新入社員研修を面白く!関心を高めるための5つの工夫

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「新入社員研修に主体的に参加してもらうためにはどうしたらいいのだろう?」

といったご相談をよくいただきます。
新入社員研修が単調で新入社員の関心を引けないものだと、学ぶ意欲が低下し、研修効果が下がってしまうことがあります。
そのため、面白い研修を実施すること自体が本来のゴールではないものの、研修に「面白さ」を取り入れて、新入社員の関心を高めることは大切です。

本コラムでは、新入社員の学びの質を高めるために必要な「面白さ」を取り入れるメリットや5つの工夫をお伝えします。

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監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。
youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル


1)新入社員研修に「面白い」要素を取り入れる4つのメリット

新入社員研修に「面白い」要素を入れるメリットを4つ紹介します。

・研修参加のモチベーション向上
・学習の効果・定着度の向上
・社内コミュニケーションの活性化
・企業イメージの向上

それぞれ順番に説明します。

研修参加のモチベーション向上

1つ目は、新入社員の研修参加へのモチベーション向上につながる点です。面白い要素を取り入れた新入社員研修は、参加者の関心を引き付け、興味を喚起します。

新入社員研修は、学生から社会人へと環境が大きく変わる節目のタイミングで行います。
環境変化によるストレスは大きく、通常よりも集中度合いが低下するなど、さまざまな影響をもたらしているでしょう。そんな中で、研修内容が難しすぎたり、つまらな過ぎると、さらに集中度合いが下がったり、参加意欲が低下してしまいます。

学習の効果・定着度の向上

2つ目は、学習の効果・定着度の向上のためです。面白い要素を取り入れることによって、新入社員が積極的に関与し、主体的に学ぶ機会を生み出します。

特に新入社員は、新しい知識やスキルを積極的に身につけようという姿勢があります。「もっと知りたい」「早くできるようになりたい」という思いを促進することができると、学習の効果と内容の定着度を向上させることにつながります。

社内コミュニケーションの活性化

3つ目は、社内コミュニケーションが促進されるためです。面白い要素を取り入れることで、新入社員同士に自然とコミュニケーションが生まれやすくなります。

特に最近の新入社員は、同期と仲を深めたいと思ってはいるものの、積極的に声をかけることが苦手な方もいます。そういう時も、例えば、グループワークの会話できっかけを得ることができると、スムーズなコミュニケーションを行いやすくなります。

企業イメージの向上

4つ目は、企業イメージの向上のためです。
面白い要素を取り入れた新入社員研修は、新入社員を満足させ、企業への好感度が高まります。

特に新入社員は企業について、まだ全てを知れているわけではないため、新入社員研修も企業を知るための一つの手段となっています。そのため、新入社員が研修を楽しみ、感動や満足を得るような研修を行うことができると、企業への興味や好感度が高まります。

【参考】内発的動機付けと外発的動機付けについて
モチベーションの高め方には、内発的動機付けと外発的動機づけの2通りあります。
内発的動機付けとは、内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態のことです。一方の外発的動機付けとは、金銭や評価など、外から与えられる外的報酬に動機づけられている状態のことです。内発的動機付けは外発的動機付けと比べると、モチベーションの向上の効果が高くなります。

2)新入社員研修を面白くする5つの工夫

「面白い」は大きく2つの意味に分けることができます。一つは感情的に面白いと感じるもので英語でいうと「Fun」です。もう一つは、論理的に考えられる知的な面白さという意味で英語でいうと「Interesting」です。

これら2つの意味別に新入社員研修を面白くする方法を紹介します。

●Funの意味の面白い
・ゲーム的な要素を取り入れる

●Interestingの意味の面白い
・新たな学びを提供する
・気づきを生むための問いを投げる
・多様な価値観に触れる機会を作る
・「できるようになる」ことを体験してもらう

上記5つについて、一つずつ詳しく説明します。

ゲーム的な要素を取り入れる

ゲーム的な要素を取り入れると、新入社員は「Fun」の意味での面白いを感じることができます。堅苦しい雰囲気が払拭しやすいのが特徴です。

具体的には以下のようなものです。
・ビジネスゲーム
・ボードゲーム
・謎解き
 など

当社でも内容に応じてビジネスゲームを取り入れることがあります。例えば、目標達成・コスト意識研修では、説明だけではなかなか理解が難しい売上創出の難しさコスト意識や目標達成するために必要となる数値の捉え方について、ビジネスゲームを通じて習得します。

ビジネスゲームはチーム対抗戦で、経営シミュレーションを行います。他社(他チーム)よりも利益を大きくすることを目標にメンバーで協力や理解を深めて進めていきます。

※当社の目標達成・コスト意識研修のテキストより一部抜粋

ゲーム的な要素のある研修を実施するときに注意しないといけないのは、「面白かった」だけで終わらないようにすることです。ゲームに夢中になりすぎて、なぜそのゲームを行なったのかという目的が意識できなくなると、ただ楽しい時間を過ごしただけになってしまいます。

当社ではそのようなことがないよう、振り返りを丁寧に行います。振り返りで、このワークを通して何を学んだかを問いかけることにとり、研修内容に対する意識の変化が見られるようになります。

ゲーム的な要素のある内容を行う際は、なぜこのゲームを行うのかの目的を明確にして新入社員が理解できる状態にし、ゲームを通して何を感じ、何を学んだのか振り返りを行うようにしましょう。

新たな学びを提供する

新たな学びを提供することで、新入社員は「Interesting」の意味での面白いを感じることができます。新たな学びは自己成長やスキル向上につながり、自身の将来に自分で期待し可能性を広げることができるためです。

新入社員に必要な学びとしては、例えば以下のようなものがあります。

◎社会人としてのマインドセット
●社会人としての自覚
●ビジネスマナー
●コスト意識
●コンプライアンス

◎関係性の構築
●コミュニケーション
●チームビルディング

◎業務遂行
●一般的なビジネススキル
●ロジカルシンキング
●要件定義力
●ソリューション提案力
●プレゼンテーション

◎専門知識・スキル

◎キャリア開発
●「目指したい姿」を探求する
●振り返りフォロー

◎メンタルヘルス

これらのスキルは新入社員にとって初めて学ぶことが多いため、これらのスキルを得るための学びを提供することができると、面白さを感じて主体的に学ぼうとする意欲が強くなります。

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なお、学びを提供する際は、受け取った情報について新入社員同士で対話をする時間を設けたり、個人で振り返る機会を設けることを行うことがお勧めです。受け取った情報に対して自分なりの意見を発言したり、自分の言語で整理し直すことで、より理解が進みます。

当社では研修終了後に下記の振り返りシートを使用して、振り返りを行っています。
理解できる内容が広がったり深まると、新しい世界が見えるため面白さを感じやすいです。
新たな学びを提供する際には、新入社員が将来の自分に期待できるような内容のものを行うようにしましょう。

【参考コラム】振り返りシートについて詳しく知りたい方へ
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気づきを生むための問いを投げる

新入社員に対して気づきを得るための問いを投げることも「面白い」を感じてもらうことができます。問われることで今まで意識していなかったことを言語化すると、自身がどのようなことを思っているのかを初めて知ることになるためです。

当社の新入社員研修では、以下のような問いを研修の初めに投げて新入社員自身に考えてもらう時間を設けています。

「組織・世の中に貢献し、自身の幸せ度を上げる社会人とは?」
「素晴らしいマナーを身につけながらも、自分らしさを大切にするにはどうしたらいいのだろう?」
「私たちが気持ちよく給与をもらうために、そして会社が私たちに気持ちよく給与を払うために、これから先の未来にできることは何だろう?」

このような問いを投げられると、初めは「難しいな、なんだろう?」という反応はあるものの、徐々に言語化していくことができます。

問いを投げるときは、問いの内容がとても重要です。問いを考えるときは以下のことを意識しましょう。

●新入社員が考えやすい言葉や文言になっているか
新入社員がわからない言葉やイメージできない内容になっていると、思考が止まってしまいます。仕事をしたことがない新入社員でもイメージができるような内容にしましょう。

●組織や問いの作成者の価値観が入っていないか
良い・悪いがある内容だと、無意識のうちに「良い答えをしないといけない」という意識が働いてしまい、思考が制限されてしまいます。
例えば、「素晴らしいマナーを身につけながらも、自分らしさを大切にするにはどうしたらいいのだろう?」ではなく「良いマナーを身につけながらも、自分らしさを大切にするにはどうしたらいいのだろう?」という問いにしたとします。すると、この問いを受け取った新入社員は「マナーには良いマナーと悪いマナーの2つに分かれるんだ」という認識をしてしまい、自分のマナーは正しいのか間違っているのか、という2極化思考になってしまいます。しかし、マナーというのは相手を気遣うもので、状況に応じて適切な対応は変わります。マナーには良いと悪いがある、と問いを通して伝えながらも、柔軟に対応することが必要と言われると、新入社員は混乱します。
良い・悪いのような価値観が含まれる問いではなくて、新入社員の価値観を考えられるような問いの内容にしましょう。

例で挙げたような問いについては、正解があるわけではありません。それぞれが、自分なりの価値観に気づくことで、面白さを生むことができます。

多様な価値観に触れる機会を作る

新入社員同士が多様な価値観を知ることも、「面白い」を感じることにつながります。自分とは異なる考え方を知ることで、新たな発見や自身の視野の広がりを得られるためです。

例えば、当社では、多様な価値観を知るための対話の場としてワールド・カフェを実施しています。ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。Round1~3と3回の対話の中で、他のテーブルとメンバーをシャッフルしながら対話を行うことで、多くの参加者の意見や知識を集めることができます。

<実施例(実施時間の目安:約80分)>

イントロ:対話の目的・ルールの確認(5~10分)
Round1:テーマに対して探求する(15分)
Round2:アイディアを他花受粉する(15分)
Round3:気づき・発見を共有・統合する(20分)
全体シェア:集合的な発見を収穫する(15~20分)

下記画像は、新入社員に対して「社会人と学生の違いは?」をテーマにワールド・カフェを実施した際のアウトプットの一部です。

対話で様々な人の意見を聞くことで、自分一人では気付けない考えや想いに触れることができます。そのことで新入社員の視野が広がり、新しい世界が見えることで面白さを感じることができます。 

「できるようになる」ことを体験してもらう

「できるようになる」ことを体験することも、新入社員は面白いと感じます。自身の成長や達成によって得られる喜びや満足感が、面白さを引き出すためです。

できるようになってもらうためには、知識をインプットするだけでなく、アウトプットする機会が必要です。そのため、当社の新入社員研修では、アウトプットの時間を全体の7,8割と多めにとっています。
例えば、上司との協働体感研修では、約2時間の時間を受講生に預け、上司役の講師に報連相を繰り返しながら、アウトプットを完成させてもらいます。

※当社上司との協働体感研修のテキストより一部抜粋

始めは報連相をする際に要点が抑えられておらず、時間がかかったり、上司に何を確認したいのかがブレてしまうということが起きます。しかし後半になると、報連相のやり方のコツがわかってきて、メモを用意したり、要件を簡潔に伝えられるようになる様子が見受けられます。

研修後の振り返りで、そのような自分の成長に気づき、嬉しさを感じると共に、より良くできるようにしたいという前向きなコメントも多くみられます。「できるようになる」ことを体験することで、喜びや満足感を感じ面白さに繋げることもできます。

このような5つの方法を取り入れることで、新入社員研修を面白くすることができます。

新入社員研修成功事例集

3)【参考】新入社員研修の面白さをUPさせる+αポイント

研修前にできる、新入社員研修を面白くするポイントを2つお伝えします。

・【研修前】研修概要や組織からの期待を伝える
・【研修導入時】アイスブレイクを行う

順に説明します。

【研修前】研修概要や組織からの期待を伝える

研修前に研修概要や組織からの期待を伝えることで、新入社員への面白さを高めることができます。新入社員が研修で学ぶ準備を行えるためです。

内容としては以下のようなものです。

●●さんへ

お疲れ様です。人事部の〇〇です。
3日後、○月○日はビジネススキル研修ですね。
ビジネススキル研修では、仕事をする上で必要不可欠なビジネススキルセットを学ぶことができます。具体的には、要件定義、確実なスケジューリング、タスク分解、報連相、解決策の講じ方です。
特に報連相は一生行い続けます。私もいまだに使いますし、報連相ができる人かどうかで信用できるか否かを判断していることもあります。基本的なことですが、とても大事なことです。

今回新入社員の皆さんに報連相をはじめとするビジネススキルを学んでもらうことで、依頼されたことをただこなすだけではなく、自分自身で仕事の幅を広げていけるようになってほしいと思います。そうすることで、成長スピードもあがり、仕事を楽しいと思える機会が増えると考えています。

ビジネススキルは学んですぐにできるようになるものではないので、研修でたくさん失敗しながら学び、仕事でも意図的に使うことで自然とできるようにしていってください。

研修前に、研修の概要や組織からの期待、研修で学ぶことを身に着けるとどうなるのか伝えることで、新入社員の好奇心を掻き立て、研修に主体的に参加したくなる状況を作りましょう。そうすることで、面白さを感じやすくなります。

【研修導入時】アイスブレイクを行う

研修の初めにアイスブレイクを行うようにしましょう。アイスブレイクは、参加者同士の緊張をほぐし、相互の関係を構築し、円滑なコミュニケーションを促進する役割を果たします。

アイスブレイクの例としては以下のようなものがあります。
・他己紹介
・3秒自己紹介
・実は○○の自己紹介
・Good&New
・共通点探しゲーム
・プチQuestion

具体的な実施方法は、内定者とのアイスブレイクは必須!アイスブレイクの効果と具体例を紹介に記載していますので、ご覧ください。

場の緊張感が強すぎると面白さを感じる余裕がなくなってしまうため、アイスブレイクを行って安心感のある場を作ることをお勧めします。

これら2つのポイントを踏まえて、新入社員研修の効果をより高められるように設計しましょう。

また「【24年卒】新入社員研修の内容例&効果を決める5つのポイントを解説」の記事では、2024年に入社する新入社員に対して、どのような研修を実施するべきであるかを解説しています。
具体的な研修内容の事例や効果を高めるためのポイントもご紹介しておりますので、研修を成功させるためにもぜひ参考にしてください。

4)まとめ

本記事では、面白い研修をすることが本来のゴールではないものの、新入社員の学びの質を高めるために必要な、新入社員研修を面白いと思ってもらうための方法をお伝えしました。

新入社員研修に「面白い」要素を入れるメリットは4つあります。

●研修参加のモチベーションの向上
面白い要素を取り入れた新入社員研修は、参加者の関心を引き付け、興味を喚起します。

●学習の効果・定着度の向上
面白い要素を取り入れることによって、新入社員が積極的に関与し、主体的に学ぶ機会を生み出します。

●社内コミュニケーションの促進
面白い要素を取り入れることで、新入社員同士に自然とコミュニケーションが生まれやすくなります。

●企業イメージの向上
面白い要素を取り入れた新入社員研修は、新入社員を満足させ、企業への好感度が高まります。

具体的に新入社員研修を面白くする方法として、下記の5つの方法をお伝えしました。

●Funの意味の面白い
・ゲーム的な要素を取り入れる

●Interestingの意味の面白い
・新たな学びを提供する
・気づきを生むための問いを投げる
・多様な価値観に触れる機会を作る
・「できるようになる」ことを体験してもらう

本記事でお伝えする内容をもとに、新入社員研修に「面白い」要素を取り入れることで、新入社員がより深く主体的に学べる場を作りましょう。

ただし注意点としては、面白いを追求しすぎないようにすることが必要です。新入社員研修の目的は面白く感じてもらうことではなく、スキルや知識を学んでもらうことだからです。
あくまでも、スキルや知識を深く学んでもらうために面白さが必要だ、という立ち位置を忘れないようにする必要があります。
面白さを追求するあまり、新入社員の成長を促せているのかわからないような内容にならないように注意しましょう。

なお、当社では、「面白い」要素のある新入社員研修を実施しています。コロナジェネレーションに合わせたスタンスの変容を促し、「あるべき」ではなく新入社員の「ありたい」を醸成することを意識しています。

新入社員研修に不安やお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。一緒に課題を解決し、より良い新入社員研修を実施できるようにしましょう。