるスキル習得にとどまらず、「現場でどのように活用するか」のイメージを持たせる設計を重視しました。
効果
研修の効果として、以下のような変化が現れました。
・提案資料の質が向上し、顧客からの評価が改善。これまで攻略できなかった顧客からリプレイスを獲得。
・社内会議での発言が明確になり、伝わりやすくなったと周囲から好評。
すぐに受注率が飛躍的に向上したわけではありませんが、現場ではスキル定着の手応えを感じており、今後の成果が期待されています。
このように、「なぜ問題解決力を身につけるのか」という目的を明確にしたうえで研修を実施することが、スキルの定着と現場での実践につながります。
②事業課題の解決を目的とした事例|「机上の空論」で終わらせない!現場起点で考える問題解決研修
筆者が実際に講師として登壇した、ある店舗系企業の店長候補者を対象に行った問題解決研修の事例をご紹介します。
課題
この企業では、店舗責任者である店長に対し、「実務上の課題に自ら対応できる力」が求められていました。
しかし、店長候補者の多くは、問題解決の基本的な知識や考え方を体系的に学んだことがなく、業務経験の中で自己流で対応している状態でした。
また、表面的な対応に終始してしまい、根本的な原因分析や効果的な打ち手を導き出す力に課題がありました。
実施内容
こうした背景から、業務に直結する課題を自ら考え、解決できるようになることを目的に、以下のような設計で研修を行いました。
・事前課題:
理解度や習熟度がバラバラであったため、問題解決の基本を学ぶeラーニングの実施
・研修当日:
・eラーニングと同じ問題解決の基礎を改めて復習
・実際の業務課題をもとにしたワークの実施
・講師からのフィードバックを受けて改善
研修では、参加者が持ち寄った実際の業務課題に対して、問題解決のステップに沿って検討を進めました。各ステップごとに講師が個別にフィードバックを行い、単なる型通りの思考ではなく、実務に即した視点を持てるよう支援しました。
たとえば、以下のような観点でフィードバックを実施しました。
・あるべき姿の設定に対して
「各項目の羅列にとどまらず、それらがすべて実現している状態とはどのような姿か。自部署がどうあるべきかまで考えましょう」
・原因の把握に対して
「“人が足りない”という主張は本当に原因なのか。目標達成している店舗でも同様の課題があることを踏まえ、他の要因にも目を向けましょう」
・解決策の立案に対して
「やりやすい手段を選んでいないか。本当にインパクトのある打ち手かどうか、再度見直してみましょう」
このように、受講者の考えを深めるフィードバックによって、問題解決の本質に迫る力を養うことを重視しました。
効果
研修終了後は、業務課題に対しての解決策について上司からのフィードバックを受けて、再度内容を修正。その後、可能な範囲で実行に移し、結果をレポートにまとめて事務局に提出するという流れを取りました。
このプロセスを通じて、参加者自身が現場での実行を意識しながら、自らの取り組みを振り返る姿勢が育まれました。
ただ問題解決のフレームを学ぶだけでなく、「実務でどう応用するか」を意識し、参加者に合わせたフィードバックと継続支援を組み込むことで、実践力として定着していきます。
このように、スキルと実務をつなぐ設計が、問題解決研修の成果を高める鍵になります。
3)問題解決研修の内容を決める5ステップ
問題解決研修を設計する際に押さえておきたい5つのステップを具体的に紹介します。
①問題解決研修を実施する目的とゴールを決める
②対象層を決める
③問題解決研修で扱うべき内容・形式を決める
④期間を決める
⑤現場でのフォローを決める
①問題解決研修を実施する目的とゴールを決める
問題解決研修の内容を決める際に最初に行うべきは、「何のために実施するのか」という目的とゴールを明確にすることです。
問題解決研修には大きく2つの目的があります。
1つは「問題解決スキルそのものを習得する」こと。
もう1つは「実際の事業課題や組織課題を解決する」こと。
この2つの目的が混在したまま研修を設計すると、内容が曖昧になり、結局どちらの成果も得られない可能性が高まります。
若手社員など、問題解決スキルを初めて学ぶ場合は、スキル習得を目的とした基礎研修が適しています。
一方で、すでに基礎を学んだ社員が、より実践的にスキルを高めたい場合は、実際の事業・組織課題を扱う応用型の研修が効果的です。
「スキルを身につけたいのか」「課題を解決したいのか」どちらを優先したいのかを明確にすることで、目的に沿った効果的な研修設計が可能になります。
②対象層を決める
研修の目的とゴールが明確になったら、次に「誰を対象に実施するか」を決めます。
問題解決スキル習得を目的とする場合の対象者の考え方
できるだけ若手のうちから学び、経験の中で定着させていくことが理想的です。なぜなら、問題解決スキルは、知識を覚えただけでは身につかず、実際にフレームワークやツールを実務で使いながら試行錯誤する中で、少しずつ体得していくスキルだからです。
ただし、若手社員だけが問題解決スキルを身につけても、上司が同じ考え方を理解していなければ、現場での実践がうまく進まない壁にぶつかることがあります。
そこで重要なのが、組織全体で「問題解決スキル」を共通言語にしていくことです。具体的には、毎年少しずつ対象者をスライドしながら、複数年かけて社内に浸透させていく方法もあります。
● 運用の工夫例
① 若手層の基礎スキルとして、早い段階で問題解決スキルを身につけさせる
② 公募研修などを通じて、①で受講機会がなかった層にも学ぶ機会を提供する
事業課題・組織課題の解決を目的とする場合の対象者の考え方
この目的の場合は、次の2つの観点で対象者を選ぶことが重要です。
① 問題解決の基本スキルがすでに身についているか
② 課題を解決するための裁量や権限があるか
実際の課題を扱う場面では、基本スキルを実務に合わせて応用する力が求められるためです。
また、どんなに優れた解決策を立てても、それを実行に移す裁量がなければ、課題は前に進みません。
これらの条件を満たすのは、多くの場合「管理職候補〜管理職層」になるでしょう。
理想的としては、若手のうちに問題解決の基本スキルを習得し、その後、より複雑な課題に取り組む段階で応用研修を受ける流れが効果的です。
なお、目的に応じて、適切な受講人数を設定することも研修効果を高めるポイントです。
・問題解決スキルの習得が目的の場合
推奨人数:最大25~30名程度
この場合はグループワーク形式で進行できるため、多少人数が多くても研修の質が大きく下がることはありません。
・事業課題・組織課題の解決が目的の場合
推奨人数:10~15名程度
実際の課題に対して個別のフィードバックが必要になるため、講師が一人ひとりに丁寧に対応できる人数に絞ることが重要です。
目的と内容に応じて、適切な受講人数を見極めることで、より実践的で効果的な研修につながります。
③問題解決研修で扱うべき内容・形式を決める
「①問題解決スキル習得」でも「②事業課題・組織課題の解決」でも、扱う内容に大きな違いはありません。共通して、以下のような問題解決の基本ステップを扱います。
【問題解決の基本ステップ】
・あるべき姿の確認
・問題所在の把握
・問題原因の分析
・解決策の立案
これらを理解し、問題解決の全体像や進め方、フレームワーク・ツールの使い方を身につけることが狙いです。
内容は共通でも、目的に応じて、実施形式を以下のように使い分けることが重要です。
① スキル習得が目的の場合(若手〜管理職)
→ ケーススタディ × グループワーク形式
4〜6名で1グループを構成し、全体で最大5グループ程度に収めるのが理想です。
グループワークを通じて、自分では気づけない視点に触れたり、他者からのフィードバックを受けることで、学びの深さが増します。
② 実課題の解決が目的の場合(管理職候補〜管理職)
→ 実課題 × 個人ワーク形式
各自が実際に抱えている課題をベースに取り組むため、グループでの汎用的な議論は難しくなります。
そのため、「レクチャー → ワーク → 講師による個別フィードバック」という流れで進めるのが効果的です。
リアル/オンラインの実施方法については、問題解決研修の場合、どちらでも実施が可能です。
オンラインでも進行に大きな支障はなく、Googleスライド等のツールを活用すれば、グループワークや個人ワークも問題なく進行できます。
ただし、オンラインでは各種ツール操作への慣れが前提となるため、受講者のITリテラシーも考慮しましょう。
④期間を決める
研修期間は目的や内容によって変えるべきです。スキル習得を目的とする場合は短期で完結可能ですが、実課題の解決を目的とする場合は中長期の設計が効果的です。
問題解決のスキル習得は、手順やフレームワークを理解することが中心であるため、比較的短期間でも学習効果が得られるためです。一方、実際の事業課題・組織課題に取り組むには、現場での状況把握や打ち手の実行・検証に時間がかかるため、ある程度の期間が必要です。
問題解決スキル習得を目的とする場合は、 1日研修、または半日研修×2回など、短期で完結する形式がおすすめです。
事業課題・組織課題の問題解決を目的とする場合は、 1か月~半年など、継続的な設計が効果的です。
例えば、半年間、月1回のペースで下記のようなテーマに沿って段階的に進めます。
①あるべき姿の確認⇒②問題所在の把握⇒③問題原因の分析⇒④解決策の考察
一度に全ステップを詰め込んで研修することもできますが、実際には「必要な情報が手元にないため、次のステップに進めない」といった壁にぶつかりやすくなります。特に実際の課題に取り組む場合は、現場での情報収集や実行・検証の時間も必要です。
だからこそ、目的に応じて、無理のないスケジュールを組むことが成功のポイントです。
⑤現場でのフォローを決める
研修で学んだ内容を、実際の仕事で繰り返し使えるようにするためのフォローも大切です。なぜなら、問題解決のステップは、普段の思考よりも順序立てて丁寧に考える必要があり、慣れないうちはつい自己流で進めてしまいがちだからです。
具体的には以下のようなフォローアップがあります。

※ 当社 問題解決力研修テキストより一部抜粋
4つのフォロー方法を紹介します。
①推薦図書を読む
手軽に取り組めるフォローアップは、問題解決に関する本を読むことです。
研修で基本的な用語や考え方に触れているため、読書によって理解をさらに深めることができます。書籍は内容が体系的に整理されているため、問題解決の全体像を改めてつかむのにも効果的です。
おすすめの本は以下の3冊です。
■世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
■新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術
■自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術
②ケーススタディを行う
問題解決をテーマとしたケーススタディを解いてみることもフォローアップとして効果的です。
講師や仲間のサポートがない中で、どこまで理解し応用できるかを確認することができます。
ケースは、自社の実際の事例をもとに作るのもよいですし、市販の書籍を参考にして作成することも可能です。研修会社によっては、事後課題としてケースを提供してくれることもあるので、事前に確認してみましょう。
③自分の仕事を題材に問題解決のステップを実践する
応用力を高めるには、用意されたケースではなく、実際の自分の仕事の課題に取り組むのが効果的です。なぜなら、現実の課題には「正解」や「お手本」がなく、自分の頭で考え抜く力が求められるからです。
たとえば、「自職場の課題」「業務プロセスの改善」「目標達成のための課題」など、具体的なテーマを設定し、問題解決のステップに沿って整理していきます。
このときのポイントは、単に整理して終わらせず、可能であれば添削やフィードバックを受けること。そうすることで、自分の進め方が正しく問題解決の手順に沿っているかどうかを確認できます。
④実課題を問題解決ステップで整理したのちに、解決策の実行まで行う
最も効果的なフォローアップは、研修で学んだ問題解決のステップを使って実際の課題を整理し、そのうえで解決策の実行まで取り組むことです。
頭の中で考えた解決策でも、実行してみると状況に応じた工夫や調整が必要になることが多く、そこに実践的な学びがあるためです。
具体的には、
・問題解決のステップに沿って課題を整理する
・考えた解決策を実行する
・その結果として、問題が本当に解決したかを確認する
という流れです。
解決策の効果を確かめるには時間がかかるため、最低でも1か月程度の実践期間を確保するとよいでしょう。
問題解決研修は、「スキル習得」と「実課題の解決」という異なる目的に応じて、設計のポイントが大きく変わります。
形だけの研修にしないために、設計段階から「実務との接続性」と「学びの定着」を意識することが成功の鍵です。
4)【Q&A】問題解決研修の設計時によくある疑問にお答え
問題解決研修の検討時に多く寄せられる4つの質問をもとに、研修設計のポイントをわかりやすく解説します。導入前の不安を整理し、目的に合った効果的な設計に役立ててください。
① 研修にはいろいろ種類があるようですが、どう選べばいいですか?
まずは、研修の「目的」と「参加者の習熟度」を軸に選びましょう。
問題解決研修には大きく2種類あります。
・スキル習得型:初めて問題解決を学ぶ層に適した、基礎的な内容
・実課題解決型:すでに基礎スキルを持つ層に向けた、応用的な内容
スキル習得が目的で、初学者が多い場合は「基礎型」を選びましょう。いきなり実課題を扱うと、難しすぎて逆効果になることもあります。
一方、応用力を高めたい場合や、より実践的な力を求める場合は「実課題解決型」がおすすめです。ただし、若手なら自業務レベル、管理職なら部門レベルなど、役割や等級に応じた難易度に設定することが重要です。
② ロジカルシンキング研修を受けていなくても、問題解決研修はできますか?
可能です。ただし、ロジカルシンキングの知識があると進めやすくなるため、事前に受けておくのが理想です。
ロジカルシンキング研修との違いは以下の通りです。
・ロジカルシンキング研修:情報の整理や構造化に特化
・問題解決研修:情報整理から原因分析、解決策立案までを扱う
ロジカルシンキングを学んでいない場合は、問題解決研修内にその要素を含めて設計するとよいでしょう。
③ 問題解決研修のフォローアップはどうすればいいですか?
研修で学んだ内容を実務で活かすには、実践と定着を支援するフォローが大切です。以下のような方法があります。
・推薦図書で知識を深める
・ケーススタディで繰り返し練習する
・自分の業務を題材に実践する
・実際の課題に取り組み、解決策を実行する
研修の目的や期間、難易度に応じて、無理なく取り組める内容を計画しましょう。
④ 実際の課題を研修内で解決することは可能ですか?
可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
・期間の確保:1回で完結は難しく、3か月~半年の継続設計が望ましい
・実行環境:参加者に変更の裁量があり、上司・同僚の協力も得られる
・適切な講師:業界知識と問題解決スキルを持ち、実践的なフィードバックができる
実課題に取り組む場合、関係者の合意形成と現場の協力が欠かせません。社内外の講師で役割分担をするなど、体制を整えて進めましょう。
5)まとめ|問題解決研修はアーティエンスにおまかせ
自社の業績アップにつながる問題解決研修の内容について紹介してきました。
世の中には数多くの問題解決研修がありますが、ただ実施すれば効果が出るわけではありません。
研修の成果を最大化するには、以下のようなポイントをしっかりと押さえることが重要です。
・研修の目的やゴールは何か?
・参加者のスキルレベルはどの程度か?
・実施可能な期間・スケジュールはどれくらいか?
・上司や同僚など、職場の協力体制はあるか?
これらを曖昧にしたまま進めると、研修は行えても実務での変化につながらず、結果的に業績アップにも結びつかない可能性があります。
裏を返せば、本コラムで紹介したような視点を持ち、丁寧に設計することで、個人の課題解決力を高めるだけでなく、組織全体の課題解決にも波及する、実効性の高い研修を実現できます。
問題解決研修を検討・企画する際は、ぜひ本コラムの内容を参考に、自社に最適なプランを組み立ててみてください。
アーティエンスでは、目的や対象者に応じて最適な問題解決研修の設計をサポートしています。
「自社に合った内容を相談したい」「研修企画の壁打ちをしたい」といったことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
問題解決力は、変化の激しい時代をしなやかに切り拓くための武器です。自ら課題を捉え、動き、未来をつくり出せる人と組織を目指しましょう。
問題解決力研修をご検討中の人事責任者様・担当者様へ
アーティエンスのスキル研修は、研修内の約8割が演習です。実際にやってみることで、スキルの活用イメージを持つことができ、現場で実践することができます。
- 座学で終わらないスキル研修を実施したい
- 実践を繰り返すことで、スキル習得を早めたい
- 経験豊富な講師に、現場感あるフィードバックを実施してほしい
上記の研修をお探しであれば、ぜひ、当社までお声がけください。効果的な問題解決力研修を実施し、現場での変化につなげましょう。




