お客様気分な新入社員を何とかしたい!本人側・組織側の8つの原因と対処法7選

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 新入社員 お客様気分

「新入社員が、いつまで経ってもお客様気分のままでいて困る…」

といったお悩みを、人事ご担当者や育成担当の方々からしばしお聞きします。
入社後もなかなか学生気分が抜けず、「お客様気分」で出社し、仕事をしている状況とのこと。

そのような状態が続くと、周囲があれこれとやってくれるのを待ち、自分からは動かない受け身の姿勢が強まります。仕事のパフォーマンスが上がらず、成長も伸び悩んでしまいます。

そこで、本コラムでは新入社員がお客様気分になってしまう原因と対策についてお伝えします。
すぐに新入社員を変えることは難しいですが、本コラムで紹介する施策を実践していくことで、新入社員に変容を促しましょう。

お客様気分の新入社員に悩む経営者・人事の方へ

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執筆者プロフィール
近藤 ゆみ
アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。
youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

専門性:新入社員・若手社員、採用・育成


▼【解説動画】12分で分かる|【新入社員 学生気分】いつまでも”お客様気分”が抜けない新入社員への対処法5選

1)新入社員がお客様気分の状態とは

新入社員がお客様気分の状態とは、精神的成長がなく、社会人としての自覚が弱い状態です。

精神的成長とは、物事への意識や捉え方が変わり、視座が高まったり、意欲や意識が向上するなどの内面的な変化を指します。

社会人として成長していくためには、技術的成長と精神的成長を促すことが必要とされていますが、精神的成長がないと技術的成長も弱くなり、いつまで経っても成長できません。
なお、技術的成長は、仕事を行うための技術やスキルが身に付き、できることのレベルが上がることを指します。


精神的成長がないと、例えば、 報連相の型と伝え方について教えて技術的成長を促そうとしても、 「社会人としての自覚」や「チームで仕事をする意識」がないため報連相の必要性を感じず積極的に行おうとしません。
そうすると、いくらスキルを与えても学んだことを活かすことをしないため、成長を期待するのは難しく、いつまで経っても自立できない社員となってしまいます。

このように、与えてもらって当たり前というようなお客様気分の新入社員の状態を変えるためには、まずは精神的な成長を促す必要があります

2)新入社員がお客様気分になってしまう新入社員本人の問題4つ

新入社員がお客様気分の状態になってしまう新入社員自身の問題としては、自身の言動が学生時代のままで社会人としての自覚が弱いことが原因です。学生と社会人とでは求められていることが異なるためです。

社会人の自覚が弱いことで、具体的には次のような状態になっています。

・与えてもらうことが当たり前になっている
・言われたことしかしない
・コスト意識の観点が弱い
・組織の一員としての自覚が弱い

順番に説明します。

与えてもらうことが当たり前

社会人の自覚が弱いと、与えてもらうことが当たり前となります。学生時代は与えてもらうことが当たり前の環境だったためです。

学生時代は基本的に教師から教えてもらうことに多くの時間が使われており、学校行事も決められた予定に沿って行動することが良しとされていました。これらは自分たちのために用意されたものを与えてもらっている状態で、学生が自身で考える時間はほとんどありません。

しかし、社会人になると自らクライアントや社内の課題を見つけ、課題を解決するために行動し、成果を出すことが求められています。これらは自分が主体的に動き、相手のために与える行動です。

このように学生と社会人とでは求められていることが異なります
しかしその違いを理解せずにいると、与えてもらうことが当たり前という学生時代の感覚を社会人になっても持ち続けるため、周囲から見るとお客様気分のように見えます。

また、最近の新入社員は育ってきた環境としても与えてもらうことが日常に溢れています。例えば、検索ツールやSNSでは自身の過去の履歴から興味のありそうな情報を自動で与えてもらう環境です。

このように、学生時代の感覚と社会人に求められていることは異なることを理解し切り替えることができないと、新入社員は与えてもらうことが当たり前という感覚になったままになってしまっています

言われたことしかしない

社会人の自覚が弱いことで、言われたことしかしない状態になっています。仕事とは言われたことをやることだと認識しているためです。

例えば「打ち合わせに同行して」と言われると、文字通り、本当に同行するだけで、自分でもできる受付を行ったり、電車の時間を調べようという行動ができません。また、同行して学びを得ようという意欲もなく、ただついていっただけの状態になります。
自分の中で仮説として、なぜ同行を依頼されたのかを考えることをしないため、言われたこと以上のことができません。

しかし、組織が求めている社会人は、言われたことをただするだけでなく、より良くするために自分なりに考えて行動できる人です。

このように、求められている質に対する認識の差が大きいと、周囲からは新入社員が言われたことしかやらない人だと見えるようになり、お客様気分でいるように感じるのです

【参考コラム】
言われたことしかやらない社員を何とかしたい!主体性を促す7つの手法

コスト意識の観点が弱い

社会人の自覚が弱いと、コスト意識も弱い方が多いです。組織にとって新入社員である自分がどのような存在であるのかを自覚できないためです。

※コスト意識とは、組織における自分自身の活動が、売上やコスト・利益にどうつながるかをイメージし、いかに最大のアウトプットやリターン(利益・メリット)を生みだすかを考えることです。

特に新入社員が自分の人件費(給料)が組織のコストの大きな部分を占めると認識している場合は少ないです。
それどころか、自分の時間を組織のために使っているのだから給与をもらうことは当然であるという感覚の方が多い印象です。成果を出しているか否かは関係なく、自分の時間に対する対価が給与であるという感覚があるようです。

しかし組織としては、社員の時間ではなく、成果に給与を支払うという感覚です。そのため、まだ成果につながる結果を残せない新入社員の期間は、給与として新入社員の成長に期待して投資している状態といえます。1年間だけの単位で見ると赤字となることがほとんどです。
新入社員と組織で、何に対して給与が支払われるかの認識が異なっています。

このように、コストの視点から見て自分が組織にとってどのような存在であるのかを自覚していない新入社員は、それに伴った成長や態度が見られず、周囲から見るとお客様気分でいるように見えます

組織の一員としての自覚が弱い

社会人の自覚が弱いと、組織の一員としての自覚が弱くなります。組織の一員として組織に貢献できるように頑張ろうという意欲が湧かないためです。

新入社員の中には、自組織でやりたいことがあってそのために頑張ろうとしている人もいますが、ただなんとなく働くという人もいます。
組織の一員としての自覚が弱い人は往々にして、自組織に入ってどのような仕事をしたいとか、どのような影響を与えたいというような目指すところを持っていません。そうすると仕事に対してモチベーション高く関わることは難しく、最低限のことしかしない状態になりやすいです。

このように、自身が自組織の一員としてどのような仕事をしたいかという目指すところがないと、仕事に対してできるだけ楽をしようとしやすくなり、結果として最低限のことしかしないお客様気分の新入社員だという認識をされてしまうことになります

新入社員が社会人として組織から何を求められていて、そのために今自分ができることは何かを自覚できていないと、お客様気分でいるように見られてしまいます。

3)新入社員がお客様気分になってしまう組織・上司の問題4つ

新入社員をお客様気分にさせてしまう組織・上司の問題としては、自立させることを目的に育成していないことです。必要以上にフォローすることで新入社員が自身で考える経験がなくなるためです。自立させることを目的に育成していないとは、具体的に次のようなことです。

・育成・フォローが手厚すぎる
・育成計画を立てられていない
・失敗やミスをしないように守りすぎる
・答えを簡単に渡しすぎる

順番に説明します。

育成・フォローが手厚すぎる

育成やフォローを手厚くしすぎると、新入社員をお客様気分にさせてしまいます。手厚い育成やフォローがあることが新入社員にとっては当たり前となり、要求が高くなるためです。

近年は売り手市場で組織は採用に苦しんでいます。そのため、採用した新入社員に辞められないよう、新入社員に対して丁寧な育成やフォローを行う状態になっています。

しかし、その行動をやりすぎると、新入社員にとってはその状態が当たり前となってしまい、当たり前の基準が他の社員とズレてしまいます。一方で、新入社員は、自組織の今まで対応を比較することができません。これまでと比較して、育成やフォローを手厚くしてもらっていることが分からないためです。

特に内定後〜新入社員として入社して数ヶ月間は、辞められないようにと組織からの手厚いフォローが多く見受けられます。新入社員がその状態が当たり前だと思ってしまうと、組織が色々与えてくれる認識になってしまい、要求が高くなっていってしまいます。

実際に今年の4月の研修の際に新入社員が人事の方に対して、無理な要求をしている場面がありました。
目に痛みを感じていた新入社員が、人事の方に対して「今少しお時間よろしいですか」といった前置きもなく「目が痛くて病院に行きたいので健康保険証を早くほしいんですけど、明日もらえますか」と人事の方に尋ねていました。人事の方が「今申請をしていて○日に届く予定ですが、確認してみますね」と答えました。その答えを受けて新入社員の方が「すぐに病院に行けなくて失明とかしたら嫌なので明日病院に行けるようにしてください」と人事の方にお伝えし、その場を去っていきました。

このように、組織が自分のために色々と動いてくれるのは当たり前だという感覚が強く、ありがたさを感じられないと、結果としてお客様気分の新入社員が生まれることになります

育成計画を立てられていない

自立させることをゴールとした育成計画を立てられていないと、新入社員をお客様気分にさせてしまいます。一人で仕事をできるようにならず、育成期間が終わってからも逐一先輩や上司に確認しないと仕事を進められない状態になってしまうためです。

新入社員のうちは知識やスキルがないため、先輩社員が教えながら仕事を進めてもらう状態が続きます。しかし、その状態がいつまでも続くわけではなく、半年後や1年後には新入社員が一人で仕事を進められる状態を期待している組織が多いはずです。

しかし、自立させることをゴールとした育成計画になっていないと、新入社員としては育成期間が終わった途端に一人で仕事をさせられる状況になります。
そうすると一人で仕事をすることができないため、先輩や上司に指示を仰ぐことになり、言われた通りに動く状態になってしまいます。
この状態が続くと、周囲からは「育成期間が終わったのに一人で仕事ができない。いつまでも先輩や上司に頼りっきりのお客様気分だ」というように感じられる場合があります。

このように、新入社員を自立させることをゴールにしていないと、いつまでも先輩や上司に指示を仰ぐ状態となり、自分一人で仕事のできないお客様気分の社員だと思われてしまいます

失敗やミスをしないように守りすぎる

新入社員が失敗やミスをしないように守りすぎると、新入社員をお客様気分にさせてしまいます。新入社員のミスや失敗は先輩や上司のせいという他責が強くなるためです。

先輩や上司としては、新入社員が迷うことなく仕事をスムーズに進められるように優しさのつもりで行っています。しかし、1から10まで事細かく準備しすぎると、新入社員は自分で考える経験ができなくなり、甘やかした状態にしてしまいます。

できるだけミスや失敗をしないようにと新入社員を守りすぎていると、新入社員にとってその状態が当たり前となり、自分が起こした失敗やミスを自分のせいではなく先輩や上司の責任にしはじめます。「先輩の伝え方が良くなかった」とか「上司がこうしろって言ったからやったのにダメだったじゃん」などです。

このように先輩や上司が新入社員が失敗やミスをしないように先回りして対応しすぎると、新入社員にとってはその状態が当たり前となってしまい、他責が強くなりやすくなります

答えを簡単に渡しすぎる

新入社員から答えを求める「どうすればいいですか?」という問いに対して先輩や上司が考える答えを簡単に渡してしまうと、新入社員をお客様気分にさせてしまいます。新入社員が自分で考えなくなり、なんでも先輩や上司に答えを教えてもらおうとするためです。

新入社員は知識、スキル、経験がなく、失敗をすることのほうが多いです。その経験をするからこそ成長できます。しかし、最近の新入社員は失敗することをとても恐れていて、できる限り失敗したくないと思っています。失敗しないためには、自分より知識や経験のある先輩・上司に答えを聞くのが手っ取り早いです。

新入社員から答えを求める質問をもらった時に、新入社員に考えさせるような返答をしていれば問題ないのですが、答えを与えてしまうと、新入社員は自分で考えなくても聞けば教えてもらえる、という認識になっていきます。
そして、その状態が続くと、「自分で考えることをしないで答えだけ聞きにくるなんてお客様みたいだな」というような感想を持たれてしまうのです。

このように、新入社員から答えを求められた時に新入社員に考えさせず、すぐに答えを渡してしまうとその状態が続き、新入社員が一人で答えを考えることをしなくなるため、お客様気分と思われるようになります

新入社員のためにという思いで新入社員に考えて行動してもらう経験を与えないでいると、最終的に自分一人では何もできない、お客様気分の新入社員が生まれてしまいます。

新入社員がお客様気分になってしまう原因としては、新入社員自身の問題だけでなく、組織や上司の対応にもあることがわかりました。

4)新入社員がお客様気分にならないようにする7つの対策

新入社員がお客様気分にならないようにするための対策として、次の対策が考えられます。

・社会人としての自覚を促す
・コスト意識を醸成する
・ありたい姿を醸成する
・自立させることを目的にした育成計画をつくる
・挑戦への失敗を受け入れる環境を作る
・指示や命令ではなく考える余白のある依頼をする
・期待している役割や目標を理解してもらう

具体的に紹介します。

社会人としての自覚を促す

新入社員がお客様気分にならないようにするために、社会人としての自覚を促すことが必要です。社会人は与える立場になるということを自覚できないと、受け身の状態が続いてしまうためです。

ただ、社会人としてどうあるべきかについては、社員が心から納得し理解しないと、意識の変化が起きません。

そのため、アーティエンスの社会人の自覚研修では、新入社員同士で「社会人と学生の違い」について考える時間を作り、その後、講師が一般的な考えを共有します。新入社員は自分の考えと一般的な考えを結びつけて、独自の結論を導くことで、納得感を持って学びを得ることができます。

最近の新入社員の特徴として、一方的なコミュニケーションや押しつけは、受け付けない傾向があります。そのため背景情報を共有しながら、自身で解を見つけていく設計が大切です。

このように、社会人と学生の違いについて考え自分なりの言葉で言語化する時間を作ることで気づきが生まれ、社会人としての自覚を促すことができます。その結果、主体的に動く必要があることに気づき、自分ができることを探して積極的に行動する様子が見られます。

コスト意識を醸成する

新入社員がお客様気分にならないようにするために、コスト意識を醸成することは重要です。組織や周囲のメンバーに対して感謝の想いが出てきて貢献意欲が向上するためです。

ただ、自組織で新入社員に対して「あなたたちは組織にとってコストなんですよ。頑張って成長して成果を出せるようになってください」と伝えると、最近の新入社員は抵抗感を覚えます。中にはブラック企業だという人も出てくるでしょう。
そのため、コスト意識の醸成については第三者に依頼することをお勧めします。

例えば、アーティエンスの目標達成・コスト意識研修では、経営シミュレーションのゲームを通して、コスト意識を醸成します。


ゲームを通じて、組織運営におけるお金の流れや、社員自身にかかっているコストについて学び、「自分は会社にとってはコストである」ということを実感します。
ビジネスゲームを通すことで、組織の全体がイメージできない新入社員でも、組織から見た今の自分の立場を客観的に見られるようになり、自分の立場や役割を認識しやすくなります。

このように育成を受けているうちは組織にとって自分はコストであり、先輩や上司からたくさんのことを学び成長することが組織から求められていることを知ります。

そして自分が組織に還元できることを考えることで、学びに対してのモチベーションが向上し、積極的に仕事を行う新入社員を育成できます

ありたい姿を醸成する

新入社員がお客様気分にならないようにするために、ありたい姿を醸成することが必要です。ありたい姿があると、そのために必要なことを自ら進んで行いやすくなるためです。

具体的には、「どんな仕事がしたい?」「それは何で?」「1年後どんな人になりたい?」など理想を知る質問からどうありたいのかを確認します。その後、「そのためにはどんなスキルや経験が必要だと思う?」などの質問をして、ありたい姿になるために必要な要素を洗い出します。

その要素の中に、今の業務が関わっていることがわかると、ありたい姿のために今の業務も必要になることが理解できるため、期待感を持って仕事に取り組むことができます。

ただ、社員の中には、ありたい姿が無い人もいます。その際は、「どんな仕事が楽しかった?」「今までの仕事の中で褒められて嬉しかったことはある?」などの質問をして、何に楽しさや嬉しさを感じているのかを確認します。そこから、その楽しさや嬉しさを感じられる状態になるためにはどんな状態で仕事をできるといいかを考えていくと、ありたい姿を見つけていけます。

アーティエンスの成長力強化研修フォロー研修では、自分の成長とこれからの姿を探究するワークを設けています。
例えば、「自身の素晴らしい未来」に向けてアクションプランを創ったり、『自らのありたい姿と、会社への貢献につながるため』のストーリーを考えるワークを行います。

【参考】成長力強化研修のテキストの一部抜粋

これらのワークを通して未来について考える時間を設け、言語化することで、行動に落とし込みやすくなり、新入社員の主体的な行動の促進につながります

自立させることを目的にした育成計画をつくる

新入社員がお客様気分にならないようにするために、新入社員が独り立ちすることを意識した育成計画を作成することも大切です。新入社員も自立に向けての準備を行えるためです。

自律自走を促す新入社員の育成計画は次の5ステップの流れで作成します。

詳しい育成計画の作り方は「新入社員の育成計画に必要な5ステップ│【サンプルあり】迷いを無くし、いち早く一人前の社会人へ」をご覧ください。

新入社員に独り立ちしてもらうことを新入社員に望む姿として設定し、そのための育成を行うことで、新入社員を自立させることができます

挑戦への失敗を受け入れる環境を作る

新入社員がお客様気分にならないようにするために、挑戦への失敗を受け入れる環境を作る必要があります。安心感を感じられていない環境では怖さを感じ、主体的に動くことができないためです。

そのためにも新入社員が主体的に行動した箇所についてはポジティブフィードバックを行うようにしましょう。

例えば、クライアントのことを思って自分なりに考えて行動したことで、トラブルを起こしてしまった新入社員がいたとします。そのときに、トラブルが起きた原因を把握して対策を考えることは重要です。しかし、その話だけでなく、クライアントのために動いたことに対してポジティブフィードバックをすることも大切です。

クライアントのために動いたこと(挑戦したこと)に対してはポジティブであることを知れると、次回以降も反省点を踏まえた上で自分なりにより良くするために動こうと思えます。

クライアントのために動いたことに対してポジティブフィードバックがないと、失敗したらダメだという意識になってしまい、できるだけ失敗しない安全な道を選ぼうとします。

そのためにも、組織としてどこからを賞賛に値する失敗として歓迎するのかを考え、挑戦を歓迎する風土を作ることが必要です。下の図は失敗の種類を、非難に値する失敗と賞賛に値する失敗でまとめた内容です。失敗にも種類があることがわかります。

【非難に値する失敗と賞賛に値する失敗】

 失敗の定義※出典:「チームが機能するとはどういうことか」 エイミー・C・エドモンドソン

挑戦したことで起きた失敗については歓迎してくれる環境があると、新入社員が自分なりに考えて行動しやすくなり、お客様気分でただ言われたことをやるだけとか、成長しようとしない新入社員はいなくなっていきます

指示や命令ではなく考える余白のある依頼をする

新入社員がお客様気分にならないようにするために、指示や命令ではなく新入社員が考える余白を設けた依頼をするようにしましょう。言われた通りにやることが求められているわけではないことを理解しやすくなるためです。

そのためには、依頼した仕事の意図・背景を伝えることが必要です。意図や背景がわからないと、自ら考えることができず、言われたことをただやることになってしまうためです。

例えば、「この資料を10部ずつ印刷お願い」だけ伝えると、印刷のデフォルトの設定通りに印刷をする人がほとんどでしょう。依頼された社員は何に使う資料なのかを把握していないため、現場の設定で問題ないかを自分で考えることもできません。

しかし、「この資料を明日の〇〇会議でスライドで伝えきれない部分の補足として使いたいから10部ずつ印刷お願い」のように、どのような背景で使用するのかを伝えると、自分で工夫・改善する余白ができます。例えば、「〇〇会議には年配の方も多く参加するから、大きめの文字の方がいいかな?」とか「配布しやすいようにクリップでまとめておいた方がいいかな?」などです。

このように仕事を依頼する際に、仕事の意図や背景を理解できる情報も渡すことで、新入社員が自分なりに考える余白ができ、自分で工夫したりより良くするための言動が見られます

期待している役割や目標を理解してもらう

新入社員がお客様気分にならないようにするために、期待している役割や目標を理解してもらうことが必要です。組織からの期待が分からないと、成長が求められていることに気づけないためです。

1on1などゆったりと話をできる機会を作り、組織が期待している役割や目標を相手が理解できるように伝えます。理解をしてもらえたら、役割や目標に対して今どの位置にいるのかを確認し、成長のために何が必要かを二人で対話をしながら決めていきましょう。

期待している役割を伝える際は、誰でもいいのではなくあなただからこの役割をお願いしたい、ということが伝わるようにしましょう。そのためには相手の得意や不得意、組織が評価していることを理解しておくことが必要です。

例えば、「あなたは細かいところによく気がついてくれて、この間も〇〇を修正してくれました。あなたのこの細かい部分に気づいてくれる特徴を活かして、経理の正確さをより高めるための役割をお願いしたいです」などです。

このように伝えることで、自分のどこを評価してもらえているのかがわかります。また、自分のことを理解してくれていることに対しても嬉しさを感じます。

目標を伝える際は、内容を明確で具体的にしましょう。抽象度が高いと、目標を達成できたかどうかがわからないためです。明確で具体的にするためには、SMARTの法則をクリアしているか確認することをお勧めします。

このように、期待している役割や目標を理解してもらうことで、自分が組織の中で何をすべきかがわかり、そのためにすべきことも見えてきます今の自分に足りない部分があることがわかると、新入社員の主体的な行動を促しやすくなります

これらの対策を行うことで、新入社員がお客様気分にならず、主体的に動ける状態にしていきましょう。

5)まとめ〜アーティエンスでは社会人の自覚を促す新入社員研修を実施〜

本コラムでは新入社員がお客様気分の状態とは具体的にどういう状態かということを確認したのち、新入社員がお客様気分になってしまう原因と対策についてお伝えしました

新入社員がお客様気分の状態とは、精神的成長がなく、社会人としての自覚が弱い状態です。与えてもらって当たり前というようなお客様気分の新入社員の状態を変えるためには、まずは精神的な成長を促すことが必要です。本コラムでご紹介した対策をご参考に、新入社員がお客様気分にならず、主体的に動ける状態にしていきましょう。

なお、アーティエンスでは、社会人の自覚を促す新入社員研修を実施しています

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