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[ コラム ]
管理職のコミュニケーションに必要なのは「対話力」強化方法を解説
- 経営層や人事の皆様とお話する中でよく耳にするのが、管理職層のコミュニケーションの質に起因する組織課題です。管理職は、部下の育成だけでなく、上司・経営陣への報告連携、他部門との協業、社外関係者との折衝など、多方向にわたる関係性を担っています。
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本内容は、2025年10月21日に開催した「全員参加の会議づくり研修」の公開講座研修レポートです。研修概要、終了時のコメント、そして研修内容を時系列に沿ってご紹介します。
目次
会議の参加者全員が当事者意識を持ち発言する会議にするために必要な意識やスキルの習得を目的としています。
自身が会議に与えている影響について4つの層を軸に考えていきます。参加者全員が安心して意見を出し合うために、まずは自分が変わるべき点を見つけていきます。
目的や目標を達成するために、参加者の当事者意識や主体性を引き出すためのファシリテーターの介入方法について理解を深めます。
参加者が意見をだしやすい「安心・安全な場」を創りだすために、ファシリテーターが知っておくべき場のデザイン方法について学びます。
・自分の認知が会議の進め方に影響していたことに気づきました。皆さんの経験談からも多くの学びを得ることができました。
・さまざまな会議のパターンを知ることができたので、打ち合わせの目的に合わせて柔軟に対応していきたいと思います。
・ちょうど課題を感じていた会議について扱うことができ、皆さんからの意見をいただけてとても学びになりました。
・今日学んだフレームワークを今後の業務でも活用していきたいです。同じ会社でも会議のパターンはさまざまで、部署は違っても一緒に解決していきたいと感じました。
全員参加の会議とは何かについて意見を出し合い、対話をしました。

対話で出ていたコメントの一部を紹介します。
・姿勢が良くないと、どうしても積極的に参加していないように見えてしまいますね。
> 自分も姿勢が悪いほうなので、気をつけないといけないなと思いました。
・相互作用が起きている会議の方が枠が埋まっているので、イメージしやすいようですね。
・うちの会社では、相互作用があまり起きていない会議は少ないように感じます。
> ただ、たまに「今スラック返してるんだろうな〜」と思う瞬間はありますね。
上記の対話を受けて、講師から以下のことをお伝えしました。
・姿勢は会議への参加意識を表していることが多いですが、腰痛などの事情がある方もいるため、見た目だけで判断しないことが大切です。
・現在、相互作用が生まれている会議が多いというのは素晴らしいことです。そう感じるときこそ、さらに良い相互作用を生むにはどうすればよいかという視点を持って参加していただけると、より建設的な会議になると思います。
「自身の影響を知る」では、会議で自身が意識的、無意識的に、周囲にどのような影響を与えているのかを深掘りました。

個々で深掘りしたのち、気づきを全体でシェアしました。
対話で出ていたコメントの一部を紹介します。
・自分の認知の状態を言語化するのは難しく、書いてはみたものの、それが本当に正しいのか確信が持てない状態です。
・これまで、自分である程度決めたほうがスピード感を持って進められると思って実践していたので、その考えを言語化できました。
・「自分でやったほうが早い」と感じる場面は多いのですが、それではボトムアップにならないと思い、意識的に任せるようにしています。ただ、やはり心の奥では「自分でやったほうが早いのにな…」という気持ちがまだ残っています。
上記の対話を受けて、講師から以下のことをお伝えしました。
・自分の認知を見つけるのは、なかなか難しいものです。ですが、それを言語化していくことで、少しずつ気づきが見えてきます。「Aかもしれないし、Bかもしれない」というように、揺れを持った状態を味わうことが大切です。
・ボトムアップのために、正解がわからない中でも試行錯誤しながら取り組んでいるとのこと、とても素晴らしいと思います。適応解を探りながら、アジャイルに実行と改善を重ねていくことが大切です。
自身の認知によって、会議の見え方が変わることがあるため、自身の状態を整えることが大切です。
活発な対話を促すために、重要な2つのことをお伝えしました。
3つの目標(意義目標・成果目標・行動目標)の考え方を、具体例を用いながら伝えました。
参加者自身が、自分たちで進めていくためのポイントとして以下3つについてお伝えしました。
● 情報の欠落や余白を作り、参加者自身が取りにくるようにする
● 多様性と異質性の力から認知を広げることで、情報量を増やし、探求できる環境を創り、ホールドする
● ポジティブフィードバックを行い、自己強化が起きるようにする
これらについてお伝えしたのち、活発な対話を促すために具体的にできることは何かを考え、対話を行いました。
対話で出ていたコメントの一部を紹介します。
・「感想ベースでもいいんだけど、何かある?」と、関係がありそうな人に声をかけるようにしています。
> 私は誰かが話していると、自分の意見を引っ込めてしまうタイプなので、振ってもらえるととてもありがたいです。
> 私も「何かある?」と話を振ることはしていましたが、これまで会議が終わってから聞いてしまっていたなと反省しました。話を振るタイミングって難しいですよね。
・たとえば「AとB、どちらが良いと思う?」と聞くと、選択しやすかったり、「どちらでもない」という新しい意見が出てくることもあります。そのため、この問いかけ方はよく使っています。
> 確かに、オープンクエスチョンすぎると相手が固まってしまうことがありますよね。
> 一度選択肢を示すことで、意見を言いやすくなるかもしれませんね。
上記の対話を受けて、講師から以下のことをお伝えしました。
・「〇〇さん、どう思いますか?」という問いかけは、しっかり相手を観察し、話したそうにしている場合には有効です。
ただし、この問いを頻繁に使いすぎると、参加者が「ファシリテーターに指名されるまで話してはいけない」と感じたり、「振られてから話せばいいや」と受け身になってしまうことがあるため注意が必要です。
・「どう思いますか?」と問いかけるタイミングは、場の状況を見極めることが大切です。基本的にファシリテーターは、議論の熱量が高まっているときにはあまり介入せず、流れを見守る方が効果的です。
・もし沈黙が長引く場合は、参加者をいくつかのグループに分け、少人数で対話する時間を設けるのも一つの方法です。人数が減ることで発言しやすくなり、意見が活性化しやすくなります。
・また、選択肢を与える問いかけも状況に応じて活用すると効果的です。基本的には、まずオープンクエスチョンで自由に意見を促し、その後にクローズドクエスチョンで具体化する、という順番を意識するのがポイントです。
自身が属するチームは、どのようなチーム(場)なのかをメタファー(隠喩)で考え、グループでシェアをし、気づき・発見をもとにダイアログしました。
・基本的には陰で動くことが多いので、以前は「くノ一」みたいだなと思っていました。でも最近、男性メンバーも増えたので「忍者」かなと感じています。
みんなそれぞれ独立して動いているけれど、必要なときには協力し合える。そんなチームです。だからこそ、リーダーシップを発揮して引っ張ってくれる存在がいると、さらに良くなると思います。
・保育園のような雰囲気です。機能ごとに担当が分かれているので、みんなが思い思いに動いている印象があります。
ときには上からの意見にしっかり意見を返す人もいて、全体で一斉に動くというよりは、一人ひとりが自分の判断で行動している感じです。
園児が一人でかけっこしているような、元気いっぱいで自由な雰囲気です。
・東京みたいに感じました。それぞれが独立していて、小さなコミュニティがいくつもある感じ。2〜3人はよく知っているけれど、その他の人とはあまり関わりがない――そんな距離感です。
大阪のようなフランクさはあまりなく、程よい距離を保ちながら仕事をしています。
仕事上の課題は各コミュニティで解決できていますが、学びや気づきをチーム全体で共有できる場があるともっと良いなと思います。
・全体としては、静岡県のようなイメージです。東京や大阪ほどガツガツしておらず、落ち着いていて静かな雰囲気。
ただ、もう少し神奈川くらいの活気に寄ってくれると、ちょうどいいバランスかもしれません。
上記の対話を受けて、講師から下記のコメントをしました。
メタファーで捉えることで、自分たちのチームや組織を客観的に見つめ直すことができます。
そして、これらのメタファーを踏まえて「本当はどうなってほしいのか」を考えることで、具体的な課題や、今取り組むべきアクションが自然と見えてきます。
ここで見えてきた課題を解決していくためには、まずは小さな場から変えていくことが大切です。会議や勉強会、面談などの場を、ファシリテーターとして適切に設計・運営できるようになることから始めましょう。
次に場作りを行う際に大切な「レイアウト」「備品」「空間設計」についてお伝えしました。
その後、場づくりに関しての気づき・発見・もやもやを自由にダイアログしました。
いきなりすべてを変えるのは難しいと思いますが、「研修の課題として取り組んでいる」といった文脈で伝えると、周囲の人も協力的になってくれるためおすすめです。
相互作用を止めてしまうファシリテーターの働きかけをお伝えしました。
素晴らしい相互作用を止めてしまうものは主に以下の6つです。
これらNG行動に関して、気づき・発見・もやもやを自由にダイアログしました。
対話で出ていたコメントの一部を紹介します。
・会議が停滞すると、自分の意見を出してしまうことがあります。そのため、進行役としての立場と、参加者としての発言のバランスを取るのが難しいと感じています。
・気づくと、自分の考えや判断を基準に場を進めてしまうことがあります。もっと相手の視点や意図を受け止める余白を持てるように意識したいです。
・「やらなければ」という達成意識が強い自覚はあり、意識的に緩めようとしています。
ただ、会議の目的を達成しないと良い会議ではないとも思うため、目的達成と柔軟さのバランスを取るのが難しいと感じます。
上記の対話を受けて、講師から下記のコメントをしました。
・難しいと感じられたのは、今まで意識していなかった点に気づけた証拠です。焦らず、ひとつずつ実践していきましょう。
・現実的な課題ですね。状況に応じて「ファシリテーター役」と「参加者」のモードを意識的に切り替えることがポイントです。私は、「今は参加者として発言するんですけど…」など伝える方法をとることもあります。
・会議の目的を達成することはもちろん大切です。ただし、場合によってはアジェンダから外れたとしても、プロジェクト全体の成果につながる話が生まれることもあります。
そのため、「この会議だけ」ではなく「中長期的な視点」を持って捉えることも意識してみると良いでしょう。
受講者自身がファシリテーターを担った会議を一つ切り取り、研修での学びを軸に振り返りを行いました。
今までの学びを踏まえてリアルに行なっている会議を扱うことで、より良くできる箇所に気づきやすくなっていました。
ある架空の企業の会議情報を基に、自身はファシリテーターとして、どのように介入すると会議の質をあげられるのかを考え、共有しました。


同じ会議についても、参加者それぞれ意識していることが異なり、お互いに刺激を受け合っている様子でした。
最終ワークでは、再度、特定の会議を行えるとすれば、自身はファシリテーターとしてどのように介入し、会議を良くするのかを考えていきました。
参加者のアウトプットに対して講師からフィードバックを行い、より素晴らしい会議になるためのポイントをお伝えしました。
具体的な改善策が出ており、今回考えた内容で実行することで会議がより良くなりそうだな、という手応えを皆さんが感じている様子でした。
参加者の皆さんが、問題意識を持って真剣に取り組み、感じたモヤモヤをオープンに共有してくださったことで、より深い学びの場になりました。
会議に対して課題感を持ち、「もっと良くしたい」という前向きな想いを強く感じられたことを、とても嬉しく思います。
すべてを一度に変えるのは難しくても、小さな一歩の積み重ねが会議を変え、やがて参加者の姿勢や発言の変化につながります。
今日学んだことを、ぜひ現場で一つでも実践し、学びを自分の力に変えていってください。
なおアーティエンスでは、「効率的な会議進行スキル習得研修」の他にも、課題にあわせたファシリテーション研修を提供しています。
会議から組織変革を進めてみたい方、今の会議に課題を感じている場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
会議という小さな場から、組織全体にポジティブな影響を広げていきましょう。