【事例あり】パフォーマンスの低い管理職が生まれる4つの原因。具体的な解決策も解説

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作成日:2024.4.17

「管理職のパフォーマンスをどうにかしたい…」
とお悩みの方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

管理職は経営層と大勢の社員をつなぐ大切なポジションです。そんな管理職のパフォーマンスが低いと、組織全体の成果や成長にもネガティブな影響が出てきてしまいます。

そこで本コラムでは、管理職のパフォーマンスが低い理由と対策についてお伝えします。管理職のパフォーマンスを上げ、組織としての成長や事業課題を解消できるようにしましょう。

このコラムで分かること

  • ・管理職のパフォーマンスが低い原因と対策
  • ・管理職のパフォーマンスの低さが与えるネガティブな影響
  • ・管理職のパフォーマンスを高めた事例
執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

1)管理職のパフォーマンスが低い原因と対策

管理職のパフォーマンスが低い原因は主に4つあります。4つの原因と対策は次の通りです。

原因 対策
役割の認識不足 管理職の役割を明確にする
スキル不足 管理職に必要なスキルを身につける
役割・責任の多さ 管理職の役割や責任を調整する
部下の人数の多さ 組織構造を変える

それぞれについて具体的に説明します。

原因①役割の認識不足

管理職のパフォーマンスが低い原因は、役割の認識不足です。組織が期待している管理職の役割と、管理職自身が認識している役割が異なると、ズレが生じ、パフォーマンスが低いと評価されてしまいます。

例えば、組織は管理職に中長期的な目線を持った自主的なプロジェクト提案を求めていたとします。
しかし管理職自身は、今ある短期的な業務で成果を出すことを求められていると認識している場合、組織目線では管理職はパフォーマンスが低いという評価になります。

役割の認識不足やズレが原因で、管理職のパフォーマンスを低くしている場合は、管理職としての役割の明確化が必要です。
組織は管理職に対して何を期待しているのかを明確に言語化して管理職に伝え、管理職が意図を汲み取って理解しているかを確認する必要があります。

なお、最近の管理職は次の9つの役割を求められていることが多いです。

1. チーム・部署における業務遂行

2. 職務権限に基づく意思決定・決裁

3. 情報の伝達と共有

4. メンバーの育成・評価

5.チームビルディング・モチベーション管理

6.労務管理・健康管理

7.コンプライアンス管理

8. プレイヤー業務との両立

9.管理職としてのリーダーシップ発揮

この役割を参考にしながら、自組織の管理職にどのようなことを期待するのかを明確にして、認識のズレがないようにしましょう。
そして管理職は組織からの期待を常に意識して仕事を行える環境を作りましょう。

原因②スキル不足

管理職のパフォーマンスが低い原因が管理職のスキル不足です。管理職がその役職に相応しいスキルを身につけていないと、役割を果たせないためです。

管理職の役割としてチームのマネジメントを期待されている組織は多いと思います。

ただし、多くの場合、マネジメントスキルは仕事の経験によって、自然に身につくものではありません。マネジメントのスキルを学び身につける必要があります。新たに身につけるべきスキルに対して対策を行えていない場合スキル不足になりやすいです。

スキル不足が原因である場合の対策は、組織が管理職に必要なスキルを学ぶ機会を提供することです。

組織が管理職に期待している役割に必要なスキルと、今の管理職が優先的に学んでほしいスキルを洗い出して比較してみると、不足しているスキルが見えてきやすくなります。

もしも、スキルを身につける機会を与えているにもかかわらず、スキル不足の状態が続くようであれば、管理職自身が継続した学習を怠っている可能性があります。

その場合は1on1やコーチングを通して学習し続ける方法を見つけていく必要があります。

なお、管理職にどのスキルが不足しているのかを判断する際に、次のマトリックスの図を参考にすると考えやすくなります。

「成果が高いか低いか」や「問題が発生している率が高いか低いか」の2つの視点で見ていくことによって、管理職の能力のどこが不足しているのかが見えてきます。詳しくは「
管理職の能力不足に陥る原因とその解決方法を徹底解説」のコラムをご覧ください。

原因③役割・責任の多さ

管理職のパフォーマンスが低い原因として、役割・責任の多さも考えられます。業務量が多く、一つのことに集中しきれないために意識が散漫したり、質を高める余裕がなくなるためです。

管理職が業務時間内に行えるのは会議や面談だけで、資料作成など自分の手を動かせるのは業務時間が終わってから、と話す方も多くいます。
上記の状態が続くと、疲れやストレスも溜まり、自分の能力を100%出し切ることは難しいです。

管理職の役割や責任の多さがパフォーマンスの低下に影響している場合は、管理職の役割や責任を調整することが必要です。

例えば、仕事をアドオンする際は他の業務を減らしたり、強化してほしい役割以外の優先度を下げてもらうことで調整できます。
また、部下に依頼できることは部下に権限移譲しても良いでしょう。

管理職が仕事をただこなす状態ではなく、質を高められる状態になれるよう、管理職が担える役割や責任の範囲について調整を行いましょう。

【関連コラム】
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【管理職の種類別】期待される役割・能力とは│本部長から係長まで徹底解説

原因④部下の人数の多さ

部下の人数が多いことも管理職のパフォーマンスが低くなる原因となります。
部下が多いと個々の部下に適切な時間とリソースを割くことが難しく、チームとしての成果を高められないためです。
部下が多いと部下の進捗状況や課題に対するフォローアップが困難になったり、マネジメントも複雑化します。

部下の人数が多くて管理職のパフォーマンスを低くしている場合は、組織構造を変える必要があります。
管理職が抱えている部下の人数が多い部署の管理職の人数を増やしたり、部署を2つに分けるなどの対応が考えられます。

さまざまな研究によると、部下の人数は多くても10人までが良いとされています。

・Amazonでは「ピザ 2 枚チーム」と言って、ピザ 2 枚では足りない大きさのチームを編成すべきではないと、10 名未満のチームであることを理想的としています。

・スペインのアストゥリアス公立大学の研究によると、理想的な部下の数は5〜7人程度であるとされています。

・ダン・ピンクは自身の著書である『Drive』の中で理想的な部下の数を5人から9人程度としています。

チームが小規模であるほど、お互いの距離が近くなり意思決定もスムーズになります。また、付与される権限が多くなるため、それぞれの主体性も発揮されやすく、従業員の満足度も高る傾向があるためです。

そのため、部下を10名以上抱えている管理職がいる場合は、組織構造から見直して部下の人数を調整し、管理職が自身のパフォーマンスを最大化させられる状態を作りましょう。

管理職のパフォーマンスが低いと言う課題についてはこのような4つの原因が考えられます。自組織の状況を確認し、適切な対策を行えるようにすることが重要です。

2)管理職のパフォーマンスの低さが与える5つのネガティブな影響

管理職のパフォーマンスが低いことで、5つのネガティブな影響があります。

①業績が悪化する

管理職のパフォーマンスが低いと、業績の悪化に影響を与える可能性があります。目の前の売上などの短期成果に追われて中長期的な視点が持てなくなるためです。

業績の向上や組織の成長には、短期的な成果だけでなく中長期的な戦略や計画が必要です。しかし、管理職が短期的な改善に焦点を当てすぎると、中長期的な目標や戦略の見逃しが起こります
すると今と未来の方向性にズレが生じ、組織として目指す方向に向かえていない状態になりやすいです。
結果として、業績の持続的な向上ができず悪化してしまいます。

②退職者が増える

管理職のパフォーマンスが低いと、退職者を増やしてしまう可能性があります。管理職自身もメンバーもエンゲージメントが低下するためです。

管理職はパフォーマンスの低さからネガティブな評価を受けたり、成果を出せない自分にストレスやプレッシャーを感じたりしやすくなり、自分が組織にいる価値を見出せなくなってしまいやすいです。すると自らの職務に対する満足度やモチベーションが低下し、エンゲージメントが低下し、組織を離れることを決断する可能性があります。

またメンバーにとっては、管理職のパフォーマンスが低いことで、組織からのメッセージが伝わっていなかったり、自分の成長のことを考えてくれなかったりフォローをしてくれない、という不満や不信感が高まります。このような状況に対して、管理職や組織に対する不満や不安を抱き、他の職場への転職を検討する可能性が高まります。

管理職自身もメンバーも自組織にいる意味がわからなくなったり、自分の価値を発揮できないと感じて退職を考えるようになってしまいます。

③生産性が落ちる

管理職のパフォーマンスが低下すると、組織全体の生産性が低下する可能性が高まります。3つの理由からです。

・管理職の指示や方針が不明確であるため

管理職が指示や方針を明確に示さない場合、メンバーは作業の優先順位や目標を理解するのが難しくなります。このため、作業の効率性が低下し、生産性が損なわれます。

・メンバーに対して適切な育成やフォローが行われないため

管理職がメンバーの育成やフォローを適切に行えていないと、メンバーの能力やモチベーションが低下し、業務の品質やスピードが低下します。

・管理職の意思決定が遅いため

管理職の意思決定が遅延すると、プロジェクトの進行や問題解決が滞り、作業が停滞します。そのことによって作業時間が短くなり、チーム全体の生産性に影響を与えます。

管理職はチームの司令塔やマネジメントの役割を担うため、その管理職のパフォーマンスが低い状態だと生産性が落ちてしまいます。

④次期管理職が育成されない

管理職のパフォーマンスが低下すると、次期管理職が育成されない可能性があります。部下への適切な育成(OJT)が行われないためです。

中堅社員以降になるとOJTでの育成がほとんどになるため、次期管理職の育成において管理職のパフォーマンスが大きく作用します。

しかし管理職のパフォーマンスが低くてさまざまな業務が溜まっていると、どうしても締切のない社内業務は後回しにされやすいです。すると、部下の成長が遅くなり、次期管理職が育成されない状態が生まれてしまいます。

場合によっては、リーダー不在の状態やリーダーシップの断絶が生じる可能性もあります。

管理職のパフォーマンスが低いと次期管理職の育成がされず、組織の成長においてもネガティブな影響を与えることになります。

【関連コラム】

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⑤管理職への昇進意欲が低下する

管理職のパフォーマンスが低下すると、社員の管理職への昇進意欲が低下する可能性があります。管理職に対する憧れや魅力が減少し、昇進への動機付けが薄れるためです。

パフォーマンスの低い管理職は、往々にしてストレスや不満を抱えていることが多いです。その状態の上司を見て部下は管理職に対するポジティブなイメージを失い、昇進への意欲が低下する傾向があります。

また、管理職のパフォーマンスが低いことで業務の混乱や意思決定の遅れなどが生じることがあります。このような環境下では、メンバーのエンゲージメントやモチベーションが低下し、組織内での昇進よりも他社への転職を検討する社員も現れるかもしれません。

部下が現在の管理職をネガティブに感じていると、管理職への昇進意欲が低下する結果となってしまいます。

このようなネガティブな影響があると、組織としての成長は難しいです。1章の内容を参考に管理職のパフォーマンスの低さの原因を追求し、適切な対策を行いましょう。

3)管理職のパフォーマンスを高めた事例

【企業情報】
・業種:インターネットサービス事業
・社員数:約150名

【実施研修】
管理職研修
パフォーマンスなど短期的な成果を高めることと、チーム力など中長期的な成長を促すことを目指し、管理職としての当事者意識の醸成とスキルアップを通してチーム力を高めるアプローチを行いました。

コンフォートゾーンにいることでパフォーマンスが低下していることが課題でした。

目指す状態は、管理職を中心にチーム内の心理的安全性を高めながらラーニングゾーンに向かい、チームとしての中長期的なパフォーマンスを高めていくことでした。

居心地の良いコンフォートゾーンから脱却し、管理職やチームメンバーが、今よりもパフォーマンスを良くしたいという意欲と行動を持つことが必要でした。

※コンフォートゾーンとは、心理的に安全領域ではあるが、チャレンジする人がいないゾーンです。ラーニングゾーンは安全性がありながらもチャレンジしているゾーンです。
コンフォートゾーン・ラーニングゾーンを図で表すと次のようになります。

1年を通して、職としての当事者意識の醸成と管理職自身のパフォーマンス向上、また、チーム力を高めるスキル習得を目的とした管理職研修を実施しました。

研修一日目の始めは「今ある仕事をこなすことで手一杯で他のことなんて考えられない」というコメントが多かったです。

しかし研修を通して管理職同士の関係性も深まり率直な意見が出やすくなると、

「でも今〇〇をしないと変わっていけないよね」
「〇〇することが必要だよね」

という新しいことにチャレンジしたいという意欲が湧いていました。

そして1年後には、マネージャー同士で対話をする文化が形成されて研修以外でも集まる場が設けられました。
また、中途採用の面談の中で、マネージャー自身がチームの成果とメンバーの成長に貢献したい想いをありありと真剣に語っていた、というお話も伺いました。

このように、今が忙しすぎるあまり中長期的なことを考えられずにパフォーマンスが低くなっている管理職に対しても、研修でありたい姿と現場のギャップを知り、そのギャップを埋めるための方法を学び、実践してもらうことで、管理職のパフォーマンスを高められます

管理職の現状を確認した上で適切な対策を行えば、パフォーマンスの低さへのアプローチができます。具体的な相談をしたい場合はこちらからお問い合わせください

4)まとめ|管理職のパフォーマンスを高める研修はアーティエンスにおまかせ

本コラムでは、管理職のパフォーマンスが低い理由と対策についてお伝えしました。

管理職のパフォーマンスが低い原因は主に4つあります。4つの原因と対策については次の通りです。

原因 対策
役割の認識不足 管理職の役割を明確にする
スキル不足 管理職に必要なスキルを身につける
役割・責任の多さ 管理職の役割や責任を調整する
部下の人数の多さ 組織構造を変える

自組織の状況を確認し、適切な対策を行えるようにすることが重要です。

管理職のパフォーマンスが低いことで、次の4つのネガティブな影響があります。
・業績が悪化する
・退職者が増える
・生産性が落ちる
・次期管理職が育成されない
・管理職への昇進意欲が低下する

このようなネガティブな影響があると、組織としての成長は難しいです。1章の内容を参考に管理職のパフォーマンスの低さの原因を追求し、適切な対策を行いましょう。

なお、アーティエンスでは変化の激しい時代でも「成果」と「成長」を創出し、組織の今と未来を創るための管理職研修を実施しています。

管理職のパフォーマンスが低くなっている原因に合わせた研修を提案いたしますので、自組織に適した管理職研修について知りたい方は、お気軽にご相談ください

管理職のパフォーマンスを促し、組織としての成長や事業課題を解消できるようにしましょう。